JP2603077B2 - カラーフィルターの製造方法 - Google Patents

カラーフィルターの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> この発明は、液晶表示装置などの各種表示装置に用い
られるカラーフィルターを少ない工程で精度よく製造す
ることのできるカラーフィルターの製造方法に関するも
のである。
<従来の技術> 従来、カラーフィルターにおいて高コンストラストを
得るには、画素と画素との間隔を埋めるための遮光性を
有するブラックマトリクスを形成することが良好である
とされてきた。
ブラックマトリクスを有するカラーフィルターを製造
する方法としては、ガラスなどの透明基板上にあらかじ
めITOなどのエッチング可能な導電膜を形成し、次にこ
の導電膜をブラックマトリクスの形状にエッチングによ
りパターン化し、その上にニッケルなどの金属にて無電
解メッキを施してブラックマトリクスを形成し、その後
カラーパターンを積層してカラーパターン層を形成する
方法があった。
また、他の製造方法としては、クロムなどの金属薄膜
層を透明基板上にスパッタリング法などで形成し、次い
でエッチングを行って金属薄膜層をパターン化してブラ
ックマトリクスとし、さらにカラーパターン層を積層す
る方法、透明基板上のブラックマトリクスを必要とした
い部分にレジストを形成し、スパッタリングを行って金
属薄膜層を形成し、レジストを除去して金属薄膜層をパ
ターン化してブラックマトリクスを形成し、その後カラ
ーパターン層を積層する方法などがあった。
<発明が解決しようとする問題点> しかし、上記したような方法によって形成された、ブ
ラックマトリクスを有するカラーフィルターは、ブラッ
クマトリクスである金属薄膜層が透明基板に直接または
導電膜を介して形成されているため、鏡面が形成される
ことになり、表示装置にこのカラーフィルターを組み込
み、表示される情報を目視した場合、その角度によって
は金属反射が生じて非常に目障りなものであった。
さらにまた、ブラックマトリクスを形成するための金
属薄膜層のパターン化においては、次のような問題点が
あった。
(i)レジストとして比較的高価な材料である感光性樹
脂を使用する必要があること。
(ii)透明基板あるいはカラーパターン層上にレジスト
を形成し、所定形状の開口パターンを有するマスクをこ
のレジスト上に載置し、露光・現像を行なうという、極
めて複雑な製造工程が必要となること。
(iii)レジストをパターン化する際、レジストと、透
明導電膜あるいはカラーパターン層との細かな見当合わ
せが必要であること。
(iv)前記のような工程の複雑化にともない、良品率が
低下すること。
この発明は以上のような欠点を解消し、少ない工程で
精度のよいカラーフィルターを製造することのできるカ
ラーフィルターの製造方法を提供することを目的とす
る。
<問題点を解決するための手段> このような問題点を解決するために、この発明は次の
ように構成した。すなわち、この発明は、透明基板上に
金属金属酸化物による活性膜層を設け、着色材を含むイ
ンキにてインキ層をパターン化して設け、着色材を活性
膜層中に移行させることにより活性膜層を着色し、イン
キ層が設けられていない活性膜層上およびインキ層上に
無電解メッキにより金属薄膜層を設け、活性膜層を封孔
し、インキ層およびインキ層上の金属薄膜層を除去する
ようにしたカラーフィルターの製造方法である。また、
透明基板上に金属酸化物による活性膜層を設け、着色材
を含むインキにてインキ層をパターン化して設け、イン
キ層が設けられていない活性膜層上およびインキ層上に
無電解メッキにより金属薄膜層を設け、着色剤を活性膜
層中に移行させることにより活性膜層を着色し、活性膜
層を封孔し、インキ層およびインキ層上の金属薄膜層を
除去するようにしたカラーフィルターの製造方法であ
る。
図面を用いてこの発明をさらに詳しく説明する。
第1図はこの発明のカラーフィルターの一実施例を示
す断面図、第2図はこの発明のカラーフィルターの製造
途中の状態を示す断面図である。1は透明基板、2は活
性膜層、3はインキ層、4は金属薄膜層、5は着色部で
ある。
透明基板1としては、液晶表示装置などの各種表示装
置に用いられるものでよく、通常はガラス板または合成
樹脂板や合成樹脂フィルムを用いることができる。
この透明基板1上に、活性アルミナや活性シリカなど
の金属酸化物による活性膜層2を形成する。活性膜層2
を形成するには、まず透明基板1の表面にコロイド性ア
ルミナやコロイド性シリカまたは有機金属化合物のゾル
状溶液などを塗布し、乾燥した後、350〜850℃で10〜18
0分間焼成すればよい。このようにして形成された活性
膜層2は透明でありかつ多数の微細孔が形成されてい
る。この微細孔が着色材の着色孔として機能する。な
お、透明性・表面硬度・着色材受容性などを考慮する
と、活性膜層2の層厚は0.5〜10μm、好ましくは1.5〜
5.0μmのものが望ましい。これは活性膜層2の層厚が
大きくなると白化して不透明となりやすく、また反対に
層厚が小さくなると着色材受容性が減少し、十分な着色
濃度が得られなくなるためである。
次に、活性膜層2上にインキ層3をパターン化して形
成する。インキ層3の形成方法としては、基板上にイン
キ層をパターン化して積層できる方法であればどのよう
な方法でもよく、印刷法あるいはスプレー法・ディッピ
ング法・手描き法・インクジェット法などを適宜用いる
ことができる。インキとしては、たとえば印刷法を用い
た場合、着色材とバインダーの混合物を用いる。着色材
としては、昇華性染料、熱溶融蒸気化する染料や顔料な
どを用いると効果的である。具体的には分散染料、金属
を含まない油溶性染料、カチオン染料などを単独あるい
は混合物として用いる。バインダーは、着色材と均一に
混合して着色材の分離や凝集を発生させず、着色材など
を混合したとき印刷適性が優れており、後工程である無
電解メッキに耐え得るものを用いる。このようなバイン
ダーとしては、ポリメチルメタアクリレート・塩ビ酢ビ
共重合樹脂・ポリオレフィン・各種セルロースなどの熱
可塑性樹脂、アルキッド樹脂・ロジン変性フェノール樹
脂などとアマニ油・大豆油などの乾性油あるいは半乾性
油とを混合した酸化重合型樹脂、メラミン・エポキシな
どの熱硬化型樹脂、ウレタンなどの2液硬化型樹脂、ポ
リエステルアクリレート・ウレタンアクリレート・ロジ
ン変性アクリレートなどの紫外線硬化型樹脂、あるいは
これらの混合物などを使用することができる。さらに必
要に応じて溶剤・分散剤・凝集防止剤・レベリング剤・
ドライヤー・乾燥抑制剤などをこのインキ中に加えても
よい。特に、溶剤はインキの粘度調整に効果があるだけ
でなく、着色剤によっては染着の着色材キャリアーとし
ての効果がある。従って溶剤を使用することにより、比
較的容易に高濃度の着色を可能にする。
インキ層3のパターンは、カラーフィルターの用途に
応じてその形状を適宜設計する。たとえばドットパター
ンの場合は、インキ層3の各パターンが、後に形成され
る透明電極のパターンと正確に一致するような位置に形
成されるものである。また、インキ層3を形成しない部
分にブラックマトリクスが形成されるので、インキ層3
の配列によってブラックマトリクスの形状を自由に設計
することができる。また、インキ層3のパターンが赤・
青・緑の光の三原色である場合には、このカラーフィル
ターを用いた表示装置はフルカラーを表現することがで
きる。
次に、該インキ層3中の着色材を活性膜層2中の微細
孔へ移行させ着色する(第2図参照)。
着色材を微細孔に移行させて着色する方法は、着色材
が微細孔中に移行するような方法であればどのような方
法でもよい。たとえば熱により移行するような着色材を
用いた場合は、着色材の種類によって異なるものである
が、たとえば100〜300℃において数秒〜60分間加熱すれ
ばよい。このようにすることによって、活性膜層2が着
色される。
また、この着色工程は、後に述べる無電解メッキの後
に行ってもよい。
次に、インキ層3が設けられていない活性膜層2上お
よびインキ層3上に、金属薄膜層4を無電解メッキにて
形成する(第2図参照)。まず、透明基板1を触媒液に
浸漬して活性膜層2中にメッキ核を形成し、次いで水洗
後インキ層3が剥離しない程度のアルカリ性溶液または
酸性溶液に浸漬し、さらに水洗後無電解メッキ浴に浸漬
して金属薄膜層4を形成する。無電解メッキに用いる金
属としては、ニッケル・銅・コバルト・スズ・白金・金
・銀など、あるいはこれらの合金など無電解メッキ可能
なものの内から選択すればよい。これらの金属の内から
遮光性に優れていること、形成される金属薄膜が強固で
あること、またコストなどの条件よりニッケルを用いた
場合、金属薄膜層4の膜圧は500〜3000Åとするのが適
当である。このようにすることによって、活性膜層2お
よびインキ層3上に強固な結合を有する無電解メッキ皮
膜である金属薄膜層4が形成される。
次に、活性膜層2を封孔する。封孔することにより活
性膜層2の微細孔中に吸着された着色材の溶出を防止す
ることができ、また不必要な物質による汚染を防ぐこと
ができる。封孔の方法としては、例えば90℃以上の温水
あるいは、90℃以上の酢酸ニッケル水溶液中に浸漬し封
孔する方法や、スチームで封孔する方法などがある。な
お、活性膜層2上にインキ層3や金属薄膜層4が形成さ
れていても、水の分子はこれらを通過して活性膜層2の
微細孔を封孔できるものである。
次に、活性膜層2上に形成された不要なインキ層3お
よびインキ層3上に形成された不要な金属薄膜層4を除
去する。除去方法としては、溶剤剥膜あるいは酸・アル
カリ剥膜などインキ層3に応じた除去方法を用いればよ
い。さらに、必要に応じて超音波剥膜やブラッシング剥
膜などを行ってもよい。このようにしてインキ層3およ
びインキ層3上の金属薄膜層4とを除去することによ
り、活性膜層2の着色部以外の部分に、ブラックマトリ
クスのパターンを有する金属薄膜層4が形成されること
になる。
なお、この発明によって製造されたカラーフィルター
を透明電極で部分的にあるいは全面的に後工程にて覆う
場合、必要に応じてカラーフィルター上にオーバーコー
ト層を形成すると、カラーフィルターと透明電極との密
着性の向上に大きく寄与し、またカラーフィルター表面
の平滑性をさらに向上させることができる。
オーバーコート層としては、アクリル系樹脂あるいは
メラミン系樹脂・エポキシ系樹脂・シリコン系樹脂・不
飽和ポリエステル系樹脂・イソシアヌレート系樹脂・ポ
リイミド系樹脂・紫外線硬化性樹脂などのうち、硬質で
透明性に優れた樹脂を単一もしくは二種以上の混合物あ
るいは共重合体として用いればよい。このように透明電
極と密着性に優れた樹脂を、パターン化された金属薄膜
層4が形成された活性膜層2上に塗布し、硬化させてオ
ーバーコート層を形成する。このほか、珪酸ナトリウム
や珪酸リチウムなどの無機材料を活性膜層2上に塗布し
加熱することによってもオーバーコート層を形成するこ
とができる。
<実施例> 以下にこの発明の実施例について説明する。
アルカリ洗浄した透明ガラス板の片面にアルミナゾル
−200(日産化学工業社製)をスプレーコートし、70℃
で5分間乾燥したのち、550℃で3時間焼成し、ガラス
板上に約2μmの層厚を有する活性膜層を形成した。
次に、活性膜上に下記の組成からなる赤・緑・青の各
着色インキを0.35mm幅のストライプパターンを0.05mmの
間隔をあけて印刷した。
赤色インキ (重量部) エチルセルロースN−7 (ハーキュレス社製) 15部 エチルセルロースN−22 (ハーキュレス社製) 5部 ワクソリンレッドYP(ICI社製) 8部 ブチルセロソルブ 22部 ブチルセロソルブアセテート 20部 ソルベッソ150 30部 緑色インキ (重量部) エチルセルロースN−7 (ハーキュレス社製) 15部 エチルセルロースN−22 (ハーキュレス社製) 5部 オレゾールファストイエロー5G (田岡化学工業社製) 8部 ミケトンポリエステルグリーンG (三井東圧染料社製) 4部 ブチルセロソルブ 20部 ブチルセロソルブアセテート 18部 ソルベッソ150 30部 青色インキ (重量部) エチルセルロースN−7(ハーキュレス社製) 15部 エチルセルロースN−22 (ハーキュレス社製) 5部 カヤロンポリエステルブルーTS (日本化薬社製) 10部 ブチルセロソルブ 20部 ブチルセロソルブアセテート 20部 ソルベッソ150 30部 このガラス板を180℃で10分間加熱して着色材を活性
膜層に移行させた。
次に、塩酸300ml・水600mlに塩化パラジウム1gと塩化
第1スズ5gとを溶解し、1晩放置後塩化第1スズ50gを
溶解した一液性触媒液にこのガラス板を浸漬した。
次に、このガラス板を水洗後、25℃の2%水酸化ナト
リウム水溶液中に30秒間浸漬し、次いで水洗後、80℃の
無電解メッキ浴に40秒間浸漬してニッケルメッキを行っ
た。
次いで、沸水中に20分間浸漬し活性膜層を封孔した。
次いでアセトンにてインキ層を除去した。このようにす
ることによって、ブラックマトリクスを有する3原色の
カラーフィルターを得た。
<発明の効果> この発明のカラーフィルターの製造方法によれば、次
のような効果が得られる。
ブラックマトリクスである金属薄膜層が活性膜層上に
形成されているので、金属反射が起こらない。
また、ブラックマトリクスのパターン化は、インキ層
のパターン化によって兼用されるので、高価な感光性樹
脂を使わずに済み、ブラックマトリクス形成用の見当合
わせが不要となる。したがって、着色部とブラックマト
リクスとの位置ズレも生じず、工程が簡素化され良品率
が向上する。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明のカラーフィルターの一実施例を示す
断面図、第2図はこの発明のカラーフィルターの製造途
中の状態を示す断面図である。 1……透明基板、2……活性膜層、3……インキ層、 4……金属薄膜層、5……着色部。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 赤井 隆広 京都府京都市中京区壬生花井町3番地 日本写真印刷株式会社内 審査官 森内 正明

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a)透明基板(1)上に金属酸化物によ
    る活性膜層(2)を設ける工程 (b)着色材を含むインキにてインキ層(3)をパター
    ン化して設ける工程 (c)着色材を活性膜層(2)中に移行させることによ
    り活性膜層(2)を着色する工程 (d)インキ層(3)が設けられていない活性膜層
    (2)上およびインキ層(3)上に無電解メッキにより
    金属薄膜層(4)を設ける工程 (e)活性膜層(2)を封孔する工程 (f)インキ層(3)およびインキ層(3)上の金属薄
    膜層(4)を除去する工程 からなり、(a)(b)(c)(d)(e)(f)の順
    に各工程を行なうことを特徴とするカラーフィルターの
    製造方法。
  2. 【請求項2】インキ層(3)の色数に応じて(b)の工
    程を繰り返す特許請求の範囲第1項に記載のカラーフィ
    ルターの製造方法。
  3. 【請求項3】(a)透明基板(1)上に金属酸化物によ
    る活性膜層(2)を設ける工程 (b)着色材を含むインキにてインキ層(3)をパター
    ン化して設ける工程 (c)着色材を活性膜層(2)中に移行させることによ
    り活性膜層(2)を着色する工程 (d)インキ層(3)が設けられていない活性膜層
    (2)上およびインキ層(3)上に無電解メッキにより
    金属薄膜層(4)を設ける工程 (e)活性膜層(2)を封孔する工程 (f)インキ層(3)およびインキ層(3)上の金属薄
    膜層(4)を除去する工程 からなり、(a)(b)(c)(d)(e)(f)の順
    に各工程を行なうことを特徴とするカラーフィルターの
    製造方法。
  4. 【請求項4】インキ層(3)の色数に応じて(b)の工
    程を繰り返す特許請求の範囲第3項に記載のカラーフィ
    ルターの製造方法。
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