JP2699260B2 - ゼラチン樹脂の製造方法 - Google Patents

ゼラチン樹脂の製造方法

Info

Publication number
JP2699260B2
JP2699260B2 JP6103659A JP10365994A JP2699260B2 JP 2699260 B2 JP2699260 B2 JP 2699260B2 JP 6103659 A JP6103659 A JP 6103659A JP 10365994 A JP10365994 A JP 10365994A JP 2699260 B2 JP2699260 B2 JP 2699260B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
gelatin
aldehyde
resin
gel
water
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP6103659A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH07310056A (ja
Inventor
拓也 前田
治雄 元吉
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Wakayama Prefecture
Original Assignee
Wakayama Prefecture
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Wakayama Prefecture filed Critical Wakayama Prefecture
Priority to JP6103659A priority Critical patent/JP2699260B2/ja
Publication of JPH07310056A publication Critical patent/JPH07310056A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2699260B2 publication Critical patent/JP2699260B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ゼラチン樹脂を得るに
あたり、例えば耐熱性,耐水性,分解性などの諸性質を
計画的に調整できるゼラチン樹脂の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、ゼラチンは、皮革製造工程など
で副生する動物の皮片,あるいは腱筋膜や骨などに含ま
れるコラーゲンを加水分解して得た水溶性タンパク質で
あり、コストや供給安定性の面で重宝される原材料であ
って、古くから食用添加物や写真用増感剤などに用いら
れてきた。かかるゼラチンは、それ自体、生分解性を備
えており、また水溶液をゲル化温度以下にすると、ゼラ
チンゲルになる。ところで近年、一部の用途において
は、ゼラチンから合成高分子材料に代替されてきてお
り、そのため皮革製造工程などで余剰となった副生物の
処理が問題になっている。
【0003】一方、現在使用されている汎用のプラスチ
ックは、自然界では分解されにくく、廃棄物として埋め
立て,海洋投棄,燃焼などにより処理されている場合が
多いが、これらの処理に種々の問題が内在しているの
は、周知の通りである。そのため、自然界で分解され得
る実用的な生分解性プラスチックの開発が社会的な要請
となっている。
【0004】そこで、ゼラチンに対して反応性の高い、
アルデヒド類を用いてゼラチンゲル中のゼラチン自体を
架橋させることにより、ゼラチン樹脂を製造することが
試みられている。この場合、ゼラチンのみにより得たゼ
ラチン樹脂であれば、比較的脆いので、これを改善する
ために、例えば適量の水溶性可塑剤(例えば、グリセリ
ン,グリコールなど)が予め原料に添加されている。こ
のようなアルデヒドを用いたゼラチン樹脂の従来製法と
しては、ゲル化前のゼラチン水溶液に所定量のアルデヒ
ドを添加する製法や、ゼラチンゲル又はその乾燥物をア
ルデヒド溶液に浸漬する製法が、一般によく知られてい
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前者の製法
によれば、得られるゼラチン樹脂の耐熱性,耐水性,分
解性などの諸性質は、ゼラチン水溶液へのアルデヒド添
加量によって調整されている。しかしながら、ゼラチン
水溶液に比較的少量のアルデヒドを添加した場合、アル
デヒドがゼラチン水溶液中に均一に分散されにくく、か
つ、添加直後にその近傍で反応が進むため、「継粉(ま
まこ)」と称される塊状体がゲル中に点在して生じるこ
とがあり、樹脂の諸性質に不都合を及ぼすことがあっ
た。逆に、ゼラチン水溶液に比較的多量のアルデヒドを
添加した場合には、樹脂の固さや強度が大きくなりすぎ
て、用途に応じて要求される耐水性や耐熱性などの諸性
質を備えたゼラチン樹脂を得ることが困難であった。即
ち、この製法により得られるゼラチン樹脂は、その諸性
質がゼラチン水溶液の段階で決定され、これにより利用
範囲が限定されてしまうのである。
【0006】他方、後者の製法であれば、予め所定に調
製されているゼラチンゲルがアルデヒド溶液に浸漬され
るので、ゼラチン以外の成分(例えば、グリセリンな
ど)がゼラチンゲルからアルデヒド溶液中に溶出するこ
とがあり、そのため後で得られるゼラチン樹脂が種々の
用途に応じた諸性質を満たさなくなることがあり、ゼラ
チン樹脂の品質管理が困難であった。また、ゼラチンゲ
ル乾燥物を樹脂原料として用いた場合には、無用な再乾
燥工程を最終的に必要とし、この再乾燥工程に要するコ
ストの削減が嘱望される。
【0007】そこで、上記したような問題を解決するも
のとして、特開平2−8880号公報に開示されたゼラ
チンホログラムの製造方法が挙げられる。この製法は、
アルコール脱水やベーキングによりゲルの乾燥物を得た
後、このゲル乾燥物を硬化するのに十分な量の水蒸気の
下で十分な量のアルデヒド蒸気に暴露することにより、
ゼラチン分子間を架橋させてゼラチン樹脂を形成するよ
うにしたものである。その際、ゲル乾燥物を水蒸気によ
り膨潤させてアルデヒドを浸透しやすくするようになっ
ている。ところが、上記の公報開示製法に用いられるゲ
ル乾燥物には、水溶性可塑剤が含まれていない。そのた
め、次のような問題点があった。 (1)ゲル乾燥物をそのままアルデヒド蒸気に暴露した
場合はアルデヒドが十分に浸透せず、樹脂の硬化が不十
分となって実用的な製品樹脂が得られない。従って、ア
ルデヒド蒸気暴露の際には、必ず膨潤用の水蒸気を用い
なければならず、水蒸気供給設備や供給量制御装置を必
要としていた。 (2)得られたゼラチン樹脂は脆いので、写真原紙など
の支持体に担持させなければならず、単独の樹脂構造体
として用いることができない。
【0008】他方、特開平2−28260号公報には、
水溶性可塑剤を含むゼラチン水溶液に、成形直前にアル
デヒドを添加して射出成形するものが開示されている。
しかしながら、この公報開示の製法であれば、成形時点
でゼラチン樹脂の架橋度が決まり成形後は架橋度の変更
がきかないので、成形に先立ち最終成形物の所要の性質
に応じたアルデヒド添加量を設定しておかなければなら
ない。また、既述したと同様にゼラチン水溶液に対して
アルデヒドが添加されるので、アルデヒドをゼラチン水
溶液中に均一に分散できなかったり、あるいはアルデヒ
ドの添加箇所近傍で集中して反応が進むことがある。そ
のため、架橋度が不均一になったり、最終成形物の性質
に悪影響を及ぼすおそれがある。そして、一定の成形物
を得るためには、成形原料の含水量を5〜25wt%の
範囲内にしておく必要があり、含水量を所定に保つため
に細心の注意を払わなければならない。
【0009】本発明は、上記従来の事情に鑑みてなされ
たものであって、ゼラチン樹脂を得るにあたり、種々の
用途に応じて要求される諸性質を計画的に調整すること
のできるゼラチン樹脂の製造方法の提供を目的とするも
のである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明に係るゼラチン樹脂の製造方法は、ゼラチン
および水溶性可塑剤を含有するゲルを成形し、成形した
ゲルの乾燥物を得た後、当該ゲルの乾燥物をアルデヒド
蒸気に暴露してゼラチン樹脂を得る構成にしてある。こ
こで、本発明のアルデヒド蒸気に用いられるアルデヒド
としては、特に限定されないが、例えば、ホルムアルデ
ヒド,アセトアルデヒド,プロピオンアルデヒド,ブチ
ルアルデヒド,イソブチルアルデヒド,グルタルジアル
デヒド,アクロレイン,プロピオールアルデヒドなどが
好適である。また、ゼラチンおよび水溶性可塑剤を含む
ゲルの乾燥物中における、ゼラチン濃度又はゼラチン以
外の成分(例えば、水溶性可塑剤など)の濃度は、特に
限定されないが、実用上支障のない性質を有したゲルを
形成し得る濃度であればよい。上記の水溶性可塑剤とし
ては、特に限定されないが、例えば、グリセリン,グリ
コールなどを使用することができる。また、暴露温度及
び圧力は、特に限定されないが、暴露に用いられるアル
デヒドの蒸気圧に応じて、アルデヒド蒸気の充満した雰
囲気を保てる温度及び圧力とすればよい。
【0011】
【作用】上記構成によれば、まず所定のアルデヒドを例
えば密閉装置内の容器中に入れたのち、装置内温度をア
ルデヒドが蒸発し得る温度以上に保ち、密閉装置内をア
ルデヒド蒸気が充満した雰囲気にする。次に、ゼラチン
および水溶性可塑剤を含有する溶液を調整し、この溶液
をガラス板上などに放置してゲルを成形する。続いて、
ゲルを乾燥させて得た乾燥物を密閉装置内に入れ、アル
デヒド蒸気で所定時間暴露する。すると、アルデヒドは
水溶性可塑剤を通ってゲルの乾燥物内に十分に浸透す
る。これにより、ゼラチン自体が架橋されて、ゼラチン
樹脂が得られる。この場合、アルデヒド蒸気による暴露
時間を変えることにより、得られるアルデヒド樹脂の諸
性質、例えば耐熱性,耐水性,分解性などが調整され
る。
【0012】
【実施例】本発明に係るゼラチン樹脂の製造方法の実施
例につき、図面も参照しつつ以下に詳しく説明する。こ
こに、図1は本発明に係るゼラチン樹脂の製造工程を示
すブロック図、図2は本発明に係る製造方法によりアル
デヒド蒸気の暴露時間を変えて得たゼラチン樹脂の諸性
質を示すグラフである。
【0013】実施例1. 図1の製造工程に示すように、ゼラチンに対して所定量
(例えば、80wt%以下の適当量)のグリセリンを水
120mlに添加し20℃に調整した液に、ゼラチン2
0gを浸漬し、60分間放置して膨潤させる。そのの
ち、昇温して60℃に30分間保ちゼラチンを溶解させ
て、ゼラチン水溶液とする。次いで、ゼラチン水溶液を
ガラス板上に1mm厚にキャストしてから10℃にて3
時間放置すると、ゼラチンゲルが形成される(ゲル化工
程1)。得られたゼラチンゲルを真空乾燥に供すると、
0.15mm厚の乾燥物が得られた(乾燥工程1a)。
次に、デシケータ内に予め収容してある容器にホルマリ
ン(ホルムアルデヒド(沸点=−21℃)の約37wt
%水溶液)を入れ、10℃にて数分間放置してデシケー
タ内をホルムアルデヒドの蒸気が充満した雰囲気にした
のち、上記の乾燥物をデシケータ内に収容して放置し、
ホルムアルデヒド蒸気で1時間暴露して(アルデヒド蒸
気暴露工程2)、ゼラチン樹脂を得た。
【0014】原料に用いたゼラチンの分子量(見掛け分
子量)は、高速液体ゲルクロマトグラフィー(日本分光
工業株式会社製)を用いて測定した。この分子量の測定
にあたり、展開溶媒と同じ組成で45℃に保った液に、
試料のゼラチンを加え30分間溶解させて供試液とし
た。測定用のカラムは、いずれも内径7.6mm、長さ
250mmであるAsahipack GS520,G
S620,GS710の3本を直列に連結して用いた。
0.1モル当量のトリスと塩酸を混合してなる緩衝液
と、0.2モル当量の塩化ナトリウムと、1モル当量の
尿素とを混合して展開溶媒(pH=7.0)を調製し、
カラム温度30℃,流量0.7ミリリットル/分で展開
し、供試液を検出紫外線波長230nmでモニタリング
した。ゼラチンの分子量は、分子量既知の標準物質を用
いて予め作成した検量線を参照しつつ、測定時に検出さ
れた最大ピークに対応した値から求めた。それによる
と、ゼラチンの分子量は約10万であった。
【0015】上記のようにして得たゼラチンゲル(ブラ
ンク)及びゼラチン樹脂につき、耐熱性,耐水性,生分
解性に関する評価をそれぞれ行った。試料は、温度23
℃,相対湿度50%の比較的標準な条件下で72時間以
上調整したものを、それぞれに供試した。 「耐熱性」に関しては、示差熱走査熱量分析装置(セイ
コー電子工業株式会社製)を用い、試料2mgを供試し
て、昇温速度5℃/分で測定し、ピークトップにおける
検出値を熱変性温度として求めた。 「耐水性」に関しては、37℃の水に試料を48時間浸
漬した後、水中の化学的酸素要求量(COD:水中の溶
出有機炭素量が多くなると、水中のCOD値が高くなる
ことを利用)をJIS−K−0101法に準拠して検出
し、ゼラチンゲル(ブランク)そのものに係る測定値を
基準(100%)とし、これに対する比率を溶解率とし
て求めた。 「生分解性」に関しては、酵素(プロテナーゼを使用)
に好適な条件下(pH=約6.2,温度26〜30℃)
に試料を調整し、この試料を常法の酵素分解法に供して
48時間後に、試料溶液中のCOD(ゼラチンが分解す
ると、試料溶液中のCOD値が高くなることを利用)を
JIS−K−0101法に準拠して測定し、ゼラチンゲ
ル(ブランク)そのものに係る測定値を基準(100
%)とし、これに対する比率を分解率として求めた。
【0016】実施例2. 実施例2では、ホルムアルデヒド蒸気による暴露時間を
3時間とし、他の製造条件及び測定条件は実施例1の場
合と同様とした。
【0017】実施例3. 実施例3では、ホルムアルデヒド蒸気による暴露時間を
7時間とし、他の製造条件及び測定条件は実施例1の場
合と同様とした。
【0018】以上述べた各実施例にて得られた、暴露時
間の異なるゼラチン樹脂の熱変成温度,水への溶解率,
及び酵素による分解率の評価結果を、それぞれ表1及び
図2に示す。
【0019】〔表1〕
【0020】これらの評価結果によると、暴露時間によ
り、ゼラチン樹脂の耐熱性,耐水性,生分解性を計画的
にコントロールできた。しかも、実施例1〜実施例3に
より得られたゼラチン樹脂はいずれも、水と接触した場
合であっても、当該接触部位に粘着性を生じない程度に
耐水性の優れたものであった。
【0021】また、これらの実施例により得られたゼラ
チン樹脂は、ゼラチン分子間の架橋構造に関する確認試
験を実施していないが、上記のような耐熱性(熱変性温
度)や耐水性(溶解率)の測定結果から判断すると、適
度の架橋構造が形成されているものと考えられる。ま
た、各実施例により得られたゼラチン樹脂のそれぞれに
ついて、常法の引張試験及び吸湿試験も実施したが、引
張強さ,引裂強さ,吸湿度のいずれも暴露時間による差
異は極めて少なかった。
【0022】尚、ゼラチンに対して80wt%までの範
囲内で添加されるグリセリンによる影響としては、予期
されたように従来の傾向と同様であり、グリセリン添加
量が増すと、ゼラチン樹脂の引張強さ及び引裂強さが低
下し、伸び及び吸湿度が大きくなるとともに、熱変性温
度が低くなり、分解率が大きくなる傾向が認められた。
即ち、グリセリンなどの水溶性可塑剤は、上記の傾向を
考慮しつつ、従来通り、用途に応じた量を添加すればよ
い。
【0023】そして、アルデヒド蒸気による暴露雰囲気
の温度を、各実施例と比べて高くすると、それぞれ同じ
値の熱変成温度,溶解率,分解率に達するときの暴露時
間は早くなる。そして、その後の暴露時間に対するそれ
ぞれの挙動は、上記実施例の挙動をほぼ平行移動したも
のであった。因みに、暴露雰囲気の温度を各実施例より
も高い20℃にすると、暴露雰囲気中のアルデヒド蒸気
密度が高くなって反応速度が大きくなるので、熱変性温
度の立ち上がりが早くなる一方、溶解率及び分解率は早
く減少する挙動を示した。但し、暴露雰囲気の温度を2
0℃にした場合、ホルムアルデヒドの刺激臭が強すぎて
実験的に取扱いにくいため、これを考慮して上記各実施
例では、暴露雰囲気の温度を10℃にした例を示してい
るのである。
【0024】尚、上記各実施例では、ゼラチンゲルを乾
燥工程で乾燥させて得た乾燥物を、アルデヒド蒸気暴露
工程に供したが、上記の乾燥工程を省き、ゼラチンゲル
をそのままアルデヒド蒸気暴露工程に供した場合でも、
諸性質を調整可能なゼラチン樹脂を得ることができた。
このゼラチン樹脂は、ゼラチン分子間に保持されている
水およびグリセリン中にホルムアルデヒドが溶け込ん
で、このホルムアルデヒドがゼラチン分子と効果的に反
応しやすいため、上記のゼラチンゲル乾燥物から得たゼ
ラチン樹脂と比べて、暴露面側から早く硬化した。即
ち、ゼラチンゲルをそのままアルデヒド蒸気に暴露して
得たゼラチン樹脂のほうが、架橋速度が速いものと考え
られる。その一方で、ゼラチンゲル乾燥物から得たゼラ
チン樹脂は、アルデヒド蒸気暴露工程の前後を通して型
崩れしにくく取扱いが容易であるため、工業的に向いて
いる。
【0025】
【発明の効果】本発明に係るゼラチン樹脂の製造方法
は、以上述べたように、ゼラチンおよび水溶性可塑剤を
含有するゲルを成形し、成形したゲルの乾燥物を得た
後、当該ゲルの乾燥物をアルデヒド蒸気に暴露するよう
にしたので、例えばアルデヒド蒸気の暴露時間を変える
ことにより、所謂なめし度合いの異なるゼラチン樹脂を
製造することができた。即ち、本発明に係るゼラチン樹
脂の製造方法は、ゼラチンのゲル化物の乾燥物に対し
て、ゼラチン樹脂に係る耐熱性や生分解性などの諸性質
を、用途に応じて容易に変更調整できるなど、従来の技
術的課題を解決することが可能である。従って、諸性質
を調整可能に得られる本発明のゼラチン樹脂は、その特
性を利用した新しい用途、例えば生分解性樹脂,光分解
性樹脂,生体適応性樹脂などへの応用が期待できるもの
である。
【0026】また、本発明ではゲルの乾燥物に予め水溶
性可塑剤を含有させてあるから、アルデヒド蒸気で暴露
するにあたり膨潤用の水蒸気を必要としない。即ち、ア
ルデヒドは水溶性可塑剤を通ってゲルの乾燥物内に十分
に浸透するので、水蒸気を用いなくてもゼラチンを架橋
して硬化させることができる。従って、水蒸気供給設備
や水蒸気供給量制御装置を用いることなく、ゼラチン樹
脂を製造できる。同時に、水溶性可塑剤により脆さが改
善されて適度の剛性と柔軟性を併有した製品樹脂を得る
ことができる。従って、従来のゼラチンホログラムのよ
うに写真原紙などの支持体を必要とせず、単独の樹脂構
造体を得ることができるのである。
【0027】そして、本発明では、まずゲルを成形する
ようにしてあるので、原料中の含水量はゲル化できる程
度以下であればよく含水量の多少は後続の乾燥処理によ
り対処されるため、原料中の含水量に多大な注意を払わ
なくてすむ。また、製造途中において得たゲル乾燥物の
段階でも比較的強度があって型崩れしにくく取扱い性が
よいので、多様な製造形態に適用できる。そして、ゲル
の乾燥物をアルデヒド蒸気に暴露する際、周囲雰囲気の
アルデヒドは水溶性可塑剤を通って乾燥物内に徐々に入
り込みゼラチンを架橋させる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るゼラチン樹脂の製造工程を示すブ
ロック図である。
【図2】本発明に係る製造方法によりアルデヒド蒸気の
暴露時間を変えて得たゼラチン樹脂の諸性質を示すグラ
フである。
【符号の説明】
1 ゲル化工程 1a 乾燥工程 2 アルデヒド蒸気暴露工程

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ゼラチン樹脂を得るにあたり、ゼラチン
    および水溶性可塑剤を含有するゲルを成形し、成形した
    ゲルの乾燥物を得た後、当該ゲルの乾燥物をアルデヒド
    蒸気に暴露することを特徴とするゼラチン樹脂の製造方
    法。
JP6103659A 1994-05-18 1994-05-18 ゼラチン樹脂の製造方法 Expired - Fee Related JP2699260B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6103659A JP2699260B2 (ja) 1994-05-18 1994-05-18 ゼラチン樹脂の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6103659A JP2699260B2 (ja) 1994-05-18 1994-05-18 ゼラチン樹脂の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH07310056A JPH07310056A (ja) 1995-11-28
JP2699260B2 true JP2699260B2 (ja) 1998-01-19

Family

ID=14359918

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP6103659A Expired - Fee Related JP2699260B2 (ja) 1994-05-18 1994-05-18 ゼラチン樹脂の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2699260B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE102004024635A1 (de) * 2004-05-12 2005-12-08 Deutsche Gelatine-Fabriken Stoess Ag Verfahren zur Herstellung von Formkörpern auf Basis von vernetzter Gelatine
DE102005054943A1 (de) * 2005-11-17 2007-05-24 Gelita Ag Verfahren zur Herstellung eines Hohlprofils auf Basis eines vernetzten, Gelatine enthaltenden Materials sowie Implantate in Form von Hohlprofilen

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EG16028A (en) * 1982-03-26 1986-12-30 Warner Lambert Co Apparatus and method for molding capsules
US4904554A (en) * 1988-03-21 1990-02-27 Hughes Aircraft Company Gas phase hardening of gelatin holograms

Also Published As

Publication number Publication date
JPH07310056A (ja) 1995-11-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Lin et al. The modification of gelatin films: Based on various cross‐linking mechanism of glutaraldehyde at acidic and alkaline conditions
Garavand et al. Improving the integrity of natural biopolymer films used in food packaging by crosslinking approach: A review
Coimbra et al. Tailoring the properties of gelatin films for drug delivery applications: Influence of the chemical cross-linking method
Wang et al. Selected properties of pH‐sensitive, biodegradable chitosan–poly (vinyl alcohol) hydrogel
Zheng et al. Mechanical and moisture sensitivity of fully bio-based dialdehyde carboxymethyl cellulose cross-linked soy protein isolate films
JP2950618B2 (ja) 生分解性耐水性高分子材料
Vaz et al. In vitro degradation behaviour of biodegradable soy plastics: effects of crosslinking with glyoxal and thermal treatment
Tillekeratne et al. Modification of zein films by incorporation of poly (ethylene glycol) s
Aguilar et al. Effect of different polyols as plasticizers in soy based bioplastics
Vaz et al. Effect of crosslinking, thermal treatment and UV irradiation on the mechanical properties and in vitro degradation behavior of several natural proteins aimed to be used in the biomedical field
EP1700115A1 (en) Polymeric materials incorporating a ph indicator dye
Vaz et al. Processing and characterization of biodegradable soy plastics: Effects of crosslinking with glyoxal and thermal treatment
Aregueta‐Robles et al. Tailoring 3D hydrogel systems for neuronal encapsulation in living electrodes
JP2699260B2 (ja) ゼラチン樹脂の製造方法
Sessa et al. Properties of films from corn zein reacted with glutaraldehyde
Rosseto et al. Accelerated aging of starch-gelatin films with enzymatic treatment
FR2565160A1 (fr) Procede pour la realisation d'une lentille de contact souple en polymere(s) proteique(s) naturel(s), et lentille de contact ainsi obtenue
Chaibi et al. The role of crosslinking on the physical properties of gelatin based films
Ocak Development of novel collagen hydrolysate bio-nanocomposite films extracted from hide trimming wastes reinforced with chitosan nanoparticles
Mitra et al. Di-carboxylic acid cross-linking interactions improves thermal stability and mechanical strength of reconstituted type I collagen: Part I. oxalic acid
Purkayastha et al. Preparation and properties of crosslinked poly (vinyl alcohol)/nanofibrillated cellulose based biocomposite by subcritical water/CO2 process
Langmaier et al. Heat-treated biodegradable films and foils of collagen hydrolysate crosslinked with dialdehyde starch
Czerner et al. Mechanical behavior of cold‐water fish gelatin gels crosslinked with 1, 4‐butanediol diglycidyl ether
García Schejtman et al. Gelatin films dendronized selectively on one side: enhancing antimicrobial properties and water repellence
Yang et al. Design and Applications of Dynamic Hydrogels Based on Reversible C═ N Bonds

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees