JP2616294B2 - 冶金用コークスの品質改善方法 - Google Patents

冶金用コークスの品質改善方法

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JP2616294B2
JP2616294B2 JP3217940A JP21794091A JP2616294B2 JP 2616294 B2 JP2616294 B2 JP 2616294B2 JP 3217940 A JP3217940 A JP 3217940A JP 21794091 A JP21794091 A JP 21794091A JP 2616294 B2 JP2616294 B2 JP 2616294B2
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恵三 井上
邦彦 西岡
潔 三浦
和弥 上坊
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、冶金用コークスの冷
間強度を高めると共に、熱間でのCO2との反応性を低
下せしめ、高炉内における通気性を改善することができ
る冶金用コークスの品質改善方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に冶金用コークスは、高炉内での通
気性を確保するために、強度が高く、1000〜120
0℃の高温域でのCO2との反応性の低いものが要求さ
れ、しかも、できるだけ低コストで製造することが要求
されている。この冶金用コークスの製造コスト低減のた
めには、安価な低品位原料炭の使用、乾留熱量の低減が
最も有効であるが、これらはいずれも生成するコークス
の強度、反応性を悪化させる。このため、配合炭の石炭
化度と粘結性を所定範囲に調整する原料石炭の配合法、
原料石炭の粒度を調整する選択粉砕法、石炭系、石油系
ピッチ等を添加配合する粘結材添加法、配合炭の付着水
分を低減する調湿または予熱炭装入法、オイル添加、界
面活性剤添加による嵩密度向上法、加圧成型した成型炭
を配合炭に混合する成型炭配合法のほか、高速装入法や
加振レベラーによる窯内嵩密度向上均一化法、プログラ
ム加熱やポーズヒーティング等の燃焼方法等各種の技術
改善が実施されている。しかしながらこれらの方法はい
ずれも乾留前あるいは乾留中の改善方法であって、乾留
後の品質改善方法ではない。
【0003】近年コークス乾式消火設備が多くのコーク
ス製造所で採用されている。このコークス乾式消火設備
は、赤熱コークスの顕熱を回収して冷却する省エネルギ
ー設備であるが、冷却塔内での衝撃、摩耗などの機械的
作用と、乾式徐冷による熱的作用によって脆弱部分の粉
化除去や内部亀裂の減少などが起り、強度性状の向上、
整粒化が行われる。これは一種の乾留後の品質改善方法
である。一方、乾留後のコークス品質改善方法として
は、乾留により生成した赤熱コークスに対して、その冷
却過程において重質油をスプレーする方法(特公昭54
−156006号公報)、乾式冷却設備の冷却塔のプレ
チャンバー内に炭化水素化物を吹込んで炭化水素化物を
熱分解させる方法(特開昭63−8480号公報)等が
提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記特公昭54−15
6006号公報、特開昭63−8480号公報に開示の
方法は、重質油、炭化水素化物が赤熱コークス上で気相
熱分解し、生成した熱分解カーボンが赤熱コークスの表
面に付着すると共に、気孔や亀裂内部に侵入することに
よって、コークスの摩耗強度、圧潰強度および熱間反応
性を向上させ得るものである。しかしこれらの方法で
は、重質油、炭化水素化物を吹込んだ場合、循環冷却ガ
ス中に未分解の重質油タール、煤が混入し、熱回収ボイ
ラーの伝熱管表面に付着して熱回収効率を低下させ、ま
た、循環冷却ガスの除塵機としてバグフィルターを使用
の場合は、目詰りを引起こして循環系の圧損上昇を招
き、乾式消火設備の正常な運転が不可能となる欠点を有
している。
【0005】この発明の目的は、上記のように乾式消火
設備における炭化水素化物吹込みによるコークス品質改
善方法における欠点を解消し、安定的に熱回収を行いつ
つ、コークスの摩耗強度、圧潰強度および熱間反応性を
向上せしめることができる冶金用コークスの品質改善方
法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成すべく鋭意検討を重ねた。その結果、赤熱コーク
スを反応器上部から投入し、反応器上段に炭化水素化物
を吹込んで炭化水素化物を熱分解させ、下段には不活性
冷却ガスを循環せしめて赤熱コークスの顕熱を回収しつ
つコークスを冷却して排出させると共に、反応器上段お
よび下段でそれぞれ独立してガス循環を行うことによっ
て、前記欠点を解消できることを見い出し、この発明に
到達した。
【0007】すなわちこの発明は、上段第一の区域と下
段第二の区域からなる反応器の上部から赤熱コークスを
投入し、上段第一の区域に炭化水素化物を吹込んで炭化
水素化物を熱分解させ、下段第二の区域に不活性ガスを
循環せしめて赤熱コークスの顕熱を回収しつつコークス
を冷却して排出し、上段第一の区域と下段第二の区域で
それぞれ独立してガス循環を行うことにより、下段第二
の区域の循環ガス中への上段第一の区域からの未分解タ
ールおよび煤の混入を防止するのである。
【0008】
【作用】この発明における反応器の上段第一の区域と
は、乾式冷却設備に例えるならばプレチャンバーに相当
する部分で、吹込まれた炭化水素化物を赤熱コークス上
で気相熱分解させる区域をいう。また、反応器の下段第
二の区域とは、乾式冷却設備に例えるならばクーリング
チャンバーに相当する部分で、上段第一の区域に仕切無
しで接続しており、降下する赤熱コークスを冷却消火す
る区域をいう。第一の区域に投入されるコークス炉から
排出された赤熱コークスは、800〜1000℃の高温
であり、吹込まれた炭化水素化物は赤熱コークス上で気
相熱分解し、生成した熱分解カーボンが赤熱コークスの
表面に付着し、コークス表面の気孔や亀裂内部に侵入し
て充填するため、摩耗強度や圧潰強度が向上する。さら
に、コークス表面をコーティングする熱分解カーボン
は、易黒鉛化性の光学的高異方性カーボンで、CO2
2O等との反応速度が極めて小さく、高炉内でのこれ
らCO2やH2Oとの反応によるコークスの小塊化、粉化
を抑制することができる。これは一種のCVD(Che
mical Vaper Deposition)法に
よるカーボンコーティング法であり、カーボン・カーボ
ン複合体であることから、極めて薄い付着厚みであって
も、強度向上効果および熱間反応性改善効果が極めて大
きいのである。
【0009】上段第一の区域に吹込む炭化水素化物とし
ては、重油、タール等の石油系分留油が好適であるが、
メタン、プロパン、天然ガス等の炭化水素ガス、ヘプタ
ン、ヘキサン、ベンゼン、トルエン等の飽和、不飽和炭
化水素、ナフサ、軽油等の石油系分留油およびその残
渣、粗軽油、ナフタリン油、吸収油、アントラセン油、
コールタール等の石炭系分留油およびその残渣ならびに
石炭液化油等の一種または混合物であっても同様の効果
を得ることができる。炭化水素化物の吹込み量は、熱分
解後の付着カーボン量が付着するコークス重量当り10
%以下で十分であり、望ましくは2%以下、0.5%程
度が良い。これはコークスの品質改善効果は、コークス
への付着カーボン量が2%以下、0.5%程度でも十分
認められることによる。
【0010】炭化水素化物の熱分解に同時に発生するH
2、CH4等の分解ガスおよび未分解タール・煤は、上段
第一の区域から抜出して冷縮器、ベンチュリスクラパー
等の既存脱タール、脱塵手段によって除去し、一部を低
カロリーの燃料ガスとして回収し、残部を上段第一の区
域の循環ガスとして用いる。これによって下段第二の区
域の循環冷却ガス中への未分解タール・煤の混入が防止
され、熱回収ボイラーの伝熱管表面への付着による熱回
収効率の低下、あるいはバグフィルター使用の場合の目
詰りによる冷却ガス循環系の圧損上昇を防止でき、安定
的に熱回収を行うことができる。上段第一の区域に仕切
無しで接続する下段第二の区域は、不活性ガスの循環に
よって赤熱コークスの顕熱を回収しつつ、コークスを冷
却して下部から排出する。
【0011】
【実施例】
実施例1 以下にこの発明の詳細を実施の一例を示す図1に基づい
て説明する。図1はこの発明方法を実施する装置の一例
を示す系統図である。図1において、1は反応器で、上
段第一の区域2に仕切無しで接続する下段第二の区域3
から構成されている。上段第一の区域2の上部には赤熱
コークス装入口4が設けられ、コークス炉の窯出し作業
に合わせ不連続な装入、間断時間の赤熱コークス投入無
しを補償できる容積に設計されている。下段第二の区域
3の下部には冷却完了したコークスを概ね連続的に排出
する排出口5が設けられている。上段第一の区域2の上
部周囲には、小煙道6が設けられ、散布ノズル7を介し
て赤熱コークス上に噴霧された軟ピッチ8の熱分解によ
り発生したH2、CH4等の分解ガスおよび未分解タール
・煤は小煙道6から循環ブロワ9により抜出され、ベン
チュリスクラバー10によりタール・煤が除去されたの
ち、軟ピッチ8と共に散布ノズルから上段第一の区域2
に循環される。
【0012】また、下段第二の区域3は、上段第一の区
域2から緩衝帯11を経由して降下する赤熱コークスの
冷却帯で、下段第二の区域3の小煙道12から循環ブロ
ワ13により抜出された窒素ガス等の冷却不活性ガス
は、一次除塵器14により除塵されたのち、熱回収ボイ
ラー15で熱交換して冷却され、サイクロン16で再度
除塵され下部送風口17から下段第二の区域3に循環さ
れるよう構成されている。
【0013】上記のとおり構成されているから、コーク
ス炉から窯出しされ、反応器1の上段第一の区域2に赤
熱コークス装入口4から装入された赤熱コークスには、
散布ノズル7を介して軟ピッチ8がコークス投入時期を
除き間欠的に散布される。上段第一の区域2内は、80
0〜1000℃の高温であるから、軟ピッチ8は赤熱コ
ークス上で気相熱分解し、生成した熱分解カーボンが赤
熱コークス表面に付着し、コークス表面の気孔や亀裂に
侵入して充填する。同時に発生する約800℃のH2
CH4等の分解ガスおよび未分解タール・煤は、小煙道
6から循環ブロワ9により抜出され、ベンチュリスクラ
バー10によりタール・煤を除去し、冷却したのち、一
部が管路18により回収され、残部は軟ピッチ8と共に
散布ノズル7から上段第一の区域2に約200℃で循環
される。
【0014】熱分解カーボンが表面に付着した赤熱コー
クスは、緩衝帯11を経由して下段第二の区域3に降下
し、下部送風口17から下段第二の区域3に循環される
冷却不活性ガスと熱交換して冷却され、約200℃で下
部排出口5から概ね連続的に排出される。赤熱コークス
と熱交換して約800℃となった冷却不活性ガスは、小
煙道12から循環ブロワ13により抜出され、一次除塵
器14で除塵されたのち、熱回収ボイラー16で熱回収
されて冷却され、サイクロン16で再度除塵されたのち
下部送風口17から下段第二の区域3に循環される。
【0015】したがって、下段第二の区域3の下部排出
口5から排出されるコークスは、表面の気孔や亀裂には
熱分解カーボンが侵入して充填されており、しかも、反
応器1内を降下する間の衝撃、摩耗などにより脆弱部分
が粉化除去されており、冷間強度ならびに熱間反応性が
大幅に改善される。
【0016】実施例2 コークス処理能力10T/H、上段第一の区域の循環風
量1000Nm3/H、下段第二の区域の循環風量20
000Nm3/Hとした図1に示す反応器に、表1に示
す性状の軟ピッチを0.2T/Hで吹込み、コークスの
強度改善試験を実施した。その結果、長期間安定的な操
業が可能であった。また、得られたコークスは、JIS
K2151・6、2で測定した150回転後の15m
m指数は81.1から83.3に向上し、小型熱間反応
性試験での反応量は、38.7から29.6に低下し、
反応後強度は、47.0から58.3に向上した。ま
た、比較のため、上段第一の区域の循環を行わなかった
場合には、約48時間後に熱回収ボイラーの圧損が上昇
すると共に、熱効率が低下しボイラー出口ガス温度が上
昇し安定操業が不可能であった。
【0017】
【表1】
【0018】
【発明の効果】以上述べたとおり、この発明方法によれ
ば、乾式消火設備における炭化水素化物吹込みによるコ
ークス品質改善方法における欠点を解消し、安定的に熱
回収を行いつつ、冶金用コークスの摩耗強度、圧潰強度
および熱間反応性を向上せしめることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明方法を実施する装置の一例を示す系統
図である。
【符号の説明】
1 反応器 2 上段第一の区域 3 下段第二の区域 4 赤熱コークス装入口 5 排出口 6、12 小煙道 7 散布ノズル 8 軟ピッチ 9、13 循環ブロワ 10 ベンチュリスクラバー 11 緩衝帯 14 一次除塵器 15 熱回収ボイラー15 16 サイクロン 17 下部送風口
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 上坊 和弥 大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友金属工業株式会社内 (56)参考文献 特開 昭63−8480(JP,A) 特開 昭53−127502(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 上段第一の区域と下段第二の区域からな
    る反応器の上部から赤熱コークスを投入し、上段第一の
    区域に炭化水素化物を吹込んで炭化水素化物を熱分解さ
    せ、下段第二の区域に不活性ガスを循環せしめて赤熱コ
    ークスの顕熱を回収しつつコークスを冷却して排出し、
    上段第一の区域と下段第二の区域でそれぞれ独立してガ
    ス循環を行うことにより、下段第二の区域の循環ガス中
    への上段第一の区域からの未分解タールおよび煤の混入
    を防止することを特徴とする冶金用コークスの品質改善
    方法。
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