JP2714629B2 - 粒子計数方法および装置 - Google Patents

粒子計数方法および装置

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、小粒子と大粒子とを懸濁させた測定用試料
を狭隘な通路で形成される検出領域に通過させ、その際
検出される粒子検出信号の個数をカウントし、測定用試
料中に含まれる粒子数を計数する方法および装置におい
て、小粒子と大粒子とが同時に検出領域を通過する場合
には、小粒子による検出信号は大粒子による検出信号に
よりマスキングされると言う現象を考慮して小粒子のカ
ウント数を補正し、測定用試料中に含まれる小粒子の真
の個数を算出する粒子計数方法および装置に関する。
〔従来の技術〕
微小サイズの粒子を懸濁させた測定用試料(液)を第
2図に示されるような狭隘な通路10に通過させ、図中の
a点で始まりb点で終わる区間に形成される検出領域12
を上記粒子が通過する際に発生する信号を検出する方法
は、公知の粒子検出装置あるいはフローサイトメーター
において実現されている。検出領域12は一般に電気的検
出手段もしくは光学的検出手段によって形成されてい
る。電気的検出手段による場合には、粒子懸濁用の液を
電解質液とし、通常、通路10の上流側および下流側にそ
れぞれ電極(図示せず)を配置し、電極間に電流を流
し、検出領域12付近で電流密度が著しく密になるような
検出部を構成し、粒子が検出領域12を通過する際に起こ
る検出領域12の電気インピーダンスの変化を検出する。
通過する粒子1個ごとに検出される検出信号の大きさ
は、その粒子の体積にほぼ比例することは良く知られて
いる。
粒子が1個ずつ離れて検出領域を通過する場合すなわ
ち、ある瞬間に検出領域内に粒子が1個のみ存在する場
合には、第3図中にAで示されるような信号が検出され
る。検出信号を計数する際には、通常、第3図中にCで
示される閾値レベルが設けられ、レベルC以上の波高値
を有する信号が粒子によるものとしてカウントされ、レ
ベルC以下の波高値の信号はノイズとして無視される。
ところで、粒子が2個以上接近して検出領域を通過す
る場合、すなわち、ある瞬間に検出領域内に粒子が2個
以上存在する場合には、たとえば第4図に示されるよう
な信号が検出される。第4図は2個の粒子が接近して通
過した場合の波形を示しており、ある1つの粒子による
信号Aと他の1つの粒子による信号Bとが重なってい
る。この図の場合の閾値レベル以上の信号は1個とカウ
ントされる。すなわち、2個の粒子が検出領域を同時に
通過した場合には1個としてのみカウントされ、1個分
は数え落とされる。3個以上の粒子が同時に通過する場
合も同様に1個としてのみカウントされる。
このように粒子が2個以上同時に検出領域を通過する
場合には粒子数が数え落とされるため、測定用試料中に
存在する粒子の真の個数を求めるためには、この数え落
とし数を補正する必要がある。補正の方法としては、臼
井敏明:自動血球計数器におけるcritical volumeの測
定の同時通過による数え落し論理の展開、臨床病理、第
19巻(補冊)、73〜74頁、1971年に記載された方法が一
般的である。この文献には、検出領域の体積v(文献中
ではcritical volumeと呼ばれている)中に存在する粒
子数がポアソン(poisson)分布に従うものとして、カ
ウント数NCより、検出領域を通過する測定用試料の体積
V中に存在する粒子の真の個数Nを求めるための補正式 が記載されている。
上記補正式は、測定用試料中に存在する粒子が単一の
集団に属し、粒子の大きさもほぼ揃っている場合には適
用できるが、測定用試料中に複数の集団に属する粒子が
混雑し、ある集団の粒子の大きさが他の集団の粒子の大
きさよりも著しく小さい(たとえば十分の一以下)場合
に、この小さい粒子の真の個数を求めるためには使用で
きない。
その理由を以下に説明する。測定用試料中に大きさの
異なる2種類の粒子が存在する場合を考える。たとえ
ば、測定用試料中に赤血球と血小板が存在するような場
合である。人の赤血球はその体積が健常人の場合、約40
fl(フェムリットル)以上に分布しており、平均体積は
約90flである。一方、人の血小板はその体積が健常人の
場合、約2〜30flの範囲に分布しており、平均体積は約
6〜9flである。赤血球および血小板がそれぞれ1個ず
つ検出領域を通過する場合には、第5図に示すような信
号が検出される。図中のAは赤血球による信号であり、
Bは血小板による信号である。この場合、閾値は2レベ
ル設けられ、図中のC1レベルより低い波高値の信号はノ
イズとして無視され、C1レベル以上でC2レベルより低い
波高値の信号は血小板としてカウントされ、C2レベル以
上の波高値の信号は赤血球としてカウントされる。とこ
ろが、赤血球と血小板が同時に検出領域を通過する場合
には、第6図に示されるように赤血球による信号Aと血
小板による信号Bとが重なるため、赤血球は1個とカウ
ントされるが、血小板はカウントされなくなる。このよ
うに小粒子による信号に大粒子による信号が重なるた
め、小粒子が数え落とされる現象をマスキングと呼ぶこ
ともある。このマスキング現象による小粒子の数え落と
し数は、測定試料中に存在する大粒子の個数にも依存し
ていることは当然推測される。健常人の血液(全血)中
には、概ね赤血球が500万個/μ、血小板が25万個/
μ存在しており、赤血球数は血小板数の10倍以上あ
る。自動血球計数装置においては、血液を数百倍ないし
は数万倍に希釈して測定用試料を作製し血球の計数を行
うが、この測定用試料においても赤血球数と血小板数の
比率は勿論変わらない。このように測定用試料中に大粒
子が小粒子よりも遥かに多く存在する場合には、小粒子
の個数を計数する上でのマスキング現象の影響は極めて
大きい。希釈倍率をさらに大きくし、大粒子と小粒子が
同時に検出領域を通過する確率をほとんど零とすること
も可能であるが、必要粒子数をカウントするための計数
時間が極端に長くなり実用的でない。
測定用試料を操作して、大粒子をある程度除去するこ
とが可能な場合には、マスキングの影響をある程度軽減
させることができる。血液の場合には、遠心分離操作等
によって血液中の赤血球数を血小板数と同程度までに落
とした血小板測定専用の試料を作製することが可能であ
り、この試料を使用してマスキングの影響を軽減させて
血小板を測定することも従来良く行われていた。しか
し、赤血球を完全には除去できないため、マスキングの
影響はある程度残る。また、大粒子を予め除去した試料
を作製する作業は一般に煩わしく難しい。また、測定装
置の自動化にも適さないため、この種の予備作業を行わ
ずに試料を測定できることが望ましい。自動血球計数装
置においても近年では、全血試料を単に希釈するだせで
赤血球数や血小板数が求められる装置が主流となってい
る。
そこで、大粒子の数に応じてマスキング現象の影響を
補正し、小粒子数の真値を求める方法が考えられた。以
下、その方法を大粒子としては赤血球、小粒子としては
血小板を例として説明する。
検出領域を通過する測定用試料の体積をV(μ)と
し、体積V中に存在する血小板数をp個、赤血球数をr
個とすると、検出領域を通過する全粒子数Nt(個)は
(1)式となる。
Nt=p+r (1) 検出領域の体積v(μ)中に血小板がm個存在する
確率Pp(m)は、(2)式で示されるポアソン分布に従
う。
同様に検出領域の体積v中に赤血球がn個存在する確
率Pr(n)は、(3)式で示される。
検出領域の体積v中に赤血球と血小板が合わせてt個
存在する確率PNt(t)は、(4)式で示される。
一方、血小板としてカウントされる粒子数をNC1、赤
血球としてカウントされる粒子数をNC2とすると、血小
板または赤血球としてカウントされる個数の和NCは、
(5)式で計算される。
NC=NC1+NC2 (5) また、NCは(4)式のtを1から無限大まで変化させ
たものの総計にV/vを乗じて求めた(6)式で表わされ
る。
ゆえに全粒子数(真の個数)Ntは(7)式となる。
(7)式に(5)式で求めたNCを代入すれば、Ntが得
られる。
上記第1のカウンタのカウント数NC1は、血小板のみ
によって構成されていると考えてよいので、検出領域内
に赤血球が存在しないときに、血小板が1個以上存在す
る確率を計算することにより、(8)式が得られる。
であるから、(8)式より血小板数pは(9)式のよう
に求まる。
なお、(6)式より、 となるので、(9)式は(10)式のようになる。
また、(8)式の途中の式 から血小板数pを(11)式のように求めることもでき
る。
(11)式は、さらに(12)のようにも書ける。
(10)式、(11)式、(12)式のいずれを用いても血
小板数pを求めることができるが、自動血球計数装置に
おいては、一般的に赤血球数を求めることも要求される
ので、まず赤血球数rを算出したのち、そのrを(12)
式に代入して血小板数pを求める手順が実際的である。
赤血球数rは以下のように求める。赤血球としてカウ
ントされた粒子数NC2は、検出領域内に赤血球が1個以
上存在して1個とカウントされる場合のカウント数と、
検出領域内に赤血球と血小板とが同時に存在して1個と
カウントされる場合のカウント数との和である。したが
って(13)式が得られる。
(13)式より測定用試料中に含まれる赤血球の真の個
数rが、(14)式により求められる。
(10)式、(11)式、(12)式のいずれを用いて血小
板数pを求める場合にも、検出領域の体積vが予め求め
られている必要があるが、vは、前述の臼井の論文中に
記載されているcritical volumeの測定理論に基づいて
下記のように求められる。
二つの血球(たとえば赤血球)希釈試料を作り、一方
が丁度他方の二倍の血球数を含むように調整し、血球計
数装置で測定する。低濃度血球液のカウント値および検
出領域を通過した真の血球数をそれぞれNCrL、rLとし、
高濃度血球数のカウント値および真の血球数をそれぞれ
NCrH、rHとして(14)式を適用すると、(15)式および
(16)式が得られる。
ここで、2rL=rHであるから、(15)式、(16)式か
ら(17)式が導出され、vが求められる 上述の方法による小粒子数の求め方の妥当性につい
て、実際の血液試料を用いて検討した実施例を以下に示
す。本実施例に使用した血球計数装置は、血液を5万倍
に希釈した測定用試料を0.5ml定量し、検出領域に通過
させ赤血球数および血小板数を計数する装置である。こ
の希釈倍率および定量体積から計算されるように、赤血
球数500万個/μ、血小板数25万個/μの血液の場
合、検出領域を通過する赤血球数は50000個、血小板数
は2500個である。また、(17)式により予め求めた検出
領域の体積vは1.0nlであった。
まず、血液(全血)に遠心分離操作を施し、赤血球の
みを分離した試料および血小板のみを分離した試料を作
製する。次に、この血小板分離試料の適当量を所定量の
希釈液に添加し、希釈前の全血換算で血小板の濃度が約
20、約40、約60、約80(×104個/μ)となるように
4種類の試料を作製する。各血小板濃度の試料を5本ず
つ作製し、一組とする。それぞれの組の5本の試料の内
の4本には、赤血球分離試料を適当量添加し、希釈前の
全血換算で赤血球の濃度が約200、約400、約600、約800
(×104個/μ)となるようにする。残りの1本には
赤血球分離試料を添加しない。計4×5=20本の測定用
試料を用意することになる。本実験は測定用試料中の赤
血球数が変化したとき、血小板計数値がどの程度変動す
るかを見るために行うものであり、各組内の試料の血小
板濃度は正確に同じとなるように、注意深く作製する必
要がある。しかし、赤血球濃度は上記の濃度の前後であ
れば良く、それほど厳密に作製する必要はない。
上記のように作製された試料を、上記血球計数装置で
測定したときの結果を表1および第7図に示す。
表1の各数値は数を表わし、単位は×102個である。
表1の縦第1欄には血小板としてカウントされた粒子数
NC1が、縦第2欄には検出領域を通過した真の赤血球数
rが、縦第3欄には(12)式を用いて求めた血小板数p
が、それぞれ記載されている。赤血球数rは(14)式を
用いて求めた。表1内の数値は、上述の希釈倍率および
定量体積の関係から、そのまま全血換算の赤血球または
血小板の濃度(単位:×104/μ)としても読める。第
7図はその単位で記されている。第7図の横軸は赤血球
濃度を表し、表1のrに対応する。縦軸は血小板濃度を
表し、第1の縦第3欄のpに対応する。第7図において
は、血小板濃度約20の組の測定値を△印で、濃度約40の
組の測定値を▲印で、濃度約60の組の測定値を○印で、
濃度約80の組の測定値を●印で示している。図中の破線
は赤血球濃度が0のときの血小板測定値を通過するよう
に横軸に並行に引いた線であり、赤血球濃度が変化して
も、各組の測定値はこの破線上にあることが要求され
る。
〔発明が解決しようとする問題点〕 第7図に示されるように、従来の補正方法を用いた場
合には、測定用試料中の赤血球濃度が増大したときに、
本来一定であるべき血小板濃度の測定値が減少してしま
う。
すなわち、従来の方法では、測定用試料中に大粒子が
小粒子にくらべて大量に存在する場合には、小粒子の正
確な個数が求められなかった。
本発明は、測定用試料中に大粒子が小粒子のたとえば
十倍以上も存在する場合であっても、小粒子の真の個数
を正確に求める方法および装置を提供することを目的と
するものである。
〔問題点を解決するための手段〕
上記の目的を達成するために、本発明の粒子計数方法
は、小粒子と大粒子との懸濁させた測定用試料を狭隘な
通路で形成される検出領域に通過させ、その際検出され
る粒子検出信号の個数をカウントし、測定用試料中に含
まれる粒子数を計数する粒子計数方法において、 下記(a)で定義される検出領域vM内に大粒子が存在
せず、下記(b)で定義される検出領域vP内に小粒子が
1個以上存在する確率を、ポアソン分布から計算するこ
とにより導出される関係式である、小粒子および大粒子
のカウント数と小粒子の真の個数との間の関係式を用い
て、測定用試料中に含まれる小粒子の真の個数を求める
ことを特徴としている。
また本発明の粒子計数装置は、小粒子と大粒子とを懸
濁させた測定用試料を狭隘な通路で形成される検出領域
に通過させ、その際検出される粒子検出信号の個数をカ
ウントし、測定用試料中に含まれる粒子数を計数する粒
子計数装置において、 粒子検出信号を小粒子から検出される信号と大粒子か
ら検出される信号とに弁別する弁別回路と、弁別回路か
ら出力される小粒子による検出信号をカウントする第1
のカウンタと、弁別回路から出力される大粒子による検
出信号をカウントする第2のカウンタと、下記(a)で
定義される検出領域vM内に大粒子が存在せず、下記
(b)で定義される検出領域vP内に小粒子が1個以上存
在する確率を、ポアソン分布から計算することにより導
出される関係式である、小粒子および大粒子のカウント
数と小粒子の真の個数との間の関係式が記憶されている
記憶手段と、記憶手段に記憶されている前記関係式と第
1のカウンタのカウント数と第2のカウンタのカウント
数とが入力され、前記関係式にしたがって第1のカウン
タおよび第2のカウンタのカウント数から測定用試料中
に含まれる小粒子の真の個数を算出する演算手段と、演
算手段で算出される小粒子の真の個数を表示する表示手
段とを包含することを特徴としている。
(a) 検出領域vMとは、小粒子および大粒子が同時に
存在するときに、大粒子のみが1個とカウントされ、小
粒子がカウントされない領域のこと。
(b) 検出領域vPとは、小粒子が同時に複数個存在す
るときに、小粒子が1個とカウントされる領域のこと。
なお、上記粒子計数方法または装置における上記関係
式の具体例としては、 (ここで、Vは検出領域を通過する測定用試料の体積、
pは体積V中に存在する小粒子の真の個数、rは体積V
中に存在する大粒子の真の個数、vは大粒子に対する検
出領域の体積、NC1は小粒子のカウント数、NC2は大粒子
のカウント数、lnは自然対数、eは指数関数を表わす) がある。
また本発明において、小粒子数が同じで、一方が他方
の定数倍の大粒子数を含むように2つの希釈試料を作
り、上記粒子計数装置で測定することにより、上記検出
領域vMの体積を求めるように構成する場合もある。
〔作用〕
本発明の粒子計数方法および装置においては、小粒子
が同時に複数個存在するときに、小粒子が1個とカウン
トされる領域として定義される検出領域vPおよび小粒子
および大粒子が同時に存在するときに、大粒子のみが1
個とカウントされ小粒子がカウントされない領域として
定義される検出領域vMの考え方を導入して、検出領域vM
内に大粒子が存在せず、検出領域vP内に小粒子が1個以
上存在する確率を、ポアソン分布から計算することによ
り導出される関係式、すなわち小粒子および大粒子のカ
ウント数と小粒子の真の個数との間の関係式を用いるこ
とにより、測定用試料中に含まれる小粒子の真の個数が
求められる。
〔実施例〕
本発明の方法および装置を、以下実施例に基づいて詳
述する。
本実施例においては、測定用試料は血液を希釈したも
のとし、測定用試料中の大粒子は赤血球であり、小粒子
は血小板であるとして説明する。なお、血液中に存在す
る赤血球および血小板以外の粒子は、数が少ないので無
視して考える。
第1図は本発明の粒子計数装置の要部を示すブロック
図である。赤血球または血小板が検出領域を通過したと
き検出される粒子検出信号は、弁別回路20へ入力され
る。弁別回路20においては第5図に示されるC1レベルお
よびC2レベルの2つの閾値が設定されている。前述のよ
うに、C1レベルより低い波高値の信号はノイズとして無
視され、C1レベル以上でC2レベルより低い波高値の信号
は血小板として識別され、C2レベル以上の波高値の信号
は赤血球として識別される。血小板として識別される信
号の中には、血小板が同時に2個以上検出領域を通過し
て1個の粒子として検出される信号も含まれる。赤血球
として識別される信号の中には、赤血球が同時に2個以
上検出領域を通過して1個の粒子として検出される信号
も含まれるし、また、赤血球と血小板が同時に検出領域
を通過して1個の赤血球として検出される信号も含まれ
る。なお、血小板が何個か固まって検出領域を同時に通
過してC2レベルを越える波高値の信号となることもあり
得るが、その確率は極めて小さいので無視できる。
血小板として識別された信号は第1のカウンタ22へ送
られカウントされる。赤血球として識別された信号は第
2のカウンタ24へ送られカウントされる。体積Vの測定
用試料が検出領域を通過したとき、第1のカウンタでカ
ウントされる粒子数(血小板としてカウントされる個
数)をNC1、第2のカウンタでカウントされる粒子数
(赤血球としてカウントされる個数)をNC2とする。カ
ウント数NC1およびNC2はそれぞれ演算手段26へ入力され
る。
一方、記憶手段28には、カウント数NC1およびNC2を用
いて体積Vの測定用試料中に存在する血小板の真の個数
を求めるための関係式が記憶されている。演算手段26は
記憶手段28よりこの関係式を読み出し、体積Vの測定用
試料中に存在する血小板の真の個数を求めるための演算
を行う。演算結果は表示手段30により表示される。
記憶手段28に記載されている上記関係式について詳述
する。
従来技術の補正方法を用いた場合には、前述の通り、
測定用試料中の赤血球濃度が増大したときに、本来一定
であるべき血小板濃度の測定値が減少してしまうと言う
結果を考察し、本発明者は、 (a) 小粒子および大粒子が同時に存在するときに、
大粒子のみが1個とカウントされ小粒子がカウントされ
ない領域。
(b) 小粒子が同時に複数個存在するときに、小粒子
が1個とカウントされる領域。
の二つの領域は、実質的に大きさが異なると言う考えに
到達した。たの(a)、(b)は従来、粒子検出装置に
て血球を測定する場合のように、対象とする粒子の体積
が検出領域の体積の数万分の一程度したない場合には、
疑いも無く同じ領域であると考えられていたものであ
り、共に検出領域vと表わされていた。何故なら、検出
領域の体積にとって血球の体積は無視し得るものであ
り、大粒子が存在する場合と小粒子が存在する場合と
で、検出領域の大きさが変わるとは考えられなかったか
らである。しかし、現象の物理学的な解釈はともかく、
粒子検出装置で大小の粒子を検出すると、検出原理ある
いは電気的信号処理技術にも依存するが、大粒子による
検出信号のパルス幅は、小粒子のそれよりも長くなる場
合があることも知られていた。本発明者はこの点を考察
し、大粒子が通過する場合には小粒子が通過する場合よ
りも、他の小粒子の検出を阻止する、すなわちマスキン
グする時間が長くなり、実質的に上記(b)の場合の領
域よりも、(a)の場合の領域の方が大きくなると予想
した。そして(a)の領域を検出領域vM、(b)の領域
を検出領域vPと名付けた。ただし、以下に述べる式の導
出にあたっては、領域vMが領域vPよりも大きいことは仮
定していない。また、記号vM、vPが領域の体積を表すこ
ともある。
上記第1のカウンタ22のカウント数NC1は、血小板の
みによって構成されていると考えてよいので、検出領域
VM内に赤血球が存在しないときに、検出領域vP内に血小
板が1個以上存在する確率を計算することにより、(1
8)式が得られる。
(18)式より血小板数pは、(19)式のように求ま
る。
(19)式中のrは前述の(14)式を用いてNC2より求
められる。(14)式中のvは前述の方法により予め求め
られている。
次に、検出領域vP、vMの求め方について説明する。ま
ず、vPを求める際には、二つの血小板希釈試料(赤血球
粒子が入っていないもの)を作り、一方が丁度他方の二
倍の血小板数を含むように調整し、血球計数装置で測定
する。低濃度血小板液のカウント値および検出領域vP
通過した真の血小板数をそれぞれNCPL、pLとし、高濃度
血小板液のカウント値および真の血小板数をそれぞれN
CPH、pHとし、2pL=pHの関係を用いて(17)式導出の際
と同様の計算を行うと、(20)式が得られる。
次に、vMを求める際には、血小板数が同じで、一方が
丁度他方の二倍の赤血球数を含むように二つの希釈試料
を作り、血球計数装置で測定する。このときの真の血小
板数をp(二種類の試料とも同一である)とし、低濃度
赤血球液の血小板カウント値および真の赤血球数をそれ
ぞれNCP1、rLとし、高濃度赤血球液のカウント値および
真の赤血球数をそれぞれNCP2、rHとすると、(19)式よ
り(21)、(22)式が得られる。
ここで、2rL=rHの関係を用いて整理すると、(23)
式が得られる。
従来技術の説明で述べた実験例と同一の血球計数装置
について、(20)式により求めたvPは1.0nlであり、前
述のように(17)式により、赤血球試料を用いて求めた
検出領域の体積vと一致した。したがって(14)式中の
vをvPとしてもよい。一方、(23)式により求めたvM
1.35nlであり、予想通りvPよりも大きいことが確かめら
れた。
上記vP、vMの数値および(19)式を用いて、表1の縦
第1欄に示した血小板としてカウントされた粒子数NC1
を補正しなおした。表1の縦第4欄および第8図にその
結果を示す。第8図に明瞭に示されるように、本発明の
方法によれば、測定用試料中の赤血球濃度が増大したと
きにも、血小板濃度の測定値は殆ど赤血球濃度の影響を
受けずに一定となる。
〔発明の効果〕
本発明の粒子計数方法および装置においては、小粒子
が同時に複数個存在するときに、小粒子が1個とカウン
トされる領域として定義される検出領域vP、および小粒
子および大粒子が同時に存在するときに、大粒子のみが
1個とカウントされ、小粒子がカウントされない領域と
して定義される検出領域vMの考え方を導入して、検出領
域vM内に大粒子が存在せず、検出領域vP内に小粒子が1
個以上存在する確率を、ポアソン分布から計算すること
により導出される関係式、すなわち小粒子および大粒子
のカウント数と小粒子の真の個数との間の関係式を用い
ることにより、測定用試料中に大粒子が小粒子数のたと
えば十倍以上も存在し、小粒子の相当数が大粒子によっ
てマスキングされる場合であっても、大粒子の影響を受
けずに、測定用試料中に含まれる小粒子の真の個数を求
めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の粒子計数装置の要部の一実施例を示す
ブロック図、第2図は検出領域の説明図、第3図は検出
信号を示す説明図、第4図は粒子が2個同時通過した場
合の検出信号を示す説明図、第5図は赤血球信号および
血小板信号を示す説明図、第6図は赤血球と血小板とが
同時通過した場合の検出信号を示す説明図、第7図は従
来法における血小板濃度測定値に対する赤血球濃度の影
響程度を示す線図、第8図は本発明の方法における血小
板濃度測定値に対する赤血球濃度の影響程度を示す線図
である。 10……通路、12……検出領域、20……弁別回路、22……
第1のカウンタ、24……第2のカウンタ、26……演算手
段、28……記憶手段、30……表示手段

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】小粒子と大粒子とを懸濁させた測定用試料
    を狭隘な通路で形成される検出領域に通過させ、その際
    検出される粒子検出信号の個数をカウントし、測定用試
    料中に含まれる粒子数を計数する粒子計数方法におい
    て、 下記(a)で定義される検出領域vM内に大粒子が存在せ
    ず、下記(b)で定義される検出領域vP内に小粒子が1
    個以上存在する確率を、ポアソン分布から計算すること
    により導出される関係式である、小粒子および大粒子の
    カウント数と小粒子の真の個数との間の関係式を用い
    て、測定用試料中に含まれる小粒子の真の個数を求める
    ことを特徴とする粒子計数方法。 (a) 検出領域vMとは、小粒子および大粒子が同時に
    存在するときに、大粒子のみが1個とカウントされ、小
    粒子がカウントされない領域のこと。 (b) 検出領域vPとは、小粒子が同時に複数個存在す
    るときに、小粒子が1個とカウントされる領域のこと。
  2. 【請求項2】関係式が、 (ここで、Vは検出領域を通過する測定用試料の体積、
    pは体積V中に存在する小粒子の真の個数、rは体積V
    中に存在する大粒子の真の個数、vは大粒子に対する検
    出領域の体積、NC1は小粒子のカウント数、NC2は大粒子
    のカウント数、lnは自然対数、eは指数関数を表わす)
    である請求項1記載の粒子計数方法。
  3. 【請求項3】小粒子数が同じで、一方が他方の定数倍の
    大粒子数を含むように2つの希釈試料を作り、測定する
    ことにより、検出領域vMの体積を求める請求項1または
    2記載の粒子計数方法。
  4. 【請求項4】小粒子と大粒子とを懸濁させた測定用試料
    を狭隘な通路で形成される検出領域に通過させ、その際
    検出される粒子検出信号の個数をカウントし、測定用試
    料中に含まれる粒子数を計数する粒子計数装置におい
    て、 粒子検出信号を小粒子から検出される信号と大粒子から
    検出される信号とに弁別する弁別回路と、弁別回路から
    出力される小粒子による検出信号をカウントする第1の
    カウンタと、弁別回路から出力される大粒子による検出
    信号をカウントする第2のカウンタと、下記(a)で定
    義される検出領域vM内に大粒子が存在せず、下記(b)
    で定義される検出領域vP内に小粒子が1個以上存在する
    確率を、ポアソン分布から計算することにより導出され
    る関係式である、小粒子および大粒子のカウント数と小
    粒子の真の個数との間の関係式が記憶されている記憶手
    段と、記憶手段に記憶されている前記関係式と第1のカ
    ウンタのカウント数と第2のカウンタのカウント数とが
    入力され、前記関係式にしたがって第1のカウンタおよ
    び第2のカウンタのカウント数から測定用試料中に含ま
    れる小粒子の真の個数を算出する演算手段と、演算手段
    で算出される小粒子の真の個数を表示する表示手段とを
    包含することを特徴とする粒子計数装置。 (a) 検出領域vMとは、小粒子および大粒子が同時に
    存在するときに、大粒子のみが1個とカウントされ、小
    粒子がカウントされない領域のこと。 (b) 検出領域vPとは、小粒子が同時に複数個存在す
    るときに、小粒子が1個とカウントされる領域のこと。
  5. 【請求項5】関係式が、 (ここで、Vは検出領域を通過する測定用試料の体積、
    pは体積V中に存在する小粒子の真の個数、rは体積V
    中に存在する大粒子の真の個数、vは大粒子に対する検
    出領域の体積、NC1は小粒子のカウント数、NC2は大粒子
    のカウント数、lnは自然対数、eは指数関数を表わす)
    である請求項4記載の粒子計数装置。
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