JP2666762B2 - 電子楽器 - Google Patents

電子楽器

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JP2666762B2
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哲二 市来
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、楽音信号発生方式の
異なる2つの楽音信号発生回路を具備し、両者で発生し
た楽音信号を組合せるようにした電子楽器に関し、その
組合せを指示する発音モードを任意に選択できるように
したことに関する。
【0002】
【従来の技術】楽音信号発生方式が異なる2つの楽音信
号発生回路を具備し、演奏者等によって選択された同一
の名目上の音色に対応して、共通の音高で、両楽音信号
発生回路から夫々楽音信号を発生し、両楽音信号を組合
せるようにした電子楽器が、特開昭58−102296
号に示されている。そこにおいて、第1の楽音信号発生
回路では、各種音色に対応して複数周期の楽音波形を記
憶したメモリを具備し、選択された音色に対応する複数
周期楽音波形を読み出すことにより楽音信号を発生す
る。第2の楽音信号発生回路では、周波数変調型の楽音
合成演算を実行することにより選択された音色に対応す
る楽音信号を発生する。楽音波形が複雑に変化する音の
立上り部においては、第1の楽音信号発生回路から楽音
信号を発生し、その後の持続部においては、第2の楽音
信号発生回路から楽音信号を発生し、両者を組合せるこ
とにより1つの楽音信号を合成する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来のもの
は、両楽音信号発生回路の楽音信号を単純に音の立上り
部と持続部とに分担させただけであったので、楽音合成
の面で制御性に欠けており、また、得られる演奏効果も
単調であった。この発明は上述の点に鑑みてなされたも
ので、異なる楽音信号発生方式からなる複数の楽音信号
発生回路の出力楽音信号を組合せて楽音を合成する電子
楽器において、制御性に富んだ楽音合成を可能にすると
共に、演奏効果を豊富にすることを目的とする。詳しく
は、この発明は、第1及び第2の楽音信号発生手段の発
生楽音を組合せる場合において、その組合せを指示する
発音モードを任意に選択できるようにした電子楽器を提
供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】 この発明に係る電子楽
器は、発生すべき楽音の音高を指定する音高指定手段
と、前記音高指定手段によって指定された音高に対応す
るピッチを持つ楽音信号を発生する第1の楽音信号発生
手段と、前記音高指定手段によって指定された音高に対
応するピッチを持つ楽音信号を、前記第1の楽音信号発
生手段とは異なる楽音信号発生方式に従って発生する第
2の楽音信号発生手段と、前記第1及び第2の楽音信号
発生手段における楽音発生の組合せを指示する発音モー
ドを、複数の異なる発音モードの中から選択するもので
あって、この発音モードには、少なくとも、前記楽音信
号発生手段の一方における楽音の発音開始を他方よりも
遅らせるディレイモードと、前記楽音信号発生手段の一
方で先に楽音信号を発音しその後他方に切り換えて楽音
信号を発音させ、その切り換わりの際に両楽音信号の音
量をクロスフェードさせて変化させるクロスフェードモ
ードとが含まれており、選択する発音モードを指定され
た音色に応じて自動的に決定する発音モード選択手段
と、前記モード選択手段で選択された発音モードに従い
前記第1及び第2の楽音信号発生手段における楽音発生
をそれぞれ制御する制御手段とを具えたものである。
【0005】
【作用】 共通の指定音高に対応する楽音信号が第1及
び第2の楽音信号発生手段から発生される。その場合
に、発音モード選択手段により、第1及び第2の楽音信
号発生手段における楽音発生の組合せを指示する発音モ
ードが、複数の異なる発音モードの中から選択されるよ
うになっており、これらの選択可能な発音モードには、
ディレイモードとクロスフェードモードとが含まれてい
て、選択する発音モードは、指定された音色に応じて自
動的に決定される。そして、選択された発音モードに従
い第1及び第2の楽音信号発生手段における楽音発生が
それぞれ制御される。このように、音色に応じた最適の
発音モードが自動的に選択されることにより、各楽音信
号発生手段における発生楽音そのものの音色設定のみな
らず、これら2系列の楽音信号発生手段での楽音発生の
組合せ態様も指定音色に適したものに自動設定されるの
で、制御性に富んだ楽音合成が可能になり、また、演奏
効果を豊富にすることができると共に、最終的に合成さ
れる楽音信号の品質をより一層向上させることができ
る。
【0006】また、選択可能な発音モードには、第1及
び第2の楽音信号発生手段の一方における楽音の発音開
始を他方よりも遅らせるディレイモードと、第1及び第
2の楽音信号発生手段の一方で先に楽音信号を発音し、
その後他方に切り換えて楽音信号を発音させ、切り換わ
り期間において先行する楽音信号を徐々に減衰させると
共に後続する楽音信号を徐々に立ち上げるクロスフェー
ドモードとが少なくとも含まれているので、2系列の楽
音の組合せによる多様な演奏効果、特に、遅延重奏効果
(ディレイモードが選択された場合)と音質の滑らかな
切換効果(クロスフェードモードが選択された場合)と
を含む多様な演奏効果を、指定された音色に応じて選択
的に実現することができ、制御性に富んだ楽音合成が可
能になると共に演奏効果を豊富にすることができる、と
いう優れた効果を奏する。なお、後述する実施例におい
ては、ディレイモードの一例としてFMディレイキーオ
ンモードとPCMディレイキーオンモードが示されてお
り、クロスフェードモードの一例としてFMディレイキ
ーオン&クロスフェードモードとPCMディレイキーオ
ン&クロスフェードモードが示されている。
【0007】
【0008】
【実施例】以下この発明の実施例を添付図面を参照して
詳細に説明しょう。 (実施例の全体構成説明)図1において、鍵盤10は発
生すべき楽音の音高を指定するための複数の鍵を具備し
ており、各鍵に対応するキースイッチから成るキースイ
ッチ回路を含む。操作パネル部11は、音色選択及び制
御のための音色セレクタ12を含み、その他に音量設定
・制御用の操作子やピッチ制御用の操作子、効果選択用
操作子など各種の操作子を含む。この実施例では、鍵盤
10における各鍵の押鍵・離鍵検出走査処理及び操作パ
ネル部11における各操作子、スイッチ、セレクタ等の
オン・オフ操作検出走査処理並びに押圧鍵の発音割当て
処理等、各種の処理がマイクロコンピュータによるソフ
トウェアプログラムに従って実行される。マイクロコン
ピュータ部は、CPU(中央処理ユニット)13、プロ
グラム及びデータROM(リードオンリーメモリ)1
4、データ及びワーキングRAM(ランダムアクセスメ
モリ)15を含む。
【0009】押圧鍵の発音割当て処理結果及び操作パネ
ル部11における各操作子、スイッチ、セレクタ等のオ
ン・オフ操作検出処理結果に基づく各種データは、イン
タフェース16を介してトーンジェネレータ部17に与
えられる。インタフェース16を介してトーンジェネレ
ータ部17に与えられる各種データの一例を示すと、各
発音チャンネルに割当てられた鍵を示すキーコードKC
と、その鍵の押圧が持続しているか否かを示すキーオン
信号KONと、該キーオン信号KONの立上り(押鍵開
始時)に対応するキーオンパルスKONPと、該キーオ
ン信号KONの立下り(離鍵時)に対応するキーオフパ
ルスKOFPと、選択された音色を実現するための各種
音色情報などである。
【0010】トーンジェネレータ部17は、インタフェ
ース16を介して与えられる各種データを一時的に取り
込むためのバッファレジスタ18と、各種動作制御用の
タイミング信号やクロックパルスを発生するタイミング
制御回路19と、楽音信号発生方式が互いに異なる2つ
の楽音信号発生回路20,21と、ディレイキーオン及
びクロスフェード制御回路22と、エンベロープ発生部
23と、エンベロープ付与のための乗算器24,25
と、乗算器24,25を経由して与えられる両楽音信号
発生回路20,21の出力楽音信号を加算する加算器2
6とを具備している。加算器26の出力はディジタル/
アナログ変換器27でアナログ変換された後、サウンド
システム28に与えられる。
【0011】第1及び第2の楽音信号発生回路20,2
1は、バッファレジスタ18を介して与えられるキーコ
ードKCに対応するピッチを持つ楽音信号を、音色情報
に応じた音色で、夫々ディジタルで発生する。概して、
各楽音信号発生回路20,21は名目上は共通の音色の
楽音信号を発生するが、その実際の音色は両者の楽音信
号発生方式の相違によって適宜異なっており、また、音
色の時間変化の有無やその態様が適宜異なっていてもよ
く、いずれにせよ発生音の音質は両楽音信号発生回路2
0,21間で適宜異なっている。また、各楽音信号発生
回路20,21では、キーコードKCに応じた共通の指
定音高に対応するピッチを持つ楽音信号を夫々発生する
が、両楽音信号発生回路20,21間では、必要に応じ
て適宜のピッチずれ若しくは音高又は音階シフトが施さ
れていてよい。例えば、各楽音信号発生回路20,21
で夫々独立にチューニングや移調、ビブラート、グライ
ド、ピッチコントロール等の制御が行なわれるようにな
っていてもよい。
【0012】一例として、第1の楽音信号発生回路20
における楽音信号発生方式は、各種音色に対応した複数
の楽音波形の波形データを予め記憶した記憶手段を含
み、選択された音色に対応する楽音波形の波形データを
この記憶手段から読み出し、読み出した波形データにも
とづき楽音信号を発生するものであり、この方式を便宜
上「PCM方式」と略称する。また、第2の楽音信号発
生回路21における楽音信号発生方式は、周波数変調型
の楽音合成演算を実行することにより楽音信号を発生す
るものであり、この方式を便宜上「FM方式」と略称す
る。
【0013】ディレイキーオン及びクロスフェード制御
回路22は、各楽音信号発生回路20,21で発生した
楽音信号を組合せて楽音合成を行なう場合において、そ
の組合せモードに応じて「ディレイキーオン」制御及び
「クロスフェード」制御を行なうためのものである。
「ディレイキーオン」とは、指定された音高に対応する
楽音信号を第1及び第2の楽音信号発生回路20,21
から発生し、これにより重奏効果を実現する場合におい
て、第1及び第2の楽音信号発生回路20,21の一方
における楽音信号の発音開始を他方よりも遅らせること
により、重奏効果を遅延させて実現することである。
「クロスフェード」とは、第1及び第2の楽音信号発生
回路20,21の一方で先に楽音信号を発音し、その後
他方に切り換えて楽音信号を発音させる場合において、
切り換わり期間において先行する楽音信号を徐々に減衰
させると共に後続する楽音信号を徐々に立ち上げる制御
を行なうことである。この「クロスフェード」を「ディ
レイキーオン」に組合せて行なう、つまり所望の「ディ
レイキーオン」の次に「クロスフェード」を行なうこと
により、任意の発音段階で楽音信号の切換を滑らかに行
なうことができる。
【0014】ディレイキーオン及びクロスフェード制御
回路22における回路要素を機能別に分けると、「ディ
レイキーオン」における遅延時間と「クロスフェード」
における切り換わり期間の時間長(これをクロスフェー
ド時間ということにする)を設定・制御すると共にこれ
らの時間を発生音の音高に応じて可変制御するキースケ
ーリング制御を行なうための時間設定及びキースケーリ
ング制御部29と、ディレイキーオン及びクロスフェー
ド制御における状態を制御するための状態制御部30
と、クロスフェード用の重み付け波形を作成するための
クロスフェード波形作成部31とからなる。以下述べる
実施例では、時間設定及びキースケーリング制御部29
の機能は第1の楽音信号発生回路20におけるハードウ
ェアを一部共用して実現される。詳しくは、時間設定及
びキースケーリング制御部29における時間カウント用
ハードウェア回路が第1の楽音信号発生回路20におけ
る位相アドレスカウント用ハードウェア回路と共用され
ている。
【0015】エンベロープ発生部23は、各楽音信号発
生回路20,21から出力される楽音信号の振幅エンベ
ロープを設定するエンベロープ信号PEG,FEGを発
生する。このエンベロープ信号PEG,FEGは、鍵の
押鍵及び離鍵に応答する通常のエンベロープ信号を、デ
ィレイキーオン及びクロスフェード制御回路22のクロ
スフェード波形作成部31から発生したクロスフェード
用の重み付け波形によって重み付けしたものである。
【0016】(発音モードの説明)楽音信号発生回路2
0,21で発生した楽音信号を組合せて楽音合成を行な
う場合における組合せモードすなわち発音モードは、例
えば、下記の5通りある。理解を容易にするために、各
発音モードにおける各楽音信号発生回路20,21のエ
ンベロープ信号PEG,FEGの典型例を第2図に示
す。このエンベロープ信号PEG,FEGの形状に従う
割合で両楽音信号発生回路20,21の楽音信号が混合
される。
【0017】1)単純混合モード(図2a) 単純混合モードは、PCM方式の楽音信号発生回路20
とFM方式の楽音信号発生回路21とでほぼ同時に楽音
信号を発音するモードである。通常の重奏効果を実現す
る。このモードの略号をMIXとする。 2)FMディレイキーオンモード(図2b) FMディレイキーオンモードは、PCM方式の楽音信号
発生回路20で先に発音開始し、FM方式の楽音信号発
生回路21ではそれよりも遅れて発音開始し、以後重複
して発音するモードである。遅延重奏効果を実現する。
遅延時間の可変制御が可能である。このモードの略号を
FMDとする。
【0018】3)PCMディレイキーオンモード(図2
c) PCMディレイキーオンモードは、FM方式の楽音信号
発生回路21で先に発音開始し、PCM方式の楽音信号
発生回路20ではそれよりも遅れて発音開始し、以後重
複して発音するモードである。遅延重奏効果を実現す
る。遅延時間の可変制御が可能である。このモードの略
号をPCMDとする。 4)FMディレイキーオン&クロスフェードモード(図
2d) このモードは、PCM方式の楽音信号発生回路20で先
に発音開始し、FM方式の楽音信号発生回路21ではそ
れよりも遅れて発音開始し、この後続するFM方式の楽
音信号発生回路21の楽音信号を徐々に立ち上げる制御
とともに、先行するPCM方式の楽音信号発生回路20
の楽音信号を徐々に減衰させる制御を行なうことによ
り、発音を切り換える効果を実現する。遅延時間の可変
制御及び切り換わり期間すなわちクロスフェード時間の
可変制御が可能である。このモードの略号をFMDXと
する。
【0019】5)PCMディレイキーオン&クロスフェ
ードモード(図2e) このモードは、FM方式の楽音信号発生回路21で先に
発音開始し、PCM方式の楽音信号発生回路20はそれ
よりも遅れて発音開始し、この後続するPCM方式の楽
音信号発生回路20の楽音信号を徐々に立ち上げる制御
とともに、先行するFM方式の楽音信号発生回路21の
楽音信号を徐々に減衰させる制御を行なうことにより、
発音を切り換える効果を実現する。遅延時間の可変制御
及び切り換わり期間すなわちクロスフェード時間の可変
制御が可能である。このモードの略号をPCMDXとす
る。
【0020】(音色情報の説明)選択された1つの音色
に対応する音色情報の一例を示すと図3のようである。
このような音色情報は、例えば、各音色ごとにデータR
OM14に記憶されており、音色セレクタ12によって
選択された1つの音色に対応するものが該ROM14か
ら読み出され、トーンジェネレータ部17に与えられ
る。1つの音色に対応する音色情報に含まれるデータに
ついて以下説明する。発音モードデータは、発音モード
を指定するデータであり、上記5つのモードMIX〜P
CMDXのうち1つを指定する。ディレイレートデータ
DRATEは、「ディレイキーオン」制御における遅延
時間を設定するものである。
【0021】クロスフェードレートデータXRATE
は、「クロスフェード」制御におけるクロスフェード時
間を設定するものである。ディレイレートキースケーリ
ングデータDKSDは、「ディレイキーオン」制御にお
ける遅延時間を音高に応じて可変制御(キースケーリン
グ制御)する場合のキースケーリング特性を指定するデ
ータである。クロスフェードレートキースケーリングデ
ータXKSDは、「クロスフェード」制御におけるクロ
スフェード時間を音高に応じて可変制御(キースケーリ
ング制御)する場合のキースケーリング特性を指定する
データである。一例として、キースケーリング特性は、
「0%」,「25%」,「50%」,「100%」の4種類準
備されている。キースケーリングデータDKSD及びX
KSDはそのうち1つを夫々指定する。
【0022】PCM方式の楽音信号発生回路20におけ
る音源として、各種音色に対応した複数の楽音波形の波
形データを予め記憶した波形メモリが用いられており、
一例として、音の立上り部の複数周期波形と持続部の複
数周期波形を連続するアドレスに記憶しているものとす
る。PCM方式の楽音信号発生回路20のための音色パ
ラメータにおいて、スタートアドレスデータSADは、
音の立上り部の複数周期波形の最初のアドレスを示すデ
ータである。繰返しアドレスデータRADは、持続部の
複数周期波形の最初のアドレスを示すデータである。エ
ンドアドレスデータEADは、持続部の複数周期波形の
最後のアドレスを示すデータである。PCM方式の楽音
信号発生回路20においては、スタートアドレスから始
まる音の立上り部の複数周期波形を1回読み出し、その
後、繰返しアドレスとエンドアドレスの間に記憶された
持続部の複数周期波形を繰返し読み出すことにより、楽
音信号が発生される。
【0023】FM方式の楽音信号発生回路21のための
音色パラメータにおいて、アルゴリズム及びパラメータ
データFMPは楽音合成用周波数変調演算の演算アルゴ
リズムを指定するデータと共に変調指数等の演算パラメ
ータデータを含むものである。エンベロープパラメータ
データPENV,FENVは、各楽音信号発生回路2
0,21におけるエンベロープ波形信号の特性を夫々設
定するためのデータである。
【0024】(キースケーリング特性の説明)図4は4
種類のキースケーリング特性「0%」,「25%」,「50
%」,「100%」の一例を示すものである。横軸は音
高、たて軸は時間である。時間DLは、ディレイレート
データDRATEあるいはクロスフェードレートデータ
XRATEそれ自体によって決まる時間であり、いわば
スケーリングしていない時間を示す。
【0025】「0%」は、どの音高に対しても時間をDL
とする特性、つまりキースケーリングを施さないことを
指示するものである。「100%」は、1オクターブに
つき2倍若しくは1/2の時間のキースケーリングをも
たらす特性(すなわち、1オクターブ上がると時間が1
/2となり、1オクターブ下がると時間が2倍になるキ
ースケーリング特性)である。「50%」は、「100
%」のキースケーリング特性の傾きの約1/2の傾きを
示すキースケーリング特性である。「25%」は、「10
0%」のキースケーリング特性の傾きの約1/4の傾き
を示すキースケーリング特性である。所定の音高が基準
音高RKCとして定められており、その基準音高RKC
においては、どのキースケーリング特性でもスケーリン
グ0、つまりスケーリングを施さないディレイレートデ
ータDRATEあるいはクロスフェードレートデータX
RATE通りの時間DLになるように、図示の如く各キ
ースケーリング特性が定められている。
【0026】(PCM方式の楽音信号発生回路20)図
5はPCM方式の楽音信号発生回路20の詳細例を示す
ものである。なお、説明の簡略化のために、発音チャン
ネル数を1とした例を示している。図5のPCM方式楽
音信号発生回路20では、発生すべき楽音のピッチとサ
ンプリング周波数を同期させるピッチ同期方式が採用さ
れている。ここでは、ピッチ同期型の楽音信号形成を行
なうために、一例として「Pナンバ」という情報を使用
している。「Pナンバ」とは、実現しようとする楽音周
波数を持つ楽音波形における1周期中のサンプル点数を
示す数である。
【0027】Pナンバメモリ32は、所定の基準オクタ
ーブにおける12音名に対応して上記「Pナンバ」を予
め記憶しているものである。バッファレジスタ18から
与えられたキーコードKCのうち音名を示すノートコー
ドNCがPナンバメモリ32に与えられ、該ノートコー
ドNCに対応するPナンバが読み出される。ノートクロ
ック発生回路33は、Pナンバメモリ32からPナンバ
を入力し、このPナンバに応じた分周動作を行なうこと
により、発生すべき楽音の音名に対応する周波数を持つ
ノートクロックパルスNCKを発生する。キーコードK
Cのうちオクターブを示すオクターブコードOCがデコ
ーダ34に入力され、各オクターブ別にデコードされ
る。デコーダ34の出力はセレクタ35の選択制御入力
SA〜SDに与えられ、セレクタ35のデータ入力A〜
Dに与えられているオクターブレートデータ「1」,
「2」,「4」,「8」を選択する。このオクターブレートデ
ータはオクターブ関係の周波数比に対応する数値データ
であり、値が大きいほど高いオクターブに対応してい
る。
【0028】セレクタ35から出力されるオクターブレ
ートデータORDはゲート36に入力される。このゲー
ト36は、ノートクロック発生回路33から与えられる
ノートクロックパルスNCKが“1”のとき(パルス発
生時に)可能化され、オクターブレートデータORDを
出力する。従って、ゲート36からは、キーコードKC
のオクターブに対応する数値からなるオクターブレート
データORDが、該キーコードKCの音名に対応するノ
ートクロックパルスNCKの発生タイミングに同期して
繰返し出力される。このオクターブレートデータORD
の値と、ノートクロックパルスNCKの発生タイミング
に同期した繰返し周波数とにより、キーコードKCの音
高に対応する楽音周波数が確立される。
【0029】ゲート36から出力されたオクターブレー
トデータORDはセレクタ37のA入力を介してカウン
タ38の加算器39に与えられる。セレクタ37はタイ
ミング信号T1が“1”のときA入力を選択し、“0”
のときB入力を選択する。カウンタ38は、加算器39
と、クロックパルスφによってシフト制御される2ステ
ージのシフトレジスタ40と、ゲート41とを含んでい
る。加算器39の出力はシフトレジスタ40に与えら
れ、シフトレジスタ40の出力はゲート41を介して加
算器39の他の入力に与えられる。図6に示すように、
クロックパルスφはタイミング信号T1の2倍の周波数
を持つものであり、カウンタ38は2タイムスロットで
時分割動作を行ない、異なる機能のカウンタとして2重
の動作を行なう。すなわち、タイミング信号T1が
“1”のタイムスロットでは、セレクタ37のA入力を
介して与えられるオクターブレートデータORDを繰返
し加算(アキュムレート)し、「位相アドレスカウン
タ」として機能する。この場合、カウンタ38からは、
キーコードKCの音高に応じたレートで変化する位相ア
ドレス信号が出力される。他方、タイミング信号T1が
“0”のタイムスロットでは、セレクタ37のB入力を
介して与えられる時間カウント用のレートデータ△RD
を繰返し加算(アキュムレート)し、「時間カウンタ」
として機能する。後述するように、カウンタ38の「時
間カウンタ」としての機能は、「ディレイキーオン」制
御における遅延時間のカウント及び「クロスフェード」
制御におけるクロスフェード時間のカウントのために使
用される。
【0030】シフトレジスタ40の出力はラッチ回路4
2に与えられる。ラッチ回路42はタイミング信号T1
が“1”のときシフトレジスタ40の出力をラッチす
る。従って、「位相アドレスカウンタ」として機能する
カウンタ38で発生された位相アドレス信号がラッチ回
路42にラッチされる。ラッチ回路42にラッチされた
位相アドレス信号は相対的な位相アドレス信号として加
算器43に与えられる。選択された音色に対応するスタ
ートアドレスデータSADと繰返しアドレスデータRA
Dがセレクタ44に与えられる。最初はステート信号S
T1によりスタートアドレスデータSADがセレクタ4
4で選択されて加算器43に与えられる。この加算器4
3の出力が波形メモリ45のアドレス入力に与えられ
る。
【0031】波形メモリ45は、前述のように、各種音
色に対応した複数の楽音波形の波形データを予め記憶し
ており、1音色につき音の立上り部の複数周期波形と持
続部の複数周期波形を連続するアドレスに記憶してい
る。最初は、カウンタ38で発生された相対的な位相ア
ドレス信号とスタートアドレスデータSADが加算され
ることにより、音の立上り部の複数周期波形のデータが
順次読み出される。波形メモリ45から読み出された波
形データは、PCM方式の楽音信号発生回路20の出力
楽音信号として乗算器24(図1)に与えられる。一
方、加算器43から波形メモリ45のアドレス入力に与
えられるアドレス信号AADは、状態制御部30にも与
えられ、波形メモリ45の読み出し状態を制御するため
に使用される。
【0032】(波形読み出し状態の制御)状態制御部3
0の詳細例は図7に示されている。図7において、フリ
ップフロップ46は波形メモリ45の読み出し状態を制
御するためのステート信号ST1,ST2を出力するも
のである。キーオンパルスKONPがゲート47、オァ
回路48を介してフリップフロップ46のセット入力S
に与えられ、そのセット出力Qが“1”となり、これに
より最初はステート信号ST1が“1”となる。従っ
て、図5のセレクタ44では、前述のように、最初はス
タートアドレスデータSADを選択し、波形メモリ45
からは音の立上り部の複数周期波形が読み出される。
【0033】セレクタ49のA,B入力には繰返しアド
レスデータRADとエンドアドレスデータEADが夫々
与えられる。セレクタ49は、ステート信号ST1が
“1”のとき繰返しアドレスデータRADを選択し、ス
テート信号ST2が“1”のときエンドアドレスデータ
EADを選択する。従って最初は繰返しアドレスデータ
RADがセレクタ49から出力される。セレクタ49の
出力はセレクタ50のA入力を介して比較器51に入力
される。セレクタ50は、タイミング信号T1が“1”
のときつまりカウンタ38(図5)を位相アドレスカウ
ント用に使用するタイミングのとき、A入力を選択し、
繰返しアドレスデータRADを比較器51に入力する。
【0034】比較器51の他の入力には、セレクタ52
の出力が与えられる。セレクタ52は、加算器43(図
5)からアドレス信号ADDをA入力に入力し、タイミ
ング信号T1が“1”のとき、これを選択して出力す
る。従って、比較器51では、タイミング信号T1が
“1”のとき、つまりカウンタ38(図5)を位相アド
レスカウント用に使用するタイミングのとき、現在の波
形読み出しアドレスと繰返しアドレスデータRADとを
比較する。両者が一致すると、一致信号EQとして
“1”を出力する。この一致信号EQとタイミング信号
T1とがアンド回路520に入力され、このアンド回路
520の出力がフリッフロップ46のリセット入力Rに
与えられる。
【0035】従って、音の立上り部の複数周期波形を読
み出しているとき、つまりステート信号ST1が“1”
のとき、波形読み出しアドレスが繰返しアドレスデータ
RADのアドレスに達すると、フリップフロップ46が
リセットされ、そのリセット出力のステート信号ST2
が“1”に、ステート信号ST1が“0”に切り換わる
(図8参照)。
【0036】図5のセレクタ44において、ステート信
号ST2が“1”になると、繰返しアドレスデータRA
Dが選択されるようになり、加算器43ではラッチ回路
42から与えられる相対的位相アドレス信号に対して繰
返しアドレスデータRADを加算する。一方、一致信号
EQとタイミング信号T1は図5のアンド回路53に加
えられ、このアンド回路53の出力がノア回路54で反
転されて、カウンタ38のゲート41の制御入力に与え
られる。従って、加算器43でオフセットアドレスデー
タとして加算される絶対アドレスデータが繰返しアドレ
スデータRADに切り換わるとき、ゲート41が不能化
されてカウンタ38におけるそれまでの相対的位相アド
レス値がクリアされる。その後、カウンタ38では相対
的位相アドレスのカウントを0から再開する。
【0037】図7のセレクタ49では、ステート信号S
T2の“1”により、エンドアドレスデータEADを選
択するようになる。従って、ステート信号ST2が
“1”のときは、位相アドレスカウントタイミングにお
いて、比較器51では現在の波形読み出しアドレスとエ
ンドアドレスデータEADとを比較する。両者が一致す
ると一致信号EQが“1"となり、図5のカウンタ38に
おける相対的位相アドレスカウント値が0にクリアされ
る。こうして、繰返しアドレスデータRADに対応する
アドレスからエンドアドレスデータEADに対応するア
ドレスまで、波形読み出しアドレスが繰返し変化し、音
の持続部の複数周期波形が繰返し読み出される(図8参
照)。
【0038】(ディレイキーオンとクロスフェードの時
間設定及びキースケーリング制御)時間設定及びキース
ケーリング制御部29の詳細例は図9に示されている。
該制御部29は時間カウント用のカウンタを本来具備す
るが、これは図9には示されていず、図5のカウンタ3
8を共用する構成となっている。図9において、該制御
部29は、キースケーリング用の音高データとして、図
5のゲート36からノートクロックパルスNCKのタイ
ミングで出力されるオクターブレートデータORD’を
ライン55を介して加算器56に入力する。また、該制
御部29の乗算器57からは時間カウント用のレートデ
ータ△RDが出力されるようになっており、このレート
データ△RDが図5のセレクタ37のB入力に与えら
れ、タイミング信号T1が“0”のとき該セレクタ37
で選択され、カウンタ38に与えられる。従って、カウ
ンタ38はタイミング信号T1が“0”のタイムスロッ
トでレートデータRTDをカウントし、ディレイキーオ
ンの遅延時間あるいはクロスフェード時間をカウントす
るためのカウンタとして機能する。
【0039】選択された音色に対応するディレイレート
データDRATEとクロスフェードレートデータXRA
TEがセレクタ58に入力され、最初は、ディレイステ
ート信号DSTに従ってディレイレートデータDRAT
Eが選択され、「ディレイキーオン」の遅延時間が終了
すると、クロスフェードステート信号XSTに従ってク
ロスフェードレートデータXRATEが選択される。基
本的には、セレクタ58の出力が乗算器59、57を介
してレートデータ△RDとしてカウンタ38(図5)に
与えられる。しかし、乗算器59、57には遅延時間と
クロスフェード時間をキースケーリングするための係数
データが与えられるようになっており、セレクタ58の
出力データ(DRATEまたはXRATE)をこの係数
データによってスケーリングしたものがレートデータ△
RDとなる。
【0040】選択された音色に対応するディレイレート
キースケーリングデータDKSDとクロスフェードレー
トキースケーリングデータXKSDがデコーダ60,6
1に与えられ、夫々デコードされる。デコーダ60,6
1の出力はセレクタ62に入力され、ディレイステート
信号DSTによってデコーダ60の出力すなわち「ディ
レイキーオン」のためのキースケーリング特性カーブを
指示するデータが選択され、クロスフェードステート信
号XSTによってデコーダ61の出力すなわち「クロス
フェード」のためのキースケーリング特性カーブを指示
するデータが選択される。セレクタ62から出力される
4つのデコード出力のうち「0%」のキースケーリング
特性を指示する信号と「100%」のキースケーリング
特性を指示する信号がオァ回路63を介してセレクタ6
4,65のA選択制御入力SAに、「50%」のキース
ケーリング特性を指示する信号がセレクタ64,65の
B選択制御入力SBに、「25%」のキースケーリング
特性を指示する信号がセレクタ64,65のC選択制御
入力SCに、夫々与えられる。
【0041】セレクタ64は、「0%」または「100
%」のキースケーリング特性が指示された場合は数値
「1」を選択し、「50%」の場合は数値「1/2」を
選択し、「25%」の場合は数値「1/4」を選択す
る。セレクタ65は、「0%」または「100%」のキ
ースケーリング特性が指示された場合は数値「0」を選
択し、「50%」の場合は数値「1」を選択し、「25
%」の場合は数値「3」を選択する。セレクタ64の出
力は乗算器59に入力される。セレクタ65の出力は加
算器56に入力され、ライン55のオクターブレートデ
ータORD’と加算される。加算器56の出力はセレク
タ66のA入力に与えられる。セレクタ66のB入力に
は数値「1」が入力される。セレクタ66は、セレクタ
62から出力される「0%」のキースケーリング特性を
指示する信号によって選択制御されるようになってお
り、「0%」の場合すなわちキースケーリングを行なわ
ない場合B入力の「1」を常時選択し、それ以外の場合
すなわちキースケーリングを行なう場合A入力の加算器
56の出力を選択する。セレクタ66の出力は乗算器5
7に与えられる。
【0042】以上の構成により、各キースケーリング特
性におけるレートデータΔRDは下記式に従って決定さ
れる。なお、基本のレートデータRATEはDRATE
またはXRATEである。 「0%」の場合 ΔRD=1×1×RATE=RATE 「25%」の場合 ΔRD=(ORD’+3)×(1/4)×RATE 「50%」の場合 ΔRD=(ORD’+1)×(1/2)×RATE 「100%」の場合 ΔRD=ORD'×1×RATE=ORD'×RATE
【0043】なお、上記式でオクターブレートデータO
RD’はノートクロックパルスNCKのパルス発生タイ
ミングでオクターブに対応する数値をもち、それ以外の
ときは「0」である。上記式でオクターブレートデータ
ORD’の重みは所定の基準オクターブで「1」である
とする。すなわち、実際の位相アドレスカウントで使用
されるオクターブレートデータORDの値が第1オクタ
ーブで「1」、第2オクターブで「2」、第3オクター
ブで「4」、第4オクターブで「8」であるとしても、
キースケーリングで使用するオクターブレートデータO
RD’は、例えば基準オクターブが第2オクターブであ
るとすると、第1オクターブで「1/2」、第2オクタ
ーブで「1」、第3オクターブで「2」、第4オクター
ブ「4」の重みの扱いである。
【0044】また、一例として、基準音高ではサンプリ
ングタイミング毎にノートクロックパルスNCKが常に
発生するものとする。例えば、基準音高の音名がBであ
るとすると、音名BのノートクロックパルスNCKは各
サンプリング同期毎に“1”となる。その場合、それよ
りも低い音名A#,A,G#,G…D,C#,Cのノート
クロックパルスNCKはパルスが適宜間引きされたもの
となる。
【0045】基準音高、例えば、第2オクターブの音名
B、の場合、上記式の解は、ORD’=1であるから、
「0%」、「25%」、「50%」、「100%」のい
ずれの場合でもΔRD=RATEとなり、基本のレート
データDRATE又はXRATEによって設定された通
りの時間DLとなる(図4参照)。また、基準音高の音
名以外の音名では、ノートクロックパルスNCKのパル
ス抜けにより、パルス抜けのサンプリング周期ではオク
ターブレートデータORD’の加算が行なわれず、その
サンプリング周期ではレートデータRATEに対する乗
算係数が、「25%」では3/4、「50%」では1/
2、「100%」では0となる。このようにオクターブ
レートデータORD’が与えられるサンプリング周期と
与えられないサンプリング周期ではレートデータΔRD
の乗算係数が異なり、しかもその確率は音名によって異
なるので、レートデータΔRDを積算カウントした場合
のカウント値の変化レートは各音高毎に異なるものとな
り、図4に示すようなキースケーリング制御が実現され
る。
【0046】キースケーリング制御済のレートデータΔ
RDは図5のセレクタ37のB入力に加わり、タイミン
グ信号T1が“0”のタイミングでカウンタ38に与え
られ、該カウンタ38で累積カウントされる。このカウ
ンタ38の出力は時間カウントデータCNTとして、図
7のセレクタ52のB入力に与えられ、タイミング信号
T1が“0”のタイミングで選択出力され、比較器51
に入力される。比較器51の他の入力には、タイミング
信号T1が“0”のタイミングではセレクタ50のB入
力を介して全ビット“1”の最大値データが与えられ
る。従って、カウンタ38の時間カウントデータCNT
が最大値に到達したとき比較器51の一致信号EQが
“1”となる。明らかなように、カウンタ38に入力さ
れるレートデータΔRDの値が大きいほどカウントデー
タCNTが増加する速度が速く、最大値に到達する時間
が短い。
【0047】「ディレイキーオン」と「クロスフェー
ド」の状態制御は、図7のカウンタ67によって行なわ
れる。カウンタ67はキーオンパルスKONPによって
リセットされる。デコーダ68はカウンタ67の出力を
デコードし、カウント値が「0」のときディレイステー
ト信号DSTを、「1」のときクロスフェードステート
信号XSTを、「2」のときホールドステート信号HS
Tを出力する。ホールドステート信号HSTが“0”の
ときアンド回路69が可能化され、アンド回路70の出
力がカウンタ67のカウント入力に与えられる。アンド
回路70には比較器51から出力される一致信号EQと
タイミング信号T1の反転信号が与えられる。
【0048】従って、鍵が押圧されると最初はディレイ
ステート信号DSTが“1”となり、「ディレイキーオ
ン」制御が指示される(図10参照)。これにより図9
のセレクタ58,62ではディレイレートデータDRA
TEとディレイレートキースケーリングデータDKSD
が選択され、「ディレイキーオン」制御のためのレート
データΔRDが前述のキースケーリング演算に従い得ら
れる。
【0049】ディレイキーオン用のレートデータΔRD
の繰返し加算によりカウンタ38のカウント値CNTが
最大値に到達すると、前述のように一致信号EQが発生
される。図7のアンド回路71には、この一致信号EQ
とディレイステート信号DSTとタイミング信号T1の
反転信号が入力され、ディレイステートにおいてカウン
ト値CNTが最大値に到達すると該アンド回路71の条
件が成立し、ディレイキーオンパルスDKONPが発生
される(図10参照)。同時に、アンド回路70の出力
が“1”となり、カウンタ67がカウントアップされ
る。同時に、図5のアンド回路72の出力が“1”とな
り、オア回路73を介してノア回路54に加わり、該ノ
ア回路54の出力が“0”となり、カウンタ38のゲー
ト41が不能化され、カウンタ38のカウント値CNT
がクリアされる。カウンタ67のカウント値が「1」と
なることにより、ディレイステート信号DSTが“0”
となり、クロスフェードステート信号XSTが“1”と
なる(図10参照)。
【0050】こうして、「ディレイキーオン」制御が終
了し、「クロスフェード」制御がスタートする。ディレ
イステート信号DSTが“1”になっている時間、つま
り通常のキーオンパルスKONPの発生時からディレイ
キーオンパルスDKONPの発生までの時間が「ディレ
イキーオン」制御における遅延時間である。前述のよう
に、この遅延時間は、基本的にはディレイレートデータ
DRATEによって設定され、ディレイレートキースケ
ーリングデータDKSDと発生音の音高によってキース
ケーリングされる。「クロスフェード」制御状態では、
図9のセレクタ58,62でクロスフェードレートデー
タXRATEとクロスフェードレートキースケーリング
データXKSDが選択され、「クロスフェード」制御の
ためのレートデータΔRDが前述のキースケーリング制
御に従い得られる。
【0051】クロスフェード用のレートデータΔRDの
繰返し加算によりカウンタ38のカウント値CNTが最
大値に到達すると、前述のように一致信号EQが発生さ
れる。これにより図7のカウンタ67がカウントアップ
され、クロスフェードステート信号XSTが“0”にな
り、ホールドステート信号HSTが“1”になる(図1
0参照)。こうして、「クロスフェード」制御が終了す
る。クロスフェードステート信号XSTが“1”になっ
ている時間がクロスフェード時間である。前述のよう
に、このクロスフェード時間は、基本的には、クロスフ
ェードレートデータXRATEによって設定され、クロ
スフェードキースケーリングデータXKSDと発生音の
音高によってキースケーリングされる。
【0052】(発音モードに応じたキーオンパルスの作
成)図7において、状態制御部30は、PCM方式の楽
音信号発生回路20における発音開始を指示するPCM
キーオンパルスPKONPとFM方式の楽音信号発生回
路21における発音開始を指示するFMキーオンパルス
FKONPを、発音モードに応じて作成する機能を有す
る。
【0053】鍵押圧開始に対応して発生される通常のキ
ーオンパルスKONPがゲート47に入力されており、
該ゲート47の出力がオア回路48を介してPCMキー
オンパルスPKONPとして出力されると共に、前述の
フリップフロップ46のセット入力Sに与えられる。ゲ
ート47の制御入力には、単純混合モード信号MIXあ
るいはFMディレイキーオンモード信号FMDあるいは
FMディレイキーオン&クロスフェードモード信号FM
DXがオア回路74を介して与えられる。発音モードと
してこれらのモードが選択されている場合は、PCM方
式の楽音信号発生回路20においては、実際の鍵押圧開
始に応答して発音を開始するので(図2a,b,d参
照)、これらのモードが選択されていることを示す信号
MIX,FMD,FMDXのいずれかが“1”のときゲ
ート47を開放し、キーオンパルスKONPをそのまま
PCMキーオンパルスPKONPとして出力する。
【0054】また、キーオンパルスKONPはゲート7
5に入力されており、該ゲート75の出力がオア回路7
6を介してFMキーオンパルスFKONPとして出力さ
れる。ゲート75の制御入力には、単純混合モード信号
MIXあるいはPCMディレイキーオンモード信号PC
MDあるいはPCMディレイキーオン&クロスフェード
モード信号PCMDXがオア回路77を介して与えられ
る。発音モードとしてこれらのモードが選択されている
場合は、FM方式の楽音信号発生回路21においては、
実際の鍵押圧開始に応答して発音を開始するので(図2
c,e参照)、これらのモードが選択されていることを
示す信号MIX,PCMD,PCMDXのいずれかが
“1”のときゲート75を開放し、キーオンパルスKO
NPをそのままFMキーオンパルスFKONPとして出
力する。
【0055】また、「ディレイキーオン」における遅延
時間が経過したときにアンド回路71から出力されるデ
ィレイキーオンパルスDKONPがゲート78,79に
入力される。ゲート78の制御入力には、PCMディレ
イキーオンモード信号PCMDあるいはPCMディレイ
キーオン&クロスフェードモード信号PCMDXがオア
回路80を介して与えられる。ゲート78の出力はラッ
チ回路81でタイミング信号T1に同期してラッチさ
れ、オア回路48を介してPCMキーオンパルスPKO
NPとして出力される。PCMディレイキーオンモード
あるいはPCMディレイキーオン&クロスフェードモー
ドの場合は、遅延時間経過後にPCM方式の楽音信号発
生回路20における発音を開始するので(図2c,e参
照)、これらのモードが選択されている場合はディレイ
キーオンパルスDKONP(図10参照)をPCMキー
オンパルスPKONPとして出力する。
【0056】ゲート79の制御入力には、FMディレイ
キーオンモード信号FMDあるいはFMディレイキーオ
ン&クロスフェードモード信号FMDXがオア回路82
を介して与えられる。ゲート79の出力はラッチ回路8
3でタイミング信号T1に同期してラッチされ、オア回
路76を介してFMキーオンパルスFKONPとして出
力される。FMディレイキーオンモードあるいはFMデ
ィレイキーオン&クロスフェードモードの場合は、遅延
時間経過後にFM方式の楽音信号発生回路21における
発音を開始するので(図2a,b,d参照)、これらの
モードが選択されている場合はディレイキーオンパルス
DKONP(図10参照)をFMキーオンパルスFKO
NPとして出力する。なお、ラッチ回路81,83は、
各キーオンパルスPKONP,FKONPのタイミング
を楽音信号発生用のチャンネルタイミングに合わせるた
めに設けられている。
【0057】PCMキーオンパルスPKONPは、PC
M方式の楽音信号発生回路20におけるカウンタ38の
内容をクリアするためにノア回路54(図5)に加わ
り、該カウンタ38のゲート41を不能化する。また、
FMキーオンパルスFKONPは、FM方式の楽音信号
発生回路21に加わり、同様に、位相アドレスカウンタ
の内容をクリアする。また、両キーオンパルスPKON
P,FKONPはエンベロープ発生部23に加わり、エ
ンベロープ信号の発生を指示する。
【0058】(FM方式の楽音信号発生回路21)図1
1はFM方式の楽音信号発生回路21の一例を略示する
ものである。なお、説明の簡略化のために、発音チャン
ネル数を1とした例を示している。Fナンバメモリ84
は、各音高の周波数に比例する数値である「Fナンバ」
を各音高毎に予め記憶しているものであり、バッファレ
ジスタ18(図1)から与えられたキーコードKCに応
じて、発生すべき楽音のFナンバが読み出される。読み
出されFナンバは、位相アドレスカウンタ85の加算器
86に与えられる。位相アドレスカウンタ85は、加算
器86と、タイミング信号T1によってシフト制御され
る1ステージのシフトレジスタ87と、ゲート88とを
含んでいる。加算器86の出力はシフトレジスタ87に
与えられ、シフトレジスタ87の出力はゲート88を介
して加算器86の他の入力に与えられる。ゲート88
は、FMキーオンパルスFKONPを反転した信号によ
って制御され、発音開始時に該位相アドレスカウンタ8
5の内容を一旦クリアする。以後、位相アドレスカウン
タ85においてFナンバがサンプリング周期毎に繰返し
加算され、位相アドレス信号が該カウンタ85から出力
される。FM演算回路89は楽音合成用の周波数変調演
算を実行する回路であり、カウンタ85からの位相アド
レス信号とアルゴリズム及びパラメータデータFMPと
を入力し、これらに基づき周波数変調演算を実行する。
このFM演算回路89で合成された楽音信号は乗算器2
5(図1)に与えられ、エンベロープ信号FEGが乗算
される。
【0059】(発音モードに応じた発音制御)クロスフ
ェード波形作成部31の詳細例及びエンベロープ発生部
23の一例が図12に示されている。クロスフェード波
形作成部31においては、選択された発音モードに応じ
て、PCM方式の楽音信号発生回路20における楽音振
幅制御用のクロスフェード波形データと、FM方式の楽
音信号発生回路21における楽音振幅制御用のクロスフ
ェード波形データとを発生する。PCM用のクロスフェ
ード波形データはPCM用のセレクタ93から出力さ
れ、エンベロープ発生部23の乗算器97に入力され、
PCM用のエンベロープ発生器95から発生されたPC
M用のエンベロープ信号に乗算される。FM用のクロス
フェード波形データはFM用のセレクタ94から出力さ
れ、エンベロープ発生部23の乗算器98に入力され、
FM用のエンベロープ発生器96から発生されたFM用
のエンベロープ信号に乗算される。乗算器97,98の
出力は、クロスフェード波形による重み付け済みのエン
ベロープ信号PEG,FEGとしてエンベロープ発生部
23から出力され、図1の乗算器24,25夫々与えら
れる。
【0060】PCM用のエンベロープ発生器95には、
PCMキーオンパルスPKONP、PCM用のエンベロ
ープパラメータPENV、キーオフパルスKOFP、P
CMディレイキーオン&クロスフェードモード信号PC
MDXが与えられ、これらに基づきエンベロープ波形信
号を発生する。FM用のエンベロープ発生器96には、
FMキーオンパルスFKONP、FM用のエンベロープ
パラメータFENV、キーオフパルスKOFP、FMデ
ィレイキーオン&クロスフェードモード信号FMDXが
与えられ、これらに基づきエンベロープ波形信号を発生
する。
【0061】図12の例では、クロスフェード波形作成
部31においては、図5のカウンタ38におけるクロス
フェード用の時間カウントデータCNTをクロスフェー
ド波形データとして利用するようにしている。クロスフ
ェード制御における楽音を徐々に立ち上げる特性はカウ
ントデータCNTの増加カーブをそのまま利用し、楽音
を徐々に減衰する特性はカウントデータCNTの2進値
を反転して減少カーブに変換することにより作成する。
【0062】図5のカウンタ38から出力されたカウン
トデータCNTがゲート90に与えられる。該ゲート9
0はオア回路91を介して与えられるクロスフェードス
テート信号XSTまたはホールドステート信号HSTに
より開放される。これにより「ディレイキーオン」用の
カウントデータCNTはゲート90で阻止し、「クロス
フェード」用のカウントデータCNTをゲート90を通
過させる。ゲート90から出力されたカウントデータC
NTはPCM用のセレクタ93のA入力に与えられると
共に、FM用セレクタ94のB入力に与えられる。ま
た、ゲート90から出力されたカウントデータCNTは
反転回路92で各ビットが反転され、その出力がPCM
用のセレクタ93のB入力に与えられると共に、FM用
セレクタ94のA入力に与えられる。セレクタ93,9
4のC入力には最大値すなわち全ビット“1”のデータ
が入力され、D入力には最小値すなわち全ビット“0”
のデータが入力される。セレクタ93,94の制御入力
には、発音モードを指示する信号MIX,PCMD,P
CMDX,FMD,FMDXとステート信号DST,X
ST,HSTがアンド回路99〜112及びオア回路1
13〜116を介して与えられる。
【0063】各発音モードに応じたクロスフェード波形
発生態様および発音制御態様は次の通りである。 1)単純混合モード(図2a) 単純混合モードが選択された場合は、信号MIXが
“1”となり、セレクタ93,94ではC入力を選択す
る。これにより、セレクタ93,94の出力は常時オー
ル“1”となり、エンベロープ発生器95,96の出力
がそのままエンベロープ信号PEG,FEGとして出力
される。従って、図2aに示すように、PCM方式の楽
音信号発生回路20とFM方式の楽音信号発生回路21
とで同時に楽音を発音する発音制御がなされる。
【0064】2)FMディレイキーオンモード(図2
b) FMディレイキーオンモードが選択された場合は、信号
FMDが“1”となり、セレクタ93ではC入力を常時
選択する。セレクタ94では、ディレイステート信号D
STが“1”のときD入力を選択し、“0”のときC入
力を選択する。これにより、セレクタ93の出力は常時
オール“1”となり、エンベロープ発生器95の出力が
そのままエンベロープ信号PEGとして出力される。こ
のとき、PCMキーオンパルスPKONPは通常のキー
オンパルスKONPに対応して発生し、押鍵と共にエン
ベロープ信号PEGが立ち上がる。一方、セレクタ94
では、遅延時間中はオール“0”を選択し、遅延時間経
過後はオール“1”を選択する。また、FMキーオンパ
ルスFKONPはディレイキーオンパルスDKONPに
対応して発生し、遅延時間終了時にエンベロープ信号F
EGが立ち上がる。従って、図2bに示すように、PC
M方式の楽音信号発生回路20で先に発音開始し、FM
方式の楽音信号発生回路21ではそれよりも遅れて発音
開始し、以後重複して発音する制御がなされる。
【0065】3)PCMディレイキーオンモード(図2
c) PCMディレイキーオンモードが選択された場合は、信
号PCMDが“1”となり、セレクタ94ではC入力を
常時選択する。セレクタ93では、ディレイステート信
号DSTが“1”のときD入力を選択し、“0”のとき
C入力を選択する。これにより、セレクタ94の出力は
常時オール“1”となり、エンベロープ発生器96の出
力がそのままエンベロープ信号FEGとして出力され
る。このとき、FMキーオンパルスFKONPは通常の
キーオンパルスKONPに対応して発生し、押鍵と共に
エンベロープ信号FEGが立ち上がる。一方、セレクタ
93では、遅延時間中はオール“0”を選択し、遅延時
間経過後はオール“1”を選択する。また、PCMキー
オンパルスPKONPはディレイキーオンパルスDKO
NPに対応して発生し、遅延時間終了時にエンベロープ
信号PEGが立ち上がる。従って、図2cに示すよう
に、FM方式の楽音信号発生回路21で先に発音開始
し、PCM方式の楽音信号発生回路20ではそれよりも
遅れて発音開始し、以後重複して発音する制御がなされ
る。
【0066】4)FMディレイキーオン&クロスフェー
ドモード(図2d) FMディレイキーオン&クロスフェードモードが選択さ
れた場合は、信号FMDXが“1”となり、セレクタ9
3では、ディレイステート信号DSTが“1”のときC
入力を選択し、クロスフェードステート信号XSTが
“1”のときB入力を選択し、ホールドステート信号H
STが“1”のときD入力を選択する。これにより、セ
レクタ93から出力されるPCM用のクロスフェード波
形データは、遅延時間中はオール“1”を維持し、クロ
スフェード時間中はオール“1”からオール“0”に向
かって徐々に減衰し、クロスフェード終了後はオール
“0”を維持する。また、PCMキーオンパルスPKO
NPは通常のキーオンパルスKONPに対応して発生
し、押鍵と共にエンベロープ信号PEGが立ち上がる。
【0067】セレクタ94では、ディレイステート信号
DSTが“1”のときD入力を選択し、クロスフェード
ステート信号XSTが“1”のときB入力を選択し、ホ
ールドステート信号HSTが“1”のときC入力を選択
する。これにより、セレクタ94から出力されるFM用
のクロスフェード波形データは、遅延時間中はオール
“0”を維持し、クロスフェード時間中はオール“0”
からオール“1”に向かって徐々に立上り、クロスフェ
ード終了後はオール“1”を維持する。また、FMキー
オンパルスFKONPはディレイキーオンパルスDKO
NPに対応して発生する。FM用のエンベロープ発生器
96では、FMディレイキーオン&クロスフェードモー
ド信号FMDXが“1”のときは、キーオンパルスFK
ONPに応答して即座に最大レベルに立ち上がるエンベ
ロープ波形信号を発生するものとする。これにより、乗
算器98から出力されるエンベロープ信号FEGは、遅
延時間経過後にセレクタ94からのクロスフェード立上
り波形に対応するカーブで立ち上がるものとなる。従っ
て、図2dに示すように、PCM方式の楽音信号発生回
路20で先に発音開始し、FM方式の楽音信号発生回路
21ではそれよりも遅れて発音開始し、この後続するF
M方式の楽音信号発生回路21の楽音信号を徐々に立ち
上げる制御とともに、先行するPCM方式の楽音信号発
生回路20の楽音信号を徐々に減衰させる制御がなされ
る。
【0068】5)PCMディレイキーオン&クロスフェ
ードモード(図2e) PCMディレイキーオン&クロスフェードモードが選択
された場合は、信号PCMDXが“1”となり、セレク
タ94では、ディレイステート信号DSTが“1”のと
きC入力を選択し、クロスフェードステート信号XST
が“1”のときA入力を選択し、ホールドステート信号
HSTが“1”のときD入力を選択する。これにより、
セレクタ94から出力されるFM用のクロスフェード波
形データは、遅延時間中はオール“1”を維持し、クロ
スフェード時間中はオール“1”からオール“0”に向
かって徐々に減衰し、クロスフェード終了後はオール
“0”を維持する。また、FMキーオンパルスFKON
Pは通常のキーオンパルスKONPに対応して発生し、
押鍵と共にエンベロープ信号FEGが立ち上がる。
【0069】セレクタ93では、ディレイステート信号
DSTが“1”のときD入力を選択し、クロスフェード
ステート信号XSTが“1”のときA入力を選択し、ホ
ールドステート信号HSTが“1”のときC入力を選択
する。これにより、セレクタ93から出力されるPCM
用のクロスフェード波形データは、遅延時間中はオール
“0”を維持し、クロスフェード時間中はオール“0”
からオール“1”に向かって徐々に立上り、クロスフェ
ード終了後はオール“1”を維持する。また、PCMキ
ーオンパルスPKONPはディレイキーオンパルスDK
ONPに対応して発生する。PCM用のエンベロープ発
生器95では、PCMディレイキーオン&クロスフェー
ドモード信号PCMDXが“1”のときは、キーオンパ
ルスPKONPに応答して即座に最大レベルに立ち上が
るエンベロープ波形信号を発生するものとする。これに
より、乗算器97から出力されるエンベロープ信号PE
Gは、遅延時間経過後にセレクタ93からのクロスフェ
ード立上り波形に対応するカーブで立ち上がるものとな
る。従って、図2eに示すように、FM方式の楽音信号
発生回路21で先に発音開始し、PCM方式の楽音信号
発生回路20はそれよりも遅れて発音開始し、この後続
するPCM方式の楽音信号発生回路20の楽音信号を徐
々に立ち上げる制御とともに、先行するFM方式の楽音
信号発生回路21の楽音信号を徐々に減衰させる制御が
行なわれる。
【0070】(変更例)上記実施例では、ディレイレー
トあるいはクロスフェードレートのキースケーリング特
性は選択された音色に応じて設定されるようになってい
るが、これに限らず、適宜のキースケーリング特性選択
手段により任意に選択できるようにしてもよい。また、
ディレイレートあるいはクロスフェードレートの基本値
も、上記実施例では選択された音色に応じて設定される
ようになっているが、これに限らず、適宜のレート選択
手段により任意に選択できるようにしてもよい。
【0071】また、発音モードも、選択された音色に応
じて自動的に設定されるようになっているが、これに限
らず、適宜の選択手段により任意に選択できるようにし
てもよい。遅延時間あるいはクロスフェード時間のカウ
ントは、増分値データのカウントに限らず、可変周波数
のクロックパルスのカウント、あるいは可変周波数のク
ロックパルスと増分値データの組合せによるカウントで
あってもよい。また、楽音波形の周期数をカウントする
ようにしてもよい。
【0072】上記実施例では、ディレイレートあるいは
クロスフェードレートのキースケーリングは個別の各音
高毎に行なっているが、これは適宜の音域ごとに行なう
ようにしてもよい。この明細書において、音高に応じて
キースケーリングを行なうとは、所定の音域単位でキー
スケーリングを行なうことをも含む表現である。また、
遅延時間あるいはクロスフェード時間のキースケーリン
グ制御は、カウントレートの可変制御に限らず、カウン
ト値の到達目標値を音高に応じて可変制御するものであ
ってもよい。また、上記実施例では、立上りのクロスフ
ェード波形と立ち下がりのクロスフェード波形は同じ時
間長であるが、異なっていてもよい。また、立上りのク
ロスフェード波形と立ち下がりのクロスフェード波形の
変化はリニアに限らず、指数若しくは対数特性であって
もよく、その他の特性であってもよい。
【0073】第1及び第2の楽音信号発生回路20,2
1における音源方式若しくは楽音信号発生方式は上述の
ものに限らず、どのようなものでもよい。例えば、第1
の楽音信号発生回路20の波形メモリに記憶する波形は
音の立上り部と持続部の一部の波形に限らず、音の立上
りから発音終了に至る全波形等であってもよい。また、
波形メモリにおける記憶データの符号化形式はPCM
(パルスコード変調)形式に限らず、DPCM(差分P
CM)、ADPCM(適応差分PCM)、DM(デルタ
変調)、ADM(適応デルタ変調)等適宜のものであっ
てよい。また、第2の楽音信号発生回路21における周
波数変調演算のアルゴリズムはどのようなものを用いて
もよい。更に、第2の楽音信号発生回路21における楽
音合成用変調演算は、周波数変調演算に限らず、振幅変
調演算や時間窓関数による振幅変調演算など、適宜の変
調演算を用いてよい。また、第2の楽音信号発生回路2
1として変調演算型以外の楽音合成方式を用いてもよ
い。
【0074】また、各楽音信号発生回路における発生音
の音高は完全に同一である必要はなく、適宜ずれていて
もよい。例えば、移調やピッチ調整が各楽音信号発生回
路毎に独立に行なわれるようになっていてよいし、ま
た、適宜の度数だけずれた楽音を発生するようになって
いてもよい。また、楽音信号発生回路の数は2個に限ら
ず、それ以上有ってもよい。また、各楽音信号発生回路
における発音チャンネル数は1に限らず、複数であって
もよいのは勿論である。
【0075】この発明及びその実施態様のいくつかを列
挙すると次のようである。 (1)発生すべき楽音の音高を指定する音高指定手段と、
前記音高指定手段によって指定された音高に対応するピ
ッチを持つ楽音信号を発生する第1の楽音信号発生手段
と、前記音高指定手段によって指定された音高に対応す
るピッチを持つ楽音信号を、前記第1の楽音信号発生手
段とは異なる楽音信号発生方式に従って発生する第2の
楽音信号発生手段と、前記第1及び第2の楽音信号発生
手段における楽音発生の組合せを指示する発音モード
を、複数の異なる発音モードの中から選択する発音モー
ド選択手段と、前記モード選択手段で選択された発音モ
ードに従い前記第1及び第2の楽音信号発生手段におけ
る楽音発生をそれぞれ制御する制御手段とを具えた電子
楽器。 (2)音色選択手段を有し、前記第1及び第2の楽音信号
発生手段は、この音色選択手段によって選択された音色
を持つ楽音信号をそれぞれの楽音信号発生方式に従って
それぞれ発生するものであり、前記発音モード選択手段
は、この音色選択手段によって選択された音色によって
決定される発音モードを自動的に選択するものである前
記項1に記載の電子楽器。 (3)前記発音モード選択手段は、操作者による手動選択
操作によって任意の発音モードを選択することができる
ものである前記項1に記載の電子楽器。 (4)前記発音モード選択手段において選択可能な複数の
発音モードは、前記第1及び第2の楽音信号発生手段で
単純にほぼ同時に楽音を発音する単純混合モードと、前
記第1及び第2の楽音信号発生手段の一方における楽音
の発音開始を他方よりも遅らせるディレイモードとを含
むものである前記項1に記載の電子楽器。 (5)前記発音モード選択手段において選択可能な複数の
発音モードは、前記第1及び第2の楽音信号発生手段で
単純にほぼ同時に楽音を発音する単純混合モードと、前
記第1及び第2の楽音信号発生手段の一方で先に楽音信
号を発音し、その後他方に切り換えて楽音信号を発音さ
せ、切り換わり期間において先行する楽音信号を徐々に
減衰させると共に後続する楽音信号を徐々に立ち上げる
クロスフェードモードとを含むものである前記項1に記
載の電子楽器。 (6)前記発音モード選択手段において選択可能な複数の
発音モードは、前記第1及び第2の楽音信号発生手段の
一方における楽音の発音開始を他方よりも遅らせるディ
レイモードと、前記第1及び第2の楽音信号発生手段の
一方で先に楽音信号を発音し、その後他方に切り換えて
楽音信号を発音させ、切り換わり期間において先行する
楽音信号を徐々に減衰させると共に後続する楽音信号を
徐々に立ち上げるクロスフェードモードとを含むもので
ある前記項1に記載の電子楽器。
【0076】
【発明の効果】 以上の通り、この発明によれば、第1
及び第2の楽音信号発生手段における楽音発生の組合せ
を指示する発音モードを、指定された音色に応じて自動
的に決定するので、各楽音信号発生手段における発生楽
音そのものの音色設定のみならず、これら2系列の楽音
信号発生手段での楽音発生の組合せ態様も指定音色に適
したものに自動設定され、制御性に富んだ楽音合成が可
能になり、また、演奏効果を豊富にすることができると
共に、最終的に合成される楽音信号の品質をより一層向
上させることができる、という優れた効果を奏する。ま
た、選択可能な発音モードには、第1及び第2の楽音信
号発生手段の一方における楽音の発音開始を他方よりも
遅らせるディレイモードと、第1及び第2の楽音信号発
生手段の一方で先に楽音信号を発音し、その後他方に切
り換えて楽音信号を発音させ、切り換わり期間において
先行する楽音信号を徐々に減衰させると共に後続する楽
音信号を徐々に立ち上げるクロスフェードモードとが少
なくとも含まれているので、2系列の楽音の組合せによ
る多様な演奏効果、特に、遅延重奏効果(ディレイモー
ドが選択された場合)と音質の滑らかな切換効果(クロ
スフェードモードが選択された場合)とを含む多様な演
奏効果を、指定された音色に応じて選択的に実現するこ
とができ、制御性に富んだ楽音合成が可能になると共に
演奏効果を豊富にすることができる、という優れた効果
を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明に係る電子楽器の一実施例の全体構
成を略示するブロック図。
【図2】 同実施例において選択可能な発音モードの典
型例を示す説明図。
【図3】 同実施例における1つの音色に対応する各種
音色情報の内容を例示する図。
【図4】 同実施例における遅延時間あるいはクロスフ
ェード時間のキースケーリング特性を例示するグラフ。
【図5】 図1における第1の楽音信号発生回路(PC
M方式)の詳細例を示すブロック図。
【図6】 同実施例におけるクロックパルス及び各種動
作タイミングの一例を示すタイミングチャート。
【図7】 図1における状態制御部の詳細例を示すブロ
ック図。
【図8】 第1の楽音信号発生回路における波形読み出
し制御例を説明するタイミングチャート。
【図9】 図1における時間設定及びキースケーリング
制御部の詳細例を示すブロック図。
【図10】 ディレイキーオン及びクロスフェード制御
の動作例を示すタイミングチャート。
【図11】 図1における第2の楽音信号発生回路(F
M方式)の一例を示すブロック図。
【図12】 図1におけるクロスフェード波形作成部及
びエンベロープ発生部の一例を示すブロック図。
【符号の説明】
10 鍵盤 11 操作パネル部 12 音色セレクタ 17 トーンジェネレータ部 20 第1の楽音信号発生回路 21 第2の楽音信号発生回路 22 ディレイキーオン及びクロスフェード制御回路 23 エンベロープ発生部 24,25 乗算器 26 加算器 27 ディジタル/アナログ変換器 29 時間設定及びキースケーリング制御部 30 状態制御部 31 クロスフェード波形作成部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小木 登喜男 静岡県浜松市中沢町10番1号 ヤマハ株 式会社内 (56)参考文献 特開 昭56−36696(JP,A) 特開 昭58−102296(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 発生すべき楽音の音高を指定する音高指
    定手段と、 前記音高指定手段によって指定された音高に対応するピ
    ッチを持つ楽音信号を発生する第1の楽音信号発生手段
    と、 前記音高指定手段によって指定された音高に対応するピ
    ッチを持つ楽音信号を、前記第1の楽音信号発生手段と
    は異なる楽音信号発生方式に従って発生する第2の楽音
    信号発生手段と、 前記第1及び第2の楽音信号発生手段における楽音発生
    の組合せを指示する発音モードを、複数の異なる発音モ
    ードの中から選択するものであって、この発音モードに
    は、少なくとも、前記楽音信号発生手段の一方における
    楽音の発音開始を他方よりも遅らせるディレイモード
    と、前記楽音信号発生手段の一方で先に楽音信号を発音
    しその後他方に切り換えて楽音信号を発音させ、その切
    り換わりの際に両楽音信号の音量をクロスフェードさせ
    て変化させるクロスフェードモードとが含まれており、
    選択する発音モードを指定された音色に応じて自動的に
    決定する発音モード選択手段と、 前記モード選択手段で選択された発音モードに従い前記
    第1及び第2の楽音信号発生手段における楽音発生をそ
    れぞれ制御する制御手段とを具えた電子楽器。
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