JP2590505B2 - 配向性結晶膜 - Google Patents

配向性結晶膜

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) この発明は五酸化ニオブからなる配向性結晶膜に関す
るものである。
(従来の技術) 五酸化ニオブからなる配向性結晶膜は屈折率が高く、
可視領域での光の透過性が良好で光導波路として有用で
ある。
また、この配向性結晶膜に圧電性を付与することによ
り、光スイッチなどの光集積回路への応用も期待されて
いる。
(従来の技術の問題) この五酸化ニオブからなる薄膜を形成するには、一般
的にスパッタリング法や真空蒸着法で形成されるが、こ
れらの方法で形成された薄膜はアモルファス状態または
ランダム配向した微結晶の集合体となり、配向した結晶
膜として形成するのが困難であった。
また、五酸化ニオブは酸素を解離しやすく、耐候性に
劣るという性質があり、またレーザ照射に対して劣化し
やすいという問題があった。
発明者の実験確認では、Nb2O5単体での組成のスパッ
タリング膜は多結晶体のセラミツクにくらべて配向する
が、完全に配向することはなかった。また、Nb2O5にNa
を添加したものについては配向させることが困難であ
り、NaNbO3からなる組成では良質な配向膜は得られなか
った。さらに、Nb2O5にBaを添加したものについても配
向させることが困難であった。
(この発明の目的) この発明は、五酸化ニオブに添加物を加えることによ
り、配向性が良好な配向性結晶膜を提供することを目的
とする。
(発明の構成) この発明は、結晶性の五酸化ニオブからなる誘電体薄
膜であって、 この誘電体薄膜であるNb2O5に対して、2〜26原子%
のBaと、0.1〜1.5原子%のNaが添加されていることを特
徴とするものである。
ここで、誘電体薄膜に添加されるBa、Naはそれぞれの
範囲で加えられるが、この範囲に限定したのは、Baが2
原子%未満で、Naが0.1原子%未満では配向させるとい
う効果が現れず、一方、Baが26原子%を越え、Naが1.5
原子%を越えると、タングステンブロンズ型の結晶とな
り、配向させることが困難になるからである。
また、この配向性結晶膜が形成される基板としては、
単結晶、結晶化ガラス、ステンレス、エリンバなどの恒
弾性鋼などが用いられる。
(実施例) 以下に、この発明を実施例にしたがって説明する。
この発明にかかる配向性結晶膜の形成方法としては、
スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング
法、イオンクラスター法、CVD法などがあるが、この実
施例ではスパッタリング法で形成した例にしたがって説
明する。
実施例1. 膜の形成に先出ち、まずターゲツトの作成を行なっ
た。
Nb2O5を主成分とし、これに対してNaCO3をNaに換算し
て0.36原子%、BaCO3をBaに換算して4.8原子%加え、こ
れらの原料を混合した。この混合原料を1250℃、24時間
の条件で仮焼した。この仮焼原料を粉砕し、圧力1ton/c
m2で成形し、大きさが直径100mm、厚み7mmの円板とし
た。この円板を1350℃で4時間焼成し、ターゲットを作
成した。なお、得られたターゲットの焼結体の比重は4.
24であった。
次に、このターゲットを用い、RFスパッタリング装置
で薄膜の形成を行なった。
薄膜の形成条件は下表に示す通りであった。
雰囲気ガス Ar+O2 流量(cc/分) 5.0(Ar):5.0(02) スパッタリング中のガス圧 5×10-3Torr 高周波印加電圧 400W 基板温度 500℃ 基板とターゲット間距離 60mm 成膜速度 1.0μm/時間 基板としてシリコンからなる単結晶を用い、膜圧1.5
μmの五酸化ニオブからなる薄膜を得た。なお、薄膜の
結晶化は基板温度が500℃を越えることが確認され、基
板温度をもっと高くすることにより、さらに配向するも
のとなるが、今回の実施例では薄膜形成ののち、800
℃、30分間熱処理をし、配向性の良好な結晶膜を得た。
第1図は上記した工程で得られた五酸化ニオブからな
る薄膜のCuKα線によるX線回折分析図であり、(050)
のピークが鮮明に現れており、良好な配向性の結晶膜が
得られている。
一方、第2図はNb2O5からなる粉体をターケツトと
し、その他は同じ条件で形成した五酸化ニオブからなる
薄膜のX線回折分析図であり、この図から明らかなよう
にランダム配向しており、良好な配向を示すものは得ら
れていない。
また、この発明により得られた配向性結晶膜につい
て、屈折率をプリズムカップラ法(メトリコン社製PC20
00)により測定したところ、屈折率は2.38〜2.41であ
り、高屈折率を示し、光導波路として十分に利用できる
ことが判明した。
さらに、インピーダンスアナライザ(YHP4194A)で誘
電体損失(tanδ)、誘電率(ε)を測定したところ、
測定周波数100KHzで、tanδ=0.21%、ε=34であっ
た。
実施例2. 五酸化ニオブに対するBaとNaの添加量を種々変化さ
せ、CuKα線によるX線回折パターンにおいて2θが20
゜から60゜までの間で現われるすべてのピーク値の総和
に対する主配向軸(050)の割合で配向度を第1表に示
した。
なお、ターゲツトの作成、およびスパッタリング法に
よる薄膜の作成については実施例1と同様に行なった。
また、第1表中*印のものはこの発明範囲外のものであ
る。
以上の実施例から明らかなように、五酸化ニオブにNa
とBaを共存させた薄膜は良好な配向性を示しており、光
導波路としての利用が可能である。また、この発明によ
ればステンレス、恒弾性鋼、結晶化ガラスといった多結
晶体の上に形成できるものであり、工業的な利用価値の
高いものである。さらに、この発明によればスパッタリ
ング法のみならず、そのほかの薄膜形成技術である真空
蒸着法、イオンプレーティング法、イオンクラスター
法、CVD法などで薄膜形成ができる点でも有用である。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明の実施例で得られた五酸化ニオブから
なる薄膜のX線回折分析図である。 第2図は従来例にかかる五酸化ニオブからなる薄膜のX
線回折分析図である。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】結晶性の五酸化ニオブからなる誘電体薄膜
    であって、 該誘電体薄膜であるNb2O5に対して、2〜26原子%のBa
    と、0.1〜1.5原子%のNaが添加されていることを特徴と
    する配向性結晶膜。
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