JP2725387C - - Google Patents
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Description
【発明の詳細な説明】
<産業上の利用分野>
本発明は生体において生じる歯周疾患、腫よう、骨折等に有用なインプラント
を除く骨欠損部及び骨空隙部充てん材に関する。 <従来の技術> 従来、骨欠損部及び骨空隙部充てん材としては、特定のリン酸カルシウム化合
物又は該リン酸カルシウム化合物とコラーゲン等の生体由来の有機物質とを組み
合わせた材料等が種々提案されている。 しかしながら、リン酸カルシウム化合物のみを用いた骨欠損部及び骨空隙部充
てん材は、生体からの異物反応がなく、生体適合性には優れているものの、骨欠
損部及び骨空隙部充てん材の形態及び部位によって、充てん部より充てん材の漏
出が認められ、骨欠損部及び骨空隙部を十分充てんできないという欠点がある。 一方リン酸カルシウム化合物と、コラーゲン等の生体由来の有機物質とを組合
わせた混合物を充てん材として用いる場合には、前記充てん材の漏出は減少する
が、生体由来の有機物質であるコラーゲン等は動物から採取し生体外で精製され
るため、軽度の炎症反応及び生体適合性の低下が生じるという欠点がある。 <発明が解決しようとする課題> 本発明の目的は、生体適合性に優れ、異物反応、炎症反応等が生じないインプ
ラントを除く骨欠損部及び骨空隙部充てん材を提供することにある。 本発明の別の目的は、骨欠損部及び骨空隙部の形状及び形態に合わせて、密に 充てんすることができ、且つ漏出が極めて少ないインプラントを除く骨欠損部及
び骨空隙部充てん材を提供することにある。 本発明の更に別の目的は、容易に且つ速やかに充てんすることができるインプ
ラントを除く骨欠損部及び骨空隙部充てん材を提供することにある。 <課題を解決するための手段> 本発明によれば、骨芽細胞及び/又は前駆骨芽細胞を含む動物から採取された
体液と、リン酸カルシウム化合物とを含有することを特徴とするインプラントを
除く骨欠損部及び骨空隙部充てん材が提供される。 以下に本発明を更に詳細に説明する。 本発明のインプラントを除く骨欠損部及び骨空隙部充てん材は、特定の細胞を
含む動物から採取された体液と、リン酸カルシウム化合物とを含むことを特徴と
する。 本発明に用いる体液は、骨芽細胞及び/又は前駆骨芽細胞を含む動物から採取
された体液を必須の構成成分とする。 前記の体液としては血液等を挙げることができ、好ましくは生体適合性に特に
優れ、異物反応、炎症反応が全く生じない点から、骨欠損部及び骨空隙部を充て
んする動物自身から採取された体液を用いるのが望ましい。体液中に含まれる骨
芽細胞及び/又は前駆骨芽細胞は、例えば骨髄を剥離し、骨との接触面に存在す
る細胞を採取することにより得ることができ、その量は特に限定されるものでは
ない。また前記体液は、好ましくは24時間以上、無菌的に体温程度の温度で培
養したものを用いるのが好ましい。この際採取した体液を培養しないで用いると
、体液中に含有される接着及び伸展因子、具体的にはコラーゲンの生成が認めら
れず、骨芽細胞及び/又は前駆骨芽細胞の増殖が遅延して骨欠損部及び骨空隙部
の回復に時間を要するので好ましくない。また前記接着及び伸展因子の生成が少
ないと、リン酸カルシウム表面に付着する骨芽細胞及び/又は前駆骨芽細胞の量
が減少し、充てん材が骨欠損部及び骨空隙部より漏出する恐れがあり、速やかに
充てん部に新生骨を形成させるのが困難となるので好ましくない。 本発明に用いるリン酸カルシウム化合物としては、例えば水酸アパタイト、リ ン酸三カルシウム、リン酸四カルシウム、フッ素アパタイト炭酸アパタイト及び
これらの混合物等から成る群より選択される化合物又は混合物を好ましく挙げる
ことができ、特に細胞の付着性が良好であり、且つ骨芽細胞の活性を高くするこ
とができる水酸アパタイトを用いるのが望ましい。前記リン酸カルシウム化合物
の形状は、特に限定されるものではないが、例えば多孔体、顆粒状等とすること
ができる。また、リン酸化合物の比表面積(ガス吸着法による)は、前記接着及
び伸展因子をより多く吸着するために、また血栓等を防止するために、0.1m
2/g以上、特に好ましくは1m2/g以上とするのが好ましい。 前記リン酸カルシウムを調整するためには、公知の焼成方法により得ることが
でき、例えばリン酸カルシウムのの焼成温度によりコントロールすることができ
る。 本発明に用いる前記骨芽細胞及び/又は前駆骨芽細胞を含む人体から採取され
た体液と、リン酸カルシウムとの含有割合は、リン酸カルシウム100重量部に
対して、体液10〜1000重量部、特に好ましくは20〜300重量部である
のが望ましい。 本発明のインプラントを除く骨欠損部及び骨空隙部充てん材の調整するには、
例えばカラムを用いて、リン酸カルシウムを含む材料に、前記骨芽細胞及び/又
は前駆骨芽細胞を含む体液を吸着させる方法等により行なうことができる。また
調整された骨欠損部及び骨空隙部充てん材は、好ましくは培養液により培養して
用いることができるが、長期間の培養は雑菌等が混入する可能性を生じるので、
通常数日〜十数日間培養して用いるのが最も好ましい。また骨欠損部及び骨空隙
部の箇所が複数に及ぶ場合には、本発明の充てん材を分割して用いることも可能
であるが、前記培養した培養液の一部を別のリン酸カルシウムと培養液の混合物
中に投入して、さらに培養後用いることもできる。但し前記分割して用いる場合
には、細胞の変性及び異物反応及び炎症反応を防止するために3回以内で分割使
用するのが望ましい。 本発明のインプラントを除く骨欠損部及び骨空隙部充てん材を充てんするには
、培養等を行なった後にそのまま充てんすることが可能な、例えば筒状の注射器 等を用いて行なうのが好ましく、特に歯牙の間隙のような複雑な充てん部位にも
容易に充てんすることが可能な、前方に曲部を有する注射器等を用いるのが好ま
しい。 <発明の効果> 本発明のインプラントを除く骨空隙部及び骨空隙部充てん材は、骨芽細胞及び
/又は前駆骨芽細胞を含む動物から採取された体液と、リン酸カルシウム化合物
とを組み合わせているので、生体適合性に優れ、異物反応、炎症反応等が起こら
ず、しかも充てん筒所からの漏出も極めて少ないために、速やかに新生骨の形成
を期待することができる。 <実施例> 以下本発明を実施例及び比較例により詳細に説明するが、本発明は、これらに
限定されるものではない。 実施例1 犬の血液5ml及び骨膜下より採取した骨芽細胞をプラスチッタシャーレに入
れた後、比表面積10m2/g、粒径0.5〜0.3mmの水酸アパタイト顆粒
5gを含む培養液中に攪拌しながら添加して、骨欠損部及び骨空隙部充てん材を
調整した。得られた充てん材を前記培養液中に添加直後及び37℃にて1時間、
1日、3日培養させた際の状態を観察した。その結果、添加直後の充てん材も水
酸アパタイトの顆粒同士は結合した状態を示し、培養を行なうに連れてその結合
が強固になった。また、培養時間の増加にともないコラーゲンの生成も認められ
た。 次いで、犬の歯槽骨に欠損部を設け、前記夫々の充てん材を充てんした。2週
間後該犬をと殺し、充てん部を観察したところ、培養液添加直後及び1時間培養
した充てん材では、充てんした量の2/3程度が残存しており、顆粒間に新生骨
の生成も認められた。また1日培養した充てん材では残存率、新生骨の生成も多
く、更に3日培養した充てん材では9/10程度の残存が認められ、新生骨の形
成された量も多かった。尚、何れの充てん材も炎症反応、異物反応は認められな
かった。 比較例1 充てん材として比表面積10m2/g、粒径0.5〜0.3mmの水酸アパタ
イト顆粒を用いた以外は、実施例1と同様に犬の歯槽骨の欠損部に充てんし、2
週間後に観察したところ、充てん材の残存率は1/3程度であり、新生骨の形成
も実施例1に比して極めて少なかった。 実施例2 リン酸カルシウム化合物として、比表面積10.1m2/gの水酸アパタイト
、リン酸三カルシウム、リン酸四カルシウム又は水酸アパタイトとリン酸三カル
シウムとの混合物(重量比1:1)の各々の多孔体(気孔率70%、気孔径20
0μm)を用いた以外は、実施例1と同様に骨欠損部及び骨空隙部充てん材を調
整した。得られた各々の充てん材を実施例1と同様に犬の歯槽骨の欠損部に充て
んし、2週間後に残存率、新生骨の生成を観察した結果、実施例1と同様に残存
率、新生骨の生成は共に良好であり、特に水酸アパタイトを用いた充てん材が最
も残存率、新生骨の生成に優れていた。
を除く骨欠損部及び骨空隙部充てん材に関する。 <従来の技術> 従来、骨欠損部及び骨空隙部充てん材としては、特定のリン酸カルシウム化合
物又は該リン酸カルシウム化合物とコラーゲン等の生体由来の有機物質とを組み
合わせた材料等が種々提案されている。 しかしながら、リン酸カルシウム化合物のみを用いた骨欠損部及び骨空隙部充
てん材は、生体からの異物反応がなく、生体適合性には優れているものの、骨欠
損部及び骨空隙部充てん材の形態及び部位によって、充てん部より充てん材の漏
出が認められ、骨欠損部及び骨空隙部を十分充てんできないという欠点がある。 一方リン酸カルシウム化合物と、コラーゲン等の生体由来の有機物質とを組合
わせた混合物を充てん材として用いる場合には、前記充てん材の漏出は減少する
が、生体由来の有機物質であるコラーゲン等は動物から採取し生体外で精製され
るため、軽度の炎症反応及び生体適合性の低下が生じるという欠点がある。 <発明が解決しようとする課題> 本発明の目的は、生体適合性に優れ、異物反応、炎症反応等が生じないインプ
ラントを除く骨欠損部及び骨空隙部充てん材を提供することにある。 本発明の別の目的は、骨欠損部及び骨空隙部の形状及び形態に合わせて、密に 充てんすることができ、且つ漏出が極めて少ないインプラントを除く骨欠損部及
び骨空隙部充てん材を提供することにある。 本発明の更に別の目的は、容易に且つ速やかに充てんすることができるインプ
ラントを除く骨欠損部及び骨空隙部充てん材を提供することにある。 <課題を解決するための手段> 本発明によれば、骨芽細胞及び/又は前駆骨芽細胞を含む動物から採取された
体液と、リン酸カルシウム化合物とを含有することを特徴とするインプラントを
除く骨欠損部及び骨空隙部充てん材が提供される。 以下に本発明を更に詳細に説明する。 本発明のインプラントを除く骨欠損部及び骨空隙部充てん材は、特定の細胞を
含む動物から採取された体液と、リン酸カルシウム化合物とを含むことを特徴と
する。 本発明に用いる体液は、骨芽細胞及び/又は前駆骨芽細胞を含む動物から採取
された体液を必須の構成成分とする。 前記の体液としては血液等を挙げることができ、好ましくは生体適合性に特に
優れ、異物反応、炎症反応が全く生じない点から、骨欠損部及び骨空隙部を充て
んする動物自身から採取された体液を用いるのが望ましい。体液中に含まれる骨
芽細胞及び/又は前駆骨芽細胞は、例えば骨髄を剥離し、骨との接触面に存在す
る細胞を採取することにより得ることができ、その量は特に限定されるものでは
ない。また前記体液は、好ましくは24時間以上、無菌的に体温程度の温度で培
養したものを用いるのが好ましい。この際採取した体液を培養しないで用いると
、体液中に含有される接着及び伸展因子、具体的にはコラーゲンの生成が認めら
れず、骨芽細胞及び/又は前駆骨芽細胞の増殖が遅延して骨欠損部及び骨空隙部
の回復に時間を要するので好ましくない。また前記接着及び伸展因子の生成が少
ないと、リン酸カルシウム表面に付着する骨芽細胞及び/又は前駆骨芽細胞の量
が減少し、充てん材が骨欠損部及び骨空隙部より漏出する恐れがあり、速やかに
充てん部に新生骨を形成させるのが困難となるので好ましくない。 本発明に用いるリン酸カルシウム化合物としては、例えば水酸アパタイト、リ ン酸三カルシウム、リン酸四カルシウム、フッ素アパタイト炭酸アパタイト及び
これらの混合物等から成る群より選択される化合物又は混合物を好ましく挙げる
ことができ、特に細胞の付着性が良好であり、且つ骨芽細胞の活性を高くするこ
とができる水酸アパタイトを用いるのが望ましい。前記リン酸カルシウム化合物
の形状は、特に限定されるものではないが、例えば多孔体、顆粒状等とすること
ができる。また、リン酸化合物の比表面積(ガス吸着法による)は、前記接着及
び伸展因子をより多く吸着するために、また血栓等を防止するために、0.1m
2/g以上、特に好ましくは1m2/g以上とするのが好ましい。 前記リン酸カルシウムを調整するためには、公知の焼成方法により得ることが
でき、例えばリン酸カルシウムのの焼成温度によりコントロールすることができ
る。 本発明に用いる前記骨芽細胞及び/又は前駆骨芽細胞を含む人体から採取され
た体液と、リン酸カルシウムとの含有割合は、リン酸カルシウム100重量部に
対して、体液10〜1000重量部、特に好ましくは20〜300重量部である
のが望ましい。 本発明のインプラントを除く骨欠損部及び骨空隙部充てん材の調整するには、
例えばカラムを用いて、リン酸カルシウムを含む材料に、前記骨芽細胞及び/又
は前駆骨芽細胞を含む体液を吸着させる方法等により行なうことができる。また
調整された骨欠損部及び骨空隙部充てん材は、好ましくは培養液により培養して
用いることができるが、長期間の培養は雑菌等が混入する可能性を生じるので、
通常数日〜十数日間培養して用いるのが最も好ましい。また骨欠損部及び骨空隙
部の箇所が複数に及ぶ場合には、本発明の充てん材を分割して用いることも可能
であるが、前記培養した培養液の一部を別のリン酸カルシウムと培養液の混合物
中に投入して、さらに培養後用いることもできる。但し前記分割して用いる場合
には、細胞の変性及び異物反応及び炎症反応を防止するために3回以内で分割使
用するのが望ましい。 本発明のインプラントを除く骨欠損部及び骨空隙部充てん材を充てんするには
、培養等を行なった後にそのまま充てんすることが可能な、例えば筒状の注射器 等を用いて行なうのが好ましく、特に歯牙の間隙のような複雑な充てん部位にも
容易に充てんすることが可能な、前方に曲部を有する注射器等を用いるのが好ま
しい。 <発明の効果> 本発明のインプラントを除く骨空隙部及び骨空隙部充てん材は、骨芽細胞及び
/又は前駆骨芽細胞を含む動物から採取された体液と、リン酸カルシウム化合物
とを組み合わせているので、生体適合性に優れ、異物反応、炎症反応等が起こら
ず、しかも充てん筒所からの漏出も極めて少ないために、速やかに新生骨の形成
を期待することができる。 <実施例> 以下本発明を実施例及び比較例により詳細に説明するが、本発明は、これらに
限定されるものではない。 実施例1 犬の血液5ml及び骨膜下より採取した骨芽細胞をプラスチッタシャーレに入
れた後、比表面積10m2/g、粒径0.5〜0.3mmの水酸アパタイト顆粒
5gを含む培養液中に攪拌しながら添加して、骨欠損部及び骨空隙部充てん材を
調整した。得られた充てん材を前記培養液中に添加直後及び37℃にて1時間、
1日、3日培養させた際の状態を観察した。その結果、添加直後の充てん材も水
酸アパタイトの顆粒同士は結合した状態を示し、培養を行なうに連れてその結合
が強固になった。また、培養時間の増加にともないコラーゲンの生成も認められ
た。 次いで、犬の歯槽骨に欠損部を設け、前記夫々の充てん材を充てんした。2週
間後該犬をと殺し、充てん部を観察したところ、培養液添加直後及び1時間培養
した充てん材では、充てんした量の2/3程度が残存しており、顆粒間に新生骨
の生成も認められた。また1日培養した充てん材では残存率、新生骨の生成も多
く、更に3日培養した充てん材では9/10程度の残存が認められ、新生骨の形
成された量も多かった。尚、何れの充てん材も炎症反応、異物反応は認められな
かった。 比較例1 充てん材として比表面積10m2/g、粒径0.5〜0.3mmの水酸アパタ
イト顆粒を用いた以外は、実施例1と同様に犬の歯槽骨の欠損部に充てんし、2
週間後に観察したところ、充てん材の残存率は1/3程度であり、新生骨の形成
も実施例1に比して極めて少なかった。 実施例2 リン酸カルシウム化合物として、比表面積10.1m2/gの水酸アパタイト
、リン酸三カルシウム、リン酸四カルシウム又は水酸アパタイトとリン酸三カル
シウムとの混合物(重量比1:1)の各々の多孔体(気孔率70%、気孔径20
0μm)を用いた以外は、実施例1と同様に骨欠損部及び骨空隙部充てん材を調
整した。得られた各々の充てん材を実施例1と同様に犬の歯槽骨の欠損部に充て
んし、2週間後に残存率、新生骨の生成を観察した結果、実施例1と同様に残存
率、新生骨の生成は共に良好であり、特に水酸アパタイトを用いた充てん材が最
も残存率、新生骨の生成に優れていた。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 骨芽細胞及び/又は前駆骨芽細胞を含む動物から採取された体液と、リン酸カ
ルシウム化合物とを含有することを特徴とするインプラントを除く骨欠損部及び
骨空隙部充てん材。
Family
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