JP2600935B2 - 難燃性電気絶縁組成物 - Google Patents

難燃性電気絶縁組成物

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JP2600935B2
JP2600935B2 JP1330174A JP33017489A JP2600935B2 JP 2600935 B2 JP2600935 B2 JP 2600935B2 JP 1330174 A JP1330174 A JP 1330174A JP 33017489 A JP33017489 A JP 33017489A JP 2600935 B2 JP2600935 B2 JP 2600935B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] この発明は、耐熱性が良好な可撓性の難燃性ポリオレ
フィン電線用組成物に関する。
[従来の技術] 従来より航空機内配線,モータ用リード線,自動車,
鉄道車輌などに使われる電線は、電気特性は勿論のこと
耐熱性,難燃性が要望される。そのため電気特性,耐熱
性に優れたポリエチレンにハロゲン系の難燃剤と三酸化
アンチモンを混和した難燃性を付与した組成物が絶縁体
として使用されていた。最近より高度の難燃性と耐熱性
および可撓性のある電線の要望がますます高まってい
る。高度の難燃性を付与するためには、難燃剤を多量混
和することが行なわれる。しかし、この結果として耐熱
性,可撓性が失われるばかりでなく、難燃剤が絶縁体表
面に析出(ブルーム)するなどの問題が生じる。ポリエ
チレンのような可撓性ポリオレフィンを難燃化する最近
の技術として、例えば「ポリマーの難燃化」大成社P259
〜P274(昭和62年)「ポリマダイジェスト」40No.11P2
5、41No.4P56および41No.5P56にまとめられている。
しかしながら、これらの技術は難燃性の他に高度の耐
熱性,可撓性が必要となる電線用絶縁材料に対してはま
だまだ不十分であり要求される電線を得ることはできな
い。
従来技術の中でも比較的バランスのとれた電線を得る
技術として、例えば特公昭42−9010号公報に記載された
ものを挙げることができる。しかし、これによっても最
近要求される前記の高度な特性を満足することはできな
い。また、特公昭56−22903号公報に記載された耐熱性
絶縁性樹脂組成物も耐熱性は遠く及ばない。
一方、含水無機化合物を高充填し難燃性を付与する技
術も最近多数提案されている。例えば「ポリマダイジェ
スト」41No.3P54(1988)および41No.3P33(1988)に挙
げられている。含水無機化合物を高充填した組成物は、
シース材料としては有効であるが電気特性が劣り、架橋
処理が難しいなどの欠点を有するために絶縁材料として
は不適である。
[発明が解決しようとする課題] 以上述べた通り、従来技術においては高度の難燃性と
耐熱性を兼ね備え、可撓性が必要な電気絶縁体として使
用可能な材料および技術がこれまでなかった。即ち、難
燃性あるいは耐熱性または可撓性,電気特性(絶縁抵
抗,誘電率など)のうち1つあるいは複数の特性にそれ
ぞれ欠点を有していた。
この発明の目的は、前記した従来技術ではとうてい達
成できない高度の可撓性と難燃性および耐熱性を兼ね備
えた絶縁電線用組成物を提供することにある。
[課題を解決するための手段および作用] この発明では、塩素含量15〜28重量%,結晶の融解熱
2〜14cal/g,メルトフローレート1〜12g/10minを満た
す塩素化ポリエチレン95〜50,エチレン系共重合樹脂を
5〜50の範囲で混和した組成物を主体とした架橋絶縁体
を被覆することにより、これによって高度の耐熱性,難
燃性および可撓性を兼備した電線が得られる。
[実 施 例] 本件発明者は、塩素化ポリエチレンは塩素量15〜28重
量%,メルトフローレートが1〜12g/10min,結晶の融解
熱が2〜14cal/gの範囲を満足するものだけが目的を達
成できることを見い出した。後で説明する実施例によっ
て明らかにされるが、その理由を概略述べると、塩素量
15重量%以下の塩素化ポリエチレンでは難燃性付与に困
難を生じる。即ち、難燃剤の多量混和が必要となり、機
械的特性,耐熱性を損なう。塩素量28重量%以上では耐
熱性および電気特性の低下を紹く。JIS K 6760に準
じ温度180℃,荷重21.6kgで測定したメルトフローレー
トが1g/10min以下では電線被覆押出が難しく、12g/10mi
n以上では耐熱性,機械的特性が不足する。また、結晶
の融解熱が2cal/g以下では機械的強度および電気特性が
不足し、14cal/g以上では耐熱性を大きく損なう。当然
のことではあるが塩素量,メルトフローレート,結晶量
(融解熱)は実用的な特性に相互に影響を与えるもので
ある。例えば、結晶量が多い場合には特定の非晶部分が
集中的に塩素化されたポリマーを与えるため、熱的に不
安定な構造を生じ易くなる。このように、実用的特性に
は複数の要素が関与する。本件発明者は鋭意検討した結
果、上記範囲の塩素化ポリエチレンのみが高度の耐熱性
と難燃性を実現できるものであることを見い出した。さ
らに前記塩素化ポリエチレンに対しエチレン系共重合樹
脂を重量比で95:5〜50:50の範囲で混和して用いること
が極めて有利であることを見い出した。エチレン系共重
合樹脂としてはエチレン酢酸ビニルコポリマー,エチレ
ンエチルアクリレートコポリマーなどを挙げることがで
きる。エチレン系共重合樹脂の混和比率が5以下では絶
縁体の伸びのバラツキと押出加工性,可撓性,電線の端
末加工性が不足する。50以上では高度の例えばUL−VW−
1クラスの難燃性付与が難しくなる。
さらに要求に応じた難燃度を調整するためには、無機
難燃助剤5〜100重量部、好ましくは10〜30重量部およ
び/またはハロゲン系難燃剤を5〜50重量部好ましくは
10〜30重量部混和する必要がある。混和量が上記範囲以
下では難燃性が不十分であり、上記範囲以上では機械的
特性,耐熱性が低下する。しかし、特にこれを規定する
ものではない。
ハロゲン系難燃剤としては臭素系難燃剤のヘキサブロ
モフェニルエーテル,デカブロモビフェニルエーテル,
ヘキサブロモシクロドデカン,ビス(ブロモエチルエー
テル)テトラブロモビスフェノールA,ヘキサブロモベン
ゼン,ヘキサブロモビフェニル,テトラブロモビスフェ
ノールS,ヘキサブロモベンゼン,ピロガードSP103(第
1工業製薬(株)製),ピロガードSP700(第1工業製
薬(株)製),ファイヤガード3000(帝人化成(株)
製),サイテックスBT93(サイテックス社製)等、ま
た、塩素系難燃剤のデクロランプラス315,デクロランプ
ラス25,デクロランプラス2520,デクロラン603,デクロラ
ン604(フッカケミカル社製)等が挙げられるが、これ
らに限るものではない。ただし、塩素化パラフィンは耐
熱性が他に比べて劣るので注意する必要がある。
無機難燃助剤としては三酸化アンチモン,五酸化アン
チモン,NaSbO3,酸化ジルコニウム等が挙げられる。
塩素量の測定は、塩素化ポリエチレン約0.2gを直示天
秤で精秤し、片端を封じた約8mmφ×70mmLのガラス管に
充填し、他方の端をキャビラリーに熔引して折り曲げ、
その長さを約100mmとしこれを約50mlの蒸留水を入れた
三角フラスコに入れる。プンゼンの炎約10mmで試料部を
徐々に加熱して脱塩酸分解をせしめ、発生塩酸ガスを蒸
留水に吸収される。最後に、プンゼン炎を強裂にして完
全に灼熱分解する。次に得られた塩酸水溶液をN/10苛性
ソーダ規定液でフェノールフタレンを指示薬として中和
滴定する。
次に、下記(1)式を用いて塩素量を算出する。
ここで、 W:採取試料g数 f:N/10 NaOHファクター V:中和に要したN/10 NaOH cc数 結晶融解熱は、塩素化ポリエチレン5mgを走査形熱量
計(DSC)により10deg/minの速度で昇温させて得られる
吸熱ピーク面積から算出する。メルトフローレートは一
度130〜140℃の温度でロール混練したシートを用い、温
度180℃,荷重21.6kgの条件で測定した。
以上述べた組成物を基本として、従来公知の酸化防止
剤,架橋助剤,充填剤,着色剤あるいは滑剤などを適宜
組み合わせて用いることでより効果的な電線を得ること
ができる。以下具体的な実施例によりこの発明を詳しく
説明する。
実施例1 塩素化ポリエチレン(ダウケミカル社 CPE−2552 C
l量=24% MFR=6.0g/10min,結晶融解熱ΔH=9cal/
g)70重量部とエチレン酢酸ビニル共重合体(三井デュ
ポンポリケミカル(株)エバフレックス460 VA量19%
密度0.94)30重量部,三酸化アンチモン20重量部,デ
カブロモジフェニルエーテル15重量部,酸化防止剤(イ
ルガノックス1010 チバガイギー社とシーノックス412S
白石カルシウム(株)を1:1で)2重量部,鉛安定剤
(三塩基性硫酸鉛 住友金属鉱山(株))10重量部,エ
ポキシ安定剤(エピコート828)3重量部,二塩基性ス
テアリン酸鉛(DBL 耕正(株))1.5重量部,架橋助剤
(サンエステルTMP 三新化学(株))3重量部からな
る組成物を、温度140℃の熱ロールで均一に混合してか
ら40mm押出機により170℃の温度で外径1.0mmのズズメッ
キ銅線上に絶縁厚さ0.4mmに押出被覆した。この時の外
観を観察した。次いで電子線により15Mrad照射を行ない
架橋した。得られた電線についてULの垂直燃焼試験およ
び加熱老化試験(温度158℃ 7日)により可撓性を評
価した。可撓性は絶縁体の100%モジュラスが0.6kg/mm2
以下を良とした。なお、第1表に各種塩素化ポリエチレ
ンの塩素量,MFRおよび結晶の融解熱を測定した結果を示
した。
第2表に実施例1の評価結果を示す。電線の外観,難
燃性,耐熱性,可撓性とも極めて良好である。
実施例2 塩素化ポリエチレンをB(ダウケミカル社 CM−67
4)とした以外は上記実施例1と同様にして評価した。
結果を第2表に示した。同じく極めて良好な特性を示
す。
実施例3 塩素化ポリエチレンAとエチレン酢酸ビニルコポリマ
ー(三井デュポンポリケミカル(株)EVA560 VA量14
%)を90:10とした以外は上記実施例1と同様にして評
価した。良好な特性を示している。
実施例4 塩素化ポリエチレンAとエチレンエチルアクリレート
コポリマー(日本石油化学(株)レクスロンEEA A−2
150EA量15%)を80:20として上記実施例1と同様にして
評価した。良好な性能を示した。
実施例5 塩素化ポリエチレンAとエチレンエチルアクリレート
コポリマー(日本石油化学(株)レクスロンEEA A−2
100 EA量10%)を60:40とした以外は上記実施例1と同
様にして評価した。良好な性能を示した。
比較例1〜13 第1表のC〜Oの塩素化ポリエチレンを用いてて上記
実施例1と同様にして評価した。結果を第2表に示す。
いずれも耐熱性が大幅に低下している。特に、I(比較
例7)の塩素化ポリエチレンは実施例に近いものである
が、この発明の範囲外であるため耐熱性が大きく劣って
いる点に注目したい。この発明がいかに効果的であるか
が明白である。
比較例14 塩素化ポリエチレンAを単独とした以外は上記実施例
1と同様にして評価した。その評価結果は、第2表に示
すとおり良好な外観を有する電線が得られなかった。ま
た、電線絶縁体の初期の伸びが200〜400%の範囲でバラ
ツイた。
比較例15 ポリエチレン(宇部興産(株)C−400)を単独とし
た以外は上記実施例1と同様にして評価した。第2表に
示すとおり可撓性,難燃性が大きく劣る。
この発明は、パーオキサイド架橋でも全く同様の結果
を得ており、架橋方式に特に制限を受けるものではない
ことは言うまでもない。また、可撓性をあまり重視しな
い場合にはエチレン系共重合樹脂の代りにポリエチレ
ン、特に密度の低いポリエチレンを混和することも有効
である。
[発明の効果] 以上述べたとおり、この発明によれば、従来にない高
度の耐熱性,難燃性,可撓性を兼備した電線を提供する
ことができる。その工業的価値は極めて大である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宮瀧 雅人 茨城県日立市日高町5丁目1番1号 日 立電線株式会社日高工場内 (56)参考文献 特開 昭60−252648(JP,A) 特開 昭52−15544(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】塩素含量15〜28重量%,結晶の融解熱2〜
    14cal/g,メルトフローレート1〜12g/10minを満たす塩
    素化ポリエチレンとエチレン系共重合樹脂が、前者を95
    〜50,後者を5〜50重量比の範囲でブレンドしたポリマ
    ー100重量部に対して難燃剤が5〜50重量部混和された
    難燃性電気絶縁組成物。
JP1330174A 1989-12-20 1989-12-20 難燃性電気絶縁組成物 Expired - Lifetime JP2600935B2 (ja)

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JP7363557B2 (ja) * 2020-02-17 2023-10-18 株式会社プロテリアル 難燃性樹脂組成物、難燃性絶縁電線および難燃性ケーブル

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