JP2661465B2 - 動画像符号化装置 - Google Patents

動画像符号化装置

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JP2661465B2
JP2661465B2 JP16390292A JP16390292A JP2661465B2 JP 2661465 B2 JP2661465 B2 JP 2661465B2 JP 16390292 A JP16390292 A JP 16390292A JP 16390292 A JP16390292 A JP 16390292A JP 2661465 B2 JP2661465 B2 JP 2661465B2
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  • Compression Or Coding Systems Of Tv Signals (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、テレビジョン信号のよ
うな動画像を圧縮して送信するための動画像符号化装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の動画像符号化装置としては例えば
特公昭57−28994号公報に開示されたものがあ
り、その構成を図9に示す。符号化される動画像信号
は、符号化制御回路2の制御により動き補償予測ブロッ
ク毎に画像メモリ(FM1)1に格納され、また、画像
メモリ(FM2)11には例えば1フレーム前または1
フィールド前の画像に応じた基準画像(復号画像)が格
納されている。そして、動きベクトル検出回路(ME)
3は、画像メモリ(FM2)11に格納された基準画像
に対する動きベクトルMVを検出し、ついで、動き補償
予測回路(MC)4は、この動きベクトルMVと画像メ
モリ11の基準画像を用いて動き補償予測ブロック毎の
動き補償予測値を発生するとともに、動き補償予測モー
ド情報MC−modeを出力する。
【0003】そして、画像メモリ(FM1)1に格納さ
れた動画像からこの動き補償予測値が減算されて予測誤
差が算出され(減算器5)、この予測誤差が直交変換回
路6により直交変換され、この直交変換係数が量子化回
路(Q)7により量子化される。ついで、この直交変換
係数の量子化値と、動きベクトル検出回路(ME)3に
より検出された動きベクトルMVと、動き補償予測回路
(MC)4からの動き補償予測モード情報MC−mod
eが可変長符号化回路(VLC)8により可変長で符号
化され、この符号とヘッダ情報発生回路15からのヘッ
ダ情報がマルチプレックス回路(MUX)9により多重
化される。そして、この符号化データは、発生符号レー
トと伝送路に出力される符号レートを調整するための出
力バッファメモリ10により一旦格納され、伝送路に出
力される符号レートに応じて読み出される。
【0004】また、量子化回路(Q)7により量子化さ
れたデータは、逆量子化回路(Q-1)12により元の直
交変換係数に変換され、逆直交変換回路13により元の
予測誤差の復号値が求められ、この予測誤差と動き補償
予測回路(MC)4により算出された予測値が加算され
(加算器14)、復号画像が画像メモリ(FM2)11
に格納される。
【0005】また、符号化される画像の動きが激しい場
合や、細かな絵柄部分が動いている場合には予測誤差が
大きいので、発生符号レートが伝送路に出力される符号
レートを上回り、出力バッファメモリ10がオーバフロ
ーする場合がある。そこで、このオーバフローを防止す
るために、出力バッファメモリ10に格納されたデータ
量に応じて量子化回路7の量子化ステップが粗くなるよ
うに符号量制御回路17により制御され、また、出力バ
ッファメモリ10に格納されたデータ量が所定値を越え
た場合に、この所定値を下回るまで画像メモリ(FM
1)1に格納された画像を繰り返して読み出すいわゆる
コマ落としが行われる(コマ落とし制御回路16)。
【0006】ここで、動き補償予測符号化方法として
は、前述したように数フレーム前または数フィールド前
の画像(画像メモリ11の復号画像)を用いた第1の符
号化方法と、第1の符号化方法で符号化された前後のフ
レームまたはフィールドの画像を適応的に用いた符号化
方法が知られている。後者の符号化方法では、動き補償
予測ブロック毎に直前と直後の復号画像の各予測値とそ
の平均値の内、予測誤差が最小のものが選択される。し
たがって、後者の符号化方法では、時間軸上の画像の並
びにおいて直後の画像を符号化した後に現画像の符号化
が開始される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、出力バ
ッファメモリ10に格納されたデータ量を判定すること
により、画像のコマ落としを行うので、例えば出力バッ
ファメモリ10に格納されたデータ量がコマ落とし判定
用の閾値よりわずかに少ない場合にシーンチェンジ等に
より予測誤差が急激に大きくなると、コマ落とし前に出
力バッファメモリ10がオーバフローするという問題点
がある。
【0008】また、符号化画像を復号した場合の画質
は、量子化回路7の量子化ステップに依存し、出力バッ
ファメモリ10に格納されたデータ量とは直接には関連
がない。したがって、出力バッファメモリ10に格納さ
れたデータ量が少ない場合に量子化回路7の量子化ステ
ップが細かくなるように制御されてデータ量が多くなる
ように制御されるが、上記のようにシーンチェンジ等に
より予測誤差が急激に大きくなると、出力バッファメモ
リ10に格納されるデータ量が急激に増加し、量子化回
路7の量子化ステップが粗くなるように制御されるの
で、画質が劣化して視覚上問題となる。
【0009】更に、図3(b)において矢印で示すよう
に、数フレーム前または数フィールド前の画像を用いた
符号化方法Pと、符号化方法Pで符号化された前後のフ
レームまたはフィールドの画像を適応的に用いた符号化
方法Bを組み合わせた場合、符号化方法Bでは時間軸上
の画像の並びにおいて直後の画像を符号化した後に現画
像の符号化が開始されるので、コマ落としにより復号画
像が時間軸上の画像の並びにおいて逆転するという問題
点がある。
【0010】また、観察者が動画像を見る場合には一般
に、画像内の特定の部分を注視することが多く、例えば
字幕付き動画像の場合には字幕を注視しやすく、また、
背景より速く動く物体が存在する場合にはその物体を注
視しやすい。したがって、その注視領域の画質が劣化し
た場合、観察者にとって視覚上不快を感じやすい。しか
しながら、上記従来の動画像符号化装置では、画像内の
注視しやすい領域とは関係なく、出力バッファメモリ1
0に格納されているデータ量のみにより量子化回路7の
量子化ステップを制御し、このデータ量が多くなると量
子化ステップが粗くなるので、復号画像における注視領
域の画質が劣化して観察者にとって視覚上不快を感じや
すいという問題点がある。
【0011】したがって本発明は、発生符号レートと伝
送路に出力される符号レートを調整するための出力バッ
ファのオーバフローを防止することができる動画像符号
化装置を提供することを目的とする。また本発明は、復
号化側の画質の劣化を防止することができる動画像符号
化装置を提供することを目的とする。更に本発明は、数
フレーム前または数フィールド前の画像を用いた第1の
符号化方法と、第1の符号化方法で符号化された前後の
フレームまたはフィールドの画像を適応的に用いた符号
化方法を組み合わせた場合に画像の前後が逆転すること
を防止することができる動画像符号化装置を提供するこ
とを目的とする。また本発明は、観察者の注視領域の画
質が劣化することを防止することができる動画像符号化
装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明では上記目的を達
成するために、バッファメモリに格納する前に少なくと
も1画像分の符号化データを記憶し、この符号化データ
を前記バッファメモリに格納すると前記バッファメモリ
が所定充足量を超過する場合、画質が劣化する場合、ま
たは前後のフレームまたはフィールドの画像を適応的に
用いて符号化する場合に、1フレームもしくは1フィー
ルド分の時間内に伝送路へ出力される平均符号量より少
ない符号量の少なくとも1画像分の固定の符号化データ
をバッファメモリに格納するようにしている。本発明で
はまた、前記注視範囲内の画像を注視範囲外の画像より
粗く量子化しないようにしている。
【0013】すなわち本発明によれば、動き補償予測誤
差を符号化する符号化手段と、前記符号化手段により符
号化された少なくとも1画像分の符号化データを格納す
るための第1の記憶手段と、少なくとも1画像分の固定
の符号化データであって、その符号量が1フレームもし
くは1フィールド分の時間内に伝送路へ出力される平均
符号量より少ないデータが予め格納された第2の記憶手
段と、前記第1または第2の記憶手段からの符号化デー
タを選択的に記憶し、伝送路の符号レートに応じて出力
するためのバッファメモリと、前記第1の記憶手段に記
憶された符号化データを前記バッファメモリに格納する
と前記バッファメモリが所定充足量を超過するか否かを
予め判定し、所定充足量を超過する場合に第2の記憶手
段に記憶された符号化データを前記バッファメモリに格
納するように制御するメモリ充足量超過判定手段とを有
する動画像符号化装置が提供される。
【0014】また本発明によれば、動き補償予測誤差を
可変の量子化ステップで符号化する符号化手段と、前記
符号化手段により符号化された少なくとも1画像分の符
号化データを格納するための第1の記憶手段と、少なく
とも1画像分の固定の符号化データであって、その符号
量が1フレームもしくは1フィールド分の時間内に伝送
路へ出力される平均符号量より少ないデータが予め格納
された第2の記憶手段と、前記第1または第2の記憶手
段からの符号化データを選択的に記憶し、伝送路の符号
レートに応じて出力するためのバッファメモリと、前記
第1の記憶手段に記憶された符号化データを復号すると
画質が劣化するか否かを予め判定し、劣化する場合に第
2の記憶手段に記憶された符号化データを前記バッファ
メモリに格納するように制御する画質判定手段とを有す
る動画像符号化装置が提供される。
【0015】更に本発明によれば、数フレーム前または
数フィールド前の画像を用いた第1の符号化モードまた
は第1の符号化モードで符号化された前後のフレームま
たはフィールドの画像を適応的に用いた第2の符号化モ
ードにより選択的に動き補償予測誤差を符号化する符号
化手段と、前記符号化手段により符号化された少なくと
も1画像分の符号化データを格納するための第1の記憶
手段と、少なくとも1画像分の固定の符号化データであ
って、その符号量が1フレームもしくは1フィールド分
の時間内に伝送路へ出力される平均符号量より少ないデ
ータが予め格納された第2の記憶手段と、前記第1また
は第2の記憶手段からの符号化データを選択的に記憶
し、伝送路の符号レートに応じて出力するためのバッフ
ァメモリと、前記符号化手段が第2の符号化モードによ
り符号化する場合で、かつ、直前の第1の符号化モード
で符号化された画像に対して第2の記憶手段に記憶され
た符号化データを前記バッファメモリに格納するように
制御された場合に第2の記憶手段に記憶された符号化デ
ータを前記バッファメモリに格納するように制御する制
御手段とを有する動画像符号化装置提供される。
【0016】また本発明によれば、画像の動き補償予測
誤差を可変の量子化ステップで符号化する符号化手段
と、動き補償予測ブロック毎に動きを検出し、動きが大
きいブロックを画像における観測者の注視範囲として発
生する注視範囲発生手段と、前記符号化手段が前記注視
範囲内の画像を所定の量子化ステップより粗く量子化し
ないように制御する制御手段とを有する動画像符号化装
置が提供される。
【0017】
【作用】本発明は上記構成を有するので、シーンチェン
ジ等により予測誤差が急激に大きくなる場合、1フレー
ムもしくは1フィールド分の時間内に伝送路へ出力され
る平均符号量より少ない符号量の固定の符号化データが
バッファメモリに格納され、したがって、バッファメモ
リのオーバフローを防止することができる。
【0018】また本発明は上記構成を有するので、シー
ンチェンジ等により予測誤差が急激に大きくなり、量子
化ステップが粗くなる場合、1フレームもしくは1フィ
ールド分の時間内で伝送路へ出力される符号量より少な
い符号量の固定の符号化データがバッファメモリに格納
され、したがって、復号化側の画質の劣化を防止するこ
とができる。
【0019】更に本発明は上記構成を有するので、数フ
レーム前または数フィールド前の画像を用いた第1の符
号化方法と、第1の符号化方法で符号化された前後のフ
レームまたはフィールドの画像を適応的に用いた符号化
方法を組み合わせた場合に、固定の符号化データがバッ
ファメモリに格納され、したがって、画像の前後が逆転
することを防止することができる。
【0020】また本発明は上記構成を有するので、注視
範囲内の画像が所定の量子化ステップより粗く量子化さ
れないので、観察者の注視領域の画質が劣化することを
防止することができる。
【0021】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例を説明
する。図1は、本発明に係る動画像符号化装置の第1の
実施例を示すブロック図、図2は、図1の切換え制御回
路の詳細な構成を示す回路図、図3は、本実施例と従来
例の比較を示す説明図である。なお、図1において図6
に示す構成部材と同一のものには同一の参照符号を付
す。
【0022】図1において、まず従来例と同様に、符号
化される動画像信号は、符号化制御回路2の制御により
動き補償予測ブロック毎に画像メモリ(FM1)1に格
納され、また、画像メモリ(FM2)11には前後の1
フレームまたはフィールドの画像に応じた基準画像が格
納されている。そして、動きベクトル検出回路(ME)
3は、画像メモリ(FM2)11に格納された基準画像
に対する動きベクトルMVを検出し、ついで、動き補償
予測回路(MC)4は、この動きベクトルMVと画像メ
モリ11の基準画像を用いて動き補償予測ブロック毎の
動き補償予測値を発生するとともに、動き補償予測モー
ド情報MC−modeを出力する。
【0023】そして、画像メモリ(FM1)1に格納さ
れた動画像からこの動き補償予測値が減算されて予測誤
差が算出され(減算器5)、この予測誤差が直交変換回
路6により直交変換され、この直交変換係数が量子化回
路(Q)7により量子化される。ついで、この直交変換
係数の量子化値と、動きベクトル検出回路(ME)3に
より検出された動きベクトルMVと、動き補償予測回路
(MC)4からの動き補償予測モード情報MC−mod
eが可変長符号化回路(VLC)8により可変長で符号
化される。
【0024】ついで、この実施例では、可変長符号化回
路(VLC)8により可変長で符号化された1画像分の
符号は、バッファメモリ(A)20により一旦格納され
た後セレクタ21を介してマルチプレックス回路(MU
X)9に出力される。そして、メモリ(B)22には予
め、全ての動き補償予測ブロックにおいて動き量が
「0」であって予測誤差が「0」の場合の符号化データ
が符号化制御回路2から格納され、また、この符号化デ
ータは、数フレーム前または数フィールド前の画像を用
いた符号化方法Pと、符号化方法Pで符号化された前後
のフレームまたはフィールドの画像を適応的に用いた符
号化方法Bを組み合わせた場合について予め格納され
る。この理由は、符号化モードに応じて可変長符号化テ
ーブルが異なるからであり、この2種類の符号化データ
は、符号化モードに応じて符号化制御回路2により選択
される。なお、メモリ(B)22に予め格納される1画
像の符号化データのデータ量は、伝送路に出力される1
フレームまたは1フィールドあたりの平均符号量より少
ない。
【0025】そして、バッファメモリ20またはメモリ
22に格納された符号化データは、図2に詳しく示すよ
うな切換え制御回路23により選択され、この符号とヘ
ッダ情報発生回路15からのヘッダ情報がマルチプレッ
クス回路(MUX)9により多重化される。ついで、こ
の符号化データは、発生符号レートと伝送路に出力され
る符号レートを調整するための出力バッファメモリ10
により一旦格納され、伝送路に出力される符号レートに
応じて読み出される。
【0026】また、量子化回路(Q)7により量子化さ
れたデータは、逆量子化回路(Q-1)12により元の直
交変換係数に変換され、逆直交変換回路13により元の
予測誤差の復号値が求められ、この予測誤差と動き補償
予測回路(MC)4により算出された予測値が加算され
(加算器14)、復号画像が画像メモリ(FM2)11
に格納される。
【0027】ここで、従来例において説明したように、
符号化される画像の動きが激しい場合や、細かな絵柄部
分が動いている場合には予測誤差が大きいので、発生符
号レートが伝送路に出力される符号レートを上回り、出
力バッファメモリ10がオーバフローする場合がある。
そこで、このオーバフローを防止するために、出力バッ
ファメモリ10に格納されたデータ量に応じて量子化回
路7の量子化ステップが符号量制御回路17により制御
される。
【0028】また、本実施例ではメモリ充足量超過判定
回路24は、出力バッファメモリ10に格納されたデー
タ量とバッファメモリ20に格納された1画像分の符号
化データ量D1により、符号化データ量D1とヘッダ情
報量の合計量を出力バッファメモリ10に格納した場合
に出力バッファメモリ10が所定充足量を超過するか否
かを判定し、判定結果(フラグK1)を切換え制御回路
23に出力する。
【0029】そして、画質判定回路25は、符号量制御
回路17から量子化回路7に印加された量子化制御値に
より復号化側(図示省略)の画質が劣化するか否かを判
定し、判定結果(フラグK2)を切換え制御回路23に
出力する。なお、この画質の判定は、例えば1画像内の
量子化制御値の最大値と所定値を比較して量子化ステッ
プが粗くなる値である場合に、復号化側の画質が劣化す
ると判定される。
【0030】つぎに、図2を参照して切換え制御回路2
3の詳細な構成を説明する。出力バッファメモリ10が
所定充足量を超過するか否かの判定フラグK1と画質が
劣化するか否かの判定フラグK2の論理和信号は、OR
ゲート23aを介してDラッチ23bのD端子とORゲ
ート23cの一方の入力端子に印加される。Dラッチ2
3bのQ端子の出力信号は、ORゲート23cの他方の
入力端子に印加され、ORゲート23cの出力信号がハ
イレベルの場合に、メモリ22に格納された固定の符号
化データがセレクタ21により選択されるように制御さ
れる。また、Dラッチ23bは、数フレーム前または数
フィールド前の画像を用いた符号化方法Pの開始パルス
と終了パルスが印加され、ORゲート23aの出力信号
がロウレベルの場合であって符号化方法Pのモードでな
い場合にハイレベルの信号を出力する。
【0031】したがって、出力バッファメモリ10のデ
ータ量が所定充足量を超過する場合、または復号化側の
画質が劣化する場合には、メモリ22に格納された符号
化データが選択されるので、出力バッファのオーバフロ
ーを防止することができるとともに、復号化側の画質の
劣化を防止することができる。また、図3(a)に示す
ように、数フレーム前または数フィールド前の画像を用
いた第1の符号化方法と、第1の符号化方法で符号化さ
れた前後のフレームまたはフィールドの画像を適応的に
用いた符号化方法を組み合わせた場合に画像の前後が逆
転することを防止することができる。
【0032】つぎに、図4を参照して第2の実施例を説
明する。この実施例では、メモリ31に予め、入力画像
に対する観察者の注視範囲が調べられて記憶され、注視
範囲発生回路32がこの注視範囲に応じた画面内のアド
レスを発生するように構成されている。そして、符号量
制御回路17aは、量子化回路7がこの注視範囲内の画
像を所定の量子化ステップより粗く量子化しないような
制御値を出力する。なお、他の構成は図1に示す構成部
材と同一であるので、同一の参照符号を付してその説明
を省略する。
【0033】したがって、この第2の実施例によれば、
例えば字幕付き動画像のように字幕の所定の注視領域を
予めメモリ31に記憶することにより、復号画像におけ
る字幕の画質が劣化することを防止することができる。
【0034】図5は第2の実施例の変形例を示す。この
例では上記メモリ31を用いる代わりに、注視範囲発生
回路32aが画像メモリ1からの入力画像と動きベクト
ル検出回路3からの動きベクトルMVにより、例えば動
き補償予測ブロック毎の周波数特性と動き量から動きが
大きいブロックを検出し、そのブロックのアドレスを発
生するように構成されている。そして、符号量制御回路
17aは、このブロックについては量子化回路7が所定
の量子化ステップより粗く量子化しないような制御値を
出力する。
【0035】したがって、例えば背景より速く動く物体
が存在する場合には観察者がその物体を注視しやすい
が、この例によれば、復号画像においてこの物体が属す
るブロックの画質が劣化することを防止することができ
る。なお、この実施例によれば、注視範囲の入力画像に
対する量子化ステップが所定値より粗くならないので、
出力バッファメモリ10に格納されているデータ量が所
定値を越えている場合に急激に減少せず、予測誤差が急
激に増加すると出力バッファメモリ10がオーバフロー
する恐れがあるが、注視範囲内外の画像に対する量子化
ステップを適宜選択したり、上記第1の実施例や図9に
示すコマ落とし制御回路16と組み合わせることにより
出力バッファメモリ10のオーバフローを防止すること
ができる。
【0036】図6は図5の動画像符号化装置の変形例を
示し、注視範囲検出回路32bの構成が異なっている。
注視範囲検出回路32bは、動きベクトル検出回路3か
らの動きベクトルMVが所定値より小さく、かつ、減算
器5からの予測誤差信号もしくはフィルタ処理された予
測誤差信号から算出される値が所定値より大きい場合に
注視範囲として検出する。具体的には、この条件を満足
するか否かを動き補償予測ブロック単位で判定し、この
条件を満足する動き補償予測ブロックを符号化画像内に
おける注視範囲として検出する。
【0037】ここで、予測誤差信号から算出される値と
しては、例えば自乗値や絶対値の総和を用い、総和の算
出において全ての予測誤差信号もしくは間引きした予測
誤差信号を用いる。また、予測誤差信号のフィルタ処理
とはハイパスフィルタ処理である。例えばハイパスフィ
ルタ処理は、図7に示すように注目画素に対する縦およ
び横の隣接画素との差分値を算出することにより行わ
れ、また、予測誤差信号からの算出は、図8に示すよう
に2×2画素のブロックにおいて予測誤差信号から差分
値の絶対総和を算出することにより行われる。
【0038】予測誤差信号の周波数特性の高域成分は、
符号量とほぼ単調増加関係にあって符号量の制御に直接
影響を与え、また、画質の解像度に影響を与えるので、
予測誤差信号をハイパスフィルタ処理して予測誤差信号
の高域成分を求めることにより画質が劣化しやすい領域
を有効に検出することができ、また、検出精度を向上す
ることができる。
【0039】さらに、動き補償予測ブロック単位の判定
については、大ブロックについて注視範囲を検出し、更
に小ブロックに分割してその中の予測誤差信号もしくは
フィルタ処理された予測誤差信号から小ブロック毎に算
出される値の最大値を動き補償予測ブロックの代表値と
して用いることが望ましい。ここで、動き補償予測ブロ
ック内に字幕画像がある場合、文字付近の小ブロックは
予測誤差が大きくなるが、他の小ブロックでは予測誤差
がそれほど大きくないので、動き補償予測ブロック全体
で判定するとブロックを平均的に検出するので、注視範
囲を誤検出する恐れがあるが、最大値を代表値として採
用することにより、画質劣化が発生しやすい字幕付近を
確実に検出して検出精度を向上することができる。
【0040】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、シ
ーンチェンジ等により予測誤差が急激に大きくなる場
合、1フレームもしくは1フィールド分の時間内に伝送
路へ出力される平均符号量より少ない符号量の固定の符
号化データがバッファメモリに格納されるので、バッフ
ァメモリのオーバフローを防止することができる。
【0041】また本発明によれば、シーンチェンジ等に
より予測誤差が急激に大きくなり、量子化ステップが粗
くなる場合、1フレームもしくは1フィールド分の時間
内で伝送路へ出力される符号量より少ない符号量の固定
の符号化データがバッファメモリに格納されるので、復
号化側の画質の劣化を防止することができる。
【0042】更に本発明によれば、数フレーム前または
数フィールド前の画像を用いた第1の符号化方法と、第
1の符号化方法で符号化された前後のフレームまたはフ
ィールドの画像を適応的に用いた符号化方法を組み合わ
せた場合に、固定の符号化データがバッファメモリに格
納されるので、画像の前後が逆転することを防止するこ
とができる。
【0043】また本発明によれば、注視範囲内の画像が
注視範囲外の画像より粗く量子化されないので、観察者
の注視領域の画質が劣化することを防止することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る動画像符号化装置の第1の実施例
を示すブロック図である。
【図2】図1の切換え制御回路の詳細な構成を示す回路
図である。
【図3】本実施例と従来例の比較を示す説明図である。
【図4】第2の実施例を示すブロック図である。
【図5】図4の実施例の変形例を示すブロック図であ
る。
【図6】図5の動画像符号化装置の変形例を示すブロッ
ク図である。
【図7】図5の動画像符号化装置において隣接画素との
差分値を算出する方法を示す説明図である。
【図8】図5の動画像符号化装置において差分の絶対値
を算出する方法を示す説明図である。
【図9】従来の動画像符号化装置の一実施例を示すブロ
ック図である。
【符号の説明】
2 符号化制御回路 7 量子化回路(Q) 10 出力バッファメモリ 17,17a 符号量制御回路(制御手段) 20 バッファメモリ(第1の記憶手段) 21 セレクタ 22 メモリ(第2の記憶手段) 23 切換え制御回路 24 メモリ充足量超過判定回路(メモリ充足量超過判
定手段) 25 画質判定回路 32,32a 注視範囲発生回路 32b 注視範囲検出回路

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 動き補償予測誤差を符号化する符号化手
    段と、 前記符号化手段により符号化された少なくとも1画像分
    の符号化データを格納するための第1の記憶手段と、 少なくとも1画像分の固定の符号化データであって、動
    き量が「0」であって予測誤差が「0」の場合の符号化
    データであり、かつその符号量が1フレームもしくは1
    フィールド分の時間内に伝送路へ出力される平均符号量
    より少ないデータが予め格納された第2の記憶手段と、 前記第1または第2の記憶手段からの符号化データを選
    択的に記憶し、伝送路の符号レートに応じて出力するた
    めのバッファメモリと、 前記第1の記憶手段に記憶された符号化データを前記バ
    ッファメモリに格納すると前記バッファメモリが所定充
    足量を超過するか否かを予め判定し、所定充足量を超過
    する場合に第2の記憶手段に記憶された符号化データを
    前記バッファメモリに格納するように制御するメモリ充
    足量超過判定手段とを有する動画像符号化装置。
  2. 【請求項2】 動き補償予測誤差を可変の量子化ステッ
    プで符号化する符号化手段と、 前記符号化手段により符号化された少なくとも1画像分
    の符号化データを格納するための第1の記憶手段と、 少なくとも1画像分の固定の符号化データであって、そ
    の符号量が1フレームもしくは1フィールド分の時間内
    に伝送路へ出力される平均符号量より少ないデータが予
    め格納された第2の記憶手段と、 前記第1または第2の記憶手段からの符号化データを選
    択的に記憶し、伝送路の符号レートに応じて出力するた
    めのバッファメモリと、 前記第1の記憶手段に記憶された符号化データを復号す
    ると画質が劣化するか否かを予め判定し、劣化する場合
    に第2の記憶手段に記憶された符号化データを前記バッ
    ファメモリに格納するように制御する画質判定手段とを
    有する動画像符号化装置。
  3. 【請求項3】 前記第1の記憶手段に記憶された符号化
    データを前記バッファメモリに格納すると前記バッファ
    メモリが所定充足量を超過するか否かを予め判定し、所
    定充足量を超過する場合に第2の記憶手段に記憶された
    符号化データを前記バッファメモリに格納するように制
    御するメモリ充足量超過判定手段とを有することを特徴
    とする請求項2記載の動画像符号化装置。
  4. 【請求項4】 数フレーム前または数フィールド前の画
    像を用いた第1の符号化モードまたは第1の符号化モー
    ドで符号化された前後のフレームまたはフィールドの画
    像を適応的に用いた第2の符号化モードにより選択的に
    動き補償予測誤差を符号化する符号化手段と、 前記符号化手段により符号化された少なくとも1画像分
    の符号化データを格納するための第1の記憶手段と、 少なくとも1画像分の固定の符号化データであって、そ
    の符号量が1フレームもしくは1フィールド分の時間内
    に伝送路へ出力される平均符号量より少ないデータが予
    め格納された第2の記憶手段と、 前記第1または第2の記憶手段からの符号化データを選
    択的に記憶し、伝送路の符号レートに応じて出力するた
    めのバッファメモリと、 前記符号化手段が第2の符号化モードにより符号化する
    場合で、かつ、直前の第1の符号化モードで符号化され
    た画像に対して第2の記憶手段に記憶された符号化デー
    タを前記バッファメモリに格納するように制御された場
    合に第2の記憶手段に記憶された符号化データを前記バ
    ッファメモリに格納するように制御する制御手段とを有
    する動画像符号化装置。
  5. 【請求項5】 前記画質判定手段は、前記符号化手段の
    量子化ステップにより画質が劣化するか否かを判定する
    ことを特徴とする請求項2または3記載の動画像符号化
    装置。
  6. 【請求項6】 画像の動き補償予測誤差を可変の量子化
    ステップで符号化する符号化手段と、 動き補償予測ブロック毎に動きを検出し、動きが大きい
    ブロックを画像における観測者の注視範囲として発生す
    る注視範囲発生手段と、 前記符号化手段が前記注視範囲内の画像を所定の量子化
    ステップより粗く量子化しないように制御する制御手段
    とを有する動画像符号化装置。
  7. 【請求項7】 前記注視範囲発生手段の注視範囲が予め
    設定可能であることを特徴とする請求項6記載の動画像
    符号化装置。
  8. 【請求項8】 前記注視範囲発生手段は、動きベクトル
    が所定値より小さく、かつ、予測誤差信号もしくはフィ
    ルタ処理された予測誤差信号から算出される値が所定値
    より大きい場合に注視範囲として検出することを特徴と
    する請求項6記載の動画像符号化装置。
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