JP2582270Y2 - タービン羽根のステライト貼り付け要具 - Google Patents

タービン羽根のステライト貼り付け要具

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JP2582270Y2
JP2582270Y2 JP3196293U JP3196293U JP2582270Y2 JP 2582270 Y2 JP2582270 Y2 JP 2582270Y2 JP 3196293 U JP3196293 U JP 3196293U JP 3196293 U JP3196293 U JP 3196293U JP 2582270 Y2 JP2582270 Y2 JP 2582270Y2
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正広 粟井
正毅 和田
純三 木村
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Kawasaki Motors Ltd
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Kawasaki Jukogyo KK
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Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本考案は、タービン羽根のステラ
イト貼り付け要具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に発電用等に用いられる蒸気タービ
ンの低圧段落で使用される大型の羽根は、羽根の間を流
れる蒸気が最終段付近に近づくにつれて湿り蒸気の状態
になっているため、羽根の前縁部が蒸気中の水滴によっ
て侵食され、タービンの効率低下を招くことが知られて
いる。そのため、かかるタービンの低圧段落の羽根に対
しては、その前縁部に耐エロージョン性の優れた金属、
たとえばステライト板をろう付によって貼り付けて該部
に対する侵食防止を図ることが行われる。しかし貼り付
けられたステライト板は、長年使用中に侵食、あるいは
剥離などの経年変化を起こし、蒸気タービンの引き続い
ての稼働を継続するためには、上記ステライト板の貼り
替え作業が不可避となる。ところが上記の貼り替え作業
は、タービンローターからタービン羽根を抜き取ったう
えで、個々のタービン羽根に対して実施するのであれ
ば、大して困難な作業ではないが、一般に発電所などで
実働中の蒸気タービンの場合、運転停止の期間を最小限
に絞ることが要求されるのが普通であり、そのためター
ビンローターからタービン羽根を抜き取らないで、ター
ビンローターの完成品の状態のままで、タービン羽根の
ステライト板の貼り替え作業を行うことが要求される。
【0003】タービンローターから抜き取らないままの
タービン羽根に対して、ステライト板等の貼替作業を行
う方法に関連する従来の技術としては、特開昭59−1
55506号のものがある。これは、タービン羽根の前
縁部に溶着されているステライト板等のいわゆるエロー
ジョンシールド板の旧品を剥ぎ取って新しいものと交換
するに際し、古い方を剥ぎ取るために付近を昇温加熱し
て接着のために介在せしめた銀ロウの溶融除去を行う
が、そのときの加熱に起因してタービン羽根の特定方向
への歪みが生じる。そこで、旧品を剥ぎ取った後、新品
を貼り付ける前の段階で、タービン羽根に対して逆歪み
を与えることにより、エロージョンシールド板の貼り替
え作業に起因してタービン羽根に歪みの生じることをな
くしたものである。
【0004】しかしこの従来技術は、タービン羽根のス
テライト貼り替え作業によって生じるタービン羽根の歪
みを防止するための技術に関するもので、それ以外の技
術についての開示はなく、本願の課題とするステライト
貼り替えの溶着作業における作業性の向上開発とは、利
用分野を異にするものである。
【0005】
【考案が解決しようとする課題】上記のように、低圧段
のタービン羽根に対し、前縁部にステライト板を貼り付
ける作業は、タービン羽根の前縁部とステライト板との
間に銀ロウを介在させ、その状態を保持しながらバーナ
を使って上記タービン羽根の前縁部の背面から貼付部分
の全長に亙ってムラのない加熱を行う。それと同時にス
テライト板を一定圧力のもとにタービン羽根の所定箇所
に向かってまんべんなく均等の力で押し付ける。上記の
加熱により、介在する銀ロウが溶融するから、溶融した
銀ロウがタービン羽根とステライト板との間の隙間を埋
め、余剰の銀ロウは周辺から外部に流れ落ち、銀ロウの
凝固とともにステライト板の貼り付け作業が完了する。
【0006】上記の作業は、タービン羽根がタービンロ
ータに組付けられていない状態で、単品として扱われて
いる状態のときには、特に困難な作業ではないが、すべ
てのタービン羽根がタービンロータに装着され、組立品
として完成された状態となっているとき、この状態のタ
ービン羽根に対して上記ステライト板の貼り付け作業を
行う場合には、つぎのような問題点がある。
【0007】(a)ステライト板を一定圧力のもとにタ
ービン羽根の所定箇所に向かってまんべんなく押し付け
る作業の反力を支持する点は、隣接するタービン羽根の
上に設置する以外に適切な方策がないが、このような方
策によってタービン羽根の一枚毎に上記支持点を移動す
る操作はきわめて煩雑である。また、タービン羽根とス
テライト板との間の銀ロウが溶融し、流動するにつれて
タービン羽根とステライト板との間の隙間は変動する
が、その間にあって両者間の押付力を常に一定に追随負
荷することはきわめて困難な作業である。
【0008】(b)加熱用バーナの加熱のための移動態
様、あるいは銀ロウの流れの態様等を考慮して、タービ
ン羽根に対する加熱の方向をタービン羽根の上方から重
力方向に向かう方向とすると、その結果としてステライ
ト板をタービン羽根に向かって押し付ける方向は重力方
向とは逆の上向きの方向となって、ステライト板を押し
付ける機構が複雑化する。
【0009】本考案は、作業態様の変遷に応じて新たに
提起される上記の問題点にかんがみてなされたもので、
タービン羽根をタービンローターから抜き取らないで、
ローター上の個々のタービン羽根に対するステライトの
貼り付け作業を行うための要具として、取り付け取り外
しが簡単容易で、タービン羽根とステライト板との間の
銀ロウが溶出しても両者間の所定の貼り付け位置が保持
され、且つタービン羽根に対するステライト板の押付力
を常に一定に追随負荷することができ、貼り付け作業の
全体を通じて高効率の作業を行うことのできる要具を提
供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、本考案のタービン羽根のステライト貼り付け要具
においては、溶融した銀ロウを介して貼り付け用のステ
ライト板をタービン羽根の下面に向かって押し付けるた
めの押付板と、一端に上記押付板が枢支され、他端に該
押付板に対して押付方向の負荷を継続して作用させる手
段が設けられ、中間部で支点のまわりの旋回を可能に枢
支される押付レバーと、上記羽根の近傍に位置する他の
羽根への着脱を可能に構成されて上面に上記押付レバー
を上記支点のまわりの旋回を可能に支持する軸受部が設
けられる支持台とをそなえる。
【0011】上記押付板に対して押付方向の負荷を継続
して作用させる手段を、請求項2のように、押付レバー
の他端に懸吊される重錘としてもよい。
【0012】あるいは請求項3のように、上記押付板に
対して押付方向の負荷を継続して作用させる手段を、押
付レバーの他端に対し押し下げ方向の荷重を作用させる
バネとしてもよい。
【0013】あるいは請求項4のように、上記押付板に
対して押付方向の負荷を継続して作用させる手段を、押
付レバーの他端に対し押し下げ方向の荷重を作用させる
流体圧シリンダとしてもよい。
【0014】
【作用】本考案のステライト貼り付け要具によって、タ
ービン羽根にステライト板を貼り付けるには、貼り付け
の対象となる羽根の近傍にある他の羽根上に支持台を取
り付け、支持台の上面の軸受部によって旋回可能に支持
される押付レバーの一端に枢支された押付板によって、
上記貼り付けの対象となる羽根の下面に向かい、その間
に銀ロウを介して貼り付け用のステライト板を下方から
上方に向かって押し付ける。その押付力は、押付レバー
の他端に設けた押付方向の負荷を継続して作用させるた
めの手段によって持続させられる。
【0015】この状態のタービン羽根に対し、バーナー
を使ってその上面から加熱すると、加熱の進捗につれて
タービン羽根とステライト板との間の隙間に介在する銀
ロウが溶融し流動して該隙間を充たし、余剰の銀ロウは
隙間から外部へ流出するにいたる。その間に両者間の隙
間の厚さも当然に変動するが、押付板のステライト板に
作用する押付力は、押付レバーの他端に設けた負荷継続
用の手段によって、隙間の変動に関係なく常に作用し続
けるので、ステライト板の貼り付け作業を安定した状態
のもとで行うことができる。
【0016】押付板に対して押付方向の負荷を継続して
作用させるために、上記押付レバーの他端に設けられる
手段として、請求項2のように該他端に重錘を懸吊する
と、きわめて簡単な構成のもとに、押付板に対する押付
負荷の継続を行わせることができる。
【0017】あるいは請求項3のように、押付板に対し
て押付方向の負荷を継続して作用させる手段として、バ
ネによって他端に対し押し下げ方向の荷重を作用させる
構成にすると、部材の調達の面、あるいは取扱の面で対
処が簡単容易である。
【0018】あるいは請求項4のように、押付板に対し
て押付方向の負荷を継続して作用させる手段として、流
体圧シリンダを用いて他端に対し押し下げ方向の荷重を
作用させるようにすると、該荷重を調整する必要がある
場合などの対応が簡単容易なものとなる。
【0019】
【実施例】本考案の実施例を図面によって説明する。図
1は、羽根A1に対するステライト板Bの貼り付け作業
を行うための足掛かりとして、隣接の羽根A2を利用し
た例を示す。図2は、図1中のII部の拡大図であり、図
3はステライト板Bが貼り付けられた羽根A1の外形図
で、図4は図1中のIV−IV線における拡大断面図であ
る。
【0020】押付板1は押付レバー2の一端に枢支さ
れ、その上面によって貼り付け用のステライト板Bと、
ステライト板Bの上に載せられた銀ロウCとを羽根A1
の下面に向かって押し付ける。押付レバー2の他端には
重錘3が懸吊される。重錘3は反対側端の押付板1に対
し、押付方向の負荷を継続して作用させる手段として機
能するものである。支持台4は、端縁を折り曲げて形成
した溝5の中に羽根A2の後部側縁Dを弾性的に挟み込
ませることによって、羽根A2への着脱を可能に構成さ
れ、上面に押付レバー2の中間部に設けた支点6によっ
て押付レバー2を支点6のまわりの旋回を可能に枢支す
る軸受部7が設けられる。この構成によって、押付板1
を羽根A1の下面に向かって押し上げる方向の負荷が、
重錘3の作用により押付レバー2を介して押付板1に伝
えられる。バーナ8は羽根A1の上部にあって、プロパ
ンガスを燃焼して羽根A1の上面を加熱することによ
り、羽根A1の肉厚を通してその下面に介在する銀ロウ
Cを加熱する。加熱の進捗につれて羽根A1とステライ
ト板Bとの間の隙間に介在する銀ロウCが溶融し流動し
て該隙間を充たし、余剰の銀ロウCは隙間から外部へ流
出するにいたる。バーナ8は、図4に示すように、羽根
A1の長手方向に沿ってガス噴射口をそなえた形状に作
られ、点火したバーナ8を図中の矢印方向に沿って反復
移動させることにより、ステライト板Bの長さの間に亙
ってムラのない加熱をまんべんなく行うことができる。
【0021】つぎに本考案のステライト貼り付け要具に
よって、タービン羽根にステライト板を貼り付ける作業
について説明する。ステライト板を貼り付ける作業は、
その前に損傷した旧品の剥がし取りの作業を伴うのが普
通であり、タービンローターを回転台に載せて羽根の一
枚分ずつターニングしながら、旧品を一枚ずつ剥がし取
る。そのための作業として、加熱用バーナを使用してタ
ービン羽根の背面側から加熱し、銀ロウが軟らかくなっ
た時点で旧品のステライト板を除去する。このようにし
てローターの全周に亙って旧品のステライト板の除去を
行ったのち、新品のステライト板の貼り付けを行う。
【0022】羽根A1の下面とステライト板Bの上面と
の間に銀ロウを挿入する。また、押付レバー2の他端に
懸吊する重錘3が使用される。押付板1,押付レバー
2,重錘3ならびに支持台4などよりなる一連の押付機
構の複数組が、1枚のタービン羽根の貼り付け作業に用
いられる。タービン羽根の大きさにもよるが、ふつう5
〜6組の押付機構が1枚のタービン羽根の貼り付け作業
に用いられる。すべての押付機構をセットした後に、プ
ロパンガスバーナ8による加熱を行う。
【0023】
【考案の効果】本考案のタービン羽根のステライト貼り
付け要具は以上のように構成されるので、つぎのような
効果がある。
【0024】(イ)請求項1の構成により、ステライト
貼り付け作業のための要具の取り付けならびに取り外し
が簡単容易に行われる。また、タービン羽根とステライ
ト板との間の銀ロウが加熱によって溶出しても、両者間
の所定の貼り付け位置が保持され、且つ貼り付け作業を
通じてタービン羽根に対するステライト板の押付力を常
に一定に追随負荷することができ、タービン羽根をター
ビンローターから抜き取らないでローター上の個々のタ
ービン羽根に対するステライトの貼り付け作業を的確に
安定して行うことが可能となって、貼り付け作業の全体
を通じて高効率の作業を行うことができる。
【0025】(ロ)請求項2の構成のように、押付板に
対して押付方向の負荷を継続して作用させるための手段
として、押付レバーの他端に重錘を懸吊すると、きわめ
て簡単な構成のもとに、押付板に対する押付負荷の継続
を安定して行わせることができる。
【0026】(ハ)請求項3のように、押付板に対して
押付方向の負荷を継続して作用させる手段として、バネ
を使って他端に対し押し下げ方向の荷重を作用させる
と、部材の調達の面、あるいは取扱の面で対処が簡単容
易なものとなる。
【0027】(ニ)請求項4のように、押付板に対して
押付方向の負荷を継続して作用させる手段として、流体
圧シリンダを用いて押付レバーの他端に対し押し下げ方
向の荷重を作用させるようにすると、該荷重を調整する
必要がある場合などの対応を簡単容易なものとすること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この考案装置の使用状態を示す断面図である。
【図2】図1中のII部の拡大図である。
【図3】図1中の要部の斜視図である。
【図4】図1中のIV−IV線における断面図である。
【符号の説明】
1 押付板 2 押付レバー 3 重錘 4 支持台 5 溝 6 支点 7 軸受部 8 バーナ A1・A2 羽根 B ステライト板 C 銀ロウ D 後部側縁
フロントページの続き (72)考案者 守本 富雄 兵庫県神戸市中央区東川崎町3丁目1番 1号 川崎重工業株式会社 神戸工場内 (56)参考文献 特開 平3−194102(JP,A) 特開 昭62−180049(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) F01D 5/28 F16H 21/00

Claims (4)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 タービン羽根にステライト板を貼り付け
    るための要具であって、 溶融した銀ロウを介して貼り付け用のステライト板をタ
    ービン羽根の下面に向かって押し付けるための押付板
    と、 一端に上記押付板が枢支され、他端に該押付板に対して
    押付方向の負荷を継続して作用させる手段が設けられ、
    中間部で支点のまわりの旋回を可能に枢支される押付レ
    バーと、 上記羽根の近傍に位置する他の羽根への着脱を可能に構
    成されて上面に上記押付レバーを上記支点のまわりの旋
    回を可能に支持する軸受部が設けられる支持台とをそな
    えることを特徴とするタービン羽根のステライト貼り付
    け要具。
  2. 【請求項2】 上記押付板に対して押付方向の負荷を継
    続して作用させる手段を、押付レバーの他端に懸吊され
    る重錘とした請求項1記載のタービン羽根のステライト
    貼り付け要具。
  3. 【請求項3】 上記押付板に対して押付方向の負荷を継
    続して作用させる手段を、押付レバーの他端に対し押し
    下げ方向の荷重を作用させるバネとした請求項1記載の
    タービン羽根のステライト貼り付け要具。
  4. 【請求項4】 上記押付板に対して押付方向の負荷を継
    続して作用させる手段を、押付レバーの他端に対し押し
    下げ方向の荷重を作用させる流体圧シリンダとした請求
    項1記載のタービン羽根のステライト貼り付け要具。
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JP5240168B2 (ja) * 2009-11-11 2013-07-17 三菱電機株式会社 蒸気タービン及び蒸気タービンの表面層形成方法、並びに蒸気タービンの表面層補修方法

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