JP2734500B2 - 風洞試験模型支持装置 - Google Patents

風洞試験模型支持装置

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JP2734500B2
JP2734500B2 JP31071095A JP31071095A JP2734500B2 JP 2734500 B2 JP2734500 B2 JP 2734500B2 JP 31071095 A JP31071095 A JP 31071095A JP 31071095 A JP31071095 A JP 31071095A JP 2734500 B2 JP2734500 B2 JP 2734500B2
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哲彦 上田
正夫 荒川
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はロケットの先端に取
付けられて、地上から高空に打上げられた後、ロケット
から分離されて、再び地上に帰還させる有翼機の打上げ
時に作用する空気力によって、有翼機とロケットの結合
体に発生するフラッタ振動等の空力振動特性を、開発段
階で検証するための風洞試験で使用する風洞試験模型支
持装置に関する。
【0002】
【従来の技術】翼の弾性復元力、慣性力および空気力な
どが関連して、動的不安定となり調和振動が持続するフ
ラッタ(flutter)、又は乱れた剥離流によって
翼などの機体構造が加振されるバフェット(buffe
t)等、有翼機の飛行中には、有害な空力振動が発生す
ることが多くあるため、これらの有翼機の開発段階で
は、これらの空力振動が発生しないように設計するとと
もに、設計された有翼機についての、これらの空力振動
特性を風洞試験等により検証し、その結果を設計に反映
させることが行われている。
【0003】しかしながら、最近アイデアが提案され、
実用化に向けて開発が進められている、ロケットの先端
に有翼機を搭載して、地上から高空まで打上げる、ロケ
ットと有翼機の結合体(以下機体全体という)について
は、その形状が新しい形態のために、その打上げ時の大
気圏を通過するときの空力振動特性を、風洞試験で検証
することは未だ行われてない。
【0004】すなわち、従来の有翼機単体の飛行時にお
ける空力振動特性を検証するためには、有翼機単体まわ
りの空気流と、有翼機単体の重量分布、剛性分布等の振
動特性とを模擬する機体模型を製作し、図6に示すよう
に風洞中に機体模型を支持して試験を行うことにより検
証することが行われている。
【0005】すなわち、図に示すように、後端が風洞内
で上下動するストラット04に連結され、気流Vに対す
る傾き角を変角できるスティング03の先端部に回転軸
05を設け、この回転軸05まわりに、有翼機の振動特
性を把握するための機体模型01を、振動方向の微小振
幅θ°の回転振動ができる構造に支持金具02で支持
し、この振動自在にされた機体模型01に有翼機の飛行
時の空気力を模擬する気流Vを作用させることにより、
有翼機の飛行時に発生する空力振動を検証するようにし
たものである。
【0006】しかしながら、上述したようなロケットと
連結された有翼機の空力振動特性は、上述した従来の有
翼機単体における風洞試験に加えて、結合されているロ
ケットとの結合部の剛性を考慮する必要があるほか、結
合されるロケットによる有翼機に及ぼす空気流れの影響
を考慮する必要がある。すなわち、有翼機とロケット結
合状態の振動特性が模擬できるとともに、空力振動の要
因となる、有翼機とロケット結合状態と同様の空気力が
作用するように、機体全体の空力形状を模擬した模型
で、空力振動試験ができる模型支持装置を必要とする。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ロケットの
先端に搭載される有翼機とロケットとの結合状態におけ
る振動特性が模擬でき、しかも有翼機とロケットを結合
状態の機体全体の空力形状を模擬して、空力振動試験を
行うことのできる風洞試験模型支持装置の提供を課題と
する。
【0008】また、本発明は有翼機とロケットとの結合
状態における振動特性を種々変化させた場合にも、直ち
に、これを模擬して空力振動試験をできるようにした風
洞試験模型支持装置の提供を課題とする。
【0009】また、本発明は風洞試験中に激しい空力振
動が発生したときには、特に有翼機に発生している空力
振動を停止して、有翼機の損傷を防止することができる
ようにした風洞試験模型支持装置の提供を課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】このため、本発明の請求
項1に示す風洞試験模型支持装置は、次の手段とした。
【0011】(1)先端に有翼機を装着して、地上から
高空へ打上げられるロケットの形状に外形形状を模擬し
たロケット模型にされ、負荷される空力荷重に抗して有
翼機を模擬した機体模型を、風洞内の所定位置で支持す
るため、機体模型後端から突出する支持金具を先端部か
ら内部に挿入して、内部で固定するスティングを設け
た。なお、スティングはその後端部が風洞内で作動する
ストラットに連結され、また、ロケットの後半部まわり
の流れが機体全体の空力振動に及ぼす影響は少いため、
ロケットの先端部の形状、すなわち有翼機との結合部近
傍のロケット形状を模擬できるものであれば良い。
【0012】(2)有翼機の外形形状、重量分布および
剛性分布等が模擬され、風洞内の気流によって有翼機に
発生する空気力振動を模擬する空力振動を発生できる機
体模型を設けた。
【0013】(3)機体模型とロケットを模擬したステ
ィングからなる機体全体模型まわりの流れを乱さないよ
うにして、機体模型の後端部に、その先端部が連結さ
れ、機体模型の後方へ突出された後端部が、ロケットを
模擬したスティングの先端から内部へ導入され、後端部
がスティングの内部に固着されて、機体模型をスティン
グに連結して風洞内で支持する支持金具を設けた。な
お、支持金具は機体模型に発生する空力振動を抑止する
ことなく、ばねに伝達されるように、機体模型とスティ
ングとを連結する構造とする必要がある。すなわち、例
えば機体模型に発生するピッチ方向の空力振動の試験を
行う場合には、機体模型を回転軸まわりに回動自在にし
て、ピッチ方向の振動が自在に発生するように支持する
とともに、振動時に、スティングの内周面等に当接し
て、振動がスティングによって阻害されることがないよ
うにする必要がある。
【0014】(4)有翼機とロケットの結合部の剛性が
模擬されて、支持金具の途中、又は支持金具とスティン
グとの間、又は支持金具の機体模型との間に配設される
ばねを設けた。
【0015】上述の手段により、本発明の請求項1の風
洞試験模型支持装置では、 (1′)打上げ時の機体全体まわりの気流状態を模擬す
る流れが機体全体模型まわり、少くとも、機体模型とロ
ケット模型の結合部付近より前方に発生させることがで
きる。これにより、機体模型には、有翼機に発生する空
気力を正確に模擬する空気力が作用し、有翼機とロケッ
トとの間の結合剛性を模擬する剛性のばねを介在させた
支持金具でスティングに連結された機体模型には、有翼
機に発生する空力振動を模擬した空力振動を発生させる
ことができ、この空力振動を計測することにより、打上
げ時に有翼機に発生する空力振動特性を検証することが
できる。
【0016】また、本発明の請求項2に示す風洞試験模
型支持装置は、上記(1)〜(4)の手段に加え、次の
手段とした。
【0017】(5)支持金具の途中、又は支持金具とス
ティングの間、又は支持金具と供試模型の間に配設さ
れ、有翼機とロケットの結合部の剛性を模擬するばねの
剛性を風洞試験中、又は風洞停止中に変えることができ
るようにした。すなわち、ばね剛性は遠隔操作によって
も変えることができるようにした。
【0018】上述の手段により、本発明の請求項2の風
洞試験模型支持装置は、上述した(1′)に加え、 (2′)例えば、断面形状一定の梁からなるばねを設
け、この梁の後側支持点位置を前後に移動できるように
して、結合部剛性を広範囲に渡って連続的に変化させる
ようにすることにより、結合部剛性の大きさを変えたこ
とによる機体模型の空力振動特性の変化を早急に検証で
きる。これにより、開発段階において、ロケットと有翼
機の結合剛性を、有翼機の空力振動が少くなる剛性に容
易に選定できる。また、ばねの剛性を風洞の外から変化
できるようにすることにより、通風試験中にばねの剛性
を変え、結合部剛性を各種変化させた時の空力振動状態
が直ちに模擬できる。また、剛性を変えるためのばね取
替えに風洞を停止させる必要がなくなり試験能率の向上
が著しくなる。
【0019】また、本発明の請求項3に示す風洞試験模
型支持装置は、上述(1)〜(4)の手段又は、上述
(1)〜(5)の手段に加え、次の手段とした。
【0020】(6)機体模型が、風洞試験中に、例えば
フラッタ状態に入り、過剰な空力振動が発生して、機体
模型が破損する恐れが生じたときには、支持金具をステ
ィングに固定して、又はばねの構成材をスティングに固
定して、機体模型とスティングの結合剛性を大きくし、
機体模型の空力振動を抑止できるストッパを設けた。
【0021】上述の手段により、本発明の請求項3の風
洞試験模型支持装置は、上述(1′)に加え、又は上述
(1′)(2′)に加え、 (3′)機体模型に過剰な空力振動が発生するフラッタ
状態等に近い機体模型の空力振動を風洞試験で検証で
き、その結果を設計に反映できるとともに、機体模型の
破損を確実に防止でき、風洞試験の効率を向上できる。
また機体模型の破損防止により、機体模型の製作個数を
少くでき、制作費を低減することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の風洞試験模型支持
装置の実施の一形態を、図面に基づき説明する。図1
は、本発明の風洞試験模型支持装置の実施の一形態を、
風洞設備に取り付けた平面図である。
【0023】図に示すように、フラッタ発生を検証する
有翼機を模擬する機体模型1は、ロケットのノーズを模
擬する結合部2を介して、ロケット本体を模擬して製作
され、後述する有翼機とロケットの結合部剛性を模擬し
たばねをこの中に組み込んだ、スティング3に結合され
風洞内に設置される。なお、機体模型1の後端と結合部
2の先端との間には、機体模型1の空力振動に伴う機体
模型1と結合部2の接触を防止し、かつ有翼機の後端と
ロケットの先端部との間の空気流れの模擬する流れが乱
されない程度の隙間が設けられている。また、機体模型
1は、有翼機とロケット本体間を接続している結合部の
剛性をスティング3内に設けたばねで模擬するととも
に、機体模型1の空力振動の振幅方向の機体模型1の移
動を自在するため、回転中心まわりに回転振動ができる
ようにされている。
【0024】次に、この構造について説明する。図2
は、本発明の風洞試験模型支持装置の実施の第1形態を
示す水平断面図、図3は、図2の垂直断面図である。図
に示すように、機体模型1は、後端が支持金具4に固定
され、スティング3の先端部に設けられた円筒部内に嵌
入された、内筒5に設けられた回転中心軸6で拘束さ
れ、ピッチ回転のみ自由とされてスティングの内部に連
結されている。
【0025】また支持金具4の後端には、断面形状を一
定にした梁からなるばね7が設けられている。このばね
7は、その断面形状、及び長さを選定することにより、
機体模型1に生ずる空気力に耐える各種の剛性値を持っ
たばね7が製作できるので、有翼機とロケットの結合部
剛性を種々変えたときの剛性を任意に模擬することがで
きる。また、このばね7は、機体模型1の回転振動数を
定めるためのもので、回転中心軸6を支持点とし、他端
固定の梁となっており、前述したように、この梁からな
るばね7で有翼機とロケット本体間の結合部剛性を模擬
している。また、風洞試験中の機体模型1の空力振動を
モニタするため、ばね7の前方には歪ゲージ8が接着さ
れている。
【0026】また、支持金具4で後端が支持される機体
模型1は、前述したようにフラッタの発生を検証するた
め、有翼機の、翼をはじめとする機体の重量分布、剛性
分布等の振動特性を模擬して製作されているため強度余
裕がない。そこで機体模型1に有害な振動が発生した場
合、すなわち風洞試験中にフラッタ状態に入り、過剰を
振動が発生した場合、瞬時に振動を抑止し、機体模型の
破損を防止する必要がある。そのためスティング3内に
エアシリンダ9を設け、これに振動中でも丸軸のテーパ
軸部を持つ支持金具4に容易に挿入ができ、前後動でき
るようにしたはめ合い部を設けたストッパ10を接続
し、支持金具4のテーパ軸部へストッパ10を挿入し、
振動が大きくなったときには、支持金具4を介して、機
体模型1を剛性強度を著しく大きくしたスティング3に
固定して、振動を止め保護するようにした。
【0027】本実施の形態は、上述のように構成されて
いるので、有翼機の機体模型1に対し、気流の乱れを与
えない支持方式としてスティング3による支持ができる
ようになり、機体模型1には、有翼機を結合するロケッ
トの影響により変化する空気流れを模擬した空気力が作
用する。また、スティング3内に回転中心軸6、ばね
7、及びストッパ10を設けて機体模型1は、回転中心
軸6まわりに回転でき、機体模型1の微少振幅の回転振
動ができる。この振動数は、有翼機とロケット間の結合
部剛性を模擬したばね7剛性によって定まる。
【0028】従って、実機開発段階において、ロケット
の先端との結合部剛性を、各種変化させた場合の有翼機
のフラッタ特性を把握する試験では、このばね7の断面
形状を変え、試験を行うことができ、有翼機の空力振動
の発生を低減できる結合部剛性を把握することができ
る。また、風洞試験において、機体模型1に有害な振動
が発生した場合、スティング3内のエアシリンダ9に高
圧空気を送り込みストッパ10を前方へ移動させ、はめ
合い部と振動中の支持金具4のテーパ軸へ挿入し、機体
模型1の動きを停止させ、これにより、機体模型1の破
損防止が可能となる。これにより、フラッタ発生直前ま
での風洞試験が、機体模型1を損傷することなく実施で
きる。
【0029】次に、図4は本発明の風洞試験模型支持装
置の実施の第2形態を示す水平断面図、図5は図4の垂
直断面図である。本実施の形態は、特に、風洞試験設備
側に機体模型1保護対策が設けられており、スティング
3内にストッパ10を設ける必要が無い場合等、スティ
ング3内の空間を利用し、有翼機とロケット本体間の結
合部剛性を連続的に変化させる機構を設け、試験効率向
上を図るようにしたものである。
【0030】図に示すように、本実施の形態では、第1
形態において説明したばね7は、ばね支持金具11で後
方側が支持され、このばね支持金具11はスティング3
の内周面に敷設されたリニアレール12上を前後に移動
する。この駆動は、電動モータ13でボールネジを回転
させ、前後に送る機構となっている。
【0031】これにより梁で構成されたばね11は、剛
性値が変動するので、有翼機とロケット本体間の剛性を
種々変化させた場合の有翼機の空力振動を検証すること
ができる。さらに、ばね支持金具11を前方へ移動させ
たときには、ばね7の剛性が高くなることを利用して、
機体模型1がフラッタ状態に入り、過剰を空力振動を発
生したときのストッパとしての機能を働かせるようにす
ることもできる。これらの操作は、風洞の外部から容易
に実施することができるため、開発段階における有翼機
とロケット結合部の剛性選定が、きわめて容易になると
ともに、その選定のための風洞試験効率が著しく向上で
きる。
【0032】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の風洞試験模
型支持装置によれば、特許請求の範囲に示す構成によ
り、次の効果が得られる。
【0033】(1)有翼機のロケット搭載形態におい
て、結合部剛性を模擬したフラッタ等の空力振動試験
が、従来風洞試験で採用されているスティング支持方式
で可能になった。また、スティング内の支持金具の一端
に取り付けられたばねの形状、及び長さを選定すること
により、強度的に満足したばね剛性が得られる。
【0034】(2)特に、風洞試験設備側に、例えば動
圧の低下又は模型の避難装置がある等、模型保護対策が
されている場合等においては、ばね形状一定で長さを可
変にすることで、結合部剛性を連続的に変化させる空力
振動試験が可能となり、試験能率の向上ができる。
【0035】(3)試験中、有害振動からの機体模型の
保護は、支持金具の後端をテーパ軸とし、ここへメステ
ーパ穴を持ったストッパ6をエアシリンダ7で挿入する
こと等により、振動を止め保護できるようになり、機体
模型の破損を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の風洞試験模型支持装置の実施の一形態
を示す平面図、
【図2】本発明の実施の第1形態を示す水平断面図、
【図3】図2に示す実施の形態の縦断面図、
【図4】本発明の実施の第2形態を示す水平断面図、
【図5】図4に示す実施の形態の縦断面図、
【図6】従来の風洞試験模型支持装置を示す側面図であ
る。
【符号の説明】
1 機体模型 2 結合部 3 スティング 4 支持金具 5 内筒 6 回転中心軸 7 ばね 8 歪ゲージ 9 エアシリンダ 10 ストッパ 11 ばね支持金具 12 リニアレール 13 モータ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 長畑 正史 名古屋市港区大江町10番地 三菱重工業 株式会社名古屋航空宇宙システム製作所 内 (72)発明者 川村 真子 名古屋市港区大江町10番地 三菱重工業 株式会社名古屋航空宇宙システム製作所 内

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ロケットと前記ロケットの先端に取付け
    られ地上から打上げられる有翼機との結合体の空力振動
    特性を試験するための風洞試験模型支持装置において、
    前記ロケットの外形形状を模擬し、少くとも先端部を円
    筒状にしたスティングと、前記有翼機を模擬した機体模
    型と、前記機体模型の後端部から後方へ突出して設けら
    れ、後端部が前記スティングの先端から内部に挿入され
    て、前記機体模型を前記スティングの内部に結合する支
    持金具と、前記支持金具に介装され、前記ロケットと前
    記有翼機の結合部の剛性を模擬するばねとを設けたこと
    を特徴とする風洞試験模型支持装置。
  2. 【請求項2】 前記ばねの剛性を変化できるようにした
    ことを特徴とする請求項1の風洞試験模型支持装置。
  3. 【請求項3】 前記支持金具、若しくは前記ばねを前記
    スティングに固定して、風洞試験中に前記機体模型に発
    生する空力振動を抑止するストッパを設けたことを特徴
    とする請求項1又は請求項2の風洞試験模型支持装置。
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