JP2649553B2 - 高温肉盛溶接方法 - Google Patents

高温肉盛溶接方法

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JP2649553B2 JP20540188A JP20540188A JP2649553B2 JP 2649553 B2 JP2649553 B2 JP 2649553B2 JP 20540188 A JP20540188 A JP 20540188A JP 20540188 A JP20540188 A JP 20540188A JP 2649553 B2 JP2649553 B2 JP 2649553B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は製鉄用、製粉、製油用等のロール、ローラー
の炭化物系硬化肉盛溶接材料の肉盛溶接溶接方法に関す
るものである。
(従来の技術及び問題点) 近年、各種産業分野の機械部分に肉盛溶接が適用され
ているが、製鉄機械は他産業に比し、部品が使われる環
境が苛酷であり、従って部品の消耗が激しいため、特に
製鉄用のロール、ローラーには肉盛溶接が多く採用され
ロール、ローラー寿命の延長、メンテナンスコストの削
減、製品品質の向上に大きな効果をあげている。しか
し、最近はユーザーニーズの高級化に伴ない、製品品質
に対する要求が一段と厳しくなっている。また、生産性
の向上、コスト削減を目的とした設備の高性能化(高速
化、高温化)が次々と進められている。したがって、ロ
ール、ローラー等の機械部品の使用される環境はますま
す苛酷となり、かつ、機械部品に対する要求もますます
厳しくなっている。
従来、ロール、ローラーの肉盛溶接には溶接部品質の
優秀性と能率、作業環境が良い事から潜弧溶接が最も多
く使用されている。肉盛溶接をする方法はロール、ロー
ラーを回転しながら、電極を軸方向に連続的に移行し、
スパイラル状に溶接している。肉盛溶接のように多パ
ス、多層盛溶接の場合は第1図に示すように、先に溶接
された溶接ビードは後から溶接されるビードの熱影響に
よりビード間に組織むら、硬さむらを生じる。そのた
め、肉盛溶接の際は層間、パス間の組織むら、硬さむら
を防止するため、ガスでロール、ローラーを加熱し、Ms
点以上の300〜400℃の一定温度に保ちながら溶接をす
る。
肉盛溶接材料の材質は一般的には各種ロール、ローラ
ーの使用される条件に応じて、耐摩耗、耐食、耐焼付、
耐肌荒、耐ヒートクラック性等の特性を満足する0.1〜
0.4%Cの中合金系のマルテンサイト系の硬化肉盛溶接
材料が用いられている。しかし、最近、製鉄所の新鋭化
に伴なう操業条件の変化によりロール、ローラーの使用
条件はますます苛酷となっている。また、製品の高品質
化に対する要求はさらに強くなり、ロール、ローラーの
摩耗、焼付、肌荒れに対する条件もさらに厳しくなりつ
つある。したがって、従来の0.1〜0.4%Cのマルテンサ
イト系の材料では対応が困難となっている。この対策と
しては、0.5〜2%Cの高炭素で中〜高合金系の高温耐
摩耗性及び肌荒れ性、耐焼付性に優れた炭化物系の肉盛
溶接材料を使用する必要がある。しかし、炭化物系の材
料は第2図に示すようにマルテンサイト系の材料に比べ
て先に述べた溶接ビード間のむらが発生しやすく、かつ
また、そのむらの程度も大きくなる。
高炭素、中〜高合金の炭化物系の材料は凝固後、高温
から炭化物の析出がおこるため低温になるほど、また時
間が経過するほど炭化物の析出量は多くなる(NbCは凝
固と同時に生成し始め、VCは約1100℃から、WCは約800
℃から、MoC又はMo2は約600℃から、Cr3C2は約800℃か
ら析出すると推定される)。従って、従来の溶接時の温
度(300〜400℃)では多量の炭化物が析出してしまった
状態で次の溶接ビードの熱影響をうけるため、また、再
加熱による炭化物の析出量を多くなるため、熱影響をう
けた部分は非熱影響部と比較して組織が大きく異なって
しまい、その結果として硬さ、耐食性も大きく異なる。
そのため、炭化物系の材料を肉盛溶接したロール、ロー
ラーを使用するとビード熱影響部の耐食性、耐摩耗性が
その他の部分とかなり異なり第3図に示すように摩耗む
らを生じ、ロール、ローラー表面に凹凸(ビードマー
ク)を生じる。このビードマークはロール、ローラー上
を通過する熱延鋼板等の製品にプリントされ、製品の価
値を低下せしめる。
現在、この問題点の対策として肉盛溶接を第4図に示
すように多電極溶接し、各層間の時間を短くして溶接時
に生じる組織むら、硬さむらの発生を軽減する方法が行
なわれている(この場合、溶接電源は磁気吹きの問題よ
り、交流の垂下特性の電源が使用されている)。その他
に肉盛溶接が完了して冷却後、機械加工した後に表面焼
入(火炎焼入等)して、発生した組織むら、硬さむらを
解消することが試みられているが、炭化物系の材料では
前者の多電極溶接でも後者の熱処理によっても組織む
ら、硬さむらの解消の効果は小さい。また、ガス加熱等
によりロール、ローラーを600℃以上に加熱保持しなが
ら溶接する方法も考えられる。しかし、この場合も、ロ
ール、ローラーが小さければガスの火炎の影響、輻射熱
の程度もそれほどでなく、溶接は可能であるが、ロー
ル、ローラーが大きくなると、ガス火炎及び輻射熱の溶
接装置、作業者に与える影響は大きく、溶接装置のトラ
ブルの多発、と作業環境の劣悪化のために、事実上この
方法は不可能である。
したがって、従来の技術ではこの問題を解決すること
は不可能である。
(発明が解決しようとする課題) 本発明は以上の問題点を解決し、組織むら、硬さむら
の極めて少ない炭化物系の溶接材料の肉盛溶接方法を提
供しようとするものである。
(課題を解決するための手段) 本発明の要旨とするところは下記のとおりである。
(1) 炭化物系硬化肉盛溶接材料の肉盛溶接に当り、
直流定電圧特性の電源を使用し、1つのフィードモータ
ーで2本以上の複数の電極ワイヤを送給し、かつ、各電
極ワイヤの間隔を100mm以下とし、溶接熱により溶接部
近傍を600℃以上とすることを特徴とする高温肉盛溶接
方法。
(2) 炭化物系硬化肉盛溶接材料の肉盛溶接に当り、
直流定電圧特性の電源を使用し、1つのフィードモータ
ーで2本以上の複数の電極ワイヤを送給し、かつ各電極
ワイヤの間隔を100mm以下とし、溶接熱により溶接部近
傍を600℃以上とするに際し、複数の電極の各電極間隔
を適宜変えることにより、各電極間の温度分布を実質的
に均一にすることを特徴とする高温肉盛溶接方法。
以下に本発明につき、図面を参照しながら、詳細に説
明する。直流電源の場合、隣りあった2つの電極を近づ
けると磁気吹きが発生し、融合不良、スラグ巻込み等の
溶接欠陥を生ずるため、従来の多電極溶接法は交流の垂
下特性電源が使用されている。しかし、交流の垂下特性
電源では電圧制御(フィードモーターのワイヤ送給速度
変化)のため、1つのフィードモーターで複数のワイヤ
を送給することはできない。したがって、交流の場合は
1フィードモーター:1ワイヤとなり第5図に示すように
電極間隔に限界があり200mm以下にすることはできな
い。また、仮に第6図に示すような装置とした場合で
も、複数の送給装置を1ケ所にまとめなければならない
ため、装置が繁雑となって作業性が悪くなり、また、ノ
ズルが曲っているためワイヤの送給トラブルを生じやす
くなる。第7図に本発明による溶接装置を示す。
本発明は電極間隔を極端に狭くして溶接熱により溶接
部近傍を600℃以上の高温にして組織むら、硬さむらを
防止しようとするものである。そのためには、電極間隔
はMax100mm以下にすることが必要である。100mm超にな
ると被溶接物の大きさにもよるが、溶接部近傍の温度が
600℃以上に上りにくくなるとともに、層間時間が長く
なり本発明の目的を達成することはできない。
本発明では電極間隔を100mm以下にすることにより従
来と同じ予熱層間温度(300〜400℃)でも溶接部近傍の
温度を600℃以上、700〜900℃程度に保持することが可
能である。
本発明は各電極の溶接熱により、溶接部近傍の温度を
高温度に昇温、保熱するため、電極間隔を等間隔にした
場合蓄熱効果で後の電極になるほど溶接部温度が高くな
る。6電極の場合、第8図に示すように1極目と2極目
の間が最も温度が低く、4極目と5極目の間が最も温度
が高くなる。各電極の間隔は等間隔でも各電極間の温度
を600℃以上に保ちうるので、本発明の効果は十分であ
るが、各電極の間隔を適宜、変えることにより、各電極
間の温度をほぼ均一にすることができ、本発明の効果を
さらに高めることができる。最短電極間隔は本発明の場
合、ワイヤ径3.2mmφの場合で40mmである。設備的には
電極間隔は40mm未満に近づけることは可能であるが、40
mm未満になると磁気の影響により隣りあったビードが互
いに引きよせられて、ビード形状が乱れ部分的には2つ
のビードがくっついてしまう。さらに電極間隔を狭くし
て2つの溶融プールが1プールになると溶融池が大きく
なり、小径のロール、ローラーの場合溶融金属が流れ落
ちやすくなり、溶接が不可能となる。
通常の溶接方法では電極間隔100mm以下では磁気吹き
が発生するが、本発明の場合は最短電極間隔40mm(ワイ
ヤ径3.2mmφの場合)まで磁気の影響なく溶接可能であ
る。また溶接装置のタイプも本発明の場合は第9図に示
すように全電極が同一電源である(a)タイプと2つの
電源を使用する(b)タイプのどちらでも磁気吹きの影
響なく溶接可能である。使用するワイヤ径は一般的には
3.2mmφが多いが、2.4φ、2.0φなどの細径ワイヤを使
用して低溶接電流にすれば最短電極間隔はもっと近づけ
ることは可能である。
本発明の目的を達成するためには溶接部近傍の温度が
600℃以上に上昇した後は、この温度を保持しながら連
続溶接することが必要である。したがって、本発明の場
合、まづ第一に絶対にトラブルによる溶接の中断がない
こと、第二にもし万一トラブルが発生して溶接が中断し
ても、極めて短時間で溶接が再開できなければならな
い。
そのためには以上述べた事柄の他に以下の事柄を満足
することによって本発明をより有利に実施することがで
きる。
(1) 溶接部が極めて高温となるため、通常、潜弧溶
接に多く使用されている溶融型フラックスではスラグ除
去が困難となり溶接を中断せざるをえなくなる。したが
って使用フラックスは高温でもスラグ剥離性の良好な融
点の高い焼結型又は焼成型フラックスを使用する。
(2) ワイヤ送給モーターの送給ローラーは一般的に
は第10図に示すようにV溝型のローラーが使用されてい
る。しかし硬化肉盛溶接の場合、軟鋼フープ中に合金粉
を充填したチューブラーワイヤが使用されるため、送給
を確実にするため、加圧を強くしすぎるとワイヤが変形
して、チップを通過するときにつまることがある。ま
た、何らかの原因でワイヤの送給に抵抗を生じた場合、
送給ローラーは回転しつづけるため、送給ローラーのV
溝にほられているスリップ防止の軸方向の溝によりワイ
ヤが削られて、送給トラブルをひきおこすため、加圧を
十分にすることができず、また送給トラブルをおこしや
すくなる。したがって本発明ではワイヤの加圧を強くし
ても、ワイヤが変形したり、ワイヤが送給ローラーによ
り削られたり等のトラブルが発生せず、送給性の確実な
第11図に示すようなギヤ式のU溝型の送給ローラー、加
圧ローラーを使用する。
(3) 溶接チップは通常のクロム鋼では溶接部が高温
となり、輻射熱が高いためチップの軟化による摩耗が大
きく、途中でチップを交換しなければならない。したが
って、本発明では途中でチップの交換をしないように、
高温での耐摩耗性の優れた耐摩耗複合式チップ等の耐摩
耗チップを使用する。
(4) ロール、ローラー等の円型物の溶接の場合は、
第12図に示すように電極のロールセンターからのリード
位置を調整することにより、ビード形状を適正にしてい
る。本発明の場合は、溶接部が極めて高温となるため、
溶融金属が後方(ロール回転方向)に流れ落ちやすくな
る。そのため、通常の溶接方法に比べリード位置を大き
くとる必要がある。また、通常の溶接の場合、第13図に
示すように、耐熱クロス又はゴム製のフラックス受けの
治具を溶融プールの直前に備え、フラックス及びスラグ
が前方(回転方向と反対方向)へ流れ落ちないようにし
ている。しかし、本発明の場合は溶接部の温度が極めて
高く、電極のリード位置を大きくしなければならないた
め、通常、使用されているフラックス受けの治具は使用
できない。電極のリード位置が大きいため、溶融スラグ
及び溶融金属の前方(回転方向と反対方向)への流れ落
ちが激しくなるため、従来の治具構造では溶融スラグ及
び溶融金属が直接、治具材料に接触するため、耐熱クロ
スでも、溶融スラグ及び溶融金属と反応して溶融損耗
し、溶融スラグ、溶融金属が前方に流れ落ち溶接を中止
せざるをえなくなる。現在、この条件に耐える耐熱クロ
スは市販されていない。したがって本発明では第14図に
示すように治具を考案した。この治具は溶融プールの前
方にフラックスを貯めて、この貯めたフラックスに溶融
スラグ及び溶融金属の流出防止の堰の役割をさせるもの
である。この治具では溶融スラグ及び溶融金属と治具材
料(耐熱クロス)が直接接触することがないため、耐熱
クロスが溶損することはなく、溶接途中で治具を交換し
なくて済む。
(5) フラックスホッパーから溶接部にフラックスを
供給するホースは通常、一般のゴムホースが使用されて
いるが、本発明の場合は溶接部が高温となり、輻射熱が
大きいため、ホースの焼損、熱によるゴムの膨張による
ホース内径の狭隘化によるフラックスの流れの悪化又は
供給防止等のトラブルを防止するためシリコンゴム等の
耐熱性ゴムホースを使用する。また、ホースの取りつけ
に際しては、フラックスの流れを良くするため、ホース
をたるませないように、できるだけ垂直にとりつけなけ
ればならない。
(6) 溶接途中でのワイヤ補充による中断をしないた
め、1ケのワイヤのコイル重量は予定使用量+αのもの
を使用する。一般に使用されているものは1コイル25kg
又は50kgであるが、例えば製鉄所の熱延工場のダウンコ
イラー下ピンチロールはコイル重量が焼90〜100kg/コイ
ルとなる。したがって、このコイルをかけるワイヤリー
ルはこの重量がかかってもスムースに回転するため、軸
受部はBrg式とし、かつ回りすぎてワイヤがゆるまない
ように,回転を調節できるようなブレーキ機構がついた
ものを使用する。
(7) 本発明は、溶接途中で部品の損耗、装置の故障
等のトラブルで溶接を中断し、溶接部の温度が著しく低
下すると、本発明の目的を達成することができないた
め、連続溶接することを絶対条件とする。したがって、
万一、途中で溶接を中断せざるをえない状態が発生して
も温度低下の度合が少ないうちに、できるだけ短時間に
溶接を再開できるようにシステムを準備しておかなけれ
ばならない。例えば溶接途中で、チップとワイヤの溶着
等でチップを交換しなければならない場合短時間でチッ
プ交換ができるように、チップ、ノズル、フラックス受
けをセットでカセット式に簡単にとりかえられるように
する。また、送給モーターの故障等の場合は、送給モー
ター、送行キャリッヂ、ワイヤ等の1セット全てを予備
としておき、トラブルが発生した場合には短時間で1セ
ット全てを交換できるようにする。
(8) 溶接中断の際の温度降下をできるだけ少なくす
るために、溶接中断後、直ちに溶接部近傍を局部加熱で
きるようなガス加熱装置を用意する。加熱方法は限定さ
れないがフラックスによる粉塵の問題でガス式が適当で
ある。
(9) 溶接部温度が極めて高温となり、輻射熱が大き
いため、送給モーター、送行キャリッヂ、溶接ケーブル
等に対する十分な防熱装置(水冷式防熱板取付、耐熱ク
ロスのまきつけ、エアー冷却等)を必ずしなければなら
ない。また、作業者に対する防熱対策も必要である。
また、以上の事の他に、本発明の目的をより有利に達
成させるためには下記の点について配慮する。即ち、本
発明法で溶接スタートして高温定常状態に達するまでの
時間を短縮するために、スタート部の予熱温度を通常の
予熱温度(300〜400℃)より高目(約500℃)にする。
以上、述べた事柄を列記する以下の如くになる。
(1) 直流定電圧電源を使用する。
(2) 1つの送給モーターで複数のワイヤを送給する
ことにより、電極間隔を狭くする。組み合せは1モータ
ー複数ワイヤ方式でも(1モーター複数ワイヤ+1モー
ター複数ワイヤ)方式でも可。
(3) 電極数は2極以上で可能であるが、通常3〜6
極。
(4) 電極間隔はMax100mm、Minは隣りあった溶融プ
ールがくっつかない範囲まで可。(ワイヤ径3.2mmφの
場合、40mm) (5) 各電極間隔を適宜変えることにより、各電極溶
接部の温度をほぼ均一にすることが可能である。
(6) 溶接部近傍の温度は600℃以上とする。通常700
〜900℃。
(7) フラックスは高温でもフラグ剥離性の良好な融
点の高い焼結型又は焼成型フラックスを使用する。
(8) ワイヤの送給ロールは送給性が確実でワイヤへ
のダメージの少ないギヤ式U溝タイプを使用する。
(9) 溶接チップは高温耐摩耗性の優れた耐摩耗チッ
プ(耐摩耗複合チップ等)を使用する。
(10) フラックス受けは溶融スラグ及び溶融金属の前
方への流出をフラックスを溶融プールの前に貯めること
で防止する方式とし、治具材料は耐熱クロスを使用す
る。
(11) フラックスの送給ホースは耐熱性の良好なシリ
コンゴム等を使用する。また、ホースはフラックスの流
れをスムースにするため、できるだけ垂直に取り付け
る。
(12) 途中でのワイヤ補充をしないために、1コイル
の重量は必要量+αとする。
(13) ワイヤ1コイル重量が従来の溶接より大きくな
るため、ワイヤラールは送給トラブルのないように回転
性能の良いBrg式とし、かつ回りすぎのないようにブレ
ーキによる調節可能なものを使用する。
(14) 溶接途中でもし万一、何らかのトラブルにより
溶接が中断してもできるだけ短時間で溶接が再開できる
ように、溶接装置を1set用意しておく。
(15) 溶接中断時の温度降下を防止するために、中断
した場合には直ちに局部ガス加熱装置により加熱保温す
る。
(16) 溶接装置(送給モーター、キャリッヂ、ケーブ
ル等)に対する防熱対策を行なう。
本発明は以上の事柄のどれ一つ欠けても完成せず、全
ての条件がそろって始えて本発明が完成し、本発明の効
果が発揮できる。
次に本発明によるローラーの製造工程について説明す
る。
(1) 本発明の溶接装置を準備する。他にも1set溶接
装置を準備し、ワイヤ等、全てをセットし、いつでも使
える状態にしておく。
(2) ロールを回転装置にセットし、回転させながら
ガスにより加熱し予熱する。スタート部は加熱を強化
し、他部により高い温度に予熱する。
(3) 1極目ロール端部にセットし、電源スイッチを
入れてワイヤ送給装置の加圧ローラーを加圧してワイヤ
を送給し、アークスタートする。スタートと同時に溶接
装置を軸方向に連続的に移動しスパイラルに溶接する。
(4) 溶接が進行し、2極目がロール端部にくると、
1極目の溶接をとめない状態で、2極目の加圧ローラー
を加圧してワイヤを送給し、アークスタートする。3極
目以降、同じ要領で溶接スタートする。
(5) 溶接の途中でもし万一、装置又は部品の損傷ト
ラブルで1極が停止した場合は直ちに全極停止し、局部
ガス加熱装置に着火し溶接部を加熱保温するとともに速
やかに部品の交換又は装置全体の交換を行ない、溶接を
再開する。
(6) 溶接の終了はスタートと逆の要領で行なう。1
極目がローラー端部にきたら、加圧ローラーの加圧をゆ
るめてワイヤ送給を停止し、アークストップする。2極
目以降、同じ要領で溶接を終了する。
以下に本発明の実施例につき説明する。
(実施例1) 本発明法により実機サイズの肉盛溶接試験を実施し
た。供試素材は製鉄所の熱延工場のダウンコイラーのラ
ッパーロールを想定し、寸法はφ350×1500(mm)、
材質はS35Cのものを使用した。肉盛溶接材料は表−1に
示す炭化物系の材料(ワイヤ径3.2φ)を使用し、フラ
ックスは表−2に示す焼成型フラックスを使用した。
電極数は6、電極間隔は80mmとし、電源は直流定電圧
を使用し逆極性で溶接を行なった。溶接条件は溶接電流
400A、溶接電圧30V、溶接速度40cm/min、予熱層間温度3
00〜350℃である。以上の条件で溶接を行なったが、施
工中のトラブルは一度もなく、溶接部近傍のMax温度は
約900℃であった。溶接終了後、当供試材よりサンプル
を採取し、断面の形状調査を行なった。その結果、従来
法で施工したものに比較し、本発明のものは組織むら、
硬さむらが極めて少なく非常に良好であった。サンプル
の断面マクロ写真を第15図に、断面硬度分布を第16図に
示す。
(実施例2) 本発明を製鉄所の熱延工場のダウンコイラーの下ピン
チロールに適用した。ロール寸法はφ460×2,250(胴
長)×3,490(全長)、材質はS35Cである。当ロール
をφ435に前加工し、片肉15mm肉盛した。肉盛溶接材料
及びフラックスは表−1及び表−2に示すものを使用し
た。電極数は6、電極間隔は70mmとし、電源は直流定電
圧で逆極性で溶接を行なった。溶接条件は溶接電流400
A、溶接電圧30V、溶接速度40cm/min、予熱層間温度350
℃(スタート部500℃)である。以上の条件で溶接した
が、施工中装置のトラブルは一度もなく溶接部近傍のMa
x温度は約800〜850℃であった。当ロールを仕上加工
し、実機で組込使用したところ、従来ロールに比し極め
て良好な結果がえられた。同一溶接材料を従来条件で溶
接したロールはビードマークの発生が著しく、このビー
ドマークが熱延鋼板に転写するため途中で使用を中止せ
ざるをえなかった。これに対して本発明ロールはビード
マークは全く発生せず、表面肌は美麗であった。また、
ビードマークの発生を防止するために、従来は低炭素−
中合金系の肉盛ロール(表−3に溶着金属の組成例を示
す)を使用していたが、耐摩耗性に難点があり、時々、
焼付が発生していた。これに対して本発明ロールは焼付
は全く発生せず、耐摩耗性は従来ロールの2倍の耐摩耗
性を示した。
【図面の簡単な説明】
第1図(a),(b)は肉盛溶接における溶接ビードと
熱影響部の説明図、第2図(a),(b)は肉盛溶接金
属の断面硬さ分布を示す線図、第2図(c)は硬さ測定
位置の説明図、第3図は摩耗むらによるロール、ローラ
表面のビードマークの説明図、第4図は多電極溶接法に
よる肉盛溶接の説明図、第5図は交流による多電極溶接
法における1フィードモータ:1ワイヤのワイヤ送給の態
様を示す図、第6図は同じく交流による多電極溶接法に
おけるワイヤ送給の別の態様を示す図、第7図は本発明
の実施装置の説明図、第8図は6電極により本発明を実
施した場合の各電極に対応する肉盛層の温度の状態を示
す図、第9図(a),(b)は本発明で用いる溶接装置
の電源タイプの説明図、第10図は一般的に使用されるV
溝型ローラの説明図、第11図は本発明で使用するギヤ式
のU溝型送給ローラの説明図、第12図は電極のロールセ
ンターからのリード位置を調整することによるビード形
状の適正化の態様を示す説明図、第13図は通常の溶接で
使用するフラックス受け治具の使用の態様を示す説明
図、第14図は本発明の溶接で使用するフラックス受け治
具の使用の態様を示す説明図、第15図(a)は従来法に
よる肉盛溶接金属の断面マクロ組織を示す金属組織写真
図、第15図(b)は本発明法による肉盛溶接金属の断面
マクロ組織を示す金属組織写真図、第16図(a)は従来
法による肉盛溶接金属の断面硬さ分布を示す線図、第16
図(b)は本発明法による肉盛溶接金属の断面硬さ分布
を示す線図、第16図(c)は硬さ測定位置を示す説明図
である。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】炭化物系硬化肉盛溶接材料の肉盛溶接に当
    り、直流定電圧特性の電源を使用し、1つのフィードモ
    ーターで2本以上の複数の電極ワイヤを送給し、かつ、
    各電極ワイヤの間隔を100mm以下とし、溶接熱により溶
    接部近傍を600℃以上とすることを特徴とする高温肉盛
    溶接方法。
  2. 【請求項2】炭化物系硬化肉盛溶接材料の肉盛溶接に当
    り、直流定電圧特性の電源を使用し、1つのフィードモ
    ーターで2本以上の複数の電極ワイヤを送給し、かつ各
    電極ワイヤの間隔を100mm以下とし、溶接熱により溶接
    部近傍を600℃以上とするに際し、複数の電極の各電極
    間隔を適宜変えることにより、各電極間の温度分布を実
    質的に均一にすることを特徴とする高温肉盛溶接方法。
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