JP2670996C - - Google Patents

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JP2670996C
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hyaluronic acid
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【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の背景】 本発明は化学的に改質したヒアルロン酸から生成するバイオ適合性フィルム及
びゲルに関する。 ヒアルロン酸(「HA」)は天然産のムコ多糖で、例えば滑液、硝子体液、血
管壁及びへそ帯及びその他の連結組織中に見られる。多糖は交互N−アセチル−
D−グルコサミン及びD−グルクロン酸残基が交互β1−3グルクロンジック及
びβ1−4グルコサミニジック結合によって結合されてなり、それで反復単位は
−(1→4)−β−D−Gl cA−(1→3)−β−D−Gl cNAc−である
。ヒアルロン酸は水に溶解して高粘性流体を形成する。天然源から単離したヒア
ルロン酸の分子量は5×104〜1×107ダルトンまでの範囲内に入るのが普通
である。 【0002】 本明細書中で用いる通りの「HA」なる用語はヒアルロン酸及びそのヒアルロ
ネート塩、例えばヒアルロン酸ナトリウム(ナトリウム塩)、ヒアルロン酸カリ
ウム、ヒアルロン酸マグネシウム及びヒアルロン酸カルシウムを含む任意のもの
を意味する。 【0003】 HAは化学的に改質した(「誘導化した」)形で外科用エイド(補助剤)とし
て有用であり、手術後の期間中に体組織が癒着或は付着するのを防ぐ。誘導化し
たHAゲル或はフィルムを、分離したままにして相互に癒着しないようにする組
織の間の場所に注入或は挿入する。ゲルは、有効であるには、決まった場所に留
まり、ゲルが終局的に分散しかつ組織が接触するようになって、組織がもはや癒
着する傾向をもたなくなるように十分長い時間、組織を接触させないようにしな ければならない。 【0004】 化学的に改質したHAは、また、徐放薬剤送達用に有用になることができる。
Balazs等の米国特許4,582,865号(1986年)は、「HA」の架橋ゲ
ルはその中に分散され、ゲル高分子マトリックに共有結合されていない低分子量
物質の放出の速度を落とすことができると記述している。R.V.Sparer 等は、ニ
ューヨーク在Marcel Dekker,Inc.,T.J.Roseman 等の Controlled Rebase Del
ivery Systems,1983年、6章、107〜119頁において、直接か或はアラ
ニンブリッジを中間結合基として含むエステル錯体におけるかのいずれかでエス
テル結合を経てヒアルロン酸に共有結合させたクロラムフェニコールの開放が持
続されることを記載している。 【0005】 I.Danishefsky 等、Carbohydrate Res.,1971年、16巻、199〜205
頁は、ムコ多糖とアミノ酸エステルとを1−エチル−3−(3−ジメチルアミノ
プロピル)カルボジイミドヒドロクロリド(「EDC」)の存在において水溶液
中で反応させてムコ多糖のカルボキシル基を置換されたアミドに転化することに
よってムコ多糖を改質することを記載している。彼等はグリシンメチルエステル
とHAを含む種々の多糖とを反応させた。生成した生成物は水溶性である、すな
わち、水或は体組織の間で遭遇するような水性環境に迅速に分散する。 【0006】 HA組成物の水溶性を減少させる提案はHAを架橋させることを含む。R.V.S
parer 等は、ニューヨーク、Marcel Dekker,Inc.,R.J.Roseman 等、Controll
edRebase Delivery Systems,1983年、6章、107〜119頁において、シ
スティン残基をHAにアミド結合を経て結合させ、次いで結合させたシスティン
残基の間にジスルフィド結合を形成することによってシスティン改質したHAを
架橋させることによってHAを改質することを記載している。システイン改質し
たHAはそれ自体水溶性であり、かつ酸化によってジスルフィド形に架橋させた
場合にのみ不溶性になった。 【0007】 De Belder 等のPCT公表第WO 86/00912号は、カルボキシル含有
多糖に二或は多官能価エポキシドを架橋させて作る。手術後の組織癒着を防止す
る分解のおそいゲルを記載している。水溶性の減少したHAの架橋ゲルを作るの
に提案された他の反応性の二或は多官能価試薬は下記を含む:50℃のアルカリ
性媒質中の1,2,3,4−ジエポキシブタン(T.C.Laurent等、1964年、
Acta Chem Scand.,18巻、174頁);アルカリ性媒質中のジビニルスルホン
(E.A.Balasz 等、米国特許4,582,865号(1986年);ホルムアル
デヒド、ジメチロールウレア、ジメチロールエチレンウレア、エチレンオキシド
、ポリアジリジン及びポリイソシアネート(E.A.Balasz等、英国特許出願第8
420560(1984年))を含む種々の他の試薬、T.Malson等のPCT公表
第WO 86/00079号(1986年)は、HAを二−或は多官能価エポキ
シドのような二−或は多官能価試薬と反応させて、代用硝子体液として用いるた
めのHAの架橋ゲルを作ることを記載している。T.Malson 等のEPO 019
3510号(1986年)は、架橋HAゲルを真空乾燥或は圧縮して造形品を作
ることを記載している。 【0008】 【発明の要約】 総括的には、発明は、一態様において、水不溶性のバイオ適合性ゲルの製造方
法、HAを活性化剤で活性にして活性化HAを生成し及び活性化HAを求核性試
薬と水不溶性のバイオ適合性ゲルを生成する条件下で反応させることを含む方法
を特徴とする。 【0009】 好ましい実施態様では、活性化及び反応は同時に行われる。活性化はHAを含
む水性混合物を準備し、酸を加えて水性混合物の pHを4.0〜5.0に下げ、
次いで水性混合物に活性化剤を接触させることを含む。水性混合物はHAを濃度
0.4〜2.6%W/W の範囲で含む。酸は塩酸を含む。HA及び活性化剤は、活
性化する間、活性化剤少なくとも0.2モル当量対HAのグルクロン酸残基1モ
ル当量のモル比で存在し、活性化HA及び求核性試薬は反応工程において、求核
性試薬少なくとも0.2モル当量対活性化HAのグルクロン酸残基1モル当量の モル比で存在する。活性化剤はカルボジイミド(好ましくは、1−エチル−3−
(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド或は1−エチル−3−(3−ジ
メチルアミノプロピル)カルボジイミドメチオジド)を含む。求核性試薬は下記
を含む:アミノ酸アミド(好ましくはロイシンアミドヒドロクロリド)、一官能
価アミン(好ましくはアニリン)、アミノ酸、アミノ酸の塩、或は下記を含む群
から選ぶアミノ酸のエステル(好ましくはメチルエステル或はt−ブチルエステ
ルを含むブチルエステル):ロイシン、バリン、イソロイシン、アルギニン、プ
ロリン、ヒスチジン或はフェニルアラニン(好ましくはL−ロイシンメチルエス
テルヒドロタロリド、L−バリンメチルエステルヒドロクロリド、L−イソロイ
シンメチルエステルヒドロクロリド、L−アルギニンメチルエステルヒドロクロ
リド、L−プロリンメチルエステルヒドロクロリド、L−ヒスチジンメチルエス
テルヒドロクロリド、L−フェニルアラニンヒドロクロリド、或はL−ロイシン
t−ブチルエステルヒドロクロリド)。方法は更に検出可能なマーカ(好ましく
は、「Brilliant Blue R」を含む。アミノ酸を染色する染料)を混和すること
を含む。 【0010】 発明は、別の態様では、上述した方法に従って作るゲルを特徴とする。 発明は、別の態様では、バイオ適合性ゲルを準備し、ゲルを乾燥し或はゲルか
ら水を逃散させる条件下でゲルを圧縮することを含む、水不溶性のバイオ適合性
フィルムの製造方法を特徴とする。 【0011】 発明は、別の態様では、上述した方法に従って作るフィルムを特徴とする。 発明は、別の態様では、HAを含み、実質的に架橋が存在しない。実質的に二
官能価或は多官能価求核性試薬が存在しない、実質的に二官能価或は多官能価の
求電子性試薬が存在しない水不溶性組成物を特徴とする。 好ましい実施態様では、組成物は、更に、一官能価アミンを含む一官能価求核
性試薬、検出可能なマーカー、医薬上活性な物質(好ましくは、HAに共有結合
しているか或は組成物内に分散しているかのいずれか及び組成物に共有していな
い)を含む。 【0012】 発明は、別の実施態様では、HAと、活性化剤と、求核性試薬との反応生成物
を含む水不溶性組成物を特徴とする。 本明細書中で使用する通りの「フィルム」なる用語はゲルを圧縮して或はゲル
を脱水させて形成する物質を意味し、発明の全てのゲルはこのようなフィルムに
成形することができる。 【0013】 「バイオ適合性」物質とは、その用語を本明細書中で用いる場合、医学上容認
し得ない毒性或は有害な作用を生物学的機能に与えないものである。 【0014】 本発明者等は、HAを適当な活性化剤及び求核性試薬で処理することによって
、二−或は多官能価架橋試薬を何ら使用しないで、HAのカルボキシル基を共有
的に改質した水溶性の減少したゲル或はフィルムを作り得ることを見出した。「
水溶性」ゲル或はフィルムとは、その用語を本明細書中で用いる場合、水中ヒア
ルロン酸ナトリウム1%重量/重量(「W/W」)の水溶液を乾燥し、3cm×3cm
×0.3mmの寸法を有するように作り、20℃の蒸留水50mlのビーカーに入れ
て撹拌しないで静置させた際に、フィルムとしてのその構造上の結合性を3分後
に失い、20分以内に全体が分散されるようになるものである。発明の「水不溶
性」フィルムとは、その語句及び同様の用語を本明細書中で用いる場合、HAの
1%水溶液を使用し、発明に従って改質し、同じ寸法を有するように形成し、同
様にして20℃の蒸留水50mlのビーカー中に撹拌しないで静置させて、20分
の後に構造が完全なものである。フィルムは膨潤されるが、フィルムの境界及び
エッジは24時間の後に依然存在する。 【0015】 HAが「活性化される」とは、その用語を本明細書中で用いる場合、HAを水
性混合物中でHAに付いたカルボキシル基を求核作用に対して攻撃されやすくさ
せるように処理する場合に言う。「活性化剤」とは、HAを含む水性混合物中で
、HAをそのように活性になるようにさせる物質である。 【0016】 種々の反応条件下で、種々の求核性試薬を用いて活性化HAを改質することが
できる。本明細書中で用いる通りの「求核性試薬」とは、活性化HAと反応する
ことができる電子に富んだ官能基(好ましくは、第一アミン)を保持する任意の
分子である。 【0017】 発明のゲル或はフィルムの製造或は使用において、架橋剤を使用しない。本明
細書中で用いる通りの「架橋剤」とは、活性化HAと反応することができる求核
性部分(例えばアミノ基のような)を2つ或はそれ以上含有する分子であり、或
はHAのヒドロキシル基と反応することができる求電子性部分を2つ或はそれ以
上含有する分子である。好ましい求核性試薬はバイオ適合性のものであるが、活
性化HAと反応してバイオ適合性生成物となることができる任意の求核性試薬を
用いてよい。その上、ゲル及びフィルムは水不溶性であるから、使用する前に水
で十分に洗浄して未反応物質を除くことができる。 【0018】 また、発明のフィルム及びゲルは、染料或はステインを反応混合物に入れて、
着色した形で作ることができる。このような着色フィルム及びゲルは、決まった
場所にある際或は配置する間、見るのが一層容易であり、無着色のものに比べて
外科手術中の取扱いを一層容易にさせることができる。 【0019】 発明のゲル及びフィルムは、バイオ適合性でありかつ水不溶性であるので、組
織を、例えば創傷の治癒を可能にするのに十分な期間のような長い期間の間、の
ける或は分離するつもりの外科エイドとして特に有用になることができる。 【0020】 【好ましい実施態様の説明】 発明のゲル及びフィルムは一般的に下記の通りにして作る。HAを水に溶解し
、生成した水性混合物の pHを下方向に調整し、次いで適当な活性化剤を混和し
て溶解したHAを活性化し、適当な求核性試薬を活性化HAに混和して、所望の
ゲルが生成するまで静置させる。活性化剤及び求核性試薬は任意の順序で混和す
ることができる。 発明のゲル及びフィルムの好ましい製造方法を今詳細に説明する。発明のゲル
及びフィルムは、当業者ならばわかる通りに、発明の方法の範囲内であり、その
上、本明細書中に記載するものと詳細な点で異なるプロトコルを使用して作るこ
とができる。 【0021】 ヒアルロン酸或はヒアルロン酸ナトリウムのようなヒアルロン酸の塩を水に溶
解して水性混合物を作る。種々の源の内の任意のものからのHAを使用すること
ができる。HAは、よく知られている通りに、動物組織から抽出し或はバクテリ
ア発酵の生成物として収穫することができる。ヒアルロン酸は、例えばPCT公
表第WO86/04355号に記載されている通りにしてバイオプロセス技術に
よって商業量で製造することができる。この第一水性混合物中のHAの濃度は0
.4〜2.6%重量/重量(「W/W」)の範囲であるのが好ましい。濃度が著しく
低いと、続く反応がのろくなりかつ有効性が低くなり、濃度が著しく高いと、粘
度が高いことにより、取扱いが困難である。 【0022】 水性HA混合物は酸性にすべきであり、pH4.0〜5.0を有するのが好ま
しく、pH4.75〜5.0を有するのが一層好ましく、pH4.75を有するの
が最も好ましい。pH値が低いと、好ましい活性化剤EDCは不安定であり、pH
値が高いと、反応速度を減少させる。塩酸を加えて pHを調整するのが好ましい
が、他の既知の酸を使用することができる。 【0023】 一担、水性HA混合物の pHを調整したら、活性化剤を混和する。好ましい活
性化剤はカルボジイミド、最も好ましくはEDC(いくつかの参考文献では、こ
の物質は1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチル−カルボジイミド或
は「DEC」と呼ばれている)或はETC(1−(3−ジメチルアミノプロピル
)−3−エチルカルボジイミドメチオジン)を含む。 【0024】 次いで、求核性試薬を水性HA活性化剤混合物に混和する。好ましい求核性試
薬は所定のアミノ酸エステル、一層好ましくはロイシン、イソロイシン、バリン
、 フェニルアラニン、ヒスチジン或はプロリンのメチルエステル、最も好ましくは
L−ロイシンメチルエステルヒドロクロリドを含む。例えばエチル及びt−ブチ
ルエステルを含むアミノ酸の他の置換エステルを使用することができ、例えばア
ニリンのような他の一官能価アミンを使用することができる。 求核性試薬及び活性化剤を pH調整したHA混合物に、任意の順序で、一度に
全てを或は徐々に混和することができる。 【0025】 着色生成物を望むならば、染料或はステイン、例えばServa が「Serva Blue」
として配布している青色染料「Brilliant Blue R」(また、「Coomassie(登録
商標)Brilliant Blue R−250」としても知られている)をこの点で反応混
合物に混和することができる。生成した生成物は青色を有し、体組織の色と良好
な対比をなし、フィルム或はゲルを手術中取扱う間及び一担決まった場所におい
て、見るのを容易にする。 一担、試薬(有るとすれば、ステイン或は染料)を混和したら、反応混合物を
単に当分静置させることができ、或は連続して或は時々撹拌する或はかきまぜる
ことができる。 【0026】 試薬を混和すると、 pHが上がり、反応が進むにつれて酸を添加して pH4.
75に保つことができる。しかしながら、本発明者等は、種々の所望の物理的性
質を有するフィルム及びゲルを、反応が進むにつれて単に pHを上昇させて得る
ことができることを見出した。試薬、特にEDC及び求核性試薬を添加する様式
は臨界的なものでなく、これらの試薬対HAの比が重要である。本発明者等は、
グルクロン酸残基1モル当量対EDC1.6モル当量の比が強いゲルを生じ、1
:0.2の比が数日の期間にわたってつぶれて流動溶液になる弱いゲルを生じる
。すなわち、EDC及び求核性試薬対HAの比は広い範囲にわたって変わること
ができるが、EDC対HA或は求核性試薬対HAの比は0.2:1より大きくす
るのが好ましい。一層好ましい比は使用する特定の求核性試薬及び最終生成物の
所望の物理的性質に依存する。典型的には、値が小さい程、生成物は弱く、溶性
になり、値が大きい程、生成物は強く、不溶性になるのが典型的である。 【0027】 上記に従って改質したHAは簡単な方法でフィルムとしてキャストすることが
できる。反応混合物を所望の寸法及び形状を有する容器に注いで風乾させるのが
代表的である。フィルムは厚く注いだ混合物を乾燥して作るのが普通であり、そ
れで薄く、表面積/容積の大きい混合物を乾燥して形成するフィルムに比べて表
面積/容積が小さく、強度が大きくなる。 【0028】 別法として、水を逃散させる条件下でゲルを圧縮することにより、例えばゲル
を、例えばEPO 0193510号に記載されている通りにして、2つの表面
であって、それらの内の少なくとも1つは多孔質であるものの間で圧縮すること
による等でフィルムを形成することができる。 【0029】 所望の場合、ゲル或はフィルムを使用する前に、例えば水或は1Mの塩化ナト
リウム水溶液を灌流させることによって洗浄することができる。別法として、反
応混合物を透析して残留試薬を除いた後にフィルムとしてキャストすることがで
きる。フィルム或はゲルを治療用途用に用いるつもりならば、洗浄して残留試薬
或は試薬誘導化物質、例えば置換尿素を除くことが望ましい。上述した通りにし
て Brilliant Blue Rで青色に着色したゲル或はフィルムは、このように洗浄す
る間に着色を失わない。試薬或は反応生成物の除去は高圧液体クロマトグラフィ
ーでモニターすることができる。 【0030】 発明を下記の例で一層詳細に説明する。これらの例は例示として挙げるもので
あり、特許請求の範囲に記載する通りの他は、発明を制限するつもりのものでは
ない。 【0031】 【実施例】 例1:本例では、EDCを活性化剤として及びロイシンメチルエステルヒドロ
クロリドを求核性試薬として用いて、ヒドロゲルを作製した。 分子量1×106〜2×106を有するヒアルロン酸ナトリウム(400mg; カルボキシル基1.0mモル)を蒸留水10mlに溶解した。水溶液の pHを、0
.1NHClを添加して pH4.75に調整した。次いで、EDC314mg(1
.64mモル)を一度に全部加えた後に、L−ロイシンメチルエステルヒドロク
ロリド190mg(1.05mモル)を加えた。次いで、反応混合物の pHは2時
間にわたって6.2に上昇した。反応混合物を室温に5時間保った後に、粘稠な
不溶性ヒドロゲルを形成していた。このヒドロゲルを0.1M Na Cl 溶液で
洗浄して残留試薬を除いて、その物理的性質を失わなかった。 【0032】 例2:本例では、種々のEDC/ロイシン:HA比を用いて、ゲルの形成及び
性質を比較した。 ヒアルロン酸ナトリウム(400mg;カルボキシル基1.0mモル)を水15
mlに溶解して用いて、手順を例1の通りにした。次いで、下記の量のEDC及び
ロイシンメチルエステルヒドロクロリドを別々の実験で加えた:EDC153mg
(0.8mモル)/ロイシンメチルエステルヒドロクロリド182mg(1.0m
モル);EDC76mg(0.4mモル)/ロイシンメチルエステルヒドロクロリ
ド90mg(0.5mモル);EDC38mg(0.2mモル)/ロイシンメチルエ
ステルヒドロクロリド45mg(0.25mモル)。例1の通りにEDC及びロイ
シンメチルエステルヒドロクロリドの比が最も高い場合に、強いヒドロゲルが得
られた。反応体の比が最も低い場合(0.2mモル/HAカルボキシル基0.2
5〜1.0mモル)、弱いゲルが得られ、これは2週間後につぶれて流体になっ
た。 【0033】 例3:本例では、HA濃度を半分減らして生成するゲルの性質を比較した。 手順は例1の通りにしたが、HA(400mg;カルボキシル基1.0mモル)
を水15mlよりもむしろ30mlに溶解した(1-1/3%W/W HA)。ヒドロゲルが
形成されたが、例1で得られたものよりも弱かった。 【0034】 例4:本例では、EDCを活性化剤として及びロイシンメチルエステルヒドロ
クロリドを求核性試薬として用いて、フィルムを作製した。 ヒアルロン酸ナトリウム(400mg;カルボキシル基1.0mモル)を蒸留水
10mlに溶解した。溶液の pHを、0.1N HCl を添加して pH4.75に
調整した。次いで、EDC(314mg;1.64mモル)を単一部分で加えた後
に、L−ロイシンメチルエステルヒドロクロリド190mg(1.05mモル)を
加えた。反応混合物の pHは2時間の間に6.2に上昇し、その時間の後に溶液
を面積6360mm2のペトリ皿に注ぎ、2日の期間にわたって乾燥させてフィル
ムにした。このようにして作ったフィルムは強く、水及び1M Na Cl 水溶液
に不溶性であった。フィルムを例1の通りにして水或はNa Cl 水溶液で洗浄し
て残留試薬を除いて、それらの物理的性質を失わなかった。かかるフィルムの赤
外分光分析は約2130cm-1におけるカルボジイミド吸収を示さず、約1740
cm-1、1700cm-1、1650cm-1及び1550cm-1における吸収を示した。 【0035】 例5:本例では、フィルムを作るのに種々のHA濃度を用いて生成するフィル
ムの性質を比較した。 HA(400mg;カルボキシル基1.0mモル)を蒸留水30ml、40ml或は
100mlに溶解して作った3つの異なる初期HA濃度を用いて、例4に記載する
手順を繰り返した。これらの初期濃度のHAの各々を用いて作ったフィルムは強
くかつ水及び1M Na Cl 水溶液に不溶性であった、このことはHAを濃度範
囲で用い得ることを示す。これらのフィルムの各々を、その物理的性質を失わな
いで、水或はNa Cl 水溶液で洗うことができた。 【0036】 例6:本例は、反応混合物を透析した後にキャストしてフィルムを形成する効
果を、フィルムを形成した後に洗浄するのと比較して示す。 ヒアルロン酸ナトリウム(40mlの水中400mg)と、EDC(314mg;1
.64mモル)と、L−ロイシンメチルエステルヒドロクロリド(190mg;1
.05mモル)とを例4の通りにして反応させた。反応が完了した(2時間)際
に、残留試薬を除くために、反応混合物を12,000NMW カットオフ透析チュ
ービングに通して、水に対して透析した。透析した混合物を、次いで、例4の通
りにしてフィルムとしてキャストした。そのようにして得たフィルムは強くかつ
水或 は1M Na Cl 水溶液に不溶性であった。 【0037】 例7:本例では、フィルムを一層厚く注いだ反応混合物を乾燥して形成して、
混合物を異なる表面積/容積で乾燥させて作るフィルムの性質を比較した。 例4の通りにして得た反応混合物(反応容積40ml)を小さいペトリ皿(面積
3330mm2)にキャストした。そのようにして得たフィルムは1M Na Cl
水溶液及び水に不溶性であった(100℃;1時間)。 【0038】 例8:本例では、他のアミノ酸エステル及びHAをEDCで活性にして用いて
、フィルムを作製した。 HAの溶液(H2O 40ml中400mg)を、0.1NHCl を用いて pH4
.7にもたらした。次いで、EDC(314mg;1.6mモル)を一度に全部加
えた後に、アミノ酸誘導体1mモルを加えた。反応混合物をペトリ皿に注いで乾
燥させた。L−バリンメチルエステルヒドロクロリド、L−イソロイシンメチル
エステルヒドロクロリド、L−プロリンメチルエステルヒドロクロリド及びL−
フェニルアラニンメチルエステルヒドロクロリドから不溶性フィルムが得られた
。 【0039】 例9:本例では、単純な第一アミン(アニリン)を求核性試薬として用いてフ
ィルムを作製した。 HAの溶液(H2O 40ml中400mg)を、0.1NHCl を用いて pH4.
7にもたらした。次いで、EDC(314mg;1.6mモル)を一度に全部加え
た後に、アニリン1mモルを加えた。反応混合物をペトリ皿に注いで乾燥させて
不溶性フィルムが得られた。 【0040】 例10:本例では、他のロイシンのエステルを用いてフィルムを作製した。 HAの溶液(H2O 40ml中400mg)を、0.1NHCl を用いて pH4
.7にもたらした。次いで、EDC(314mg;1.6mモル)を一度に全部加
えた後に、ロイシンエステル1mモルを加えた。反応混合物をペトリ皿に注いで
乾燥させた。L−ロイシンエチルエステルヒドロクロリド及びL−ロイシンt−
ブ チルエステルヒドロクロリドの両方から不溶性フィルムが得られた。 【0041】 例11:本例では、他のアミノ酸メチルエステルを用いてゲルを作製した。 HAの溶液(H2O 15ml中400mg)を、 pH4.7にもたらし、EDC
(314mg;1.6mモル)を加えた後に、アミノ酸誘導体(1mモル)を加え
た。反応混合物は5〜24時間以内に濃厚ゲルを形成した。L−バリンメチルエ
ステルヒドロクロリド、L−イソロイシンメチルエステルヒドロクロリド、L−
アルギニンメチルエステルヒドロクロリド、L−プロリンメチルエステルヒドロ
クロリド及びL−ヒスチジニンメチルエステルヒドロクロリドを用いて、水不溶
性ゲルが得られた。 【0042】 例12:本例では、アミノ酸アミド(ロイシンアミド)を求核性試薬として用
いてフィルムを作製した。 HAの溶液(H2O 40ml中400mg)を、0.1NHCl を用いて pH4
.7にもたらした。次いで、EDC(314mg;1.6mモル)を一度に全部加
えた後に、L−ロイシンアミドヒドロクロリド1mモルを加えた。反応混合物を
ペトリ皿に注いで乾燥させて、不溶性フィルムが得られた。 【0043】 例13:本例では、ロイシンエチルエステルヒドロクロリドを使用してゲルを
作製した。 HAの溶液(H2O 15ml中400mg)を、 pH4.7にもたらし、EDC
(314mg;1.6mモル)を加えた後に、ロイシンエチルエステルヒドロクロ
リド(1.0mモル)を加えた。混合物は、5〜24時間以内で濃い水不溶性ゲ
ルを形成した。 【0044】 例14:本例では、ETCをHA活性化剤として用いて、フィルム及びゲルを
作製した。 分子量1×106〜2×106ダルトンの範囲を有するヒアルロン酸ナトリウム
(400mg;カルボキシル基1.0mモル)を水(10ml及び30ml)に溶解 した。各々の水溶液の pHを、0.1N HCl を添加して pH4.75に調整
した。次いで、ETC475mg(1.6mモル)を一度に全部加えた後に、L−
ロイシンメチルエステルヒドロクロリド190mg(1.05mモル)を加えた。
この反応混合物の pHは次の2時間にわたって pH6.2に上昇した。水10ml
を含有する反応混合物は不溶性ゲルを形成した。水30mlを含有する反応混合物
は、乾燥した後に不溶性フィルムとなった。 【0045】 例15:本例は着色フィルムの製造を例示する。 HAの溶液(H2O 30ml中400mg)を例13の通りにして pH4.75
にもたらし、次いで、ETC(475mg;1.6mモル)及びロイシンメチルエ
ステルヒドロクロリド(190mg;1.05mモル)を加えた。次いで、H2
(0.5ml)に溶解した「Serva Blue」(5mg/ml)染料の希薄溶液を反応混合
物に加えた。生成した混合物をペトリ皿に注いで、16時間後に、水不溶性青色
フィルムが得られた。フィルムを1M Na Cl、次いでH2Oで洗浄した際に、
フィルムは青色を保持した。 【0046】 例16:本例は化学的に改質したHAのフィルムの組織バイオ適合性を例示す
る。 例4に記載する手順に従って作製したフィルムの4つのストリップ及び2つの
USPネガチブ対照ストリップをホワイトニュージランドウサギ(試験当り2匹
)の脊椎傍筋肉に外科手術により移植した。試験部位を72時間後に肉眼により
或は7日後に完全な組織病理学によるかのいずれかで評価した。USP XXI
.1237頁に従って、試験物質はUSPインプランテーションテストフォージ
イバルエーション オブ プラスチック マテリアルズの要件を満足した。 【0047】 【発明の用途】 発明のフィルム或はゲルは、例えば De Belder等のPCT公表第WO 86/
00912号に記載されている通りにして、外科分野において知られている手順
に従って、手術後或は治癒する期間の間、体組織が癒着或は付着しないようにさ せる外科用エイドとして使用することができる。外科手術の間離したままにする
つもりの組織の間或は中に、ゲル或はフィルムを適した通りに1片或はそれ以上
挿入或は注入する。 【0048】 発明のフィルム或はゲルは、また、持放薬剤送達用にも用いることができる。
送達させる薬剤を、例えば、ニューヨーク、Marcel Dekker Inc.,T.J.Roseman
等、Controlled Release Delivery Systems,1983年、6章、107〜10
9頁に R.V.Sparer等が記載する通りに、ゲル或はフィルムに共有結合させるこ
とができる。次いで、ゲル或はフィルムを、送達を望む場所に移植或は注入する
ことができる。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 (a)ヒアルロン酸を(b)求核性試薬と水溶液中で反応させるこ
    とにより生成された水不溶性の改質されたヒアルロン酸を含むバイオ適合性組成
    物であって、 (a)と(b)との反応は、水不溶性の改質されたヒアルロン酸を形成し、そして
    求核性試薬は、アミノ酸、アミノ酸塩、アミノ酸エステル又は一官能価のアミン
    であり、そして 上記の改質されたヒアルロン酸は実質的に架橋を含まず、そして 「水不溶性」は、改質されたヒアルロン酸の3cm×3cm×0.3mmのフ
    ィルムが、20℃の蒸留水50mlを含むビーカーに入れたときに、20分後に
    構造的に完全であり且つフィルムは膨潤されるがフィルムの境界及びエッジは2
    4時間後に依然存在することを意味する、上記のバイオ適合性組成物。 【請求項2】 実質的に二官能価或は多官能価求核性試薬が存在せずかつ実質
    的に二官能価或は多官能価求電子性試薬が存在しない請求項1に記載の組成物。 【請求項3】 水不溶性の改質されたヒアルロン酸を含むバイオ適合性組成物
    であって、該改質されたヒアルロン酸が実質的に架橋を含まず且つ下記の二者の
    反応により得られる当該バイオ適合性組成物 (a)カルボキシル基が活性化剤により活性化されたヒアルロン酸 (b)水溶液中の求核性試薬、 ここに、上記の活性化されたヒアルロン酸は、水溶液に溶解させて与え、 (a)と(b)との反応は、水不溶性の改質されたヒアルロン酸を形成し、 上記の求核性試薬は、アミノ酸、アミノ酸塩、アミノ酸エステル又は一官能価
    のアミンであり、 「水不溶性」は、改質されたヒアルロン酸の3cm×3cm×0.3mmのフ
    ィルムが、20℃の蒸留水50mlを含むビーカーに入れたときに、20分後に
    構造的に完全であり且つフィルムは膨潤されるがフィルムの境界及びエッジは2
    4時間後に依然存在することを意味する。 【請求項4】 前記活性化剤がカルボジイミドである請求項3に記載の組成物
    。 【請求項5】 更に、検出可能なマーカを含む請求項1に記載の組成物。 【請求項6】 更に、製薬的に活性な物質を含む請求項1に記載の組成物。

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