JP2572953B2 - 3−フルオロ−2−(クロロメチル)−プロペン - Google Patents

3−フルオロ−2−(クロロメチル)−プロペン

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JP2572953B2 JP6309441A JP30944194A JP2572953B2 JP 2572953 B2 JP2572953 B2 JP 2572953B2 JP 6309441 A JP6309441 A JP 6309441A JP 30944194 A JP30944194 A JP 30944194A JP 2572953 B2 JP2572953 B2 JP 2572953B2
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    • C07C17/093Preparation of halogenated hydrocarbons by replacement by halogens
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    • C07C17/202Preparation of halogenated hydrocarbons by replacement by halogens of halogen atoms by other halogen atoms two or more compounds being involved in the reaction
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ジフルオロイソブチレ
ンとも呼ばれる、3−フルオロ−2−(フルオロメチ
ル)−プロペン(式I参照)の製造中間体であるフルオ
ロ−クロロ−イソブチレンとも呼ばれる新規な化合物3
−フルオロ−2−(クロロメチル)−プロペンおよびそ
の合成方法に関連する。
【0002】
【化2】
【0003】
【従来の技術】3−フルオロ−2−(フルオロメチル)
−プロペンは、有機化学の分野、たとえば染料、薬品、
植物保護剤、プラスチックス、繊維およびプラスチック
助剤の分野における、有用な合成中間体である。この特
殊なオレフィンは、フッ素原子を含む脂肪族ニトロ化合
物の合成にとくに適しており、この化合物はさらに殺虫
剤の合成のための前駆体として使用することができる
(米国特許第4,533,776号参照)。
【0004】3−フルオロ−2−(フルオロメチル)−
プロペン(I)は、ペンタエリスリトール−トリブロモ
ヒドリン(III)をフッ化カリウムと反応させて対応
するトリフルオロ化合物を得ようとした場合に、熱分解
反応をおこして塩化水素とホルムアルデヒドを脱離する
結果として、12.7%の収率で得られる好ましくない
副生成物である(Bull. Soc. Chim. France 1953, 123/
124 参照)。この反応は次式(1)によってあらわさ
れる。
【0005】
【化3】
【0006】この合成経路に従って、3−フルオロ−2
−(フルオロメチル)−プロペン(I)を工業的な規模
で合成し得る可能性は全くあり得ない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】今や3−クロロ−2−
(クロロメチル)−プロペンをフルオル化剤と反応させ
ることによる3−フルオロ−2−(フルオロメチル)−
プロペンの合成方法が見出された。この合成方法は中間
段階として今まで公知でなかった化合物3−フルオロ−
2−(クロロメチル)−プロペン(II)を経由する
が、後者の化合物は適当な反応操作、
【0008】
【化4】
【0009】たとえば化学量論量のフルオル化剤を秤量
して加えるなど、によって反応の主生成物として得るこ
ともできるが、そうでない場合はいつも副生成物として
付加的に生成し、それを分離することが可能である。
【0010】
【課題を解決するための手段】この合成方法は実例を用
いて次の式(2)のようにしてあらわすことができる:
【0011】
【化5】
【0012】出発物質の3−クロロ−2−(クロロメチ
ル)−プロペン(IV)は公知の化合物である。たとえ
ば、この化合物は、イソブチレンを大きな工業的規模で
アリル−クロル化反応によってメタリルクロリドを得よ
うとする場合に必ず生成する副生物として得られる。し
かし、この化合物は、液相におけるスルフリルクロリド
との反応によってメタリルクロリドから、ヨーロッパ特
許公告159,508号に従って、よい収率で意識的に
合成することも可能である。
【0013】この合成方法に利用可能なフルオル化剤
は、たとえば通常用いられるフルオル化剤である。それ
らが工業的な規模でしかも安価に入手しうる点からする
と、たとえば、フッ化カリウム、フッ化水素カリウム、
フッ化ナトリウム、フッ化水素ナトリウム、フッ化カル
シウム、フッ化マグネシウム、場合によってはこれらの
化合物、ならびに少量のフッ化セシウムとの混合物など
が適合する。フッ化カリウムを用いた場合に一般にきわ
めてよい収率が得られる。水を含んでいるフッ化物およ
びとくに予備乾燥していないフッ化物もこの合成方法に
利用できる。この場合には溶媒を用い、これと一緒に水
も除去されるようにその溶媒の一部を蒸留によって反応
混合物から追い出して共存している水をとり除くことが
好ましい。
【0014】理論的には、3−クロロ−2−(クロロメ
チル)−プロペン(IV)を3−フルオロ−2−(フル
オロメチル)−プロペン(I)に変えるためには2当量
のフルオル化剤が必要である。そのフルオル化剤は、用
いられる化合物(IV)の量を基準として、いずれの場
合にも、2.01〜2.5当量の割合、好ましくは2.0
3〜2.2当量の割合で、過剰に用いるのが望ましい。
一般に大過剰に用いてもやゝ高い収率と、反応混合物中
におけるモノフルオル化合物(II)の含有率がやゝ減
少するにすぎない。用いる化合物(IV)の量を基準と
してたとえば0.8〜1.5当量のフルオル化剤のよう
に、少量のフルオル化剤を使用すると、反応混合物中に
おけるモノフルオロ化合物(II)の含有率が増大する
ので、この化合物を意識的に合成しない場合にはこのよ
うな割合が用いられる。
【0015】この合成方法はいろいろな温度、たとえば
80〜300℃の範囲のある温度、で実施できる。11
0〜180℃の間の温度が好ましい。この反応は常圧下
においても加圧下においても実施できる。もし意図した
反応温度よりも常圧下における沸点が低いような溶媒を
使う場合には、加圧することがきわめて有利である。こ
の反応は、連続的に実施することも不連続的に実施する
ことも可能である。
【0016】一般にこの合成方法は溶媒の存在下で実施
するのが有利である。適合する溶媒は不活性な溶媒、も
しくは反応条件下で実質的に不活性な溶媒である。利用
しうる溶媒は、たとえば、エチルプロピルエーテル、n
−ブチルエチルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、ジ
−イソブチルエーテル、ジイソアミルエーテル、ジイソ
プロピルエーテル、アニソール、フェネトール、シクロ
ヘキシルメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒ
ドロフラン、ジオキサン、チオアニソール、およびβ,
β'−ジクロロジエチルエーテルなどのエーテル類;エ
チレングリコールのジメチルエーテル、ジエチルエーテ
ル、ジ−n−プロピルエーテル、ジイソプロピルエーテ
ル、ジ−n−ブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、
ジ−sec−ブチルエーテル、およびジ−tert−ブ
チルエーテル、ならびにジエチレングリコールのジメチ
ルエーテル、ジエチルエーテル、ジ−n−プロピルエー
テル、ジ−イソプロピルエーテル、ジ−sec−ブチル
エーテル、およびジ−tert−ブチルエーテルなどの
ポリエチレングリコールエーテル類;トリエチレングリ
コールやテトラエチレングリコールのジエーテル同族
体;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチ
レングリコールモノエチルエーテル、およびトリエチレ
ングリコールモノブチルエーテル;エチレングリコー
ル、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、
テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオー
ル、および1,3−プロパンジオール、;ジメチルスル
フオキシド、ジエチルスルフオキシド、ジメチルスルフ
オン、ジエチルスルフオン、メチルエチルスルフオンお
よびテトラメチレンスルフオン(スルフオラン)などの
スルフオキシド類;N−メチルピロリドン、ジメチルフ
オルムアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド、N,
N'−ジメチルプロピレン尿素、およびN−メチルカプ
ロラクタム;ベンゼンおよびトルエン;アセトニトリル
ならびにこれらの溶媒のあらゆる組合わせとあらゆる混
合比の混合溶媒などである。好ましい溶媒はジエチレン
グリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレン
グリコールおよびN−メチルピロリドンであり;とくに
好ましい溶媒は、トリ−およびテトラエチレングリコー
ルである。出発物質(IV)を基準として、あらゆる割
合の溶媒を用いることができる。たとえば、適合する割
合は、ある特定の溶媒もしくは混合溶媒中に出発物質
(IV)が10〜80重量%の濃度で存在するような、
溶媒の割合である。この混合物の濃度は35〜65重量
%であることが好ましい。
【0017】たとえばクラウンエーテルなどの、触媒を
添加しても、一般に出発物質(IV)の反応率や3−フ
ルオロ−2−(フルオロメチル)−プロペン(I)の収
率に対してはあまり影響を及ぼさない。たとえばクラウ
ンエーテルなどの触媒を用いることは可能であるが、上
記の理由でそれは好ましくはない。
【0018】この合成反応後には、その反応混合物中に
一般に、ジフルオル化された生成物(I)の他に、モノ
フルオル化された生成物(II)、未反応の出発物質
(IV)、フルオル化剤から生成する対応した塩化物、
および場合によっては過剰に用いたフルオル化剤、なら
びに場合によっては添加した溶媒などが存在する。その
ような反応混合物の後処理は、たとえばジフルオル化さ
れた生成物、モノフルオル化された生成物、未反応の出
発物質、および、場合によっては、溶媒を順次それらの
沸点の順に蒸留によって分離することによって、簡単に
実行できる。一般に、ジフルオル化された生成物が最初
に溜出し、つぎにモノフルオル化された生成物、それか
ら未反応の出発物質が溜出する。もしこの反応に溶媒を
用いる場合には、その沸点が他のいずれの成分の沸点と
も余り近くないように選択するのが有利である。とりわ
け、多くの場合には、ジフルオル化された生成物、モノ
フルオル化された生成物、そして未反応の出発物質が溶
媒から順次蒸留によって溜出し、最後に溶媒が蒸留残留
物として分離されるような溶媒を選択するのが望まし
い。この蒸留による分離は常圧下または減圧下において
実施することができる。一般に適合する圧力は常圧から
10ミリバールの圧力である。あまりにも減圧度が大き
い場合には、かなり強力に冷却しないと溜出物を凝縮す
ることができないのでかえって不利である。フルオル化
剤から生成した塩化物、および、場合によっては、過剰
に用いたフルオル化剤は、(好ましくは)蒸留の前にろ
別されるか、あるいは(あまり好ましくはないが)蒸留
後の残留生成物中に残る。未反応の出発物質(IV)、
モノフルオル化された生成物(II)、溶媒および過剰
に用いられたフルオル化剤は、この合成方法を実施する
ための反応容器に別々に供給することも一緒に供給する
ことも可能である。この反応を連続的に実施すること、
たとえば、ジフルオル化された生成物(I)とフルオル
化剤から生成した塩化物とを反応混合物より連続的に除
去し、対応する量の出発物質(IV)とフルオル化剤と
を反応混合物の上部から供給することによって実施でき
る。このような方法あるいは他の方法で分離された反応
生成物(I)は、場合によってもし必要なら、再蒸留に
よって精製される。
【0019】この合成方法によって、3−フルオロ−2
−(フルオロメチル)−プロペン(I)を単純な方法で
高い収率で高純度で合成することができる。従来公知で
あった文献によると、飽和化合物(III)から出発し
てきわめて少量の3−フルオロ−2−(フルオロメチ
ル)−プロペン(I)しか得られなかったので、これら
の結果が得られたことは大変驚くべきことである。この
合成方法によって不飽和の出発物質(IV)を用いる
と、飽和の出発物質(III)を用いる場合よりもその
反応性に富む二重結合の存在のために多くの副反応、た
とえばオリゴマー生成反応中やゲル化反応など、が予測
されていた。
【0020】この合成方法の実施に際して、さらに次式
(II)によってあらわされる新規な化合物3−フルオ
ロ−2−(クロロメチル)−プロペンが見出された。
【0021】
【化6】
【0022】この化合物はフルオロ−クロロ−イソブチ
レンとも呼ばれる。
【0023】化合物(II)の合成ならびに化合物(I
I)が主として生成する反応条件は、すでに上で述べ
た。 式(II)の新規な化合物は前述の方法に従っ
て、式(I)の公知の化合物に変えることができるが、
後者は米国特許公告第4,533,776号によると、殺
虫剤を合成するための中間体である。
【0024】
【実施例】
実施例 1 フッ化カリウム1.22Kg(21モル)をテトラエチレ
ングリコール1.75l中に入れた。少量含まれている
水を除くため、最初に15ミリバールの圧力下でこの水
と一緒に150mlのテトラエチレングリコールを蒸留で
除いた。つぎに3−クロロ−2−(クロロメチル)−プ
ロペン(IV)1.25Kg(10モル)を加え、その混
合物を3時間加熱還流した。その後揮発性の成分を15
ミリバールの圧力下でその溶媒中からよく冷却した受器
の中へ蒸留でとり出した。得られた粗留出物を1.01
3ミリバールの圧力下でカラムによって分溜した。次の
成分が得られた: フラクション1: 390g、沸点62〜64℃ 3−フルオロ−2−(フルオロメチル)−プロペン
(I)の含有率:98.3%(ガスクロマトグラフィに
よる)。
【0025】中間フラクション: 50g、沸点65〜98℃ (I)の含有率:39.6%(ガスクロマトグラフィに
よる))、3−フルオロ−2−(クロロメチル)−プロ
ペン(II)の含有率:57.1%(ガスクロマトグラ
フィによる)。
【0026】フラクション2: 240g、沸点98〜100℃ (II)の含有率:94.3%(ガスクロマトグラフィ
による)。
【0027】残留物: その含有率が87.8%(ガスクロマトグラフィによ
る)である出発物質305g。
【0028】フラクション2を再蒸留した試料(沸点9
9〜100℃、ガスクロマトグラフィによる純度99.
4%)は、屈折率nD 20が1.4237であった。
【0029】残留物、フラクション2および中間フラク
ションをこれ以上の処理をすることなしに、次の反応に
もう一度利用した。
【0030】参考例 フッ化カリウム2.44Kgをテトラエチレングリコー
ル3.5l中に入れ、少量含まれている水を除くため
に、15ミリバールの圧力下でこの水と一緒に300m
lのテトラエチレングリコールを蒸留で除いた。つぎに
浴温135℃で内部の温度120±3℃に保ち40分間
に3−クロロ−2−(クロロメチル)−プロペン(I
V)2.5Kgを秤量しながら加えた。同時にこの条件
下で揮発性の成分を1013ミリバールの圧力下で30
cmの充填カラムの上から蒸留でとり出した。その後そ
の混合物をさらに4時間反応を続けさせ、そして残りの
揮発性成分を20ミリバールの圧力下で蒸留でとり出し
た。こうして得られた粗生成物を1013ミリバールの
圧力下でカラムを用いて分留した。沸点61〜64℃で
純度97.4%(ガスクロマトグラフィーによる)の化
合物(I)1.01Kgが得られた。
【0031】実施例 10 反応時間、溶媒、反応混合物中の濃度比、およびフルオ
ル化剤と出発物質とのモル比を変えて、実施例1の方法
をくりかえした。すべての実験は還流温度で実施した。
いずれの場合にも1モル(125g)の3−クロロ−2
−(クロロメチル)−プロペン(IV)を用いた。得ら
れた粗溜出物の組成はガスクロマトグラフィーによって
しらべた。その結果は次の表1に示されている。
【0032】
【表1】

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次式 【化1】 によってあらわされる化合物、3−フルオロ−2−(ク
    ロロメチル)−プロペン。
JP6309441A 1986-03-13 1994-11-21 3−フルオロ−2−(クロロメチル)−プロペン Expired - Lifetime JP2572953B2 (ja)

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DE19863608380 DE3608380A1 (de) 1986-03-13 1986-03-13 Verfahren zur herstellung von 3-fluor-2-(fluormethyl)-propen und die neue verbindung 3-fluor-2-(chlormethyl)-propen

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