JP2587620B2 - 水素メ−ザ装置 - Google Patents

水素メ−ザ装置

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JP2587620B2 JP61202170A JP20217086A JP2587620B2 JP 2587620 B2 JP2587620 B2 JP 2587620B2 JP 61202170 A JP61202170 A JP 61202170A JP 20217086 A JP20217086 A JP 20217086A JP 2587620 B2 JP2587620 B2 JP 2587620B2
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  • Stabilization Of Oscillater, Synchronisation, Frequency Synthesizers (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、水素蓄積球と空胴共振器とを備え、非常に
安定した標準周波数(fm)の信号を出力する水素メーザ
装置に係り、特に、該標準周波数(fm)に非常に近い空
胴共振器の共振周波数(fc)を、直接測定することなく
(従って該標準周波数(fm)及び該共振周波数(fc)と
非常に近い共鳴周波数(fo)における水素原子のメーザ
発振に干渉することなく)、該標準周波数(fm)と関係
のない第2の共振周波数(f′c)を用いて測定し、そ
の測定結果から該共振周波数(fc)を算出し、その算出
値を用いて該共振周波数(fc)の自動同調制御を連続的
に行い、極めて高度に安定した周波数信号を出力する水
素メーザ装置に関するものである。
[従来の技術] まず、水素メーザ装置の発振原理と同調の必要性につ
いて同一出願人の出願による発明「水素メーザの自動同
調システム」(特願昭59−38683号)に基いて、説明す
る。
水素メーザ周波数標準器は、周波数確度がセシューム
(Cs)原子ビーム周波数標準器に比べ劣るが、その周波
数安定度は現用の周波数標準器の中では最も優れてい
る。そのため、超長基線電波干渉計(VLBI:Very Long
Base Line Interferomter),深宇宙人工衛星の追
跡などに高安定周波数信号源として必須の機器となって
いる。上記のような、最先端の技術分野では、水素メー
ザ周波数標準器(以下「水素メーザ」という)の周波数
安定度が高いほど測定精度が向上するため、周波数安定
度の向上が強く要望されている。また、水素メーザの出
力周波数の正確さも重要で、このため水素メーザが共振
する標準周波数の調整が必要である。
以下、水素メーザの概要、自動同調および周波数安定
度の問題について第2図で説明する。
第2図は、水素メーザ本体を模式的に示した図であ
る。図において、1は水素分子が供給されている放電
管、2は放電管1内の水素分子を解離し水素原子とする
ための放電用の高周波発振器、3は解離された水素原子
の中からエネルギー準位の高い原子を選別するための準
位選別マグネット、4は水素ビームの流量を調整するた
めのビーム・シャッタ、5は注入された水素原子を蓄積
するための内面をテフロンで被膜した水素蓄積球、6は
空胴共振器、7は共振器円筒、8は外周に温度制御用ヒ
ータ(8a)を備えた共振器支持恒温槽、9は静磁場を与
えるためのソレノイドコイル円筒、10は外部磁場の影響
を遮蔽するための磁気シールド、11は真空ベルジャー、
12は共振周波数を微調するためのポスト、13は前記空胴
共振器6内の発振出力を取り出すためのループ、14はイ
オンポンプをそれぞれ示す。第2図に示した構造からな
る水素メーザの水素ビーム系では、準位選別マグネット
3により、水素原子のエネルギー準位で F=0,mf=1
およびF=1,mf=−1にある水素原子は発散し、水素原
子のエネルギー準位でF=1,mf=0,mf=+1にある水素
原子は、水素蓄積球5内に集束する。
水素蓄積球5内に注入された水素原子は、その内面の
テフロン膜と壁と衝突を繰り返しながら約1秒間近く水
素蓄積球5内に留まり、空胴共振器6内の電磁波の励振
を受ける。
この場合、共鳴周波数(fo)として利用される水素原
子のエネルギー準位はF=1,mf=0の状態からF=0,mf
=0の状態に遷移する周波数で、約1,420,405,752Hzで
ある。
いま、空胴共振器6の共振周波数(fc)が、前記共鳴
周波数(fo)の近傍に調整されていると、水素蓄積球5
内における水素原子のエネルギー準位でF=1,mf=0に
ある水素原子は、空胴共振器6内で共鳴周波数(fo)に
近い電磁波の励振を受け、エネルギー準位の低いF=0,
mf=0の状態に遷移する。
このとき水素メーザは放射する電磁波によりメーザの
標準周波数(fm)で自己発振を起す。この標準周波数
(fm)の出力はループ13から取り出される。
ところが、前記空胴共振器6の、共振周波数(fc)と
水素原子の共鳴周波数(fo)とが僅かでも異なっている
と、前記標準周波数(fm)は該共鳴周波数(fo)よりシ
フトしたものとなる。この場合における周波数関係は、 fm−fo=(Qc/Ql)・(fc−fo) …A となることが知られている。
ここで、Qcは空胴共振器のQ値であり、Qlは共鳴線の
Q値である(共鳴スペクトラム周波数の帯域をΔfとす
ると、Ql=fm/Δfで示される)。
したがって、(fc−fo)が大きくなると、(fm−fo)
すなわち、メーザの標準周波数(fm)と共鳴周波数(f
o)のずれが大きくなり、メーザの標準周波数の正確さ
が失われ、水素ビーム量などの変動、すなわち水素原子
同志の衝突数の変化に伴うQlの変動により周波数安定度
も損なわれる。
例えば、Qc/Ql=5×10-5のとき、(fm−fo)/foを1
×10-12程度に合わせるためには、(fc−fo)を約30Hz
以下に追い込む必要があり、そのため共振周波数(fc)
の設定はきわめて厳密に行う必要がある。そこで共振器
円筒7には、共振周波数(fc)の温度変化の小さいクリ
スタル・ガラス等を用い、これを高精度の温度制御のも
とで使用することにより共振周波数(fc)の変動を阻止
する手段がとられている。しかし、当初、空胴共振器6
の共振周波数(fc)とメーザの共鳴周波数(fo)とを一
致させるために自動同調装置が必要になる。
以上、発振形の水素メーザ装置を例にして、自動同調
について説明したが、受動形の水素メーザ装置において
も、前記A式が全く同様に成立するので、その自動同調
の原理は同様である。
したがって、従来技術の自動同調式水素メーザ装置に
おいて空胴共振器の共振周波数とメーザの共鳴周波数と
を同調する制御方法としては、前記A式から、次の3つ
が考えられる。
(1)fo=fcのときは、Qlが変化してもメーザの標準周
波数(fm)は変化しないが、fo≠fcのときは、Qlが変化
すると、該標準周波数(fm)も変化する。
ところで、Qlは水素ビーム量の増減を行い、水素原子
同志の衝突による緩和率を変える方法(圧力クエンチン
グ法)により変化することが知られている。
そこで、第2図に示したビーム・シャッタ4で水素ビ
ーム量を高、低に切り換え、そのとき前記標準周波数
(fm)が変化しないように前記共振周波数(fc)を調節
することにより、前記自動同調制御が実行できる。前掲
の水素メーザの自動同調システム(特願昭59−38683
号)はこの範疇に属する。このQl変化法としては、圧力
クエンチング法の他にもMojorana効果の利用による方法
などいくつかの方法が知られている。
(2)同様に何らかの方法により、前記空胴共振器のQ
値(Qc)を変化させ、前記標準周波数(fm)が変化しな
いように、前記共振周波数(fc)を調節する自動同調制
御が考えられる。
(3)前記共振周波数(fc)を直接測定し、それが水素
原子の共鳴周波数fo=1,420,405,752Hzに等しくなるよ
うに共振周波数(fc)を調節する方法もある。例えば、
特開昭55−124284号公報に開示されている受動形メーザ
においては、共鳴周波数f0に近いすなわち共振周波数fc
に近い周波数の搬送波に、例えば12Hz,12kHzの位相変調
をかけて、共振周波数fcのズレを検出するようにしてい
る。
[発明が解決しようとする問題点] しかし、従来の自動同調式水素メーザ装置には次のよ
うな問題点があった。
(1)前記共鳴線のQ値(Ql)を変化させ、もって標準
周波数(fm)の変化分を測定しつつ自動同調制御を行う
ものにあっては、測定中には標準周波数(fm)が変動す
るので、本来の高安定の発振器としての使用を中断せざ
るを得ず、従って標準周波数(fm)の測定と同調制御は
断続的に実行できるのみである。さらに、同調を行うに
つれ標準周波数(fm)の変化分は非常に小さくなり標準
周波数(fm)の変化分の測定は困難になる。
(2)前記Qcを変化させ、もって標準周波数(fm)の変
化分を測定しつつ自動同調制御を行うものにあっては、
Qcすなわち空胴共振器のQ値を変化させると必然的に空
胴共振器の共振周波数(fc)を撹乱してしまう。
(3)前記空胴共振器の共振周波数(fc)を直接測定し
自動同調を行うとすれば、前記共振周波数(fc)に近い
測定周波数を用いなければならず、必然的に共振周波数
(fc)に近い共鳴周波数(fo)で発振する水素原子の微
弱なメーザ発振に干渉を与え、水素メーザ装置の高安定
発振を撹乱する。
そこで、本発明は、上記の問題点を解決するため標準
周波数(fm)と非常に近い空胴共振器の共振周波数(f
c)を直接測定することなく、該共振周波数(fc)の自
動同調制御を行い、水素原子のメーザ発振に干渉するこ
となく、連続的に前記自動同調制御を行い、極めて高度
に安定した周波数の信号を出力する水素メーザ装置を提
供することにある。
[問題を解決するため手段] 以下、本発明が上に記した問題点をどのようにして解
決したかについて第1図により述べる。
図の実施例では、水素蓄積球5中で水素原子が非常に
安定な共鳴周波数(fo)で、微弱なメーザ発振をしてい
る。また、空胴共振器6も、前記A式に従って標準周波
数(fm)の信号を出力している。このとき共振周波数
(fc)と共鳴周波数(fo)とはわずかに異なっている。
そのため自動同調により、該共振周波数(fc)を変化さ
せ、前記共鳴周波数(fo)と厳密に一致させなければな
らない。
一般に、空胴共振器は無数の電磁界モードを有する。
ここでは、該空胴共振器の共振周波数(fc)に対応する
空胴共振器の電磁界モードを第1の電磁界モードと呼
び、これと大きく異なる周波数に対応するもう1つのモ
ードを第2の電磁界モードと呼んで説明する。ここで、
第2の電磁界モードにおける共振周波数を第2の共振周
波数(f′c)とする。
測定用信号発振器21は、該第2の共振周波数(f′
c)の上下にわたって周波数を掃引しつつ測定用信号を
発生する。この測定用信号は電磁結合手段22を介して前
記空胴共振器6に印加され、該空胴共振器6に第2の電
磁界モードの共振を引き起こさせる。この共振の強度に
応じた出力信号は、該電磁結合手段22を介して検出手段
23に入力される。このような測定信号の入出力にもかか
わらず、第2の共振周波数(f′c)が共鳴周波数(f
o)と大きく異なるため微弱な水素原子のメーザ発振を
撹乱することはない。検出手段23は前記出力信号を測定
し、その強度ピークより正確な第2の共振周波数(f′
c)の値を得る。算出手段24は、電磁気学にもとづく第
2の共振周波数(f′c)と共振周波数(fc)の関係を
用いて前記第2の共振周波数(f′c)より共振周波数
(fc)の値を算出する。制御手段25は該算出された共振
周波数(fc)の値により、共振周波数(fc)を所定の基
準周波数と一致させるように制御する。
以上、述べたように、本発明が提供する水素メーザ装
置は、非縮退関係にある第2の電磁界モードを用いて制
御するようにしているすなわち、標準周波数(fm)と非
常に近い空胴共振器の共振周波数(fc)を直接測定する
ことなく、従って水素原子のメーザ発振に干渉すること
なく、連続的に、該共振周波数(fc)の自動同調制御を
行うものである。
[作用] 測定用信号発振器21は、水素メーザ装置の標準周波数
(fm)に対応する前記空胴共振器6内で電磁界モードと
は非縮退である電磁界モードで共振の周波数を第2の共
振周波数(f′c)としその上下にわたって周波数が変
化する測定用信号を発生する。
電磁結合手段22は、該測定用信号発振器21からの該測
定用信号を水素メーザ装置中の空洞共振器6に印加し、
該空胴共振器6からその測定用信号を抽出するように該
空胴共振器6と電磁的に結合する。検出手段23は、該電
磁結合手段22から出力された測定用信号から該空胴共振
器6の該電磁界モードにおける共振の周波数、つまり第
2の共振周波数を検出し、この第2の共振周波数(f′
c)の正確な値を得る。制御手段25は、該検出された第
2の共振周波数f′cの値に応じて前記空胴共振器6の
共振周波数fcを一定の値に制御する。
[実施例] 本発明の実施例について、本発明が用いる技術的手段
を具体的に述べる。ここで、空胴共振器6の共振周波数
(fc)に対応する空胴共振器の電磁界モードを例えばTE
011モードとして説明する。しかし、本発明の実施にあ
たって他の電磁界モードを用いてもなんら支障はない。
一般に空胴共振器は他の電磁界モードでも共振する。こ
こでは、例えばTE021モードを用いるとする。ここで、T
E021モードでの共振周波数を第2の共振周波数(f′
c)とする。
水素メーザ装置では、水素蓄積球中で水素原子が非常
に安定な共鳴周波数(fo)の1,420,405,752Hzで、10-12
〜10-13Wの微弱なメーザ発振をしている。
一方、空胴共振器は、共鳴周波数(fo)に非常に近い
共振周波数(fc)に対応する電磁界モードTE011と、該
共鳴周波数(fo)と大きく異なる第2の共振周波数
(f′c)で共振する電磁界モードTE021を有し、前記
A式に従って標準周波数(fm)の信号を出力している。
標準周波数(fm)の精度は、自動同調により10-15
精度で前記共鳴周波数(fo)に一致させなければならな
い。すなわち、共振周波数(fc)と共鳴周波数(fo)と
はわずかに異なっているので自動同調により共振周波数
(fc)を変化させ、該共鳴周波数(fo)と厳密に一致さ
せなければならない。ここで、前記標準周波数(fm)が
所望の精度を得るためには、前記A式の(Qc/Ql)は5
×10-5程度の値を有するので、該A式により共振周波数
(fc)は30Hzの精度で共鳴周波数と一致しなければなら
ない。測定用信号発振器21は第2の共振周波数(f′
c)の上下にわたって周波数を掃引しつつ測定用信号を
発生する。測定用信号発振器21は、例えば高精度のスイ
ーパ発振器などで成る。ここで、測定用信号発振器21
は、FM変調器を備えた発振器など他の構成で実施しても
いっこうに差し支えない。電磁結合手段22は、例えば方
向性結合器を備えたメーザ入出力ループなどで成る。前
記測定用信号は、該電磁結合手段22を介して前記空胴共
振器6に印加され、該空胴共振器6にTE021発振電磁界
モードの共振を起こす。この共振の強度に応じた出力信
号は、該電磁結合手段22を介して検出手段23に入力され
る。このような測定信号の入出力にもかかわらず、第2
の共振周波数(f′c)が共鳴周波数(fo)と大きく異
なるため微弱な水素原子のメーザ発振を撹乱することは
ない。
また、外部の電磁的雑音のうち共鳴周波数(fo)に近
い成分が前記電磁的結合手段22を通して空胴共振器6に
入り込む問題も、ハイパスフィルタなどの使用により該
第2の共振周波数(f′c)のみ通過せしめ、該共鳴周
波数(fo)を遮断することにより容易に回避できる。さ
らに自動同調の過程で共鳴周波数(fo)における空胴共
振器6の負荷インピーダンスが変動する問題も、自動同
調で用いる第2の共振周波数(f′c)が共鳴周波数
(fo)と大きく異なるため容易に回避できる。
前記TE021電磁界モードの共振による信号は出力信号
として前記電磁結合手段22を介して検出手段23に伝達さ
れる。このとき該電磁結合手段22は、前記方向性結合器
などの手段により該出力信号が前記測定用信号発振器21
に伝達されるのを防ぐ。該出力信号はその周波数が第2
の共振周波数(f′c)の上下にわたって掃引し、周波
数に応じた強度を有し、その出力ピークは、正確な第2
の共振周波数(f′c)の位置にある。よって、検出手
段は該出力ピークを測定することで正確な第2の共振周
波数を得ることができる。この場合、該第2の共振周波
数(f′c)の測定精度は数十Hz程度要求される。
算出手段24は、電磁気学にもとづく第2の共振周波数
(f′c)と共振周波数(fc)の関係および、モードに
よる温度係数の相違などの補正を用いて、該第2の共振
周波数(f′c)より共振周波数(fc)の値を算出する
もので、例えばマイクロプロセッサなどの電子的演算装
置よりなる。
制御手段25は、該算出された共振周波数(fc)の値に
より、共振周波数(fc)が所定の基準周波数と一致する
ように制御する。該基準周波数として水素原子の共鳴周
波数fo=1,420,405,752Hzを用いてもよいし、必要に応
じて他の周波数を採用しても該共振周波数(fc)を一定
不変たらしめるのであれば、差し支えない。この制御手
段25は、例えば前記空胴共振器6の出力線に設けられた
バラクタなどを用いて前記共振周波数(fc)を制御する
手段よりなる。また、制御手段は前記バラクタの代りに
前記空胴共振器内に設けられたポストを用いて、前記共
振周波数(fc)の制御をする手段としてもよいし、さら
に、前記空胴共振器の温度を変化することにより前記共
振周波数(fc)を制御する手段としてもなんら差し支え
ない。
水素メーザ装置は、発振形水素メーザと受動形水素メ
ーザに大別される。
受動形水素メーザ装置は、空胴共振器のQ値が3×10
4以下と低く自励発振をしないので、外部に発振器を必
要とするが、前記空胴共振器のQ値(Qc)が低いので前
記空胴共振器の小型化に有利であり、また前記放電管が
供給する水素ビームの量が少なくてもよいなどの特長を
有する。
本発明の実施に当たっては水素メーザ装置として発振
形水素メーザ装置を用いても受動形水素メーザ装置を用
いてもなんら差し支えない。
円形の導波管の両端を閉じた構造の空胴共振器ではTE
111を基本共振モードとして、TM010,TE111,TM011,TE21
1,TE011,TM111,TE311…などの共振モードが存在するこ
とは、学術的にも実験的にも確認されているところであ
る。
以上、述べた水素メーザ装置の実施例では、空胴共振
器内に入れる水素蓄積球の構造、水素原子と電磁界との
相互作用、壁流の存在を最小限にとどめて損失を少なく
する(Q値を高める)ためなどの理由によりTE011モー
ドを採用して、水素メーザ発振をするような場合につい
て説明をしてきた。ところで、TE011モードとTM111モー
ドとは共振周波数が同一であるから、わずかな擾乱によ
って一方から他方へモードが変換することがある。すな
わち、この二つのモードは相互に干渉するモードと言わ
れる(以下、縮退という)。
縮退する別なモードというときには、TE011モードに
対するTM111モードはそれに含まれない。TE011モードに
対してTE112,TM012,TM212などのモードを使用する場合
には、空胴共振器の形状によっては、同一の共振周波数
を有する(縮退する)ことがある。この場合は空胴共振
器の形状などに留意しなければならない。
このことについては、Montogomery著(McGRAW−HILL
BOOK CONPANY,INC.1947年発行)のTechnique of Micro
wave Measuremens p.297に記されている、下記の空胴
共振器の共振周波数の式(B式)に従って、縮退しない
(非縮退)モードを選定して、該空胴共振器の共振周波
数と干渉しない周波数を決め、それを使用すればよい。
(f・D)=(c・Xlm/π) +(c・n/2)(D/L) …B ここで cは、真空中の光速 l,m,nはモードの次数 fは、共振周波数 Dは、空胴共振器の直径 Lは、空胴共振器の高さ Xlmは、TEモードの場合はベッセル関数Jl′(x)=0
のm番目の解、 TMモードの場合はベッセル関数Jl(x)=0のm番目の
解である。
第3図は、B式の関係を示す(前記 Montogomery著29
8頁に掲載されている)。図において横軸は空胴共振器
の形状を示す(D/L)であり、縦軸は周波数を示す
(f・D)である。図中が互いに交差しない2つの直
線で表されるモードが非縮退のモードである。
なお、希望するモードの励振技術は、まさに確立され
たマイクロウェーブ技術であるから、それを流用するこ
とができる。
以上、円形空胴共振器のTE011モードについて説明し
たが、基本発振モードはこれに限定されない。球形共振
器,半同軸空胴共振器などであっても、この制御技術思
想はそのまま使用できる。また、能動形メーザにも受動
形メーザにも適用可能である。
制御手段の構成は、数多くの種類が考えられるが、本
発明ではその構成になんら制約を受けるものではない。
上記のようにバラクタによって電気的に空胴共振器の
共振周波数を変化させても良いし、空胴共振器内に微小
変位量で出し入れ移動可能なポストを設けることにより
該空胴共振器の機械的形状を変化させ、その移動変位量
で共振周波数を変化させても良い。また、該空胴共振器
の温度を制御する恒温槽を設け、その温度制御によって
該共振周波数を変化させても良い。
[発明の効果] 以上、述べたように、本発明が提供する水素メーザ装
置は、標準周波数(fm)と非常に近い空胴共振器の共振
周波数(fc)を直接測定することなく、共振周波数fcの
電磁界モードとは非縮退な電磁界モードにおける共振周
波数f′cを測定することで、空胴共振器の共振周波数
変化を検出して、その変化に基づいて自動同調制御を行
うこととしたから、水素原子のメーザ発振に干渉するこ
となく連続的に前記自動同調を行い、極めて高度に安定
した周波数の信号を出力する水素メーザ装置となった。
そのため、超長基線電波干渉計、深宇宙人工衛星の追跡
などの高安定周波数信号源として利用できる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の全体構成を示すブロック図、第2図は
本発明の発振原理を示す図である。第3図は縮退しない
モード選定について説明した図である。 図において、1は放電管、2は高周波発振器、3は準位
選別マグネット、4はビーム・シャッタ、5は水素蓄積
球、6は空胴共振器、7は共振器円筒、8は共振器支持
恒温槽、9はソレノイドコイル円筒、10は磁気シール
ド、11は真空ベルジャー、12はポスト、13はループ、14
はイオンポンプ、21は測定用信号発振器、22は電磁結合
手段、23は検出手段、24は算出手段、25は制御手段をそ
れぞれ示す。

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】標準周波数fmの信号を出力する水素メーザ
    装置において、 第1の電磁界モードと該第1の電磁界モードとは非縮退
    である第2の電磁界モードとを有しており、共振周波数
    が前記第1の電磁界モードにおいては前記標準周波数fm
    に対応する第1の共振周波数fcであり、前記第1の電磁
    界モードとは非縮退である第2の電磁界モードにおいて
    は第2の共振周波数f′cである空胴共振器(6)と、 前記第2の共振周波数f′cの上下にわたって周波数が
    変化する測定用信号を発生する測定用信号発振器(21)
    と、 該測定用信号発振器からの前記測定用信号を前記空胴共
    振器に印加し、該空胴共振器から該測定用信号を抽出す
    るように該空胴共振器と電磁的に結合する電磁結合手段
    (22)と、 該電磁結合手段から出力された前記測定信号から前記空
    胴共振器の第2の共振周波数f′cを検出する検出手段
    (23)と、 該検出手段で検出された前記第2の共振周波数f′cの
    値に応じて前記第1の共振周波数fcを制御する制御手段
    (25)とを備えたことを特徴とする水素メーザ装置。
  2. 【請求項2】前記水素メーザ装置が、発振形であること
    を特徴とする特許請求の範囲第1項に記載した水素メー
    ザ装置。
  3. 【請求項3】前記水素メーザ装置が、受動形であること
    を特徴とする特許請求の範囲第1項に記載した水素メー
    ザ装置。
  4. 【請求項4】前記制御手段が、前記空胴共振器に接続さ
    れたバラクタを備え、該バラクタを制御することによっ
    て該空胴共振器の前記第1の共振周波数fcを一定の値に
    することを特徴とする特許請求の範囲第1項、第2項又
    は第3項に記載した水素メーザ装置。
  5. 【請求項5】前記制御手段が、前記空胴共振器内に設け
    られた移動可変なポストを備え、該ポストの移動変位量
    を制御することによって前記第1の共振周波数fcを一定
    の値にすることを特徴とする特許請求の範囲第1項、第
    2項又は第3項に記載した水素メーザ装置。
  6. 【請求項6】前記制御手段が、前記空胴共振器の温度を
    変化させる手段を備え、該温度を制御することによって
    前記第1の共振周波数fcを一定の値に制御することを特
    徴とする特許請求の範囲第1項、第2項又は第3項に記
    載した水素メーザ装置。
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