JP2680288B2 - 蒸気噴射ガスタービンシステムおよびその運転方法 - Google Patents

蒸気噴射ガスタービンシステムおよびその運転方法

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JP2680288B2
JP2680288B2 JP7198144A JP19814495A JP2680288B2 JP 2680288 B2 JP2680288 B2 JP 2680288B2 JP 7198144 A JP7198144 A JP 7198144A JP 19814495 A JP19814495 A JP 19814495A JP 2680288 B2 JP2680288 B2 JP 2680288B2
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幸雄 大槻
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    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
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  • Engine Equipment That Uses Special Cycles (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ガスタービンの廃熱回
収によって得られた蒸気をガスタービンの燃焼器に噴射
注入することにより効率向上に伴う燃費低減と軸出力の
増大を図った蒸気噴射ガスタービンシステムおよびその
運転方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、高温(通常は約1100℃である
のに対して1300℃程度)で高圧力比(通常は約15
気圧であるのに対して22気圧程度)としたガスタービ
ンが存在し、このガスタービンは高い熱効率を有してい
る。その熱効率をさらに高めたものとして、ガスタービ
ンの排ガスの廃熱を利用して生成した蒸気をガスタービ
ンの燃焼器に噴射注入して燃焼ガスと蒸気の混合体でタ
ービンを作動させるようにした蒸気噴射(チェンサイク
ル)方式のガスタービンが知られている。この蒸気噴射
ガスタービンは、燃焼器に噴射注入した蒸気により燃焼
室内の燃焼温度を下げられるが、さらに燃料を供給する
ことによって、蒸気を噴射しない場合と同じ燃焼温度に
保ち、その結果、軸出力が大幅に増加し、熱効率が向上
して燃費が低減し、かつNOX も低減できる利点がある
(例えば「川崎重工技報101号」P44〜P53,1
988年12月発行を参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前記の高温
・高圧力比をそのまま保持しながら蒸気噴射方式とした
ガスタービンでは、燃焼器の高圧力に抗して蒸気を供給
する必要があるために、燃焼器への供給蒸気圧力が必然
的に高くなる。したがって、ガスタービンの排ガスから
熱回収して蒸気を生成するための廃熱ボイラでは、上述
のように圧力が高いことことから飽和蒸気温度が高くな
って、この飽和蒸気温度と排ガス温度との温度差が最小
となるピンチポイント温度差が減少し、熱交換を有効に
行うのが困難になる。そこで、従来では、ピンチポイン
ト温度差の減少に応じて廃熱ボイラの伝熱面積を大きく
するか、あるいは必要なピンチポイント温度差を確保で
きる程度にまで廃熱ボイラの排気出口温度を高く設定す
ることで対処している。しかし、廃熱ボイラの伝熱面積
を大きく設定すると、伝熱管の配管数が増えるのに伴い
廃熱ボイラの容量が大型化して不経済となる。一方、廃
熱ボイラの排気出口温度を高く設定すると、排ガスの多
量の熱エネルギーを回収することなく無駄に棄てること
になり、この熱損失に伴ってガスタービンの熱効率が低
下する。
【0004】そこで本発明は、小さな容積の廃熱ボイラ
を用いながらも排ガスから有効に熱回収して高温・高圧
力比のガスタービンに蒸気を供給できる蒸気噴射ガスタ
ービンシステムおよびその運転方法を提供することを目
的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明の請求項1に係る蒸気噴射ガスタービンシス
テムは、大出力の第1ガスタービンおよび小出力の第2
ガスタービンと、前記両ガスタービンの排ガスから熱回
収して蒸気を生成する共通の廃熱ボイラと、生成された
蒸気を、前記両ガスタービンのうち少なくとも前記第1
ガスタービンの燃焼器に供給する蒸気供給手段とを備
え、前記廃熱ボイラは、排ガスの流動方向における水管
よりも上流側に前記第1ガスタービンの排ガスが導入さ
れる第1導入口を有し、水管の中途に対応する位置に前
記第2ガスタービンの排ガスが導入される第2導入口を
有している。
【0006】また、請求項2に係る蒸気噴射ガスタービ
ンシステムは、請求項1の構成に加えて、さらに、前記
両ガスタービンの少なくとも一方の排ガスから熱回収し
て原水を加熱する原水加熱器と、加熱された原水から純
水を得る造水装置とを備えている。
【0007】さらに、請求項3に係る蒸気噴射ガスター
ビンシステムは、請求項2の構成に加えて、さらに造水
装置で得られた純水を貯留する貯水タンクを備えてい
る。
【0008】さらにまた、請求項4に係る蒸気噴射ガス
タービンシスムは、請求項1〜3における前記第1ガス
タービンの負荷を舶用推進機とし、前記第2ガスタービ
ンの負荷を発電機としている。
【0009】また、請求項5に係る蒸気噴射ガスタービ
ンシステムの運転方法は、動力発生用の大出力の第1ガ
スタービンと発電用の小出力の第2ガスタービンとを備
え、共通の廃熱ボイラにより前記両ガスタービンの排ガ
スから熱回収して蒸気を生成するとともに、生成された
蒸気を、前記両ガスタービンのうち少なくとも前記第1
ガスタービンの燃焼器に供給し、前記廃熱ボイラには、
排ガスの流動方向における水管よりも上流側に設けた第
1導入口に前記第1ガスタービンの排ガスを導入し、水
管の中途に対応する位置に設けた第2導入口に前記第2
ガスタービンの排ガスを導入している。
【0010】
【作用および効果】請求項1の蒸気噴射ガスタービンシ
ステムまたは請求項5の蒸気噴射ガスタービンシステム
の運転方法によれば、廃熱ボイラには、第1ガスタービ
ンの排ガスが排ガスの流動方向における水管よりも上流
側の第1導入口から導入されるとともに、第2ガスター
ビンの排ガスが水管の中途に対応する位置の第2導入口
から導入される。したがって、大出力の第1ガスタービ
ンから出る高温の排ガスは、水管によって熱回収される
に伴って温度低下しながら、廃熱ボイラの下流側に流動
していき、この排ガスが小出力の第2ガスタービンから
出る排ガスの温度よりも温度低下する箇所まで流動した
ときに、この排ガスに第2ガスタービンからの排ガスが
導入されると、この混合された排ガスの温度が一旦上昇
する。そののちに、混合排ガスは熱回収されて徐々に温
度低下しながら廃熱ボイラの出口に向かって流動する。
この両排ガスから熱回収して生成された蒸気は、第1ガ
スタービンの燃焼器に供給される。この供給された蒸気
で燃焼器の燃焼温度が低下するため、燃料供給量を増大
して軸出力の増大が実現されるとともに、蒸気も加熱さ
れて仕事をすることから熱効率が向上する。
【0011】廃熱ボイラでは、高出力の第1ガスタービ
ンから出る比較的温度の高い排ガスを上流側に導入して
熱回収し、それにより温度低下した排ガスに、小出力の
第2ガスタービンから出る比較的温度の低い排ガスを混
合して、排ガス全体の温度を再び上昇させるようにして
いる。したがって、例えば、両ガスタービンの各々の排
ガスを共に廃熱ボイラの上流側に導入して混合する場合
と比較して、ピンチポイントが生じる廃熱ボイラ内の下
流側において、排ガス温度を高く維持できる。その結
果、高温・高圧力比のガスタービンの燃焼器に蒸気を供
給するために、高圧の水が廃熱ボイラに供給されて水の
沸点が高くなっている場合においても、ピンチポイント
温度差を大きく確保できる。そのため、常に高い熱交換
効率で排ガスから熱回収できるので、廃熱ボイラは、そ
の伝熱面積は小さくて済み、例えば伝熱管の配管数を少
なくした容積の小さいコンパクトなものにできる。
【0012】請求項2の蒸気噴射ガスタービンシステム
によれば、第1および第2ガスタービンの各々の排ガス
を、廃熱ボイラでの蒸気生成用の熱源として利用するだ
けでなく、少なくとも一方のガスタービンの排ガスを、
原水を加熱して純水を得る造水装置に接続される原水加
熱器の熱源としても有効利用している。また、原水加熱
器は熱源である排ガスの温度が低くてもよいので、必然
的に廃熱ボイラの下流側に配置されることになり、その
結果、この原水加熱器に供給される排ガスの温度は低く
なるが、原水、例えば海水の圧力が大気圧程度と低いこ
とから、海水の沸点も低いので、大きなピンチポイント
温度差を確保することができる。そのため、原水加熱器
出口の排ガス温度を十分に低く設定しても、原水加熱器
が大型化しない利点がある。
【0013】請求項3の蒸気噴射ガスタービンシステム
によれば、造水装置で得られた純水を貯水タンクに一旦
貯留している。例えば、フラッシュ型造水装置では海水
から短時間で多量の純水を得ることができないが、第1
ガスタービンの出力を急激に上げる時などのように多量
の純水を必要とする場合には、貯水タンクの純水を供給
することにより対応できる。
【0014】請求項4の蒸気噴射ガスタービンシステム
によれば、船舶用に適用した場合に、大出力の第1ガス
タービンを舶用推進機の推進動力発生用とし、かつ小出
力の第2ガスタービンを発電用としている。船舶には航
行の際に常時駆動される発電機駆動用のガスタービンが
搭載されているので、この既存のガスタービンの排ガス
を活用して、この排ガスを効果的に廃熱ボイラに導入す
ることにより、比較的大きな値のピンチポイント温度差
を確保できる。このように、従来において無駄に破棄し
ていた既存の発電用ガスタービンの排ガスを利用するの
で、コストアップになることがなく、大きなピンチポイ
ント温度差を確保して、廃熱ボイラをコンパクトにでき
る。
【0015】
【実施例】以下、本発明の好ましい実施例について図面
を参照しながら詳述する。図1は本発明の一実施例に係
る蒸気噴射ガスタービンシステムを示す概略構成図であ
る。同図には、船舶に適用した場合の蒸気噴射ガスター
ビンシステムを例示してあり、スクリュー、ウォーター
ジェット、オーバークラフトなどの船用推進機3を負荷
とする第1ガスタービン1と、発電機4を負荷とする第
2ガスタービン2とを備えている。両ガスタービン1,
2は、圧縮機7で空気を圧縮して燃焼器8の燃焼室に導
くとともに、燃焼室内に燃料を噴射して燃焼させ、その
高温高圧の燃焼ガスでタービン9を駆動させる。第1ガ
スタービン1は、舶用推進機3に推進動力を発生させる
大出力のもので、高圧のタービン9で圧縮機7を駆動
し、かつ低圧の出力タービン10で舶用推進機3を駆動
する二軸式のものである。一方、第2ガスタービン2
は、低出力のものであって、タービン9で圧縮機7と発
電機9を駆動する一軸式のものである。
【0016】両ガスタービン1,2の排ガスはこれらに
対し共通に設けられた第1廃熱ボイラ11に導かれる。
この第1廃熱ボイラ11の詳細については後述する。第
1廃熱ボイラ11では導入された両排ガスから熱回収し
て過熱蒸気を生成し、その過熱蒸気は蒸気供給配管12
を介して第1ガスタービン1の燃焼器8の燃焼室内に噴
射される。一方、第1廃熱ボイラ11で熱回収されたの
ちの排ガスは、未だ十分に熱エネルギーを有しているこ
とから、さらに、それぞれ廃熱回収用熱交換器としての
第2廃熱ボイラ29および第3廃熱ボイラ30を順次通
過して、熱エネルギを十分に回収されたのちに排出され
る。前記第2廃熱ボイラ29は原水加熱器として、第3
廃熱ボイラ30は純粋予熱器として、それぞれ利用され
る。
【0017】第1廃熱ボイラ11に供給する蒸気生成用
の水としては、フラッシュ型造水装置13において船舶
航行中に海水を原水として得られた純水が用いられる。
これは、海水をそのまま使用すると、ボイラ管やタービ
ンブレードなどに腐食が生じるためである。海水から純
水を得る造水装置としては、前記のフラッシュ型、リヒ
ート型および蒸気圧縮型などがあるが、熱効率、その他
の点で前記実施例で示したフラッシュ型を用いるのが好
ましい。
【0018】つぎに、前記フラッシュ型造水装置13に
ついて説明する。この造水装置13は、海水を加熱して
蒸発法により純水を得るものであり、海から取り込んだ
海水を、低圧の循環ポンプ14で循環させるとともに、
その循環経路に設けた前記原水加熱器29で加熱したの
ちに、ノズルから注水装置13内の蒸発室に吹き出され
る。一方、第1廃熱ボイラ11からエゼクタ用の蒸気が
供給されると、エゼクタ17が作動して蒸発室内を真空
引きし、蒸発室内の圧力が飽和蒸気圧以下になったとき
に、前記加熱されて蒸発室内に吹き出された海水が沸騰
して蒸気が発生する。この蒸気は、蒸発室内を上昇して
いくときに上述の循環する冷たい海水に触れて凝縮し、
液化して蒸留器に溜まる。この溜まった蒸留水、つまり
塩分が除去された純水を、低圧給水ポンプ18で汲み出
して、低圧給水配管20に送水する。
【0019】低圧給水ポンプ18の作動により低圧給水
配管20に送り出された純水は、前記第3廃熱ボイラ3
0で予熱されたのちに、貯水タンク19に一旦貯留され
る。なお、同図には、第3廃熱ボイラ30で予熱された
純水の一部を高圧ポンプ22で第1廃熱ボイラ11に供
給することによって、前記エゼクタ蒸気を得る場合を示
してある。前記貯水タンク19に貯留された純水は、高
圧ポンプ21により燃焼器8内の高い圧力に抗して噴射
できる高圧力に昇圧されてから第1廃熱ボイラ11に供
給される。第1廃熱ボイラ11では、送られてくる純水
を両ガスタービン1,2から供給される排ガスにより加
熱するとともに、発生した高圧の過熱蒸気を蒸気供給配
管12に送出して、第1ガスタービン1の燃焼器8内の
燃焼室に噴射する。
【0020】両ガスタービン1,2の排ガス温度は、第
1廃熱ボイラ11および第2廃熱ボイラ29でそれぞれ
熱回収されるごとに低下していき、第3廃熱ボイラ30
に供給されるときには150℃以下まで低下する。15
0℃以下の排ガスを熱交換に用いると、排ガスが結露し
てボイラチューブなどに液滴が付着する。ここで、ガス
タービン1,2の燃料として軽油または重油のような液
体燃料を用いている場合には、その排ガスに含まれてい
る酸化硫黄などの硫黄分の一部が硫酸に変化して、ボイ
ラチューブなどに硫酸腐食が生じる問題がある。このよ
うな問題を解消するために、前記第3廃熱ボイラ30と
して耐食型熱交換器を用いている。この耐食型熱交換器
は、水の通る伝熱管の外面および伝熱管を支持するとと
もに排ガス通路を構成する管板などの排ガスが触れる全
ての面に、テフロンをライニングしたものである。それ
により、第3廃熱ボイラ30では、硫酸腐食を防止しな
がら150℃以下の低温の排ガスにより熱交換できるよ
うになっている。
【0021】つぎに、前記蒸気噴射ガスタービンシステ
ムの作用について図2を参照しながら説明する。図2
(a)は前記第1廃熱ボイラ11を模式的に示したもの
である。この第1廃熱ボイラ11には、排ガス流路にエ
コノマイザ24およびスーパーヒーター28をそれぞれ
形成する水管23よりも、排ガス流動方向31における
上流側に設けられた第1導入口11aから、第1ガスタ
ービン1の排ガスG1が導入されるともに、水管23に
おけるボイラ部27とスーパーヒーター28との間の中
途箇所に対応する位置に設けられた第2導入口11bか
ら、第2ガスタービン2の排ガスG2が導入される。ま
た、高圧ポンプ21により昇圧されて第1廃熱ボイラ1
1に送られてきた純水は、排ガス温度が熱回収によって
低くなる排ガス流路の下流側に設けられたエコノマイザ
ー24で予熱されたのちに、中央部のボイラ部27で排
ガスと熱交換され、さらに排ガス温度の高い排ガス流路
の上流側に設けられたスーパーヒータ28で過熱され
る。
【0022】図2(b)は、図2(a)の第1廃熱ボイ
ラ11における各部位に対応する箇所の水または蒸気の
温度分布および排ガスの温度分布をそれぞれ示したもの
であり、排ガスの温度は温度分布曲線CGに、水または
蒸気の温度は温度分布曲線CWにそれぞれ示す。第1廃
熱ボイラ11に供給された純水は、温度分布曲線CWの
W1の区間に示すように、エコノマイザー24で予熱さ
れて沸点Fまで温度上昇したのちに、W2の区間に示す
ように、ボイラ部27において或る圧力で一定温度を保
持して熱交換されて、気化熱を奪いながら飽和蒸気とな
り、さらに、W3の区間に示すように、スーパーヒータ
28で過熱されることにより蒸気温度が急激に上昇して
過熱蒸気となる。
【0023】一方、第1導入口11aから導入された第
1ガスタービン1の高温の排ガスG1は、温度分布曲線
CGに示すように、まず、スーパーヒーター28で熱回
収されるに伴って温度低下しながら下流側に流動してい
く。温度分布曲線CGのg点に示すように、前記排ガス
G1が第2ガスタービン2の排ガス温度に対し所定値だ
け低い温度に低下する箇所まで流動したときに、この排
ガスG1に第2導入口11bから導入された第2ガスタ
ービン2の排ガスG2が混合されて、その排ガス全体G
の温度が一旦上昇する。そののちに、混合排ガスGはボ
イラ部27およびエコノマイザー24で順次熱回収され
ながら排ガス流路の出口に向かって流動し、その排ガス
温度は、直線的に徐々に低下していく。
【0024】すなわち、両ガスタービン1,2の各々の
排ガスは、第1廃熱ボイラ11内の排ガス流路の全体に
わたって比較的高い温度を維持できるタイミングで混合
するよう第1廃熱ボイラ11に導入されている。それに
より、高温・高圧力比のガスタービン1の燃焼器8に蒸
気を供給するために高圧の純水が第1廃熱ボイラ11に
供給されて、純水の沸点Fが高くなっているにもかかわ
らず、排ガス温度と蒸気温度との温度差が最小となるピ
ンチポイント温度差ΔTとして、大きな値を確保でき
る。この大きなピンチポイント温度差ΔTを確保できる
点について、以下に簡単に説明する。
【0025】もし仮に、第2ガスタービン2の排ガスG
2を第1廃熱ボイラ11に導入しないと仮定した場合に
は、その温度分布曲線が図2(b)に1点鎖線41で示
すようになり、純水の沸点Fが高くなっているために、
ピンチポイント温度差がマイナスの値となって熱交換で
きなくなってしまう。また、両ガスタービン1,2,の
各々の排ガスを共に第1廃熱ボイラ11の上流側の第1
導入口11aに導入して混合した場合を仮定すると、図
2(b)に2点鎖線42で示す温度分布曲線のように、
第1ガスタービン1の排ガスG1よりも温度の低い第2
ガスタービンの排ガスG2により、混合された両排ガス
の温度は,第1導入口11aにおいて、第1ガスタービ
ン1の排ガスG1の温度よりも低くなり、この排ガス温
度からほぼ一定の割合で(直線的に)徐々に低下してい
き、出口11cで曲線CGと一致する。したがって、廃
熱ボイラ11の下流側における排ガス温度が、曲線CG
よりも低くなるから、ピンチポイント温度差Δtは前記
実施例におけるピンチポイント温度差ΔTよりも小さく
なってしまう。このピンチポイント温度差を曲線CGの
場合と同程度に確保するためには、破線43で示すよう
に、排ガス出口11cでの排ガス温度を高く設定する必
要があり、その結果、排ガスの熱量の多くを無駄に捨て
ることになる。
【0026】上述のように、本発明では大きなピンチポ
イント温度差ΔTを確保できる結果、排ガス流路の全体
にわたって高い熱交換効率で排ガスから熱回収できるの
で、第1廃熱ボイラ11の伝熱面積は小さくて済む。し
たがって、第1廃熱ボイラ11は、例えば伝熱管の配管
数を少なくした容積の小さいコンパクトなものにでき
る。
【0027】しかも、前記実施例では、船舶に搭載され
て航行の際に常時駆動されている発電機駆動用のガスタ
ービン2の排ガスを活用して、この排ガスを上述のよう
に効果的に第1廃熱ボイラ11に導入することにより、
比較的大きな値のピンチポイント温度差ΔTを確保して
いる。すなわち、従来において無駄に破棄していた既存
の第2ガスタービン2の排ガスを利用することによっ
て、コストアップになることなく大きなピンチポイント
温度差ΔTを確保している。これに対し従来では、ガス
タービンの燃焼器に蒸気を噴射するに際して、廃熱ボイ
ラ内でのピンチポイント温度差を確保するために、廃熱
ボイラ排気出口温度を高く設定しており、熱損失が大き
くなっていた。
【0028】ところで、前記実施例における各部の実測
温度値の一例を示すと、第1ガスタービン1の排ガス温
度が496℃で、第2ガスタービン2の排ガス温度が3
90℃である場合、第1廃熱ボイラ11出口の排ガス
は、180℃程度の温度を保って十分な熱エネルギーを
有している。そこで、第1廃熱ボイラ11からの排ガス
をさらに利用して原水過熱器14および第3廃熱ボイラ
30に順次供給しており、この点からも熱効率がさらに
向上する。なお、この場合、原水過熱器14出口の排ガ
ス温度は125℃程度であり、第3廃熱ボイラ30出口
の排ガス温度は105℃程度にまで低下し大気に放出さ
れるので、高温度排気問題、いわゆるサーマルポリュー
ションが生じない。しかも、純水を第3廃熱ボイラ30
で予熱したのちに第1廃熱ボイラ11に供給するから、
その分だけ第1廃熱ボイラ11での熱交換量を少くでき
るので、第1廃熱ボイラ11を小型化できる。
【0029】また、第2廃熱ボイラ29は、第1廃熱ボ
イラ11の下流側に配置されているから、供給される排
ガスの温度が上述のとおり低くなるが、海水の圧力が大
気圧程度と低いことから、海水の沸点Fが低いので、大
きなピンチポイント温度差ΔTを確保できる結果、大型
化を招かない。
【0030】フラッシュ型造水装置13では海水から短
時間で多量の純水を得ることはできないため、造水装置
13で得られた純水を貯水タンク19に一旦貯留するよ
うにしている。これにより、第1ガスタービン21の出
力を急激に上げる時などのように多量の純水を必要とす
る場合にも、貯水タンク19の純水を供給することによ
り対応できるようになっている。
【0031】前記実施例では、第1廃熱ボイラ11で生
成した蒸気を第1ガスタービン1の燃焼器8のみに供給
する場合を例示したが、図1に2点鎖線で示すように、
蒸気供給配管12から第2ガスタービン2の燃焼器8に
も蒸気を供給するようにしてもよい。その場合、第2ガ
スタービン2においても燃焼器8への蒸気噴射に伴うタ
ービン9の軸出力の増大と熱効率の向上を達成できる。
【0032】また、前記実施例では、第2廃熱ボイラ2
9および第2廃熱ボイラ30に、両ガスタービン1,2
の排ガスを供給したが、いずれか一方のガスタービンか
らの排ガスのみを供給してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る蒸気噴射ガスタービン
システムを示す概略構成図である。
【図2】(a)は同上実施例における第1廃熱ボイラを
示す模式図、(b)は 第1廃熱ボイラの(a)に対応
する各部位における水または蒸気の温度分布および排ガ
スの温度分布をそれぞれ示す特性図である。
【符号の説明】
1…第1ガスタービン、2…第2ガスタービン、3…舶
用推進機、4…発電機、8…燃焼器、11…第1廃熱ボ
イラ、11a…第1導入口、11b…第2導入口、12
…蒸気供給配管(蒸気供給手段)、13…フラッシュ型
造水装置、19…貯水タンク、23…水管、29…第2
廃熱ボイラ(原水加熱器)、30…第3廃熱ボイラ(純
水予熱器)31…流動方向。

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 大出力の第1ガスタービンおよび小出力
    の第2ガスタービンと、 前記両ガスタービンの排ガスから熱回収して蒸気を生成
    する共通の廃熱ボイラと、 生成された蒸気を、前記両ガスタービンのうち少なくと
    も前記第1ガスタービンの燃焼器に供給する蒸気供給手
    段とを備え、 前記廃熱ボイラは、排ガスの流動方向における水管より
    も上流側に前記第1ガスタービンの排ガスが導入される
    第1導入口を有し、水管の中途に対応する位置に前記第
    2ガスタービンの排ガスが導入される第2導入口を有し
    ている蒸気噴射ガスタービンシステム。
  2. 【請求項2】 請求項1において、さらに、前記両ガス
    タービンの少なくとも一方の排ガスから熱回収して原水
    を加熱する原水加熱器と、加熱された原水から純水を得
    る造水装置とを備えた蒸気噴射ガスタービンシステム。
  3. 【請求項3】 請求項2において、さらに造水装置で得
    られた純水を貯留する貯水タンクを備えている蒸気噴射
    ガスタービンシステム。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3において、前記第1ガスタ
    ービンの負荷が舶用推進機であり、前記第2ガスタービ
    ンの負荷が発電機である蒸気噴射ガスタービンシステ
    ム。
  5. 【請求項5】 動力発生用の大出力の第1ガスタービン
    と発電用の小出力の第2ガスタービンとを備え、 共通の廃熱ボイラにより前記両ガスタービンの排ガスか
    ら熱回収して蒸気を生成するとともに、生成された蒸気
    を、前記両ガスタービンのうち少なくとも前記第1ガス
    タービンの燃焼器に供給し、 前記廃熱ボイラには、排ガスの流動方向における水管よ
    りも上流側に設けた第1導入口から前記第1ガスタービ
    ンの排ガスを導入し、水管の中途に対応する位置に設け
    た第2導入口から前記第2ガスタービンの排ガスを導入
    した蒸気噴射ガスタービンシステムの運転方法。
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