JP2587499B2 - 紫外線防御能評価方法およびそれに用いる紫外線反射率測定装置 - Google Patents

紫外線防御能評価方法およびそれに用いる紫外線反射率測定装置

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、皮膚の紫外線防御能を評価する方法および
それに用いる紫外線反射率測定装置に関するものであ
る。
〔従来の技術および課題〕
従来から、紫外線による「日焼け」や「シミ」の生成
が、美容上問題となつているが、最近の研究で、表皮や
角質層に散在するメラニン色素が紫外線を吸収して生体
組織への影響を軽減しており、上記メラニン分布密度が
高ければ高いほど紫外線吸収量が多く、紫外線に対する
生体防御能が優れていることがわかつた。そして、上記
メラニン分布密度は、人種差や個人差、生活環境(地理
的・気象的)や生活行動による紫外線被爆量に左右され
ていることもわかつた。
そこで、化粧品販売店において、個人個人が本来有し
ている肌の紫外線防御能を客観的に分析した上で、肌の
紫外線防御能の低い人には紫外線反射効果の高い化粧品
を薦め,紫外線防御能の高い人には紫外線反射効果の高
い化粧品でなくてもよい旨を知らせて、肌に応じた化粧
品を選んでもらうようにすれば、客への対応がよりきめ
こまやかとなる。
しかし、このような紫外線防御能を客観的に分析し評
価する方法はいまだ確立されていないのが実情である。
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、肌
の紫外線防御能を客観的に分析し評価することのできる
方法およびそれに用いる紫外線反射率測定装置の提供を
その目的とする。
〔課題を解決するための手段〕
上記の目的を達成するため、本発明は、皮膚表面に対
して光源から紫外線照射を行い、光源の紫外線発光量を
測定するとともに皮膚からの紫外線反射量を測定し、上
記2つの測定値をそれぞれ電気信号として取り出し、こ
の電気信号から紫外線発光量(A)に対する紫外線反射
量(B)の割合を演算することにより紫外線反射率(B/
A)を求め、得られた数値を、予め準備した皮膚の紫外
線防御能と紫外線反射率との相関表に照らし合わせるこ
とにより皮膚の紫外線防御能を評価するようにした紫外
線防御能評価方法を第1の要旨とし、先端部を皮膚面に
押し当てて使用する棒状の測定具と、この測定具に連結
される本体部とを有し、上記測定具の先端面中央に開口
部を形成し、測定具内に、上記開口部から外向きに紫外
線を照射する紫外線ランプと、上記紫外線ランプからの
発光量を測定し電気信号として取り出す発光受光素子
と、上記紫外線ランプの周囲に感知面を外向きに向けた
状態で複数個取り付けられ皮膚からの紫外線反射量を測
定し電気信号として取り出す反射光用受光素子とを設
け、上記本体部内に、上記測定具によつて得られる発光
量と受光量の電気信号を用い受光量を発光量で除算する
よう設定された演算処理回路と、上記演算処理回路から
出力される処理信号により紫外線反射率を表示する表示
手段とを設けた紫外線反射率測定装置を第2の要旨とす
る。
〔作用〕
すなわち、本発明者らは、肌の紫外線に対する防御能
を客観的に分析する方法を確立するために一連の研究を
行つた結果、紫外線防御能は皮膚の紫外線反射率と高い
相関関係を示し、皮膚の紫外線反射率の高い人ほど紫外
線による皮膚のダメージを受けやすいという事実を見い
だした。そこで、皮膚の紫外線反射率を測定すれば、紫
外線防御能の高低を評価することができる、との立場か
らさらに研究を進めた。その結果、皮膚に紫外線を照射
してそのときの紫外線の発光量を測定するとともに皮膚
からの紫外線反射量を測定し、反射量を発光量で除算す
ることにより、簡単に紫外線反射率を求めることがで
き、この数値にもとづいて紫外線防御能を客観的に評価
することができることを見いだし本発明に到達した。
つぎに、本発明を実施例にもとづいて詳細に説明す
る。
〔実施例〕
第1図は本発明の紫外線反射率測定装置の一実施例を
示している。この装置は、電源部1と計測部2からなる
本体部3と、上記本体部3に連結される2本の棒状の測
定具4,5と、各測定具4,5に測定の開始,停止の指示を与
えるリモートスイツチ6,7を備えている。上記測定具4
には、長波長(320〜400nm)の紫外線照射ランプが内蔵
されており、長波長紫外線(以下「UVA」と略す)の反
射率の測定に用いられる。また、上記測定具5には、中
波長(280〜320nm)の紫外線照射ランプが内蔵されてお
り、中波長紫外線(以下「UVB」と略す)の反射率の測
定に用いられる。すなわち、最近の研究で、UVAは皮膚
の真皮に到達して老化等の原因となり、UVBは皮膚の角
質層まで入つていわゆる「日焼け」の原因となることが
知られているので、この装置では、上記UVAとUVBを区別
して測定できるようにしたのである。
そして、上記計測部2には、上記各測定具4,5からの
測定データを処理する所定の処理回路が内蔵されてお
り、その処理結果が正面の表示手段8によつて3桁の数
字表示されるようになつている。なお、9は電源のオ
ン,オフを行う電源スイツチ、10はUVA,UVBのいずれの
反射率測定を行つているかを区別するためのランプであ
る。
上記測定具4はUVA反射率測定用で、第2図に示すよ
うに、先端がややすぼまつた略筒状のケーシング12内
に、紫外線照射用の紫外線ランプ(蛍光体付低圧水銀ラ
ンプ,HTV.L−1549−04)13が内蔵されており、その周囲
に、4個の反射光用受光素子14が等配されている(第3
図参照)。なお、15は紫外線ランプ13からの発光量を測
定するための発光受光素子である。そして、上記紫外線
ランプ13,反射用受光素子14,発光受光素子15のそれぞれ
には、紫外線のみを透過してそれ以外の不要な光線を吸
収するフイルター16が取り付けられている。したがつ
て、この測定具4を垂直に立て、第2図に示すように、
下端面の開口部17を被測定者の皮膚に押し当て、紫外線
ランプ13によつて皮膚に向かつて照射すると、図中矢印
で示すように、皮膚表面から上記紫外線の一部が反射す
る。この反射光は、紫外線ランプ13の周囲の4個の反射
光用受光素子14によつて読み取られ、その総和量が、計
測部1内の除算処理回路に、電気信号として入力される
ようになつている。また、紫外線ランプ13自体の発光量
も、発光受光素子15によつて読み取られ、その量が計測
部1内の徐算処理回路に、電気信号として入力されるよ
うになつている。なお、上記測定具4からは、第1図に
示すように、2本の連結コード20,21が延びており、片
方のコード20が電源部1に接続されて測定具4内に通電
しているとともに、他方のコード21が計測部2に接続さ
れて測定具4内で読み取られた上記発光量および反射量
のデータを計測部2内に送るようになつている。
また、もう一つの測定具5はUVB反射率測定用で、紫
外線ランプ13として、上記測定具4のものより波長の短
い紫外線ランプ(蛍光体付低圧水銀ランプ,HTV,L−1549
−01)が内蔵されている。他の構成は上記測定具4と同
様であり、その説明を省略する。
一方、計測部2の内部には、第4図に示すように、前
記測定具4(5)内から送られてくる発光量のデータと
反射量のデータとを増幅する増幅器22と、余分なノイズ
を吸収するノイズフイルター38と、入力される発光量の
データと反射量のデータから、(反射量/発光量)×10
0(%)の演算を行い、反射率を求める除算処理回路24
とが設けられている。そして、この回路24からの出力信
号を視覚的な数値表示に置き換える表示手段8が、すで
に述べたように、計測部2の正面に設けられている(第
1図参照)。
この紫外線反射率測定装置を用い、例えばつぎのよう
にして紫外線反射率を測定することができる。また、電
源スイッチ9をオンにし、装置に20〜30分通電する。そ
して、UVA反射率を調べる場合、測定具4と、それに対
応するリモートスイツチ6を左右の手にそれぞれ握り、
片方の手で測定具4の先端開口部17を被測定者の皮膚面
に軽く押し当てる。そして、他方の手でリモートスイツ
チ6を押して、紫外線反射率を測定する。リモートスイ
ツチ6を押して数秒後に表示手段8に、UVA反射率が3
桁の百分率で表示される。UVB反射率を調べる場合に
は、測定具5と、それに対応するリモートスイツチ7を
左右の手にそれぞれ握り、上記と同様の操作を行う。
このように、この紫外線反射率測定装置によれば、光
源一点からの照射を、皮膚表面からの反射として4個所
で受け、この4個所における反射量の総和として反射量
を読み取るため、反射量が照射条件や皮膚表面の凹凸等
に左右されることなく、より平均化された量として測定
されるという利点を有している。したがつて、再現性が
高く、客観的な反射率が得られる。
一方、予め不特定のパネラー集団(500名)によつて
上記装置を用いて紫外線反射率を測定し、紫外線防御能
と紫外線反射率の関係を求め、下記のような一覧表にま
とめておく(第1表,第2表)。
そして、上記測定値と、上記各表を照らし合わせるこ
とにより、被測定者の紫外線に対する防御能を客観的に
評価することができる。
したがつて、この装置を化粧品販売店の店頭に設置
し、紫外線反射率と紫外線防御能の関係を示す上記の表
を用意しておけば、店員が手軽に客の紫外線反射率を測
定し、これらの表に照らしてその客の皮膚の紫外線防御
能を評価することができるため、その客の肌の特性に応
じた化粧品を推奨して、適切なサービスを施すことがで
きる。
なお、上記実施例では、反射光用受光素子14を4個設
けているが、この数は特に限定されるものではなく、2
個以上であればよい。ただし、数が多い方が、測定条件
が平均化され、安定したデータが得られるので好まし
い。
また、上記実施例では、UVA,UVBの両方を交互に測定
できるよう、測定具を2種類取り付けているが、UVA反
射率のみを測定する専用装置、あるいはUVB反射率のみ
を測定する専用装置にしても何ら差し支えはない。
さらに、上記実施例では、本体部3を、電源部1と計
測部2の2つのブロツクに分けているが、これを一本に
まとめて何ら差し支えはない。
また、表示手段8は、必ずしも数値表示でなくてもよ
く、測定結果に応じたアドバイスが文章で表示されるよ
うにしてもよいし、上記表の数値を予め計測部2内に入
力しておき、計測部2内の処理回路でこの数値と測定値
を比較させるようにして「HIGH」,「NORMAL」,「LO
W」等の文字が表示されるようにしてもよい。また、視
覚的な表示によらず、測定値やアドバイスが音声で出力
されるようにしてもよい。
〔発明の効果〕 以上のように、本発明によれば、従来客観的な分析が
不可能であつた皮膚の紫外線防御能を、紫外線反射率と
して、客観的な数値として評価することができる。特
に、本発明の装置によれば、光源一点からの紫外線照射
を複数個所で受け、その総和として反射量を読み取るよ
うにしているため、反射量が照射条件や皮膚表面の凹凸
に左右されず、平均化された量として測定されるという
利点を有している。
【図面の簡単な説明】 第1図は本発明による紫外線反射率測定装置の一実施例
を示す斜視図、第2図は上記実施例の測定具を示す縦断
面図、第3図は受光素子の配置を模式的に示す説明図、
第4図は上記実施例の計測部における回路系を示す構成
図である。 1……電源部、2……計測部、3……本体部、4,5……
測定具、6,7……リモートスイツチ、8……表示手段、1
2……ケーシング、13……紫外線ランプ、14……反射光
用受光素子、15……発光受光素子、24……除算処理回路

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】皮膚表面に対して光源から紫外線照射を行
    い、光源の紫外線発光量を測定するとともに皮膚からの
    紫外線反射量を測定し、上記2つの測定値をそれぞれ電
    気信号として取り出し、この電気信号から紫外線発光量
    (A)に対する紫外線反射量(B)の割合の演算するこ
    とにより紫外線反射率(B/A)を求め、得られた数値
    を、予め準備した皮膚の紫外線防御能と紫外線反射率と
    の相関表に照らし合わせることにより皮膚の紫外線防御
    能を評価するようにしたことを特徴とする紫外線防御能
    評価方法。
  2. 【請求項2】先端部と皮膚面に押し当てて使用する棒状
    の測定具と、この測定具に連結される本体部とを有し、
    上記測定具の先端面中央に開口部を形成し、測定具内
    に、上記開口部から外向きに紫外線を照射する紫外線ラ
    ンプと、上記紫外線ランプからの発光量を測定し電気信
    号として取り出す発光受光素子と、上記紫外線ランプの
    周囲に感知面を外向きに向けた状態で複数個取り付けら
    れ皮膚からの紫外線反射量を測定し電気信号として取り
    出す反射光用受光素子とを設け、上記本体部内に、上記
    測定具によつて得られる発光量と受光量の電気信号を用
    い受光量を発光量で除算するよう設定された演算処理回
    路と、上記演算処理回路から出力される処理信号により
    紫外線反射率を表示する表示手段とを設けたことを特徴
    とする紫外線反射率測定装置。
  3. 【請求項3】請求項(2)記載の測定具を2本有し、一
    方の測定具に長波長紫外線ランプを設け、他方の測定具
    に中波長紫外線ランプを設けるようにし、長波長紫外線
    反射率と中波長紫外線反射率を交互もしくは同時に測定
    できるようにした請求項(2)記載の紫外線反射率測定
    装置。
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