JP2584698B2 - 電磁界結合形円偏波用ループアンテナ - Google Patents

電磁界結合形円偏波用ループアンテナ

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、円偏波用ループアンテ
ナに関するものである。
【0002】
【従来の技術】この種の円偏波用ループアンテナとし
て、添付図面の図8に概略斜視図にて示すようなものが
開発されている。この円偏波用ループアンテナは、誘電
体板1の上面に、円偏波放射用の摂動素子3を持つルー
プ導体2を施し、誘電体板1の下面に、接地板4を施し
た構造となっている。そして、この円偏波用ループアン
テナでは、ループ導体2に接続するマイクロストリップ
ライン導体5を設けて、このマイクロストリップライン
導体5に給電用同軸線路6の中心導体7を接続し、給電
用同軸線路6の外部導体8を接地板4に接続するように
し、そのマイクロストリップラインをλ/4インピーダ
ンス変換器とすることにより、アンテナに給電を行える
ようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前述したような円偏波
用ループアンテナの構造では、アンテナを小型化してい
くと、λ/4インピーダンス変換器としたマイクロスト
リップライン給電部5が細くなりすぎて、加工できず、
給電がうまく行えなくなってしまう。また、マイクロス
トリップライン給電部5の加工寸法精度を厳しくしない
と、インピーダンス整合が正確にとれないので、製造も
容易ではなかった。このため、アンテナの小型化には限
度があった。
【0004】本発明の目的は、このような問題点を解消
しうるような電磁界結合形円偏波用ループアンテナを提
供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明による電磁界結合
形円偏波用ループアンテナは、接地板と、円偏波放射用
の摂動素子を持つループ導体とを誘電体を挟んで対峙さ
せ、前記誘電体の前記ループ導体のある側の面において
且つ前記ループ導体の内側に、そのループ導体に対して
非接触の給電部導体パターンを設けており、該給電部導
体パターンは、前記ループ導体の所定の部分に対して、
そのループ導体の他の部分に対するよりも、より近接
し、前記ループ導体の前記所定の部分との非接触対向面
積がより大きくなる形状とされており、給電用同軸線路
の中心導体を前記給電部導体パターンに接続し、前記給
電用同軸線路の外部導体を前記接地板に接続して、前記
ループ導体に電磁界結合により給電がなされるようにし
たことを特徴とする。
【0006】
【実施例】次に、添付図面の図1から図7に基づいて、
本発明の実施例について本発明をより詳細に説明する。
【0007】図1は、本発明の一実施例としての電磁界
結合形円偏波用ループアンテナの構造を斜視図にて概略
的に示している。この図1に示されるように、電磁界結
合形円偏波用ループアンテナは、誘電体板1の上面に、
円偏波放射用の摂動素子3を持つループ導体2を施し、
誘電体板1の下面に、接地板4を施した構造となってお
り、この点は、前述した従来の円偏波用ループアンテナ
と同じである。そして、この本発明の電磁界結合形円偏
波用ループアンテナでは、ループ導体2に接続するマイ
クロストリップライン導体5を設けるのでなく、誘電体
板1のループ導体2のある側の面において且つそのルー
プ導体2の内側に、そのループ導体2に近接しているが
そのループ導体2に対して非接触の給電部導体パターン
9を設け、給電用同軸線路6の中心導体7を給電部導体
パターン9に接続し、給電用同軸線路6の外部導体8を
接地板4に接続して、ループ導体2に電磁界結合により
給電がなされるようにしている。
【0008】ここで、本発明の円偏波用ループアンテナ
の構造において、電磁界結合により給電の行える原理に
ついて、図2を参照して説明しておく。図2の(A)
は、ループ導体2の中心に同軸給電線路の中心導体Fを
接続配置した場合を示しており、図2の(B)は、その
中心導体Fを、ループ導体2のある点F′に対してある
程度近づけた位置に接続配置した場合を示しており、図
2の(C)は、その中心導体Fを、ループ導体2の点
F′に対してさらに近接した位置に接続配置した場合を
示している。
【0009】このように、中心導体Fをループ導体2の
点F′に対して近づける程、点F′には非接触であって
も、電磁界結合により高周波電力をループ導体2へ伝送
させて、ループ導体2上に電流を流すことができること
が確認されている。そして、図2の(D)に示すよう
に、ループ導体2内でこのループ導体2と非接触の給電
部導体パターン9′を設けて、中心導体Fを、この給電
部導体パターン9′に接続するようにし、しかも、アイ
ランドとも称されうる、その給電部導体パターン9′の
ループ導体2との非接触対向面積、すなわち、G−K−
Lの長さを増すような給電部導体パターン9′の形状と
することにより、ループ導体2との電磁界結合を強め
て、よりスムーズな電磁界結合として、反射損(リター
ンロス)を少なくでき、したがって、インピーダンス整
合をとることができることも確認されている。
【0010】次に、本発明による電磁界結合形円偏波用
ループアンテナの具体的構造例とその諸アンテナ特性と
について説明する。図3は、ループアンテナの拡大平面
図であり、図4は、図3のループアンテナの拡大X軸縦
断面図である。
【0011】図3および4において、参照符号Rは、ル
ープ導体2の中心半径を示し、Lは、給電部導体パター
ン(アイランド)9の長さを示し、Mは、給電部導体パ
ターン9の幅を示し、NAは、摂動素子3の長さを示
し、Bは、誘電体板1の厚みを示し、εr は、誘電体板
1の比誘電率を示している。この構造例では、R=7.3
mm、NA=1.2mm、L=7mm、M=3mm、B=1.3mm、
εr =10.5である。
【0012】このような構造例について、正面軸比とリ
ターンロスの周波数特性を測定してみたところ、図5に
示すような特性が得られた。また、このような構造例に
ついて、放射パターンを測定してみたところ、図6およ
び図7に示すような放射パターン特性が得られることが
分かった。図6は、周波数2.45GHz でφ=0°平面に
おける放射パターンを示しており、点線は、Eθの曲線
を示しており、実線は、Eφの曲線を示している。ま
た、図7は、周波数2.45GHz でφ=90°平面におけ
る放射パーンを示しており、点線は、Eθの曲線を示し
ており、実線は、Eφの曲線を示している。
【0013】
【発明の効果】本発明は、加工精度を必要とする従来の
λ/4インピーダンス変換器としてのマイクロストリッ
プラインを設ける代わりに、加工精度を必要としない給
電部導体パターン(アイランド)を設けて、円偏波用ル
ープアンテナへの給電を電磁界結合形としたので、高い
誘電率をもつ基板を使用しアンテナの小型化が可能とな
り、アンテナ設置スペースをあまりとれない場所にも使
用できるアンテナとすることができる。その上、給電部
導体パターンの加工精度は厳しくないので、アンテナの
製造自体も容易となり、安価なものとすることができ
る。
【0014】また、給電部導体パターンへの給電用同軸
線路の中心導体の接続(例えば、ハンダ付け)による性
能への影響も小さいので、製造時におけるアンテナ性能
のばらつきを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例としての電磁界結合形円偏波
用ループアンテナの構造を示す概略斜視図である。
【図2】本発明の原理を説明するための図である。
【図3】本発明の具体的構造例を説明するための拡大平
面図である。
【図4】図3の具体的構造例の拡大X軸縦断面図であ
る。
【図5】図3および図4の具体的構造例の正面軸比およ
びリターンロスの周波数特性を示す図である。
【図6】図3および図4の具体的構造例のφ=0°平面
の放射パーンの測定例を示す図である。
【図7】図3および図4の具体的構造例の別のφ=90
°平面の放射パターンの測定例を示す図である。
【図8】従来の円偏波用ループアンテナの構造例を示す
概略斜視図である。
【符号の説明】
1 誘電体板 2 ループ導体 3 摂動素子 4 接地板 6 給電用同軸線路 7 中心導体 8 外部導体 9 給電部導体パターン

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 接地板と、円偏波放射用の摂動素子を持
    つループ導体とを誘電体を挟んで対峙させ、前記誘電体
    の前記ループ導体のある側の面において且つ前記ループ
    導体の内側に、そのループ導体に対して非接触の給電部
    導体パターンを設けており、該給電部導体パターンは、
    前記ループ導体の所定の部分に対して、そのループ導体
    の他の部分に対するよりも、より近接し、前記ループ導
    体の前記所定の部分との非接触対向面積がより大きくな
    る形状とされており、給電用同軸線路の中心導体を前記
    給電部導体パターンに接続し、前記給電用同軸線路の外
    部導体を前記接地板に接続して、前記ループ導体に電磁
    界結合により給電がなされるようにしたことを特徴とす
    る電磁界結合形円偏波用ループアンテナ。
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