JP2719053B2 - 金属粉末製造方法 - Google Patents

金属粉末製造方法

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JP2719053B2 JP3101014A JP10101491A JP2719053B2 JP 2719053 B2 JP2719053 B2 JP 2719053B2 JP 3101014 A JP3101014 A JP 3101014A JP 10101491 A JP10101491 A JP 10101491A JP 2719053 B2 JP2719053 B2 JP 2719053B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、溶融金属を旋回移動す
る冷却液層中に供給して金属粉末を製造する方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】急冷凝固金属粉末は、結晶粒が微細で合
金元素も過飽和に含有させることができるので、例えば
アルミニウムやその合金の急冷凝固粉末によって形成さ
れた押出材は、溶製材では具備することのない優れた材
質特性を有し、機械部品等の素材として注目されてい
る。
【0003】前記急冷凝固金属粉末の好適な製造方法と
して、回転ドラム法がある。この方法は、図2に示すよ
うに、回転する冷却ドラム61の内周面に冷却液層62を遠
心力の作用で形成し、該冷却液層62に溶融金属を噴射
し、微細に分断して急冷凝固した金属粉末を得る方法で
ある。同図において、63は噴射るつぼであり、その外周
面には加熱用の高周波コイル64が装着され、その下部側
壁には噴射ノズル65が開設されている。前記るつぼ63内
の溶融金属66は、該るつぼ63に不活性ガス67を加圧注入
することによって前記ノズル65から噴射される。そし
て、冷却ドラム61内の金属粉末は、一定量溜まると、冷
却ドラム61の回転を止め、冷却液と共に回収され、脱液
後、乾燥される。かかる金属粉末製造方法は特公平1−
49769 号公報に開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、回転ド
ラム法では、いわゆるバッチ式操業となり、生産性が劣
る。そのうえ、粉末回収時に溶融金属の噴射を止めなけ
ればならないため、噴射ノズル65に孔詰りが生じ易いと
いう問題がある。また、冷却温度を一定にするために
は、冷却液層62の液面より冷却液を供給、排出して温度
制御しなければならないが、この際、液面が乱れ、粉末
粒度や品質にばらつきが生じ易いという問題がある。
【0005】さらに、溶融金属を冷却液層62に供給する
のに噴射るつぼが採用されており、その分コスト高であ
ると共に不純物が混入する惧れのあるものであった。そ
こで本発明は、安定した品質の金属粉末を連続的に製造
することができ、しかも、噴射ノズルの孔詰り、不純物
の混入の惧れのない金属粉末製造方法を提供することを
目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明が前記目的を達成
するために講じた技術的手段は、溶融金属を冷却用筒体
(1) 内の冷却液に供給し、冷却凝固させて金属粉末を製
造する方法において、前記筒体1 の内周面に沿って冷却
液を噴出供給して該筒体1 内周面に沿って旋回しながら
流下する冷却液層9 を形成すると共に冷却液を筒体1 下
部から排出し、且つ筒体1 に備えた層厚調整手段10によ
って前記冷却液層9 の層厚を増大させるようにして該冷
却液層9 を所要厚さに形成し、この冷却液層9 の内周面
を臨むように位置された固体の金属材料15を溶融し、該
溶融部分から溶融金属を前記冷却液層9 の層厚を所要厚
さに増大させた部分に落下供給し、該冷却液層9 によっ
て分断し冷却凝固させる点にある。
【0007】
【作用】冷却用筒体1 の内周面に沿って供給された冷却
液は、筒体1 内周面に沿って旋回しながら流下し、旋回
時の遠心力及び層厚調整手段10の作用で所要厚さの、
ぼ一定内径の冷却液層9 を形成する。そして、この冷却
液層9 の内周面に臨むように位置する固体の金属材料15
をその一端部から溶融し、その溶融部分から溶融金属を
冷却液層9 に落下供給する。すると、溶融金属は冷却液
の旋回流により分断されると共に冷却凝固され、粉末と
なる。
【0008】この際、冷却液層9 は常に新たに供給され
る冷却液によって形成されるために一定の温度が容易に
維持される。このため、温度制御のために液面より冷却
液を排出、供給する必要がなく、液面に乱れは生じず、
安定した状態が維持される。それ故、溶融金属は常に一
定状態の下で冷却液層9 中に供給分断され、一定温度の
下で冷却凝固されるため、金属粉末の品質が安定する。
【0009】冷却液層9 中の金属粉末は冷却液と共に旋
回しながら流下し、筒体1 の下部より排出することで、
金属粉末の連続生産が可能となる。また、溶融金属を供
給するのに、噴射るつぼが不要であり、コスト低下が図
れると共に、不純物混入の惧れもなく、また、噴射るつ
ぼの噴射ノズルの孔詰りが生じるということもない。
【0010】
【実施例】まず、本発明の金属粉末製造方法を実施する
ための装置について説明する。図1は実施例に係る金属
粉末製造装置を示しており、同図において、1 は冷却用
筒体で上下に開口する円筒状に形成されており、筒軸心
が鉛直方向に対して適宜角度で傾斜している。この筒体
1 の上側開口は蓋体2 により閉塞され、該蓋体2 の中心
部には開口部3 が形成されている。また、筒体1 の上部
には、冷却液噴出管4 が周方向等間隔に複数個形成さ
れ、この噴出管4 の吐出口5 は筒体1 内周面に沿って接
線方向から冷却液を噴出供給できるように開口されてい
る。また、噴出管4 の管軸方向は、筒体1 内周面の筒軸
心に直交する方向の接線に対して 0〜20゜程度斜め下方
に設定されている。そして、噴出管4 は、ポンプ7 を介
してタンク8 に配管接続されていて、タンク8 内の冷却
液をポンプ7 によって吸い揚げて噴出管4 から筒体1 内
周面側に噴出供給することで、筒体1 の内周面に、該内
周面に沿って旋回しながら流下する冷却液層9 が形成さ
れる。タンク8 には、図示省略の補給用の冷却液供給管
が設けられ、またタンク8 内や循環流路の途中に冷却器
を適宜介在させてもよい。冷却液としては一般に水が使
用されるが、油が使用される場合もある。尚、水を用い
る場合、水中の溶存酸素を除去したものを使用するのが
望ましい。酸素の除去処理装置は市販されており、入手
容易である。
【0011】筒体1 の内周面下部には、冷却液層9 の層
厚調整用リング(層厚調整手段)10がボルトによって着
脱、交換自在に取付けられ、このリング10によって冷却
液の流下速度が抑えられて略一定内径の冷却液層9 が容
易に形成される。筒体1 の下側には円筒状の液切り用網
体11が連設され、この網体11の下側には漏斗状の粉末回
収容器12が取付けられている。前記網体11の周囲には該
網体11を覆うように冷却液回収容器13が設けられ、この
回収容器13の底部に形成された排水口14は配管を介して
タンク8 に接続されている。
【0012】筒体1 の上方には固体の金属材料15が配置
され、この金属材料15は棒状に形成されていると共に、
先端部が筒体1 の蓋体2 に形成した開口部3 を介して冷
却液層9 の内周面を臨むように位置されている。また、
金属材料15は先端に向けて下方傾斜状とされて図外の送
り機構により軸心方向先端側に向けて移動可能に支持さ
れている。この金属材料15の先端部上方には、バーナ、
トーチ等の加熱器具のノズル16が配置され、該ノズル16
の火口は金属材料15の先端部に指向されている。
【0013】前記構成において、金属粉末を製造するに
は、先ず、ポンプ7 を作動させて、筒体1 内周面に冷却
液層9 を形成し、次に、金属材料15の先端部をノズル16
からの炎によって加熱して溶融する。すると、該溶融部
分から溶融金属が滴下し、また、この際、金属材料15は
先端方向に材料減少分徐々に送られる。このようにし
て、溶融金属が冷却液層9 に落下供給されて旋回しなが
ら流下する冷却液層9 によって分断されると共に急冷凝
固されて金属粉末が製造される。そして、冷却液層9 中
の金属粉末は、冷却液と共に旋回しながら層厚調整用リ
ング10を越えて流下し、筒体1 の下端より液切り用網体
11に入る。ここで、冷却液は遠心力の作用で網体11から
放射状に外方へ飛散し、一次的に脱液された液分の少な
い金属粉末が得られる。この一次脱液された金属粉末は
粉末回収容器12に入り、ここから排出されて、遠心分離
機等の脱液装置により脱液され、乾燥装置により乾燥さ
れる。また、網体11から飛散された冷却液はタンク8 に
戻されて循環使用される。
【0014】なお、前記実施例では、冷却用筒体として
円筒状のものを示したが、これに限らず、例えば内周面
が上方に向けて拡開状の回転放物面で形成された漏斗形
(層厚調整手段)や切頭逆円錐形状(層厚調整手段)
としてもよい。この場合、層厚調整用リング10を取付け
なくても、一定内径の冷却液層を形成することができ
る。
【0015】また、金属材料15を加熱して溶融するの
に、レーザ、アーク等を利用してもよい。また、金属材
料15を比較的長く形成したり連続状に移送したりするこ
とにより金属粉末の連続生産性が良好となる。また、図
例では、層厚調整用リング6 は断面方形状であるが、こ
れに限らず、例えばリング上面の外周縁から下面の内周
縁にかけて漸次縮径する曲面で形成してもよい。
【0016】また本発明は、Al合金やMg合金等の軽
量金属粉末の製造に限らず、鉄やその合金等の金属粉末
の製造に適用できることは勿論である。
【0017】
【考案の効果】本発明によれば、筒体1 の内周面に沿っ
て冷却液を噴出供給して、筒体1 内周面に沿って旋回し
ながら流下する冷却液層9 を形成するので、溶融金属を
供給する冷却液層9 の内周面安定させることができ、
温度も均一に保持できる。そして、該冷却液層9 中に溶
融金属を供給するので、品質の安定した急冷凝固粉末が
連続的に生産できる。
【0018】また溶融金属を冷却液層9 に供給するの
に、固体の金属材料15を溶融し、該溶融部分から溶融金
属を冷却液層9 に落下供給するようにしているので、従
来のもののような噴射るつぼは不要とされ、したがっ
て、コスト低下が図れると共に不純物が混入する惧れも
なく、また、噴射ノズルの孔詰りという事態も生じな
い。一方、高品質の金属粉末を得るには、冷却液層9 に
供給した溶融金属を急速に冷却しなければならないが、
それには安定した所要厚さの冷却液層9 を形成する必要
がある。すなわち、冷却液は筒体1 の内面に沿って周方
向に移動し、冷却液層9 に入った溶融金属の粒子は遠心
力を受けて筒体1 の径方向外方へと移動する。この冷却
液と溶融金属の粒子との運動方向の違いにより、冷却液
中で溶融金属の粒子の冷却を阻害する粒子表面の蒸気膜
が剥離し、熱伝達率がより大きくなって、冷却効率の向
上が図れることとなり、冷却液の冷却効果を最大限に利
用できるのであるが、この作用効果を奏するためには、
安定した所要厚さの冷却液層9が必要とされるのであ
る。また、生産性をも考慮して冷却効率の向上を図るに
は溶融金属の供給に対して充分な液量の冷却液を確保す
る必要もあり、この観点からも所要厚さの冷却液層9 が
必要とされる。
【0019】したがって、本発明では、特に、層厚調整
手段10により安定した所要厚さの冷却液層9 を確保する
ことにより高品質の金属粉末を得ることができるという
効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施するための金属粉末製造装置の要
部断面全体配置図である。
【図2】従来の金属粉末製造装置の要部断面図である。
【符号の説明】
1 冷却用筒体 9 冷却液層 15 金属材料

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶融金属を冷却用筒体(1) 内の冷却液に
    供給し、冷却凝固させて金属粉末を製造する方法におい
    て、 前記筒体(1) の内周面に沿って冷却液を噴出供給して該
    筒体(1) 内周面に沿って旋回しながら流下する冷却液層
    (9) を形成すると共に冷却液を筒体(1) 下部から排出
    し、且つ筒体(1) に備えた層厚調整手段(10)によって前
    記冷却液層(9) の層厚を増大させるようにして該冷却液
    層(9) を所要厚さに形成し、この冷却液層(9) の内周面
    を臨むように位置された固体の金属材料(15)を溶融し、
    該溶融部分から溶融金属を前記冷却液層(9) の層厚を所
    要厚さに増大させた部分に落下供給し、該冷却液層(9)
    によって分断し冷却凝固させることを特徴とする金属粉
    末製造方法。
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