JP2726462B2 - 細径ヒートパイプ - Google Patents

細径ヒートパイプ

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JP2726462B2 JP63310807A JP31080788A JP2726462B2 JP 2726462 B2 JP2726462 B2 JP 2726462B2 JP 63310807 A JP63310807 A JP 63310807A JP 31080788 A JP31080788 A JP 31080788A JP 2726462 B2 JP2726462 B2 JP 2726462B2
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【発明の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本発明は一般的には細径ヒートパイプに関するもので
あり、更に特別には、ウイック材の取付け構造に新規な
特徴を備えた細径ヒートパイプに関するものである。
近時、ICやLSIその他の電子素子、及びこれらを取付
ける基板の小型化に伴ない、基板における単位面積当り
の発熱量は大きくなっている。
本発明は、これらの基板の熱を除去するのに適するヒ
ートパイプに関するものである。
「従来の技術」 一般にヒートパイプにおけるウイック材の取付けは、
たとえば金網積層体等により円筒状にしたウイック材を
コンテナに挿入し、このウイック材の一端をコンテナの
一部に固定した後、前記固定端側から鋼球を押し込ん
で、第7図のようにコンテナ1の内壁へウイック材2を
均一な厚みに固定する。この鋼球の押込みは、ウイック
材が破損したりしわになったりしないように注意しなが
ら、順次鋼球の直径を大きくして数回行なう。
「発明が解決しようとする課題」 例えば、基板冷却のための細径ヒートパイプは、基板
の小型化に伴ない、丸パイプでは直径3mm以下、また、
角パイプその他偏平パイプの場合は短径(短かい方の
径)3mm以下のものを要求される場合が多いが、このよ
うな細径のヒートパイプにおいては、前述の手段によっ
てウイック材を取付けるのは非常に困難である。
前述したようなウイックの取付け手段は、コンテナが
偏平パイプであるとき、角筒状パイプであるとき、ある
いは異形パイプであるときは適用できない。
また、基板冷却のためのヒートパイプは、前述のよう
に細径であることが要請されている一方、最大熱輸送量
2W以上の熱輸送能力が要求されるが、従来のように内壁
へ均一な厚みにウイック材を取付けた場合は、コンテナ
が細径であるために、第7図において蒸気の通路である
空間部3を広く確保すると、ウイック材2が非常に薄く
分散して毛細管力(作動液の移動力)が不足し、他方、
ウイック材2の厚みを増して毛細管力を増大させると、
蒸気の流路である空間部3がほとんどなくなってしま
い、いずれの場合も熱輸送能力が極めて低くなる。
本発明の目的は、前述のような問題を改善し、細径な
コンテナの断面形状を問わずウイック材の取付けが容易
であって、熱輸送能力をも向上させ得る構造の細径ヒー
トパイプを提供することにある。
「課題を解決するための手段」 本発明に係る細径ヒートパイプは、前述の目的を達成
するため、コンテナの内部が、相互に連通しかつ長手方
向に沿う複数のホールに区分され、これらのホールは、
ワイヤ,偏素又は粒子その他のウイック材を充填したホ
ールに隣接して、内壁に溝その他のウイックを有しない
空のホールが位置するように構成したものである。
隣接のホール相互は、長手方向に連続し又は断続する
スリット状の連通部を有する隔壁によって区分すること
ができるほか、コンテナの周壁の一部を長手方向に沿い
内側に没入させた連続し又は断続する凹没条によって区
分してもよい。
コンテナは偏平パイプや角パイプが好ましいが、丸パ
イプや異形パイプも使用することができるし、コンテナ
の材質は、銅のほかアルミニウム又はアルミニウム合
金、銀、鉄、ステンレス等が好適に使用できる。
ウイック材にはワイヤ、偏素、粒子等に好適に使用で
きるが、焼結金属多孔材その他毛細管作用をもつもので
あればその具体的材構造を問わないし、その材質も、銅
のほか銀、鉄、ステンレス、ガラス繊維等が好適に使用
できる。
「作用」 本発明に係る細径ヒートパイプは、ウイック材を充填
したホール内を作動液が一方に流れ、これに隣接する空
のホールを蒸気が他方に流れる。
コンテナ内がウイック材を充填した長手方向に沿うホ
ールと、これに連通して隣接する空のホールとに区分さ
れているので、ウイック材をホールに押込むことによ
り、あるいは、コンテナ内に長手方向に沿い一方に偏ら
せてウイック材を詰め、コンテナのウイック材を詰めた
部分と空間になった部分の堺の部分の周壁を、長手方向
に沿って内側へ加圧没入させることにより、容易にウイ
ック材をコンテナ内に取付けることができ、取付け後の
ウイック材も安定し易い。
また、ウイック材はホール内に充填されていて集中し
てコンテナ内に存在するから、空ホールの広さを蒸気の
流通に必要十分なだけ確保した場合でも、ウイックの毛
細管作用がより効率よく発揮され、熱輸送量が飛躍的に
増大する。
「実施例」 第1図はその一実施例であり、短径hが1.5mm、長径
wが3mm、肉厚tが0.2mm、長さが150mmの銅よりなる角
形偏平のコンテナ1は、上下の内壁のほぼ中央より相対
して内側に突入する隔壁11により、長手方向に沿う複数
のホール20と21に区分され、隣接する両ホール20,21
は、隔壁11におけるスリット状の連通部12によって連通
し、一方のホール20には、線径0.02mmの銅よりなるワイ
ヤを集合させたウイック材2を挿入し、他方のホール21
を空のホールにしている。
その後、コンテナ1内を脱気して作動液を入れ、両端
を封じて細径ヒートパイプとする。
コンテナ1は、例えば内側に隔壁11を突出させた円筒
状のパイプを成形し、これをさらに図示のように角形偏
平に加圧成形するか、又は、隔壁11を一方の面に突出さ
せた板を成形し、この板を図示のように角形偏平に成形
した長手方向両側縁を突合せ、この突合せ部を溶接して
製造することができる。また、コンテナ1は他の方法に
よって製造してもよい。
前記実施例の細径ヒートパイプは、スリット状の連通
部12を有する隔壁11によって、コンテナ1内を長手方向
に沿って複数のホール20,21に区分し、一方のホール20
にウイック材2を充填するものであるから、ウイック材
2を細径なコンテナ1内に取付けるのが容易であり、ウ
イック材2が内部で移動したりせず安定して保持され
る。
また、前述の構造にすると、コンテナ1の断面形状を
問わずウイック材2をコンテナ1内に取付けることがで
き、さらに、ウイック材2がコンテナ1内に長手方向に
沿い偏った状態に集中するから、細径なコンテナの内壁
面に分散してウイック材を固定した従来のものに比べ、
最大熱輸送量が増大する。
実験によると、前記実施例の構造の細径ヒートパイプ
において、ウイック材2を充填する一方のホール20が、
コンテナ1内において30〜80容量%占めるとき、基板等
の冷却に使用される細径ヒートパイプの最大熱輸送量2W
を超えた。
本発明に係る細径ヒートパイプは、第2図のようにス
リット状の連通部12を有する複数の隔壁11により、コン
テナ1内を長手方向に沿い三つ以上のホール20〜22に区
分し、空のホール21に隣接してウイック材2を充填した
ホール20,22を位置させても実施することができる。
隔壁11における連通部12は、長手方向に連続せずに断
続するように構成してもよく、また、第3図のように一
方に偏った位置に設けても実施することができる。
ホール20,21相互間の隔壁11は、これに代えて、第4
図又は第5図のように、コンテナ1の外周の一部を、長
手方向に沿い内側に加圧没入させることにより相対する
凹没条を13,13を形成し、この凹没条13によってコンテ
ナ1内を複数のホール20,21に区分するとともに、相互
の間を連通部13とするように構成しても実施することが
できる。
この場合には、凹没条13を形成して複数のホール20,2
1を設け、その一方のホール20にウイック材2を充填し
てもよく、あるいは、コンテナ1内へ長手方向に沿い一
方に偏らせてウイック材2を詰め、その後、ウイック材
2のある側と空の側の境界部分において凹没条13を形成
することにより、ウイック材2を充填したホール20と、
空の他のホール21とに区分してもよい。凹没条13を相対
する状態にでなく、一方にのみ形成する場合は、コンテ
ナ1の内側に深く没入した状態に形成する。
ウイック材2に粒子群を使用するときは、連通部12の
幅を当該粒子の粒径より小さくするか、あるいは第6図
のように、連通部12を塞ぐ状態に粒子の粒径より小さい
メッシュの網4を設け、その後に一方のホール20へ粒子
よりなるウイック2を充填する。
第1図、第2図、第4図及び第5図の実施例におい
て、上下の隔壁11又は凹没条13は、上下方向に位置せず
に多少ずれていても実施することができる。
第2図〜第6図の実施例における他の構成や作用は、
第1図におけるものと同様なので説明を省略する。
「発明の効果」 本発明に係る細径ヒートパイプは、コンテナ内がウイ
ック材を充填した長手方向に沿うホールと、これに連通
して隣接する空のホールとに区分されているので、細径
のコンテナにウイック材を取付けるのが容易であり、円
筒状以外のコンテナに対してもウイック材を容易に取付
けることができるとともに、ウイック材も移動せずに安
定する。
また、ウイック材がコンテナの内壁に分散せず、コン
テナの長手方向に沿って偏った状態で集中するので、作
動液の蒸気が通る空間部(空のホール)を必要十分に確
保した場合でも毛細管作用が効率よく発揮され、熱輸送
能力がより向上する。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明に係る細径ヒートパイプの一実施例を示
す拡大断面図、第2図、第3図、第4図、第5図及び第
6図はそれぞれ他の実施例を示す拡大断面図、第7図は
従来のヒートパイプの拡大断面図である。 図中主要符号の説明 1はコンテナ、11は隔壁、12は連通部、13は凹没条、2
はウイック材、20、21、22は長手方向に沿うホールであ
る。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】コンテナの内部が、相互に連通しかつ長手
    方向に沿う複数のホールに区分され、これらのホール
    は、ワイヤ,偏素又は粒子その他のウイック材を充填し
    たホールに隣接して、内壁に溝その他のウイックを有し
    ない空のホールが位置することを特徴とする、細径ヒー
    トパイプ。
  2. 【請求項2】隣接のホール相互が、長手方向に連続し又
    は断続するスリット状の連通部を有する隔壁によって区
    分されている、請求項1に記載の細径ヒートパイプ。
  3. 【請求項3】隣接のホール相互が、コンテナの周壁の一
    部を長手方向に沿い内側に没入させた連続し又は断続す
    る凹没条によって区分されている、請求項1に記載の細
    径ヒートパイプ。
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