JP2726700B2

JP2726700B2 - 金属板の表面処理装置

Info

Publication number: JP2726700B2
Application number: JP1128925A
Authority: JP
Inventors: 順吉米田; 和夫森本; 楯夫谷本; 俊夫田口; 康博山本; 宏久瀬戸
Original assignee: Mitsubishi Heavy Industries Ltd; Sumitomo Metal Industries Ltd
Current assignee: Mitsubishi Heavy Industries Ltd; Nippon Steel Corp
Priority date: 1989-05-24
Filing date: 1989-05-24
Publication date: 1998-03-11
Anticipated expiration: 2013-03-11
Also published as: JPH02310380A

Description

【発明の詳細な説明】〔産業上の利用分野〕本発明は鋼板等、金属板の表面処理、例えばめっき、
洗浄脱脂、酸洗、水洗などをバッチ的に行なう処理装置
に関する。

〔従来の技術〕

金属板をバッチ的に表面処理する場合には、一般に金
属平板を処理槽に挿入する。そして、例えば鋼板の電気
めっきにおいて鋼板とめっき液との間に相対速度を与え
る必要がある場合には、ポンプまたはインペラーによっ
て液体を圧送するか、底部にスリットを設け重力による
液落下で流速を発生させる方法が考えられる。また、電
解めっき、電解脱脂などのように電極を必要とする場合
には、金属板を固定し金属板全面を電極と対向させる方
法と、電極は金属板の一部のみと対向させ、金属板を移
動させながら順次処理を行なう方法が考えられる。その
ような従来の表面処理装置の具体例を、第９図ないし第
15図により説明する。

まず第９図に示すような金属板（01）の長さ方向にノ
ズル（05）によって液流を付与する方式では、金属板
（01）の幅全域にわたり多量の処理液を流すために、液
体を圧送するポンプとして大容量のものが必要である。
これに対する対策として、第10図のように、処理液を板
幅方向に圧送し、流路幅を狭くして、金属板（01）を長
さ方向に移動させながら処理する方式が考えられるが、
ポンプの大きさを小さくできるかという点ではこれでも
十分ではなく、また電極（04）が付設された流路（06）
内の処理液が電極のない槽内の他部分へ迂回し必要な安
定流れが得られない。また、この第９図、第10図に示さ
れる方式は、いずれも電極（04）が処理槽（02）の壁の
一部に付設されており、これにより必要な電気容量は比
較的小さくてすむという利点があるが、金属板（01）の
長さ方向を全長にわたって処理するためには、図示のよ
うに金属板の方を動かさなければならず、少なくとも板
長さの２倍の高さの装置が必要になる。

次に第11図に示すようなインペラー（08）により金属
板（01）の板幅方向に液を流す方式では、インペラー
（08）を回すために厖大な容量のモータが必要であり、
また安定した液流が得難いという問題がある。

さらに第12図および第13図に示す方式は、処理槽（0
2）の底部にスリット（07）を設け、重力による液体の
流出速度により必要な液流を得るものであるが、流出し
た液体に見合うだけの量の液体を新たに補給しなければ
ならず、そのためのポンプがまた厖大になる。第12図は
処理槽（02）の壁の一部に電極（04）を設けたもの、第
13図は全面に設けたものであり、その得失は既述のとお
りである。

上記のように処理液を駆動する方式の問題点を解決す
るために、第14図に縦断正面図、第15図に平面図を示す
ような装置が提案されている。これは、被処理物（01
1）を処理液中において自転しつつ公転させることによ
り、被処理物（011）に対する処理液の流動が著しく速
くなるようにしたものである。処理槽（012）の上方中
央に設けた鉛直な主軸（015）を中心に旋回する腕（01
6）の先端に鉛直な回転軸（017）を設けて、その下端に
吊り下げた被処理物（011）を処理液中に浸漬しつつ、
回転軸（017）とともに回転するように構成し、上記主
軸（015）と回転軸（017）とを歯車（018），（019）に
よって噛合わせている。なお、図中（014）は電極を示
す。

〔発明が解決しようとする課題〕

前記従来の表面処理装置においては、処理槽の大きさ
は少なくとも処理される金属板の大きさよりも大きい必
要がある。したがって金属板の寸法が大きいとそれに従
って処理槽の寸法も大きくしなければならず、広いスペ
ースを要することになる。

また従来の表面処理装置のポンプ容量を試算すると、
例えば金属板寸法が1m角、金属板と処理液との間に必要
な相対速度が1m/sの場合、第10図のような幅方向圧送の
ためには500l/min、また第12図および第13図のような液
落下方式では3000l/min程度の大容量ポンプが必要とな
る。すなわち第９図から第13図までに示した従来の表面
処理装置においては、金属板と処理液との間に相対速度
を発生させるために、液体のほうが駆動されており、上
記のような問題があった。

また、第14図および第15図に示された装置では、被処
理物は小さな円筒形状の物に限られ、しかも被処理物の
円筒内面は電極を必要とする表面処理ができない。特に
大型の厚肉単板をバッチ処理しようとすれば、巨大な装
置が必要になるという問題が生ずる。

〔課題を解決するための手段〕

処理液を充填した円筒形状の処理槽と、同処理槽の上
部中央に設けられた鉛直な回転軸と、同回転軸の下端に
設けられた円形の固定リングと、同円形固定リングに設
けられ、被処理金属板を着脱自在に取り付ける着脱手段
とを備え、帯状の被処理金属板を円筒形状に形成するこ
とにより、その上端部を前記着脱手段を介して前記円形
固定リングの周囲に沿って着脱自在に取り付け、この被
処理金属板を前記処理液中に浸漬しつつ前記回転軸によ
り回転させるように構成したことを特徴とする金属板の
表面処理装置を提案するものである。

〔作用〕

本発明においては、帯状の被処理金属板を円筒状に
し、円形固定リングの周囲に着脱可能に取付けて、円筒
形状処理槽内の処理液に浸漬して被処理金属板を回転軸
で回転させることにより、円筒状に形成した被処理金属
板の内面および外面に処理液との相対速度を発生させ、
表面処理を行なう。表面処理後は被処理金属板を円形固
定リングから取り外し、必要に応じて平板状に戻す。

〔実施例〕

第１図は本発明の一実施例を示す概略縦断面図であ
る。本実施例では、円筒状の処理槽（２）内に処理液
（３）を充填する。そして、円筒形状にあらかじめ形成
されて固定リング（６）に着脱自在に取付けられた金属
板（１）（鋼板）を、この処理液（３）に浸漬させる。
固定リング（６）は駆動軸（５）の下端に設けられてい
て、図示しない回転駆動装置で回転させられ、金属板
（１）の表面処理を行なう。

本実施例において、円筒形状に形成された鋼板（１）
は、第４図に示すように、固定リング（６）に固定され
る。また、特に円筒状鋼板の剛性を上げたいときには、
第５図に示すように下部リング（７）を設け、上部の固
定リング（６）と連結される柱（８）を介して、鋼板
（１）と上部の固定リング（６）および下部リング
（７）とを、例えばボルト止めすることもできる。

金属板（１）を固定リング（６）に着脱可能に取付け
る具体的手段としては、例えば第６図（ａ），（ｂ），
（ｃ）に示されるように、固定リング（６）の外周に下
向きに開いた溝を設け、この溝に金属板（１）を挿入し
てボルト（9a）で止める。金属板（１）の合せ部は、金
属板（１）の両端を全幅にわたって挟持部材（10a）で
挟持し、ボルト（9b）で締付けて固定する。

他の具体的取付手段としては、第７図（ａ），
（ｂ），（ｃ）に示されるように、上記した挟持部材
（10a）の代りに、必要な個所のみ挟持する挟持部材（1
0b）により挟持固定する。

さらにまた、第８図（ａ），（ｂ），（ｃ），（ｄ）
に示されるように、固定リング（６）の外周に段差部を
設け、この段差部に金属板（１）を巻付けてその上に締
付バンド（11）を当てがい、その締付バンド（11）の両
端部をボルト（9c）で締付けることにより、金属板
（１）を固定リング（６）に固定することもできる。そ
のとき円筒状に形成された金属板（１）の下端は、挟持
部材（10c）により固定する。第８図（ｃ）および
（ｄ）は、その挟持部材（10c）の断面図であって、第
８図（ｃ）はテーパ状の挟持部に金属板（１）の下端を
押込んで固定する方式、第８図（ｄ）はボルト（9d）で
固定する方式である。

上記のようにして鋼板（１）を固定リング（６）に着
脱可能に取付け、駆動軸（５）の回りに回転させて、鋼
板と処理液との間に相対速度を生じさせることにより、
表面処理を十分効果的に行なうことができる。

本実施例で用いられる処理槽（２）は、同一寸法の板
を処理する長方形断面の処理槽に比べ、格段にコンパク
トになる。例えば1000mmの直径の円筒状に金属板を形成
すると、１回の処理で長さ3142mmの成品が得られるが、
外径1100mm前後の円筒形処理槽で処理することができ、
これは幅3200mm近い長方形処理槽に匹敵する。

また本実施例においては、金属板と処理液との相対速
度を発生させるために板を回転駆動するが、この駆動モ
ータ（図示してない）は、処理液の粘性抵抗に打勝つだ
けでよいので、小容量のものですむ。例えば直径1000mm
の円筒状の金属板を1m/sの速度で回転させるためには、
高々0.5kW程度のモータでよい。

次に第２図は本発明の他の実施例を示す概略縦断面図
であって、電極が必要な表面処理の場合に使用されるも
のである。本実施例では、処理槽（２）の槽壁の一部に
電極（４）が取付けられている。

また第３図は本発明の更に他の実施例を示す概略縦断
面図であって、特に両面を電極により処理することが必
要な場合に適用される。この実施例では、処理槽（２）
を中空円筒状として、内外の槽壁にわたって電極（４）
が付設されている。

次に本発明の効果を確認するために行なった実験につ
いて述べる。

実験例１使用材料：一般冷延鋼板（SPCD）鋼板サイズ:0.8mm（厚さ）×1100mm（幅）×3200mm
（長）上記の鋼板を直径約1000mmになるように円筒状に形成
した後、合せ目をスポット溶接し、これを供試材とし
た。

処理槽：直径1100mm×深さ1400mm 処理液：FeSO₄,ZnSO₄,NiSO₄,Na₂SO₄,Al₂(SO₄)₃の混合水
溶液処理温度:50℃ 電流密度:40A/dm²×10分回転速度:30rpm 電極材質およびサイズ:Fe 幅70mm×深さ1200mm めっき方式：両面めっき上記の供試材を脱脂・酸洗した後、上記の処理条件に
より、供試材を、陽極をにして、Ni-Zn合金電気め
っきを行なった。

その結果、表面外観は従来法に比べ美麗で、電流効率
も90％以上と良好な結果が得られた。

実験例２使用材料：一般冷延鋼板（SPCD）鋼板サイズ:0.8mm（厚さ）×1100mm（幅）×3200mm
（長）上記の鋼板を直径約1000mmになるように円筒状に形成
した後、合せ目をスポット溶接し、これを供試材とし
た。

処理槽：直径1100mm×深さ1400mm 処理液：AlCl₃-KCl-NaCl混合溶融塩処理温度:200℃ 電流密度:20A/dm²×10分回転速度:30rpm 電極材質およびサイズ:Al 幅70mm×深さ1200mm めっき方式：両面めっき上記の供試材を脱脂酸洗した後、上記の処理条件でめ
っきを行なった。その際、最初に電極を、供試材を
にし、２分間15c/dm²で供試材の前処理（陽極溶解処
理）を行なった後、電極を、供試材をにし、上記の
条件でAl電解めっきを行なった。

その結果、表面外観は従来法に比べ美麗で、電流効率
も95％と良好な結果が得られた。

実験例３使用材料：一般冷延鋼板（SPCD）鋼板サイズ:0.8mm（厚さ）×1100mm（幅）×3200mm
（長）上記の鋼板を直径約1000mmになるように円筒状に形成
した後、合せ目をスポット溶接し、これを供試材とし
た。

処理槽：直径1100mm×深さ1400mm 処理液:10％NaOH 処理温度:60℃ 電流密度:5A/dm² 処理時間:7分回転速度:30rpm 電極材質およびサイズ:Fe 幅70mm×深さ1200mm 処理方式：両面上記の供試材を上記の処理条件で供試材を側、電極
を側にし、電解脱脂処理を行なった。

その結果は、前記実験例と同様、良好であった。

〔発明の効果〕

本発明においては、円筒状に予備成形した被処理物
を、着脱可能に固定リングに取付けて処理液中に浸漬
し、固定リングを回転駆動することにより、被処理金属
板の内面、外面に処理液との相対速度を生じさせ、少な
い動力で被処理金属板を表面処理することができる。ま
た本発明によれば、円筒状の被処理金属板の内面、外面
あるいは両面に相対する位置に電極を設置することがで
きるので、被処理金属板の能率的な表面処理を行うこと
ができる。そして、装置の寸法を従来のバッチ式の円形
及び長方形断面処理槽に比べ、格段にコンパクトにでき
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例を示す概略縦断面図、第２図
は本発明の他の実施例を示す概略縦断面図、第３図は本
発明の更に別の実施例を示す概略縦断面図である。第４
図は金属板の取付状況の一例を示す斜視図、第５図は同
じく他の例を示す斜視図である。第６図（ａ），
（ｂ），（Ｃ）は金属板を固定リングに取付ける具体的
手段の一例を示す図、第７図（ａ），（ｂ），（ｃ）は
同じく他の例を示す図、第８図（ａ），（ｂ），
（ｃ），（ｄ）同じく更に他の例を示す図である。第９
図ないし第15図はいずれも従来の表面処理装置を例示す
る図である。（01）……金属板、（02）……処理槽（04）……電極、（05）……ノズル（06）……流路、（07）……スリット（08）……インペラー、（011）……被処理物（012）……処理槽、（014）……電極（015）……主軸、（016）……腕（017）……回転軸、（018），（019）……歯車（１）……金属板、（２）……処理槽（３）……処理液、（４）……電極（５）……駆動軸、（６）……固定リング（７）……下部リング、（８）……柱（9a），（9b），（9c），（9d）……ボルト（10a），（10b），（10c）……挟持部材（11）……締付バンド

フロントページの続き (72)発明者谷本楯夫広島県広島市西区観音新町４丁目６番22 号三菱重工業株式会社広島研究所内 (72)発明者田口俊夫広島県広島市西区観音新町４丁目６番22 号三菱重工業株式会社広島研究所内 (72)発明者山本康博兵庫県尼崎市西長洲本通り１丁目３番地住友金属工業株式会社鉄鋼技術研究所内 (72)発明者瀬戸宏久兵庫県尼崎市西長洲本通り１丁目３番地住友金属工業株式会社鉄鋼技術研究所内 (56)参考文献特開昭59−205500（ＪＰ，Ａ) 実公昭58−4924（ＪＰ，Ｙ２)

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】処理液を充填した円筒形状の処理槽と、同
処理槽の上部中央に設けられた鉛直な回転軸と、同回転
軸の下端に設けられた円形の固定リングと、同円形固定
リングに設けられ、被処理金属板を着脱自在に取り付け
る着脱手段とを備え、帯状の被処理金属板を円筒形状に
形成することにより、その上端部を前記着脱手段を介し
て前記円形固定リングの周囲に沿って着脱自在に取り付
け、この被処理金属板を前記処理液中に浸漬しつつ前記
回転軸により回転させるように構成したことを特徴とす
る金属板の表面処理装置。