JP2603183Y2 - 自走式廃材破砕処理装置のコンベア収納引出し構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この考案は破砕物払出し用コンベ
アを有する自走式廃材破砕処理装置のコンベア収納引出
し構造に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】自走式台車にクラッシャと破砕物の払出
し用コンベア等を搭載した廃材破砕処理装置において
は、破砕処理作業中は破砕処理した破砕物をコンベアか
ら払出す一方で、この払出された破砕物を油圧ショベル
等ですくいとってトラック等への積み込み作業を行う。
このとき払出しコンベアが前記油圧ショベルの作業の支
障にならないようにするためには、払出しコンベア先端
高さを極力高くする必要があり、このために長尺の傾斜
型払出しコンベアが必要である。しかしながら廃材破砕
処理装置をトレーラー等に乗せて一般道路を輸送運搬す
る際、道路交通法で高さや長さの制限があるため、コン
ベアを長尺にするとしても、その背丈や長さには限度が
ある。

【０００３】このためコンベアを昇降装置によってコン
ベアを上下に起伏させ、輸送時にはコンベアを倒してコ
ンベア先端高さを低くすることが可能なものがある（例
えば、実開昭６４−３２７４４号参照）。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】しかし払出しコンベア
が長尺の場合、コンベアが荷台から後方へ張り出して道
路交通の支障となり、危険が伴うのみならず、輸送には
長尺の荷台を有する大型トレーラーや大型のトラックが
必要で、輸送に多額の費用がかかり、かつ狭い道路への
搬入が困難である。

【０００５】またこれを避けるために、輸送時はコンベ
アを取り外して別々に搬送し、再び次の現場でコンベア
を取付けて復旧するといった方法をとる場合もあるが、
輸送と分解復旧等の作業に多大の時間と費用とがかかっ
ている。

【０００６】この考案は上記従来の欠点を解決するため
になされたものであって、その目的は、廃材破砕処理装
置の輸送時に、払出しコンベアを取り外すことなく走行
台車の下部に収納して輸送時の姿をコンパクトにすると
共に、輸送の準備作業と現地での復旧作業が短時間で簡
単に行え、かつこれらの作業をコンベア昇降機により行
えるようにして省力化し、作業性と機動性とに優れた自
走式廃材破砕処理装置のコンベア収納引出し構造を提供
することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】そこで請求項１の自走式
廃材破砕処理装置のコンベア収納引出し構造は、自走式
走行台車に廃材破砕処理用のクラッシャと破砕物払出し
コンベア等を搭載した自走式廃材破壊処理装置におい
て、走行台車の下部にガイド部を設け、このガイド部に
払出しコンベアの両側を前後方向に摺動自在に保持する
と共に、コンベアの後方移動位置においては、該コンベ
アを収納状態となす一方、コンベアの前方突出位置にお
いては、該コンベアのそれ以上の前方への突出をストッ
パによって規制すると共に、その位置では枢支部を介し
て起伏回動可能となし、さらに上記コンベアを起伏回動
させるためのコンベア昇降機を設け、上記コンベアにお
ける後方位置には引出用ワイヤ係止部を、またそれより
も前方位置には収納用ワイヤ係止部をそれぞれ設け、上
記コンベア昇降機のコンベア起伏ワイヤを上記引出用ワ
イヤ係止部に係止した状態での昇降機の巻込み動作によ
り上記コンベアを前方へと引出す一方、上記コンベア起
伏ワイヤを上記収納用ワイヤ係止部に係止した状態での
昇降機の巻込み動作により上記コンベアを後方へと収納
することを特徴としている。

【０００８】また請求項２の自走式廃材破砕処理装置の
コンベア収納引出し構造は、上記コンベアは、中間に設
けたヒンジ機構を介して先端側を上方に折曲げ可能に構
成され、上記ヒンジ機構よりも後方側に上記引出用ワイ
ヤ係止部が、またそれよりも前方側に上記収納用ワイヤ
係止部が設けられていることを特徴としている。

【０００９】さらに請求項３の自走式廃材破砕処理装置
のコンベア収納引出し構造は、上記コンベア起伏ワイヤ
は、上記コンベアの引出し動作時には上記引出用ワイヤ
係止部に回転自在に接続され、またコンベアの収納動作
時には上記収納用ワイヤ係止部を中継してから上記引出
用ワイヤ係止部に接続されることを特徴としている。

【００１０】請求項４の自走式廃材破砕処理装置のコン
ベア収納引出し構造は、上記収納用ワイヤ係止部は、コ
ンベアの側部から上方へ延びる脚部と、この脚部から水
平方向に延びる水平部より成る片持ち梁構造とし、上記
水平部に対して反脚部側からコンベア起伏ワイヤを中
継、係合可能にしていることを特徴としている。

【００１１】

【作用】請求項１の自走式廃材破砕処理装置のコンベア
収納引出し構造においては、コンベアを走行台車の下部
に収納できるようにしてあるので、コンパクトな荷姿で
の輸送を行うことが可能となる。またコンベアの収納、
引出し作業は、コンベア起伏ワイヤの係止状態を変更す
るだけの作業でもって、コンベア昇降機の動力で略自動
的に行える。

【００１２】請求項２の自走式廃材破砕処理装置のコン
ベア収納引出し構造においては、コンベアを折曲した状
態で収納可能であることから、荷姿をより一層コンパク
トにすることができる。

【００１３】請求項３の自走式廃材破砕処理装置のコン
ベア収納引出し構造においては、コンベア起伏ワイヤの
係止状態を変更するだけの簡単な作業でもって、引出し
動作と収納動作との切換えが行える。

【００１４】請求項４の自走式廃材破砕処理装置のコン
ベア収納引出し構造においては、上記コンベア起伏ワイ
ヤの収納用ワイヤ係止部への係止作業が容易に行えるこ
とになる。

【００１５】

【実施例】次にこの考案の自走式廃材破砕処理装置のコ
ンベア収納引出し構造の具体的な実施例について、図面
を参照しつつ詳細に説明する。

【００１６】図１及び図２において、１は走行台車であ
り、この走行台車１上に廃材破砕用のクラッシャ２が搭
載されている。このクラッシャ２は、エンジン駆動油圧
ポンプ３によって駆動されるモータ４により、プーリ
５、Ｖベルト６、フライホイール７等を介して駆動され
るもので、その上部には廃材投入用のホーパー８が、ま
たその下部には破砕物排出用のシュート９がそれぞれ設
けられている。上記走行台車１は、その下部に左右一対
の履帯１０、１０を有しており、走行台車１の下部にお
いて、走行履帯１０、１０間に配設したガイド部１１、
１１に、破砕物払出しコンベア１２が前後方向に摺動自
在に保持されている。

【００１７】上記ガイド部１１、１１は、図２に明らか
なように、断面コ字状の部材を相対向して平行に配置し
た構造を有するものである。また上記払出しコンベア１
２は、その両側部に複数の摺動部材（又はガイドロー
ラ）１３を突設した構造を有するもので、上記各摺動部
材１３が上記ガイド部１１、１１内に嵌入、配置されて
いるのである。上記払出しコンベア１２は、その中間部
にヒンジ部１４を有しており、このヒンジ部１４によっ
てコンベア１２の先端側を上方へと折曲げることができ
るようになっている。

【００１８】上記ガイド部１１と払出しコンベア１２の
さらに詳しい構造について、図３に基づいて説明する。
すなわちガイド部１１の先端側と払出しコンベア１２の
後方側には、それぞれストッパ１５、１６が形成されて
いて、両ストッパ１５、１６によって払出しコンベア１
２のそれ以上の先端側への突出が規制されているのであ
る。そして上記ガイド部１１のストッパ１５よりも先端
側の上面１７は切除されていて、上記払出しコンベア１
２の最突出状態において、該コンベア１２の最後尾に回
転可能に支持された摺動部材、又はガイドローラ（枢支
部）１８を中心として、水平状態よりも上側の位置にお
いて起伏回動し得るようになっている。

【００１９】また上記払出しコンベア１２においては、
図１及び図３に示すように、後方位置に引出用ワイヤ係
止部１９が、また前方位置に収納用ワイヤ係止部２０が
それぞれ形成されている。

【００２０】上記収納用ワイヤ係止部２０は、図４に示
すように、払出しコンベア１２の側部から上方に延びる
脚部２１と、この脚部２１から水平方向に延びる水平部
２２とより成る片持ち梁構造のもので、上記水平部２２
にはその先端に折返し部材２３が設けられている。なお
引出用ワイヤ係止部１９については図示してはいない
が、これはワイヤ端末の連結金具を回転自在に連結し得
る構造のものとしている。

【００２１】一方、上記走行台車１の前部には、図１に
示すように、コンベア昇降機２４が装着されており、コ
ンベア昇降機２４によってコンベア起伏ワイヤ２５の巻
込み、巻戻しが行えるようになっている。

【００２２】次に上記自走式廃材破砕処理装置の作動状
態について説明する。まず装置輸送時等、装置の非使用
状態においては、払出しコンベア１２は、その後半部が
上記ガイド部１１内に収納されると共に、ヒンジ部１４
よりも前半部は上方へと折曲された状態となっている。
そしてこの状態では、コンベア起伏ワイヤ２５の先端部
は上記引出用ワイヤ係止部１９に接続されると共に、そ
の途中が上記収納用ワイヤ係止部２０を経由した状態と
なされており、このようなワイヤ２５の張設状態によっ
て収納状態が維持されている。

【００２３】そして払出しコンベア１２を引出すのは、
次のような手順による。まず最初にコンベア昇降機２４
を巻戻してコンベア起伏ワイヤ２５を緩める。そうする
と払出しコンベア１２の前半部が次第に水平方向に回
動、下降していき、最終的には水平状態になる。そうす
ると今度は上記コンベア起伏ワイヤ２５を収納用ワイヤ
係止部２０から取外し、上記コンベア昇降機２４の巻込
みを開始する。上記コンベア起伏ワイヤ２５の先端は、
引出用ワイヤ係止部１９に接続されている訳であるか
ら、上記巻込み動作によって払出しコンベア１２は次第
に前方へと引出される。そして上記ガイド部１１と払出
しコンベア１２との両ストッパ１５、１６が当接した状
態にまで引出されると、今度は払出しコンベア１２の全
体が、図３に示すように上方へと回動していく。そして
所定角度にまで引上げられた段階で、コンベア昇降機２
４の動作を停止し、この状態でコンベア昇降機２４のブ
レーキで保持したり、あるいはロック部材を用いて払出
しコンベア１２を走行台車１に固定することにより払出
しコンベア１２の引出し作業を完了する。

【００２４】そしてこの状態において、クラッシャ２に
よって破砕された廃材破砕物が、シュート９から払出し
コンベア１２に供給され、払出しコンベア１２によって
所定位置まで搬送されるという通常の廃材破砕処理が行
われるのである。

【００２５】一方、上記払出しコンベア１２を収納する
のは、以下のような手順による。まず上記コンベア昇降
機２４を巻戻すことにより、払出しコンベア１２を水平
状態になるまで回動、下降させる。そしてその後、さら
にコンベア昇降機２４を巻戻すことによりコンベア起伏
ワイヤ２５をたるませ、その途中を上記収納用ワイヤ係
止部２０のローラ２３を経由させる。次いでコンベア昇
降機２４を巻込むと、払出しコンベア１２は今度は水平
状態を維持したまま後方へと移動していく。そして最終
端までの移動が終了すると、その後は払出しコンベア１
２の前半部が上方へと回動していき、これが所定角度ま
で回動した段階で払出しコンベア１２の収納作業を完了
するのである。

【００２６】なお上記収納用ワイヤ係止部２０は、図４
に示すような片持ち梁構造のものに代えて、図５に示す
ようなボルト取付けタイプの門型構造のものとしてもよ
い。また上記払出しコンベア１２の全長が比較的短い場
合には、上記ヒンジ部１４を省略して実施することも可
能である。

【００２７】

【考案の効果】以上のように請求項１の自走式廃材破砕
処理装置のコンベア収納引出し構造においては、コンベ
アを走行台車の下部に収納可能にしてあるので、輸送時
はコンベアを収納してコンパクトにすることができ、よ
り小型のトラック又はトレーラーで運ぶことができるた
め、輸送コストが安く、かつ狭い道路でも容易に搬入が
可能となる。またコンベアの収納、引出しの作業がコン
ベア昇降機によって行えるため、長尺で重量の重いコン
ベアでもこれらの作業が容易に行え、作業の省力化にな
る。

【００２８】請求項２の自走式廃材破砕処理装置のコン
ベア収納引出し構造においては、コンベアを折曲した状
態で収納可能であることから、荷姿をより一層コンパク
トにすることができる。

【００２９】請求項３の自走式廃材破砕処理装置のコン
ベア収納引出し構造においては、コンベア起伏ワイヤの
係止状態を変更するだけの簡単な作業でもって、引出し
動作と収納動作との切換えが行えるため、作業を一段と
省力化できる。

【００３０】請求項４の自走式廃材破砕処理装置のコン
ベア収納引出し構造においては、上記コンベア起伏ワイ
ヤの収納用ワイヤ係止部への係止作業が容易に行え、作
業能率が向上する。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の自走式廃材破砕処理装置のコンベア
収納引出し構造の一実施例を側面から示す概略構成図で
ある。

【図２】上記実施例を正面から示す概略構成図である。

【図３】上記実施例におけるガイド部と払出しコンベア
との関係を拡大して示す説明図である。

【図４】上記実施例における収納用ワイヤ係止部を示す
正面図である。

【図５】収納用ワイヤ係止部の変更例を示す正面図であ
る。

【符号の説明】

１ 走行台車 ２ クラッシャ １１ ガイド部 １２ 払出しコンベア １４ ヒンジ部 １５ ストッパ １６ ストッパ １８ 枢支部（ガイドローラ） １９ 引出用ワイヤ係止部 ２０ 収納用ワイヤ係止部 ２１ 脚部 ２２ 水平部 ２４ コンベア昇降機 ２５ コンベア起伏ワイヤ

Claims (4)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 自走式走行台車に廃材破砕処理用のクラ
   ッシャと破砕物払出しコンベア等を搭載した自走式廃材
   破壊処理装置において、走行台車の下部にガイド部を設
   け、このガイド部に払出しコンベアの両側を前後方向に
   摺動自在に保持すると共に、コンベアの後方移動位置に
   おいては、該コンベアを収納状態となす一方、コンベア
   の前方突出位置においては、該コンベアのそれ以上の前
   方への突出をストッパによって規制すると共に、その位
   置では枢支部を介して起伏回動可能となし、さらに上記
   コンベアを起伏回動させるためのコンベア昇降機を設
   け、上記コンベアにおける後方位置には引出用ワイヤ係
   止部を、またそれよりも前方位置には収納用ワイヤ係止
   部をそれぞれ設け、上記コンベア昇降機のコンベア起伏
   ワイヤを上記引出用ワイヤ係止部に係止した状態での昇
   降機の巻込み動作により上記コンベアを前方へと引出す
   一方、上記コンベア起伏ワイヤを上記収納用ワイヤ係止
   部に係止した状態での昇降機の巻込み動作により上記コ
   ンベアを後方へと収納することを特徴とする自走式廃材
   破砕処理装置のコンベア収納引出し構造。
2. 【請求項２】 上記コンベアは、中間に設けたヒンジ機
   構を介して先端側を上方に折曲げ可能に構成され、上記
   ヒンジ機構よりも後方側に上記引出用ワイヤ係止部が、
   またそれよりも前方側に上記収納用ワイヤ係止部が設け
   られていることを特徴とする請求項１の自走式廃材破砕
   処理装置のコンベア収納引出し構造。
3. 【請求項３】 上記コンベア起伏ワイヤは、上記コンベ
   アの引出し動作時には上記引出用ワイヤ係止部に回転自
   在に接続され、またコンベアの収納動作時には上記収納
   用ワイヤ係止部を中継してから上記引出用ワイヤ係止部
   に接続されることを特徴とする請求項１又は請求項２の
   自走式廃材破砕処理装置のコンベア収納引出し構造。
4. 【請求項４】 上記収納用ワイヤ係止部は、コンベアの
   側部から上方へ延びる脚部と、この脚部から水平方向に
   延びる水平部より成る片持ち梁構造とし、上記水平部に
   対して反脚部側からコンベア起伏ワイヤを中継、係合可
   能にしていることを特徴とする請求項３の自走式廃材破
   砕処理装置のコンベア収納引出し構造。