JP2694746B2 - リン酸の製造方法 - Google Patents

リン酸の製造方法

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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、リン酸の新製造方法に関する。さらに詳し
くは、陽イオン交換樹脂を用いてリン鉱石を分解するこ
とを特徴とするリン酸の製造方法に関する。
〔従来技術と発明が解決しようとする課題〕
リン鉱石からのリン酸やリン含有肥料の製法は乾式法
と湿式法に大別されるが、高温での電熱還元工程で製造
する前者では電力消費量が極めて大きく湿式法が優位に
立ちつつある。
湿式法では分解、結晶熟成、ろ過、濃縮の4工程で行
われる。
あらかじめ粉砕されリン鉱石粉に分解剤として硫酸も
しくは硫酸一リン酸の混酸を供給し80〜100℃で反応さ
せる。この工程でリン酸が生成するが、同時にセッコウ
がスラリーとしてでき、時にはリン鉱石表面を覆うため
反応が遅くなり操業を中断することもある。また、析出
セッコウが微細粒子からなるためろ過、洗浄に時間を要
し、事前に多段の結晶熟成槽によって粗粒化する工程が
必要となり工業化の成否を左右する。
硫酸を分解剤に用いる湿式法では一義的にセッコウの
みが副生し生産過剰となりその破棄も課題となることが
考えられる。また、分解反応はリン鉱石中の酸化鉄、酸
化アルミニウムなども溶解し製品リン酸中に混入しそれ
らの分離操作が必要とする。
本邦におけるリン鉱石の需要は約80%は肥料用である
ことから、工程を短縮した画期的製法と、より付加価値
の高い副生品の製出が望まれる。
本発明は、現行の製造方法における前記問題を解消す
るため、現行の製造工程のうち、分解工程および熟成工
程を改善して、分解速度が早く、ろ過が容易で、かつ回
収するカルシウムがセッコウだけでなく、例えば沈降性
炭酸カルシウムなど多様の機能性原料として利用できる
新しいリン酸の製造方法を提供することを目的とする。
〔課題を解決するための手段〕
すなわち本発明は、陽イオン交換樹脂を用いてリン鉱
石を分解することを特徴とするリン酸の製造方法であ
る。
本発明で用いるリン鉱石の分解剤は陽イオン交換樹脂
である。陽イオン交換樹脂は不溶性の固体酸であって、
陽イオンを交換することにより塩類を分解することがで
きる。本発明に用いる陽イオン交換樹脂は市販されてい
るものをそのまま使用することができる。なかでもスル
ホン酸を交換基とする強酸性の陽イオン交換樹脂が好ま
しい。さらに、本発明に用いる強酸性陽イオン交換樹脂
はH型(以下H−Rと略記する)でもよく、またNa型
(以下Na-Rと略記する)も用いることができる。H−R
は特に効率がよいので好ましい。
前記H−Rとしては特に制限はないが、交換容量が大
きく、かつ粒径が数百μm以上のものが、反応効率、ろ
過性などの点で好ましい。また一般に用いられるゲル型
の他、物理的細孔の発達した多孔質を母体とするマクロ
ポーラス(MP)型、より細孔径を有するMR型等何れも用
いることができる。
リン酸の原料であるリン鉱石は、リン灰石(Apatit
e)と呼ばれる無機源(主成分はCa5(PO4)3、(F、C1)
で表される)と鳥類の排泄物が堆積固化した有機源から
なる。採掘されるリン鉱石の品位はBPL(Bone phosphat
e of lime)単位で評価され、鉱石中のリン酸三カルシ
ウムCa3(PO4)2の含有率(%)を表す。BPL値に0.457を
乗じた値が五酸化リンP2O5存在率(%)となる。
コラ(ソ連)、クリスマス島(英領)などで算出する
リン鉱石のBPLは80〜85と最も高く、フロリダ(アメリ
カ)産も70〜75と高品位鉱であるが、長年の採掘で資源
は減少しつつあり、今後、BPLが65前後の低品位鉱の活
用が課題となっている。本発明はこれら各種リン鉱石を
何れも使用することができる。
前記リン鉱石の粒度は100メッシュ以下が好ましく、2
00〜270メッシュが好適である。100メッシュより大きい
と反応速度の面で不利であり、270メッシュより微粉化
すると取扱い上に不便を来すからである。
H−Rによるリン鉱石の分解反応は、水を媒体として
実施することが好ましい。水としては、純水、水道水お
よび工業用水等、製造するリン酸の使用目的に応じて任
意に選択することができる。
本発明においては、H−Rはそのまま、Na-Rは希鉱酸
を用いてH−Rとし、十分に水洗後、減圧ろ過して反応
に供する。このときの希鉱酸としては特に制限はない
が、塩酸・硝酸等が好ましい。前記希鉱酸の濃度は0.05
〜1Nが好ましい。濃度が0.05N以下ではイオン交換反応
の時間が長くなり、1N以上ではイオン交換効率が低下す
る。Na-RをH−Rとする場合にはカラムに充填して行う
のが効率がよい。
本発明の反応は化学量論的に進むので、用いるH−R
の交換容量(meq/g)を求めておけば、リン鉱石の分解
に要する量的関係を知ることができる。一般に市販され
ているH−Rの交換容量は1.6〜2.1meq/gであり、これ
らを用いることが好ましい。
分解反応は、リン鉱石粉を適量に水中に分散し、これ
に所要量のH−Rを添加攪拌するのみで、常温において
試料は溶解し、リン酸を高収率で得ることができる。反
応は秒単位で進むので攪拌時間は数分で済む。H−Rは
カルシウム型(Ca-R2)となるが、実際にはやや過剰に
添加された未反応のH−Rを含む。
なお、加熱水蒸気を反応槽に吹込んで反応と攪拌を同
時に行う方法も採ることができ、これにより高濃度リン
酸を短時間で得ることができる。この水蒸気導入法はバ
ッチ法・連続法いずれでもよい。攪拌効率をあげるため
高圧熱風を同時に導入することも可能である。
本発明は基本的に、H−Rによるリン鉱石の溶解に基
づくものであり、バッチ法・連続法また常温反応・高温
反応・高圧反応へ適用でき、製造規模・製品純度などに
応じた製法を採用することが可能である。
樹脂分をろ別してリン酸水溶液を得る。このリン酸水
溶液には、原料の不純物に由来する不溶の微粒赤褐色物
が僅かに浮遊することがあるので必要であればろ過して
除去することができる。
本反応に用いられる水の量は、リン鉱石の量に対し
て、25〜100ml/gリン鉱石、の範囲で好ましくは25〜50m
l/gリン鉱石、である。水の量が100ml/gリン鉱石以上で
は、生成するリン酸の濃度が低過ぎて、工業的観点で好
ましくなく、25ml/gリン鉱石以下ではリン鉱石の分解反
応の進行に支障を来すからである。
本発明においては、反応温度は室温(約20℃)〜110
℃が好ましい。室温(20℃)以下では反応には差支えな
いが、冷却のためエネルギーを要するので好ましくな
い。また110℃を超えるとH−Rの耐用温度を超えるた
め好ましくない。この反応は室温でも速やかに進行する
ので、室温で実施するのがより経済的である。
得られたリン酸溶液は従来用いられている公知の方
法、たとえばフラッシュ方式等により濃縮して製品とす
ることができる。
ろ別された樹脂分は回収してカラムに充填し希鉱酸処
理すればカルシウム溶液を回収すると同時にH−Rに再
生され、水洗後の樹脂は半永久的に溶解剤として反復利
用できるので経済的である。この場合も鉱酸としては塩
酸もしくは硝酸を用いるのが好ましい(H2SO4ではCaSO4
が生成するため好ましくない)。
ここで得られたCa2+溶液は、多目的用途の原料として
有効に利用することができる。
〔実施例〕
次に実施例により本発明を具体的に説明する。
(実施例1) 第1表に示した化学組成を有し、BPL75のフロリダ産
リン鉱石をボールミルで粉砕し、270メッシュ全通分の
試料を用いて次の反応を行った。
110℃で乾燥した前記試料各500mgを精秤して15個のビ
ーカーに投入し、純水(pH=5.75、k=2.71μS/cm)約
50mlを注ぎ、0〜4.25gのH−R〔ここでは「ダイヤイ
オン MCIgel(三菱化成製、交換容量2.1meq/g)」を使
用〕を加えて、約10分間攪拌後ろ過した。ろ液、洗液を
合わせて100ml定容とした後、イオンクロマトグラフ装
置を用いて溶存するCa2+、PO4 3-、F-を分析し、残液でp
Hとkを測定した。前記各イオンの溶存量と、第1表の
該当化学種の含有量とから、各イオンの溶出率(%)を
求めた。加えてH−Rの量に対する溶液のpHおよびkを
第1図(A)に、同じくH−Rの量に対する前記各イオ
ンの溶出率を第1図(B)に示した。
まず第1図(A)にていて説明する。H−Rが0、す
なわちリン鉱石が純水に僅かに溶けた状態でpH=6、k
=27.2μS/cmであるが、H−Rの添加によりpHは急速に
低下し、kは直線的に増大して4mS/cm以上に達する。こ
のことから、H−Rの添加によりリン鉱石が室温で溶け
てリン酸(H3PO4)となったことが定性的にわかる。
より定量的には第1図(B)によって説明される。第
1図(B)において、PO4 3-およびF-両イオンの溶出量
が、H−Rの添加量の増加とともに直線的に増大し、H
−Rの添加量約4gで、リン鉱石がほぼ完全に溶けたこと
がわかる。
このリン鉱石の溶解過程で、Ca2+イオンも最高10%程
度溶出してくるが、後期ではほぼ0となり、液組成はリ
ン酸とフッ酸の混合溶液となっている。以上の結果か
ら、リン鉱石は約10倍量のH−Rを添加することにより
完全に溶解することとなる。
また、第2図(A)は陰イオンPO4 3-およびF-の、同
じく第2図(B)は陽イオンCa2+の夫々イオンクロマト
グラムを示した。この第2図はH−Rの添加量に応じ
て、前記各イオンのピークの高さが変化し、リン鉱石の
溶解過程を視覚的に理解することができる。
(実施例2) 温度を80℃、H−Rを3.50g使用した以外は実施例1
と同様にしてリン鉱石を分解した。実施例1と比較した
ところ、この反応は反応温度に関係なく、室温でも80℃
でも速やかに進むことがわかった。
(実施例3) H−Rとして、「ダイヤイオン SK116(三菱化成
製、交換容量2.1meq/g)」を用いた以外は実施例1と同
様にしてリン鉱石を分解した。結果を第1図と同様にし
て第3図(A)および(B)に示した。第3図(A)は
第1図(A)と同様に反応したH−R(g)に対する反
応液の比導電率(mS/cm)およびpHを、第3図(B)は
第1図(B)と同様にH−R(g)に対するPO4 3-、F-
およびCa2+各イオンの溶出率(%)を示す図である。
第3図と第1図とを比較対照すると、両図は極めてよ
い対応を示し、リン鉱石が分解されることを示した。
(実施例4) 200〜270メッシュのフロリダ産リン鉱石(BPL75)各
約5gを精秤し、「ダイヤイオン SK116(三菱化成
製)」50.0gおよび70.0gをそれぞれ混合した。添加水量
をそれぞれ50、100、150mlと変えて約15分間攪拌後、ろ
過して、溶出イオンの分析、pH、比導電率kおよび抽出
液の比重を測定した。比重の測定にはピクノメーターを
使用した。得られた結果を第2表に示した。
〔発明の効果〕 本発明は従来から踏襲されたきたリン鉱石の化学的溶
解に関する改善策として鉱酸を用いないでイオン交換樹
脂を含む懸濁液による溶解法を提案した。
本発明は以下の効果を有する。
鉱酸を一切用いず、室温で溶解が迅速に進むことか
ら、反応槽の材質に制限を受けず、加温を必要としな
い。また、鉱酸の混入がないので、分離の必要が省け
る。
溶解反応で反応による沈澱が生じないので溶解抵抗
はなく、溶解は迅速に進む。
使用樹脂は比較的粗粒であるからろ過、洗浄が容易
である。樹脂は再生により反復使用可能である。
樹脂再生時に溶離したカルシウム分は、多目的用途
とした原料として利用可能である。
装置は簡略化され、エネルギー、資源が大幅に節約
され広大な用地を必要としない。
【図面の簡単な説明】
第1図(A)・(B)は陽イオン交換樹脂の添加量に対
するリン鉱石の溶解過程を示す図〔(A)はpHおよび比
導電率(k)の変化、(B)はイオン溶出率の変化〕、
第2図(A)・(B)は陽イオン交換樹脂の添加により
溶出するイオン量を示すイオンクロマトグラムの図、第
3図(A)・(B)は使用陽イオン交換樹脂の種類が異
なる場合の第1図と同様の図である。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】陽イオン交換樹脂を用いてリン鉱石を水を
    媒体として分解する方法であって、原料のリン鉱石の粒
    度を100メッシュ以下270メッシュ以上とし、水の量はリ
    ン鉱石の量に対して25〜100ml/gであることを特徴とす
    るリン酸の製造方法。
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