JP2577633B2 - 光学記憶媒体 - Google Patents

光学記憶媒体

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  • Optical Record Carriers And Manufacture Thereof (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、光多重メモリーに関し、更に具体的に言え
ば極低温におけるフォトケミカルホールバーニング現象
を利用した高品質で高密度な波長多重記憶を可能にする
光学記憶媒体に関する。
〔従来の技術〕
フォトケミカルホールバーニング(PHB)現象を利用
した波長多重光メモリーが、1978年にカストロ(Castr
o)らにより提案〔米国特許第4101976号明細書(197
8)〕されて以来、PHB光メモリーは理論的には通常の光
メモリーの1000倍を越える多重度が可能な現在考え得る
最も極限的な光メモリーとして広く注目を集めるように
なった。第2図にPHB現象を利用した波長多重記憶法の
概略図を示す。第2図に従い、PHB光メモリーの原理の
概略を述べると以下のようになる。例えば透明なポリマ
ーや剛体ガラスなどのマトリックスに色素分子などのゲ
スト分子を分散した系では、その吸収スペクトルは分子
の電子状態の持つ本質的な幅(均一幅:Δω)による
広がりと個々のゲスト分子とマトリックスとの相互作用
が微妙に異なるために生じる不均一な広がり(不均一
幅:Δω)を示す。十分低温においては、Δω≪Δ
ωであるから、前記のような構造を持つ吸収帯に狭い
波長幅を持つ光を照射した場合、照射光のエネルギーを
共鳴的に吸収できるエネルギーサイトの分子だけが選択
的に励起され化学反応を起こすことにより、その分子の
吸収を別の波長域に移すことでホールを形成する。そし
て、ホールの有無によりデータビットの1及び0を表
す。
現在までに有機材料及び無機材料ともに様々な系で、
この方法によるホールの形成が報告されており〔W.E.モ
ーナー(W.E.Moener)編、パーシステント スペクトラ
ル ホール−バーニング:サイエンス アンド アプリ
ケーションズ(Persistent Spectral Hole-Burning:Sci
ence and Applications)、スプリンゲル出版社(198
8)〕、そのほとんどがプロトン互変異性反応や分子内
・分子間の水素結合変換反応などの一光子的な光化学反
応に基づいている。
一光子的なホール生成機構をもつ材料の一番の問題点
は、ホール形成に寄与する光化学反応を起こさせる光強
度に閾値が無いことであり、したがってどんなに読み出
し光の強度を弱めても、程度の差こそあれ必然的にデー
タビットの読み出しに伴い記録の破壊が起こってしまう
ことである。一光子的なホール生成機構をもつ材料に対
し、PHBを実際の光メモリーとして応用する際に必要な
条件である小さなスポット径(直径10μm)の光での高
速書き込み・読み出し(30ns/bit)という条件下で、十
分なS/Nを実現するために要求される材料条件について
詳細に検討された例〔W.E.モーナー及びM.D.レベンソン
(W.E.Moener、M.D.Levenson)、ジャーナル オブ オ
プチカル ソサイエティ オブ アメリカ(J.Opt.Soc.
Am.)B、第2巻、第915頁(1985)〕がある。その結
果、一光子的なホール生成機構をもつ材料においては、
前記の条件を満足するために許容されるSN比を与える材
料のパラメーター領域は極めて限られること、及び、現
在までにはこの許容領域内に入る材料系は見出されてい
ないことが明らかになった。
その後、読み出し時の記録の破壊を防止することを目
的とし、光化学反応に閾値を持つ二光子的な光化学反応
をホール生成機構とする光ゲート型PHB材料が見出され
た。これまでに光ゲート型PHB材料は、ホウ酸中のカル
バゾール〔H.W.H.リー(H.W.H.Lee)ほか、ケミカル
フィジクス レターズ(Chem.Phys.Lett.)、第118巻、
第611頁(1985)〕、ポリメチルメタクリレート(PMM
A)中のアントラセン−テトラセン光付加体〔M.イアノ
ン(M.Iannone)ほか、ジャーナル オブ ケミカル
フィジクス(J.Chem.Phys.)、第85巻、第4863頁(198
6)〕及びPMMA中の亜鉛あるいはマグネシウムテトラベ
ンゾポルフィリン・ハロゲン化メタン系〔T.P.カーター
(T.P.Carter)ほか、ジャーナル オブ フィジカル
ケミストリー(J.Phys.Chem.)、第91巻、第3998頁(19
87)、及びW.E.モーナーほか、アプライド フィジクス
レターズ(Appl.Phys.Lett.)、第50巻、第430頁(19
87)〕などの有機材料やBaClF中のSm2+〔A.ウィナッカ
ー(A.Winnacker)、オプチクス レターズ(Opt.Let
t.)、第10巻、第350頁(1987)〕やLiGa5O8中のCo
2+〔R.M.マックファーレン(R.M.Macfarlane)ほか、ケ
ミカル フィジクス レターズ、第118巻、第611頁(19
85)〕などの無機材料で見出されている。これらの中で
PHBの光メモリーへの応用という点で最も注目されるの
は、PMMA中の亜鉛テトラベンゾポルフィリン(TZT)、
あるいはマグネシウムテトラベンゾポルフィリン(TM
T)と、ハロゲン化メタン系におけるホールバーニング
である〔前記T.P.カーターほか、ジャーナル オブ フ
ィジカル ケミストリー、第91巻、第3998頁(1987)、
及びW.E.モーナーほか、アプライド フィジクス レタ
ーズ、第50巻、第430頁(1987)〕。この系ではTZT、あ
るいはTMTをドナー、ハロゲン化メタンをアクセプター
とし、TZT、あるいはTMTの三重項状態を中間状態とする
ドナーからアクセプターへの二光子的な電子移動反応を
行わせることによりホールを形成する。この系が他の系
に比べ優れている点は、他の光ゲート型PHB材料がいず
れも効率が低くホール書き込みに長時間を要するのに対
し、スポット径200μmのCWレーザー光を用いて1%の
深さのホールを30nsの高速で形成できた点である。更に
この材料系においてはレーザースポット系が1cmの場合
ではあるが、8nsの高速でホールを形成することにも成
功している〔前記W.E.モーナーほか、アプライド フィ
ジクスレターズ、第50巻、第430頁(1987)〕。しかし
この材料は、アクセプターとして用いているハロゲン
化メタン類が、同時に試料を作製する際の溶媒であるた
め、媒体の作製が容易ではなく、また試料作製の際アク
セプターの濃度を任意に再現性良くコントロールするこ
とが不可能である、アクセプターとして用いているハ
ロゲン化メタン類の沸点が低いため媒体の安定性が悪
い、ホール形成に寄与する二光子的光化学反応の中間
状態が不安定状態の三重項状態であるため、第一の光λ
の照射と第二の光λの照射の時間間隔が三重項寿命
により制限され実際上約500ms以下でなければならな
い、実際の光メモリーとして用いるには、書き込み速
度、レーザースポット径及びホール形成感度の点ではま
だ不十分である、ゲート比(等しい照射エネルギーを
用いた場合の二光子過程と一光子過程とで生ずるホール
の深さの比)が30〜100と小さいため、特に多数回の読
み出しにおいては記録の破壊的読み出しを完全に防止す
ることができない、等の欠点を有していた。
〔発明が解決しようとする課題〕
PHBを利用した波長多重光メモリ媒体、あるいはその
記憶方法に望まれる点は、まず作製が容易でその媒体組
成が任意の値に再現性良くコントロールできること、媒
体の安定性が良いこと、また形成したホールが狭く多重
度が上げられること及び昇温に伴うホール保持性が良好
なことに加え、書き込み・読み出しが小さな光のスポッ
トで高速にできることが極めて重要である。
本発明の目的は、二光子過程以上の多光子的な光化学
反応をホール生成機構を有する材料系において、小さな
スポット径の光(直径1〜100μm)での高速書き込み
(数10ns〜数ns/bit)・高速読み出し(数10ns〜数ns/b
it)を実現し、高感度で、昇温に伴うホール保持性が高
く、作製が容易でその媒体組成が任意の値に再現性良く
コントロールでき、しかも安定性のよい高品質で高密度
な波長多重記憶を可能にする光記憶媒体を提供すること
にある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明を概説すれば、本発明は光学記憶媒体に関する
発明であって、電子供与性ゲスト分子と電子受容性ゲス
ト分子がマトリックス中に分散され、前記電子供与性ゲ
スト分子は前記マトリックス中で不均一な吸収線の広が
りを有し、前記マトリックス中で、前記電子供与性ゲス
ト分子と前記電子受容性ゲスト分子の間に多光子的な電
子移動反応が存在し、前記電子移動反応を用いて、周波
数次元上に複数の情報を記憶できる光学記憶媒体におい
て、前記電子供与性ゲスト分子がメタルフリーテトラフ
ェニルポルフィリン、又はテトラフェニルポルフィリン
亜鉛塩であり、前記電子受容性分子が1−クロロアント
ラセン、9−ブロモアントラセン、α−ブロモナフタレ
ン、β−ブロモナフタレン、又は4−ブロモビフェニル
であることを特徴とする。
本発明媒体においては、後記実施例で詳述するよう
に、ホール生成の原因である二光子過程以上の多光子的
光化学反応の中間状態として安定な反応生成物を含むの
で、三重項状態のような不安定状態を中間体とする場合
に比較し、この中間状態の占有数を大きくすることがで
きるため、ホール生成に寄与する光化学反応の量子収率
が大きくなる。その結果、本発明媒体は、高感度な光メ
モリーとして低レーザーパワーを用いた小さなスポット
径での高速書き込み・読み出しを実現することができ
た。
また、本発明の光学記憶媒体は閾値のある二光子過程
以上の多光子的光学反応を用いているため、一光子的光
化学反応を用いた際には避けることのできない読み出し
時の記録の破壊を効率的に防止することができた。
以下、図面を参照しつつ、本発明を更に詳細に説明す
る。
第1図は本発明媒体におけるホール生成に寄与する二
光子過程以上の多光子的な光化学反応の概念図を示す。
ただし、第1図においては、簡単のために二光子過程の
場合について示している。ホールあるいはホログラムは
媒体中で起こるB状態への二光子的な光化学的あるい
は光物理的な変化の結果記憶される。このような変化は
屈折率及び吸光度の変化を与える。B状態への励起は
以下のように行われる。まず始めに電子供与性の分子の
基底状態を光子λによりA状態に励起する。この状
態は電子受容性の分子と光化学反応を起こし、安定な中
間体を生成する。ただしこの安定な中間体は元の電子供
与性分子と同様な吸収スペクトルを有するためホール生
成には寄与せず、また少なくとも低温にしている限りは
元の電子供与性分子へ戻ることはない。この安定な中間
体が吸収を有する波長λを照射することにより、ホー
ル生成に寄与する光化学反応あるいは光物理的変化を生
ずるためホールあるいはホログラムを生ずる。この場合
読み出し時のデータ破壊のことを考えるとλ≠λ
あることが望ましいが、たとえλ=λの場合でもこ
のような二光子的化学反応では、反応量子収率は励起光
強度の2乗に比例するため、通常行っているように読み
出しの場合に光強度を1/102〜1/105に落とした場合に
は、実質的には、読み出し時のデータ破壊は無視するこ
とができる。
第3図は本発明媒体の基本構造を示す図であって、そ
の主たる構成は、1種以上の光化学反応性分子を含むマ
トリックスから成る。なお、符号1及び2は光化学反応
性分子、3はマトリックスを意味する。ただし、第3図
においては、簡単のために光化学反応性分子が2種の場
合について示してある。小さなスポット径の光(直径1
〜100μm)による高速書き込み・読み出し(数10ns〜
数ns/bit)の実現には、ホール生成に用いる光化学反応
が高速で量子収率の高い反応であれば何でも良いが、例
えば電子供与体と電子受容体との間の電子移動反応が考
えられる。この電子移動反応には、単一の分子内での電
子供与性部分から電子受容性部分への電子移動を表す分
子内電子移動反応と、電子供与性分子から、それとは別
の電子受容性分子への電子移動を表す分子間電子移動反
応の二種があるが、永続的なホール生成に必要な反応の
非可逆性の観点からすると、分子間電子移動反応である
ことが望ましい。更に、永続的なホール生成を確実なも
のとするためには、電子移動反応に伴い、結合解離など
の不可逆的な過程を伴うことが望ましい。電子供与体と
電子受容体との組合せの選び方の1つの、しかも重要な
目安としては、電子供与体の酸化電位Eox D、電子受容体
の還元電位Ered A、λによる光励起により蓄積される
電子エネルギーEo,o、及び反応の結果生ずるイオン対の
媒体による安定化エネルギー(−e2/Rcε、ここで、e:
電子の電荷、Rc:イオン対間距離、ε:媒体の誘電率)
を用いて (1)式: ΔG=F(Eox D−Ered A)−Eo,o−e2/Rcε (1) により見積ることのできる反応に伴う自由エネルギーの
変化ΔGが負になる組合せを選べばよい〔J.W.フェルホ
ーフェン(J.W.Verhoeven)、ピュア アンド アプラ
イド ケミストリー(Pure and Appl.Chem.)、第58
巻、第1285頁(1986)〕。しかし通常は、(1)式の右
辺第三項の値が小さいため無視し式: ΔG=F(Eox D−Ered A)−Eo,o (2) を使うことが多い。
この光化学反応性分子が具備すべき特定の性質とは、
まず第一の過程に対応する分子(EDと略記する)につい
ては、マトリックス中に分散した際、少なくとも1個以
上の不均一な広がりを有する吸収線を与え、且つ前記吸
収線の帯域幅よりも狭い帯域幅の光を受けると、その分
子単独で、あるいは媒体中に同時に存在する一種類以上
の分子との間で、中間状態として安定な生成物を少なく
とも1つ含むような二光子過程以上の多光子的な光化学
反応を起こすことである。具体的には、メタルフリーテ
トラフェニルポルフィリン、メタルフリークロリン、メ
タルフリーフタロシアニン等のポルフィリン誘導体が挙
げられる。また前記の分子とは異なる分子との間との光
化学反応を用いる場合には、前記の分子の有する性質に
応じ選択すればよく、その組合せは何通りもある。特に
光化学反応として電子移動反応を用いる際には、前記
(1)式を1つの目安とすることができる。また反応の
中間体として安定な生成物を含むか否かは、前記分子の
有する性質に著しく依存する。具体的には、前記のよう
なポルフィリン誘導体を第1の過程に対応する分子とし
て用いる場合には、光化学反応の相手方の分子(EAと略
記する)としては、クロロアントラセン、ブロモアント
ラセン、ブロモナフタレン、クロロナフタレン等の分子
により代表されるハロゲン化縮合芳香族炭化水素あるい
は4−クロロビフェニル、4−ブロモビフェニル、4−
クロロターフェニル、4−ブロモターフェニル等の分子
で代表されるハロゲン化芳香族炭化水素が望ましいが、
それらの組合せについては、前記(1)式を目安にして
選べばよい。例えば、前記ED分子と前記EA分子との組合
せを用いた場合には、安定な生成物を中間体とする二光
子的な分子EDから分子EAへの電子移動反応とそれに伴う
分子EAにおける炭素−ハロゲン原子間結合の解離反応に
より永続的なホールが分子EDの有する不均一に広がった
吸収線内に生成する。これは中間体として安定な生成物
を含む二光子的な分子間電子移動反応と結合解離反応と
の組合せによるホール生成の例である。
更に、これらの光化学反応性分子は、媒体作製を容易
にし、安定で、且つ媒体の組成を任意の値にコントロー
ルすることを可能にするために、常温で安定で且つ固体
状態であることが望ましい。
一方、マトリックスとして具体的には、前記ポリフィ
リン誘導体及びハロゲン化縮合芳香族炭化水素、あるい
はハロゲン化芳香族炭化水素に代表される光化学反応性
分子を分散し、これら分子のO−Oバンド領域の透明性
のよい、波長多重度の高い、しかも、熱的ホール安定性
の良好な高分子、剛体ガラス、無機ガラス、セラミック
ガラス、あるいはタンパク質ならなんでも良い。具体的
には、高分子としては例えば、ポリエチレン、ポリプロ
ピレン、ポリイソブチレン等に代表されるポリオレフィ
ン、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレ
ート等に代表されるポリメタクリレート誘導体の他、ポ
リビニルクロライド、ポリビニリデンクロライド、更
に、ポリブチルアセタール、ポリビニルカルバゾール等
に代表されるポリビニルアセタール誘導体、ポリアクリ
ロニトリル、ポリメチルアクリレート、ポリエチルアク
リレート等に代表されるポリアクリレート誘導体、α−
メチルシアノアクリレート、α−エチルシアノアクリレ
ート、α−イソブチルシアノアクリレート等に代表され
るポリシアノアクリレート誘導体、ポリスチレン誘導
体、ポリブタジェン、あるいはこれらの高分子の共重合
体、更に芳香族ポリカルボン酸誘導体、ポリアミド誘導
体、ポリビニルアルコール誘導体、ポリイミド誘導体、
ポリカーボネート誘導体、ポリウレタン誘導体、ポリフ
ェニレンオキシド等のポリエーテル誘導体、ポリアセタ
ール誘導体等が挙げられるが、これらに限定されるもの
ではない。また、剛体ガラスとしては、エタノール等の
アルコール類、グリコール類、グリセロール、エーテル
類、n−アルカン類、ケトン類、エステル類、アミド
類、あるいはこれらの混合物が考えられる。また、無機
ガラスあるいはセラミックガラスとしては、ケイ酸ガラ
ス類、二成分ケイ酸ガラス類、ホウ酸ガラス、リン酸ガ
ラス、ホウケイ酸ガラス、フッ化物ガラス、アルミケイ
酸ガラス、鉛ガラス等が挙げられる。更にゾルゲル法に
より作られるガラスも挙げられる。
〔実施例〕
以下、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明する
が、本発明は以下の例に限定されるものではない。
実施例1 市販のポリメチルメタクリレート(以下、PMMAと略記
する)のクロロホルム溶液中にメタルフリーテトラフェ
ニルポルフィリン(以下、TPPと略記する)又はその亜
鉛塩(以下、ZnTPP)と略記する)及び、1−クロロア
ントラセン(以下、1-AClと略記する)、又は9−ブロ
モアントラセン(以下、9-ABrと略記する)、又はアン
トラセン(以下、Aと略記する)、又はα−ブロモナフ
タレン(以下、α−NBrと略記する)、又はβ−ブロモ
ナフタレン(以下、β−NBrと略記する)、又は4−ブ
ロモビフェニル(以下、4−BBrと略記する)を乾燥時
の濃度が表1となるように加えた後、透明ガラス性基板
上に窒素ガス雰囲気下、50〜60℃で一昼夜キャストし、
更にロータリーポンプ減圧下、150℃で二昼夜放置する
ことにより溶媒を完全に除去し、厚さ約1mmのフィルム
を得た。一例として、媒体2の吸収スペクトル及び蛍光
スペクトルをそれぞれ第4図、第5図に示す。すなわち
第4図は波長(nm、横軸)と吸収強度(縦軸)との関係
で示す吸収スペクトル図、第5−a図及び第5−b図は
波長(nm、横軸)と蛍光強度(縦軸)との関係で示す蛍
光スペクトル図である。また、第6図に9-ABrのシクロ
ヘキサン溶液中における蛍光スペクトルを示す。ここで
9-ABrの吸収スペクトルがTPPのソーレー(Soret)吸収
帯と重なるため第4図には、9-ABrの吸収は現れない。
第5図では2つの連続しない波長領域における蛍光スペ
クトルを示すが、このうち第5−a図はTPPの蛍光スペ
クトルに帰属できる。一方、第5−b図は、一見第6図
に示した9-ABrの蛍光スペクトルとは異なるが、この波
長領域に存在するTPPの強いソーレー吸収帯による9-ABr
の蛍光の再吸収を考慮に入れれは、この蛍光スペクトル
を9-ABrによるものと帰属できる。表1に示した媒体2
以外の媒体についても媒体2と同様な吸収スペクトルと
蛍光スペクトルの挙動を示した。
実施例2 市販の高密度ポリエチレン(以下、PEと略記する)の
熱パラキシレン溶液中にTPP、又はZnTPP、及び1-ACl、
又は9-ABr、又はA、又はα‐NBr、又はβ‐NBr、又は4
-BBrを乾燥時の濃度が表2となるように加えた後、透明
ガラス性基板上に窒素ガス雰囲気下、120℃で一昼夜キ
ャストし、更にロータリーポンプ減圧下、150℃で二昼
夜放置することにより溶媒を完全に除去し、厚さ約100
〜200μmのフィルムを得た。これらの媒体の吸収スペ
クトル及び蛍光スペクトルは、(実施例1)の媒体と同
様な挙動を示した。
実施例3 表3に示す条件で電気化学的方法によりTPP、ZnTPPに
ついては酸化電位、1-ACl、9-ABr、A、α‐NBr、β‐N
Br及び4-BBrについては還元電位を測定した。表3に結
果をまとめて示す。
これらの酸化電位あるいは還元電位の値によれば、TP
P、ZnTPPのうちのどちらかの分子と、1-ACl、9-ABr、
A、α‐NBr、β‐NBr、4-BBrのどれか1つの分子との
いかなる組合せにおいても(2)式で算出したΔG値が
正となり、TPPのQ1吸収帯(約645nm)あるいはZnTPPのQ
1吸収帯(約588nm)への光励起により一光子的な分子間
電子移動反応は起こり得ないことが解った。
実施例4 表1、あるいは表2の媒体を液体ヘリウム温度(7K)
まで冷却し、YAGレーザー励起のパルス色素レーザーの6
45nmの光(パルス幅:2.5ns、バンド幅:1cm-1)を1パル
ス、照射エネルギー0.1〜10mJ/cm2の範囲で照射した
が、TPPのQ1吸収帯にホールを形成することはできなか
った。したがって、これらの媒体においては、前記の実
験条件下で一光子的な光化学反応に基づくホールは形成
しないことが解った。これは実施例3の結果を支持し、
更にこれらの媒体においては、前記実験条件下ではプロ
トン互変異性反応等の分子間電子移動反応以外の一光子
的光化学反応によるホール形成も起こらないことが解っ
た。
実施例5 媒体6、7及び13、14を除く、表1、あるいは表2の
媒体を液体ヘリウム温度まで冷却し、YAGレーザー励起
のパルス色素レーザーの647.5nmの光(パルス幅:2.5n
s、バンド幅:1cm-1)を2パルス、照射エネルギー0.1mJ
/cm2・パルス及びパルス照射時間間隔0.2秒で照射した
ところ、すべての媒体に対し、ホール幅約1.5cm-1のホ
ールを生成した。第7図に媒体2で生成したホールスペ
クトルを示す。すなわち第7図は波長(nm、横軸)と吸
収強度(縦軸)との関係で示すホールスペクトル図であ
る。次にArレーザー励起のCW色素レーザーの光(バンド
幅:<1×10-4cm-1)を音響光学変調器を用いてパルス
状とした光(パルス幅:1μs)を照射光源とし、また同
一のCW色素レーザーを用いた波長走差によるダブルビー
ム分光法を用いることにより、狭バンド幅光源によるホ
ール形成と検出の高感度化を目的とし、表4に示す照射
光量及びパルス照射時間間隔0.2秒で照射した場合に、
各媒体において生成したホールのホール幅と深さを表4
にまとめて示した。ホールの形成効率は、マトリックス
がPEの場合、PMMAの場合に比較し約1桁高いが、ハロゲ
ンの種類に強く依存しなかった。更に、前記のYAGレー
ザー励起の色素レーザー光を用いホールの形成効率のパ
ルス照射時間間隔依存性を測定したが、ホールの形成効
率は、0〜1時間までパルス照射時間間隔に依存しなか
った。したがって、前記媒体におけるホール形成の原因
となる二光子的光化学反応の中間体が三重項状態のよう
な不安定中間体ではなく、安定な反応生成物であること
が解った。
実施例6 媒体6、7及び13、14を除く、表1あるいは表2の媒
体を液体ヘリウム温度まで冷却し、YAGレーザー励起の
パルス色素レーザーの645nmの光(パルス幅:2.5ns、バ
ンド幅:1cm-1)を1パルス(照射エネルギー0.1mJ/cm2
・パルス)とArレーザー光をシャッターによりパルス状
にした光(パルス幅:20ms)を1パルス(照射エネルギ
ー0.1mJ/cm2・パルス)、同時に照射したところ、すべ
ての媒体に対し、ホール幅約1.5cm-1のホールを生成し
た。次にArレーザー励起のCW色素レーザーの645nmの光
(バンド幅:<1×10-4cm-1)を音響光学変調器を用い
てパルス状とした光(パルス幅:1μs)とArレーザー光
をシャッターによりパルス状にした光(パルス幅:20m
s)を照射光源とし、また同一のCW色素レーザーを用い
た波長走差によるダブルビーム分光法を用いることによ
り、狭バンド幅光源によるホール形成と検出の高感度化
を目的とし、表5に示す照射光量で1パルスずつ同時に
照射したところ、すべての媒体に対し、TPPのQ1吸収帯
にホールを形成した。各媒体において生成したホールの
ホール幅を表5にまとめて示した。ホールの形成効率
は、マトリックスがPEの場合、PMMAの場合に比較し1桁
以上高く、更に第二光子が645nm付近の光である場合に
比較し増大するが、ハロゲンの種類に強く依存しなかっ
た。更に、ホールの形成効率のパルス照射時間間隔依存
性を測定したが、0〜1時間までパルス照射時間間隔に
依存しなかった。したがって、前記媒体におけるホール
形成の原因となる二光子的光化学反応の中間体が三重項
状態のような不安定中間体ではなく、安定な反応生成物
であることが解った。
実施例7 媒体6、7及び13、14を除く、表1あるいは表2の媒
体を液体ヘリウム温度まで冷却し、YAGレーザー励起の
パルス色素レーザーの645nmの光(パルス幅:2.5ns、バ
ンド幅:1cm-1)を1パルス(照射エネルギー0.1mJ/cm2
・パルス)と窒素レーザー励起の色素レーザーの380nm
の光(パルス幅:8ns)を1パルス(照射エネルギー0.1m
J/cm2・パルス)で同時に照射したところ、すべての媒
体に対しホール幅約1.5cm-1のホールを生成した。次
に、Arレーザー励起のCW色素レーザーの645nmの光(バ
ンド幅:<1×10-4cm-1)を音響光学変調器を用いてパ
ルス状とした光(パルス幅:1μs)と窒素レーザー励起
の色素レーザーの380nmの光(パルス幅:8ns)を照射光
源とし、また同一のCW色素レーザーを用いた波長走差に
よるダブルビーム分光法を用いることにより、狭バンド
幅光源によるホール形成と検出の高感度化を目的とし、
表6に示す照射光量で同時に照射したところ、すべての
媒体に対し、TPPのQ1吸収帯にホールを形成した。各媒
体において生成したホールのホール幅を表6にまとめて
示した。ホールの形成効率は、マトリックスがPEの場
合、PMMAの場合に比較し1桁以上高く、更に第二光子が
645nm及びArレーザーの光である場合に比較し、1桁程
度増大するが、ハロゲンの種類に強く依存しなかった。
更に、ホールの形成効率のパルス照射時間間隔依存性を
測定したが、0〜1時間までパルス照射時間間隔に依存
しなかった。したがって、前記媒体におけるホール形成
の原因となる二光子的光化学反応の中間体が三重項状態
のような不安定中間体ではなく、安定な反応生成物であ
ることが解った。
実施例8 ホール形成に関する照射光パルス幅の影響を調べるた
めに媒体2及び9を例にとり、照射光パルス幅を8ms〜
2.5nsの範囲で変化させ、ホール幅やホール深さを調べ
た。媒体2及び9を液体ヘリウム温度まで冷却し、パル
ス幅2.5nsの場合には、YAGレーザー励起のパルス色素レ
ーザーの645nmの光(バンド幅:1cm-1)を2パルス、パ
ルス幅1μ〜8msについてはArレーザー励起のCW色素レ
ーザーの645nmの光(バンド幅:<1×10-4cm-1)を音
響光学変調器を用いてパルス状とした光を2パルス用い
て、表7に示す照射光量及びパルス照射時間間隔0.2秒
で照射した。各媒体において生成したホールのホール幅
とホール深さを表7にまとめて示した。ここで、媒体2
で、パルス幅が1μsの場合には、照射パワー900μW/c
m2で104パルス照射した場合でもホールを生成しなかっ
た。
実施例9 ホール形成に対する照射レーザースポット径の影響を
調べるために媒体9を例にとり、液体ヘリウム温度でAr
レーザー励起のCW色素レーザーの645nmの光(バンド
幅:<1×10-4cm-1)を音響光学変調器を用いてパルス
状とした光(パルス幅:1μs)とした645nmの光を2パ
ルス、照射時間間隔0.2秒、照射パワー10μW/cm2で照射
したところ、レーザースポット径が100μφまでレーザ
ー走差によるダブルビーム法によりホールを生成・検出
することができた。
実施例10 表1、あるいは表2の媒体6、7、13又は14を液体ヘ
リウム温度まで冷却し、媒体6、13についてはYAGレー
ザー励起のパルス色素レーザーの645nmの光(パルス幅:
2.5ns、バンド幅:1cm-1)を、また媒体7、14について
はYAGレーザー励起のパルス色素レーザーの593nmの光
(パルス幅:2.5ns、バンド幅:1cm-1)を、表8に示す照
射光量、照射時間で照射したが、いずれの場合にもTPP
のQ1吸収帯にホールを形成することはできなかった。
実施例11 媒体8を液体ヘリウム温度まで冷却し、窒素レーザー
励起の色素レーザー光の波長を変化させながら、YAGレ
ーザー励起のパルス色素レーザーの642nmの光(パルス
幅:2.5ns、照射光量0.1mJ/cm2)を1パルスずつ同時に
照射し、生成したホールの深さを調べたところ第8図が
得られた。すなわち第8図は光ゲートスペクトルをλ
(nm、横軸)とホール形成効率(任意単位、縦軸)との
関係で示す図である。これは中間状態の吸収スペクトル
に対応する。この結果からλの波長として、500nmに
り波長の短い光を用いると、ホールの形成効率が上昇す
ることを示す。更に、媒体11及び12についても同様な実
験を行い、中間体の吸収スペクトルを得た。その結果こ
れらの媒体においても、媒体8の場合と類似のスペクト
ルを与えた。
実施例12 媒体8を液体ヘリウム温度まで冷却し、YAGレーザー
励起のパルス色素レーザーの光(パルス幅:2.5ns、照射
光量0.1mJ/cm2)を1発ずつ、波長642nmから648nmまで
0.5nm毎に媒体の同一位置に照射した。その後Arレーザ
ー光をシャッターを用いてパルス状にした光(パルス
幅:2.5ms)を媒体の同一位置に照射したところ、TPPのQ
1吸収帯のλに対応する波長にそれぞれホールを形成
した。
実施例13 ホール形成に対するアクセプター濃度の影響を調べる
ために、実施例1に示したのと同様な方法で表9に示す
ゲスト分子濃度を有し、PMMAをマトリックスとする光学
記憶媒体を作製した。
表9の媒体を液体ヘリウム温度まで冷却し、YAGレー
ザー励起のパルス色素レーザーの645nmの光(パルス幅:
2.5ns、バンド幅:1cm-1)を2パルス、パルス照射時間
間隔0.2秒で、あるいはYAGレーザー励起のパルス色素レ
ーザーの645nmの光(パルス幅:2.5ns、照射光量0.1mJ/c
m2)を1発と、Arレーザーをシャッターを用いてパルス
状にした光(パルス幅:20ms)を1パルス同時に、表10
に示す照射光量で照射したところ、TPPのQ1吸収帯にホ
ールを形成した。各媒体において生成したホールのホー
ル幅とホール深さを表10にまとめて示した。表10と表4
又は表5を比較すれば解るように、媒体1、2と比較
し、媒体15、16程度のアクセプター濃度上昇ではホール
生成効率に対する効果は認められないが、媒体17、18、
19、20程度のアクセプター濃度になると約10倍程度のホ
ール生成効率の上昇が認められた。これは、ホール生成
効率がドナー、アクセプター分子間の平均距離に依存す
ることを示す。また、この実験結果により、マトリック
スがPEの場合にPMMAの場合に比較し、ホール生成効率が
約一桁程度高いことも説明できる。結晶性ポリマーであ
るPEの場合にも、ゲスト分子はそのわずかなアモルファ
ス部分に分散しているので〔Th.セッセルマン、W.リヒ
ター、D.ハーラー及びH.モラウィッツ(Th.Sesselmann.
W.Richter,D.Haarer and H.Morawitz)、フィジカル
レビュー(Phys.Rev.)第B36巻、第7601頁(1987)〕、
PMMAの場合と同じゲスト濃度の場合でも、ドナー、アク
セプター間距離は近いからである。
実施例14 媒体6、7及び13、14を除く、表1あるいは表2の媒
体を液体ヘリウム温度まで冷却し、第9図に示す光学系
を用い、YAGレーザー励起のパルス色素レーザーの波長6
45nmの2本のコヒーレントな光(パルス幅:2.5ns、照射
エネルギー0.1mJ/cm2・パルス、一方が参照光であり、
他方が物体光である)を、YAGレーザーの第3高調波励
起の色素レーザーの380nmの光(パルス幅:6ns、照射エ
ネルギー0.5mJ/cm2・パルス)を同期するように照射し
ながら交差させ、スポットサイズ100μmで、媒体上に
干渉パターンを形成するように1パルスずつ照射したと
ころ、2光子的な光化学反応を起こしホログラフィパタ
ーンを形成した。なおホログラムパターンの生成効率は
第一光子と第二光子との照射時間間隔には依存しなかっ
た。その後、参照ビームだけを照射したところ、媒体に
記憶させたホログラムパターンを再現することができ
た。なお、第9図はホログラム方式による装置系の概略
図であって、符号4は光源、5は検出器、6はページコ
ンポーザー、7及び8は2次元ガルバノミラー、9〜12
はレンズ、13は冷却室、14は記憶媒体、15は参照光、16
は物体光を意味する。
実施例15 媒体1を液体ヘリウム温度まで冷却し、YAGレーザー
励起のパルス色素レーザーの640〜650nmの光(パルス
幅:2.5ns)を1nmごとに10パルスずつ、照射光量5mJ/cm
2で照射しTPPのQ1吸収帯に十分深い11数個のホールを形
成した。光照射前後での吸収スペクトルの差スペクトル
を測定したところ、反応生成物は、約690、495、455nm
付近、及び714、400、370nm付近に吸収を持つことが解
った。文献値との比較により、これらの吸収の内、前3
つの吸収はTPPのカチオンラジカルによる吸収であり、
後3つの吸収はアントラセンアニオンラジカルによる吸
収であることが解った。つまりホールの生成に伴い媒体
中にはTPPカチオンラジカルとアントラセンアニオンラ
ジカルが反応生成物として生成することが解った。媒体
4及び5についても同様な実験を行ったところ、それぞ
れTPPカチオンラジカルの吸収の他に、媒体4では813、
465、366及び323nmに、また媒体5の場合には、637、及
び405nmに吸収を持つ生成物が生成していることが解っ
た。これらの生成物は、文献値との比較により、それぞ
れ、ナフタレンアニオンラジカル及びビフェニルアニオ
ンラジカルによる吸収と帰属できた。したがって、本発
明媒体におけるホール生成のメカニズムは第10図のよう
に表すことができる。すなわち第10図は本発明光学記憶
媒体におけるホール生成メカニズムを説明する図であっ
て、(1)〜(5)は各段階のエネルギー準位を示す。
〔発明の効果〕
以上説明したように、本発明により、二光子過程以上
の多光子的な光化学反応をホール生成機構を有する材料
系において、小さなスポット径の光(直径1〜100μ
m)での高速書き込み(数10ns〜数ns/bit)・高速読み
出し(数10ns〜数ns/bit)を実現し、高感度で、昇温に
伴うホール保持性が高く、作製が容易でその媒体組成が
任意の値に再現性良くコントロールでき、しかも安定性
のよい高品質で高密度な波長多重記憶を可能にする光記
憶媒体を提供できる。また、前記本発明媒体のホール生
成過程に中間状態として安定な反応生成物を含み、その
占有数が時間により減少しないため、第一の光子と第二
以降の光子との間の時間間隔を零から長時間まで任意の
時間にとることができるという事実に基づき、高感度
で、簡便かつ高速書き込み・読み出しを可能とする。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明媒体においてホール生成に寄与する光化
学反応の概念図、第2図はPHB現象を利用した波長多重
記憶法の概略図、第3図は本発明媒体の基本構造を示す
図、第4図及び第5−a図、第5−b図はそれぞれ媒体
2(TPP・9-ABr/PMMA系)の吸収スペクトル図及び蛍光
スペクトル図、第6図は9-ABrのシクロヘキサン溶液中
における蛍光スペクトル図、第7図は媒体2(TPP・9-A
Br/PMMA系)におけるPHBホールスペクトルの一例を示す
図、第8図は媒体8(TPP・1-ACl/PE系)に対する光ゲ
ートの作用スペクトルを示す図、第9図はホログラム方
式による装置系の概略図、第10図は本発明光学記憶媒体
におけるホール生成メカニズムを説明する図である。 1及び2:光化学反応性分子、3:マトリックス、4:光源、
5:検出器、6:ページコンポーザー、7及び8:2次元ガル
バノミラー、9〜12:レンズ、13:冷却室、14:記憶媒
体、15:参照光、16:物体光
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 平塚 廣明 東京都千代田区内幸町1丁目1番6号 日本電信電話株式会社内 (56)参考文献 J.Phys.Chem,1987,91, P3998−4004

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】電子供与性ゲスト分子と電子受容性ゲスト
    分子がマトリックス中に分散され、前記電子供与性ゲス
    ト分子は前記マトリックス中で不均一な吸収線の広がり
    を有し、前記マトリックス中で、前記電子供与性ゲスト
    分子と前記電子受容性ゲスト分子の間に多光子的な電子
    移動反応が存在し、前記電子移動反応を用いて、周波数
    次元上に複数の情報を記憶できる光学記憶媒体におい
    て、前記電子供与性ゲスト分子がメタルフリーテトラフ
    ェニルポルフィリン、又はテトラフェニルポルフィリン
    亜鉛塩であり、前記電子受容性分子が1−クロロアント
    ラセン、9−ブロモアントラセン、α−ブロモナフタレ
    ン、β−ブロモナフタレン、又は4−ブロモビフェニル
    であることを特徴とする光学記憶媒体。
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