JP2649445B2 - 感圧素子 - Google Patents

感圧素子

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は安全装置部品例えば非常
スイッチボタン、救難機器例えば衝突・墜落時救難信号
発信器、ロボット用触覚センサ、荷重計及び圧力計など
に利用される感圧素子、更には流体特性検知素子に関す
る。
【0002】
【従来の技術・課題】圧力計ないしは荷重計としては、
弾性圧力計、即ち測定しようとする圧力によって生ずる
弾性体の弾性変形(ひずみ)量を歯車などの拡大機構を
介して記録・指示させる方式の圧力計が汎用されてい
る。そして、この弾性圧力計には、受圧部の種類によっ
てダイヤフラム式、ベローズ形式、ブルドン管式などが
ある。(機械工学便覧改訂第6版、6−27参照)。
【0003】しかし、この種の圧力計はいずれも機械的
可動部を含むため、感度が充分でなく特に微小圧力の測
定には不向きであった。又、直接電気信号として取り出
せないことからも、装置全体として複雑なものとならざ
るを得なかった。
【0004】近年、外界の状況に応じて動作を適切に修
正できる感覚制御形のロボットが利用されはじめ、その
動作制御のための外界計測用センサ(感覚センサ)の一
つとして触覚センサがある。そして、その触覚センサと
しては、例えば半導体ストレンゲージを用い圧力によっ
て生ずる電気抵抗の変化(ピエゾ抵抗効果)を利用した
半導体方式や、感圧導電性ゴムを用いそれを電極パター
ンをプリントしたフィルムで挟んだ導電ゴム方式のもの
などがある。しかし、これらの方式による触覚センサ
は、いずれも、半導体ストレンゲージや感圧導電ゴムに
予め電圧を印加しておくための電源を必要とする。
【0005】
【解決手段・作用】本発明の感圧素子は液体を収容し、
受圧によって変形可能とされた容器、容器内に配置さ
れ、液体を通過し得る多孔体、及び多孔体に備えられ、
該多孔体内に液体が通過したとき起電力を誘起する電
極、を備えていることを特徴とする。
【0006】本発明の感圧素子は、多孔体内に液体が流
れるとき多孔体の両端に発生する電圧(流動電位)を利
用したものである。
【0007】第1図に示すような感圧素子を例に採れ
ば、圧力Fが容器(1)に作用すると、予め多孔体
(2)内に含浸されている液体(3)は右から左へ該多
孔体内を移動する。そして、その際一対の電極(4)
(4)間に起電力Eが誘起される。この場合、圧力Fが
大きいほど起電力Eは大きくなる。
【0008】多孔体としては、液体と接触したとき電位
を生ずるものを広く利用でき、金属酸化物例えばアルミ
ナ、チタン酸バリウム、フォルステライト等、ガラス例
えば石英ガラス、硼硅酸ガラス等、セメント例えばポル
トランドセメント、アルミナセメント等が好ましい。そ
の気孔率や気孔径も上記作用を生ずる限り特に限定され
ないが、例えば気孔率20〜80%、気孔径1〜50μ
m程度が好ましい。その大きさについても用途に応じて
適宜選択できるが、円柱形の場合例えば厚み1〜30m
m、直径5〜100mm程度の小型なものとして使用で
きる。
【0009】液体としては、電気絶縁性であって多孔体
と接触したとき高いゼータ電位を発生させるものが好ま
しい。例えば、水、アルコール、グリコール、ケトン、
エステル等が挙げられ、通常、水を使用できる。容器と
しては、弾性及びある程度の耐圧性が望まれ、電極とし
ては通液性と共にある程度の耐食性を有するものが好ま
しい。
【0010】
【実施例】
1.多孔体の製作 ・アルミナ(平均粒径1.3μm市販品) 300
g ・カンファの10%エーテル溶液 100
ml をAl製ボール中に入れ、ゴム製箆で約10分間混合す
る。次に、約1時間自然乾燥によってエーテルを揮散さ
せた後、40メッシュの篩に通して素地とする。次に、
この素地を圧力1000kg/cm2でラバープレス成形
した後、旋盤にて直径34.8×長さ11.6mmの円
柱形に加工する。次に、この円柱成形体を1480℃で
1時間電気炉にて焼成し、Al23質多孔体(2)を得
た。そのAl23質多孔体(2)は、気孔率38%、平
均気孔径0.6μm、直径30×長さ10mmであっ
た。
【0011】2.感圧素子の組立て 上記Al23質多孔体(2)に夫々対応させた、ポリエ
チレン製容器素(1)、60メッシュの網状ステンレス
製円板状電極(4)を用意する。容器素(1)は蛇腹部
(1a)(1a)を有し、両側壁には小孔(径1mm)
が開口され、この小孔が後述する注入口(1b)又は排
出口(1c)を構成する。
【0012】先ず、このうちステンレス製電極(4)
(4)を上記Al23質多孔体(2)の両面にあてが
い、それらの周縁部を接着剤で固定する。次に、この電
極付Al23質多孔体(2)の両面側にそれぞれ容器素
(1)(1)をかぶせ、当接部位を熱接着させて、容器
(1)とする。次に、この容器(1)内に、一方の容器
素の注入口(1b)より比抵抗値6MΩcmの純水
(3)を注射器で注入しつつ、容器内の空気を他方の容
器素(1)の排出孔(1c)より外方へ排除する。こう
して容器(1)内に純水(3)を充満させると共に、多
孔体(2)の内部にも純水(3)を含浸させる。その
後、各容器素(1)の小孔(注入口、排出口)(1b)
(1c)を接着剤にて封止する。得られた感圧素子を図
1に示す。
【0013】この感圧素子に図1に示す方向から荷重
(F)を加え、出力電圧(E)を測定した。その結果を
図3に示す。図3から明らかなように、優れた直線応答
性を示しており、感度が高いことがわかる。又、得られ
る数〜10mVの出力電圧は液体が多孔体を通過したと
きに生ずる流動電位に基づくことから、予め電極に電圧
を印加しておく必要がなく、そのための電源を必要とし
ない。もっとも、必要に応じて、電極(4)(4)から
の出力電圧を増加するための増幅回路用電源などを用い
ることは差し支えない。
【0014】又、例えば多孔体が液体に対して負に帯電
する場合には、上流側の電極が負、下流側の電極が正と
なって、出力電圧の極性を示すことから、測定すべき圧
力について、それが圧縮荷重か引張荷重かの判別も可能
であることは勿論である。
【0015】この感圧素子を救難機器に用いた例を図4
に示す。同図において、5は押圧部材、6は止め金、7
は錘、8はバネ、9はケース、10は信号発振回路を夫
々示す。
【0016】更に、こうした構成の素子は感圧素子とし
てだけでなく、流体の特性を関知するための素子として
も使用できる。即ち、この素子の出力電圧は、多孔体内
を通過する液体のpH、圧力、濃度、流速、誘電率、粘
度、導電率などの因子が変化することによっても変化す
る。そのため、出力電圧の変化から特定の因子の変動を
検知することはできないが、いずれかの因子が変化した
ことを検知することができる。従って、流体を用いた重
要プロセスに組込むことによって、そのプロセスにおい
て流体に特性変動が生じた場合における流体性状計測器
や異常警報装置としても活用することができる。こうし
た用途に使用した例を図5、図6に示す。これらの図に
おいて、11はケース、12は特性を検知すべき流体が
流れる管を示す。
【0017】
【発明の効果】受圧を液体の変形を通じて直接電気信号
に変換するので、複雑な機械的可動部を必要とせずに、
極めて高感度で信頼性の高い感圧素子を提供できる。特
に、予め電極に電圧を印加しておくための電源を必要と
せず、微小圧力を測定したり感知すべき用途に極めて有
効である。出力電圧の極性から、圧縮荷重か引張荷重か
の判別も容易である。尚、部品構成が簡単で、小型化で
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の感圧素子の一実施例を示す正面断面図
【図2】上記例の側面図
【図3】上記例の感圧素子を用いた特性試験において、
荷重と出力電圧との関係を示すグラフ
【図4】上記例の感圧素子を用いた救難機器の例を示す
断面図
【図5】本発明の流体性検知素子の例を示す斜視図
【図6】上記例の流体性状検知素子の取付例を示す断面
【符号の説明】
1 容器(容器素) 1a 蛇腹部 2 多孔体 3 液体(純水) 4 電極

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】液体を収容し、受圧によって変形可能とさ
    れた容器、 容器内に配置され、液体を通過し得る多孔体、 及び多孔体に備えられ、該多孔体内に液体が通過したと
    き起電力を誘起する電極、 を備えていることを特徴とする感圧素子。
  2. 【請求項2】特性を検知すべき流体を通過し得る多孔
    体、 及び多孔体に備えられ、該多孔体内に液体が通過したと
    き起電力を誘起する電極、 を備えていることを特徴とする液体性状検知素子。
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