JP2688559B2 - 生体組織接着用組成物 - Google Patents

生体組織接着用組成物

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は生体組織接着用組成物に
関するもので、より詳細には、ゼラチン、膠等のコラー
ゲン蛋白部分加水分解物質と水及び特定2価フェノール
化合物よりなる接着成分と該接着成分を硬化させるため
の液状硬化成分とよりなる止血性能、接着性能に優れ、
且つ無害で生体構成組織との親和性の良好な生体組織接
着用組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】外科手術等において、生体患部の止血或
いは生体組織及び実質臓器を接合する手段として、接着
剤を使用することは古くから考えられ、又いくつかの試
みもなされている。このような目的に使用するための接
着剤もすでにいくつか提案されており、たとえば2−メ
チルシアン化アクリレート型のポリマーを主成分とする
接着組成物、ポリアクリレート、エポキシ樹脂、ホルム
アルデヒド樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、カルボキ
シルポリマー、ラテックス乳液等を接着成分として使用
するもの等が開示乃至提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】外科手術等において患
部の止血或いは生体組織及び実質臓器の接合等に接着剤
を適用すると、外科的修復が迅速に達成できる、修復部
を完全に塞ぐことができる、極度に損傷あるいは弱体化
した患部及び周辺組織を強化乃至補強することができ、
縫合の効果を上げることが出来る、等の数々の利点があ
るが、それに使用する接着剤は、それが生体内で使用さ
れるものであるため、下記に述べる制約要件を十分に充
足するものでなければならない。
【0004】すなわち、生体組織(実質臓器)乃至人工
臓器等の生体代替組織に素早く接着し、しかも接着力が
優れていること、被接着組織と接着剤との結合力が水分
の存在により減じられないこと、接着物質は水に不溶性
であるか、少なくとも難溶解性で、たとえ溶解するとし
てもきわめて長時間を要するものであること、更に、局
所に刺激を与えるものであったり、生体に害のあるもの
であってはならない。又、組織に柔軟性または柔軟な部
分を残すものであることが好ましい。
【0005】しかしながら、従来提案された接着剤は、
上記した条件を完全に充足するものはなく、たとえば、
2−メチルシアン化アクリレート等においては、一旦凝
固すると固くてもろくなり、接着部組織を硬化させてし
まう上に、水分があると使用できず、更に毒性が皆無と
は言い切れない等数多くの欠点を有していた。
【0006】2−メチルシアン化アクリレート接着剤に
代えて提案された他の多くの接着剤も、上記した条件の
一部を充足するものはあるが全体的に生体内で効果を発
揮するのにふさわしい条件をすべて満たすものはないの
が現状である。
【0007】従って本発明の目的は、前記した諸要件を
十分に充足し、しかも使用に当たって取扱いが容易で且
つ安定した性状を有する生体の止血乃至生体組織接着用
組成物を提供するにある。
【0008】
【課題を解決する手段】本発明によれば、コラーゲン蛋
白部分加水分解物質10乃至20容量部、水15乃至2
5容量部、及び、下記一般式
【化2】 (式中Xは−CH3、−CH2OH又は−CHO基を表
し、nは0乃至3の整数を表し、nが2又は3の場合は
Xは同一又は各々異なる基であってもよいものとす
る。)で表される2価のフェノール化合物3乃至8容量
部よりなる接着成分(A)と、ホルムアルエヒド5乃至
20重量%とグルタルアルデヒド及びグリセリンアルデ
ヒドから選ばれた少なくとも1種5乃至30重量%とを
含有する水溶液からなる硬化成分(B)とからなる生体
組織接着用組成物が提供される。
【0009】
【作用】本発明の生体組織接着用組成物は、ゼラチン、
膠等のコラーゲン蛋白質を部分加水分解して得られる温
水可溶性物質と、水及び多価フェノール系化合物を配合
した接着成分(A)と、この成分(A)を重合硬化させ
る作用を有するホルムアルデヒド等の特定アルデヒド類
を含有する液状成分(B)とよりなり、生体接着部に塗
布された該(A)成分が、(B)成分を添加されること
により重合硬化し、接着硬化物を比較的低い温度(体温
から60℃附近までの温度)で、しかも短時間に形成で
きることが顕著な特徴である。
【0010】一般に、物質間に強固な接着性を発生させ
る物質の結合力としては、大きく分けて静電結合力、共
有結合力、金属結合力の様な化学結合あるいは第1次結
合力及び残留性結合力、すなわち物理的あるいは第2次
結合力とがある。第2次結合力は、ファン・デル・ワー
ルスカ、双極子間の引力、水素結合などの要因に起因し
て発生し、これら異なった諸要因を組合せることにより
第1次結合力に匹敵するかなりの力を生じさせることが
できる。
【0011】生体組織の接合表面は極性を有するところ
から、これらの第2次結合力は、外科や生物学分野にお
ける接着に応用し得ることが期待されるが、不幸にし
て、これらの力は水の水素結合力(約5kcal/mmols
)に対抗するには不十分であって、外科手術等の場合
のように生体組織において、接合界面に水分が侵入する
ことがさけられない分野においては、2次結合力のみに
より組織を接着することは非常に困難で、従って接着剤
として、生体組織と第1次結合を直接生じる物質を選択
することが重要である。
【0012】生体組織例えばコラーゲンは、その組織中
にアミノ基、水酸基、カルボキシル基等の官能基を多数
含有している。これらの官能基は、数多くの他の官能基
との反応が可能である。
【0013】生体組織等の接合用の接着物質を選択する
にあたって、これらの官能基との反応性を有する物質が
考慮されることは自然であるが、生体接着用物質として
実用され得るためには、更に取扱いが容易で、少量で容
易に保存できるものでなくてはならないこと、使用の際
には、液状乃至少なくとも流動性を有するペースト状の
ものであって、しかも迅速、有効に接着できるよう凝固
が短時間に完結するものでなくてはないこと、及び生体
内では高熱や高圧力の使用は不可能であるため、少なく
とも体温よりあまり高くない温度でしかも常圧に近い圧
力で凝固されること等の制約要件を満たすものでなくて
はならない。
【0014】本発明においては、接着剤成分の主成分と
してゼラチン、膠等のコラーゲン蛋白部分加水分解物質
を使用する。ゼラチン、膠等は、生体組織と同様に大量
のポリペプチド鎖を有し、生体組織等に非常に似た化学
構造を有すると共にそれ自体接着性を有している。この
ゼラチン等にホルムアルデヒドを加えると化学結合が顕
著に促進されるが、この反応重合体は水分が存在すると
硬度が低下するという重大な欠点を有している。
【0015】本発明は、ゼラチン等に特定量比の多価フ
ェノール化合物を配合し、これに水を加えたものにホル
ムアルデヒド及びグルタルアルデヒド等のアルデヒド類
含有水溶液を添加することにより、ゼラチン/ホルムア
ルデヒド重合体の上記した欠点を改善した点が第1の特
徴である。
【0016】本発明の接着組成物が何故に重合物の顕著
な耐水強度を与えるかについては未だ完全に解明された
わけではないが、恐らく多価フェノール化合物のフェノ
ール性水酸基が、ゼラチン中に存在する官能基とホルム
アルデヒド等のアルデヒド基の両方又はそれらの一方と
反応し、化学結合を生じ、該結合が容易に水等により解
結合されないため、及び重合組成物中に化学結合されて
存在するフェノール化合物のベンゼン核の耐水性に起因
するものと考えられる。
【0017】更に、第2の特徴としては、本発明の接着
組成物の(B)成分にはホルムアルデヒドと共にグルタ
ルアルデヒド及び/又はグリセリンアルデヒドが配合さ
れている点であって、このグルタルアルデヒド等は生体
組織に対し、その組織の接着面を柔軟にするという、い
わゆるナメシ(鞣)効果を発揮する。
【0018】従って、本発明の接着組成物が適用された
接合部は、その部分がより柔軟性を増し、接着組成物と
の密着性がより良好となるため接着力がより向上すると
いう効果を奏する。
【0019】更に、本発明の組成物は上記した利点の外
に、生体組織等と接着反応が迅速で、接着剤成分に重合
硬化成分を添加してから約1分程度で接着効果が現れ
る。約5分後にはその接着強度が増す。しかも接着力が
強く、その結合力は水の存在により減じられることがな
い。しかも、接着硬化後の組成物は一定の硬度を有する
と共に適度な弾力性があり、しかも生体組織に無害で組
織との親和性が良好であることにより接着部の組織が極
度に損傷あるいは強体化している場合においても、それ
ら患部を強化、補強する効果をも奏する。
【0020】本発明の接着組成物を生体患部の組織の接
着或いは患部の止血等に適用する方法としては、必ずし
もこれに限定されるものではないが、本発明の接着剤成
分(A)を接着部分にかなり厚く塗布し、その層上乃至
層中に重合硬化剤成分(B)を、塗布した(A)成分1
mlに対し約2〜3滴(50〜300mg程度)滴下乃
至注入する。滴下乃至注入後約1〜数分そのまま放置す
るか、必要に応じてその間接着部に押圧を加える。滴下
乃至注入約1分後には接着部は乳白色になり、接着がほ
ぼ達成される。
【0021】
【発明の好適態様】接着成分(A) 本発明の接着成分(A)を構成するコラーゲン蛋白部分
加水分解物質とは、いわゆるコラーゲンアミノ酸配列の
ポリペプチド鎖を有する蛋白質を水、稀酸、稀アルカリ
中で煮沸する等の方法で部分的に加水分解して得られる
べき誘導蛋白質であって、通常平均分子量(重量)が15
000乃至30000程度の少なくとも温水に可溶性の物質であ
る。
【0022】本願発明においては、該物質は乾燥された
固型状のものであっても、含水したゲル状のものであっ
てもよい。このような物質として具体的にはゼラチン、
膠等を挙げることが出来る。
【0023】本発明の接着成分(A)を構成する他の成
分である2価のフェーノル化合物としては、前記コラー
ゲン蛋白部分加水分解物質との混和性、及び硬化後の樹
脂組成物の柔軟性、接着耐久性等の見地から下記一般式
【化3】 (式中Xは−CH3、−CH2OH又は−CHO基を表
し、nは0乃至3の整数を表し、nが2又は3の場合は
Xは同一又は各々異なる基であってもよいものとす
る。)で表される2価のフェノール化合物が使用され
る。
【0024】特に、これらの一般式で表される化合物の
内でも、レゾルシン,β−レゾルシルアルデヒド,γ−
レゾルシルアルデヒド,2,4−ジヒドロキシベンジル
アルコール,2,6−ジヒドロキシベンジルアルコール
の使用が好ましい。
【0025】本発明の(A)成分の配合割合は、ゼラチ
ン等のコラーゲン蛋白部分加水分解物質10乃至20容
量部、前記2価フェノール化合物3乃至8容量部及び水
15乃至25容量部の範囲である。2価フェノール化合
物の配合割合が上記した割合より少ない場合は生体組織
との接着性が充分でなくなるだけでなく、重合硬化後の
組成物の耐水性が劣ったものとなる。
【0026】又配合割合が上記範囲を越える場合は重合
硬化後の組成物の硬度が高くなりすぎ柔軟性、弾力性に
乏しい硬化物となってしまう。又配合する水の量が上記
範囲を外れると、組成物の適当な粘性、流動性等がそこ
なわれ、塗布時の作業性に支障を来す。
【0027】本発明では接着成分(A)として、上記3
成分を必須構成成分として配合するが、これらに、組成
物の特性を失わない程度に他の成分を配合することは可
能である。たとえば上記3成分に加えて、少量のフイブ
リン糊、ラテックス乳液、ポリアクリレート、エポキシ
樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、ポリビニルアセテート牛
徴線維性コラーゲンなどそれ自体公知の接着成分を添加
してもよい。これらの配合物の添加割合は、本発明の組
成物の特性が失われない限度において任意である。
【0028】重合硬化成分(B) 本発明の硬化成分(B)は、ホルムアルデヒドと共にグ
ルタルアルデヒド及び/又はグリセリンアルデヒドを混
合配合した液状混合物であって、通常水溶液として使用
される。グルタルアルデヒドとグリセリンアルデヒドを
併用して用いる時はその配合比は任意であるが、本発明
においてはグルタルアルデヒドの単独使用がより好まし
い。その配合割合は、通常ホルムアルデヒド分5乃至2
0重量%、好ましくは15乃至20重量%及びグルタル
アルデヒド及び/又はグリセリンアルデヒド5乃至30
重量%好ましくは20乃至25重量%であり、残余は水
である。
【0029】本発明の(B)成分において、ホルムアル
デヒドの含量が上記範囲より少ないと接着組成物の重合
速度が低下し、又上記範囲より多いと重合硬化後の接着
組成物の耐水性が若干低下する。又グルタルアルデヒド
等の含有量が上記範囲より少ないと生体接合部組織に対
するなめし(鞣)効果が十分にあらわれない。
【0030】接着用組成物の使用法 本発明においては、前記接着剤成分(A)を生体組織又
は実質臓器の接合部乃至止血部にかなり厚く塗布する。
次に該塗布部上又は塗布部中に重合硬化成分(B)を塗
布した(A)成分の容量1mlに対し10乃至300m
g好ましくは50乃至150mgを滴下乃至注入する。
該接着組成物は、動物乃至人体の体温附近の温度で迅速
且つ十分な接着強度で重合硬化させることができるが、
より好ましくは37℃前後附近の温度で重合硬化させる
のがよく、この場合は、成分(A),(B)をあらかじ
め予熱保温して使用するか、赤外線ランプ等で接合部を
加温するとより有効である。
【0031】本発明の接着組成物はそのままの状態で重
合硬化成分(B)液滴下後約1分程度で接着部が乳白色
となり接着効果をあらわすが、より好ましくは数分間静
置するか、或いは必要に応じて接着部に数分間押圧を加
えるとより接着力が強固となり良好な結果を得ることが
できる。
【0032】又本発明の接着組成物は接合部に滲出液や
血液が存在しても十分に接着効果を発現することができ
るが、該接合患部にあまり滲出液や血液が多量に存在す
ると接着剤の塗布が困難となり、接着効力が若干低下す
るので患部は接着前に上記液等を除去しておく方がより
好ましい。又添加液(B)はあまり多量のものが生体組
織部に直接触れると生体組織を刺激する等の弊害を生ず
るので、(B)液の生体組織への直接の接触はなるべく
避けるようにすることが好ましい。以下実施例に基づき
本発明を更に詳細に説明する。
【0033】
【実施例】〔接着用組成物(I)の製造〕 ゼラチン15容量部、レゾルシン5容量部及び蒸留水2
0容量部を混合したペースト状の混合剤を調製した(接
着剤成分(A1))。別に、ホルムアルデヒド18.5
重量%とグルタルアルデヒド25重量%の水溶液を調製
した(重合硬化剤成分(B1))。これら(A1),
(B1)成分を各々別の酸化エチレンガスで滅菌した容
器に収容した。
【0034】〔接着用組成物(II)の製造〕 ゼラチン12容量部、固型膠3容量部、β−レゾルシル
アルデヒド(2,4−ジヒドロキシベンズアルデヒド)
5容量部及び蒸留水20容量部を加温下に混合、混和さ
せペースト状の混合剤を調製した(接着剤成分(A
2))。別にホルムアルデヒド9重量%とグルタルアル
デヒド15重量%の水溶液を調製した(重合硬化剤成分
(B2))。これら(A2),(B2)成分を滅菌後各
々容器に収容した。
【0035】〔接着用組成物(III)の製造〕 ゼラチン15容量部、5−メチルレゾルシン3容量部、
2,4−ジヒドロキシベンジルアルコール2容量部及び
蒸留水20容量部を加温下に混合、混和させペースト状
の混合剤を調製した(接着剤成分(A3))。一方、別
にホルムアルデヒド15重量%とグルタルアルデヒド2
5重量%の水溶液を調製した(重合硬化剤成分(B
3))。(A3),(B3)成分を滅菌後各容器に収容
した。
【0036】(実施例1) 体重20〜30kgの犬16匹を用い、これらの各犬を
第4肋間左後側方切開法により鎖骨下動脈起始部から第
1肋間基部(4〜5cm)までを切開し、胸部大動脈の
解部が可能になる状態にした。左鎖骨下動脈は胸膜頃ま
で切開し、鎖骨下・大腿動脈シャントが行われた。大動
脈の処置が完了すると胸膜壁を閉じ、トレーンを数時間
装着した。これらの犬に全身へ、ヘパリンを投与後(1
mg/kg)鎖骨下と左大腿部間で大動脈血流遮断を行
い、次いで大動脈横切断により中膜中央部に解離面を作
り、円状に切開して実験野まで拡げた。下流で大動脈腔
に独立片を生じるように内膜前部を縫合して後壁に固定
する。切断した大動脈を外膜のみ二つの半円形に連続縫
合により閉じた。大動脈鉗子を解除すると解離は徐々に
広がり、急激に横隔膜にまで達する。次にブラロック式
連続縫合により大動脈鉗子の上で上流部分の内外二つの
管を、各々切開解離部に本発明の接着成分(A1)及び
次いで重合成分(B1)を各々塗布及び滴下して接着接
合した。接着剤による血管の吻合は満足すべき結果を与
え、縫合部からいかなる血栓も発生しなかった。接着部
における大動脈瘤はいずれの犬でも最小に止まった。な
お試験に供した犬の死亡は見られなかった。
【0037】(実施例2及び3) 実施例1と同様の条件で手術切開した犬8匹に実施例1
と同様に接着剤成分(A2)を塗布し、硬化成分(B
2)を滴下した(実施例2)。又同様に手術した別の犬
8匹に実施例1と同様に接着剤(A3)と硬化剤(B
3)を施用した(実施例3)。結果は実施例1の場合と
ほぼ同様に良好であり、いずれも犬の死亡は見られなか
った。
【0038】(比較例1) 3匹の犬を使用し、実施例1に記載したと全く同様に処
置して大動脈を切開し、切断解離された動脈管に、本発
明の接着成分(A1)を塗布し、これに37重量%のホ
ルムアルデヒド含有水溶液を滴下し患部を接着接合し
た。血管の接着は一応満足すべきものであったが、死体
解剖の結果接着部に大動脈瘤の発生が見られた。
【0039】(比較例2) 3匹の犬の大動脈管を実施例1と同様に切開手術処置を
施し、この切開部をゼラチン15容量部に蒸留水20容
量部を配合した混合剤を接着成分として切開患部に塗布
し、これに本発明の(B1)成分を滴下して重合接着を
行ったが、接着力が十分でなく、良好な接合結果を得る
ことが出来なかった。
【0040】
【発明の効果】本発明の組成物は、生体組織及び人工臓
器乃至人工血管等の構成物質に対し、重合硬化が迅速で
しかも接着性がきわめて良好であると共に重合硬化後の
接着組成物が適度な硬度と弾力性を有し、且つ水分に対
する耐久性に優れているため、多くの外科分野、例えば
消化器外科、泌尿器科、形成外科、耳鼻咽喉科等の分野
で切除した組織からの出血や分秘物を防ぐ為に使用され
るだけでなく、特に心臓外科分野で急性大動脈瘤解離手
術等において血管の切除部の接合、縫合部の止血防止に
好適に使用され、更に臓器移植手術や人工心臓植え込み
手術時の縫合部の補強、止血等にも使用できる。

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コラーゲン蛋白部分加水分解物質10乃
    至20容量部、水15乃至25容量部、及び、下記一般
    式 【化1】 (式中Xは−CH3、−CH2OH又は−CHO基を表
    し、nは0乃至3の整数を表し、nが2又は3の場合は
    Xは同一又は各々異なる基であってもよいものとす
    る。)で表される2価のフェノール化合物3乃至8容量
    部よりなる接着成分(A)と、ホルムアルエヒド5乃至
    20重量%とグルタルアルデヒド及びグリセリンアルデ
    ヒドから選ばれた少なくとも1種5乃至30重量%とを
    含有する水溶液からなる硬化成分(B)とからなる生体
    組織接着用組成物。
  2. 【請求項2】 前記コラーゲン蛋白部分加水分解物質の
    平均分子量が15000乃至30000の範囲にあり8
    0℃以下の温水に可溶性である請求項1記載の組成物。
  3. 【請求項3】 前記コラーゲン蛋白部分加水分解物質が
    ゼラチン又は膠である請求項1乃至2記載の組成物。
  4. 【請求項4】 前記一般式〔化1〕で表される2価のフ
    ェノール化合物がレゾルシンである請求項1乃至3記載
    の組成物。
  5. 【請求項5】 前記一般式〔化1〕で表される2価のフ
    ェノール化合物が、β−レゾルシルアルデヒド(2、4
    −ジヒドロキシベンズアルデヒド)又はγ−レゾルシル
    アルデヒド(2、6−ジヒドロキシベンズアルデヒド)
    である請求項1乃至3記載の組成物。
  6. 【請求項6】 前記一般式〔化1〕で表される2価のフ
    ェノール化合物が、2、4−ジヒドロキシベンジルアル
    コール又は2、6−ジヒドロキシベンジルアルコールで
    ある請求項1乃至3記載の組成物。
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