JP2598609B2 - 6,6‐ジ置換プテリジン誘導体 - Google Patents

6,6‐ジ置換プテリジン誘導体

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JP2598609B2
JP2598609B2 JP6078054A JP7805494A JP2598609B2 JP 2598609 B2 JP2598609 B2 JP 2598609B2 JP 6078054 A JP6078054 A JP 6078054A JP 7805494 A JP7805494 A JP 7805494A JP 2598609 B2 JP2598609 B2 JP 2598609B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】技術分野 本発明は、6,6‐ジ置換テトラヒドロプテリジン類及
び密接に関連した化合物及びこれらの化合物の合成方法
及び使用方法に関する。
【0002】背景技術 高等動物によって利用されているプテリジン類は、主と
してポリ‐ガンマグルタミルテトラヒドロホレートの誘
導体であるプテリン(2‐アミノ‐4‐ヒドロキシプテ
リジン)酵素補因子、及びテトラヒドロビオプテリンの
二つの群に分けられるが、これらのプテリン系列の置換
パターンから広く分岐する幾つかのプテリジン類は細
菌、植物及び昆虫類において重要な役割を有するもので
ある。幾つかのテトラヒドロプテリン‐利用酵素の一つ
の共通要因は、プテリン補因子の酸化である。例えば、
チミジレートシンセターゼ(抗ホレート化学療法の主た
る目標)の場合においては、テトロヒドロ葉酸の5,1
0‐メチレン誘導体は7,8‐ジヒドロ葉酸に転換され
る。同様に三つの芳香族アミノ酸ヒドロキシラーゼ(フ
ェニルアラニン、チロシン及びトリプトファン)の作用
は未確定の構造のキノイドジヒドロビオプテリンをもた
らす。
【0003】チロシンヒドロキシラーゼによる触媒分解
は、ドパミン及びノレピネフリンの生合成における律速
段階である。この酵素の尾状核及び黒質における活性
は、パーキンソン病においては、その補因子テトラヒド
ロビオプテリンの濃度と同様に顕著に低いものである。
パーキンソン病は通常50〜60才の間に潜行的に現わ
れる衰弱性の病気である。この病気は進行性であり、通
常震えに始まり、運動緩徐及び硬直が引き続いて起こる
ものである。米国におけるパーキンソン病の症例の現在
の推定数は500,000〜1,000,000の範囲
である。ほぼ40人に一人が最終的に罹患し、毎年5
0,000の新たな症例を形成している。パーキンソン
の患者の脳においては各種の解剖学的及び生化学的欠陥
が注目されており、最も顕著なものは、大脳基底核を含
み、細胞損失及び黒質の緻密層部に脱色素を伴うもので
ある。この病巣の大部分は、黒質‐線条体系路における
ドパミン伝達性ニューロンの退化によるものである。
【0004】ドパミン濃度の顕著な欠乏が(正常値の1
0%未満で開始後時間と共に更に減少する)パーキンソ
ン患者の線条体に見られる。1960年代の半ばにおけ
る導入以来L‐ドパの使用が主たる治療手段となってい
る。L‐ドパは芳香族アミノ酸輸送系を介して脳内に入
り、引き続き酵素的に脱カルボキシル化されてドパミン
となる。不幸なことに、末梢デカルボキシラーゼの作用
は、通常約95%の投与L‐ドパを、血液‐脳障壁に有
効に浸透しないドパミンに迅速に転換させる。その結
果、患者はしばしばカルビドパ(デカルボキシラーゼ阻
害剤)とL‐ドパ(Merk, Sharp 及びDohme-Sivemet )
との組み合わせをしばしば与えられ、かようにして最適
効果に必要とされる全L‐ドパを約75%に減少させ
る。
【0005】L‐ドパは、パーキンソン病の最良の利用
可能な治療と一般的に考えられているが、その使用には
多くの問題が含まれている。例えば、患者の15〜25
%は全くL‐ドパ治療の如何なる処方にも応答しない。
更に、殆んどの患者は最適投与量にすぐには耐えること
が出来ず、徐々に個々の水準に慣らされなければならな
い。その場合にも、殆んどの者が初期の投与量の増大の
期間に吐気を経験する。この調整期間はカルビドパの同
時使用により2〜4週間に短縮することが出来る。L‐
ドパに対する最も深刻な一般的な反作用は、異常な付随
意運動及び挙動的な障害である。治療の最初の2〜4ケ
月以内に約半分の患者が舞踏病或いはジストニー運動を
示し、それは一年に亘る完全な投与スケジュール時には
約80%に増大する。薬品の減少或いは取り止めを必要
とする深刻な精神的副作用(精神異常的発現、うつ病及
び痴呆)が約15%の症例において見られる。カルビド
パとの組み合せによりしばしば緩和されるが、多くの患
者はL‐ドパの運動緩徐を抑制する能力に変動があるこ
とを経験している(「on-off」現象)。
【0006】L‐ドパ治療の十分な恩恵は一般的に僅か
に2〜4年しか続かず、その後応答に低下が生ずる。有
効持続期間或いは各投与量が減少し、逆説運動不能、即
ち「凍結(freezing)」が増大する。5年以内に、増大
する副作用が通常残っている継続された治療の恩恵を上
廻りはじめる。殆んどのパーキンソン病の患者は病気の
開始後10〜20年以上生きるので、より有効且つ長持
続性の手法に対する需要が明らかになお存在する。多く
の試薬がトパ治療の変性剤或いはL‐ドパを置換するド
パミン性作動薬として試験されている。せいぜい、これ
らの手法は一つの副作用の改良ともう一つの副作用の悪
化との間の取り引きに終るにすぎない。従って、パーキ
ンソン病を治療する新しい方法が必要とされている。
【0007】これらの線に添って、不十分なチロシンヒ
ドロキシラーゼ活性を有する患者の脳における補因子濃
度を増大させ、この様にしてチロシンヒドロキシル化及
びドパ合成の速度を増大させる幾つかの試みがなされて
いる。ラットの脳中へのテトラヒドロビオプテリン(B
)の直接の脳室内注入は、脳内におけるテトラヒド
ロビオプテリン濃度の増大と共に線条体中に同時にカテ
コールの増大を引き起こした〔Ketter et al., Nature,
249,476〜478(1974)〕。BH治療
の有効性は、脳髓液(CSF)中に正常水準より2倍低
いBHを有し、脳において4倍低い水準を有するパー
キンソン病の患者においても、おそらくより有効である
と示唆されていた〔Lovenberg 等、Science, 204,
624〜626(1979)〕。しかしながら、末梢的
に投与されたテトラヒドロビオプテリン(BH)は容
易には脳に入らない。BHが血液脳障壁を通過する貧
弱な能力を示した最初の実験において、125mg B
/Kg体重がラットの静脈内に注射された。線条体
中のBHは僅かに且つ一時的に増大したに過ぎず最大
の増加は15分以内に30%であり、2時間未満に通常
値に戻った。これは、均一な体内分布を想定すると、投
与濃度の0.2%に等しいものである(上記Kettler
等)。
【0008】14C−BHのラット中への腹腔内注射の
後、この同位元素は分析された全ての組織において検出
可能であった(脳、腎臓、肝臓、血漿、尿)。放射活性
は脳中で注入後1時間にピークに達し、この時点におい
て、それは血漿内のそれの1%未満であった。BH
脳よりも血漿から幾分より早く失われたが、しかし、6
時間迄には放射活性の殆んどは尿内にビオプテリン及び
その代謝物として表われた。ラット毎に注射された放射
活性プテリンの64μgのうち約10ng(0.016
%)が脳に到達した〔Gal 等、Neurochem. Res. 1,5
11〜523(1976)〕。BH生合成において遺
伝的障害を有する1〜5才のヒトについて、BH及び
その他のプテリン類の経口及び静脈内投与の比較が行わ
れた。BH不存在下におけるチロシン及びトリプトフ
ァンヒドロキシラーゼが機能する能力のないことによる
神経学的徴候に加えて、これらの患者は又BHに対す
る肝臓のフェニルアラニンヒドロキシラーゼの要求のた
めに、正常値の10〜20倍の血漿フェニルアラニン濃
度を有する。いずれの経路によって投与された2.5m
g BH/Kg体重の投与量も3〜4時間以内に血漿
フェニルアラニン濃度を正常値に減少させ、これらの低
濃度を1〜2日間保ったことが見い出された。BH
推定される直前の前駆体であるジヒドロビオプテリン及
びセピアプテリンは、それぞれ2.5mg/Kg及び
0.6mg〜1.25mg/Kgの投与量で経口的に投
与された場合に血漿フェニルアラニンを低下させるのに
BHと同様に有効であり、フェニルアラニンの正常濃
度を24時間維持した〔Schaub等、Arch. Dis.Childhoo
d、53、674〜683(1978);Niederwieser
等、Lancet,131〜133(1979);Curtius
等、Clin. Chim. Acta. 93,251〜262(197
9)〕。従って、ビオプテリン類似体の経口投与は静脈
内注射と同様に有効であるように思われる。
【0009】BHが脳に入る能力がBH欠陥患者に
おいて研究された。1、2才の15Kg体重のBH
合成‐欠陥幼児に2mg BH(静脈内)/Kg/日
の投与を3日間行った後、最終注射の1日後にCSF
BH中に何等の増大も検出されなかった。この時点に
おけるCSFのドパミン及びセロトニン代謝物の分析
は、ホモバニリン酸に29〜44ng/mlの僅かな増
大(正常値=130ng/ml)がみられ、ヒドロキシ
インドールに92〜147ng/mlの増大がみられ、
微量のBHが脳に侵入したことを示した〔Danks 等、
Pediat. Res., 13,1150−1155(197
9)〕。<2.5mg BH/Kg体重の投与量では
脳中へのBHの侵入は不十分であり、BH欠陥患者
により示される神経学的徴候(下垂症、運動失調)に如
何なる影響も及ぼさない。しかしながら、22mg B
(経口)/Kgまでのより高い投与量においては、
徴候の緩和が二人の患者に見られた。これらの患者の一
人についてセピアプテリンは2.75mg(経口)/K
gにおいて効果を有することが示された〔Niederwieser
等、Eur. J. Pediatr.138、110〜112(198
2)〕。他の患者についての研究は20ng/BH
Kg/日(12時間間隔で2回の等しいて投与量で投
与)の投与量で経口治療の2.5時間後に2ng〜44
ng/mlのCSF中のBHの増大が示された。これ
は均一な体内分布及び保持を想定して期待される値の
0.22%であり、上記ラットの脳において30mg/
Kgの腹腔内注射後に見られたものに近似している〔Ka
ufman 等、Pediatrics、70、376〜380(198
2)〕。
【0010】現在のところ、6‐メチルテトラヒドロプ
テリン(6‐MePH)が直接分析によりその脳に入
る能力が研究されている唯一の他のテトラヒドロプテリ
ンである。ラットにおいて6‐MePHのラットへの
0.11μモル(腹腔内)/g体重の投与はこのプテリ
ンが脳に等しい投与量のBHよりも10倍以上の効率
で脳に入ったことを示した。2nモル/g脳の濃度が
(即ち等しい体内分布を想定して期待される値の2%)
30分で到達され、注射後2時間保たれた。脳による保
持の半減期は3時間であった。血中濃度は30分におい
て40μMであり、2時間までに10μMに低下し、血
漿による保持の半減期は0.7時間であった。一つの実
験において、酵素分析は85%を越える線条体の6‐M
ePHは完全に還元されたテトラヒドロ形態で注射後
2時間留まったことを示した〔Kapatos and Kaufman 、
Science 、212、955〜956(1981)〕。し
かしながら、より信頼性のある分析法の使用を主張する
実験者による同様な実験は脳内にある6‐MePH
僅かに30%が還元された形態であることを示している
〔Curtius 等、in Pteridines and Folic Acid Derivat
ives, Blair, ed., Walter de Gruyter, Berlin,198
2〕。
【0011】6‐MePHの有効性がBH生合成の
遺伝的欠陥を有する一人のヒトの患者について試験が行
われた。20mgの6‐MePH/Kg体重の静脈内
注射後3時間においてCSF内濃度は0.45μg/m
l(即ち、均等体内分布に基づき期待される値の2.2
%)、9.5時間において0.06μg/mlに落ち
た。8ml/Kgの投与後2時間において、CSFのホ
モバニリン酸は9〜22ng/mlに増大し(正常値−
2〜4才で132ng/ml)、及び5‐ヒドロキシイ
ンドール酢酸は6〜18ng/mlに増大した(正常値
=2〜4才で30ng/ml)。同様な臨床的な徴候に
おける改善が、BH治療と同様に観察された〔上記Ka
ufman 等、(1982)〕。
【0012】テトラヒドロビオプテリンの使用に伴うも
う一つの問題は、不安定性である。次の反応式に示され
る如く、ヒドロキシル化の際にBHがキノイドジヒド
ロピオプテリン(BH)に酸化され、それが次いでN
ADH及びジヒドロプテリジンレダクターゼの存在下に
おいて還元されてBHに戻されてしまう。この中性或
いはアルカリ性水性媒体内において一般的に早い過程で
あるテトラヒドロプテリン類の酸素分子による非酵素的
酸化は又、最初にキノイドジヒドロホルムを生成する。
キノイドBH形態は不安定であり、還元系の不存在系
においては生理学的条件下において僅かに数分間の半減
期で7,8‐ジヒドロビオプテリンに転位する。この後
者の互変異性体はジヒドロプテリジンレダクターゼに対
する基質ではない。
【化3】
【0013】本発明がより十分に開示された段階で明ら
かとなるように、本発明はパーキンソン病及び芳香族ア
ミノ酸ヒドロキシラーゼの活性化から恩恵を得るその他
の障害の治療における6,6‐ジ置換テトラヒドロプテ
リジン類及び関連した化合物に関するものである。幾つ
かのジ置換テトラヒドロプテリジン類が従来化学的研究
のために合成されているが、その様な治療のためのそれ
らの用途及びそれらの利点が従来認識されていたように
は思われない。6,6‐ジ置換テトラヒドロプテリジン
類の最初の合成は6‐メチル‐7,8‐ジヒドロプテリ
ンの7,8二重結合へのシアン化物の求核的付加を利用
し、6‐シアノ‐6‐メチルテトラヒドロプテリンを得
るものであった〔Viscontini等、Helv. Chim. Acta. 5
4、811−818(1971)〕。数多くの中間工程
の後、このニトリルを還元し、最終的化合物、6‐アミ
ノメチル‐6‐メチル‐5,6,7,8‐テトラヒドロ
プテリンが得られた。この分子は得られたキノイドジヒ
ドロプテリンが酸化時にアミノメチル基をアンモニア及
びホルムアルデヒドとして失うことにより、出発物質6
‐メチル‐7,8‐ジヒドロプテリンを再形成する能力
を有したために期待されたよりも安全性が低いものであ
ることが判明した。
【0014】最近、上記手法がメチルリチウムとトリメ
チルシリル化6‐メチル‐7,8‐ジヒドロプテリンと
の反応後脱シリル化を行うことによる6,6‐ジメチル
テトラヒドロプテリンの合成にまで及ぼされている〔Ar
marego and Waring, Aust. J. Chem., 34、1921
〜1933(1981)〕。28%の収率が報告されて
いるが、しかし、紫外線吸収特性の評価は、それが僅か
に82%の純度であることを示している。この方法は比
較的直截的であるが、二つの潜在的な欠点が考えられ
る。第一に、比較的低い収率の目的物質を副生物から遊
離するためにクロマトグラフィー工程が必要であり、ス
ケールアップを阻害する方法である。更に重要なこと
に、この方法が広範囲の応用を有することに対して疑わ
しいことである。何故ならば、現在の方法において、6
位においてモノ置換された多くの7,8‐ジヒドロプテ
リン類が潜在的に利用可能であるが、メチルよりも大き
な基によりC(6)の障害が増大すると共に収率が更に
低くなりそうに思われるからである。
【0015】プテリジン類の合成には多くの方法が知ら
れているが、本発明の全体的な合成方法に関連する唯一
の公知の従来技術はラザラス等〔Lazarus et al., Bioc
hemistry, 20、6834−6841(1981)〕の
刊行物に見られるものである。この研究の関連性のある
部分の目的は、2,5‐ジアミノ‐6‐(メソ‐1‐メ
チル‐2‐アミノプロピルアミノ)‐4‐ピリミジノン
が酸化的に環化されて、十分に酸化された6,7‐ジメ
チルプテリンになり得るかどうかを決定することであっ
た。この研究のどこにも、この方法がプテリジン合成の
一般的方法であることが述べられておらず、或いは暗に
示唆されてもいない。更に、この文献の主な目的は単一
環位置におけるジ置換では可能ではない十分に酸化され
たプテリンの調製に向けられたものであるから、6,6
‐ジ置換テトラヒドロプテリジン類への合成への潜在的
応用はどこにも論議されていない。又、その様な化合物
のパーキンソン病或いはプテリン補因子を含むその他の
病気の治療への用途はこの文献或いはその他の6,6‐
ジ置換プテリン類を開示する文献のいずれにも論議され
ていない。従って、本発明に先立ってテトラヒドロプテ
リン補因子を有する酵素を調節する改良された方法に対
する大きな需要が残っていたと云うことができる。
【0016】発明の開示 従って、本発明の目的は、パーキンソン病及び芳香族ア
ミノ酸ヒドロキシル化酵素を含むその他の障害の治療に
有用な安定な化合物を提供することである。更に、本発
明の目的は、特にパーキンソン病を治療するための方法
を提供することである。本発明のもう一つの目的は、チ
ミジレートシンセターゼをその補因子結合部位において
阻害する方法を提供することである。本発明の更にもう
一つの目的は、ビオプテリン及びテトラヒドロビオプテ
リンの合成における遺伝欠陥によりひき起こされる病気
の治療方法を提供することである。更に本発明の目的
は、6,6‐ジ置換テトラヒドロプテリジン類を合成す
る一般的方法を提供することである。
【0017】本発明のこれら及び以下により容易に明ら
かとなる他の目的は、芳香族アミノ酸ヒドロキシラーゼ
の活性化方法において、該活性化を必要とするヒト或い
は動物に該酵素の活性を増大するに有効量の下記一般式
で表わされる化合物を投与することを特徴とする方法を
提供することにより達成された:
【化4】 〔式中、R及びRは同一又は異ったものであり、 (1) ヒドロキシ基 (2) 1〜4の炭素数のアルコキシ基、 (3) 式−NRで表わされるアミノ基 (但し、R及びRは同一又は異ったものであり、 (a) 水素原子、 (b) 1〜4の炭素数のアルキル基、或いは (c) 3〜6の炭素数のシクロアルキル基 を表わす)、 (4) 下記群より選ばれたシクロアミノ基: (a) アジリジノ基、 (b) アゼチジノ基、 (c) ピロリジノ基、 (d) ピペリジノ基及び (e) モルホリノ基 (但し、該シクロアミノ基はシクロアミノ基の窒素を介
して式のピリミジン環に結合している)、或いは (5) 1〜3の炭素数のアルキルチオ基、を表わし、
及びRは同一又は異ったものであり、 (1) 1〜12の炭素数のアルキル基、 (2) 2〜7の炭素数のアルケニル基、 (3) 2〜7の炭素数のアルキニル基、 (4) 3〜7の炭素数が環内にある3〜10の炭素数
の飽和又は不飽和のシクロアルキル基、 (5) 環当り4〜7の炭素数であり、6〜13の炭素
数の飽和又は不飽和のビシクロアルキル基、 (6) アダマンチル基、 (7) 1、2、3或いは4個のヒドロキシ基、オキソ
基、チオ基、ホスフェート基、フルオロ基、クロロ基、
或いはブロモ基で置換されている1〜12の炭素数のア
ルキル基或いは2〜7の炭素数のアルケニル基 (8) フルオロ基、クロロ基、 (9) アミノ基、 (10) 窒素或いは炭素を介して該式の炭素6に結合
しているアジリジノ基、 (11) アリール基(アリールはフェニル又はナフチ
ル)、 (12) 7〜13の炭素数のアリールアルキル基、 (13) アリール基中において、1個、2個又は3個
の1〜4の炭素数のアルキル基、トリフルオロメチル
基、ヒドロキシ基、1〜4の炭素数のアルコキシ基、フ
ルオロ基、クロロ基、ブロモ基、アミノ基、メチルアミ
ノ基或いはジメチルアミノ基で置換されているアリール
基或いはアリールアルキル基、 (14) チエニル基、チエニルメチル基、 (15) フリル基、フリルメチル基、 (16) テトラヒドロフリル基、 (17) ピリジル基、ピリジルメチル基、 (18) 1個、2個又は3個の1〜4の炭素数のアル
キル基、アミノ基、ヒドロキシ基、クロロ基、又はフル
オロ基で置換されたピリジル基、 (19) 重水素原子、 (式中R12は1−〜22−炭素数のアルキル基又はア
ルケニル基)或いは (21) カルボキシル基を表わし、及びRは (1) 水素原子、 (2) 1〜6の炭素数のアルキル基、 (3) 3〜7の炭素数のシクロアルキル基、 (4) フェニル基、フェニルメチル基、 (5) ヒドロキシル基、 (6) 1〜4の炭素数のアルコキシ基、 (7) アミノ基、或いは (8) カルボキシル基を表わし、及びQ及びQ
各々O或いはNRを表わす(但し、R及びRは共
にプテリジン環の炭素6がスピロ炭素原子である3〜7
の炭素数スピロアルキル環を形成してもよく、或いはR
及びRは共にプテリジン炭素6及び7に融合した5
−或いは6−員環の炭素環式環を形成してもよい)〕。
同様に、本発明のある種の化合物、特に下記一般式で表
わされるものはチミジレートシンセターゼの阻害剤とし
て使用することができる:
【化5】 〔式中、Yはメチレン基、或いはエチレン基であり、そ
のいずれか一方の基が未置換であるか或いはフルオロ
基、クロロ基、及びメチル基よりなる群から選ばれた1
個又は2個の置換基で置換されている、Y′は (a) −NR10−(R10は水素原子、ホルミル
基、ホルムイミノ基、ヒドロキシメチル基、ベンジル
基、或いは1〜3の炭素数のアルキル基、アルケニル
基、或いはアルキニル基である)、 (b) −CH−、−CHCH−、−C(CH
−、又は−CH(C)−、 (c) −O−、或いは (d) −S− であり、ZZは次式で表わされるアミノ酸或いはアミノ
酸重合体の残基を表わす: (茲にZはOH、C〜Cアルキルオキシ基、或いは
NHを表わし、Rは1〜5の炭素数の二価アルキル基
を表わし、及びZはNH或いはCOZを表わし、
但しZはZ或いは次式で表わされるアミノ酸或いはア
ミノ酸重合体の残基である: (但し、ZZ中のアミノ酸残基の全数は7を越えず、Z
Zの定義に当ってZ、R、Z及びZは各々独立であ
る)Mは1〜3の炭素数のアルキル基、アルケニル基、
或いはアルキニル基、ホルミル基、ホルムイミノ基、ベ
ンジル基、水素原子或いはヒドロキシメチル基であり、
及びJは−CH−、−CHCH−、或いは=CH
−(=CH− の一重結合はN5に結合している)であ
る、及び残りの置換基は前記の意味を有するが、但し、
或いはRが更にチオ或いは水素を表わし、R
重水素原子でない場合がある。〕多くの6,6−ジ置換
テトラヒドロ−及びジヒドロプテリジン化合物は、本明
細書において説明する方法或いは他の如何なる用途にも
有用であることが知られておらず、又、今まで他のもの
により合成は元より考慮すらされたことがなかった。従
って、その様な化合物自体も本発明により含まれるもの
である。
【0018】同様に、上記化合物の一般的方法も又本発
明の一部である。この方法は6‐(2‐アミノ‐2,2
‐ジ置換‐エチルアミノ)‐5‐アミノピリミジンをイ
ミンに酸化し、及び該イミンを加水分解することにより
縮合を行わせ、6,6‐ジ置換ジヒドロプテリジンを得
ることを特徴する。
【0019】発明を実施するための最良の形態 本発明は、天然産の6‐モノ置換形態よりも、より安定
である形態である補因子を提供することにより、テトラ
ヒドロプテリン類を補因子として使用する酵素を調節す
る改良された方法を提供するものである。冒頭部分にお
いて述べた如く、酵素的に触媒された反応に関与するこ
とにより、或いは非酵素的に分子状酸素と相互作用によ
りテトラヒドロプテリンの酸化は先ずキノイドジヒドロ
プテリンをもたらす。位置‐6(6位)においてモノ置
換されているキノイドジヒドロプテリン類は不安定であ
り、迅速に7,8‐ジヒドロプテリン類に転位する。後
者の互変異性形態はジヒドロプテリジンレダクターゼに
対する基質ではなく、従って、補因子の活性形態には最
早還元されて戻らなくなる。背景部分において論議した
各種の報告は、6‐メチルテトラヒドロプテリンはラッ
トの脳にテトラヒドロビオプテリンよりも速い速度で入
るにも拘らず、前者の相当な割合は酸化された非官能的
状態で見出されることを示している。この欠点は6,6
‐ジ置換により防止される。更に付加的な利点(阻害剤
としての)は以下の説明において述べるようにチミジレ
ートシンセターゼの補因子に対して存在する。
【0020】キノイドジヒドロプテリン類の7,8‐ジ
ヒドロプテリン類への転換における律速工程は位置‐6
(6位)からの水素の喪失であることが従来知られてい
た〔Archer and Scrimgeour, Can. J. Biochem. 48、
278〜287)1970)〕。しかしながら、位置‐
6における水素の置換によりin vivo においてより持続
性の補因子が与えられることについては何等の示唆もな
されていなかった。この原理は本願において、モノ置換
キノイドジヒドロプテリン類よりも一桁〜二桁の大きさ
でより安定であることが示されるキノイド6,6‐ジ置
換ジヒドロプテリンにより示される。6,6‐置換キノ
イドジヒドロプテリンは、ジヒドロプテリジンレダクタ
ーゼによってと、及び非酵素的に内生的還元ピリジンヌ
クレオチド類及びチオール類とによっての両者により還
元されて、ラットの肝臓フェニルアラニンヒドロキシラ
ーゼ及びウシの線条体チロシンヒドロキシラーゼの両者
の補因子であることが示されるテトラヒドロプテリンに
なる。
【0021】多くの6,6‐ジ置換テトラヒドロプテリ
ジン類は本発明の方法による補因子として有用である。
例えば、三つの芳香族アミノ酸ヒドロキシラーゼ類(フ
ェニルアラニン、チロシン及びトリプトファンヒドロキ
シラーゼ)は各々補因子テトラヒドロビオプテリン及び
分子状酸素を利用して芳香族環中に水酸基を導入する。
テトラヒドロビオプテリンは、従って、各酵素と同様の
機能を果す。この類似性により、後者の二つの酵素につ
いて、より多くのデータが利用可能であるので、どの型
の置換パターンが有用であるかの決定を、脳のチロシン
ヒドロキラーゼのみならず副腎からのチロシンヒドロキ
シラーゼ及び肝臓からのフェニルアラニンヒドロキシラ
ーゼについての研究に基づいて行うことができる。次の
段落においては、プテリジンの各種位置における可能性
のある置換基について述べる。説明の便宜上、位置はプ
テリジン類の標準付番系を用いる下記一般式で示される
ように番号を付す:
【化6】 標準位置の番号は、本発明の請求の範囲に与えられた置
換基の番号に対応するものではないことに注意された
い。請求の範囲における置換基は、この標準系に従って
番号を付されるよりむしろ明確を期するために説明の順
序に従って逐次番号を付されている(標準系を用いてい
たならば請求の範囲においてギャップを有する置換基パ
ターンをもたらしていたであろう)。
【0022】位置2及び4:補因子活性を保持するため
には、両位置に電子供与基が必要とされる。フェニルア
ラニンヒドロキシラーゼについては、2‐或いは4‐位
のいずれかにおけるHは結合を可能にするが、しかし、
補因子活性が失われる。4‐位におけるSHは結合を可
能にするが、しかし、補因子活性がない。この位置にお
けるNHは結合を防止する。位置−2におけるヒドロ
キシル基はフェニルアラニンヒドロキシラーゼ及び副腎
チロシンヒドロキシラーゼの両者に対する結合を防止す
る。2‐メチルアミノはフェニルアラニンヒドロキシラ
ーゼと活性であるが、しかし、2‐ジメチルアミノは適
当な電子供与特性を有するにも拘らず、活性でない。位
置−2には多くのモノアルキル‐、ジアルキル‐、及び
シクロアルキル‐アミノの置換基が可能であり、1以上
のパターンが大脳基底核におけるチロシンヒドロキシラ
ーゼに対する特異性を与え得るとの期待がもたれる。目
標ヒドロキシラーゼのみが刺戟され、フェニルアラニ
ン、トリプトファン或いは副腎‐チロシンヒドロキシラ
ーゼが刺戟されなければ中枢神経系及び末梢副作用の両
者を最少限にすることができる。その様な特異性は望ま
しいものであるが、6‐メチル‐テトラヒドロプテリン
及びテトラヒドロビオプテリンの同様な処理における有
効性から判断して、それは、絶対的な要請であるとは思
われない。チロシンヒドロキシラーゼに対する選択的な
親和性は又、位置6及び/又は7における置換パターン
より得られる可能性がある。
【0023】位置7:酵素速度論のパラメータの相当な
修正が位置7のメチル基による置換により全ての三つの
芳香族アミノ酸ヒドロキシラーゼに観察されている。殆
んどの場合には、これはヒドロキシル化の最大速度を減
少させ、補因子及び基質に対するKmを増大させる補因
子に導く。チロシンヒドロキシラーゼに特異的なのは、
7‐メチル基が部分的に不対反応(生成するドパの分子
当り1分子を越える補因子が消費される反応)を誘発す
るということである。これらの効果は、一般的に所望特
性に反するものであるが、代りの基を選択することによ
り選択性に影響を及ぼすことは可能である。
【0024】位置6:チロシンヒドロキシラーゼ補因子
の薬理学的に望ましい性質の大部分は、位置6の置換基
の最適化により得られることは最もありそうなことであ
る。これは、(a) フェニルアラニン及びチロシンヒドロ
キシラーゼの両者が比較的多様な基をこの位置に許容可
能であること、及び(b) 両酵素の速度論的パラメーター
の実質的な修正が基の性質によって促進されることによ
るものである。置換パターンの有効な薬品を促進する性
質の最適化に及ぼす影響として下記のものが挙げられ
る: (1) 有用な応答を達成するために必要とされる投与
量は補因子類似体が次の酵素速度論パラメータを顕在化
するにつれて低下される:チロシン、酸素、補因子類似
体それ自体に対する高い最大速度(Vmax )及び低いミ
ハエリス定数(Km)。更に、正常な脳の機能を近似す
るカテコールアミンによるフィードバック阻害の保持は
脳内の薬品濃度の変化につれて均一な応答を督促する。
副腎チロシンヒドロキシラーゼではVmax 及び補因子へ
の僅かの影響のみがテトラヒドロビオプテリンの1‐エ
リスロ‐ジヒドロキシプロピル基がメチル基に対して交
換された場合に見られる。これに対して、チロシン及び
酸素の両者に対するKm及びドパに対するKiは全て著
しく増大する。炭素6におけるジヒドロキシプロピル基
の立体化学或いはキラリティの変性はメチルによる置換
に対比して中間的な効果を有する。線条体チロシンヒド
ロキシラーゼについては、位置6における単一フェニル
置換基は、テトラヒドロビオプテリンよりもより高いV
max 及びより低い補因子Kmを刺戟する。2個のメチル
基、或いはメチル基及びフェニル基によるC−6のジ置
換の結果、6‐モノメチルテトラヒドロプテリンのそれ
とは同等な又、テトラヒドロビオプテリンのそれよりも
優れたVmax 対補因子Km比を与える。従って、同時に
互変異性転位を例えばメチル基で遮断すると共に、所望
の酵素速度論パラメータを維持することは可能である。
【0025】(2) 血液−脳障壁を通る薬品の輸送速
度及び末梢循環系においてある与えられた水準に対して
最終的に脳で達成される濃度は、投与量の要請に直接に
関連するものである。薬品の疎水性の増大は、膜を通す
迅速な平衡化を促進するため一つの手段である。この増
大は部分的に2‐アミノ基のアルキル化により得られる
が、補因子特性に悪影響を及ぼすことなく、嵩ばった置
換基を運ぶことが最もできそうな位置は上記6‐フェニ
ルテトロヒドロプテリンにより例示されるような位置6
である。しかしながら、電子引抜きフェニル環の結果、
キノイドジヒドロプテリンが極めて不安定であり、極め
て迅速に不活性な7,8‐ジヒドロプテリンに互変異性
化するために、6‐フェニルテトラヒドロプテリンそれ
自体はパーキンソン病の治療に対する可能性のある候補
ではない。
【0026】(3) 二つのヒドロキシラーゼ間の選択
性が可能であることは、フェニルアラニンヒドロキシラ
ーゼと線条体チロシンヒドロキシラーゼとのそれらのテ
トラヒドロビオプテリン及び6‐フェニルテトラヒドロ
プテリンに対する応答性の比較により示される。後者の
酵素については、6‐フェニルテトラヒドロプテリンは
Vmax を10倍に増大させるのに対して、フェニルアラ
ニンヒドロキシラーゼについてはそれはテトラヒドロプ
テリンに対比してVmax を10倍減少させる〔Bailley
and Ayling, Biochem. Biophys. Res. Cowm. 95、1
614〜1621(1978)〕。
【0027】(4) キノイド6,6‐ジメチルジヒド
ロプテリンは、6‐メチルジヒドロプテリン或いはジヒ
ドロビオプテリンのキノイド形態よりも1〜2桁より安
定であるが、より大きな安定性さえも単一投与の有効持
続時間を増大させ得る。このキノイド6,6‐ジメチル
ジヒドロプテリンの劣化はC4a−5N結合における初
期の水和及びそれに引き続く環転位によるものと思われ
る。6‐炭素位置の一方或いは両方を疎水基で置換する
と、この水和に対して水の接近を感受性の基の近くに接
近することを制限することにより保護するものと思われ
る。この安定性増大への手法は上記目標のいくつか、特
に疎水基による輸送の改良とは相容れる可能性がある。
これらの要因を考慮に入れ、本発明はヒト或いは動物に
おける芳香族アミノ酸ヒドロキシラーゼ酵素の活性化方
法において、その様な活性化を必要とするヒト又は動物
に下記一般式で表わされる化合物の有効量を投与するこ
とを特徴とする方法を含むものである:
【化7】 (式中、置換基は、芳香族アミノ酸ヒドロキシラーゼ活
性化剤について発明の開示の項において既に与えた意味
を有するものである)。
【0028】これらの化合物及び置換基のある種のもの
は、芳香族アミノ酸ヒドロキシラーゼの活性化に使用す
るのに好ましいものである。これらの置換基が個々にそ
れ自体本発明の目的のために好ましい化合物の基として
(化合物それ自体として或いは本発明の方法に使用する
ために)考慮される場合には、Rは好ましくはアミ
ノ、1〜3の炭素数のアルキルアミノ(特にメチルアミ
ノ)、1〜2の炭素数のアルコキシ(特にメトキシ)、
各アルキルが1〜2の炭素数を有するジアルキルアミ
ノ、環中に1個の窒素及び合計で3、4、5或いは6個
の原子を有するシクロアルキルアミノ、或いはモルホリ
ノ、より好ましくはアミノ或いは1〜3の炭素数のアル
キルアミノ、及び最も好ましくはアミノである。R
好ましくはヒドロキシであり、Rがアルコキシ或いは
ジアルキルアミノである場合にはヒドロキシでなければ
ならない。Rは好ましくはメチル、フルオロ、重水素
原子或いはトリフルオロメチル、より好ましくはメチ
ル、フルオロ、或いは重水素原子、及び最も好ましくは
メチルである。Rは好ましくは1〜8の炭素数のアル
キル、1或いは2のヒドロキシで置換された1〜6の炭
素数のアルキル、フェニル、フェニルメチル、フェニル
エチル、フェニルプロピル、3〜6個の炭素数のシクロ
アルキル、シクロヘキシルメチル、或いはシクロヘキシ
ルエチルである(但し、茲で挙げたフェニル或いはフェ
ニルアルキルはいずれも1個或いは2個のハロゲン原
子、特にフッ素或いは塩素で置換されていてもよく、
又、Rがフェニルである場合にはRは重水素原子以
外の好ましい基である)。Rは好ましくは水素、メチ
ル或いは重水素原子であり、水素がより好ましい。スピ
ロR及びRは好ましくはスピロプロピル、スピロブ
チル、スピロペンチル、或いはスピロヘキシルである。
融合R及びRは好ましくはシクロブチル、シクロペ
ンチル、或いはシクロヘキシルであり、シクロペンチル
又はシクロヘキシルがより好ましい。好ましい化合物
は、これらの好ましい置換基に掲げた1以上のものを前
記一般式と組み合わせて選択することにより定義され
る。
【0029】ある種の置換基の組み合わせは又特に好ま
しいものである。一つの好ましい組み合わせはRがア
ミノであり、Rがヒドロキシであり、Rがメチル、
フルオロ或いは重水素原子であり、Rが水素であり、
及びRが前記好ましい置換基のリストから選ばれるも
のである。芳香族アミノ酸ヒドロキシラーゼ酵素を活性
化することを含む、本発明に使用するための、好ましい
化合物は、下記一般式を有する次の化合物を包含するも
のである:
【化8】 化合物 R1 2 3 4 5 1 NH2 OH CH3 メチル H 2 〃 〃 〃 エチル 〃 3 〃 〃 〃 n-プロピル 〃 4 〃 〃 〃 1-プロピル 〃 5 〃 〃 〃 シクロプロピル 〃 6 〃 〃 〃 n-ブチル 〃 7 〃 〃 〃 2-メチルプロピル 〃 8 〃 〃 〃 1-メチルプロピル 〃 9 〃 〃 〃 シクロブチル 〃 10 〃 〃 〃 n-ペンチル 〃 11 〃 〃 〃 1-メチルブチル 〃 12 〃 〃 〃 2-メチルブチル 〃 13 〃 〃 〃 3-メチルブチル 〃 14 〃 〃 〃 1-エチルプロピル 〃 15 〃 〃 〃 2,2-ジメチルプロピル 〃 16 〃 〃 〃 1,1-ジメチルプロピル 〃 17 〃 〃 〃 シクロペンチル 〃 18 〃 〃 〃 n-ヘキシル 〃 19 〃 〃 〃 1-メチルペンチル 〃 20 〃 〃 〃 2-メチルペンチル 〃 21 〃 〃 〃 3-メチルペンチル 〃 22 〃 〃 〃 4-メチルペンチル 〃 23 〃 〃 〃 1-エチルブチル 〃 24 〃 〃 〃 1-シクロヘキシル 〃 25 〃 〃 〃 1,1-ジメチルブチル 〃 26 〃 〃 〃 n-ヘプチル 〃 27 〃 〃 〃 1-メチルヘキシル 〃 28 〃 〃 〃 シクロヘキシルメチル 〃 29 〃 〃 〃 n-オクチル 〃 30 〃 〃 〃 1-シクロヘキシルエチル 〃 31 〃 〃 〃 1-メチルヘプチル 〃 32 〃 〃 〃 2-シクロヘキシルエチル 〃 33 〃 〃 〃 1-ヒドロキシエチル 〃 34 〃 〃 〃 2-ヒドロキシエチル 〃 35 〃 〃 〃 1-ヒドロキシプロピル 〃 36 〃 〃 〃 2-ヒドロキシプロピル 〃 37 〃 〃 〃 1,2-ジヒドロキシエチル 〃 38 〃 〃 〃 1,2-ジヒドロキシプロピル 〃 39 〃 〃 〃 1-ヒドロキシブチル 〃 40 〃 〃 〃 2-ヒドロキシブチル 〃 41 〃 〃 〃 1,2-ジヒドロキシブチル 〃 42 〃 〃 〃 1-ヒドロキシペンチル 〃 43 〃 〃 〃 2-ヒドロキシペンチル 〃 44 〃 〃 〃 1,2-ジヒドロキシペンチル 〃 45 〃 〃 〃 1-ヒドロキシヘキシル 〃 46 〃 〃 〃 2-ヒドロキシヘキシル 〃 47 〃 〃 〃 1,2-ジヒドロキシヘキシル 〃 48 〃 〃 〃 フェニルメチル 〃 49 〃 〃 〃 2-フェニルエチル 〃 50 〃 〃 〃 3-フェニルプロピル 〃 51 〃 〃 〃 フェニル 〃 52-101 〃 〃 D 1-50と同様 〃 102-152 〃 〃 F 1-51と同様 〃 153-203 〃 〃 CH3 1-51と同様 〃 結合したR3 及びR4 204 NH2 OH 6-スピロプロピル 〃 205 〃 〃 6-スピロブチル 〃 206 〃 〃 6-スピロペンチル 〃 207 〃 〃 6-スピロヘキシル 〃 結合したR4 及びR5 208 〃 〃 CH3 6,7-ジメチレン 209 〃 〃 〃 6,7-トリメチレン 210 〃 〃 〃 6,7-テトラメチレン 211 〃 〃 D 6,7-ジメチレン 212 〃 〃 〃 6,7-トリメチレン 213 〃 〃 〃 6,7-テトラメチレン 214-426 NHCH3 〃 (← 1−213と同様 →) 427-639 NHC2 5 〃 (← 1−213と同様 →) 640-852 NH(CH2 2 CH3 〃 (← 1−213と同様 →) 853-1065 NHCH(CH3 2 〃 (← 1−213と同様 →)
【0030】次に本発明のもう一つの好ましい実施態様
を説明すると、6,6‐ジ置換プテリジン類を阻害剤と
して使用して酵素チミジレートシンセターゼを調節する
ことができる。チミジレートシンセターゼはデオキシウ
リジンモノホスフェート(dUMP)のメチル化を触媒
してDNA合成の必須前駆体であるデオキシチミジンモ
ノホスフェート(dTMP)を形成する。チミジレート
シンセターゼの阻害剤は細胞毒であり、従って、細菌、
真菌或いは寄生虫感染症並びに新生物生育に対抗するた
めに使用することができる〔Danenberg, Biochem. Biop
hys. Acta., 473、73−82(1977)、この文
献は本発明において準用する〕。ウラシル誘導体、例え
ば、5‐フルオロウラシルはチミジレートシンセターゼ
の阻害剤として広範に使用されている。これらの化合物
は、in vivo においてデオキシウリジンモノホスフェー
ト類似体に転換され、これらの類似体はチミジレート合
成を基質dUMPと競争することにより阻害する。この
酵素により要求される他の基質、N,N10‐メチレン
テトラヒドロ葉酸はN,N10‐メチレン及びプテリジ
ン環のC−6位の水素から誘導されるメチル基源とな
る。従って、チミジレートシンセターゼを阻害するもう
一つの系列の類似体は、テトラヒドロ葉酸の誘導体及び
類似体よりなるものである。チミジレートシンセターゼ
はプテリジン環の6位における水素が活性に必須である
唯一の公知の酵素である。この位置を小さな基、例え
ば、メチル或いはフルオロで置換しても結合には殆んど
影響を及ぼさないが、しかし、完全に活性を遮断し、か
ようにして、チミジレートシンセターゼの高度に特異的
な阻害剤を提供する。
【0031】従って、本発明は又ヒト或いは動物におけ
るチミジレートシンセターゼを阻害する方法において該
阻害を必要とするヒト又は動物に下記一般式で表わされ
る化合物の有効量を投与することを特徴とする方法を含
むものである:
【化9】 (式中、置換基はチミジレートシンセターゼ阻害剤につ
いて、発明の概要の項において与えたものと同一の意味
を有する)。該阻害を必要とするヒト或いは動物は細
菌、真菌或いは寄生虫で感染されたもの或いは新生物の
生育に悩むものである。DNA合成が阻害されるので迅
速に生育する細胞及び微生物は公知の如く正常の細胞よ
り著しく阻害される。即ち、「ヒト或いは動物における
チミジレートシンセターゼを阻害する」とは、治療され
ているヒト或いは動物の迅速に生育する新生物細胞にお
ける酵素の阻害、及び治療されるヒト或いは動物にそれ
ら自体存在する微生物の細胞における酵素の阻害の両者
を指すものである。
【0032】これらの置換基を好ましい化合物の基を定
義するに際し(化合物自体として、或いは本発明の方法
に使用するために)、個々に本発明の目的のために考慮
する場合には、Rは好ましくはアミノ、水素、ヒドロ
キシ、チオ、1〜2の炭素数のアルコキシ(特にメトキ
シ)、1〜2の炭素数のアルキルアミノ(特にメチルア
ミノ)、或いは1〜2の炭素数のアルキルチオ(特にメ
チルチオ)、及びより好ましくはアミノである。R
ヒドロキシ、アミノ、チオ、1〜2の炭素数のアルコキ
シ(特にメトキシ)、水素、1〜2の炭素数のアルキル
アミノ(特にメチルアミノ)、或いは1〜2の炭素数の
アルキルチオ(特にメチルチオ)、及びより好ましくは
ヒドロキシである。Rは好ましくはメチル、エチル、
エテニル、エチニル、フルオロ、アミノ、アミノメチ
ル、カルボキシ、或いはヒドロキシ或いはフルオロで置
換されたメチル、より好ましくはメチル、エチル或いは
フルオロ、及び最も好ましくはメチルである。Rは好
ましくは水素、メチル、ヒドロキシ、エチル、或いはフ
ェニル、より好ましくは水素である。Yは好ましくは−
CH−、−CHCH−、−CHF−、−CH(C
)−、−CHCl−或いは−CF−であり、より
好ましくは−CH−或いは−CHCH ましくは−CHCOH、−CHCHCOH、
或いは−(CHNHであり、より好ましくは−
CHCHCOHである。Z及びZは好ましくは
OHである;Mは好ましくは水素、ホルミル、メチル、
ホルムイミノ或いはヒドロキシメチルであり、より好ま
しくは水素、ホルミル或いはメチルであり、最も好まし
くは水素である。Jは好ましくは−CH−であり、Z
Zは好ましくは一つのアミノ酸残基よりなるものであ
る。化合物の好ましい組み合わせは、これらの掲げられ
た好ましい置換基の1以上を前記一般式と組み合わせる
ことにより定義される。ある種の置換基の組み合わせは
又、特に好ましいものである。一つの好ましい組み合わ
せは、Rがアミノ、メチルアミノ、或いはヒドロキシ
であり、Rがヒドロキシ或いはアミノであり、R
メチル、エチル、エテニル、エチニル或いはフルオロで
あり、Rが水素であり、残りの基が上記好ましい群か
ら選ばれた場合に得られる。チミジレートシンセターゼ
阻害剤として使用するに特に好ましいものは、Rがア
ミノであり、Rがヒドロキシであり、Rがフルオ
ロ、メチル、又はエチルであり、及びRが水素である
化合物である。これらのうち、メチレン架橋がN5をC
6上の置換基に連結するものが特に好ましい。
【0033】チミジレートシンセターゼの阻害を含む本
発明に関して使用するに好ましい化合物は下記一般式を
有する化合物である:
【化10】 (式中、置換基は下記の通りである): ZZの欄において、「glu」はグルタミル、「as
p」はアスパルチル及び「lys」はリシルを表わし、
それぞれα‐アミノ窒素を介して結合されている基であ
る。一般式に示される如く結合されているダイマー類及
びオリゴマー類については標準的命名法に従う。又、好
ましい化合物はRがエテニル或いはエチニルであり、
残りの置換基が上記表に掲げた他の置換基の組み合わせ
を有する化合物である。
【0034】本発明のこの側面の用途に用いられる他の
好ましい化合物は下記一般式を有する化合物である:
【化11】 (式中、置換基は下記の通りである)。
【0035】又、好ましい化合物として含まれるもの
は、Rがエテニル或いはエチニルであり、残りの置換
基が上記表に掲げた他の置換基の組み合わせを有する化
合物である。次式を有し、下表に掲げる置換基を有する
次の化合物はチミジレートシンセターゼの阻害剤として
特に好ましいものである。当然、これらの化合物は必然
的に好ましい化合物群の範囲に入るものである。
【化12】 化合物 R2 3 Y ZZ 1177 OH F CH2 glu 1178 〃 CH3 〃 〃 1179 〃 C2 5 〃 〃 1180 〃 F CH2 CH2 〃 1181 〃 CH3 〃 〃 1182 〃 C2 5 〃 〃 1183-1188 NH2 (1177-1182 と同様 →) 1189-1200 (1177-1188 と同様) (glu)2 1201-1212 (1177-1188 と同様) (glu)3 1213-1224 (1177-1188 と同様) (glu)6 1225-1236 (1177-1188 と同様) asp 1237-1248 (1177-1188 と同様) glu−asp 1249-1260 (1177-1188 と同様) glu−lys 又、特に好ましい化合物としては、Rがエテニル或い
はエチニルであり、残りの置換基が上記表に掲げた他の
置換基の組み合わせを有する化合物が含まれる。
【0036】更に、6,6‐ジ置換テトラ‐及びジヒド
ロプテリジン類を、テトロヒドロビオプテリンが、含ま
れる酵素の補因子である他の障害の治療に使用すること
ができる。例えば、パーキンソン様徴候は、しばしば抗
精神病薬、特に、フェノチアジン類およびブチロフェノ
ン類により誘発され、6,6‐ジ置換テトラヒドロプテ
リン類の活性化能力により対抗することができる。同様
に、本発明の化合物は、髄液中の低テトラヒドロビオプ
テリン濃度に伴うことが示された神経障害、例えば、初
老期痴呆、遺伝ジストニー、Alzheimer 病、Shy-Drager
症候群、Steel-Richardson症候群、及びHuntington舞踏
病などの治療に有用であることが期待される。同様に、
低濃度のノレピネフリン及び/又はセロトニンに伴うう
つ病が毎日1gのテトラヒドロビオプテリンの投与によ
り治療の成功を納めている(Levine等、Proceedings of
the Second Winter Workshop on Biochemical and Cli
nical Aspects of Pteridines 、1983年3月、オー
ストリア、口頭で示され、間もなくWalter de Gruyter
(ベルリン)により刊行の予定)。テトラヒドロプテリ
ンはチロシン及びトリプトファンヒドロキシラーゼ類に
対する補因子であり、それぞれノレピネフリン及びセロ
トニンの生合成における律速酵素である。
【0037】これらの要因を考慮に入れると、本発明の
請求の範囲の方法に使用されるのに適当な化合物、及び
他の開示される有用性(特に遺伝欠陥におけるビオプテ
リンを置換する有用性)を有する他の化合物としては、
テトラヒドロプテリジン環構造或いはin vivoに
おいてテトラヒドロ形態に還元することのできるジヒド
ロプテリン環構造のいずれかを有する化合物が包含され
る。特許請求される化合物のあるものは本発明の他の化
合物を合成するために使用することのできる有用な合成
中間体である。本願において、特に、請求の範囲におい
て6,6−ジ置換化合物の式の一つのみの互変異性形態
が与えられる場合にもあらゆる互変異性体形態が本発明
により含まれていると考えられていることに注意すべき
である。例えば、下記の一連の式においてX−XIIは
全て各々の互変異性体である。化合物XVの同様な互変
異性体形態も特にR又はRがヒドロキシである場合
にはテトラヒドロプテリジン類の互変異性体が存在する
と同様に存在し、その場合には主たる互変異性体はケト
態である。同様に、薬学的に許容可能な塩(これらの化
合物の酸官能性基と塩基との反応により形成された塩或
いはこれらの化合物の塩基性官能性基と酸の反応により
形成された塩)はこれらの化合物特に本発明に開示され
る各種用途方法に使用されるように特許請求された化合
物の等価物とみなされている。従って、本発明の6,6
−ジ置換化合物は下記一般式を有するものを包含するも
のである:
【化13】
【化14】 〔式中、R及びRは同一又は異ったものであり、 (1) 水素原子、 (2) ヒドロキシ基 (3) 1〜4の炭素数のアルコキシ基、 (4) 式−NRで表わされるアミノ基 (但し、R及びRは同一又は異ったものであり (a) 水素原子、 (b) 1〜4の炭素数のアルキル基、 (c) 3〜6の炭素数のシクロアルキル基を表わ
す)、 (5) 下記群より選ばれたシクロアミノ基 (a) アジリジノ基、 (b) アゼチジノ基、 (c) ピロリジノ基、 (d) ピペリジノ基、及び (e) モルホリノ基 (但し、該シクロアミノ基はシクロアミノ基の窒素を介
して式のピリミジン環に結合している)、 (6) 1〜3の炭素数のアルキルチオ基或いはベンジ
ルチオ基、或いは、 (7) チオ基 (但し、R及びRの一方より多くが水素であること
がない)を表わし、R及びRは同一又は異ったもの
であり、 (1) 1〜12の炭素数のアルキル基、 (2) 2〜7の炭素数のアルケニル基、 (3) 2〜7の炭素数のアルキニル基、 (4) 3〜7の炭素数が環内にある3〜10の炭素数
の飽和又は不飽和のシクロアルキル基、 (5) 環当り4〜7の炭素数であり、6〜13の炭素
数の飽和又は不飽和のビシクロアルキル基、 (6) アダマンチル基、 (7) 1、2、3或いは4個のヒドロキシ基、アミノ
基、オキソ基、チオ基、ホスフェート基、フルオロ基、
クロロ基或いはブロモ基で置換されている1〜12の炭
素数のアルキル基或いは2〜7個の炭素数のアルケニル
基、 (8) フルオロ基又はクロロ基、 (9) アミノ基、 (10) アジリジノ基、 (11) アリール基(アリールはフェニル或いはナフ
チル)、 (12) 7〜13の炭素数のアリールアルキル基、 (13) アリール基中において、1個、2個、又は3
個の1〜4の炭素数のアルキル基、トリフルオロメチル
基、ヒドロキシ基、1〜4の炭素数のアルコキシ基、フ
ルオロ基、クロロ基、ブロモ基、アジド基、アミノ基、
メチルアミノ基、或いはジメチルアミノ基で置換されて
いるアリール基又はアリールアルキル基、 (14) チエニル基、チエニルメチル基、 (15) フリル基、フリルメチル基、 (16) テトラヒドロフリル基、 (17) ピリジル基、ピリジルメチル基、 (18) 1個、2個又は3個の、1〜4の炭素数のア
ルキル基、アミノ基、ヒドロキシ基、クロロ基、或いは
フルオロ基で置換されたピリジル基、 (19) 重水素原子、 (式中R12は1−〜22−炭素数のアルキル基或いは
アルケニル基、好ましくは、天然に存在する脂肪酸中に
あるアルキル及びアルケニル基及び1〜4の炭素数のア
ルキル基から選択される)、或いは (21) カルボキシル基を表わし、及びRは (1) 水素原子、 (2) 1〜6の炭素数のアルキル基、 (3) 1〜7の炭素数のシクロアルキル基、 (4) フェニル基、フェニルメチル基、 (5) ヒドロキシル基、 (6) 1〜4の炭素数のアルコキシ基、 (7) アミノ基、或いは (8) カルボキシル基 を表わし、Yはメチレン基、或いはエチレン基であり、
そのいずれか一方の基が未置換であるか或いはフルオロ
基、クロロ基、及びメチル基よりなる群から選ばれた1
個又は2個の置換基で置換されている、Y′は (a)−NR10−(R10は水素原子、ホルミル基、
ホルムイミノ基、ヒドロキシメチル基、ベンジル基、或
いは1〜3の炭素数のアルキル基、アルケニル基、或い
はアルキニル基である)、 (b) −CH−、−CH(CH)−、−C(CH
−或いは−CH(C)−、 (c) −O−、或いは (d) −S− であり、ZZは次式で表わされるアミノ酸或いはアミノ
酸重合体の残基を表わす: (茲にZはOH、C〜Cアルキルオキシ基、或いは
NHを表わし、Rは1〜5の炭素数の二価アルキル基
を表わし、及びZはNH或いはCOZを表わし、
但しZはZ或いは次式で表わされるアミノ酸或いはア
ミノ酸重合体の残基である: (但し、ZZ中のアミノ酸残基の全数は7を越えず、Z
Zの定義に当ってZ、R、Z及びZは各々独立であ
る)Mは1〜3の炭素数のアルキル基、アルケニル基、
或いはアルキニル基;ホルミル基、ホルムイミノ基、ベ
ンジル基、水素原子或いはヒドロキシメチル基であり、
及びJは−CH−、−CHCH−、或いは=CH
−(=CH−の一重結合はN5に結合している)であ
り、Q及びQは各々O或いはNRを表わす(但
し、R及びRは共にプテリジン環の炭素6がスピロ
炭素原子である3〜7の炭素スピロアルキル環を形成し
てもよく、R及びRは共にプテリジン炭素6及び7
に融合した5−或いは6−員環の炭素環式環を形成して
もよく、但しRがメチルの場合はRはメチル、シア
ノ或いはアミノメチルではなく、及びRはR基を含
有する式を有する化合物においてのみ重水素であり、又
R3が重水素である場合にはRはメチル基、重水素原
子、或いはフェニル基のいずれでもない〕。
【0038】前記の好ましいものとして掲げた置換基群
に加えて、Rは又、好ましくはヒドロキシメチル或い
はホルミルである。何故ならば、これらの基のいずれか
を有する化合物は本発明の他の化合物の調製のための有
用な合成中間体であるからである。更に、それ自体数個
の置換基を有することのできる置換された置換基が命名
される場合に(例、「…で置換されたアルキル…」、
「…で置換されたアリール或いはアリールアルキル」な
ど)、1個或いは2個の置換基(例、2‐ブロモ‐4‐
ジメチルアミノフェニル)を有するものが好ましく、1
個の置換基を有するもの(例、2‐ヒドロキシエチル)
がより多くの置換基を有するものよりも好ましい。更
に、既に公知の6,6‐ジ置換プテリジン類から更に除
去された6位における置換基が、構造的に公知の6,6
‐ジ置換プテリジン類、適当な具体例としては、6,6
‐ジメチルテトラヒドロプテリン、6‐カルバモイル‐
5,6,7,7‐テトラメチルテトラヒドロプテリン、
6‐カルボキシ‐5,6,7,7‐テトラメチルテトラ
ヒドロプテリン、6‐シアノ‐6‐メチルテトラヒドロ
プテリン、6‐アミノメチル‐6‐メチルテトラヒドロ
プテリン、6,7‐ジメチルテトラヒドロプテリン‐6
‐〔H〕、5‐アセチル‐6‐シアノ‐6‐メチルテ
トラヒドロプテリン、及び5‐アセチル‐6‐アミノメ
チル‐6‐メチルテトラヒドロプテリンにより例示され
ると思われるものに密接に関連していると考えられる化
合物と対比して好ましいものである。従って、この段落
において列挙された公知の6,6‐ジ置換プテリン類か
ら構造的に、本願に挙げた官能基(例、二重結合、ヒド
ロキシル、ケト、アミノなど)或いは少なくとも二つの
メチレン基によって異なる化合物が好ましい(例、メチ
ルの代りにプロピル)、メチレン基及び官能基の両者、
少なくとも3個のメチレン基或いは二つの官能基により
異る化合物はより好ましく、又、3個以上の官能基、メ
チレン基と2個以上の官能基、或いは官能基と2個以上
のメチレン基により異る化合物が最も好ましい。この相
違は1つの官能基に生じても良く、或いは数個の置換基
に亘って生じていてもよい。この段落における限定され
た好ましい対象物は特許請求された化合物の限定に限ら
れたものであり、本願において特許請求された各種使用
方法或いは合成技術を限定するものではない。
【0039】プテリンが補因子として作用する酵素の阻
害剤或いは活性化剤のいずれかとして有用であると思わ
れる化合物の具体例は、本発明の各種方法に使用するた
めの前記化合物並びに以下の化合物が含まれる:2‐ヒ
ドロキシ‐6,6‐ジ‐n‐ドデシルテトラヒドロプテ
リジン、2‐n‐プロポキシ‐4‐アミノ‐6‐エテニ
ル‐6‐フェニルメチル‐7‐sec‐ブチルジヒドロ
プテリジン、4‐シクロフェニルアミノ‐6‐クロロメ
チル‐6‐フェニル‐7‐メトキシテトラヒドロプテリ
ジン、2‐(1‐メチル)エチルチオ‐4‐ピペリジノ
‐6‐(1‐シクロペンテニル)‐6‐(2‐テトラヒ
ドロフリル)‐7‐ヒドロキシジヒドロプテリジン、
2,4‐ジアミノ‐6‐シクロプロピル‐6‐〔(4‐
ジメチルアミノフェニル)メチル〕テトラヒドロプテリ
ジン、2,4‐ジアミノ‐6‐エチニル‐6‐アジリジ
ノ‐7‐カルボキシテトラヒドロプテリジン、4‐モル
ホリノ‐6‐(2‐メチルブチル)‐6‐メチルジヒド
ロプテリジン、2‐ピロリジノ‐6‐メチル‐6‐(2
‐ピリジル)‐テトラヒドロプテリジン、2,4‐ジア
ミノ‐6‐(4‐t‐ブチルシクロヘキシル)‐6‐メ
チル‐7‐ヒドロキシテトラヒドロプテリジン、2‐ア
ミノ‐4‐ヒドロキシ‐6‐エチル‐6‐(2‐フリル
メチル)‐テトラヒドロプテリジン、2‐ピペリジノ‐
4‐ヒドロキシ‐6‐(1‐アダマンチル)‐6‐エチ
ルジヒドロプテリジン、2,4‐ジヒドロキシ‐6‐
(2‐クロロ‐4‐メチルフェニル)‐6‐アミノジヒ
ドロプテリジン、2‐アジリジノ‐4‐ヒドロキシ‐6
‐(2‐ヒドロキシプロピル)‐6‐(2‐ナフチル)
‐7‐フェニルメチルテトラヒドロプテリジン、2‐ヒ
ドロキシ‐4‐アミノ‐6‐デューテロ‐6‐エチル‐
テトラヒドロプテリジン、2,4‐ジアミノ‐6‐アミ
ノ‐6‐(3‐ホスホプロピル)‐7‐エチルテトラヒ
ドロプテリジン、及び6‐デューテロテトラヒドロビオ
プテリン。好ましい化合物には、本発明の各種方法に使
用するのに好ましいものとして挙げられた化合物が含ま
れる。又、有用な合成中間体である6‐メチル‐6‐ヒ
ドロキシメチルテトラヒドロプテリン及び6‐メチル‐
6‐ホルミルテトラヒドロプテリンが好ましい。
【0040】本発明の化合物は現在知られている或いは
将来発見されるプテリジン合成の任意の一般的方法によ
り合成することができる。しかしながら、前記の如く、
本発明はこれら及びその他のプテリジン類を合成するた
めに使用することのできるプテリジン類の合成の一般的
方法を含むものである。この反応は、下記のスキームI
に概略図示され、そこにおいてそれは、R=NH
びR=OH(即ちプテリン類)により図示されてい
る。その他のプテリジン類も以下の段落において十分開
示される如く、適当な出発ピリミジンの選択を用いて同
一方法により容易に合成することができる。
【化15】
【0041】式Vの鍵(key )中間体の合成の好ましい
方法は、6‐ハロ‐5‐ニトロピリミジンから1,2‐
ジアミノエタンの誘導体、好ましくは6,6‐ジ置換プ
テリジン誘導体が合成される場合には、未置換であるか
或いは位置2においてモノ置換であるか及び位置1にお
いてジ置換であるものによるハロゲンの最も便利には塩
素の求核置換を含むものである。より障害の少ないアミ
ンの縮合を極めて優先した反応が起こる。ある与えられ
たクロロピリミジンのN‐アルキルアミンによるアミノ
分解の反応定数は鎖長を増大させることにより或いは鎖
のγ‐分岐により殆んど影響を及ぼされない。β‐分岐
は、小さな効果を有するのに対し、α‐分岐は大きな減
速効果を有する。即ち、1個のα‐分岐は速度を対応す
るn‐アルキルアミンのそれの約5%及びその様な基の
二つは約0.1%に減少させる。部位特異性反応の程度
は粗製生成物が7,7‐ジ置換異性体で汚染される程度
を決定する。90%を越える6,6‐ジ置換化合物に向
けられた反応は7‐位置が水素のみ或いは小さな(フェ
ニル以下の)置換基を有する場合に起こる。これは、縮
合に先立ち三級アミンの特別の保護の必要性を減少させ
る。しかしながら、このアミノ基は特に四置換ジアミン
が使用される場合には必要に応じて標準的技術により保
護することができる。次いで、5‐ニトロ基を還元す
る。この反応には各種方法が利用可能であるが、最も便
利な二つを以下に説明する。化合物Vへの代替的経路は
ジアミンのニトロ基を含有しない4,6‐ジクロロピリ
ミジンの縮合により行われる。これは、ニトロ基の存在
により活性化される場合よりもより長い反応時間が必要
とされる。残存クロロ基の加水分解は、エチレングリコ
ール中において塩基を用いて高温において適度な収率に
おいて達成することができる。亜硝酸ナトリウムによる
5‐位のニトロソ化及び引き続く亜二チオン酸ナトリウ
ムによる所望のアミノ基への還元は一般的に高収率にて
進む。
【0042】前記反応の目的は、得られる5‐イミン基
がカルボニルに加水分解されることができるように酸化
されることのできるピリミジンの作成である。このカル
ボニルは次いでピリミジンが側鎖の三級アミンとのSchi
ff塩基縮合に入り、かようにしてピラジン環を閉じる。
ピリミジン環がキノイド形態に酸化可能であることの要
請は、2及び/又は4の位置における基の性質に何等か
の制限を置くものである。ピリミジン誘導体の知られた
性質は、ピリミジンを温和な酸化剤に感受性とするため
には3個以上の電子供与置換体が必要とされることを示
す。この条件は、1個又は2個のその様な基が位置2及
び/又は4に存在するように出発ピリミジンを選択する
ことにより満たされ、上記の如く位置5及び6における
二つのアミノ基の付加が最終的に必要な補体を作成す
る。特に生物学的に興味深いパターンの具体例は、2‐
アミノ‐4‐ヒドロキシ(プテリン類への前駆体)、
2,4‐ジヒドロ基(ルマジン類への前駆体)、及び
2,4‐ジアミノ(多くの抗‐ホレート薬に共通)であ
る。位置2及び/又は4において上記電子放出基の多く
の組み合わせ、及び6位において塩素を有するピリミジ
ン類は市販されている。特に、2‐アミノ‐6‐クロロ
‐4‐ヒドロキシ‐、2,4‐ジヒドロキシ‐6‐クロ
ロ‐、及び2,4‐ジアミノ‐6‐クロロピリミジンは
全て市販されている(Aldrich Chemical Co., ワイオミ
ング州、ミルウォーキー、或いはK and K Labs, ニュー
ヨーク州、プレーンビュー)。更に、後で例示されるよ
うに、これらの化合物の各々のニトロ化法の適当な方法
も公知である。
【0043】シアミン類の合成には各種方法が知られて
いる。Rが水素である6,6‐ジ置換プテリジン類へ
の前駆体であるビシナルジアミン類の作成に特に適当な
方法はフライフェルダー及びハスブロックの方法〔Frei
felder and Hasbrouck, J. Amer. Chem. Soc.,82、6
96−698(1960)〕であり、これは本発明にお
いて準用する。一般的には、この方法は式RCOR
のケトン類及びアルデヒド類を式RC(NH
CNのα‐アミノニトリルに転換させ、これを次いで式
C(NH)CHNHの1,2‐ジアミン
類に還元する。次表は一連の市販のケトン類、及び本発
明の合成方法によりプテリジン環系のピラジン環に転換
される得られたジアミンを示すものである。
【化16】
【0044】更により一般的なジアミン類の合成はベッ
クマン等〔Beckman et al., Chem.Reviews,48,31
9−383(1951) page 369−378〕に開示
されており、これは本発明において準用する又、ベルガ
ー等〔Berger et al., J. Prakt. Chem., 320、43
3−451(1978)〕にも開示されており、これも
本発明において準用する。この方法は、二重結合の塩化
ニトロシル付加の後塩素原子のアンモニアによる置換及
びニトロソ基のアミンへの還元を含む一連の反応による
式RC=CHRのアルケン類の式CR
CHRNHのジアミン類への転換というもので
ある。この第二の方法は特許請求された融合環及びスピ
ロ化合物を製造するのに特に有用である。例えば、メチ
レンシクロアルカン類はスピロ化合物に転換されるジア
ミン類を生成し、シクロアルケン類は融合環化合物に転
換されるジアミン類を生成する。アルキル基以外の置換
基も出発アルケン類の注意深い選択により導入すること
ができる。例えば、次の表は、一連の市販のアルケン類
と本発明の合成方法によりプテリジン環系のピラジン環
に転換される得られたジアミン類を示す。
【化17】 最後のジアミンは、エポキシ化及び加水分解により1,
2‐ジヒドロキシプロピル側鎖のようなビオプテリンに
転換されうる二重結合を含有することに注意すべきであ
る。他の側鎖の同様の転換は、有機合成の技術分野の当
業者には良く理解されるように、残存する請求の範囲の
側鎖を容易に合成させうる。例えば、R及びRの位
置におけるチオ基は、閉環反応の酸化工程の際に二量化
を防ぐためにベンジルチオ前駆体を用いて調製するのが
最善である。ベンジル基は必要に応じて水素化分解によ
り除去される。同様に、R及びRの位置におけるア
ルキル基上の置換基としての臭素或いは塩素は、アミノ
含有アルキルブロマイド或いはクロライドは初期の環形
成工程の際に自己‐縮合する傾向を有するのでアルケニ
ル基内の二重結合のハロゲン化或いはハロゲン化水素化
により付加するのが最良である。R及びR上のチオ
基は、合成の際にp‐メトキシベンジル、ベンジル、t
‐ブチル又はトリフェニルメチルのような基で保護する
ことが出来、オキソ基は環状ジオキソラン、1,3‐オ
キサチオラン、環状ジチオケタール又はケタールなどの
基内に保護することができ、アミノ基はベンジルオキシ
カルボニル、t‐ブトキシカルボニル、2‐(4‐ビフ
ェニル)‐プロプ‐2‐イル‐オキシカルボニル、2‐
ニトロフェニルスルフェニル、9‐フルオレニルメチル
オキシカルボニル、又はアセタールなどの基により保護
することができる。更に、各種側鎖を別々に有機合成の
常法により合成した後、反応性R、R、又はR
を介してプテリジン環に結合することにより作成するこ
とができる。例えば、ホレート類似体(それらの全ては
p‐アミノ安息香酸含有側鎖を有する)は、p‐アミノ
安息香酸含有基を別々に合成し、安息香酸部分の遊離ア
ミノ基を式CHO−又はCHOCH−のR基(或い
は1個以上の水素が前記の如く置換された適当なその誘
導体)と反応させ、次いで得られたSchiff塩基を還元さ
せることにより調製することができる。
【0045】一般的合成の具体例として含まれ、本発明
を限定する意図のものではない本発明の一つの側面に従
えば、6,6‐ジ置換キノイドジヒドロプテリジンは、
先ずビシナルジアミン及び2‐アミノ‐6‐ハロゲノ‐
4‐ヒドロキシ‐5‐ニトロピリミジンの反応により合
成される。ハロゲンは塩素であるのが便利である。高圧
液体クロマトグラフィー(HPLC)は、ジアミン及び
ピリミジンの両者が最初に純粋であれば、これ及び引き
続く反応から単離される生成物は殆んど紫外線吸収或い
は電気化学的に活性な不純物を含有しないことを示して
いる。ジアミンの他の潜在的に競争的なアミンに関する
純度は、リンドロース及びモッパー[Lindroth and Mop
per, Anal. Chem., 51,1667−1674(197
9)]の逆相HPLC法により確認することができる。
しかしながら、市販の2‐アミノ‐6‐クロロ‐4‐ヒ
ドロキシピリジンはしばしば他のピリミジン類で汚染さ
れている。もし、この出発物質から初期の汚染物質が余
り除去されていなければ、後の工程においてそれらの除
去において相当な損失が及ぼされる。その目的のために
2‐アミノ‐6‐クロロ‐4‐ヒドロキシピリミジンは
INHClからの再結晶によりほぼ純粋な形態で得られ
る。この溶媒からの回収は、しかしながら、高温におけ
る2‐アミノ‐4,6‐ジヒドロキシピリミジンの加水
分解により幾分制限されるものである。純度と収率の間
の有効な妥協は数%の低沸点の水混和性溶媒、例えば、
メタノールの添加及び物質が還流温度に曝される時間を
制限することにより得られる。2‐アミノ‐6‐クロロ
‐4‐ヒドロキシ‐ピリミジンのニトロ化の公知方法は
全て共通して大過剰の硝酸の使用を有するものである。
この反応のHPLCによる分析は、僅かに10〜20%
モル過剰の硝酸が必要であり、この試薬の量を増大する
と単に存在する不純物のニトロ化を促進するに過ぎない
ことを示している。又、刊行されている全ての方法は、
砕氷上へ反応混合物を注ぐことによる生成物の沈殿を要
求している。本発明の一つの側面は、2‐アミノ‐6‐
クロロ‐4‐ヒドロキシ‐5‐ニトロピリミジンの回収
方法の改良にあり、それによると、ニトロ化完結時に反
応混合物が徐々に撹拌されながら氷上に保ったジ‐C
‐C‐アルキルエーテル中に注がれる。所望のニトロ
化ピリミジン沈殿及び回収率は、この溶液を低温で貯蔵
することにより更に改良される。氷の使用に対するこの
方法の主たる利点は、なお溶液中にある2‐アミノ‐6
‐クロロ‐4‐ヒドロキシピリミジンの不完全な精製か
ら残された殆んどの不純物を残しておく、2‐アミノ‐
6‐クロロ‐4‐ヒドロキシ‐5‐ニトロピリミジンの
示差沈殿である。エチルエーテルも使用することができ
るが、しかし、それが沈殿させる生成物の純度及びそれ
の硫酸とのより大きな混和性のためにt‐ブチルメチル
エーテルが好ましい。
【0046】2‐アミノ‐6‐クロロ‐4‐ヒドロキシ
‐5‐ニトロピリミジンと置換1,2‐ジアミノエタン
との反応は、60〜120℃の沸点を有する無水アルコ
ール中で還流させて行うのが便利である。好ましく用い
られるエタノールの利点は、次の通りである: (1) 精製2‐アミノ‐6‐クロロ‐4‐ヒドロキシ
ピリミジンのニトロ化の主たる不純物(約1〜4%)で
ある2‐アミノ‐4,6‐ジヒドロキシ‐5‐ニトロピ
リミジンは熱エタノール中において比較的不溶性であ
り、アミンの添加前に濾過により除去することができ
る。 (2) 上記クロロニトロピリミジンは熱エタノール中
において少なくとも幾らか可溶性である。 (3) 還流エタノールの温度は殆んどの反応が数時間
内に完結するようなものである。 (4) 殆んどの置換1,2‐ジアミノエタンとの反応
生成物は特に冷エタノール中においては不溶性である。 殆んどの市販等級の無水エタノールの更に乾燥は必要と
されないが、無水エタノールの使用は上記クロロニトロ
ピリミジンの加水分解を最少にする。置換1,2‐ジア
ミノエタンは遊離塩基として添加するのが最良である。
遊離塩基が得られないか或いはその使用が実用的でない
場合には、ピリミジンハロゲンの置換に非反応性の塩
基、例えば、トリエチルアミンをハロゲン化物スカベン
ジャーとして反応に添加することができる。必要に応じ
て、その様な塩基は、反応の完結を促進するために他の
反応にも添加することができる。塩基の最適量は反応の
進行をHPLCにより追跡することにより決定すること
ができる。2‐アミノ‐6‐クロロ‐4‐ヒドロキシ‐
5‐ニトロピリミジンの消費を強制的に完結させるため
に、やや過剰のジアミン、約5〜10%、を使用するこ
とができる。大過剰は、しばしば、反応速度及び最終的
収率を減少させることがある。収率は制限的な試薬に基
づいて、一般的に90%を越えるものである。より低い
収率が得られる場合には、先ず出発2‐アミノ‐6‐ク
ロロ‐4‐ヒドロキシ‐5‐ニトロピリミジンの純度を
チェックすべきである。
【0047】しばしば高収率で進行するピリミジン5‐
ニトロ基の接触的水素添加は、置換1,2‐ジアミノエ
タンの2‐アミノ‐6‐クロロ‐4‐ヒドロキシ‐5‐
ニトロピリミジンとの縮合の生成物の還元において僅か
に中程度乃至貧弱な収率を与えるものである。紫外線吸
収副生物の不存在は、ピリミジン環の何等かの開裂が生
じていることを示すものである。接触還元の収率は、白
金、ロジウム、ルテニウム或いはラネーニッケルの代り
にパラジウムが使用される場合に増大する。更に、未担
持PdO或いは硫酸バリウム上の5%Pdを用いて得ら
れた収率は、木炭上のパラジウムを用いた場合よりも1
0〜15%高い。接触的水素添加に比べて、より高い収
率が亜二チオン酸を還元剤として使用することから得ら
れる。亜二チオン酸の第二の利点は、接触的水素添加に
敏感な他の基の存在下におけるニトロ基のその選択的還
元である。ネア等の方法[Nair et al., J. Org. Che
m., 140,1745〜1748(1975)]の修正
方法が特に有効である。この方法は、ジメチルホルムア
ミド中の加熱されたニトロピリミジンと亜二チオン酸ナ
トリウムのスラリー中に徐々に水を添加することを要求
する。修正は試薬の添加順序を変えるものである。ほぼ
1:1の水とジメチルホルムアミドの混合物中の置換
1,2‐ジアミノエタンと2‐アミノ‐6‐クロロ‐4
‐ヒドロキシ‐5‐ニトロ‐ピリミジンとの縮合生成物
の溶液を50〜70℃に加熱する。この溶液は、場合に
応じて1当量までの塩基、例えば水酸化ナトリウムの添
加により助けとなる条件である、なるべく濃縮されたも
のであるのが望ましい。常に撹拌し、不活性ガスで反応
容器を掃射しながら新たな固体亜二チオン酸ナトリウム
をHPLCによる分析が還元の完結を示すまで分割添加
する。この修正法の利点は、ニトロのアミノ基への完全
な転換を達成するために、最少量の亜二チオン酸塩を使
用することである。
【0048】亜二チオン酸塩の使用から得られるイオウ
含有無機物質の大部分の除去は、エチル部分において置
換された所望生成物6‐(2‐アミノエチルアミノ)‐
2,5‐ジアミノ‐4‐ヒドロキシピリミジンの最少容
量の溶媒中への引き続く抽出を助けるものである。又、
亜二チオン酸塩の重亜硫酸塩生成物が除去されなけれ
ば、それは酸化剤を消費する(下記参照)。この除去
は、更に沈殿が生成しなくなるまで塩化バリウムを分割
添加することにより部分的に達成することができる。沈
殿物の除去後、不活性雰囲気下において、遠心分離或い
は濾過により溶液をHClなどのような強酸で酸性化
し、ロータリーエバポレーション或いは凍結乾燥により
水及び/又はジメチルホルムアミドを除去する。この蒸
発は、二酸化イオウを除去するにも役立つものである
が、化合物が室温に保たれるように減圧下に達成される
のが最良である。さもなくば、空気により早期酸化が生
じ得る。
【0049】上記置換6‐(2‐アミノエチルアミノ)
‐2,5‐ジアミノ‐4‐ヒドロキシピリミジンの環化
は、酸化後得られたキノイドピリミジン中の5‐イミン
基の加水分解を必要とする。この加水分解は酸性環境に
より促進される。加水分解は5‐イミンをカルボニル基
で置換し、キノイドジビミンの誘導体を形成する。この
カルボニル基と置換2‐アミノエチルアミノ側鎖の末端
アミノ基との間にはSchiff塩基縮合が、次いで起こり得
る。この反応は中性環境により促進される。即ち、単一
環境内において、応範なpH範囲において、Vを環化す
ることが可能であるが、各段階においてpH最適化を行
った二段階方法がより高い収率を促進する。回収率に影
響を及ぼす第二の要因は、あらゆるpHにおける主とし
て水性媒体内における上記キノイドジビシン誘導体の不
安定性である。例えば、6,6‐ジメチルキノイドジヒ
ドロプテリンは水中における酸化的環化により適度の収
率で得ることが出来るが、5‐イミン基の加水分解を可
能にするに十分な水を含有する主として非水性の溶媒
が、一般的により適したものである。しかしながら、存
在する水の量は、収率を最適化するように調製すること
ができる。例えば、6‐位における疎水性置換基は加水
分解を遅延させることが予想され、従って、より高い水
の濃度が必要とされる傾向がある。置換6‐(2‐アミ
ノエチルアミノ)‐2,5‐ジアミノ‐4‐ヒドロキシ
ピリミジンを溶解する能力、良好な揮発性及び引き続く
酸化剤との反応の欠除は溶媒の好ましい特性である。メ
タノールなどの低分子量アルコールをしばしば使用する
ことができる。分析等級のメタノール中の微量水分が場
合に応じて酸化ピリミジンの迅速加水分解に十分な場合
がある。メタノールは、ニトロ基の接触的還元にとっ
て、もしこの経路が選ばれた場合には、便利な媒体でも
ある。還元物質の溶液は、触媒の十分な除去後に酸化性
環化に直接使用することができる。
【0050】ハロゲン、便利には臭素を酸化剤として使
用することができる。ヨウ素も又、同様に有効である。
酸化に好ましい酸性、非水性溶媒中において、ほぼ40
%の過剰のハロゲンが一般的に必要とされる。酸化剤の
最適量は迅速に溶出するHPLC系を用いて置換6‐
(2‐アミノエチルアミノ)‐2,5‐ジアミノ‐4‐
ヒドロキシピリミジンの消失を追跡することにより決定
するのが最良である。引き続いて起こる加水分解の完結
も又HPLCで追跡することができる。不完全な酸化及
び/又は加水分解の表示は最終6,6‐ジ置換テトラヒ
ドロプテリンの置換6‐(2‐アミノエチルアミノ)‐
2,5‐ジアミノ‐4‐ヒドロキシピリミジンによる汚
染である。キノイドピリミジン中間体の破壊速度に対比
して、好ましい加水分解の速度は反応媒体の酸性を最適
化することにより得ることができる。最少量の水のみを
必要とする場合には、加水分解は、酸を含有させること
により、例えばトリフルオロ酢酸を酸化自体により生成
したものを付加して添加することにより、促進すること
ができる。ピリミジンのモル当り、2モルを越える量は
通常不必要である。より高い水の濃度が使用される場合
には、反応液の酸性を塩基、例えば、水酸化ナトリウム
を添加してpH0〜5、好ましくはpH1〜3に調整す
ることが望ましい。その他の有用であると思われる酸化
剤としては、塩素(特に次亜塩素酸塩の形態)、フェリ
シアナイド、臭素酸塩、ヨウ素酸塩、過ヨウ素酸塩及び
ジクロロフェノール‐インドフェノール(DCIP)な
どが挙げられる。
【0051】酸化された置換6‐(2‐アミノエチルア
ミノ)‐2,5‐ジアミノ‐4‐ヒドロキシピリミジン
の加水分解完結時に反応混合物を中和する。最少量の水
を含有する溶媒中で行われた反応は、非水性塩基(1例
として、メタノール中に溶解されたナトリウムメトキシ
ド、トリエチルアミンも同様に有効である)で中和する
のが好ましい。より多量の水を含有する反応には、水性
塩基も使用することができる。反応の試料の水中への1
0倍希釈液のpHを約pH4〜10、最適にはpH6.
5〜7.5の間に滴定する。6,6‐ジ置換キノイドジ
ヒドロプテリン核は中性からモノカチオンへの遷移に対
するほぼpH5.1のpKaを有している。pH6.5
〜7.5の間では環化生成物は中性分子(側鎖に運びこ
まれているかもしれない電荷は考慮せず)であり、一般
的に最大に安定であり、且つ不溶性である。迅速な環化
速度は又、中性に近い条件により促進される。生成物は
又、溶媒の蒸発により集めることができるが、無機塩類
を含有する。疎水性置換基を含有するキノイドジヒドロ
プテリン類は通常水に十分に可溶性でなく、それらは水
に懸濁させて濾過或いは遠心分離させて、これらの塩を
除去することができる。引き続いてエチルエーテルで洗
浄することにより過剰の未反応のハロゲンを除去する。
真空乾燥されたキノイドジヒドロプテリン類は、乾燥し
た状態で−80℃で保存されると数ケ月間貯蔵すること
ができる。
【0052】6,6‐ジ置換テトラヒドロプテリンが所
望とされる場合には上記キノイドジヒドロプテリンの還
元に幾つかの任意手段が利用可能である。担持された或
いは担持されないパラジウム或いは白金のような触媒を
上記の得られた中性化アルコール溶液に添加してジヒド
ロプテリンを水素添加することができる。或いは又、好
ましくは不活性ガスで脱酸素されたやや過剰の亜二チオ
ン酸ナトリウムの新らたな水性溶液を溶媒の蒸発に引き
続いてジヒドロプテリンに添加することができる。反応
は迅速且つ高収率で進むが、しかし、更に塩を導入する
欠点を有する。溶媒の除去に引き続いて、水及びエーテ
ルの両者に可溶性であるチオール、例えば、メルカプト
エタノールの水溶液をジヒドロプテリンに添加すること
が便利である。チオール類による還元は、主として水性
ではない溶媒中においては通常効率的でないので、あら
ゆる有機溶媒の殆んどを除去するのが最良である。還元
が起こるにつれて、一般的に僅かに水可溶性のキノイド
ジヒドロプテリンは、より可溶性のテトラヒドロプテリ
ンに転換される。この反応は、HPLC或いは分光光度
法により追跡することができる。主としてキノイドジヒ
ドロプテリンによる黄色着色がほぼ除去されることが、
反応の完結の視覚的指示を与える。還元プテリジンを溶
解するために必要とされる最少容量のチオールの添加
は、引き続く溶媒の蒸発を迅速化する。キノイドジヒド
ロプテリンの水性条件下への曝露を最少化するために、
過剰濃縮チオールを使用することができる。これらの量
はチオールの種類に応じて変わり、1M2‐メルカプト
エタノールのほぼ1.5〜4倍の過剰量は室温において
迅速な反応を与える。より疎水性の化合物は、テトラヒ
ドロ生成物を可溶化するために、より多量の幾分より希
釈されたチオールを必要とすることがある。
【0053】上記6,6‐ジ置換テトラヒドロプテリン
の溶液に、強い鉱酸、例えば、塩酸が添加され、溶媒が
高温に曝されることなく、例えば、減圧におけるロータ
リーエバポレーション、或いは凍結乾燥により除去され
る。貯蔵中の最適安定性は、鉱酸の量が最終6,6‐置
換テトラヒドロプテリンのプテリン環がモノ‐乃至ジカ
チオン性であるように調製された際に通常得られる。こ
の一般原則に対する可能性のある例外は、例えばテトラ
ヒドロ葉酸の6,6‐ジ置換類似体などの側鎖に酸不安
定性基を有する化合物であり、その場合には、当業者に
は周知の如く、異った塩形態が最適である。過剰のチオ
ール及びチオールの酸化により生成したジスルフィドは
次いで乾燥テトラヒドロプテリン塩から洗浄される。
6,6‐ジ置換である幾つかを含む多くのテトラヒドロ
プテリン類の純度は、それらのメタノール或いは無水エ
タノール中のハロゲン化水素塩の溶液、数倍量のエチル
エーテルを用いた沈殿によりしばしば改良される。
【0054】この反応スキームの個々の工程は、有機合
成の当業者には良く理解されているように、特別の化合
物の合成について最適化することができる。例えば、1
当量のハロゲン化水素スカベンジャー、好ましくはトリ
メチルアミンが高度に疎水性のジアミンの出発ハロピリ
ミジンとの完全な縮合に必要とされるものと思われる。
同様に、溶媒、pH及び温度も、収率を増大させるため
に最適化することができる。それ以上の手引きは、6,
6‐ジメチル‐及び6‐メチル‐6‐フェニルテトラヒ
ドロプテリン類の合成を、現在の程度まで最適化するま
でに行われた種類の修正を示す以下に掲げる具体例を参
照することにより得られる。本発明の一部であるヒドロ
キシラーゼ及びチミジレート酵素を含む治療を行うため
に使用することのできる前記化合物の合成に加えて、こ
の合成方法は又他のプテリジン化合物の合成を含むもの
である。その最も一般的形態において、この方法は、単
環式前駆体からの6,6‐ジ置換プテリジン環系そのも
のの合成を含むものであり、本願において示された特別
の側鎖或いは官能基を有する化合物の合成に限定される
ものではない。
【0055】異った構造のある種のプテリジン類に到達
するためには、有機化学合成の当業者には良く理解され
ているように、付加的な通常の工程、例えば酸化、アル
キル化及び前記説明において与えた工程で得られた側鎖
のその他の変性が必要である。例えば、ホレート類似体
のM基或いはメチレン架橋は、本発明の一般的合成によ
り作られた基本的置換プテリン構造に、公知方法によ
り、添加することができる。同様に、重水素は6‐モノ
‐置換プテリジンの6‐位に導入することができ、例え
ばフレイデラー[Pfleiderer, Angewandte Chemie, In
t. Ed., 3,114−132(1964)]に記載さ
れている一般的方法に従い、上記Archer等の方法により
調製することができる。
【0056】本発明の化合物が芳香族アミノ酸ヒドロキ
シラーゼ活性化剤として使用される場合には、それらは
その様な活性化を必要とするヒト或いは動物に、酵素の
活性を増大させるに十分な量で投与される。この量は、
治療される障害の重さに応じて異なる。投与量の最適割
合への調整は、薬学技術における普通の実践事項であ
り、ヒトについては投与を行う医師により通常行われ
る。投与は、活性化合物が血液流に到達することを可能
にする任意の方法により行われる。典型的な方法として
は、静脈内注射及び経口投与(任意に腸溶性形態)が含
まれる。経口投与が好ましい。本発明の化合物は、化合
物自体を薬学的に許容可能な担体と共に含有する薬学的
調剤として調製することができる。薬学的に許容可能な
担体は、固体或いは液体のいずれでもよい。液体担体の
具体例としては、水及び非‐毒性塩の水性溶液、例えば
無菌生理学的塩水溶液、或いは有機溶媒例えばエタノー
ルを溶液中のプテリジンを増大するために使用して含む
水性溶液などが挙げられる。又、水中油エマルジョンな
どのエマルジョン類も適当である。固体担体としては、
スクロース或いはゼラチンなどの栄養担体及びセルロー
ス或いはタルクのような非栄養担体が含まれる。その他
の物質、例えばテトラヒドロプテリンを還元形態に保つ
ために添加することのできるアスコルビン酸、或いは活
性化される酵素の基質、例えばトリプトファン或いはチ
ロシン、或いは風味剤なども使用することができる。薬
学的組成物として調製される場合には単位投与形態(下
記参照)の調剤が好ましい。
【0057】酵素活性化剤として有用なプテリジン類の
量は、薬学技術の当業者によく理解されているような単
純な実験により求めることができる。0.1〜100m
g/Kg体重の範囲の量が初期投与量として好ましく、
これは必要に応じて調整することができる。本発明の化
合物は、それらのより大きな安定性及び高い親油性のた
めに、本発明の背景の説明において用いた6‐モノ置換
プテリジンよりもin vivo において一般的により活性が
高いので、1〜10mg/Kg体重の範囲の量が特に好
ましい。等間隔における毎日3〜4回の投与が好まし
い。合計投与量は0.5〜50mg/Kgが好ましい。
【0058】投与される化合物がチミジレートシンセタ
ーゼの阻害剤である場合に同様な投与方法、担体などを
使用することが出来る。しかしながら、内部投与に対す
る好ましい初期投与範囲は0.01〜10mg/Kgで
あり、0.1〜1mg/Kgが特に好ましい。0.05
〜5mg/Kgの合計の毎日の投与量が好ましい。更
に、チミジレートシンセターゼ阻害剤は局所的に、例え
ば、細菌、真菌或いは原虫の感染を防止或いは処理する
ための傷の包帯材として使用することができる。その様
な場合にはクリーム或いは軟膏による投与が好ましい
が、必要に応じて罹患した体の部分を洗浄するために溶
液を用いることもできる。0.1〜2重量%の担体の濃
度での局所的投与が好ましい。ヒトの治療が本発明の好
ましい対象であるが、その他の高等動物も特にチミジレ
ートシンセターゼ阻害剤を用いて治療することができ
る。好ましいものは哺乳動物、及びトリであり、ウシ、
ウマ、イヌ、ネコ、ヒツジ、ヤギ、ニワトリ、ブタ及び
七面鳥が最も好ましい。
【0059】上記開示内容は、本発明を一般的に記載す
るものである。より完全な理解は下記の特別の具体例を
参照することにより得ることが出来、これらの具体例は
特に断りのない限り、例示を目的とするのみであり、本
発明を限定する趣旨のものではない。例I:6,6‐ジメチルテトラヒドロプテリンの合成及
び性質 本例において、(a)を付したローマ数字は、R及び
がメチル基であり、Rが水素である反応式Iに示
した構造を指す。2‐アミノ‐6‐クロロ‐4‐ヒドロキシ‐5‐ニトロ
ピリミジン(II) :2‐アミノ‐6‐クロロ‐4‐ヒド
ロキシピリミジン(I)を還流温度に最少限曝露して一
度1N HCl/メタノール、95:5から再結晶させ
た。この物質の純度を、ギ酸によりpH3.3にした1
0mM水酸化アンモニウムを用いてPartisil SCXカ
ラム(25×0.46cm)から溶出時に各種波長にお
いて検査した。この緩衝液中において、純粋物質は下記
のUV吸光特性を有した: (λmax 224,284;λmin 246nm)ε284
/ε246=10.0及び ε284/ε320>30
0. P上で真空中12時間後、1.64g(I)(1
0ミリモルの一水和物)を加水分解を防止するために氷
上で予備冷却した10mlのHSO中に溶解させ
た。硝酸、90%、0.8g(11.4ミリモル)を、
この低温混合物にその温度が6℃未満に留まるように撹
拌しながら滴加した。それを次いで25゜に温めて、3
時間撹拌した。上記系をHPLC分析したところ、出発
物質の完全な消失を示した。この生成物を温度が10℃
未満に保たれるように氷上で撹拌しながら100mlの
低温t‐ブチルメチルエーテルにゆっくり滴加した。得
られた懸濁液を−15℃で一晩保った。沈殿を濾過によ
り集め、濾液がBaClを用いる試験により測定し
て、酸を含有しなくなるまでエチルエーテルで洗浄した
(約150ml)。P上で真空乾燥後、この物質
の重量は1.94gであり、HPLCによる分析は2‐
アミノ‐4,6‐ジヒドロキシ‐5‐ニトロピリミジン
による3%の汚染を示した。254、282及び330
nmにおける追跡に際して、その他の何等の有意のピー
クは見られなかった。内部標識と対比して、積分された
DMSO‐D中の8及び10ppm間の広いH−N
MRピークは主として生成物回収の非水性方法にも拘ら
ずピリミジンのモル当り1モルの水の含有の可能性を示
した。加水分解不純物の重量を差し引いたところ、上記
重量は90%の一水和物の収率を示す。
【0060】2‐アミノ‐6‐(2‐アミノ‐2‐メチ
ルプロピルアミノ)‐4‐ヒドロキシ‐5‐ニトロピリ
ミジン一塩酸塩(III a):2‐アミノ‐6‐クロロ‐
4‐ヒドロキシ‐5‐ニトロピリミジン1.94gを微
細に粉末化し、ほぼ200mlの沸騰無水エタノール中
に溶解させ、熱い間に濾過し、不溶性2‐アミノ‐4,
6‐ジヒドロキシ‐5‐ニトロピリミジン(唯一の汚染
物質)を除去し、9.0ミリモルの(IIa)を含有する
溶液を得た。これを再び還流させ0.88g(20ミリ
モル)の1,2‐ジアミノ‐2‐メチルプロパン(99
%純度)を撹拌しながら一度に添加した。反応の進行は
ギ酸/メタノール、9:1でpH3.3にした0.1M
水酸化アンモニウムで溶出されたPartisil SCX(2
5×0.46cm)上において254及び330nmの
吸光度により追跡した。還流させながら2時間撹拌後9
9%を越える(IIa)が消費され、大部分の生成物は溶
液から析出した。この析出を完結するために−15℃に
一晩保った後、反応液を濾過し、数mlの冷無水エタノ
ール及び40mlのエーテルで洗浄し、P上で真
空乾燥し、2.43gの一塩酸塩(97%収率)を得
た:UV(0.1N HCl)λmax 331nm、28
5−290nm sh、233nm sh;H−NM
R(DMSO−D)δ1.13(6H、s、C(CH
)、δ3.50(2H,d、J=5Hz、−N−
CH(DOが添加された場合には一重項)。この物
質のクロマトグラムにおける99%を越えるUV330
び98%を越えるUV254 の吸光度は単一の良形のピー
クに存在する。2‐アミノ‐6‐(2‐アミノ‐1,1
‐ジメチルエチルアミノ)‐4‐ヒドロキシ‐5‐ニト
ロピリミジンの存在についての証拠はHPLC或いはN
MRのいずれによっても見ることができない。
【0061】6‐(2‐アミノ‐2‐メチルプロピルア
ミノ)‐2,5‐ジアミノ‐4‐ヒドロキシピリミジン
二塩酸塩(IVa):80mlのジメチルホルムアミド及
び80mlの水+0.16gのNaOH(4.0ミリモ
ル)中に懸濁させた2.23g(III a)(8.0ミリ
モル)の懸濁液を十分にアルゴン通気を行い、60℃に
加熱した。撹拌しながら、各々約6ミリモルの亜二チオ
ン酸ナトリウムのアリコートをアルゴンの定常流下に添
加した。還元剤の添加はpH3.3の1.0M水酸化ア
ンモニウム+ギ酸/メタノール/1mM NaEDT
A、1:1:3で溶出されたPartisil SCX(25×
0.46cm)上の分析が僅かに(III a)の1%の残
存率を示すまで続けられた。この時点において、溶液は
ほぼ透明であった。約5.6gのNa(32
ミリモル)が使用された。(試薬の状態及び添加のタイ
ミングに応じて所要量は(III a)のモル当り3.5〜
6モルの範囲で変化することが判明した。) 主として亜二チオン酸による溶媒フロントの数個の小さ
なピークの他にはHPLCは生成物の後肩部分として溶
出する単一の不純物を示したに過ぎなかった。0.1N
HCl中において262nmで吸収するこの副生物の
大部分は反応液を氷上で冷却後に遠心分離により除去す
ることができた。更に、沈殿が形成されなくなるまで、
上記上澄液に1M塩化バリウムのアリコートを添加し、
遠心分離を行った。全部で約14mlの1M塩化バリウ
ム(添加された亜二チオン酸の約40〜50モル%)が
必要とされた。最終のバリウム沈殿物を数mlの冷アル
ゴン通気水に再懸濁し、遠心分離を行った。得られた上
澄液を、最初の主たる上澄液及び2.8mlの濃塩酸と
共に、25℃においてロータリーエバポレーターでほぼ
乾燥させた。生成物を、分光光度測定法等級のメタノー
ル(約350ml)中に、固形分中に1%未満が残存す
るまで抽出することにより、残存塩から部分的に分離し
た。この溶液を次いで、手早くアルゴン通気させて(IV
a)の酸化を防止した。0.1N HCl中のλmax 2
69nmにおける16,000の推定消衰係数、及びU
269 検出でクロマトグラフ的に決定された生成物の純
度(90%)に基づいて、(III a)からの約85%の
収率が推定された:H−NMR(TSPに対して)
(DO/DCl) δ1.38(6H、s、C(CH、δ3.63
(2H、s、−N−CH−)。化合物(IVa)は又、
メタノール(50ml)中の等重量のBaSO上5%
Pdによる(III a)(1g)の接触還元により45p
si(約3.15Kg/cm2 )の水素下において室温
で14時間撹拌して得られた。UV吸収不純物はない
が、やや収率の減少した(上記推定により60〜65
%)生成物がこの様にして得られた。効率的に空気酸化
を促進する触媒を完全に除去するように注意が払われ
た。いずれの方法から得られた(IVa)のメタノール溶
液も濃縮され、生成物は5〜10倍量のエーテルで沈殿
され、二塩酸塩+幾らかのNaClを得た。
【0062】2‐アミノ‐6,6‐ジメチル‐4‐ヒド
ロキシキノイドジヒドロプテリジン:分光光度分析法等
級メタノール中で8.0ミリモルの(III a)の亜二チ
オン酸還元により得られた(IVa)(約6.8ミリモ
ル)の溶液をロータリーエバポレーションにより約15
0ml(約45mM)の容量まで濃縮し、1mlのトリ
フルオロ酢酸を添加した。この混合物に25℃で1.3
1gの臭素(8.2ミリモル)を撹拌しながら一度に全
部添加した。この酸化は(IVa)の合成において使用さ
れたものと同一のクロマトグラフ系で追跡した。(IV
a)によるクロマトグラフのピークを除去するために、
更に0.32g(2.0ミリモル)の臭素が必要である
ことが判明した。酸化剤が不十分であることは、正しく
滴定された反応が黄色であるのに対し、徐々に紫色の着
色が表われることにより定めることができる。臭素の最
終部分の添加は最初の添加から5分以内に行われた。更
に5分後に、酸化された(IVa)の全てはメタノール中
の微量水によりキノイドジビシン(VIa)の6N‐(2
‐アミノ‐2‐メチルプロピル)誘導体に加水分解さ
れ、従って、この溶液を10分間に亘ってメタノール中
の1MナトリウムメトキシドでpH6.6及び7.0の
間に調整した(アリコートの水中への10倍希釈により
決定)。中和時に、(VIa)は直ちに縮合して(VII
a)を形成し、それは明るい黄色沈殿を形成しはじめ
る。キノイド‐6,6‐ジメチルジヒドロプテリンは中
和溶液の濃縮及び引き続く冷却により集めるか或いは
6,6‐ジメチルテトラヒドロプテリンに還元すること
ができる。
【0063】6,6‐ジメチルテトラヒドロプテリン
(VIIIa):上記(VII a)のメタノール懸濁液(8.
0ミリモル(III a)の亜二チオン酸還元及び引き続く
酸化的環形成の結果)を、室温においてロータリー蒸発
させて乾燥した。黄色キノイドを還元させ、かようにし
て、水中の最少容積(50ml)の1.0M2‐メルカ
プトエタノール中で、室温において溶解させた。この明
黄色溶液を5ml濃塩酸と共にロータリー蒸発させて、
油状懸濁液にし、それから数回の合計60mlのメタノ
ール洗浄で(VII a・2HX)を抽出し、幾らかの塩を
残した。この溶液を25mlまで濃縮し、6〜8倍の容
量のエーテルを添加した。形成した沈殿を遠心分離によ
り集め、150mlの新たなエーテルに再懸濁し、再遠
心分離を行い、沈殿を真空乾燥した。生成した明黄色粉
末の重量は1.98gであり、主として塩化物である約
29%のハロゲン化ナトリウムを含有した。(IVa)の
合成におけると同一の条件を用いたHPLC分析によ
り、254nm或いは266nmのいずれかにおける吸
光度面積の98%を越える割合が単一ピークに位置し、
主たる不純物(1/2%)は(III a)の亜二チオン酸
還元により導入された副生物と同一の滞留容積を有する
ことが判明した。この点における溶媒フロント内のUV
応答は、上記エーテル沈殿の際に、たまたま酸化2‐メ
ルカプトエタノールの不完全な除去より生じたものであ
った。その他の電気化学的に活性な(ガラス様炭素上
0.4V vs.Ag/AgCl)化合物は検出されな
かった。14,700M-1cm-1の消衰係数を用いて
0.1N HCl中において分光学的に求められた(VI
IIa)の収率は、5.24ミリモルであった((III
a)から65%、(Ia)から57%)。ウェーバー等
[Weber et al., Helv.Chim. Acta, 57 1485〜
1492(1974)]により用いられた方法を6‐メ
チル‐5,6,7,8‐テトラヒドロプテリンの結晶化
に適用することにより完全に無色(VIIIa・2HCl)
でより高い純度のものが良好な回収率をもって得ること
ができる。このウェーバー等の文献は本明細書において
準用する。
【0064】6,6‐ジメチルテトラヒドロプテリンの
化学的特性:UV: 6,6‐MePHの原液の濃
度は265nmにおけるpH1.0での消衰係数の決定
の直前にアスコルビン酸を標準としてpH5.5におい
て2,6‐ジクロロフェノール‐インドフェノールの滴
定により確立された。この値を用いて、その他のpHに
おける消衰係数の評価に用いられたものを含めて、あら
ゆる引き続きの溶液の濃度を求めた。
【表1】 NMR: 60MHzで得られたNMRデータは次の
通りであった。6,6‐MePH・2HClに対し
て(CDSO+1NaOD中において次のモノカ
チオンを与えた: δ1.33(6H,s,C6‐(CH) δ3.30(1H,s,C7‐H軸結合) δ3.47(1H,s,C7‐H赤道結合) 6NDCl中においては: δ1.52(6H,s,C6‐(CH) δ3.53(2H,s,C7‐H) (CDSO中におけるモノカチオンの軸結合及び
赤道結合の帰属はウエーバー及びビスコンティニ[Webe
r and Viscontini,Helv. Chim. Acta,58 1772
〜1780(1975)]の研究に基づいている。15
‐NMRスペクトルは(CHSO/10%(CD
SO中のジカチオンの0.5M溶液上のBrukerW
M−500について獲得された。 δ133.8(N1) δ100.3(NH) δ78.8(N8) δ63.9(N5) δ133.8におけるものを除く全ての共鳴は陰性であ
った。帰属は6‐メチル‐及び6,7‐ジメチル‐5,
6,7,8‐テトラヒドロプテリンについて刊行されて
いるスペクトルと対比して行われた。N3を検出する能
力がないことは、刊行されたスペクトルに使用されてい
るそれに対比してより高い視野により誘導される化学シ
フト異方性から生ずる対抗的NOEに最も原因を有する
もののように思われる。
【0065】マススペクトル:直接挿入により得られた
6,6‐MePH2HClのマススペクトルはm/
e195(80%相対量)において親ピークを与えた。
2つの主たる断片即ち1つのメチル基の損失によるベー
スピークでもあるm/e180におけるもの、及びもう
1つは両方のメチル基の損失によるm/e165(50
%相対量)におけるものが存在した。
【0066】安定性:6,6‐MePHの空気酸化
の速度は、27°において0.1M Tris・HC
l、pH7.4、即ち酵素分析条件において測定した。
半減期は23分であり、疑似一次速度定数は0.03分
-1であった。これは先に、6,7‐MePHについ
て求めた定数と同様である。
【0067】キノイド‐6,6‐ジメチルジヒドロプテ
リンの化学特性:キノイド‐6,6‐MePH
6,6‐MePHの合成における中間体である(上
記参照)。それは又、6,6‐MePHの臭素酸化
により定量的に調製することもできる。q‐6,6‐M
PHの特性は後者の経路で作られた物質について
求められた。6,6‐MePH二塩酸塩0.1ミリ
モルを3mlのメタノール中に溶解させ、22mgのB
(0.14ミリモル)を添加した。溶媒をロータリ
ーエバポレーションで除去したところ、濃橙色フィルム
が得られた。この試料を、繰返し、新たな3mlのメタ
ノールに溶解し蒸発乾固する操作をフィルムが明黄色と
なり何等の臭素の臭いが検出されなくなるまで全部で6
回繰返した。過剰の臭素の除去を失敗するとq‐6,6
‐MePHの分光学的研究を妨げる複雑な吸光度変
化が生じた。定量的収率は元の物質を完全に回収する2
‐メルカプトエタノールを用いた6,6‐MePH
への還元により確立された。
【0068】中性pHにおけるq‐6,6‐MePH
のイオン形態 分子形態は対イオンの分析を行って求め
た。6,6‐MePHの二塩酸塩を数回エーテルを
用いてメタノール/濃HBrから沈殿を繰り返すことに
より二臭化塩素塩に転換した。この物質のメタノール溶
液を上記の如く臭素で酸化し、繰り返しロータリーエバ
ポレーションを行った。得られたキノイドのメタノール
(2.5ml)中の40mM溶液を水中10倍に稀釈し
た試料がpH6.5になるまで1.0N NaOHで滴
定した。形成された沈殿を遠心分離にかけ、手短に冷水
に懸濁させ、再遠心分離を行い、20mlメタノール中
に完全に溶解させた。スケリー[Skelly, Anal. Chem.,
54、712−715(1982)]より応用した方
法、即ち、Spherisorb‐C、5ミクロン(25×0.
46cm)を用い、10mMノニルアミン+HPO
pH6.2で溶出し、205nmにおいて検出を行う
方法によるHPLC分析の結果、沈殿物はKBr標準液
と対比して臭素イオンを含有せず、従って中性種である
可能性が最も大きいことが示された。
【0069】pKa:q‐6,6‐MePHの中性
種及びモノカチオン種間の遷移に対するpKaは分光光
度法により求められた。臭素元素のないn‐プロパノー
ル中の濃縮キノイド原液を一定のイオン強度(I=0.
01)における一連のコハク酸ナトリウム緩衝液中に
0.1mMに稀釈した。各緩衝液に対してバックグラウ
ンド補正されたスペクトルを25℃の温度に保たれたPe
rkin-Elmer552分光光度計上に得た。pKaは5.1
5±0.05であることが判明した。
【0070】UV:紫外線スペクトルは、q‐6,6‐
MePH(pH7.4)及びモノカチオン(pH
3.0)の中性種についてとられた(図面)。表IIにま
とめて示した消衰係数は標準化された6,6‐Me
のq‐6,6‐MePHへの定量的転換に基づ
いている(上記参照)。
【表2】
【0071】NMRH−NMRスペクトルはq‐
6,6‐MePHについてとられた。 (1) 60MHz分光計を用いて(CDSO中の
臭化水素酸塩: δ1.32(6H,s,C6‐(CH) δ3.45(2H,s,C7‐H)、及び (2) 500mHz分光計を用いたDO中(pD7.
0) δ1.20(6H,s,C6‐(CH) δ3.29(2H,s,C7‐H
【0072】安定性:各種環境内におけるq‐6,6‐
MePHの崩壊を分光光度法により追跡した。C6
においてモノ置換されたキノイドジヒドロプテリン及び
6‐アミノメチル‐6‐メチル化合物とは対照的にq‐
6,6‐MePHは7,8‐ジヒドロプテリンには
転位しないように思われる。水中において、最も高い安
定性の平坦部は中性pH近辺にみられる。pH6.8に
おいて、氷上に保たれた溶液は100時間より大きい半
減期を有する。pH7.4における0.1M Tris
・HCl中では、各々27℃及び37℃において4時間
及び1.25時間の半減期がみられる。キノイドの損失
は酸中においてはやや増大し、塩基中においては著しく
促進される。全てのpHにおいて、プテリジン様吸収の
消失は主たる環の転位が起きていることを示唆する。こ
の過程は酸素の存在によっては影響を及ぼされない。常
温における通気(CHSO中のq‐6,6‐Me
PHの半減期はほぼ48時間であり、−80℃では
数週間である。非水性溶媒中における一般的に増大した
安定性は水中における分解は初期の水和化によるもので
ある可能性を示している。上記の如く、6,6‐Me
PHから調製された乾燥粉末は、−80℃で乾燥して
数ケ月貯蔵したところ、何等の変化も検出されなかっ
た。
【表3】 a 分解速度は各々0.1Mにおける1N HCl(p
H0)、或いはTris−MES(pH6.8)或いは
Tris・HCl(pH7.4)中の吸収スペクトルか
ら求めた。
【0073】生理学的条件下におけるキノイド‐6,6
‐MePHの非‐酵素的還元: キノイド‐ジヒドロ
形態において比較的安定である芳香族アミノ酸ヒドロキ
シラーゼ補因子類似物はジヒドロプテリジンレダクター
ゼ欠陥の治療に対する治療的潜在能力を有する可能性が
ある。即ち、各種生理学的還元剤によりキノイドがテト
ラヒドロプテリンに還元される速度を求めることは興味
深いことであった。反応速度は0.1M Tris・H
Cl、pH7.4中において37°で340nmにおけ
る吸光度の減少から測定した。各成分における第一次の
反応を観測した。NADH、NADPH及びアスコルビ
ン酸について還元速度(K=660M-1min-1)は同
一であった。システィンを用いた速度は約4倍遅かった
(K=160M-1min-1)。
【0074】例II:6‐フェニル‐6‐メチル‐テトラ
ヒドロプテリンの合成及び性質 2‐アミノ‐6‐(2‐アミノ‐2‐フェニルプロピル
アミノ)‐4‐ヒドロキシ‐5‐ニトロピリミジン‐塩
酸塩 :2‐アミノ‐6‐クロロ‐4‐ヒドロキシ‐5‐
ニトロピリミジン(0.626g;3.0ミリモル)を
130mlの還流無水エタノール中に溶解させ、0.4
5gの1,2‐ジアミノ‐2‐フェニルプロパン遊離塩
基(3.0ミリモル)を8mlの無水エタノールに溶解
させて全部一度に添加した。混合物を攪拌し、明黄色の
沈殿が形成するにつれて還流に維持した。30分におけ
るHPLCによる分析は、反応物質の半分を僅かに越え
る量が消費された後に縮合の顕著な減速を示した[Parl
isil SCXカラム(25×0.46cm)をギ酸/メ
タノール、3:2v/vでpH3.3にした0.1M水
酸化アンモニウムで溶出)。ジアミンの97%以内の利
用率までの反応の完結は、無水エタノール(3.6ミリ
モル)中の3.6mlの1Mトリエチルアミンの添加後
0.063gの上記ピリミジンを添加し、反応は更に1
時間還流して続けられた。−15℃で一夜保った後やや
ゼラチン状の生成物の大部分を遠心分離により集め、1
0mlの冷エタノールで洗浄し、最後に各々30mlの
エチルエーテルで2回洗浄した。母液上澄液を−15℃
で更に5日間放置した後、同一純度の第二の収穫物を集
め、同様に洗浄した。これらの物質をPの存在下
に真空乾燥したところ、0.97g(0.889+0.
081)の一塩酸塩がジアミンに基づいて95%の収率
で得られた。
【0075】6‐(2‐アミノ‐2‐フェニルプロピル
アミノ)‐2,5‐ジアミノ‐4‐ヒドロキシピリミジ
ン塩酸塩:上記0.97gの2‐アミノ‐6‐(2‐ア
ミノ‐2‐フェニルプロピルアミノ)‐4‐ヒドロキシ
‐5‐ニトロピリミジン‐塩酸塩(2.85ミリモル)
を70℃で30mlのアルゴン通気されたN,N‐ジメ
チルホルムアミドに溶解させ、30mlの水(70℃に
て)を極めて過飽和の溶液を生成するように注意深く滴
加し、該溶液をアルゴンで泡立たせて更に脱気した。四
つの予備秤量された0.56gのNa(合計
12.83ミリモル)を1分おきにアルゴン気流下に激
しく攪拌しながら添加した。最終アリコートは、透明な
ほぼ無色の溶液を生成し、これを氷上で冷却した。5.
13mlの1M塩化バリウム水溶液を冷却溶液に添加
し、遠心分離を行った。更に1.28mlの1M塩化バ
リウムを添加し、混合物を再遠心分離し、上澄液を傾瀉
分離した。バリウム沈殿を10mlの冷アルゴン‐脱気
水で洗浄し、この上澄液を最初の上澄液に添加した。合
わされた上澄液をN,N‐ジメチルホルムアミドのみが
残存する(ほぼ15〜20ml)まで減圧下に4mlの
濃塩酸と共にロータリーエバポレーションに付した。こ
れを−15℃で1時間保ち、得られた懸濁液を濾過し、
2×10mlのN,N‐ジメチルホルムアミドで洗浄し
た。合わされた濾液を減圧下にロータリーエバポレーシ
ョンを行ってゴム状物にし、これを20mlメタノール
中に溶解させた。この溶液をアルゴン気泡で脱気し、2
0,000×gで5分間遠心分離し、亜硫酸コロイドを
除去した。この透明明黄色溶液の0.1N HCl中の
稀釈液は271nmにおいてλmaxを示す。
【0076】2‐アミノ‐4‐ヒドロキシ‐6‐メチル
‐6‐フェニル‐キノイド‐ジヒドロ‐プテリジン:上
記6‐アミノ‐(2‐アミノ‐2‐フェニルプロピルア
ミノ)‐2,5‐ジアミノ‐4‐ヒドロキシピリミジン
の塩酸塩の20mlメタノール中の溶液を氷上で冷却
し、メタノール中0.5M Iの5.5mlを(室温
で)なお氷上で攪拌しながら全て一度に添加した。30
秒後、水中0.5M NaOH13ml(氷上で予備冷
却)を添加し、酸性が試験紙で測定してpH1.5〜
2.0になるようにした。3分後に、水中の1M Na
OH5.5〜6.5ml(常温)を試験紙で測定して
7.0〜7.5のpHにし、溶液を室温にした。形成さ
れたキノイドジヒドロプテリジンの黄色沈殿及び10分
後に懸濁液を氷上で再冷却し、ロータリーエバポレーシ
ョンを行って半分の容量にし濾過した。沈殿を5mlの
冷水で洗浄後、30mlのエチルエーテルで洗浄して過
剰のヨウ素を除去した。Pの存在下において真空
乾燥後、0.362gの重量が得られた(2‐アミノ‐
6‐(2‐アミノ‐2‐フェニルプロピルアミノ)‐4
‐ヒドロキシ‐5‐ニトロピリミジン‐塩酸塩から50
%収率、1,2‐ジアミノ‐2‐フェニルプロパンに基
づいて47%)。この物質は、2‐アミノ‐4‐ヒドロ
キシ‐6‐メチル‐6‐フェニル‐5,6,7,8‐テ
トラヒドロプテリジンへの還元から判断して、何等のU
V吸収不純物を含まないようであった(下記参照)。
【0077】2‐アミノ‐4‐ヒドロキシ‐6‐メチル
‐6‐フェニル‐5,6,7,8‐テトラヒドロプテリ
ジン(6‐Ph‐6‐MePH): 上記乾燥キノイド
‐ジヒドロプテリジンを生成物の最終濃度がほぼ10m
M(中性pHにおけるほとんど飽和の溶液)となるよう
に0.5Mの2‐メルカプトエタノールを室温において
添加して、ほぼ定量的収率において還元した。純粋な二
塩酸塩を得るために、この溶液をロータリーエバポレー
ションに付して油状物にしこれをメタノール中2M H
Clに溶解させ、4倍容のエチルエーテルを添加し、沈
殿を遠心分離で集め、新たなエチルエーテル中に再懸濁
して2回洗浄し、次いで遠心分離を行った。真空乾燥さ
れた白色粉末はSpherisorb Cカラム(25×0.4
cm)を用いギ酸でpH3.3にされた20mM水酸化
アンモニウム、1.0mM NaEDTA/メタノー
ル、70:30で溶出され、254或いは267nmの
いずれかのUV吸光度で追跡された際に99%を越える
純度を示した。
【0078】例III :6,6‐ジ置換プテリジン類と酵
素の相互作用 6,6‐ジメチルテトラヒドロプテリンとフェニルアラ
ニンヒドロキシラーゼの補因子特性 :6‐メチル‐及び
6,7‐ジメチルテトラヒドロプテリンの補因子特性は
周知である。これらの補因子に対する速度論的恒数を表
IV、1〜3行にまとめて示す。6位のジヒドロキシプロ
ピルに置換するメチルはVmaxには殆んど影響を及ぼ
さないが、親和性を約5倍減少させることが判る。7‐
位における第二のメチルは結合には最早何等の効果も及
ぼさないが速度を4〜5倍減少させる。
【表4】 a 補因子に対する見かけKmは1mMフェニルアラニ
ンで測定し、フェニルアラニンに対するものは0.2m
M補因子濃度で測定した。全ての反応は大気酸素にて行
われ、27℃において0.1M Tris・HCl、p
H7.4中において行われた。 b Hill係数=2を有するS字状Km曲線、他の全
てのKm曲線は双曲線であった。 c Bailey and Ayling, J. Biol. Chem.253、15
98−1605(1978)からのデータ d Ayling et al., Anal Biochem.,51、80−90
(1973)からのデータ
【0079】6,6‐ジメチル置換テトラヒドロプテリ
ンの補因子活性を、補因子消費及びチロシン形成の両者
が追跡された標準的フェニルアラニンヒドロキシラーゼ
アッセイにおいて試験した。表IV及びVに見られる如
く、6,6‐ジメチルテトラヒドロプテリンは補因子と
して機能し、消費される各補因子分子に対して1つのチ
ロシンが形成される完全に組み合わされた反応の触媒作
用を行う。見かけミハエリス定数は0.02−0.3の
範囲の6,6‐MePH濃度を用いて1mMフェニ
ルアラニン及び大気圧酸素にて求めた。見かけKmは6
‐メチル及び6,7‐ジメチルテトラヒドロプテリンの
それの2/3〜3/4であるので、6位における第二の
メチルの効果はフェニルアラニンヒドロキシラーゼに対
する親和性を僅かに増大させるものである(表IV)。
6,6‐MePHの0.2mMにおけるフェニルア
ラニンに対する見かけKmは0.65mMであり、これ
は同一条件下において6‐メチル及び6,7‐ジメチル
類似体について観察されるものの中間値である。6,6
‐MePHとのは反応の最大速度は6,7‐ジメチ
ル化合物のそれと同様であり、天然の補因子より約6倍
遅い(表IV)。
【表5】 a 反応はフェニルアラニンを省略した対照に対して、
340nmにおいて、2〜3分間分光光度法により追跡
した。反応はトリクロロ酢酸で終了させ、反応液のチロ
シンの分析を行った。酵素反応において酸化された補因
子は、340nmにおける6,6‐MePHのq‐
6,6‐MePHへの転換に対して3,600M-1
cm-1のモル消衰係数から計算された。反応の化学量論
を直接に決定するに当り、補因子再生系は含まれなかっ
た。即ち、反応は時間と共に線形に留まらないので上記
結果は初期の速度を表わさない。
【0080】フェニルアラニンヒドロキシラーゼにより
生成されたキノイド‐6,6‐Me PHの吸光度ス
ペクトル: スペクトルは酵素的に6,6‐MePH
から合成されたq‐6,6‐MePHについてとら
れ、化学的に生成した化合物との比較を行った。分光光
度計はプテリン以外の全ての反応成分(0.1M Tr
is・HCl、pH7.4、4mMフェニルアラニン、
2500単位カタラーゼ、0.3単位フェニルアラニン
ヒドロキシラーゼ)を0.99mlの全容量で含有する
試料及び対照キュベットで基線補正を行った。次いで
6,6‐MePH(10mMの10μl)を試料に
添加し、蒸留水(10μl)を対照キュベットに添加し
た。走査は直ちに開始され、スペクトルを2分間隔でと
った。q‐6,6‐MePHの形成は4分以内に完
結した。形成したチロシン及び消費されたフェニルアラ
ニンの補正を行った後、スペクトルは6,6‐Me
のBr酸化により生成されたもの(図面)の3%
以内であった。
【0081】ペルオキシダーゼにより生成されたキノイ
ド‐6,6‐MePHのスペク トル:試料及び対照
キュベットは0.1M Tris・HCl、pH7.
4、6単位のペルオキシダーゼ及び0.4mM H
を0.99mlの全容量で含有した。基線補正の後、
6,6‐MePH(10mMの10μl)を試料に
添加し、HO(10μl)を対照に添加した。走査を
直ちに行い、2分間隔にスペクトルをとったところ、キ
ノイドは数秒以内に完全に形成され、スペクトルは化学
的に合成された生成物(図面)と同一であった。
【0082】ジヒドロプテリンによるフェニルアラニン
ヒドロキシラーゼの阻害: キノイド‐ジヒドロプテリンによる阻害:6,6‐Me
PHの補因子特性を利用して、q‐6,6‐Me
PHによるフェニルアラニンヒドロキシラーゼの阻害
を検討した。より標準的な補因子とは対照的にキノイド
‐ジヒドロ及びテトラヒドロ形態間の電子交換は、いず
れの濃度の変化も生じない。測定は補因子濃度を0.0
5〜0.3mMの間で変化させた標準的分析条件下に行
われた。6,6‐MePHの原液は0.1Mアッセ
イ緩衝液中であった。新たに調製された0.4mMまで
のq‐6,6‐MePHの濃度では何等の精製フェ
ニルアラニンヒドロキシラーゼの阻害も見られなかっ
た。 7,8‐ジヒドロプテリン類による阻害:比較のため
に、6‐Me‐7,8‐PH及び7,8‐ジヒドロビ
オプテリンの阻害特性を検討した。6‐MePH
0.05mM〜0.3mMの範囲で用いた標準的分析条
件を使用した。競争的阻害がいずれの場合にも認めら
れ、見かけのKはそれぞれ0.2mM及び0.05m
Mであった。
【0083】キノイド‐6,6‐ジメチルジヒドロプテ
リンのジヒドロプテリジンレダクターゼに対する基質特
:6,6‐ジメチルテトラヒドロプテリンを3種の異
なった方法により酸化して、q‐6,6‐MePH
を製造し、ジヒドロプテリジンレダクターゼに対する基
質としての実験を行った。 (i) 化学的合成:このキノイドを前記方法に従って
6,6‐MePHから生成した。q‐6,6‐Me
PHを10mMの原液を作る直前に0.1M Tr
is・HCl、pH7.4に溶解させ、これを氷上に保
った。基質活性を試験するために、少量(50μlより
小)を27°に平衡化させた温度の0.1M Tris
・HCl、pH7.4を含有するキュベットに添加し、
340nmにおける吸光度を測定した。 (ii) ペルオキシダーゼ及びHによる酸化:ペル
オキシダーゼ(6単位/ml最終容量)を0.1M T
ris・HCl、pH7.4において、5分間27°に
温度平衡化させた。次いでH(1.2mM最終濃
度)を添加した後、6,6‐MePHを添加した。
340nmで追跡されたq‐6,6‐MePHへの
転換は数秒以内に完結した。 (iii) フェニルアラニンヒドロキシラーゼによる生
成:フェニルアラニンヒドロキシラーゼ(0.6単位/
ml)、カタラーゼ(2500単位/ml)、及びフェ
ニルアラニン(3mM最終濃度)を0.1M Tris
・HCl、pH7.4において、27°に温度平衡化さ
せた。5分後に、6,6‐MePHを導入し、34
0nmにおいて追跡した。6,6‐MePHのキノ
イドジヒドロプテリンへの転換は濃度に応じて1〜7分
以内に完結した。q‐6,6‐MePHを含有する
上記溶液の各々にNADH(最終濃度0.1mM)を添
加し、バックグラウンド速度を1分間記録した。反応を
次いでジヒドロプテリジンレダクターゼ(0.01単位
/ml)で開始した。反応速度は、340nmにおける
O.D.の酵素依存減少から化学合成基質については
9.8の消衰係数、及びプテリンがキノイド形態で維持
されるペルオキシダーゼ‐及びフェニルアラニン‐ヒド
ロキシラーゼ含有反応については6.2の消衰係数を用
いて計算した。正確なKmを得るために必要とされる高
濃度のq‐6,6‐MePHのために0.5cm光
路のキュベットを使用した。ウシ肝臓及びヒツジ肝臓酵
素はq‐6,6‐MePHについて同様な活性を示
した。27℃において0.1M Tris・HCl、p
H7.4において測定されたKmは、両酵素について
0.4mMと高いものであった。このKmはキノイドジ
ヒドロプテリンの生成方法の如何に拘らず得られたもの
であった。Vmax値も又3つの方法のいずれによって
生成されたキノイドのジヒドロプテリジンレダクターゼ
触媒還元について同一であった(表VI)。この様に、各
方法のキノイド生成物は同等の挙動を示すように思われ
る。
【0084】飽和濃度において、ジヒドロプテリジンレ
ダクターゼによるq‐6,6‐MePHの利用率
は、天然キノイドジヒドロビオプテリン及び通常使用さ
れる合成基質キノイド‐6‐メチル及び6,7‐ジメチ
ル‐ジヒドロプテリンに匹敵するものである。q‐6,
6‐MePHのVmaxはこれらの基質の任意のV
maxの2の因数以内のものである(表VI)。しかしな
がら、酵素に対する親和性は6位における第二のメチル
基により相互に影響を及ぼされる。Kmは6位における
単一メチルを有する二つの化合物のいずれかに対するも
のよりも1桁以上高く、天然基質のそれよりも2桁以上
高い。キノイド‐6‐フェニル‐6‐メチルPHのK
mはq‐6,6‐MePHのそれよりも相当に低
く、q‐6‐モノメチルPHのそれに近似する。6‐
フェニル‐6‐メチルのVmaxはq‐ジヒドロビオプ
テリンと同様である(表VI)。
【表6】 a NADの濃度は0.1mMであった。全ての場合に
おいてNADHに対するKmは0.005mM未満。
【0085】テトラヒドロビオプテリン類似体のチロシ
ンヒドロキシラーゼとの補因子活性:各種テトラヒドロ
ビオプテリン類似体を上記フェニルアラニンヒドロキシ
ラーゼについて述べたと同様にしてチロシンヒドロキシ
ラーゼとの活性の試験を行った。結果を表VII にまとめ
て示す。
【表7】 相対的Vmax/Kmは脳内における如く、補因子濃度
がKmよりはるかに低い場合に、速度比を与え、類似体
に対する期待される増大した活性を示す。しかしなが
ら、6‐モノ置換化合物は、それらの7,8‐ジヒドロ
形態に転位する前記傾向、即ち6,6‐ジ置換化合物に
おいては遮断されている傾向のために、この様なより高
い活性を達成することは期待されない。
【0086】例IV:in vivo試験:6,6‐ジ置
換プテリジン類の予備的なin vivo試験を行っ
た。6,6‐ジメチルテトラヒドロプテリンを0.1μ
モル/g体重の投与量でマウスの腹腔へ注射した。最大
脳濃度は注射後約1時間後に到達し、同様にして注射さ
れたテトラヒドロビオプテリンにより到達された最大濃
度よりも30倍を越えて高いものであった。以上、本発
明を十分に説明したが、本発明の趣旨或いは範囲から離
れることなく多くの変化及び修正が行われることは当業
者に明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【図1】フェニルアラニンヒドロキシラーゼにより生成
されたキノイド−6,6−MePHの吸光度スペク
トルを示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // A61K 31/505 AAB A61K 31/505 AAB AED AED (72)発明者 ベイリー、ステイーブン アメリカ合衆国アラバマ、36608、モー ビル、エアーポート、ブールバード、 6960

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記の一般式で表わされる化合物或いはそ
    の互変異性体: 【化1】 [式中、 XはH,NH又はNOを表わし、 R及びRは同一又は異なったものであり、 (1) 水素原子、 (2) ヒドロキシ基、 (3) 1〜4の炭素数のアルコキシ基、 (4) 式 −NRで表わされるアミノ基 (但し、R及びRは同一又は異なったものであり (a) 水素原子、 (b) 1〜4の炭素数のアルキル基、 (c) 3〜6の炭素数のシクロアルキル基 を表わす)、 (5) 下記群より選ばれたシクロアミノ基 (a) アジリジノ基、 (b) アゼチジノ基、 (c) ピロリジノ基、 (d) ピペリジノ基、及び (e) モルホリノ基 (但し、該シクロアミノ基はシクロアミノ基の窒素を介
    して式のピリミジン環に結合している)、 (6) 1〜3の炭素数のアルキルチオ基或いはベンジ
    ルチオ基、或いは (7) チオ基 (但し、R及びRの一方より多くが水素であること
    がない) を表わし、 R及びRは同一又は異なったものであり、 (1) 1〜12の炭素数のアルキル基、 (2) 2〜7の炭素数のアルケニル基、 (3) 2〜7の炭素数のアルキニル基、 (4) 3〜7の炭素数が環内にある3〜10の炭素数
    の飽和又は不飽和のシクロアルキル基、 (5) 環当り4〜7の炭素数であり、6〜13の炭素
    数の飽和又は不飽和のビシクロアルキル基、 (6) アダマンチル基、 (7) 1,2,3或いは4個のヒドロキシ基、アミノ
    基、オキソ基、チオ基、ホスフェート基、フルオロ基、
    クロロ基或いはブロモ基で置換されている1〜12の炭
    素数のアルキル基或いは2〜7個の炭素数のアルケニル
    基 (但し、炭素数が1より大きい場合には置換基の数はR
    又はR中の炭素数の数以下である)、 (8) フロオロ基又はクロロ基、 (9) アミノ基、 (10) アジリジノ基、 (11) アリール基(アリールはフェニル或いはナフ
    チル)、 (12) 7〜13の炭素数のアリールアルキル基、 (13) アリール基中において1個、2個、又は3個
    の1〜4の炭素数のアルキル基、トリフルオロメチル
    基、ヒドロキシ基、1〜4の炭素数のアルコキシ基、フ
    ルオロ基、クロロ基、ブロモ基、アジド基、アミノ基、
    メチルアミノ基、或いはジメチルアミノ基で置換されて
    いるアリール基又はアリールアルキル基、 (14) チエニル基、チエニルメチル基、 (15) フリル基、フリルメチル基、 (16) テトラヒドロフリル基、 (17) ピリジル基、ピリジルメチル基、 (18) 1個、2個又は3個の、1〜4の炭素数のア
    ルキル基、アミノ基、ヒドロキシ基、クロロ基、或いは
    フルオロ基で置換されたピリジル基、 (19) 重水素原子、 ルケニル基)、或いは (21) カルボキシル基、 を表わし、及び Rは (1) 水素原子、 (2) 1〜6の炭素数のアルキル基、 (3) 3〜7の炭素数のシクロアルキル基、 (4) フェニル基、フェニルメチル基、 (5) ヒドロキシル基、 (6) 1〜4の炭素数のアルコキシ基、 (7) アミノ基、或いは (8) カルボキシル基 を表わし、 Rは下式であってもよく (但し、この場合Rは異
    なる)、 【化2】 Yはメチレン基、或いはエチレン基であり、そのいずれ
    か一方の基が未置換であるか或いはフルオロ基、クロロ
    基、及びメチル基よりなる群から選ばれた1個又は2個
    の置換基で置換されている、 Y′は (1) −NR10−(R10は水素原子、ホルミル
    基、ホルムイミノ基、ヒドロキシメチル基、ベンジル
    基、或いは1〜3の炭素数のアルキル基、アルケニル
    基、或いはアルキニル基である)、 (2) −O−、或いは (3) −S− であり、 ZZは次式で表わされるアミノ酸或いはアミノ酸重合体
    の残基を表わす: (茲にZはOH、C〜Cアルキルオキシ基、或いは
    NHを表わし、 Rは1〜5の炭素数の二価アルキル基を表わし、 及び ZはNH或いはCOZを表わし、但しZはZ或
    いは次式で表わされるアミノ酸或いはアミノ酸重合体の
    残基である): (但し、ZZ中のアミノ酸残基の全数は7を越えず、Z
    Zの定義に当ってZ、R、ZおよびZは各々独立で
    ある)、 (但し、R及びRは共に3〜7の炭素スピロアルキ
    ル環を形成してもよく)、 R及びRは共に5−或いは6−員環の炭素環式環を
    形成してもよく、但しRがメチルの場合はRはメチ
    ル、シアノ或いはアミノメチルではなく、及び、R
    重水素である場合にはRはメチル基、重水素原子、或
    いはフェニル基のいずれでもない。]
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