JP2703524B2 - 液晶素子評価方法および評価装置 - Google Patents

液晶素子評価方法および評価装置

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JP2703524B2 JP7264216A JP26421695A JP2703524B2 JP 2703524 B2 JP2703524 B2 JP 2703524B2 JP 7264216 A JP7264216 A JP 7264216A JP 26421695 A JP26421695 A JP 26421695A JP 2703524 B2 JP2703524 B2 JP 2703524B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は液晶素子の評価方法
および評価装置に関し、特に液晶素子中に混入した不純
物を検出する方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】液晶素子では、例えば液晶に電場に応答
する不純物(以下、電場応答性不純物という)が混入す
ると、応答速度、コントラストなどの素子性能が低下
し、寿命も短縮するという問題が生じる。電場応答性不
純物とは、電場の印加に伴って素子内を移動、または電
荷を移動させる能力を有する化学種のことである。電場
応答性不純物としては、プロトン、有機物イオン、無機
物イオン、水素結合能を有する化合物、電子移動能を有
する化合物、大きな双極子モーメントを有する化合物、
大きな分極率を有する化合物などが挙げられる。そこ
で、素子に混入する電場応答性不純物を検出、同定、定
量し、混入を防ぐようにプロセスを改善することが不可
欠である。
【0003】従来、この不純物の評価には、高温におけ
る液晶素子の電圧保持率の測定が用いられてきた。この
方法では素子として構成された最終状態での評価が可能
である。しかし、時間および手間がかかるうえ、不純物
の同定を行わないため、不純物の原因物質や不純物が混
入するプロセスの特定が迅速に行えないという問題点が
ある。
【0004】また、電場応答性不純物は液晶配向膜に由
来する場合と、液晶材料に由来する場合があるので、各
々について混入物を評価することが行われてきた。例え
ば、配向膜材料としてポリアミック酸を用いて形成され
たポリイミドからなる液晶配向膜に関しては、赤外吸収
測定により成膜過程におけるイミド化率を定量したり、
膜の赤外吸収の異方性の変化を利用して不純物を検出す
ることが試みられてきた。しかし、これらの方法は液晶
配向膜の赤外吸収測定を行うため、測定に手間がかかる
うえに感度が不十分であるという問題点がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は液晶素子に含
まれる電場応答性不純物の検出、同定、定量を、簡便か
つ高感度に行うことができる液晶素子評価方法、および
この評価方法を実現する装置を提供することを目的とす
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の液晶素子評価方
法は、1対の電極間に液晶層を有する液晶素子に電場を
印加しながら特定波長域の光を照射し、前記液晶層を通
過した光を時間分解して測定することにより光強度の経
時変化に相当する電場応答曲線を求める工程を有し、前
記液晶素子に互いに極性が異なるパルス電場を印加した
ときに、それぞれのパルス幅の時間内で得られる前記電
場応答曲線の傾きに基づいて、液晶素子中に混入した不
純物を検出することを特徴とするものである。
【0007】本発明の液晶素子評価装置は、1対の電極
間に液晶層を有する液晶素子に極性が経時的に反転する
交流パルス電場を印加する手段と、前記液晶層に光を照
射する光源と、前記光源から照射された光から特定波長
域の光を取り出す分光手段と、前記光源から照射され前
記分光手段により取り出された後に前記液晶層を通過し
た前記特定波長域の光を電気信号に変換する光検出手段
と、前記光検出手段により変換された電気信号を時間分
解して積算した信号を取り出す手段と、得られた積算信
号の経時変化を示す電場応答曲線の、前記交流パルス電
場のそれぞれのパルス幅の時間内での傾きを算出する信
号解析手段とを具備したことを特徴とするものである。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の原理を簡単に説明
する。まず、1対の電極間に液晶層を有する液晶素子
に、それぞれ互いに極性が異なるパルス電場、具体的に
は例えば交流パルス電場を印加して液晶分子の運動を誘
起する。この状態で、特定波長域の適当な光、例えば赤
外光を液晶素子に照射して液晶層を通過した特定波長域
の光の強度を検出し、その変化を時間分解して測定す
る。この測定結果から、互いに極性が異なるパルス電場
が印加された場合についてそれぞれ、光強度の経時変化
に相当する電場応答曲線を求める。このとき液晶中に電
場応答性不純物が含まれているか否かによって、得られ
る電場応答曲線が変化する。より具体的には、液晶素子
に印加される交流パルス電場のパルス幅の時間内で電場
応答曲線の傾きが様々に変化する。これは、液晶中に不
純物が混入していると、不純物の影響により、液晶分子
に実効的に印加される電場が低減するためである。この
電場応答曲線の傾きの変化の仕方は、不純物の量や種類
だけでなく、不純物量がある程度以上になると印加され
る電場の極性によっても異なってくる。したがって、そ
れぞれ互いに極性が異なるパルス電場を印加したときの
電場応答曲線の傾きを解析することにより、液晶に混入
した不純物の検出、同定、定量が可能になる。
【0009】また、この方法では特定波長域の光を液晶
素子に照射しており、測定対象となる波長域以外の余分
な波長域の光が照射されることがないため、液晶素子の
温度上昇を抑制することができ、電場応答曲線の測定に
適した条件を維持することができる。
【0010】本発明で用いられる光としては、電場応答
曲線を感度よく求めることができる観点から、上述した
ように赤外光が特に好ましい。本発明においては、光源
からの光を任意の分光手段(分光器)により光を分散さ
せて特定波長域の光を取り出して液晶素子に照射し、液
晶層を通過した特定波長域の光を検出する。検出すべき
光は、液晶素子を透過した光でも液晶素子から反射され
る光でもよい。
【0011】本発明において用いる交流パルス電場の波
形は特に限定されず、矩形波、三角波、正弦波やこれら
の合成波などを用いることができる。ここで本発明にお
けるパルス幅とは、交流パルス電場を構成する基本波が
矩形波、三角波、正弦波のいずれの場合でも、この基本
波の1/2周期に対応する時間T、すなわち交流パルス
電場を構成する各基本波ごとに、液晶素子に1つの極性
の電場を印加する最少の時間を意味する。
【0012】また、上述した電場応答曲線の傾きの変化
の仕方は、印加される交流パルス電場のパルス幅によっ
ても異なり、しかもパルス幅に依存する変化の仕方は個
々の不純物で特有である。この点をより具体的に説明す
ると以下のようになる。液晶素子に電場を印加すると、
液晶中の電場応答性不純物は電場に応答して移動する
か、または電荷を移動させる。次に、電場の極性が反転
すると電場応答性不純物または電荷に作用する力の向き
が反転して不純物または電荷は上記と逆方向へ移動す
る。しかし、パルス幅が小さくなると、電場の極性が反
転しても不純物または電荷の運動の反転が追随できなく
なり、電場応答曲線により観測できなくなる。このよう
に観測ができなくなるパルス幅は、不純物または電荷の
実効的な質量および電気的性質によって異なるため、こ
のパルス幅と不純物の種類とを対応づけることができ
る。したがって、交流パルス電場のパルス幅を変化させ
て電場応答曲線を観測することにより、液晶素子中に混
入した不純物を特定することができる。
【0013】さらに、パルス幅の異なる複数のパルス列
を合成した合成交流パルス電場を印加し、この合成交流
パルス電場を構成する各パルス列に対応する電場応答曲
線を観測すれば、液晶素子中に混入した複数の特定不純
物を検出することもできる。
【0014】本発明の方法を好ましく実現するための液
晶素子の評価装置について説明する。この評価装置は、
1対の電極間に液晶層を有する液晶素子に極性が経時的
に反転する交流パルス電場を印加する手段と、前記液晶
層に光を照射する光源、例えば赤外光源と、前記光源か
ら照射された光から特定波長域の光を取り出す分光手段
と、前記光源から照射され前記分光手段により取り出さ
れた後に前記液晶層を通過した前記特定波長域の光を電
気信号に変換する光検出手段と、前記光検出手段により
変換された電気信号を時間分解して積算した信号を取り
出す手段と、得られた積算信号の経時変化を示す電場応
答曲線の傾きを算出する信号解析手段とを有するもので
ある。
【0015】本発明の評価装置において、特定波長域の
光を取り出すためには、例えば回折格子、プリズム、干
渉フィルターなど、任意の分光器(分散素子)が用いら
れる。これらの分光器を光源と液晶素子との間に設け、
光源からの光を分散させて特定波長域の光を得た後、そ
の特定波長域の光を液晶素子に照射する。このような分
光器の配置を採用した場合、分光器を液晶素子と光検出
器との間に設けて液晶層を通過した後の光を分散させて
特定波長域の光を得る場合と異なり、液晶素子には測定
対象となる波長域以外の余分な波長域の光が照射される
ことがない。このため、液晶素子の温度上昇を抑制する
ことができ、電場応答曲線の測定に適した条件を維持す
ることができる。
【0016】赤外光検出器としては、例えば高感度なM
CT(水銀−カドミウム−テルル)検出器が用いられ
る。赤外光検出器により変換された電気信号を時間分解
して積算した信号を取り出す手段としては、ボックスカ
ー積分器およびデジタルオシロスコープのいずれか一方
が用いられる。なお、測定対象となる光として赤外光を
用いる場合、検出される赤外光は微弱であるので、一般
的には赤外光検出器で変換された電気信号を増幅器で増
幅する。
【0017】本発明の評価装置では、試料となる液晶素
子に照射される光の大きさを調整することにより、液晶
素子における複数の位置で測定を行うことも可能とな
る。また、上述したように液晶素子中に混入した複数の
不純物を同定するために、前記交流パルス電場を印加す
る手段によりパルス幅の異なる複数のパルス列を合成し
た合成交流パルス電場を印加するようにし、信号を取り
出す手段により赤外光検出器により変換された電気信号
を合成交流パルス電場を構成する各パルス列に対応する
複数の電気信号に分解し、得られる各電気信号を時間分
解して積算した信号を取り出すようにしてもよい。
【0018】本発明の液晶素子評価素子の一例について
図1を参照してより詳細に説明する。図1において、シ
ンセサイザーやパルスジェネレーター1で発生するパル
ス信号を液晶セル10に印加する。一方、赤外光源2か
らの赤外光を赤外分光器3で分光して特定波長域の赤外
光を取り出し、偏光子4を通して液晶セル10に照射
し、液晶セル10を透過した赤外光をMCT検出器5で
検出して電気信号に変換する。この電気信号をプリアン
プ6、メインアンプ7で増幅し、デジタルサンプリング
オシロスコープ8へ入力して時間分解して積算する。評
価装置の全体はコンピュータ9で制御する。
【0019】なお偏光子4は特に設置しなくてもよい。
また、パルス幅の異なる複数のパルス列を合成した合成
交流パルス電場を発生させ、MCT検出器5により変換
された電気信号を合成交流パルス電場を構成する各パル
ス列に対応する複数の電気信号に分解する場合にも、コ
ンピュータ9による制御を行う。
【0020】このような構成では、上述したように赤外
分光器3により測定対象となる波長域以外の余分な波長
域の光をカットすることができる。このため、液晶セル
10の温度上昇を抑制することができ、電場応答曲線の
測定に適した条件を維持することができる。
【0021】さらに、本発明の液晶素子評価装置は、1
対の電極間に液晶層を有する液晶素子に極性が経時的に
反転する交流パルス電場を印加する電源と、交流パルス
電場が印加された液晶素子の時間分解赤外分光法による
電場応答曲線を求め電場応答曲線の傾きを算出する信号
解析機能を持たせた赤外分光装置とを組み合わせてもよ
い。すなわち、この赤外分光装置は、赤外光源と、赤外
光源から照射された光から特定波長域の光を取り出す赤
外分光器と、赤外光源から照射され赤外分光器により取
り出された後に液晶層を通過した特定波長域の赤外光を
電気信号に変換する赤外光検出器と、赤外光検出器によ
り変換された電気信号を時間分解して積算した信号を取
り出す積算器と、得られた積算信号の経時変化を示す電
場応答曲線の傾きを算出する信号解析器とを備えたもの
である。
【0022】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。なお、以
下の実施例では液晶材料として下記式に示すペンチルシ
アノビフェニル(5CB)を注入した液晶セルを用い、
5CBのシアノ基のCN三重結合に着目して測定を行っ
た。この三重結合伸縮振動の遷移双極子モーメントは、
液晶分子の長軸と平行になっているので、このモードに
帰属される2225cm-1の赤外吸収を検出することに
より電場印加時の液晶分子の向きを評価することができ
る。
【0023】
【化1】
【0024】実施例1 基板として、シリコンウェーハ、またはITO(インジ
ウム−スズ酸化物)透明電極付きガラス基板を用い、T
N型液晶素子用配向膜材料としてポリイミド前駆体であ
るポリアミック酸の溶液(日立化成製、LX−140
0)をスピンコートにより基板上に塗布した。これをオ
ーブンにて350℃で1時間焼成して液晶配向膜を成膜
した。ラビング処理後、セルギャップ約10μmの液晶
セルを作製した。この液晶セルに、液晶材料として5C
Bを注入した。配向膜材料として用いられたポリアミッ
ク酸は焼成過程においてイミド化してポリイミドになる
が、イミド化が不十分で未反応のポリアミック酸が残っ
ていると、これに由来する電場応答性不純物、例えばプ
ロトンがセル中に存在すると考えられる。
【0025】図1に示す評価装置を用い、この液晶セル
に2225cm-1付近の波長域の赤外光を照射しながら
パルス幅T=1msの交流パルス電場を印加したときの
電場応答曲線を測定した結果を図2に示す。図2に示さ
れるように、電場の極性が反転する前後でパルス幅時間
内での電場応答曲線の傾きが変化することが確認され
た。
【0026】ここで、図1に示す評価装置を用いた場合
には液晶セルの温度上昇は1℃以下であった。そして、
測定を繰り返しても、電場応答曲線に変動は認められな
かった。これに対して、赤外分光器を液晶セルとMCT
検出器との間に設け、分光していない赤外光を液晶セル
に照射した後、液晶層を通過した赤外光を分光するよう
にした評価装置を用いた場合には液晶セルの温度が約5
℃上昇した。これは、液晶セルに測定波長域以外の余分
な赤外光が照射されるためである。このため、測定を繰
り返すと電場応答曲線に変動が認められた。
【0027】具体的には、温度上昇に伴って液晶素子内
における液晶分子の配向度が悪化して電場応答の大きさ
が減少した。一方、液晶セルに不純物が混入している場
合にも電場応答の大きさは減少するので、ここでは液晶
セルの温度上昇による電場応答曲線の変動を、不純物混
入による変動と混同するおそれがある。これを避けるた
めには、試料の温度が安定するまで約1時間待つ必要が
あり、たくさんの試料を迅速に処理しようという要請と
合致しない。したがって、この問題を解決するために
は、試料の温度上昇を防止する必要がある。以上の結果
からわかるように、図1の評価装置では液晶セルの温度
上昇による問題が回避され、高速処理を達成できること
が確認された。
【0028】さらに、交流パルス電場のパルス幅Tを、
T=1msから、T=0.5ms、T=0.25ms、
・・というように順次1/2に短くして、上記と同様に
電場応答曲線を測定した。この結果、Tが125μsよ
り大きい範囲では、交流パルス電場の極性反転に伴って
電場応答曲線の傾きが変化しており、電場応答曲線にお
ける時間変化率の不連続が観測された。これに対して、
Tが125μs以下の範囲では、交流パルス電場の極性
が反転しても電場応答曲線における時間変化率は連続的
であった。このように、液晶配向膜の原料であるポリア
ミック酸に由来するプロトンは、パルス幅Tが125μ
sより大きい範囲で不純物として検出されることが確認
された。
【0029】実施例2 基板としてシリコンウェーハまたはITO透明電極付き
ガラス板を用い、予めイミド化されたポリイミドの溶液
からなるTFT液晶素子用配向膜材料をスピンコートに
より基板上に塗布した。これをオーブンにて180℃で
1時間焼成して液晶配向膜を成膜した。ラビング処理
後、セルギャップを約10μmに調整した液晶セルを作
製した。この液晶セル中に、電場応答性不純物として5
CB3gあたりエタノールを2.5mg混入した液晶材
料を注入した。この場合、5CB:エタノールのモル比
は1000:3.5である。
【0030】図1に示す評価装置を用い、この液晶セル
に2225cm-1付近の波長域の赤外光を照射しながら
パルス幅T=1msの交流パルス電場を印加したときの
電場応答曲線を測定した。その結果、電場の極性が反転
する前後でパルス幅時間内での電場応答曲線の傾きが変
化した。
【0031】さらに、交流パルス電場のパルス幅Tを、
T=1msから、T=0.5ms、T=0.25ms、
・・というように順次1/2に短くして、上記と同様に
電場応答曲線を測定した。この結果、Tが62.5μs
より大きい範囲では、交流パルス電場の極性反転に伴っ
て電場応答曲線の傾きが変化しており、電場応答曲線に
おける時間変化率の不連続が観測された。これに対し
て、Tが62.5μs以下の範囲では、交流パルス電場
の極性が反転しても電場応答曲線における時間変化率は
連続的であった。
【0032】本実施例では予めイミド化された配向膜材
料を用いているため、このセルには実施例1で述べたポ
リアミック酸に由来する電場応答性不純物は存在しな
い。よって電場の極性の反転によって検出された不純物
は、混入したエタノールまたはこれに含まれる水分に由
来するものと考えられる。エタノールまたはこれに含ま
れる水分はプロトンを放出し、電場応答性不純物として
作用すると考えられる。以上の結果から、洗浄溶媒であ
るエタノール由来のプロトンはTが62.5μsより大
きい範囲で不純物として検出されることが確認された。
【0033】また、液晶中のエタノール濃度を変化させ
て検量線を作成しておくことにより、液晶中に混入した
エタノールを定量できる。このような手法は他の不純物
にも適用できることはもちろんである。さらに本発明で
は、電場応答曲線の傾きを算出する信号解析手段を液晶
素子の評価装置のコンピュータ9などに付設しておけ
ば、電場応答性不純物の検出を液晶素子の評価装置で機
械的かつ精度よく行うことも可能である。
【0034】実施例3 基板としてシリコンウェーハまたはITO透明電極付き
ガラス板を用い、予めイミド化されたポリイミドの溶液
からなるTFT液晶素子用配向膜材料をスピンコートに
より基板上に塗布した。これをオーブンにて180℃で
1時間焼成して液晶配向膜を成膜した。ラビング処理
後、セルギャップを約10μmに調整した液晶セルを作
製した。この液晶セル中に、5CBに対して電場応答性
不純物として4−ジメチルアミノ−4’−ニトロビフェ
ニルを、モル比で1000:1の割合で混入した液晶材
料を注入した。
【0035】図1に示す評価装置を用い、この液晶セル
に2225cm-1付近の波長域の赤外光を照射しながら
パルス幅T=1msの交流パルス電場を印加したときの
電場応答曲線を測定した。その結果、電場の極性が反転
する前後でパルス幅時間内での電場応答曲線の傾きが変
化した。
【0036】さらに、交流パルス電場のパルス幅Tを、
T=1msから、T=0.5ms、T=0.25ms、
・・というように順次1/2に短くして、上記と同様に
電場応答曲線を測定した。この結果、Tが31.25μ
sより大きい範囲では、交流パルス電場の極性反転に伴
って電場応答曲線の傾きが変化しており、電場応答曲線
における時間変化率の不連続が観測された。これに対し
て、Tが31.25μs以下の範囲では、交流パルス電
場の極性が反転しても電場応答曲線における時間変化率
は連続的であった。
【0037】本実施例でも予めイミド化された配向膜材
料を用いているため、このセルには実施例1で述べたポ
リアミック酸に由来する電場応答性不純物は存在しな
い。よって電場の極性の反転によって検出された不純物
は、4−ジメチルアミノ−4’−ニトロビフェニルに由
来するものと考えられる。この分子は大きな双極子モー
メントを有し、この双極子モーメントが印加電場と相互
作用して電場応答性不純物として作用すると考えられ
る。以上の結果から、4−ジメチルアミノ−4’−ニト
ロビフェニルは、パルス幅Tが31.25μsより大き
い範囲で不純物として検出されることが確認された。
【0038】さらに、以上の実施例で得られた知見か
ら、パルス幅の異なる複数のパルス列を合成した合成交
流パルス電場を印加すれば、液晶素子中に混入した複数
の特定不純物を検出することができる。すなわち、ここ
での複数のパルス列のパルス幅をそれぞれ各実施例で確
認されたしきい値以上あるいは以下の時間に適宜設定す
ることで、液晶素子中に混入した未反応のポリアミック
酸、エタノール、4−ジメチルアミノ−4’−ニトロビ
フェニルの各不純物ごとに、検出、定量などを行うこと
が可能となる。
【0039】
【発明の効果】以上詳述したように本発明によれば、液
晶素子に含まれる電場応答性不純物を簡便かつ高感度に
評価して不純物の種類も特定でき、しかも高速処理を達
成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液晶素子評価装置の一例を示すブロッ
ク図。
【図2】本発明の本発明の実施例1における液晶セルの
電場応答曲線を示す特性図。
【符号の説明】
1…パルスジェネレーター、2…赤外光源、3…赤外分
光器、4…偏光子、5…MCT検出器、6…プリアン
プ、7…メインアンプ、8…デジタルサンプリングオシ
ロスコープ、9…コンピュータ、10…液晶セル。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉田 宏 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株式会社東芝研究開発センター内 (56)参考文献 特開 平6−110027(JP,A) 特開 昭61−271460(JP,A) 特開 平8−262385(JP,A)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1対の電極間に液晶層を有する液晶素子
    に電場を印加しながら特定波長域の光を照射し、前記液
    晶層を通過した光を時間分解して測定することにより光
    強度の経時変化に相当する電場応答曲線を求める工程を
    有し、前記液晶素子に互いに極性が異なるパルス電場を
    印加したときに、それぞれのパルス幅の時間内で得られ
    る前記電場応答曲線の傾きに基づいて、液晶素子中に混
    入した不純物を検出することを特徴とする液晶素子評価
    方法。
  2. 【請求項2】 液晶素子に極性が交互に反転する交流パ
    ルス電場を印加することを特徴とする請求項1記載の液
    晶素子評価方法。
  3. 【請求項3】 前記交流パルス電場のパルス幅を変化さ
    せることにより、液晶素子中に混入した不純物を特定す
    ることを特徴とする請求項1または請求項2記載の液晶
    素子評価方法。
  4. 【請求項4】 1対の電極間に液晶層を有する液晶素子
    に極性が経時的に反転する交流パルス電場を印加する手
    段と、前記液晶層に光を照射する光源と、前記光源から
    照射された光から特定波長域の光を取り出す分光手段
    と、前記光源から照射され前記分光手段により取り出さ
    れた後に前記液晶層を通過した前記特定波長域の光を電
    気信号に変換する光検出手段と、前記光検出手段により
    変換された電気信号を時間分解して積算した信号を取り
    出す手段と、得られた積算信号の経時変化を示す電場応
    答曲線の、前記交流パルス電場のそれぞれのパルス幅の
    時間内での傾きを算出する信号解析手段とを具備したこ
    とを特徴とする液晶素子評価装置。
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