JP2622050B2 - 軸線方向変位を最適化するための非円形旋回スクロール - Google Patents

軸線方向変位を最適化するための非円形旋回スクロール

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JP2622050B2
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    • F04C18/00Rotary-piston pumps specially adapted for elastic fluids
    • F04C18/02Rotary-piston pumps specially adapted for elastic fluids of arcuate-engagement type, i.e. with circular translatory movement of co-operating members, each member having the same number of teeth or tooth-equivalents
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F04POSITIVE - DISPLACEMENT MACHINES FOR LIQUIDS; PUMPS FOR LIQUIDS OR ELASTIC FLUIDS
    • F04CROTARY-PISTON, OR OSCILLATING-PISTON, POSITIVE-DISPLACEMENT MACHINES FOR LIQUIDS; ROTARY-PISTON, OR OSCILLATING-PISTON, POSITIVE-DISPLACEMENT PUMPS
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    • F04C29/0021Systems for the equilibration of forces acting on the pump

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  • Mechanical Engineering (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Rotary Pumps (AREA)
  • Structures Of Non-Positive Displacement Pumps (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、空気調和装置のスク
ロールコンプレッサ等に使用されるスクロールに関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】スクロール装置においては、一方のスク
ロール部材が、一般的に固定された他方のスクロール部
材に対して旋回する。各スクロール部材は、平板または
フロア部と軸線方向に延びる螺旋状のラップとを有して
いる。理想的には、各スクロールのラップの先端は、他
のスクロールのフロアとともに作用し、スクロールのラ
ップの側面が相互に作用して三日月形のトラップ容量ま
たは室を形成する。三日月形はそれぞれ約360゜であ
り、一般に対称形であるが、固定スクロールの軸線に対
しては非対称となる。側面の接線または側面の接触によ
って規定される三日月の端部は、出口ポートに開放され
るまでトラップ容量または室を連続的に減少させながら
ラップの中心に向かって連続的に移動する。
【0003】圧縮過程において、種々の力が作用する。
圧縮されるガスは、スクロール部材間を放射方向及び軸
線方向に分離するように作用するが、一方のスクロール
は固定されているため、旋回スクロールのみが移動す
る。旋回スクロールの軸線は、クランクシャフトの回転
軸線に対して偏心して設けられているので、力が作用す
るとき、トラップ容量または室は固定スクロールの軸線
に対して偏心して位置する。また、旋回スクロールを駆
動する場合、摩擦力及び慣性力が不可避的に作用する。
これらの力をオフセットするために、流体圧バイアス
が、クランプ力及び反力の実質の力によってガスの力の
軸線方向成分をオフセットさせるために旋回スクロール
の背面に作用され、旋回スクロールのハブを支持するベ
アリングはガスの力の接線方向成分の回転モーメントを
最小とするように配置される。
【0004】許容可能な装置を形成するためには、漏れ
を最小にしなければならないので、旋回スクロールの背
面に作用される力を対向する力よりも大きくして、旋回
スクロールの平板部がクランプ力の作用位置において固
定スクロールの対向する構造との係合状態を保持しなけ
ればならない。所望のシールを得るためには過剰なクラ
ンプ及び反力を保持する必要があり、この結果摩擦が増
大して、モータに余分な負荷を与え摩耗を促進させる結
果となる。
【0005】トラップ容量または室は、クランクシャフ
トの軸線及び固定スクロールに対して偏心して配置され
ているので、ガスの力がクランク角に応じて周期的に変
化する。この周期的変化は、反力の作用すべき半径方向
の位置もクランク角に応じて周期的に変化することを意
味する。従って、円形スクロール板において例示される
ように、均一な半径方向の広がりを必要とするのではな
く、むしろ半径方向の広がりの増減を必要とすることに
なる。ある位置においてスクロールの放射方向の大きさ
を減少した場合、材料が減少し、接合面の減少によって
摩擦が低減され使用可能なスペースが拡大する。一方、
放射方向の大きさが増加した場合には、逆に結果となる
が、旋回スクロールの安定性は増加する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、安定
性を増大するとともに、全体及び平均のクランプ力及び
反力を減少する旋回スクロールを提供することにある。
【0007】本発明のもう一つの目的は、スクロールコ
ンプレッサの部材の接触による摩耗及び摩擦を、全体の
クランプ力及び反力を減少させることによって減少させ
ることにある。
【0008】さらに、本発明のもう一つの目的は、軸線
方向に変位可能な旋回スクロールのスクロールフロアを
空間的に最適化することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】基本的に、スクロールコ
ンプレッサの運転中に旋回スクロールに作用する軸方向
の力は、クランプ力を発生する。この力は、動的な均衡
を形成するために所定の半径を必要とし、この半径はク
ランク角に応じて変化する。旋回スクロールの平板部ま
たはフロア部は、考慮される全ての運転環境において発
生される力の作用する半径方向位置の変化と同じ容量で
変化するスクロール板の半径を持つことにより軸方向力
によって生起される力が作用する形状とされる。
【0010】本発明の第1構成によれば、第一及び第二
のスクロール部材を有し、前記第二のスクロール部材が
前記第一のスクロール部材に対して旋回運動し、圧縮工
程において前記第一及び第二のスクロール部材が協働し
てガスを圧縮し、圧縮されたガスが前記第一及び第二の
スクロール部材に軸線方向の第一及び第二のスクロール
を分離させる方向に力を作用させるとともに、前記第二
のスクロール部材の旋回運動に対して抵抗として作用
し、かつ前記第1及び第2スクロール部材の軸間中点の
旋回軌道に対して接線方向に作用する力を生じさせるよ
うに構成され、前記第二のスクロール部材は、軸線と第
一及び第二の側を持つ板部材と、前記第一の側に延設さ
れた螺旋状のラップと、前記第二の側に延設され、軸受
に支持されたハブと、前記第二の側に軸線方向の変位力
を作用させる手段とによって構成され、前記板部材は、
前記軸線に対して、r=(Fgtl)/(F
ga)(ここで、Fgtはガスの接線方向の力、lは
ガスの接線方向の力が作用する位置とベアリングの反力
が作用する位置間の軸線方向の距離、Fは軸線方向の
変位力、Fgaはガスの軸線方向の力)の関係に従って
前記軸線に対して半径を変化させるように形成されてい
ることを特徴とするスクロール装置が提供される。
【0011】本発明の第2構成によれば、軸線と、板部
材と、該板部材から延長形成された螺旋状ラップとによ
って構成され、前記板部材が前記軸線に対して変化する
半径を有しており、該半径は、合計で少なくとも180
°の角度範囲において互いに等しい半径を持つ二つの部
分を有し、該二つの部分が、略直径方向に位置された二
つの半径変化部分で分離されており、半径変化部分の一
方は前記等しい半径を持つ部分よりも大きな半径を有
し、他方が等しい半径を持つ部分よりも小さい半径を有
していることを特徴とするスクロール装置の旋回スクロ
ールが提供される。
【0012】本発明の第3構成によれば、第一及び第二
のスクロール部材を有し、前記第二のスクロール部材が
クランクシャフト手段によって駆動されて前記第一のス
クロール部材に対して旋回運動し、圧縮工程において前
記第一及び第二のスクロール部材がクランクシャフト手
段の回転に応じて、相互に協働してガスを圧縮し、圧縮
されたガスが前記第一及び第二のスクロール部材に軸線
方向の第一及び第二のスクロールを分離させる方向に力
を作用させるとともに、前記第二のスクロール部材の旋
回運動に対して抵抗として作用し、かつ前記第1及び第
2スクロール部材の軸間中点の旋回軌道に対して接線方
向に作用する力を生じさせ、前記圧縮工程が全ての設計
許容運転条件の限界内で行われるように構成され、前記
第二のスクロール部材は、軸線と第一及び第二の側を持
つ板部材と、前記第一の側に延設された螺旋状のラップ
と、前記第二の側に延設され、軸受に支持されたハブ
と、前記第二の側に軸線方向の変位力を作用させる手段
とによって構成されており、前記板部材は前記軸線に対
して実際の半径Rを設定されているスクロール装置にお
いて、前記第二のスクロールの外周形状を最適化するた
めに、各動作限界点における接線方向のガスの力Fgt
と、軸線方向のガスの力Fga及び軸線方向の変位力F
を規定し、クランクシャフトの回転における全てのク
ランク角を考慮して、前記軸線に対するクランク角に応
じて変化する必要とされる半径rを、r=(Fgtl)
/(F−Fga)(ここで、lは、ガスの接線方向の
力が作用する位置とベアリングの反力が作用する位置間
の軸線方向の距離)の関係を満足するように決定し、安
全距離δを設定し、全てのクランク角において各予定さ
れる動作状態条件における実際の半径RがR−r≧δと
成るように変化されることを特徴とするスクロール装置
における第二のスクロールの外周形状を最適化する方法
が提供される。
【0013】
【実施例】図1乃至図4において、符号20は、ラップ
22を有する固定スクロールを示しており、21は、ラ
ップ23を有する旋回スクロールを示している。A乃至
M及び1乃至12は、吸入、圧縮、吐出の各工程におけ
る室を示しており、室Mは装置がコンプレッサとして動
作している時に吐出口または出口25に形成する共通室
である。室5乃至11及びD乃至Kはそれぞれ約360
°の螺旋状三日月形と成っており、スクロールのラップ
間の線的接合部または最小間隙点に二つの終端を有して
いる。例えば、図1にXで示す線接合または最小間隙点
であり室5,9を分離しているとすると、この点におい
て高圧側室9から低圧側室5に向かって漏れが生じるこ
とは明かであり、こうした漏れは、動力損失または効率
の低下を生じさせる。こうした漏れによる動力損失を最
小限にするために、従来は公差を非常に小さく保持し、
積極的な機械的摺動シールを使用し、高速で回転させ及
び/または流体圧に軸線方向のバイアスを付与すること
が行われていた。図1乃至図4に示すように、室A乃至
Lに対応する室1乃至12は、ラップ22,23の反対
側に形成されている点で異なるものの対称形状と成って
いる。しかしながら、室1乃至12とA乃至Lは、出口
25の一点鎖線の交点で示される固定スクロールの軸線
に対しては非対称の泣置となる。さらに、室A乃至Cと
1乃至3は、吸入圧状態であり、スクロール20,21
に相互に離間する方向に作用する圧力は発生されていな
い。室4とDは圧縮工程が開始された時点を示してお
り、この時点においても圧力は、公称の吸入圧であり、
スクロール20,21を分離する圧力は未だに作用して
いない。従って、室E乃至M及び5乃至12のみがスク
ロール20,21を分離させるように作用する圧力を有
している。図1乃至図において、室1乃至12及びA
乃至Lはいずれのスクロール20,21の軸線に対して
非対称に配置されているとともに、これらの室の中心
は、関連するガスの力に沿って、前記いずれの軸線に対
して偏心している。このため、旋回スクロール21に
は、その旋回運動に抵抗するガスの力が作用する。この
力は室1乃至12及びA乃至Lの中心、つまり固定・旋
回スクロール20,21の軸線間の中点に作用し、その
方向はこの中点の旋回軌道に対する接線方向になる(以
下、 この力を接線方向のガスの力という)
【0014】図5に示すように、回転スクロール21の
外形形状は、水平軸と垂直軸の交点で示す軸線までの距
離を変化させた形状と成っている。本発明によるスクロ
ール板110と異なる従来の円形旋回スクロール板の形
状は、図5に破線で示されており、実線と破線に挟まれ
た部分が、材料が除かれまたは付加された部分である。
旋回スクロール21の重心点を保持するために、カウン
タウエイト90及びまたはドリル孔(図示せず)が設け
られ、所要の形状の旋回スクロール21のフロアまたは
板110を得るための材料の付加及び除去によるオフセ
ットを補償する。
【0015】図6において、符号100は、密閉形のス
クロールコンプレッサの全体を示している。一般に吐出
圧及び中間圧の混合によって形成される加圧流体は、ブ
リード孔28,29を介して旋回スクロール21の背面
に環状シール32,34及びクランクケース36によっ
て形成された環状室40に供給される。室40内の加圧
流体は、図示のように旋回スクロール21を固定スクロ
ール20に対して係合状態に保持するように作用する。
旋回スクロール21の背面に対向する室40の部分及び
室40の圧力によって旋回スクロール21に負荷される
変位力が決定される。特に、ラップ22,23の先端部
はスクロール21,22のフロアに係合する。旋回スク
ロールのフロアまたは板110の外側面は、室40の圧
力のバイアス効果によって固定スクロール20の外側面
27に係合する。従来技術と同様に、オルダム継手50
によって旋回運動するように保持される。旋回スクロー
ル21は、ハブ26を有しており、このハブは軸受52
に収容されるとともに、従来のものと同様にクランクシ
ャフト60によって駆動される。クランクシャフト60
は、軸線Y−Yを中心に回転する。この軸Y−Yは、固
定スクロール20の軸線を構成する。軸線Z−Zを持つ
旋回スクロール21は、軸Y−Yを中心に旋回運動す
る。
【0016】図7において、点Yはクランクシャフト6
0及び固定スクロール20の軸線Y−Y上の点を示して
おり、点Zは、旋回スクロール21の軸線Z−Z上の点
を示している。YとZの間の距離はクランクシャフト6
0の投影であるとともに旋回スクロール21の旋回半径
である。角度θはクランク角であり、水平基準線からの
角度として示されている。接線方向のガスの力F
gtは、YとZの中間点が旋回する軌道Cに対する接線
に旋回方向とは逆向きに作用する。軸線方向のガスの力
gaも、YとZの中間点にY−Y軸線及びZ−Z軸線
(紙面に対して垂直な方向)に平行な方向に作用する
力またはクランプ力Fは、Y−Y軸線及びZ−Z軸
線(紙面に対して垂直な方向)に平行な方向で、Y−Y
軸線とZ−Z軸線によって規定される面上のクランク角
に応じた点Zからの半径rの位置に作用する。の反力F
は、室40の圧力のバイアス効果によってフロアまた
は板110は固定スクロール20の外側面27に係合す
ることによって発生する。図8に示すように、反力F
は、クランク角に応じて変化する半径rの位置に作用す
る。ガスの力は接線方向成分Fgtと軸線方向成分F
gaとを有している。室40は環状に形成されており、
軸線方向の変位力Fは旋回スクロール21の垂直軸線
Z−Zに沿って作用する。接線方向のガスの力Fgt
ラップの高さの中心に負荷され、力Fgtの作用点から
軸線方向距離lの位置に軸受52によって与えられる反
力F’gtがこれに対向する。旋回スクロール21の板
またはフロア110の半径はRであり、図5に示すよう
に変化する。また、半径rも変化し、常に安定な装置に
おいては、Rに等しいかこれよりも小さい値となる。
【0017】動作環境における全ての動作点におけるス
クロール動作のために、旋回スクロールにはモーメント
が与えられている。モーメントはFgtlに等しく、図9
に示すようにクランク角に応じて変化する。Fgtは、瞬
間値であり、lは出来る限り小さく設定される。軸受の
反力F’gtは、Fgtにほぼ等しい大きさで負荷される
が、これに摩擦力が加わって大きくなり、より大きなモ
ータ出力を必要とする。しかしながら、このモーメント
に対しては、旋回スクロールの振動を防止するために常
に反力を与えなければならない。モーメントに対する反
力は、上向きの軸線方向圧力(変位力)Fpを付与する
ことによって与えられる。この軸線方向圧力Fpはスク
ロールを一緒に保持するとともに、半径rに作用する実
質の反力を残して、全ての時点において作用する反力を
生成する。図10に示すように、FpとFrは、従って、
室40の面積を圧力に応じて変化する。圧力は、図5に
示すように室40に圧力を供給する旋回スクロール21
のブリード孔28,29も位置に応じて変化する。室の
圧力とクランク角の関係のプロットが三つの動作環境で
示されており、クランク角の約950゜の回転を要する
圧縮工程の前工程において使用可能な圧力を示してい
る。従って、図10において、曲線Fr、(Fp−Fga
は、より大きなまたは小さな力を要する場合には、上下
に変位される。Frが増加すると、より大きな摩擦ワッ
ト量を意味する。
【0018】図12に示すように、旋回スクロール21
が、3.5インチの均一な半径Rを持つと仮定する。所
要の反力Frを得るために必要な半径rのプロットよ
り、クランク角240゜乃至300゜の範囲で、所要の
rは3.5インチよりも大きくなるため、Frで乗算さ
れた値がモーメントに対して不十分となることがわか
る。これは、さらに図13にも示されておりクランク角
θが約260゜の場合、十分なFrを得るための半径r
の位置は、点線で示される均一な3.5インチの半径の
外側になる。Y、Z、θ及びFrは図7に定義されてい
る。従って、クランク角240゜乃至300゜の範囲に
おいては、図9に破線で示すようにモーメントの落ち込
みが生じる。旋回スクロール21は、この状態で振動す
る。図12に示すように、0゜乃至220゜の間及び3
20゜乃至360゜の範囲では、所要のrは、3.5以
下となるのでこれを得ることが可能である。
【0019】上記のように、ブリード孔28,29の位
置及び室40の面積を変化させることによって図10の
曲線を変位させてFrを増加させて、所要のrを小さく
することが可能となる。しかしながら、これによって摩
擦が増大して、モータのより大きなワット量が必要とな
る。そこで、本発明においては、図5及び図13に示す
ように、旋回スクロール21の板またはフロア110の
半径を増加させることによって、240゜乃至300゜
のクランク角において必要となる半径を確保するように
構成している。また、図5及び図13に示すように、例
えば、0゜乃至220゜及び320゜乃至360゜の範
囲のように大きな半径を必要としない位置においては、
半径を減少させることが出来る。より一般的には、容易
に均衡をとることが出来るようにするために、半径を増
加させた位置に対して約180゜の位置で半径を減少さ
せる。
【0020】図11のプロットにより例示するように、
コンプレッサの予測される運転環境の全ての限界点を考
慮することが必要であり、これに加えて、環境内におけ
るいくつかの基準点を考慮することが必要となる。これ
らを考慮することによって、特定の設計のコンプレッサ
における旋回スクロールの最適な形状を得ることが可能
となる。この利点は、(1)全ての設計点において、F
r曲線(図10)を低くすることが可能となり、(2)
摩擦による所要ワット量を減少させることが可能とな
り、(3)材料を減少させることにより他の構成部材の
配置空間を拡大することが可能となる点にある。
【0021】図8に戻って説明すれば、lを除く全ての
変数は、時間(クランク角)に応じて変化する。慣性力
及び摩擦力を排除して、以下のように仮定する。(1)
gt及びF’gtは実質的に等しい、(2)全ての時点に
おいてFp>Fgaであり、さもなくば、スクロール2
0,21が分離する、(3)FpとFgaはほとんど軸線
Y−Y及びZ−Zで規定される面において作用し、ほぼ
垂直軸線または旋回スクロール21の中心線(軸線Z−
Z)に平行である。
【0022】
【数1】
【0023】Fgt、F及びFgaは、それぞれクラ
ンク角(時間)に応じて変化するので、半径rにおいて
反力Fを得るために必要なRの値もまた、クランク角
に応じて変化する。Rは、反力Fを適切に得るために
rよりも大きくなくてはならないが、rよりも大きな過
剰なRが安全因子を越えた場合、(1)上述した好まし
くない摩擦が生じ、摩耗が増大し、(2)スペースを無
駄にし、(3)F−FgaまたはFが大きすぎて摩
擦が増大することを意味する。しかしながら、Rの最終
的な配分は、装置の予測される全ての限界点の分析に応
じて決定される。ところで、環状室40は旋回スクロー
ル21の軸線Z−Zに対して偏心配置されているので、
軸線方向の力Fpは実際にはこの軸線Z−Zから外れた
固定スクロール20の軸線Y−Yに作用することにな
る。しかし、これら軸線間の距離は非常に小さく、これ
によって生じるモーメントは僅かなものであるから、以
上のモーメントの釣り合いを考える場合、軸線方向の力
Fpが軸線Z−Z上に作用するものとして差し支えな
【0024】まず、軸線方向の変位可能なスクロール装
置の各予測動作点のクランク角におけるFgt、Fga及び
pの値の設計及びまたは計算することにより、旋回ス
クロールのフロアまたは板110の形状は、最初に、図
12に示すように、例えば3.5インチの均一な基準半
径Rを持つフロアを設計することによって最適化され
る。全てのクランク角においてそれぞれの予測される動
作状態を考慮して、材料が増減される(即ち、Rが増減
される)。この増減は、以下の関係を満足するように行
われる。
【0025】
【数2】
【0026】さらに、安全因子または距離δを考慮し
て、全てのクランク角におけるそれぞれの予測動作状態
においてR−r≧δを満足するように設定される。最終
形状は、滑らかな曲線となることが好ましい。しかしな
がら。図12に示すように、rはクランク角220゜乃
至340゜の範囲を除いて一定であり、240゜乃至3
00゜の範囲のみでrが3.5インチよりも大きくなる
ので、得られる形状は、240゜の角度範囲では半径が
一定であり、60゜乃至120゜の範囲で半径が増加さ
れた形状となる。従って、最終形状は、図14において
符号121で示すように小さな半径を拡大した部分と残
りの半径を一定にした部分を持つ形状となる。半径を増
加させることにより、ワイヤ、センサ等の設置スペース
が減少するので、図5に示すように、旋回スクロール2
1は、見かけの3.5インチの半径を持つとともに、公
称90゜の範囲の半径を拡大した部分を与えられる。さ
らに、この半径を増加した部分の対称位置に材料を減少
した部分を設けて、摩擦を軽減するとともに、ワイヤ、
センサ等の付帯する部材の設置スペースを確保する。こ
の場合、材料を減少させる部分の形成位置は、バランス
上半径を増加した位置に対して中心軸線に対して対称位
置とすることが望ましいが、この位置をいずれの位置と
することも可能である。
【0027】
【発明の効果】上記のように、本発明によれば、安定性
を増大するとともに、全体及び平均のクランプ力及び反
力を減少する旋回スクロールを提供することが出来、ス
クロールコンプレッサの部材の接触による摩耗及び摩擦
を、全体のクランプ力及び反力を減少させることによっ
て減少させることが出来る。
【0028】また、本発明によれば、軸線方向に変位可
能な旋回スクロールのスクロールフロアを空間的に最適
化することにある。
【図面の簡単な説明】
【図1】固定スクロールと旋回スクロールのラップの相
対動作位置関係を示す概略図である。
【図2】固定スクロールと旋回スクロールのラップの相
対動作位置関係を示す概略図である。
【図3】固定スクロールと旋回スクロールのラップの相
対動作位置関係を示す概略図である。
【図4】固定スクロールと旋回スクロールのラップの相
対動作位置関係を示す概略図である。
【図5】本発明による旋回スクロールの形状を示す平面
図である。
【図6】本発明を用いたスクロールコンプレッサのスク
ロール部分の断面図である。
【図7】旋回スクロールに作用する力を示す図である。
【図8】本発明の旋回スクロールに作用する力を示す縦
断面図である。
【図9】モーメントとクランク角の関係のプロットを示
す図である。
【図10】反力とクランク角の関係を示す図である。
【図11】室40の圧力とクランク角との関係を三つの
限界動作点または状態で示す図である。
【図12】半径rとクランク角との関係を示す図であ
る。
【図13】図7に図5を重ね合わせて示す図である。
【図14】図5と同様で、半径の増加部分のみを持つ旋
回スクロールの平面図である。
【符号の説明】
20 固定スクロール 21 旋回スクロール 22,23 ラップ 40 室 110 スクロール板またはフロア

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第一及び第二のスクロール部材を有し、
    前記第二のスクロール部材が前記第一のスクロール部材
    に対して旋回運動し、圧縮工程において前記第一及び第
    二のスクロール部材が協働してガスを圧縮し、圧縮され
    たガスが前記第一及び第二のスクロール部材に軸線方向
    の第一及び第二のスクロールを分離させる方向に力を作
    用させるとともに、前記第二のスクロール部材の旋回連
    動に対して抵抗として作用し、かつ前記第1及び第2ス
    クロール部材の軸間中点の旋回軌道に対して接線方向に
    作用する力を生じさせるように構成され、前記第二のス
    クロール部材は、軸線と第一及び第二の側を持つ板部材
    と、前記第一の側に延設された螺旋状のラップと、前記
    第二の側に延設され、軸受に支持されたハブと、前記第
    二の側に軸線方向の変位力を作用させる手段とによって
    構成され、前記板部材は、前記軸線に対して、 r=(Fgtl)/(F−Fga) ここで、Fgtはガスの接線方向の力、 lはガスの接線方向の力が作用する位置とベアリングの
    反力が作用する位置間の軸線方向の距離、 Fは軸線方向の変位力、 Fgaはガスの軸線方向の力、 の関係に従って前記軸線に対して半径を変化させるよう
    に形成されていることを特徴とするスクロール装置。
  2. 【請求項2】 軸線と、板部材と、該板部材から延長形
    成された螺旋状ラップとによって構成され、前記板部材
    が前記軸線に対して変化する半径を有しており、該半径
    は、合計で少なくとも180°の角度範囲において互い
    に等しい半径を持つ二つの部分を有し、該二つの部分
    が、略直径方向に位置された二つの半径変化部分で分離
    されており、半径変化部分の一方は前記等しい半径を持
    つ部分よりも大きな半径を有し、他方が等しい半径を持
    つ部分よりも小さい半径を有していることを特徴とする
    スクロール装置の旋回スクロール。
  3. 【請求項3】 第一及び第二のスクロール部材を有し、
    前記第二のスクロール部材がクランクシャフト手段によ
    って駆動されて前記第一のスクロール部材に対して旋回
    運動し、圧縮工程において前記第一及び第二のスクロー
    ル部材がクランクシャフト手段の回転に応じて、相互に
    協働してガスを圧縮し、圧縮されたガスが前記第一及び
    第二のスクロール部材に軸線方向の第一及び第二のスク
    ロールを分離させる方向に力を作用させるとともに、前
    記第二のスクロール部材の旋回運動に対して抵抗として
    作用し、かつ前記第1及び第2スクロール部材の軸間中
    点の旋回軌道に対して接線方向に作用する力を生じさ
    せ、前記圧縮工程が全ての設計許容運転条件の限界内で
    行われるように構成され、前記第二のスクロール部材
    は、軸線と第一及び第二の側を持つ板部材と、前記第一
    の側に延設された螺旋状のラップと、前記第二の側に延
    設され、軸受に支持されたハブと、前記第二の側に軸線
    方向の変位力を作用させる手段とによって構成されてお
    り、前記板部材は前記軸線に対して実際の半径Rを設定
    されているスクロール装置において、前記第二のスクロ
    ールの外周形状を最適化するために、 各動作限界点における接線方向のガスの力Fgtと、軸
    線方向のガスの力Fga及び軸線方向の変位力Fを規
    定し、 クランクシャフトの回転における全てのクランク角を考
    慮して、前記軸線に対するクランク角に応じて変化する
    必要とされる半径rを、 r=(Fgtl)/(F−Fga) ここで、1は、ガスの接線方向の力が作用する位置とベ
    アリングの反力が作用する位置間の軸線方向の距離、 の関係を満足するように決定し、 安全距離δを設定し、 全てのクランク角において各予定される動作状態条件に
    おける実際の半径RがR−r≧δと成るように変化され
    ることを特徴とするスクロール装置における第二のスク
    ロールの外周形状を最適化する方法。
  4. 【請求項4】 実際の半径Rの変化による前記フロア部
    材の形状を平滑化することを含む請求項3の方法。
  5. 【請求項5】 実際の半径Rは増加する方向にのみ変化
    する請求項3の方法。
  6. 【請求項6】 実際の半径Rは、増加する部分と直径方
    向で増加部分にほぼ対応する部分でのみ減少するように
    変化する請求項3の方法。
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