JP2668008B2 - 溶存気体濃度測定法及び装置 - Google Patents

溶存気体濃度測定法及び装置

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JP2668008B2
JP2668008B2 JP6021955A JP2195594A JP2668008B2 JP 2668008 B2 JP2668008 B2 JP 2668008B2 JP 6021955 A JP6021955 A JP 6021955A JP 2195594 A JP2195594 A JP 2195594A JP 2668008 B2 JP2668008 B2 JP 2668008B2
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善夫 柏井
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株式会社ジオジャイロ
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、地下水中等における気
体の溶存濃度を測定する方法並びにその方法の実施に使
用する装置に関する。
【0002】
【従来の技術及び解決しようとする課題】地下の岩盤中
や土中に空間を設けたり、その空間内において工事その
他の作業を行う場合においては、空間内を満たす各気体
の濃度を予め知ることが必要となることが多い。例え
ば、メタン、エタン等の可燃性気体については、爆発の
危険を予防する上で、また酸素については、作業者の酸
欠を防止する上で必要となる。
【0003】岩盤中や土中に空間を設ける前に空間内を
満たす各気体の濃度を予め知るための一方法として、調
査孔を設けてガス検知器のプローブをその内部に挿入す
ることによって対象とするガスの濃度を直接測定すると
いう手段がある。しかしながら、地下水位より下方は地
下水が存在するため、この手段をそのまま用いることは
できない。地下水位より下方の位置に空間を設けた場合
の気体濃度の測定は、次のような手段により行うことが
できる。
【0004】例えば図6に示されるように、調査孔a内
にホースbを挿入して吸引ポンプcにて地下水dを揚水
し、それによって調査孔a内の地下水位を通常の地下水
位eを下げてガス検知器fにより所要個所にて気体の濃
度を直接測定することができる。この場合、揚水を行う
手間を要し、また地下水位を下げるには限界があるため
測定可能な深度が限られる。また更に、揚水された地下
水は地上で大気圧に減圧されるため、静水圧状態で平衡
状態に達していた気体は減圧によって発散し、正確な溶
存濃度を測定できない。
【0005】また例えば、図7に示されるように、揚水
を行わず、ベーラーg(bailer)という有底円筒状の容
器をロープhで吊って調査孔a内の地下水i中の測定個
所まで沈め、地下水を汲み上げて気体の溶存濃度をガス
クロマトグラフィーを用いて分析・測定することによ
り、その深度に空間を設けた場合にそれを満たす気体の
濃度を予測するという手段もある。しかしながら、目的
とする深度の地下水のみを組むことは困難であると共
に、地下水の圧力はその深度や地層の構造等の諸条件に
より様々な値をとるので、汲み上げた地下水を大気圧下
で分析・測定しても正確な値を知ることはできない。ま
た測定はガスクロマトグラフィーによるため、現場で簡
単に行うことができない。
【0006】一方、例えば地下水中に溶存するラドンの
濃度を知ることにより、天水と地下から湧出する亀裂水
との区別等に役立たせることができる。しかしながら、
ベーラーを用いた測定により正確な値を知ることができ
ないこと、及び測定を現場で簡単に行うことはできない
ことは、上記の場合と同様である。
【0007】本発明は、従来技術に存した上記のような
問題点に鑑み行われたものであって、その目的とすると
ころは、揚水を行うことなく所要深度の地下水のみをそ
の圧力を保持しつつ容易に採取して、ガス検知器等によ
り容易に而も精度良く溶存気体濃度を測定し得、必要に
応じガスクロマトグラフィー等を用いて溶存気体濃度を
正確に測定し得る溶存気体濃度測定法、並びに方法の実
施に使用する装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
【0009】上記目的を達成する本発明の溶存気体濃度
測定法は、内部圧力が外部圧力を上回る場合に閉塞し、
外部圧力が内部圧力を上回る場合には外部流体の流入を
可能とする弁手段が連結された採液容器内に、その採液
容器が液体中の所要位置に達するまで弁手段が閉塞状態
を維持し得る気体圧力を、管体を通じて加えるステップ
と、加圧状態を保持しつつ採液容器を液体中の所要位置
に導くステップと、加圧された採液容器内の圧力を所要
位置にて減圧することにより、その所要位置における外
部液体を採液容器内に流入させて採液容器内にその液体
を充満させるステップと、採液容器内に収容した液体
に、その採液容器を回収するまで弁手段が閉塞状態を維
持し得る圧力を、管体を通じ、気体により加えるステッ
プと、加圧状態を保持しつつ採液容器を回収するステッ
プと、回収した採液容器内の液体の一部を、成分及び圧
力が実質上明らかな気体に置換し、それらの液体と気体
とを密封状態で十分に混ぜ合せるステップと、混ぜ合せ
た後の気体を分析することにより、採液容器内の液体と
気体の量又は比率に基づき前記所要位置における液体中
の溶存気体濃度を求めるステップとを有するものとして
いる。
【0010】次に本発明の採液装置は、内部圧力が外部
圧力を上回る場合に閉塞し、外部圧力が内部圧力を上回
る場合には外部液体の内部流入を可能とする弁手段が連
結されると共に、内部に圧力を加えるための加圧用孔を
備えた採液容器と、前記加圧用孔及び前記弁手段を通じ
た採液容器に対する液体及び気体の出入りを遮断して採
液容器を密封し得る開閉手段とを備えてなり、前記採液
容器は、開閉手段により密封された内部の液体及び気体
の量又は比率を外部から視認し得る内部視認部を有する
ことを特徴とする。
【0011】この採液装置は、気体加圧手段と、気体加
圧手段により加えられる内圧に対する耐圧性を有し、一
端側に気体加圧手段及び減圧手段が連結され、他端が採
液容器の加圧用孔に連通する管体とを備えるものとする
ことができる。 これらの採液装置は、内部視認部が、開
閉手段により密封された採液容器内の液体及び気体の量
が同量であることを外部から視認し得るものとすること
ができる。
【0012】
【作用】請求項1の発明においては、採液容器が液体中
の所要位置に達するまで弁手段が閉塞状態を維持し得る
気体圧力を、管体を通じてその採液容器に加えると、弁
手段が閉塞状態となり、その加圧状態を保持することに
より、採液容器が液体中の所要位置に導かれるまで、弁
手段の閉塞状態は維持される。従って、採液容器内には
加圧された気体が満たされ、所要位置に達するまでの間
に外部の液体は流入しない。
【0013】次いで、加圧された採液容器内の圧力を所
要位置にて減圧すると、その所要位置における外部液体
が採液容器内に流入する。その外部液体を採液容器内に
充満させた後、採液容器内に収容した液体に、その採液
容器を回収するまで弁手段が閉塞状態を維持し得る圧力
を、管体を通じて気体により加えると、弁手段が閉塞状
態となり、その加圧状態を保持することにより、採液容
器が回収されるまで弁手段の閉塞状態は維持される。従
って、採液容器内には、回収されるまでの間に他の位置
における外部液体は流入しない。加圧状態を保持しつつ
採液容器を回収することにより、所要位置の液体のみを
その位置における溶存気体濃度を保持しつつ採取して、
所要位置における溶存気体濃度を正確に測定することが
できる。
【0014】回収した採液容器内の液体の一部を、成分
及び圧力が実質上明らかな気体に置換し、それらの液体
と気体とを密封状態で十分に混ぜ合せると、元の気体の
成分及び圧力は実質上明らかであり、混ぜ合せた後の気
体においては、対象気体の分圧と液体中における対象気
体の溶解度とが平衡状態となるので、混ぜ合せた後の気
体を分析することにより、採液容器内の液体と気体の量
又は比率に基づき、前記所要位置における液体中の、対
象気体の溶存濃度を求めることができる。また、請求項
2又は請求項3の採液装置を用い、開閉手段を開いて採
液容器が液体中の所要位置に達するまで弁手段が閉塞状
態を維持し得る気体圧力を、加圧用孔を通じてその採液
容器に加えると、弁手段が閉塞状態となり、その加圧状
態を保持することにより、採液容器が液体中の所要位置
に導かれるまで、弁手段の閉塞状態は維持される。従っ
て、採液容器内には加圧された気体が満たされ、所要位
置に達するまでの間に外部の液体は流入しない。 次い
で、加圧された採液容器内の圧力を所要位置にて減圧す
ると、その所要位置における外部液体が採液容器内に流
入する。その外部液体を採液容器内に充満させた後、採
液容器内に収容した液体に、その採液容器を回収するま
で弁手段が閉塞状態を維持し得る圧力を、加圧用孔を通
じて気体により加えると、弁手段が閉塞状態となり、そ
の加圧状態を保持することにより、採液容器が回収され
るまで弁手段の閉塞状態は維持される。従って、採液容
器内には、回収されるまでの間に他の位置における外部
液体は流入しない。 加圧状態を保持しつつ採液容器を回
収することにより、所要位置の液体のみをその位置にお
ける溶存気体濃度を保持しつつ採取して、所要位置にお
ける溶存気体濃度を正確に測定することができる。 回収
した採液容器内の液体の一部を、成分及び圧力が実質上
明らかな気体に置換した後、開閉手段を閉じることによ
り、加圧用孔及び前記弁手段を通じた採液容器に対する
液体及び気体の出入りを遮断して採液容器を密封するこ
とができる。内部の液体及び気体の量又は比率を、内部
視認部を通じて外部から容易に視認することができるの
で、密封された採液容器内の液体と気体とを十分に混ぜ
合せ、混ぜ合せた後の気体を分析することにより、採液
容器内の液体と気体の量又は 比率に基づき前記所要位置
における液体中の溶存気体濃度を求めることができる。
請求項4の採液装置においては、開閉手段により密封さ
れた採液容器内の液体及び気体の量が同量であること
を、内部視認部を通じて外部から容易に視認することが
できるので、回収した採液容器内の液体の半分を、成分
及び圧力が実質上明らかな気体に置換することを容易に
行うことができ、密封された採液容器内の液体と気体と
を十分に混ぜ合せた後の気体を分析することにより、所
要位置における液体中の溶存気体濃度を最も容易に求め
ることができる。
【0015】
【実施例】本発明の実施例を、図1乃至図5を参照しつ
つ説明する。図1、図3及び図4は、地下水採取手順を
示す概略説明図、図2は、採液器の正面図である。以下
の実施例では、地面から下方に向かって地盤10中に調
査孔12を設け、その調査孔12内において、地下水1
4中の所要深度におけるメタンガスの溶存濃度を測定す
る場合を例にとる。しかしながら、勿論、測定対象とな
り得る気体はメタンガスに限定されるものではなく、エ
タン、酸素、ラドンその他の気体も含む。また、気体が
溶解している液体も地下水に限るものではない。
【0016】採液容器16は、全体として円筒管状をな
し、十分な耐圧性を有する。採液容器16の両端には連
結部18・20を有し、両連結部18・20の内側にそ
れぞれ開閉手段としての止水弁22・24が設けられて
いる。止水弁22・24は、摘み22a・24aの回転
により開閉することができる。採液容器16の両端を除
く部分の周壁16a(内部視認部)は、透明な材料によ
り形成されており、採液容器16内部の体積を2分する
位置の周壁に、それを示す中央線16bが表わされてい
る。採液容器16の下端の連結部20には、内部圧力が
外部圧力を上回る場合に閉塞し、外部圧力が内部圧力を
上回る場合には外部液体の内部流入を可能とする弁手段
の一例として、採液容器16内からの流出を防ぐ向きに
フートバルブ26(foot valve)が連結され
ている。なお、弁手段としては、フートバルブ以外にも
種々の逆流防止弁や逆止弁等を使用することができる。
採液器28は、これらの採液容器16、フートバルブ2
6及び止水弁22・24からなる。
【0017】採液容器16の上端の連結部20(加圧用
孔)には、十分な長さの可撓性の高圧ホース30(管
体)の一端が連結されている。この高圧ホース30の他
端には、圧力計32を備えた管34の一端が連結され、
その管34の他端には、三叉ソケット36の固定口36
aが連結されている。この圧力計32を備えた管34と
三叉ソケット36との連結体を、制御部38という。三
叉ソケット36の他の2口は、コック36bの回動によ
り何れか一方が固定口36aと連通するよう切り替える
ことができる。一方は大気圧に開放された大気圧開放口
36cであり、他の一方は、気体加圧手段としての加圧
ポンプ40に連結された加圧ポンプ連結口36dであ
る。
【0018】この実施例では、一方の口が大気圧に開放
した三叉ソケット36が、減圧手段を構成している。な
お、例えば高圧ホース30と加圧ポンプ40の間に大気
圧に開放し得るリリース弁を設けたり、他の公知の減圧
手段を採用することも勿論可能である。また、気体加圧
手段としては、手動ポンプ、電動コンプレッサ等を始め
とする様々な圧力気体源を用いることができる。更に、
加圧ポンプ40により加えられる内圧に対する耐圧性を
有するものであれば、前記高圧ホース30以外のもので
も適宜採用し得る。
【0019】以上のような構成の圧力保持採液装置を用
いて、採取予定の所要深度の地下水における溶存メタン
ガス濃度を次のように測定することができる。なお、使
用前に、採液器を高圧ホース30から外し、三叉ソケッ
ト36の流路を加圧ポンプ連結口36dの側に切り替え
た状態で、加圧ポンプ40から高圧ホース30に空気を
送り込んで高圧ホース30内の残留液体や不純気体等を
排出させておくことが望ましい。
【0020】三叉ソケット36の流路を加圧ポンプ連結
口36dの側に切り替え、両止水弁22・24を開いた
状態で、加圧ポンプ40により高圧ホース30を通じて
採液容器16内に空気圧を加える。それによってフート
バルブ26が閉塞状態となる。この際加える空気圧は、
採液容器16が地下水中の所要深度に達するまでフート
バルブ26が閉塞状態を維持し得ることを要し、圧力計
32により確認することができる。そのような加圧力と
しては、水深10m当り1.5kg/cm2 を目安とす
ることができる。
【0021】加圧状態を保持しつつ、高圧ホース30に
より吊り下げた状態で採液容器16を調査孔12内に挿
入し、地下水14中の所要深度まで沈める。その間、フ
ートバルブ26の閉塞状態が維持されるので、途中の地
下水14は採液容器16内に流入しない(図1)。円滑
に沈める上で必要な場合は、採液器28に重りを付け
る。なお、高圧ホース30等の管体以外のロープ等を別
に用いて採液容器16を吊り下げることもできる。採液
容器16が所要深度に達した後、三叉ソケット36の流
路を大気圧開放口36cの側に切り替えると、高圧ホー
ス30を通じて採液容器16内の空気圧が減圧され、フ
ートバルブ26が開いてその深度における地下水14a
が採液容器16内に流入する(図3)。
【0022】採液容器16内に地下水14を充満させた
後、三叉ソケット36の流路を加圧ポンプ連結口36d
の側に切り替え、加圧ポンプ40を用い、空気圧により
高圧ホース30を通じて採液容器16内に収容した地下
水14aに圧力を加える。十分な圧力が採液容器16内
の地下水14aに加わると、フートバルブ26が閉塞状
態となる(図4)。フートバルブ26を素早く閉塞状態
として目的の地下水14aをより確実に得るには、加圧
ポンプ40による加圧をできるだけ急速に行うことが望
ましい。
【0023】加圧状態を保持しつつ高圧ホース30を引
上げることにより、採液容器16が回収される。加圧状
態を保持しているため、その間フートバルブ26の閉塞
状態が維持されて途中の地下水14は採液容器16内に
流入せず、而も、採液容器16内の地下水14aは、採
取深度における溶存気体濃度が保持される。なお、加圧
ポンプ40による加圧に用いる気体として空気以外の気
体を用いることも可能であるが、測定対象となる気体を
含まないもの、或は成分及び割合が分かっているものを
用いることが望ましい。但し、例えば溶存酸素濃度の測
定のための加圧に空気を用いる場合でも、少なくとも、
高圧ホース30の断面積が採液容器16内の断面積に比
べて小さく、加圧状態を保つ時間が短時間であれば、容
認し得ないような誤差が生じることはない。
【0024】図5は、回収した採液容器16を用いて溶
存気体濃度を測定する手順を示す概略説明図である。回
収した採液容器16の両止水弁22・24を閉じ、採液
容器16を密封する(a)。より正確な測定のために
は、できるだけ速やかに両止水弁22・24を閉じるこ
とが望ましい。高圧ホース30及びフートバルブ26を
採液容器16から取り外し、ガスクロマトグラフィーに
より分析する場合には、マイクロシリンジ(図示を略
す。)等を用いて採液容器16内の地下水14aを採取
し、それを用いてガスクロマトグラフィーによりメタン
ガスの溶存濃度を測定する。またガス検知器等の気相に
おいて直接気体濃度を測定する装置を用いる場合には、
一方又は両方の止水弁22・24を必要なだけ開いて、
回収した採液容器16内の地下水14aの半分を空気4
2に置換し、再び止水弁22・24を閉じて採液容器1
6を密封する(b)。周壁16aは、透明な材料により
形成されているので、中央線に合わせれば、半分である
ことを容易に確認し得る。より正確な測定のためには、
この操作はできるだけ素早く円滑に行うことが望まし
い。なお、置換するのは必ずしも地下水14aの半分で
あることを要しない。地下水14aの一部、すなわち半
分未満又は半分を越えてもよい。また、空気以外の成分
及び圧力が実質上明らかな気体に置換してもよい。
【0025】次いで、その地下水14aと空気42と
を、密封された採液容器16内で十分に混ぜ合せる
(c)。実質上、元の空気42の圧力が大気圧であるこ
とは明らかであるから、その状態における地下水へのメ
タンガスの溶解度は既知であり、元の空気42にはメタ
ンガスは含まれていないので、十分混ぜ合せた後の気体
46におけるメタンガスの分圧と水48中におけるメタ
ンガスの溶解度とが、その水48の温度において平衡状
態となる。従って、止水弁22或は24の何れか(この
実施例では止水弁22)から、ガス検知器44のプロー
ブ44aを、混ぜ合せた後の気体46中に挿入して
(d)、メタンガス濃度を測定することにより、前記所
要深度における地下水14a中のメタンガスの溶存濃度
を、現場においても容易に求めることができる。
【0026】気体中のメタンガス濃度から、採取した深
度における地下水14a中のメタンガスの溶存濃度を求
めるには、例えば、メタンガスを理想気体とみなして、
ヘンリーの法則に基づき、次のような計算式により求め
ることができる。 M=(ν1 /ν2 )m1 +m2 M:地下水14aに含まれるメタンガス濃度(vol-%) m1 :混ぜ合せて平衡に達した後の気体46側のメタン
ガス濃度(vol-%) m2 :混ぜ合せて平衡に達した後の水48(水溶液)側
のメタンガス濃度(vol-%) ν1 :気体46側の体積(ml) ν2 :水48(水溶液)側の体積(ml) であり、メタンガスの溶解度は気体46側のメタンガス
の分圧に支配されるため、次式が成立する。 m2 =m1 ・α α:メタンガスの溶解度 ∴ M=m1 [(ν1 /ν2 )+α]
【0027】回収した採液容器16内の地下水14aの
半分を空気42に置換した場合、ν1 =ν2 であるか
ら、 M=m1 (1+α) となり、最も容易に採取した深度における地下水14a
中のメタンガスの溶存濃度を求めることができる。
【0028】なお、採液容器16内の全部に地下水14
aを充満させない場合でも、測定対象となる気体を含ま
ないもの、或は、空気等の成分及び割合が分かっている
ものを用いて加圧し、従って採液容器16内の残部にそ
の気体が収容されていれば、対象気体の溶存濃度を求め
ることは可能である。以上の実施例についての記述にお
ける上下位置関係、構成部品の寸法、個数、材質、形
状、その相対配置などは、特にそれらに限定される旨の
記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定
する趣旨のものではなく、単なる説明例に過ぎない。
【0029】
【発明の効果】請求項1の溶存気体濃度測定法によれ
ば、所要位置の液体(所要深度の地下水)のみを、その
位置(深度)における溶存気体濃度を保持しつつ採液容
器により容易に採取し得、採取した採液容器内の液体の
一部を成分及び圧力が実質上明らかな気体に置換し、そ
れらの液体と気体とを密封状態で十分に混ぜ合せれば、
ガス検知器等の、気相において直接気体濃度を測定する
ので現場でも簡単に測定可能な装置を用いて混ぜ合せた
後の気体を簡単な操作により分析することにより、採液
容器内の液体と気体の量又は比率に基づき前記所要立置
における液体中の対象気体の溶存濃度を容易に求めるこ
とができる。地下水等を揚水する手間を要せず、従って
揚水の可否による測定可能深度の制限がなく、揚水後気
体の濃度がほぼ定常状態になるまでの待ち時間を要しな
いので効率が高い。
【0030】請求項2及び請求項3の採液装置によれ
ば、開閉手段を開いた状態で、所要位置の液体(所要深
度の地下水)のみをその位置(深度)における溶存気体
濃度を保持しつつ容易に採取し得、所要位置の溶存気体
濃度を正確性高く測定し得る試料を容易に得ることがで
きる。そして、回収した採液容器内の液体の一部を、成
分及び圧力が実質上明らかな気体に置換した後、開閉手
段を閉じて採液容器を密封して採液容器内の液体と気体
とを十分に混ぜ合せ、ガス検知器等の、気相において直
接気体濃度を測定するので現場でも簡単に測定可能な装
置を用いて気体を分析することにより、内部視認部を通
じて外部から容易に視認することができる採液容器内の
液体と気体の量又は比率に基づき、前記所要位置におけ
る液体中の溶存気体濃度を素早く容易に求めることがで
きる。 請求項4の採液装置によれば、回収した採液容器
内の液体の半分を、成分及び圧力が実質上明らかな気体
に置換することを容易に行うことができ、密封された採
液容器内の液体と気体とを十分に混ぜ合せた後の気体を
分析することにより、所要位置における液体中の溶存気
体濃度を最も容易に求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】地下水採取手順を示す概略説明図である。
【図2】採液器の正面図である。
【図3】地下水採取手順を示す概略説明図である。
【図4】地下水採取手順を示す概略説明図である。
【図5】溶存気体濃度を測定する手順を示す概略説明図
である。
【図6】調査孔内の気体濃度測定法を示す概略説明図で
ある。
【図7】調査孔内の地下水を汲み上げる手段を示す概略
説明図である。
【符合の説明】
10 地盤 12 調査孔 14 地下水 14a 所要深度の地下水 16 採液容器 18 連結部 20 連結部 22 止水弁 24 止水弁 26 フートバルブ 30 高圧ホース 32 圧力計 36 三叉ソケット

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】内部圧力が外部圧力を上回る場合に閉塞
    し、外部圧力が内部圧力を上回る場合には外部流体の流
    入を可能とする弁手段が連結された採液容器内に、その
    採液容器が液体中の所要位置に達するまで弁手段が閉塞
    状態を維持し得る気体圧力を、管体を通じて加えるステ
    ップと、 加圧状態を保持しつつ採液容器を液体中の所要位置に導
    くステップと、 加圧された採液容器内の圧力を所要位置にて減圧するこ
    とにより、その所要位置における外部液体を採液容器内
    に流入させて採液容器内にその液体を充満させるステッ
    プと、 採液容器内に収容した液体に、その採液容器を回収する
    まで弁手段が閉塞状態を維持し得る圧力を、管体を通
    じ、気体により加えるステップと、 加圧状態を保持しつつ採液容器を回収するステップと、 回収した採液容器内の液体の一部を、成分及び圧力が実
    質上明らかな気体に置換し、それらの液体と気体とを密
    封状態で十分に混ぜ合せるステップと、 混ぜ合せた後の気体を分析することにより、採液容器内
    の液体と気体の量又は比率に基づき前記所要位置におけ
    る液体中の溶存気体濃度を求めるステップ とを有するこ
    とを特徴とする溶存気体濃度測定法。
  2. 【請求項2】内部圧力が外部圧力を上回る場合に閉塞
    し、外部圧力が内部圧力を上回る場合には外部液体の内
    部流入を可能とする弁手段が連結されると共に、内部に
    圧力を加えるための加圧用孔を備えた採液容器と、 前記加圧用孔及び前記弁手段を通じた採液容器に対する
    液体及び気体の出入りを遮断して採液容器を密封し得る
    開閉手段とを備えてなり、 前記採液容器は、開閉手段により密封された内部の液体
    及び気体の量又は比率を外部から視認し得る内部視認部
    を有することを特徴とする採液装置。
  3. 【請求項3】気体加圧手段と、 気体加圧手段により加えられる内圧に対する耐圧性を有
    し、一端側に気体加圧手 段及び減圧手段が連結され、他
    端が採液容器の加圧用孔に連通する管体とを備える請求
    項2記載の採液装置。
  4. 【請求項4】内部視認部が、開閉手段により密封された
    採液容器内の液体及び気体の量が同量であることを外部
    から視認し得るものである請求項2又は3記載の採液装
    置。
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