JP2643927B2 - 光分岐・光結合回路の製造方法 - Google Patents

光分岐・光結合回路の製造方法

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JP2643927B2 JP60083936A JP8393685A JP2643927B2 JP 2643927 B2 JP2643927 B2 JP 2643927B2 JP 60083936 A JP60083936 A JP 60083936A JP 8393685 A JP8393685 A JP 8393685A JP 2643927 B2 JP2643927 B2 JP 2643927B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は入射光のエネルギーを一定の比に分岐する光
分岐回路および一定の比に結合する光結合回路の製造方
法に関し、特に金属を強誘電体基板中に熱拡散して光導
波路を形成することによりその光分岐比および光結合比
を高精度に調整できる光分岐・光結合回路の製造方法に
関する。
近年、光通信システムの実用化が進むにつれ、さらに
大容量・高速・多機能・高精度のシステムが求められて
いる。より高速の光信号の発生や光伝送路の切替え等の
新たな機能の付加が要求されているが、基板中に形成し
た光導波路により構成した導波型の光変調器や光スイッ
チは、小型・高速・高効率という特長のためにこれらの
要求を満たすことが期待されている。特に、LiNbO3結晶
等の強誘電体材料を基板として用いてこれにTiを熱拡散
して形成した導波形素子は、光吸収が小さく低損失であ
ること、大きな電気光学効果を有しているために高効率
であり、多素子の集積化が可能である等の特長があり、
方向性結合器型光変調器またはスイッチ、分岐干渉型光
スイッチまたは変調器、全反射型光スイッチ等の種々の
方式の光制御素子への応用が報告されている。
このような導波型光制御素子を実際の光通信システム
に適用する場合、前述のように低損失と同時に高速性が
要求されるが、導波型光制御素子が高速に動作するため
には、素子の動作電圧が低いことおよび電極の特性イン
ピーダンスが電圧駆動用の電気回路系の特性インピーダ
ンスと整合しやすいことが重要である。前述の種々の方
式の光制御素子の中で分岐干渉型光スイッチまたは変調
器は、駆動電圧が同じ電極長の場合、方向性結合型や全
反射型の光変調器またはスイッチの (58%)の電圧でよく、また電極の特性インピーダンス
設計の自由度も大きいため高速化に適しており最近注目
されている。
この分岐干渉型光スイッチまたは変調器は3dB光分岐
回路で入射光を2つの光路に分け、2つの光路を伝搬す
る光波に位相差を電気光学効果や熱光学効果を用いて与
え、再び2つの光路を伝搬する光波を3dB光結合回路に
より合流されることにより光のスイッチングや変調を行
なう。このとき3dB光分岐回路と3dB光結合回路における
分岐比結合比が正確に1:1となっていないと光スイッチ
ングにおけるクロストークの劣化や光変調における消光
比劣化を招く。したがって分岐干渉型光スイッチまたは
変調器の特性向上のためには3dB光分岐回路および3dB光
結合回路の分岐比、結合比を高精度に調整することが必
要となる。
〔従来技術とその問題点〕
LiNbO3等の強誘電体基板にTi等の金属を熱拡散するこ
とにより光分岐・光結合回路を形成する場合は、例えば
方向性結合器型の場合は、拡散する帯状のTi膜の幅と厚
さ、2本の帯状のTi膜の間隔および拡散温度、拡散時間
により方向性結合器の結合長が決まり、これによりある
長さの方向性結合器の光分岐比、光結合比が決定する。
したがって、従来はあらかじめある長さの方向性結合器
型の光分岐比、光結合比を拡散するTi膜の幅、厚さ、間
隔や拡散条件により計算もしくは実験により求めてお
き、所望の光分岐比、光結合比が得られるようにこれら
Ti膜の幅、厚さ、間隔や拡散条件を設定して、一回の熱
拡散で所望の光分岐比、光結合比を得ようとする製造方
法が用いられていた。しかし、一般にTi拡散導波型にお
いては拡散温度が900〜1100℃程度、拡散時間が数〜十
数時間におよぶため、拡散灯内の温度分布の時間変化や
不均一性があることや温度上昇の際の温度勾配を常に一
定に保つことが難かしいことおよび毎回温度が設定値に
正確に設定されることは限らないこと等の理由により、
同一のTi膜形状、拡散条件でも拡散後の方向性結合器型
の結合長にはばらつきが生じていた。そのため一回の熱
拡散で方向性結合器型光分岐・光結合回路の分岐比結合
比を正確に設定することは困難であった。
この問題点を回避する製造方法としては、一回の熱拡
散後、結合長を測定し、分岐比、結合比が所望の値では
ない場合再びTiを900〜1100℃程度で熱拡散して導波型
の屈折率分布を変化させ所望の分岐比、結合比が得られ
るまで熱拡散を続けるという方法がある。しかしながら
この方法では、同一の基板上に方向性結合型分岐・光結
合回路ばかりではなく他にもいくつかの光回路を集積化
する場合には他の光回路の動作特性が変化してしまうの
で問題となる。
例えば、第7図に示すような従来の分岐干渉型光スイ
ッチは、LiNbO3基板1上に設けられた方向性結合器型光
分岐回路部41、光位相変調器部42、方向性結合器型光結
合回路43の3つの部分から構成される。この光位相変調
器部42において、2つの光路を伝搬する光の位相にπだ
けの差を付けるための電圧Vπには電極下に伝搬光のエ
ネルギが小さく閉じ込められているほど小さくなり、す
なわち伝搬光のエネルギ分布が光導波路内に強く小さく
閉じこめられている程半波長電圧Vπが小さくなる。し
かしながら、前述の再拡散を重ねることにより所望の分
岐比結合比を得る方法では方向性結合器型光分岐回路部
41、光結合回路部43ばかりで無くこの光位相変調器部42
の光導波路の屈折率分布まで変化してしまう。Tiの熱拡
散により形成された光導波路においては、拡散時間が長
くなればなる程拡散広がりが大きくなり、屈折率分布に
おける最大屈折率は小さくなるので、伝搬光のエネルギ
の閉じ込めは弱くなる。したがって、光位相変調器部42
の半波長電圧Vπが大きくなるという問題がある。
この問題を除去する製造方法としては、方向性結合器
型光分岐・光結合回路に電極を取り付け、電極に印加す
る電圧により、電気光学効果を回して結合長を制御して
光分岐比、光結合比を調整する方法がある。しかしなが
ら、この方法を用いると光分岐・光結合回路の製造後に
余分な電圧駆動用電気回路とエネルギとが必要であり、
また長時間電極間に直流電圧を印加することにより基板
表面等に電荷が蓄積し、いわゆるDCドリフトの現象を生
ずる恐れもあり問題である。なお、これらの問題は、他
の構造の光分岐・結合回路、例えば交叉型光分岐・結合
回路等においても全く同様に生ずる。
本発明の目的は、このような従来の製造方法の欠点を
除去し、高精度に光分岐比、光結合比を調整することが
可能で、かつ同一基板上の他の光回路の動作特性に影響
を与えないようにした光分岐・光結合回路の製造方法を
提供することにある。
〔発明の構成〕
本発明の光分岐・結合回路の製造方法は、強誘電体基
板に金属を熱拡散することにより形成された入射光導波
路、出射光導波路の少なくとも一方が複数本の光導波路
を有する光分岐回路もしくは光結合回路の製造方法にお
いて、前記金属を熱拡散した後に前記光分岐回路もしく
は光結合回路の分岐・結合部分にイオン交換を施し、前
記光分岐回路もしくは光結合回路の屈折率分布をイオン
交換時間、イオン交換温度および添加イオン量などのイ
オン交換条件を調整して前記光分岐回路の光分岐比もし
くは前記光結合回路の光結合比を調整することを特徴と
する。
また本発明の光分岐・結合回路の製造方法は、強誘電
体基板に金属を熱拡散することにより形成された入射光
導波路、出射光導波路の少なくとも一方が複数本の光導
波路を有する光分岐回路もしくは光結合回路の製造方法
において、前記金属を熱拡散した後に前記光分岐回路も
しくは光結合回路の分岐・結合部分にイオン交換を施
し、その後に再び前記金属の熱拡散温度よりも低い温度
で前記イオン交換部分のみを熱拡散し、前記光分岐回路
もしくは光結合回路の屈折率分布をイオン交換部分の熱
拡散時間により調整することにより、前記光分岐回路の
光分岐比もしくは前記光結合回路の光結合比を調整する
ことを特徴とする。
さらに本発明の方向性結合器型光分岐回路の製造方法
は、強誘電体基板に金属を熱拡散することにより形成さ
れた入射光導波路、出射光導波路の少なくとも一方が複
数本の光導波路を有する方向性結合器型は光分岐回路の
製造方法において、前記金属を熱拡散した後に前記方向
性結合器型光分岐回路の分岐部の前記光導波路の間にイ
オン交換を施し、前記方向性結合器型光分岐回路の屈折
率分布をイオン交換時間、イオン交換温度および添加イ
オン量などのイオン交換条件を調整して前記方向性結合
器型光分岐回路の光分岐比を調整することを特徴とす
る。
また本発明の方向性結合器型光分岐回路の製造方法
は、強誘電体基板に金属を熱拡散することにより形成さ
れた入射光導波路、出射光導波路の少なくとも一方が複
数本の光導波路を有する方向性結合器型光分岐回路の製
造方法において、前記金属を熱拡散した後に前記方向性
結合器型光分岐回路の分岐部の前記光導波路の間にイオ
ン交換を施し、その後に再び前記金属の熱拡散温度より
も低い温度で前記イオン交換部分のみを熱拡散し、前記
方向性結合器型光分岐回路の屈折率分布をイオン交換部
分の熱拡散時間により調整することにより、前記方向性
結合器型光分岐回路の光分岐比を調整することを特徴と
する。
また光分岐・結合回路の製造方法は、前記光分岐回路
あるいは前記光結合回路の入射光導波路から光を入射さ
せ出射光導波路の光をモニタしながら前記イオン交換部
分のみを熱拡散して前記光分岐回路の光分岐比あるいは
前記光結合回路の光結合比の調整を行うことを特徴とす
る。
〔発明の原理・作用〕
本発明によれば、まずLiNbO3等の強誘電体基板にTi等
の金属を熱拡散することにより光分岐回路、光結合回路
を形成し、この光分岐回路、光結合回路の光分岐比、光
結合比が所望の値と異なる場合には、光分岐回路、光結
合回路の一部にイオン交換を施こし、所望の値が得られ
るまでイオン交換を行なうか、もしくはある特定の時間
イオン交換を施こした後、Ti等の金属の熱拡散時間より
も十分低い温度でイオン交換部のみを所望の光分岐比、
光結合比が得られるまで熱拡散することにより高精度に
光岐比、光結合比が調整された光分岐・光結合回路を製
造する方法が得られる。本製造方法を用いれば、LiNbO3
等の強誘電体基板中へのイオン交換がTi等の金属の熱拡
散温度に比べて十分低い温度で可能であり、また交換さ
れたイオンの拡散もTi等の金属の熱拡散に比べて十分低
い温度で可能であるので、同一基板上に光分岐・光結合
回路以外の光回路が集積されていても他の光回路の動作
特性には影響を与えずに光分岐・光結合回路の光分岐
比、光結合比のみを高精度に調整することが可能な光分
岐・光結合回路を得ることができる。
以下図面を参照して本発明を詳細に説明する。
〔実施例1〕 第1図(a)〜(j)は本発明による光分岐・光結合
回路の製造方法の一実施例を工程順に説明する断面図で
ある。図において、まず第1図(a)に示すようにLiNb
O3基板1上へフオトレジスト2を塗布し、このフオトレ
ジスト2へフオトマスクを用いて導波路パターンと同一
形状の溝を通常のフオトリソグラフイ技術を用いて形成
する(第1図(b))。この上からTi膜3を300〜1200
Å程度全面に蒸着またはスパッタ法により形成し(第1
図(c))、フオトレジストを溶解すると、第1図
(d)に示すようなTiの光導波路パターンが形成され
る。
第2図は方向性結合器型光分岐回路のTiの光導波路パ
ターン11〜13をLiNbO3基板1上に形成したときの基板の
斜視図である。このTiの光導波路パターン11〜13を形成
した後、基板1を900〜1100℃、5〜10時間程度拡散炉
中で加熱することにより、第1図(e)に示すようなTi
拡散光導波路4が形成される。このTi拡散光導波路4を
形成後、第1図(f)のように基板1全面にAl膜5を形
成する。その後その上にフオトレジスト膜6を形成し
(第1図(g)),フオトリソグラフイ技術を用いて第
1図(h)に示すようにフオトレジスト膜6の方向性結
合器の導波路間隙の部分のみを溶解し、その部分のみAl
膜5をエッチングすることにより、第1図(i)に示す
ようなイオン交換用窓25を有するAlマスク24を形成す
る。
第3図はこの時の基板1の斜視図である。すなわち、
基板1全面にAlマスク24が形成され、方向性結合器(21
〜23)の光分岐回路22の導波路間隙の部分にのみイオン
交換用窓25が開けられている。その後基板全体を125〜2
50℃の安息香酸溶融液中に浸しAlマスクのイオン交換用
窓を通してプロトン(H+)とLi+のイオン交換7を行な
う(第1図(j))。
本発明においては、まずTiの熱拡散によりLiNbO3基板
1上に方向性結合器型光分岐回路22を形成する。その後
このTi拡散LiNbO3方向性結合器型光分岐回路の入射導波
路21の1本にプリズムもしくは端面結合により導波光を
励起し、2本の出射導波路23への出射光をプリズム結合
して光の分岐比を測定する。この光分岐比が所望の値と
異なる場合は、前述の方法により方向性結合器の導波路
間隙の部分にのみイオン交換を施し、方向性結合器部の
屈折率分布を変化させることにより方向性結合器の2本
の光導波路間の光波の結合状態を変化させ結合長を調整
し、光分岐比を調整する。
安息香酸の溶融液中にLiNbO3基板を浸してH+とLi+
イオン交換を行なう場合は、イオン交換時間およびイオ
ン交換温度により導波路の深さを調整することが可能で
あり、また安息香酸中に添加するLi+のイオン量により
最大屈折率変化量を調整することができる。すなわち、
安息香酸を用いるイオン交換においては、厚さ方向の屈
折率分布は基板の厚さ方向でステップ状となるが、その
表面屈折率変化量は安息香酸中に添加するLi+のイオン
の量で制御可能であり、Li+の添加量を多くする程表面
屈折率変化量は直線的に小さくすることが可能であり、
またその導波路深さはイオン交換温度、イオン交換時間
により制御可能である。
したがって、Ti拡散方向性結合器型光分岐回路22の光
分岐比が所望の値と異なる場合には、まず方向性結合器
の2本の光導波路間隙に、安息香酸中のLi+イオンの添
加量を多くした状態で短時間イオン交換を行ない、すな
わち光導波路間隙部の屈折率増加量を小さく、屈折率変
化領域を浅く形成して再び光分岐比を測定する。光分岐
比がまだ所望の値でない場合は前述のイオン交換を繰り
返し所望の光分岐比が得られるまでイオン交換時間を増
やしていく。
なお、結合長の変化量が少ない場合には安息香酸中の
Li+イオンの添加量を少なくし、方向性結合器光導波路
間隙部の屈折率増加量を大きくすることにより結合長の
変化量を多くすることができる。ただし、この際屈折率
変化領域があまり深くなり、導波路間隙部分の屈折率変
化量が大きくなりすぎると、方向性結合器部の屈折率分
布が、第4図(a)の特性図に示すようにイオン交換部
で大きくなり、導波路間隙部で光波の伝搬モードが立っ
てしまい基板中に散乱する恐れがあるが、導波路間隙部
分の屈折率増加量を大きくする場合には、Li+イオンの
添加量およびイオン交換時間を調節し、基板表面近傍の
みを高屈折率領域とし方向性結合器部の屈折率分布が、
実効的に第4図(b)の特性図に示すように、イオン交
換部で少なくなるようにして導波路間隙部分に伝搬モー
ドが立たないようにすることが可能である。
本実施例においては、まずLiNbO3結晶にTiを熱拡散す
ることにより方向性結合器型光分岐回路を形成し、光分
岐比が所望の光分岐比が得られない場合は方向性結合器
の導波路間隙部にイオン交換を施こして、方向性結合器
型の屈折率分布を変化させ、方向性結合器の結合長を変
化させることにより、光分岐回路の光分岐比を調整す
る。このイオン交換はLiNbO3基板を安息香酸中に浸しH+
イオンとLi+イオンを交換することにより行なうが、安
息香酸の融点は121℃、沸点は大気圧で250℃であり、こ
の温度範囲内でプロトン交換を行なうことができるの
で、Tiの熱拡散温度900〜1100℃に比べると十分低温で
あり、同一基板上に光分岐回路以外に他の光素子が集積
化されていたとしても他の光回路の動作特性には影響は
与えない。
〔実施例2〕 第5図は本発明の第2の実施例を説明するための製造
装置の構成図を示す。図においては、ホットプレート等
のヒート38の上に基板ホルダ35が置かれ、その上に第1
の実施例と同様の製造方法により、Ti拡散方向性結合器
型光分岐回路が形成され方向性結合器の2本の光導波路
の間隙にプロトンイオン交換が施こされたLiNbO3基板1
が乗せられている。方向性結合器型光分岐回路の入射光
導波路端面には、半導体レーザ31の出射光が結合された
光ファイバ32が端面結合され方向性結合器型光分岐回路
の2本の出射導波路伝搬光はプリズム33によりLiNbO3
板13の外に出射され、2つのフオトデイテクタ34へと導
かれる。なお、基板ホルダ35には熱電対等の温度センサ
36が取り付けられており、温度計37により加熱温度がモ
ニタできるようになっている。
本実施例においては、第1図に示した製造方法を用い
てTi拡散方向性結合器型光分岐回路を形成し、光分岐比
が所望の値と異なる場合にはその後第1図に示した製造
方法と同様の方法で方向性結合器の2本の光導波路の間
隙にプロトンイオン交換を行なう。その後イオン交換の
マスク用に形成した金属膜をエッチングにより除去し、
第5図に示した装置により方向性結合器型光分岐回路の
分岐比をモニタしながらLiNbO3基板1を400℃程度の温
度でイオン交換部のみを熱拡散する。
これによりイオン交換部のH+イオンがLiNbO3基板1に
拡散して行くため方向性結合器部の屈折率分布が時間と
共に変化する。このため方向性結合器の結合長が基板加
熱時間と共に変化し光分岐比が変化する。したがって、
光分岐比をフオトデイテクタ34でモニタしながら基板1
を加熱し、所望の光分岐比が得られた時点で加熱を止め
れば所望の光分岐比を有する方向性結合型光分岐回路得
られる。なお、プロントンイオン交換による光導波路の
屈折率分布は、イオン交換直後には第6図の特性図のA
に示すように基板の深さ方向でステップ状となるが、基
板を加熱するとH+イオンは容易に基板中へ拡散し、第6
図のBに示すように最大屈折率がイオン交換直後より減
少し深さ方向へ広がった屈折率分布となる。さらに加熱
を続けると最大屈折率はさらに減少し、深さ方向へさら
に広がった屈折率分布となりガウス分布となることが知
られている。したがって、イオン交換に基板1を加熱す
ると、前記屈折率分布の変化により光分岐比が刻々と変
化するので所望の光分岐比となったところで加熱を止め
れば、所望の光分岐比を有する方向性結合型光分岐回路
が得られる。
また、プロトン交換によって結晶中に入ったH+イオン
は400℃程度の温度で容易に基板中へ拡散するので、Ti
の熱拡散温度に比べて十分低い温度で良い。
したがって本製造方法によれば、光分岐比を実時間で
簡便に制御できかつ同一基板中に他の光回路が集積化さ
れていても他の光回路の動作特性には影響を与えずに光
分岐回路の分岐比のみを調整する製造方法が得られる。
〔発生の効果〕
以上述べたように、本発明によれば、高精度に光分岐
比、光結合比を調整することが可能で、かつイオン交換
も交換されたイオンの熱拡散もTiの熱拡散に比べて十分
低温であることから、同一基板上に光分岐、光結合回路
以外の光回路が集積化されていても他の光回路の動作特
性には影響を与えず、光分岐・光結合回路の光分岐比、
光結合比のみを高精度に調整することが可能な光分岐・
光結合回路の製造方法が得られる。
なお、本発明により得られる光分岐、光結合回路は本
実施例に示したように方向性結合器型に限定されるもの
ではなく、交叉型光分岐比・結合回路、Y字型分岐回
路、Y字型結合回路等でも良く、それら光分岐・光結合
回路の一部分にイオン交換を施こし、イオン交換時間も
しくは交換されたイオンの熱拡散時間を本実施例と同様
に制御して光分岐・光結合回路の光分岐、光結合比を調
整することができる。また、光分岐・光結合回路を形成
する基板はLiNbO3に限られるものではなくLiNbO3等でも
良く、イオン交換も安息香酸溶液中でのプロトン交換の
みに限られるものではなくAgNO3溶液中でのAg+イオン、
TlNO3溶液中でのTl+イオン等の交換でも良い。このイオ
ン交換を行なう際のマスクとなる金属もAlに限られるも
のではなく、Ti,Cr等でも良い。また、本実施例におい
ては光分岐回路の製造方法についてのみ述べたが光結合
回路の場合も、光分岐回路の場合と全く同一の製造方法
を用いて製作することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図(a)〜(j)は本発明による光分岐・光結合回
路の製造方法の実施例を工程順に示した断面図、第2図
は第1図により得られるTi拡散LiNbO3方向性結合器型光
分岐回路のTiパターンの斜視図、第3図はTi拡散後方向
性結合器部の導波路間隙へのみイオン交換をするための
Alマスクを示す斜視図、第4図(a),(b)は第1図
のイオン交換により得られる基板水平方向の屈折率分布
を示す特性図、第5図は本発明の実施例の製造途中の測
定系の構成図、第6図はイオン交換部の熱拡散前と熱拡
散後の基板方向の屈折率分布の変化を示す特性図、第7
図は従来技術による分岐干渉型光スイッチの構成を示す
斜視図である。図において 1……LiNbO3基板、2,6……フオトレジスト、3……Ti
膜、4……Ti拡散導波路、5……Al膜、7……H+イオ
ン、11……入射光導波路Tiパターン、12……方向性結合
器型光分岐回路Tiパターン、13……出射光導波路Tiパタ
ーン、21……入射光導波路、22……方向性結合器型光分
岐回路、23……出射光導波路、24……Alマスク、25……
イオン交換用窓、31……半導体レーザ・レーザモジュー
ル、32……光フアイバ、33……プリズム、34……フオト
デイテクタ、35……基板ホルダ、36……温度センサ、37
……温度計、38……ヒータ、41……方向性結合器型光分
岐回路部、42……光位相変調器部、43……方向性結合器
型光結合回路部である。

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】強誘電体基板に金属を熱拡散することによ
    り形成された入射光導波路、出射光導波路の少なくとも
    一方が複数本の光導波路を有する光分岐回路もしくは光
    結合回路の製造方法において、前記金属を熱拡散した後
    に前記光分岐回路もしくは光結合回路の分岐・結合部分
    にイオン交換を施し、前記光分岐回路もしくは光結合回
    路の屈折率分布をイオン交換時間、イオン交換温度およ
    び添加イオン量などのイオン交換条件を調整して前記光
    分岐回路の光分岐比もしくは前記光結合回路の光結合比
    を調整することを特徴とする光分岐・結合回路の製造方
    法。
  2. 【請求項2】強誘電体基板に金属を熱拡散することによ
    り形成された入射光導波路、出射光導波路の少なくとも
    一方が複数本の光導波路を有する光分岐回路もしくは光
    結合回路の製造方法において、前記金属を熱拡散した後
    に前記光分岐回路もしくは光結合回路の分岐・結合部分
    にイオン交換を施し、その後に再び前記金属の熱拡散温
    度よりも低い温度で前記イオン交換部分のみを熱拡散
    し、前記光分岐回路もしくは光結合回路の屈折率分布を
    イオン交換部分の熱拡散時間により調整することによ
    り、前記光分岐回路の光分岐比もしくは前記光結合回路
    の光結合比を調整することを特徴とする光分岐・結合回
    路の製造方法。
  3. 【請求項3】強誘電体基板に金属を熱拡散することによ
    り形成された入射光導波路、出射光導波路の少なくとも
    一方が複数本の光導波路を有する方向性結合器型光分岐
    回路の製造方法において、前記金属を熱拡散した後に前
    記方向性結合器型光分岐回路の分岐部の前記光導波路の
    間にイオン交換を施し、前記方向性結合器型光分岐回路
    の屈折率分布をイオン交換時間、イオン交換温度および
    添加イオン量などのイオン交換条件を調整して前記方向
    性結合器型光分岐回路の光分岐比を調整することを特徴
    とする方向性結合器型光分岐回路の製造方法。
  4. 【請求項4】強誘電体基板に金属を熱拡散することによ
    り形成された入射光導波路、出射光導波路の少なくとも
    一方が複数本の光導波路を有する方向性結合器型光分岐
    回路の製造方法において、前記金属を熱拡散した後に前
    記方向性結合器型光分岐回路の分岐部の前記光導波路の
    間にイオン交換を施し、その後に再び前記金属の熱拡散
    温度よりも低い温度で前記イオン交換部分のみを熱拡散
    し、前記方向性結合器型光分岐回路の屈折率分布をイオ
    ン交換部分の熱拡散時間により調整することにより、前
    記方向性結合器型光分岐回路の光分岐比を調整すること
    を特徴とする方向性結合器型光分岐回路の製造方法。
  5. 【請求項5】前記光分岐回路あるいは前記光結合回路の
    入射光導波路から光を入射させ出射導波路の光をモニタ
    しながら前記イオン交換部分のみを熱拡散して前記光分
    岐回路の光分岐比あるいは前記光結合回路の光結合比の
    調整を行うことを特徴とする請求項2記載の光分岐・結
    合回路の製造方法。
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「光集積回路」昭和60年2月25日 オーム社発行(第169頁2〜5行参照。)

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