JP2727468B2 - 巨大プロテオリポソームの形成方法 - Google Patents

巨大プロテオリポソームの形成方法

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、方向性を制御して膜蛋白質が組み込まれた
巨大プロテオリポソームの形成方法に関するものであ
る。
[従来の技術] 従来、リポソームは、生体膜の簡便なモデル系とし
て、生体膜の物性・機能の研究に広く用いられるほか、
種々の機能性材料や薬剤などを封入してマイクロカプセ
ルとして用いることにより、工業上や医療分野等への応
用が検討されている。
リポソームの脂質二分子膜中に蛋白質が組み込まれて
いるものは、プロテオリポソームと呼ばれている。この
プロテオリポソームは、生体における主要な機能性物質
の一つである蛋白質を含むために、リポソームに加えて
更に多種多様な特性を付与することができる。従って、
この様な優れた機能を有するプロテオリポソームを簡便
な工程で多量に形成することができれば、工業の分野に
おいては、生体の持つ巧みな機能を生かした機能性材料
として利用されたり、また医療の分野においては、人工
臓器、免疫製剤、診断試薬等への応用を期待することが
できる。なかでも、直径が5μm以上の大きさを持つ巨
大プロテオリポソームは、細胞と同等の大きさを持つた
めに、細胞の種々の機能を膜擬しやすく、人工細胞とし
ての応用がある。
また、その大きな内容積のために、物質の保持効率が
高く、また物質の取り込み効率が高い等の利点があり、
高性能のマイクロカプセル,化学センサ等の開発に利用
することができる。さらに、直径が5μmを越えること
から、光学顕微鏡で十分に観察が可能なだけでなく、マ
イクロマニピュレータ,マイクロインジェクタ等を用い
たメカニカルな操作が可能な点で、従来の直径が小さい
リポソームに比べて、質的に異なる用途が期待されてい
る。
しかしながら、従来、巨大プロテオリポソームの形成
法としては、電場融合法,静置水和法,逆相蒸発法等が
知られているが、これらの方法にはいずれも形成条件に
種々の制約があり、とりわけ生理的条件下で形成するこ
とが困難である。
これ等の方法に対し、本発明者らは先に特願昭63−21
1910号において、簡便かつ穏和な工程で、生理的な条件
下で巨大プロテオリポソームを多数形成することができ
る方法を開示した。すなわち、この方法は膜蛋白質と膜
脂質とを含むアルカリ金属塩溶液を、凍結・融解を行な
った後、該アルカリ金属塩溶液よりも浸透圧の低い塩溶
液または緩衝液に対して透析するものであり、以上の操
作により、直径が5〜100μmの巨大プロテオリポソー
ムを多数形成することができる。
[発明が解決しようとする課題] 一方、膜蛋白質は生体膜中において、方向性を一定に
保って埋め込まれており、この異方的な膜構成によっ
て、刺激の受容・伝達、物質輸送などのベクトル的な物
質・情報の移動が実現される。従って、プロテオリポソ
ームを医療や工業的に応用する場合にも、人工的な手法
で再構成した膜中で、膜蛋白質が一定の方向性を保って
組み込まれていることが機能を効率的に発現するうえで
有利である。
しかしながら、従来の巨大プロテオリポソームの形成
法においては、いずれもその形成過程に膜蛋白質の方向
性を制御する手段が設けられていないために、形成され
た巨大プロテオリポソーム膜中の膜蛋白質の方向性はラ
ンダムであることが普通である。したがって、巨大プロ
テオリポソームにおいても、膜蛋白質の方向性を制御し
て、膜蛋白質を膜に組み込むことができる形成法が望ま
れていた。
本発明は、この様な従来技術を改善するためになされ
たものであり、方向性を制御して膜蛋白質が組み込まれ
た巨大プロテオリポソームの形成方法を提供することを
目的とするものである。
[課題を解決するための手段および作用] 本発明者らは、巨大プロテオリポソーム膜中の膜蛋白
質の方向性を制御する手段として、本発明者らが先に特
願昭63−215924号において開示した膜蛋白質の担体への
結合が基本的にはなおも有効であることを発見し、本発
明に至った。
即ち、本発明は、直径が5〜300μmの巨大プロテオ
リポソームの形成方法において、 (i)該プロテオリポソームの体積と同じ、もしくはそ
れ以上の体積を有する担体に膜蛋白質を結合する工程; (ii)該担体に結合した膜蛋白質と膜脂質とを有する塩
溶液を調製する工程;及び (iii)該塩溶液を凍結・融解してプロテオリポソーム
を含む塩溶液を調製し、次いで該塩溶液よりも浸透圧の
低い塩類溶液に対して透析する工程、とを有することを
特徴とする巨大プロテオリポソームの形成方法である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明による巨大プロテオリポソーム形成方法は、前
述の特願昭63−211910号において開示された巨大プロテ
オリポソームの形成法において、膜蛋白質の特定部位を
担体で結合し、膜蛋白質の担体で結合された側での巨大
プロテオリポソームの形成を阻止することにより、一方
向側からの膜蛋白質の組み込みを実現し、もって方向性
を制御するものである。
本発明の巨大プロテオリポソーム形成方法は、まず膜
蛋白質の特定部位を担体に結合して固定する。
本発明における膜蛋白質には、生体膜中に存在する膜
蛋白質、そのなかでもとりわけ、膜を貫通して存在する
内在性膜蛋白質が用いられ、また天然及び合成ペプチド
等で膜中に存在することのできる物質も適用することが
できる。その具体例を示すと、物質代謝を触媒する酸素
(チトクローム酸化酵素,チトクロームP−450,膜結合
性ホスホリパーゼ,ATP合成酵素等)、膜を介して物質輸
送を行なうチャネル(カリウムチャネル,ナトリウムチ
ャネル,カルシウムチャネル等)、ポンプ(ナトリウム
−カリウムポンプ,プロトンポンプ等)、生体内情報の
受容・伝達に係わる神経伝達物質受容体(アセチルコリ
ン受容体,グルタメート受容体等)、ホルモン受容体
(甲状線刺激ホルモン(THS)受容体,グルカゴン(G
C)受容体等)などである。
これらの膜蛋白質は一般には水に不溶性であり、また
膜脂質を付属させていることもあるが、結合される担体
による方向性の限定が可能な範囲でそのまま、もしくは
界面活性剤に溶解して用いることができる。
本発明において形成される巨大プロテオリポソームは
直径が5〜300μmと大きく、また形成される巨大プロ
テオリポソームの直径がある範囲で分布するときには、
すべてのプロテオリポソームについて方向性を限定する
ためには、担体の体積が形成されるプロテオリポソーム
の体積と同等か、またはそれ以上であるものが用いられ
る。また、担体の形状は特に限定する必要はないが、例
えば球状で、その大きさが形成されるプロテオリポソー
ムの直径と同等か、またはそれ以上であるもの、または
平面状もしくは曲面状で、かつその曲率半径が形成され
るプロテオリポソームのリポソームの半径と同等か、ま
たはそれ以上であるものが挙げられる。
例えば、球状担体は、少なくとも直径100μm以上
で、蛋白質の結合効率,プロテオリポソーム形成のため
の空隙等を考慮すれば、直径が300μm以上あることが
望ましいが、細胞アフィニティクロマトグラフィー用の
担体に直径が300μmを超える製品があり、利用するこ
とができる。
上記の様に、担体の形状は必ずしも球状である必要は
なく、その他の任意の形状のものを用いることができ
が、平面状もしくは曲面状の形状を有する担体の具体例
としては、板状もしくは板を積層した構造を持つもの
で、その表面に蛋白質が結合可能な活性基を持つもの、
もしくは活性基を付与可能なものが便利であり、例え
ば、セルロースタイプのメンブレンフィルターや透析膜
中のニトロセルロース膜を1mm角の細片にしたもの等
は、表面の水酸基を臭化シアン等で適宜活性化すること
が可能であり、膜蛋白質の特定部位を結合するのに好ま
しく使用することができる。また、孔径の粗い(100μ
m以上)の多孔質ガラス片も膜蛋白質の結合効率の良い
担体である。
次に、膜蛋白質の特定部位を担体で結合,解離する方
法は、プロテオリポソームを破壊したり、蛋白質を変性
させることのない穏和な条件で担体と蛋白質との結合・
解離を行なうことが好ましい。
この点については、例えば蛋白質のクロマトグラフィ
の手法を応用することができる。蛋白質のクロマトグラ
フィは、蛋白質を精製することを目的として、適宜化学
的に結合された担体と蛋白質の間の静電的引力(イオン
交換クロマトグラフィ)、疎水的相互作用(疎水的クロ
マトグラフィ)、水素結合(水素結合クロマトグラフ
ィ)、特異的親和性(アフィニティクロマトグラフィ)
などを利用して、結合・解離させるものである。
従って、本発明において用いられる担体には、例えば
上記のような相互作用を引き起こし、膜蛋白質の特定部
位を結合できる材質のものであれば用いることができ
る。この様な担体としては、上述したものが適用され
る。
本発明における膜脂質としては、膜蛋白質が組み込ま
れる性質を有し、二分子膜ラメラ構造をとりうるもので
あれば制限なく用いることができ、例えば、種々のリン
脂質,糖脂質,中性脂質等が挙げられる。その他の例と
して、天然に存在しない合成二分子膜形成脂質も用いる
ことができる。さらに、二分子膜構造を破壊しない範囲
で、様々な付加物を加えることができる。
次に、膜脂質の具体例を示すと、ホスファチジルコリ
ン(レシチン)やホスファチジルエタノールアミン、ジ
ホスファチジルグリセロールなどのグリセロリン脂質;
スフィンゴミエリンやセラミドシリアチン等のスフィン
ゴリン脂質;セレブロシド、スルファチド、セラミドオ
リゴヘキソシド等のスフィンゴ糖脂質;および親水基と
して炭水化物を含むグリコシルジアシルグリセロール等
のグリセロ糖脂質などが挙げられる。また、添加物とし
ては、コレステロールなどの膜構造強化因子、ステアリ
ルアミン,ジセチルフォスフェイトなどの荷電付与物な
どが挙げられる。
次に、本発明の形成方法は、上記の様にして特定部位
を担体に結合した膜蛋白質と膜脂質とを含む塩溶液を調
製する。
本発明における塩溶液とは、重にアルカリ金属イオン
を高濃度に含み、さらに他の金属イオン,無機・有機化
合物等々を含むことができる。ただし、ショ糖などの凍
結防止作用を持つものは好ましくない。アルカリ金属と
して好ましく用いられるのは、カリウム,ルビジウムで
あり、さらにナトリウムが用いられる。リチウムは不適
である。また、塩の濃度は塩の種類により異なるが、例
えば、塩化カリウムを用いた場合、2M以上の高濃度が望
ましい。また溶液のpHは、膜蛋白質、膜脂質が失活しな
い範囲で自由に選ぶことができる。
塩溶液中において、膜蛋白質の濃度は脂質の重量に対
して、膜蛋白質:脂質=1:1〜1:200、好ましくは1:10〜
1:120が望ましい。また、脂質の濃度は、通常1〜30mg/
ml,好ましくは10〜20mg/mlが望ましい。
次の工程で、上記の塩溶液の凍結・融解を行なった
後、該塩溶液よりも浸透圧の低い塩類溶液に対して透析
を行なうことにより巨大プロテオリポソームを形成する
ことができる。
この工程において、膜蛋白質と膜脂質とを含む塩溶液
を凍結すると、凍結によって濃縮された溶液中で膜蛋白
質と膜脂質がミセル状の複合体を形成して溶解し、その
のちに凍結した塩溶液を室温で融解すると、蛋白質−脂
質複合体はミセル−ラメラ転移を起して二分子膜とな
り、さらに塩溶液を該溶液よりも浸透圧の低い濃度の塩
類溶液に対して透析を行なうことにより、通常直径5〜
50μm、条件によっては直径300μmの大きさのプロテ
オリポソームが生成する。
凍結・融解の回数は3回以上が望ましく、6回で十分
である。さらに、凍結・融解のあとに、ボルテックス
(voltex)ミキサーによる撹拌を行うことが望ましい。
また、透析に用いる塩類溶液には、通常0.1〜100mM,
好ましくは1〜20mMのアルカリ金属,アルカリ土類金属
塩溶液を用いることができる。
上記の工程で形成された巨大プロテオリポソームは、
膜蛋白質が担体に修飾された状態であるが、さらに、本
発明は膜蛋白質を担体から解離して巨大プロテオリポソ
ームを形成することができる。解離する方法は、担体と
膜蛋白質との結合に拮抗的に作用する物質をカラムに添
加する方法、溶液の物理化学的条件を変える(pH,塩濃
度等)方法等がある。前者においては、例えば、膜蛋白
質の大半が末端に糖鎖を持つことを利用して、糖に結合
する性質を持つ蛋白質レクチンを担体に結合したものを
用いた場合、過剰の糖を加えれば、糖が桔抗的にレクチ
ンと結合し、膜蛋白質を遊離する。また、抗原抗体反応
を利用して、膜蛋白質の特定部位に特異的なモノクロナ
ル抗体を用いて、担体との結合を部位特異的に行なった
場合、過剰のハプテンを添加することによって、やはり
桔抗的に膜蛋白質を担体から解離させることができる。
ただし、抗原と抗体の結合は非常に強固であり、大過剰
のハプテンを用いても解離させることが難しいこと、か
つハプテンを大量に用意することが困難な場合が多いこ
となどの点で、レクチンを用いる方法が優れている。
また、溶液の物理化学的条件を変えて、解離させる方
法は、その条件によっては形成したプロテオリポソーム
が破壊されることが多く、適用はかなり限定される。
[実施例] 以下、実施例を示し本発明をさらに具体的に説明す
る。
実施例1 高度好塩菌ハロバクテリウム ハロビウム(Halobact
erium halobium)より、バクテリオロドプシンを含む膜
断片である紫膜を、ピー・エステルヘルト(P.Oesterhe
lt)およびダヴリュ・シュテックニウス(W.Stoeckeniu
s)の方法[メソッズ オブ エンザイモロジー(Metho
ds of Enzymology),31,667−678頁,(1974年)]に
より抽出した。さらに,紫膜をケイ エス ハング(K.
S.Huang)ら[プロシーディングズ オブ ナショナル
アカデミー オブ サイエンス(Proceeding of Nati
onal Academy of Scinece.USA,)88,323頁,(1980
年)]の方法を用いて脱脂質して、バクテリオロドプシ
ンを精製した。
バクテリオロドプシンのカルボキシル末端に特異的に
結合するモノクローナル抗体を、ケイ キムラ(K.Kimu
ra)らの方法[ジャーナル オブ バイオロジナル ケ
ミストリ(J.Biol.Chem.),257,2859〜2867頁,(1980
年)]により調製した。このモノクローナル抗体は、バ
クテリオロドプシンを臭化シアンで処理して得られるペ
プチド断片のうち、カルボキシル末端を含む39残基より
なる断片に特異的に結合する。
ミリポア社のセルロースタイプのメンブレンフィルタ
ー(孔径0.22μm)を約1mm角に細断し、臭化シアン処
理して表面の水酸基を活性化し、アミノ基を持った蛋白
質を結合できるようにした。これに、先に調製したCNBr
−6モノクローナル抗体を上記のメンブレンフィルター
100mgあたり1mg加えて反応させて、モノクローナル抗体
をフィルターに結合した。過剰の抗体を洗浄して除い
た。
次に、試験管に大豆リン脂質15mgのクロロホルム溶液
を入れ、ロータリーエバポレーターおよび、真空ポンプ
を用いて溶媒を留去し、試験管壁に脂質の薄膜を作っ
た、3M KCl溶液(pH8.0)1mlを加え、ボルテックスミキ
サーを用いて懸濁後、プローブ型超音波発振装置で処理
して、直径100nm以下のリポソーム分散液を得た。
このリポソーム分散液に、モノクローナル抗体を結合
したメンブレンフィルターの細片を加え、液体窒素また
はドライアイス−アセトンで凍結、室温で融解、voltex
ミキサーで30秒処理する操作を3回繰り返した。この
後、懸濁液を透析チューブに移し、10mM塩化カリウム水
溶液に対して2日間透析を行うと、直径が10μmを越え
る巨大プロテオリポソームが多量に生成した。
以上の操作で得られた巨大プロテオリポソームはバク
テリオロドプシンがカルボキシル末端を外側にして組み
込まれており、このことは、プロテオリポソーム懸濁液
を光照射した時に外液pHがアルカリ化することや、プロ
テオリポソームを酵素処理した時にカルボキシル末端を
含むペプチドが分解産物として生ずることにより確認さ
れた。
実施例2 実施例1と同様の方法により、巨大プロテオリポソー
ムを得た後、1規定アンモニア水を用いて、pHを11にす
ることにより、リポソームに組み込まれたバクテリオロ
ドプシンとCNBr−6モノクローナル抗体とを解離させ、
直径が5μmを越える巨大プロテオリポソームを得た。
得られた巨大プロテオリポソームはバクテリオロドプ
シンがカルボキシル末端を外側にして組み込まれてお
り、このことは、プロテオリポソーム懸濁液を光照射し
た時に外液pHがアルカリ化することや、プロテオリポソ
ームを酵素処理した時にカルボキシル末端を含むペプチ
ドが分解産物として生ずることにより確認された。
実施例3 ウシ・ロドプシンを以下の操作により単離,精製し
た。操作はすべて暗赤色下(Eastman Kodak社 赤フィ
ルター No.1)で行なった。
ウシ網膜より、ロドプシンを含む膜構造体であるディ
スクを、フィコール・フローテーション法(Smithその
他,エクスペリメンタル アイ リサーチ(Exp.Eye Re
s),20,211〜217,(1975))により、分離,精製し
た。精製したディスクを、50mMオクチルグルコシド,0.1
M NaCl,1mM MnCl2,1mM CaCl2,10mM Mops−NaOH(pH7.
0)の溶液で可溶化したのち、Wheat germ Lectin−Seph
arose 6 MB(ファルマシア社,平均粒径約300μm)を
用いたバッチ処理による(湿容積2ml)アフィニティー
クロマトグラフィーによりロドプシンを精製した。すな
わち、可溶化したディスク溶液(蛋白質として5mg)を
ゲルに添加し、ロドプシンをレクチンと結合させた後、
ゲルを緩衝液(0.1mM NaCl,1mM MnCl2,1mM CaCl2,10mM
Mops−NaOH(pH7.0))にて十分洗浄して不純物を除去
した。ロドプシンは担体のゲル粒子にレクチンを介して
結合したまま、プロテオリポソームの形成に用いた。
次に、試験管に大豆リン脂質15mgのクロロホルム溶液
を入れ、ロータリーエバポレーターおよび、真空ポンプ
を用いて溶媒を留去し、試験管壁に脂質の薄膜を作っ
た。これに3M NaCl,1mM MnCl2,1mM CaCl2,0.1M Mops−N
aOH(pH7.0)1mlを加え、ボルテックスミキサーを用い
て懸濁後、プローブ型超音波発振装置で処理して、直径
100nm以下のリポソーム分散液を得た。
次いで、リポソーム分散液に、ロドプシンを結合した
ゲルを加えて、30分間穏やかに撹拌した後、分散液を液
体窒素またはドライアイス−アセトンで凍結、室温で融
解、voltexミキサーで30秒処理する操作を3回繰り返し
た。この後、懸濁液を透析チューブに移し、10mM NaCl,
10mM Mops−NaOH(pH7.0)に対して2日間透析を行う
と、直径が10μmを越える巨大プロテオリポソームが多
量に生成した。
次に、ロドプシンを担体から解離させ、巨大プロテオ
リポソームと担体を分離するために、20mM N−アセチ
ル−α−D−グルコサミン,10mM NaCl,10mM Mops−NaOH
(pH7.0)を分散液1mlに対して、2ml加えて1時間イン
キュベートした後、上清を回収して。巨大プロテオリポ
ソーム分散液を回収した。さらに、10mM NaCl,10mM Mop
s−NaOH(pH7.0)に対して透析して、N−アセチル−α
−D−グルコサミンを除いた。収率は蛋白質として約30
%であった。
生成した巨大プロテオリポソーム膜中に、ロドプシン
が組み込まれていることを確認するために、巨大プロテ
オリポソーム分散液を、液体ヘリウム急速凍結装置(エ
イコー・エンジニアリング社:RF−23型)で急速凍結
後、凍結割断レプリカ作成装置(エイコー・エンジニア
リング社:FD−5A型)で、膜面のレプリカを作成し、透
過型電子顕微鏡(日本電子(JEOL)社:JEM 100U型)で
観察した。膜面に直径約4nmの粒子が観察され、ロドプ
シンが組み込まれていることを確認した。
また、巨大プロテオリポソーム分散液にβ−N−アセ
チルグルコサミニデース(シグマ社)を作用させて外液
を分析すると、遊離の糖が検出され、糖残基がプロテオ
リポソーム外を向いて、組み込まれていることが確認さ
れた。
[発明の効果] 以上説明した様に、本発明によれば、巨大プロテオリ
ポソームの形成方法において、巨大プロテオリポソーム
に組み込まれる膜蛋白質の方向性を制御することができ
る効果が得られる。
また、本発明により、膜蛋白質の方向性が制御される
ために、膜蛋白質の機能の発現が、細胞と同等の大きさ
を持つ巨大プロテオリポソームにおいて正しく効率的に
行なわれるようになり、従来、適切な製法がなかったた
めに、実用化が進んでいなかった巨大プロテオリポソー
ムの応用への新たな分野への道が開かれ、本発明の工業
的、技術的価値は極めて高いものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 桜永 昌徳 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (56)参考文献 特開 平3−137932(JP,A) 特開 平2−59041(JP,A) 特開 昭63−111428(JP,A) Biochemistry,vol. 19,pp.2374−2385(1980) J.Biochem.,vol.101, No.2,pp.433−440(1987) J.Biol.Chem.,vol. 252,pp.7384−7390(1977) Biochem.Biophys.A CTA,812(3),pp.752−766

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】直径が5〜300μmの巨大プロテオリポソ
    ームの形成方法において、 (i)該プロテオリポソームの体積と同じ、もしくはそ
    れ以上の体積を有する担体に膜蛋白質を結合する工程; (ii)該担体に結合した膜蛋白質と膜脂質とを有する塩
    溶液を調製する工程;及び (iii)該塩溶液を凍結・融解してプロテオリポソーム
    を含む塩溶液を調製し、次いで該塩溶液よりも浸透圧の
    低い塩類溶液に対して透析する工程、とを有することを
    特徴とする巨大プロテオリポソームの形成方法。
  2. 【請求項2】該工程(iii)に引き続いて該膜蛋白質を
    該担体から解離する工程を有する請求項1記載の巨大プ
    ロテオリポソームの形成方法。
  3. 【請求項3】該担体の形状が球状であり、その大きさが
    該プロテオリポソームの直径と同等か、またはそれ以上
    である請求項1または2記載の巨大プロテオリポソーム
    の形成方法。
  4. 【請求項4】該担体の形状が、平面状もしくは曲面状で
    あり、かつその曲率半径が該プロテオリポソームの半径
    と同等かまたはそれ以上である請求項1または2記載の
    巨大プロテオリポソームの形成方法。
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