JP2605548B2 - パワータイト機のトルク検定方法 - Google Patents

パワータイト機のトルク検定方法

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JP2605548B2
JP2605548B2 JP16227092A JP16227092A JP2605548B2 JP 2605548 B2 JP2605548 B2 JP 2605548B2 JP 16227092 A JP16227092 A JP 16227092A JP 16227092 A JP16227092 A JP 16227092A JP 2605548 B2 JP2605548 B2 JP 2605548B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】このは発明は、石油採掘に使用さ
れる油井管の一端にカップリングをねじ込むパワータイ
ト機の締付けトルク検出器のトルク検定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、JIS G 3439に規定の
油井用継目無鋼管は、両端にねじを切り、一端にカップ
リングを機械締めでねじ込み、カップリングをねじ込ま
ない他端およびカップリングには保護具を取付けるよう
規定されている。このような鋼管の先端ねじ部にカップ
リングを規定トルクでねじ込むパワータイト機は、例え
ば、図4に示すとおり、カップリングチャック部32を
有するパワータイト機本体31と、カップリングチャッ
ク部32を回転させる電動機33と、先端にカップリン
グ35をハンドタイトで締付けた対象鋼管36を固定す
るパイプチャック部34からなり、パイプチャック部3
4には締付けトルクを検出するためのトルク検出器37
が設置されている。
【0003】前記パワータイト機による対象鋼管36ね
じ部へのカップリング35の締付けは、カップリング3
5を予めハンドタイトでねじ部に一定量締付けた対象鋼
管36を、パイプチャック部34側から挿入してカップ
リング35をパワータイト機本体31のカップリングチ
ャック部32内に挿入したのち、パイプチャック部34
およびカップリングチャック部32を閉じて対象鋼管3
6を固定する。ついで電動機33を起動して出力軸を介
してパワータイト機本体31のカップリングチャック部
32を回転させ、パイプチャック部34で固定された対
象鋼管36にカップリングチャック部32で固定したカ
ップリング35を所定トルクで締付ける。また、逆にカ
ップリング35を締戻す場合は、カップリングチャック
部32の回転方向を反転して行う。
【0004】上記鋼管ねじ部へのカップリングの締付け
トルクは、パイプチャック部34に設けたトルク検出器
37によるトルク検出値に基いて、トルク・タイム制御
法またはトルク・ターン制御法により実施されている。
トルク・タイム制御法は、図5(a)図に示すとおり、
測定開始を決めるためのスレッシュホールドレベルAに
トルク検出器の出力値が到達すると、制御装置のトルク
検出を開始し、高速から低速に変更する時のトルクBで
電動機出力軸回転速度を高速から低速に切替え、目標ト
ルクCに到達すると、電動機を停止させ、カップリング
チャックおよびパイプチャックを開放する。この時の締
付けトルクが斜線部のMINないしMAXの範囲であれ
ば、カップリング締付け制御を正常とし、斜線部を外れ
ると締付け不良と判定する。トルク・ターン制御法は、
図5(b)図に示すとおり、測定開始を決めるためのス
レッシュホールドレベルAにトルク検出器の出力値が到
達すると、制御装置のトルクおよびターン検出を開始
し、高速から低速に変更する時のトルクBで電動機出力
軸回転速度を高速から低速に切替え、低速締付けを継続
して検出トルクがMINないしMAXトルク設定値内に
到達し、かつターン検出がMINないしMAXターンの
範囲内に入った時点で、電動機を停止させ、カップリン
グチャックおよびパイプチャックを開放する。この時の
締付けトルクおよびターンが斜線部の範囲であれば、カ
ップリング締付け制御を正常とし、斜線部を外れると締
付け不良と判定する。この場合におけるカップリングチ
ャックのターン数検出は、パルスジェネレータにより伝
達軸を介して行われる。
【0005】また、前記鋼管ねじ部へのカップリングの
締付けトルク制御には、逆にカップリングを対象鋼管か
ら締戻すことがある。この目的としては、カップリング
締付け後のねじ部表面疵を検査するため(操業開始時に
数本実施する)とカップリング不良が発生して締付けト
ルクチャート形状が異常を示し、カップリングを取替え
するために締戻す。このカップリングを締戻す場合、締
戻しトルク(Break out torque)が発
生し、この出力も管理対象となる。このようにパワータ
イト機のトルク管理は、締付け、締戻しトルクで行われ
る。
【0006】上記パワータイト機のトルク管理において
は、トルク検出器の検定は重要な要素の一つである。す
なわち、基準トルクセンサーとトルク検出器との比較検
定を行い、許容値を外れる場合は、トルク検出器用アン
プゲインを調整し、パワータイト機の総合的なトルク管
理を行う(1回/年)。また、対象鋼管およびカップリ
ングの固定は、パイプチャックおよびカップリングチャ
ックの各々3個の爪によって行われるが、爪が摩耗によ
りすり減るとチャック性能が低下する。この場合、トル
ク検出器のトルク検定を行うと、チャック爪が摩耗して
いる場合は、カップリングチャックを回転し、締付けト
ルクを発生させると、対象鋼管がすべってトルク検出器
のトルクが規定トルクまで上昇しないことを基準トルク
センサーにより検出でき、チャック爪の摩耗を検出する
ことができる。さらに、トルク検出器の検定は、客先か
ら指定される場合があり、トルク検定が必要となってい
る。
【0007】従来、パワータイト機のトルク検出器の検
定は、パイプチャック部とカップリングチャック部間
に、検定用基準トルクセンサーを基準パイプを介してパ
イプチャック部とカップリングチャック部で固定し、電
動機を駆動して出力軸を回転させてカップリングチャッ
ク部に一定負荷をかけ、検定用基準トルクセンサーとト
ルク検出器の出力値の比較により検定を行っている。ま
た、他の方法としては、パワータイト機のパイプチャッ
ク部からトルク検出器を取外し、図6に示すとおり、荷
重試験機40に取外したトルク検出器37をセットし、
荷重を一定間隔で載荷してゆき検定する方法が実施され
ている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の検定用基準
トルクセンサーによるトルク検出器の検定方法では、電
動機により出力軸を回転させてカップリングチャック部
を回転させ、静的トルク検定をしようとして締付けトル
クを一定値に上昇させ、安定させようとしてもトルクが
不安定となり変動することは避けられない。そのため、
従来のトルク検出器の検定は、基準トルクセンサーの測
定値近傍まで締付けトルクを一気に上昇させ、基準トル
クセンサーとトルク検出器の締付けトルク上昇直線を電
磁オシログラフにより記録し、その両者のトルク値を例
えば100kg−m毎に読取り、精度検定を行ってい
る。このため、従来トルク検出器の静的トルク検定は、
行われていない。また、荷重試験機に取外したトルク検
出器をセットして検定する方法は、トルク検出器単体の
精度検定は可能であるが、前記したパワータイト機の機
械系のトラブルの検出は不可能である。
【0009】この発明の目的は、パワータイト機のトル
ク検出器のトルク検定において、出力軸を回転させてカ
ップリングチャック部の締付けトルクを一定値に上昇さ
せて安定させ、静的トルク検定を行うことができるトル
ク検定方法を用いる提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成すべく鋭意検討試験を重ねた。その結果、電動機
によるカップリングチャック部の回転に替えて、治具を
用いて電動機の出力軸を手動により回転させ、カップリ
ングチャック部を回転させて締付けトルクを上昇させれ
ば、検定トルクを安定させることができ、トルク検出器
の静的トルク検定が可能となるとの結論に至り、この発
明に到達した。
【0011】すなわちこの発明は、カップリングチャッ
ク部を有するパワータイト機本体と、カップリングチャ
ック部を回転させる電動機と、先端にカップリングをハ
ンドタイトで締付けた対象鋼管を固定するパイプチャッ
ク部と、パイプチャック部に設けたトルク検出器とから
なるパワータイト機のトルク検出器のトルク検定方法に
おいて、カップリングチャック部とパイプチャック部間
に両端に基準パイプを接続した基準トルクセンサーを配
設し、両端基準パイプをカップリングチャック部とパイ
プチャック部で固定し、上下に右ねじと左ねじを有する
スリーブにそれぞれロッドを螺合し、一方のロッド先端
に枢着したアームに半割の出力軸把持固定部材を設け、
他方のロッド先端に前記電動機の基台への枢着部を有す
る治具を用い、前記電動機の出力軸を電動機の基台へ枢
着した治具の出力軸把持固定部材で固定し、スリーブを
手動回転させてロッドを進出させて出力軸を回転させ、
カップリングチャック部を回転させ、基準トルクセンサ
ーとトルク検出器の出力値を制御装置に入力し、比較・
演算により基準トルクセンサーに対するトルク検出器の
誤差を検定するのである。
【0012】
【作用】この発明においては、上下に右ねじと左ねじを
有するスリーブにそれぞれロッドを螺合し、一方のロッ
ド先端に枢着したアームに半割の電動機の出力軸把持固
定部材を設け、他方のロッド先端に前記電動機の基台へ
の枢着部材を設けた治具を用い、パワータイト機のパイ
プチャック部に設けたトルク検出器の検定を行うに先立
ち、スリーブに螺合した他方のロッド先端の枢着部材を
電動機の基台に枢着し、一方のロッド先端に枢着したア
ームに設けた半割の出力軸把持固定部材を電動機の出力
軸に嵌合わせて固定する。そしてスリーブを手動で回転
させれば、上下の右ねじと左ねじに螺合した各ロッドが
進退するから、出力軸把持固定部材で固定した電動機の
出力軸が回転され、カップリングチャック部を回転させ
て締付けトルクを負荷することができる。
【0013】このパワータイト機のトルク検定において
は、治具による電動機出力軸回転によるカップリングチ
ャック部の回転と、パイプチャック部の片側パイプ固定
によって締付けトルクが発生し、検定用基準トルクセン
サーおよび被検定対象トルク検出器に伝達され、各々の
出力信号を制御装置に入力し、静的検定を行うことがで
きる。この各々の出力信号を制御装置により比較・演算
し、検定用基準トルクセンサーに対する被検定対象トル
ク検出器の誤差を算出することによって検定を行うこと
ができる。
【0014】
【実施例】以下にこの発明の詳細を実施の一例を示す図
1ないし図3に基いて説明する。図1はこの発明の治具
を用いたパワータイト機のトルク検出器のトルク検定方
法の説明図、図2はこの発明方法で使用する治具を示す
もので、(a)図は治具をセットした状態の正面図、
(b)図は電動機の出力軸を回転させた状態の正面図、
図3は検出トルクのチャートを示すもので、(a)図は
この発明のトルク検定方法の場合、(b)図は従来の電
動機によるトルク負荷をかけた場合を示す。
【0015】図1において、1はカップリングチャック
部2を有するパワータイト機本体、3はカップリングチ
ャック部2を回転させる電動機、4は締付けトルクを検
出するトルク検出器7を有するパイプチャック部で、8
は両側に基準パイプ9を連結した検定用の基準トルクセ
ンサーで、トルク検出器7のトルク検定を実施する場合
は、両側の基準パイプ9をカップリングチャック部2と
パイプチャック部4で固定する。そして電動機3の出力
軸21を治具25により回転させれば、カップリングチ
ャック部2が回転し、基準トルクセンサーおよびトルク
検出器7に検定トルクが負荷されるよう構成する。
【0016】治具25は、図2に示すとおり、上下に右
ねじと左ねじを有するスリーブ11の上側にロッド12
を螺合し、該ロッド12先端に枢軸14によりアーム1
3の一端を回動自在に枢着し、アーム13の他端には、
締付ボルト15により締結できる半割の電動機の出力軸
把持固定部材16が設けられている。スリーブ11の下
側にはロッド17が螺合され、該ロッド17先端は電動
機の基台18に設けた取付部材19に枢軸20により枢
着可能に構成されている。なお、22は出力軸21のカ
ップリング用のキー、23はスリーブ11を回転させる
ハンドルである。
【0017】この発明方法によりパワータイト機のパイ
プチャック部に設けたトルク検出器のトルク検定を行う
場合は、図1に示すとおり、パイプチャック部4とカッ
プリングチャック部2間に、検定用基準トルクセンサー
8を基準パイプ9を介してパイプチャック部4とカップ
リングチャック部2で固定し、電動機3の出力軸21に
治具25を図2(a)図に示すとおりセットし、ハンド
ル23によりスリーブ11を回転させてロッド12、1
7を進出させると、ロッド17先端は電動機3の基台1
8に設けた取付部材19に枢軸20により枢着されてい
るから、図2(b)図に示すとおり、電動機3の出力軸
21が回動し、カップリングチャック部2を回動させて
基準パイプ9に一定負荷がかかる。一方基準パイプ9の
一端はパイプチャック4で固定されているから、締付け
トルクが発生する。この締付けトルクは、検定用基準ト
ルクセンサー8とトルク検出器7により検出され、制御
装置26に入力される。制御装置26は、検定用基準ト
ルクセンサー8とトルク検出器7から入力される締付け
トルクを比較・演算し、検定用基準トルクセンサー8に
対するトルク検出器7の誤差を算出し、検定を行うので
ある。
【0018】この発明方法の場合は、治具による手動で
のカップリングチャック部回転によるトルク上昇である
から、図3(a)図に示すとおり、検定トルクT1、T2
が安定し、静的トルク検定を行うことが可能となる。こ
れに対し前記従来法の電動機の回転によるトルク検定に
おいては、電動機によるカップリングチャック部回転に
よるトルク上昇であるから、図3(b)図に示すとお
り、検定トルクT1、T2が不安定となってばらつき、静
的トルク検定を行うことができない状態となる。
【0019】本発明方法によるパワータイト機のトルク
検出器の検定を実施したところ、検定精度が従来法の±
20kgmから±4kgmに向上した。また、トルク上
昇およびトルク下降時のトルク検定再現性も±4kgm
の範囲で実施することができた。その上、検定トルクが
安定したため、検定時間を20%短縮することができ
た。
【0020】
【発明の効果】以上述べたとおり、この発明方法によれ
ば、パワータイト機のトルク検出器の検定を、静的トル
ク検定により実施することができ、検定精度ならびトル
ク検定再現性を大幅に向上できる。その上、検定時間を
短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の治具を用いたパワータイト機のトル
ク検出器のトルク検定方法の説明図である。
【図2】この発明方法で使用する治具を示すもので、
(a)図は治具をセットした状態の正面図、(b)図は
電動機の出力軸を回転させた状態の正面図である。
【図3】検出トルクのチャートを示すもので、(a)図
はこの発明のトルク検定方法の場合、(b)図は従来の
電動機によるトルク負荷をかけた場合を示す。
【図4】パワータイト機の全体構成図である。
【図5】従来のパワータイト機のトルク制御方法の説明
図で、(a)図はトルク・タイム制御法、(b)図はト
ルクターン制御法を示す。
【図6】従来の荷重試験器によるトルク検出器の検定方
法の説明図である。
【符号の説明】
1,31 パワータイト機本体 2,32 カップリングチャック部 3,33 電動機 4,34 パイプチャック部 5,35 カップリング 6,36 対象鋼管 7,37 トルク検出器 8 基準トルクセンサー 9 基準パイプ 11 スリーブ 12,17 ロッド 13 アーム 14,20 枢軸 15 締付けボルト 16 出力軸把持固定部材 18 基台 19 取付け部材 21 出力軸 22 キー 23 ハンドル 25 トルク検定治具 26 制御装置

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カップリングチャック部を有するパワー
    タイト機本体と、カップリングチャック部を回転させる
    電動機と、先端にカップリングをハンドタイトで締付け
    た対象鋼管を固定するパイプチャック部と、パイプチャ
    ック部に設けたトルク検出器とからなるパワータイト機
    のトルク検出器のトルク検定方法において、カップリン
    グチャック部とパイプチャック部間に両端に基準パイプ
    を接続した基準トルクセンサーを配設し、両端基準パイ
    プをカップリングチャック部とパイプチャック部で固定
    し、上下に右ねじと左ねじを有するスリーブにそれぞれ
    ロッドを螺合し、一方のロッド先端に枢着したアームに
    半割の出力軸把持固定部材を設け、他方のロッド先端に
    前記電動機の基台への枢着部を有する治具を用い、前記
    電動機の出力軸を電動機の基台へ枢着した治具の出力軸
    把持固定部材で固定し、スリーブを手動回転させてロッ
    ドを進出させて出力軸を回転させ、カップリングチャッ
    ク部を回転させ、基準トルクセンサーとトルク検出器の
    出力値を制御装置に入力し、比較・演算により基準トル
    クセンサーに対するトルク検出器の誤差を検定すること
    を特徴とするパワータイト機のトルク検定方法。
JP16227092A 1992-05-27 1992-05-27 パワータイト機のトルク検定方法 Expired - Lifetime JP2605548B2 (ja)

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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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