JP2682944B2 - 光線路の監視試験システム - Google Patents

光線路の監視試験システム

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光通信分野に属する光
ファイバの監視試験システムに関し、特に信号伝送中の
光ファイバを監視試験する技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】光通信方式の適用拡大に伴ない、光ファ
イバで構成された光線路の監視試験システムの確立が必
要とされ、検討されている。このシステムは、信号伝送
中(使用中)の光線路について、その特性劣化や劣化状
態を監視試験する必要があり、その実現手段として、波
長多重により信号と試験の光(以後、それぞれ信号光、
試験光と記載)を同時に伝送する方式が用いられてい
る。
【0003】波長多重により信号伝送と監視試験を行う
場合には、特に試験光の信号光に対する影響(例えば、
デジタル伝送の場合、符号誤り率におけるパワーペナル
ティ)を抑制する必要がある。このための最も簡便な方
法は、試験光を遮断して信号光を透過する光フィルタ
を、信号伝送装置と光ファイバとの間に挿入する方法で
ある。しかし、できるだけ長距離の信号伝送が求められ
る局間中継系光線路では、このような光損失増加を伴う
方法を採用できない。従って、試験光の光電力を制限す
ることにより、光フィルタを挿入しなくても信号伝送に
影響しないように監視試験システムを設計する方法が提
案されている(I.Sankawa et al., "In-service single
-mode fiber monitoring system with wavelength divi
sion multiplexing",Journal of optical communicatio
ns, Vol.11, No.2,p50(1990))。
【0004】このような設計に基づき構築されている従
来の光線路の監視試験システム構成を、図5に示す。こ
こで、1は光線路を構成する光ファイバ、2は光カプ
ラ、3は光フィルタで信号光を遮断し、試験光を透過す
る特性を有する。4は光スイッチ、5は試験光光源、6
は光電力計、7は光パルス試験器、8は制御線、9−1
は機器制御部、9−2は機器/通信管理部、10は情報
転送系、11は信号伝送装置である。なお、A、B及び
Cは、光カプラ2のポート名であり、A−B間は信号光
が、A−C間は試験光が主に透過する。また[1] と[2]
は、局の識別のために用いた番号である。
【0005】この監視試験システムの動作例を以下に示
す。局[1] 内の機器/通信管理部9−2は光ファイバ1
の長さに応じて許容される試験光光電力を計算し、同一
局内の機器制御部9−1は該光電力の情報と光ファイバ
番号の情報に基づき制御線8を通じて試験光光源5と光
スイッチ4を制御/駆動する。更に、局[2] 内の機器制
御部9−1は、情報転送系10経由で該光ファイバ番号
の情報を受け取り、これに基づき光電力計6と光スイッ
チ4を制御/駆動する。
【0006】ここで用いられている光フィルタ3の波長
損失特性の例を図6に示す。本図は、光ファイバが分散
シフト構造を有する単一モード光ファイバの場合であ
り、信号光波長は1.55μm帯、試験光波長は1.3 μm帯
である。
【0007】以上の様な構成、特性の光部品や機器類を
用いた光線路の監視試験システムは、おおよそ80Km程度
までの光線路を信号伝送中に監視試験することが出来
た。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、近年発展が著
しい1.55μm光増幅技術を適用した100Km 以上の超長距
離の光線路に対して、従来技術は対応できない。この理
由は、以下の通りである。
【0009】(1) 光線路長が長くなるに従い、試験光光
源5から出射される試験光光電力を大きくする必要があ
る。この理由は、光電力計6で受光される光電力が、光
線路長の長尺化に伴い低下するからである。
【0010】(2) しかし、該試験光光電力が大きくなる
と、光ファイバ1からのレーリー散乱や光コネクタの屈
折率不連続による反射戻り光が増加することになり、こ
の結果信号伝送品質に影響を与える危険性がある。
【0011】従って、従来の監視試験システムでは、信
号伝送中に監視試験できる光線路長に限界があり、約10
0Km 以上の光線路に対応できなかった。
【0012】この発明は、前述のような問題点を解決す
るべくなされたもので、その目的は、試験光光電力を大
きくしても信号伝送品質に影響しない光線路の監視試験
システムを提供し、超長距離の光線路に対しても信号伝
送中の監視試験を実現することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
するため、請求項1では一端に発光素子、他端に受光素
子を備える光ファイバから構成される光線路に、それぞ
れ3端子を有する少なくとも2個の光カプラをそれぞれ
2端子を用いて接続し、各光カプラの残りの1端子はそ
れぞれ光スイッチを経由して試験光光源、光電力計、光
パルス試験器からなる光試験機器に接続され、前記光ス
イッチと光試験機器は制御線により制御部と接続されて
いる光線路の監視試験システムにおいて、該光カプラの
残りの1端子と光試験機器の間には、発光素子の発光中
心波長を遮断し、該発光中心波長より長い波長の光を透
過する光フィルタをそれぞれ具備する。また請求項2で
は、請求項1の光線路の監視試験システムにおいて、制
御部には、2個の光カプラに接続された各々の光試験機
器で測定した光電力測定値を収集するデータ収集手段
と、該二つの光電力測定値を比較して多く光電力を測定
した光カプラを判断するデータ判断手段と、該判断手段
にて多く光電力を測定したと判断した光カプラに試験光
光源を接続するよう光スイッチを制御する光スイッチ制
御手段を備える。また請求項3では、請求項1または2
記載の光線路の監視試験システムにおいて、試験光光源
の出力光は強度変調されている。また請求項4では、信
号光の波長が1.55μm帯である場合の請求項1、2また
は3の光線路の監視試験システムにおいて、該光カプラ
の残りの1端子と光試験機器の間に挿入される光フィル
タは、エルビウムを添加した光ファイバから構成されて
いる。
【0014】
【作用】本発明によれば、光ファイバ内で信号光により
誘起された、該信号光よりも波長の長いラマン散乱光
を、2箇所に接続された光カプラ、光フィルタを用いて
選択し、光電力計にてその光電力を測定することが可能
となる。このラマン散乱光は、信号光の発光素子側で大
きく、受光素子側で小さいことから、前記の2箇所で測
定した光電力測定値を比較することにより、発光素子と
受光素子が光ファイバのどちらにあるか判定することが
できる。
【0015】ところで、試験光の漏話による信号伝送品
質に及ぼす影響は、一般に該漏話光が受光素子に入射し
た場合に顕著で、発光素子に入射した場合は小さい。こ
のため、前述の通り発光素子と受光素子の方向が判定で
きれば、発光素子側から試験光を入射することにより、
光ファイバからの反射戻り光の影響を受けずに監視試験
することが可能となる。これら一連の動作は、自動化に
より、監視試験システムの無人化を実現することができ
る。また、入射する試験光に強度変調を加えることによ
り、受信感度を向上したり、他の漏話した試験波長帯の
光の影響を防ぐことができる。
【0016】先に示した様に、超長距離光線路における
信号波長は、1.55μm光増幅技術を適用したものが予想
される。当該信号波長に対する光フィルタとしては、エ
ルビウムを添加した光ファイバが、1.65μm帯(ラマン
散乱光の中心波長)で透過損失が小さいため適してい
る。
【0017】
【実施例】以下、この発明を図示する実施例に基づいて
詳細に説明する。なお、従来と同一あるいは相当する部
分には同一符号を付する。
【0018】図1は、実施例の構成を示す図である。こ
こで、3´は信号光を遮断し、信号光より波長の長い光
を透過する光フィルタであり、他の1、2及び4〜11
までは、従来と同様である。このような構成で、局[1]
内の信号伝送装置11の発光素子が、光ファイバ1を経
て局[2] 内の信号伝送装置11の受光素子に接続してい
る場合を例として説明する。
【0019】両局の光スイッチ4は光フィルタ3´を介
して光カプラ2のCポートと光電力計6とを接続する。
これによって、光ファイバ1からの信号光は光フィルタ
3´により遮断されるものの、該信号光より波長の長い
光は光フィルタ3´を透過して、光電力計6に受光され
る。
【0020】光ファイバ1に入射した信号光は、該光フ
ァイバ1内で非線形光学現象により、その一部が波長の
長いラマン散乱光と短いラマン散乱光に変換される。こ
の様子を図2に示す。一般に、波長の長いラマン散乱光
の方が約10倍大きいため、前述の状態では光電力計6
にこのラマン散乱光が受光される。
【0021】両局の光電力計6で測定されるラマン散乱
光電力は、ラマン散乱光が伝わる光ファイバの損失の大
きさに依存して異なる。従って、信号光の発光素子に近
く、且つ光ファイバ損失の少ない方、即ち発光素子が搭
載された信号伝送装置11の存在する局[1] でのラマン
散乱光電力の方が、局[2] の電力より大きい。
【0022】1.55μm帯信号波長における1.65μm帯ラ
マン散乱光電力について、計算した例を図3に示す。従
来技術の適用が不可能であった、光線路長80Km以上の場
合で、発光素子側の受光電力が図示はされていないが、
約-52dBm程度であるのに対し、受光素子側では約-60dBm
以上と、約8dB 程度の差が存在する。これらのことか
ら、光電力計6での受光電力を比較して、局[1] に信号
光の発光素子があることを判定することが可能となる。
【0023】以上の判定結果に基づき、局[1] の光スイ
ッチ4は、光電力計6から試験光光源5に切り替える。
このことによって、試験光が光ファイバ1に入射され
る。信号光の発光素子には、通常光アイソレータが装着
されているため、試験光の反射戻り光は該光アイソレー
タによって遮断され、発光素子に直接入ることはない。
従って、信号伝送品質に与える影響が無視できるため、
多くの試験光を入射でき、超長距離の光線路も監視試験
することが可能となる。
【0024】以上の様な制御を自動的に行うためには、
機器/通信管理部9−2に、各々の光電力計6で測定し
た光電力測定値を収集するデータ収集モジュールと、該
二つの光電力測定値を比較して多く光電力を測定した光
カプラ2を判断するデータ判断モジュールと、該判断モ
ジュールにて多く光電力を測定したと判断した光カプラ
2に試験光光源5を接続するよう光スッチ4を制御する
光スイッチ制御モジュールを具備する。
【0025】また、試験光光源5からの試験光は、強度
変調されていることが望ましい。この理由は、先に述べ
たラマン散乱光が連続的であるため、強度変調されたも
のの方が選択しやすいからである。
【0026】さらに、1.55μm帯信号波長における1.65
μm帯ラマン散乱光電力を選択的に受光するためには、
光フィルタ3´としてエルビウムを添加した光ファイバ
が使用できる。このエルビウムを添加した光ファイバの
損失波長特性を図4に示す。本図から、該光ファイバは
信号光波長を遮断し、ラマン散乱光を低損失で透過でき
ることがわかる。
【0027】
【発明の効果】以上説明したように、本発明では、信号
光によって光ファイバ内に誘起されたラマン散乱光の大
きさを比較して、信号光の発光素子のある側を簡便に判
定することが可能で、この結果を用いて、従来不可能で
あった80Kmを越える光線路に対しても、信号伝送中に試
験を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の構成を示す図
【図2】図1の実施例の光ファイバ中で、信号光により
誘起した光の状態を模式的に示す図
【図3】図1の実施例の光ファイバ中で、1.55μm帯信
号光によって誘起した1.65μm帯ラマン散乱光電力につ
いて、計算した例を示す図
【図4】図1の実施例中で、光フィルタ3´に使用する
エルビウムを添加した光ファイバの損失波長特性を示す
【図5】従来の光線路の監視試験システム構成を示す図
【図6】従来の光フィルタの波長損失特性の例を示す図
【符号の説明】
1…光ファイバ、2…光カプラ、3…光フィルタ(信号
光を遮断し、試験光を透過する特性を有する)、3´…
光フィルタ(信号光を遮断し、信号光より波長の長い光
を透過する)、4…光スイッチ、5…試験光光源、6…
光電力計、7…光パルス試験器、8…制御線、9−1…
機器制御部、9−2…機器/通信管理部、10…情報転
送系、11…信号伝送装置。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 古川 眞一 東京都千代田区内幸町1丁目1番6号 日本電信電話株式会社内 (56)参考文献 特開 平4−223246(JP,A) 実開 平4−15042(JP,U)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一端に発光素子、他端に受光素子を備え
    る光ファイバから構成される光線路に、それぞれ3端子
    を有する少なくとも2個の光カプラをそれぞれの2端子
    を用いて接続し、各光カプラの残りの1端子はそれぞれ
    光スイッチを経由して、試験光光源、光電力計、光パル
    ス試験器からなる光試験機器に接続され、前記光スイッ
    チと光試験機器は制御線により制御部と接続されている
    光線路の監視試験システムにおいて、 該光カプラの残りの1端子と光試験機器の間には、発光
    素子の発光中心波長を遮断し、該発光中心波長より長い
    波長の光を透過する光フィルタをそれぞれ具備すること
    を特徴とする光線路の監視試験システム。
  2. 【請求項2】 制御部には、2個の光カプラに接続され
    た各々の光試験機器で測定した光電力測定値を収集する
    データ収集手段と、該二つの光電力測定値を比較して多
    く光電力を測定した光カプラを判断するデータ判断手段
    と、該判断手段にて多く光電力を測定したと判断した光
    カプラに試験光光源を接続するよう光スイッチを制御す
    る光スイッチ制御手段を備えることを特徴とする請求項
    1記載の光線路の監視試験システム。
  3. 【請求項3】 試験光光源の出力光は強度変調されてい
    ることを特徴とする請求項1又は2記載の光線路の監視
    試験システム。
  4. 【請求項4】信号光の波長を1.55μm帯となし、 該光カプラの残りの1端子と光試験機器の間に挿入され
    る光フィルタが、エルビウムを添加した光ファイバから
    構成されていることを特徴とする請求項1、2又は3記
    載の光線路の監視試験システム。
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