JP2572869B2 - 金属圧延形状調整装置 - Google Patents

金属圧延形状調整装置

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JP2572869B2 JP2062220A JP6222090A JP2572869B2 JP 2572869 B2 JP2572869 B2 JP 2572869B2 JP 2062220 A JP2062220 A JP 2062220A JP 6222090 A JP6222090 A JP 6222090A JP 2572869 B2 JP2572869 B2 JP 2572869B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、金属ロール圧延機に係り、更に詳しくは、
金属の表面形状を制御する形状制御部において、制御ゲ
イン若しくは目標形状データを調整することにより、前
記表面形状の調整を行う金属圧延形状調整装置に関す
る。
〔従来技術〕
第19図に本発明の背景の一例となるアルミ箔圧延用の
ロール圧延機2を示す。アルミ箔圧延において、入側コ
イル50に巻かれた幅約700〜1700mm,厚さ数μm〜数百μ
mの原料アルミ箔51は、約300〜1200m/minの速度で一対
の圧延ロール52により圧延されて、その厚さが約1/2〜1
/3に減ぜられる。そして、圧延されたアルミ箔53は、出
側コイル64(第1図)の駆動軸の回転駆動によって生じ
た一定の張力により矢印K方向に搬送され、前記出側コ
イル64に巻取される。
例えば、厚さ数百μmの原料アルミ箔51を最終的に厚
さ数μmのアルミ箔53に圧延する場合には、圧延工程が
数回繰り返されることになり、この圧延回数はパス回数
と称せられる。
上記したようなミクロン単位の金属圧延において、ア
ルミ箔53は、第20図に示すように、その厚さが同じであ
るにも拘わらず、箔幅方向(矢印L)に関して“伸びて
いる”部位と“張っている”部位が顕著に存在する。即
ち、伸び部位54は、アルミ箔53の搬送方向(矢印K)に
沿って山部56と谷部57が形成され、張り部位55は概して
平坦な形状を有している。従って、図中に示すアルミ箔
53は、箔幅方向(矢印L)の中央部が伸び、その端部が
張っている状態である。
このような箔幅方向(矢印L)の伸び具合、張り具合
の分布を、以下アルミ箔53の表面形状若しくは実形状と
呼称する。前記表面形状は、箔製品の品質に多大な影響
を与え、場合によっては張り部位55に大きな張力がかか
り箔破断の原因となる。又、伸び部位54は皺発生の原因
となる。そして、最終製品としてのアルミ箔53に関し
て、伸び・張りが一様に生じた平坦な形状が望まれるの
は当然であるが、各パス毎に必ずしも平坦な実形状であ
るものではなく、途中のパスにおけるアルミ箔53はその
形状が多種多様なものとなる。
上記したようなアルミ箔53の方面形状は圧延ロール52
の形状を変化させることにより制御され得る。前記圧延
ロール52は、第19図乃至第21図に示すように、圧延中の
発熱及びその熱伝導特性に起因して、熱クラウンと呼ば
れる膨みを生ずる。第21図に示した例は、クォータ部a
が膨んでいる場合である。このような膨み部、即ち熱ク
ラウンは、その出現場所及び膨み度合によってアルミ箔
53の表面形状を変化させる。即ち、圧延ロール52の熱ク
ラウンの膨み度合が大きな部位にて圧延されたアルミ箔
53は、その圧延部位が伸び状態となる。従ってアルミ箔
53の表面形状は、圧延ロール52を冷却するために圧延ロ
ール52に向けて噴射されるクーラント58(第1図)の温
度若しくは噴射量をアルミ箔53の幅方向(矢印L(第20
図))に変化させることによって制御され得る。クーラ
ントは通常,上記のように圧延ロール52に噴射される冷
却媒体のことを言う。
このようなアルミ箔53の形状制御は、ロール圧延機2
に隣設された形状制御部3によりなされる。即ち、前記
形状制御部3は、圧延ロール52の出側に回動自在に設け
られ、箔幅方向(矢印L)に36個に分割されたエレメン
ト4eよりなる検査ロール4から、アルミ箔53の伸び・張
りの実形状データが入力される。各エレメント4eには、
それぞれ1の圧電素子(不図示)が埋設され、エレメン
ト4eの外周面にかかる圧接力を検出するセンサとして働
く。
そして、エレメント4e上に押付けられ、一定の張力に
より搬送方向(矢印K)に引かれているアルミ箔53は、
その伸び部位54がエレメント4e上を通過したときのエレ
メント4eに対する圧接力は小さく、逆に張り部位55が通
過したときは大きく検出される。
そこで、アルミ箔53の実形状は、第21図に示すよう
に、各エレメント4eから検出された圧接力データを換算
した伸び率の幅方向の分布(実形状データ)として表さ
れる。図示の場合には、圧延ロール52のクォータ部aが
膨みすぎているのでその部位の冷却を促し、圧延ロール
52の中央部及びその両端部に蓄熱させるように、目標形
状が設定されている。
前記形状制御部3は、前記実形状データと予め入力さ
れた目標形状データとを比較演算し、実形状データの方
が伸び率の高いエレメント4eに対応する圧延ロールの部
位に向けて、噴射されるクーラント58の量を増加させ
る。上記クーラント58は、圧延ロール52の入側に配設さ
れるとともに、箔幅方向(矢印L)に分割して噴射させ
るようになした噴射管59から噴射される。
それにより、圧延ロール52の熱クラウンが緩和され、
クォータ部aに対応するアルミ箔53の部位は、張り状態
に向けて変形する。また、実形状データの方が伸び率が
低い場合には逆の操作がなされる。尚、前記目標形状デ
ータは、圧延ロール52のクォータ部aの冷却を促進させ
るように、その部位に対応するエレメント4eから得られ
る伸び率0に設定されることが多い。
前記したように、箔圧延では複数回の圧延(パス)を
繰り返して最終製品を得る。何パス目にどの程度の厚さ
又は表面形状にして最終製品を得るかという計画を操業
方針と呼ぶ。この操業方針は、上記最終製品を伸び・張
りの一様な平坦な形状に仕上げるために、途中のパスに
おける伸び・張りの目標形状を厚さの目標と共に定めた
ものである。
実際の操業においては、上記のような途中のパスにお
ける伸び・張りの分布は異なる。これは、前記のように
圧延ロールに熱による変形(熱クラウン)といった操業
条件が各パス毎に異なるためである。そのため、このよ
うな実際の操業条件のうち、ある程度予想される操業条
件を加味して各パスにおける伸び・張りの目標形状を定
めたものが上記操業方針である。
しかしながら、上記のような操業方針上の伸び張りの
目標形状と上記形状制御部3による実際の伸び・有りの
目標形状、即ち目標形状データとは一致しないことが多
い。例えば、あるパスのロール圧延機で、ある材料を第
22図の破線のような操業方針上の目標形状を目標として
圧延する時、実際の上記形状制御部3に設定する目標形
状データを実線で示すように設定して好結果を得る場合
がその例である。
従って、それらを解決すべく、第23図のフローチャー
トに示すように、目標形状を調整する手法が従来より開
発されている。それによれば、先ず、現時点におけるア
ルミ箔53の実形状データが検査ロール4の各エレメント
4eから個々に採取される(ステップS30)。
そして、ステップS31において、現在のアルミ箔53の
圧延状態、言い換えればアルミ箔53の実形状が、予めパ
ターン分類された実形状分類項目に分類され、その程度
が同時に判断される。例えば、第24図(a)乃至同図
(f)に示すように、「端伸び」,「端張り」,「クォ
ータ伸び」,及び「中伸び」といった実形状分類項目に
特定され、その程度がレベル数で表わされる。尚、前記
レベル数は値が大きい程その傾向が大であることを示
す。
続いて、第23図のステップS32において、所望の実形
状を得るように、特定された実形状分類項目データ及び
そのレベル数に応じて、目標形状データが変更調整さ
れ、形状制御部3へ出力される。
〔発明が解決しようとする課題〕
上記したようなロール圧延機2においては、同一の条
件にて圧延中であっても、アルミ箔53の表面形状は、一
定の傾向を持ちながら変化する場合がある。例えば、圧
延ロール52の両端が熱を持ち始めると、第21図に示すよ
うに、圧延ロール52の両端部に熱クラウンと呼称される
膨み部位aが出現したり、その膨み度合が増大し始める
ことから、アルミ箔53の表面形状は端伸び傾向となるこ
とがある。
このような、表面形状の変化傾向には表−1に示すも
のがある。
例えば、現在の表面形状が「端伸び」と特定され、そ
の程度がレベル3であった場合に、表−1中の(1)項
に示される傾向にある場合と、同(2)項に示される傾
向にある場合とでは、将来的に対応すべき目標形状の調
整方法は異なって然るべきである。又、同(3)項に示
される傾向にあれば、表面形状を制御する形状制御部3
に与えられる目標形状データを設定する際の制御ゲイン
を減少させる必要がある。ここに「レベル」とは、端張
り,端伸び等の実形状分類項目で特定される形状特性の
程度であり、自然数0〜5の6段階で示される。
ところが、従来の形状制御部3では、ある1の時点に
おける実形状の判断結果のみに基づいて目標形状や制御
ゲインの調整がなされていることから、場合によって見
当違いの制御が行われ上記したような表面形状の変化傾
向を加味した適切な制御を常に行うことは可能でなかっ
た。
従って、本発明の第1の目的とするところは、ロール
圧延機の圧延特性が大きく変化しても、それにより生ず
る金属の形状の変化傾向を把握することが可能で、前記
変化傾向を予測した上で該変化傾向及び最新の実形状情
報に基づいて前記形状を精度良く調整することのできる
金属圧延形状調整装置を提供することにある。
他方、現時点における実形状データ及び該実形状デー
タから演算により導出される形状の変化傾向のみによっ
て全ての圧延状態を表現し得ない場合がある。即ち、定
期的にデータ採取を行い過去数種類の時刻における実形
状データを用いなければ求めることのできない統計的特
性情報、例えば、先に述べた採取データの変化傾向、或
いは平均,分散,データ間の相関,3次元パターン認識等
が数多く存在する。そして、このような統計的特性情報
もアルミ箔53の表面形状の調整を行う上で重要となる。
従って、本発明の第2の目的とするところは、金属の
形状の過去の統計的特性情報を演算し該統計的特性情報
に基づいて前記形状を精度良く調整することのできる金
属圧延形状調整装置を提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
上記第1の目的を達成するために、本発明が採用する
第1の手段は、その要旨とするところが、ロール圧延機
により伸展された帯状の金属の幅方向における形状を制
御する形状制御部に目標形状データを与えて前記形状の
調整を行う金属圧延形状調整装置であって、圧延された
金属の実形状データを検出するセンサと、前記実形状デ
ータを定期的に採取し格納するサンプリング手段と、前
記実形状データから所定時間内の前記形状の変化傾向を
演算する形状変化傾向演算手段と、前記変化傾向及び最
新の実形状情報に基づいて最新の目標形状データや制御
ゲイン等を決定し、これに基づいて前記形状の調整を行
う第1の形状調整手段とを具備してなる点に係る金属圧
延形状調整装置である。
又、上記第2の目的を達成するために、本発明が採用
する第2の手段は、その要旨とするところが、ロール圧
延機により伸展された帯状の金属の幅方向における形状
を制御する形状制御部に目標形状データを与えて前記形
状の調整を行う金属圧延形状調整装置であって、圧延さ
れた金属の実形状データを検出するセンサと、前記実形
状データを定期的に採取し格納するサンプリング手段
と、該サンプリング手段に格納された実形状データから
所定時間内の前記形状の統計的特性情報を演算する統計
的特性情報演算手段と、前記統計的特性情報及び最新の
実形状情報に基づいて最新の目標形状データや制御ゲイ
ン等を決定し、これに基づいて前記形状の調整を行う第
2の形状調整手段とを具備してなる点に係る金属圧延形
状調整装置である。
ここで、前記実形状データとは、センサからの出力値
であってもよいし、下記の実施例に示したような伸び/
張りの形状を表す概念であってもよい。
〔作用〕
第1の発明によれば、ロール圧延機により金属を圧延
する際に、金属の幅方向における形状は、形状制御部が
金属圧延形状調整装置から自動若しくは手動にて与えら
れた目標形状データに基づいて、例えば圧延ロールを冷
却するクーラント等の制御をなすことにより、その制御
が行われる。このとき、金属圧延形状調整装置は、ロー
ル圧延機側のセンサから検出された例えば伸び・張りと
いった実形状(形状)データがサンプリング手段により
定期的に採取されるとともに格納される。そして、形状
変化傾向演算手段により、所定時間内における実形状の
変化傾向及び最新の実形状情報がサンプリング手段に格
納された実形状データから演算される。更に、第1の形
状調整手段は、前記変化傾向及び最新の実形状情報に基
づいて、目標形状を設定する際の制御ゲイン若しくは形
状制御部へ与える目標形状データを調整することにより
前記形状を精度良く調整する。
更に、第2の発明によれば、前記第1の発明において
実形状データがサンプリング手段に格納された後、統計
的特性情報演算手段が前記実形状データから前記形状に
係る過去の所定時間内の統計的特性情報、例えば平均
値,分散,相関等を演算する。無論、前記形状の変化傾
向を演算することもできる。そして、第2の形状調整手
段が前記統計的特性情報に基づいて金属の形状を調整す
る。それにより、最新の実形状情報のみであれば前記形
状を適切に調整しきれないような場合でも、当該形状の
調整を精度良く行うことができる。
〔実施例〕
引き続いて、添付した図面を参照して、本発明を具体
化した実施例につき説明し、本発明の理解に供する。
ここに、第1図は本発明の一実施例に係るアルミ箔圧
延形状調整装置のシステム配置を示す概要図、第2図は
同アルミ箔圧延形状調整装置の処理フローを示す構成
図、第3図(a)は箔幅方向における伸び率分布で表さ
れた実形状データの主要部位を示す説明図、第3図
(b)はパターン分類されたアルミ箔の実形状分類項目
を示す説明図、第4図(a)は実形状データの変化傾向
を判断するための処理手順を示すフローチャート、同図
(b)は実形状分類項目のレベル数を形状変化傾向を加
味して補正するアクションを示す説明図、第5図(a)
及び同図(b)は2つの実形状分類項目のレベル数の相
関関係を示すグラフ、第6図はアルミ箔の実形状データ
の経時変化による3次元パターンを示す3次元グラフ、
第7図はニューラルネットワークを概念的に示す模式
図、第8図は実形状分類項目に対する形状変更目標とそ
れに対応するアクション候補との関係例を示す説明図、
第9図は形状変更目標の重要度と実形状分類項目が端張
りである時の確信度との関係を示すグラフ、第10図はア
クション候補推論部で推論に用いられるルールとそれを
用いて目標形状を変化させた例を示す説明図、第11図は
適用されようとするアクションの妥当性をチェックする
ルーチンの処理手順をチェック木により示した説明図、
第12図(a)は目標形状を変更させるために用いられる
目標形状調整パラメータを示す説明図、同図(b)は前
記パラメータのa3の状況変化を示す状態図、同図(c)
は前記パラメータのa4によって調整される目標形状の中
央部が順パターンである状況を示す状態図、同図(d)
は前記中央部が逆パターンである状況を示す状態図、第
13図は目標形状を変更させるための推論実行例を示す概
略説明図、第14図は目標形状調整の処理フローを示すフ
ローシート、第15図は圧延機側端末機の画面へ表示され
た入力メニューを示す表示図、第16図は前記画面へ表示
された目標形状例を示す表示図、第17図は非対称に得ら
れた実形状を修正する方法を示したフローシート、第18
図は前記非対称の実形状を修正する状況を示した概略説
明図である。
尚、下記の説明中、第19図乃至第21図に示したロール
圧延機2と共通する要素には、同一の符号を使用してそ
の説明を省略する。
又、下記する実施例は、本発明を具体化した一例に過
ぎず、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではな
い。
本実施例に係るアルミ箔圧延形状調整装置1は、オペ
レータの制御ノウハウをシステム化したエキスパートシ
ステムとしてプロセスオンライン制御に適用したもので
ある。このシステムの詳細な説明に先立ち、上記アルミ
箔圧延目標形状調整装置1のシステム構成の概略につき
第2図を用いて説明する。
上記アルミ箔圧延形状調整装置1は、図中に示すよう
に、圧延データ収集部7、圧延状況解析部8、制御目標
生成部9、アクション候補推論部11、目標形状生成部12
及びアクション効果評価部10から主として構成され、操
業上の知識を格納した圧延状況解析知識ベースD1,制御
目標設定知識ベースD2及びアクション推論知識ベースD3
(ルールの整合性・アクションの妥当性維持知識含む)
と、各種データを一時的に格納する作業メモリM1,M2,
M3,M4,M5とを備えている。上記各部における処理内容の
概要を以下に説明する。
上記アルミ箔圧延形状調整装置1では、先ずアルミ箔
圧延機2側の端末機6からのキー入力により推論処理が
起動され、アルミ箔圧延機2からの操業条件データが形
状制御部3を介して入力される。
圧延データ収集部 圧延データ収集部7は、形状制御部3からの実形状デ
ータを含む操業条件データを受信し作業メモリM1へ書き
込む。
圧延状況解析部 圧延状況解析部8は、上記実形状データを解析し、ア
ルミ箔53の圧延状態を判断する。即ち、上記実形状デー
タが、予め数種類のパターンに分類され圧延状況解析知
識ベースD1に格納されている実形状パターンにそれぞれ
どの程度適合しているかを判断する。
同時に現在の目標形状データを解析する。
制御目標生成部 制御目標生成部9は、圧延状況解析部8による実形状
データの解析結果及びオペレータ5による端末機6から
の入力に基づいてアルミ箔53の実形状をどういう方向に
変化させるかの制御目標を設定する。
アクション候補推論部 −(1)ルール推論 アクション候補推論部11は、上記制御目標及び操業条
件等を条件部とし上記制御目標を実現するためのアクシ
ョン等を結論部とするIF−THEN型式の、アクション推論
知識ベースD3に格納されたルールを適用したルール推論
により、妥当であると判断したアクションを作業メモリ
M5に書込む。この書込みの際に、以下の処理が実行され
る。
−(2)矛盾・冗長性の解消 相矛盾するアクション候補が挙げられた場合、より重
要とされる制御目標のアクションを適用する。
−(3)無効アクションの学習 上記ルールにおいて、ある制御目標に対し複数のアク
ション候補が存在する場合には、上記アクション候補に
優先順位を与えておき、該優先順位が最高位のアクショ
ンのみを適用する。ある制御目標を実現するために実行
され効果のなかったアクションは、次回に同じ制御目標
が設定されても繰返し適用されない。
目標形状生成部 目標形状生成部12は、上記適用されたアクションに基
づいて新たな目標形状データを生成し、形状制御部3に
出力する。この目標形状データに基づいて形状制御部3
がアルミ箔圧延機2を制御する。
アクション効果評価部 アクション効果評価部10は、適用されたアクションに
基づくアルミ箔圧延機2の制御が有効であったか否か
を、データ解析の結果及びオペレータ5への問合わせに
より評価する。このとき、無効であると評価されたアク
ションは、作業メモリM4に記憶され、アクション候補推
論部11における次回のアクション候補推論時に参照され
る。
以下、本実施例につき詳述する。
上記アルミ箔圧延形状調整装置1は、第1図及び第2
図に示すように、アルミ箔53の実形状を調整するように
クーラント58の噴射量、若しくは温度を制御する形状制
御部3にその制御の目安となる目標形状データを出力す
ると共に、形状制御部3から操業条件データが入力され
る。
アルミ箔53の実形状を調整する方法としては、他に上
側の圧延ロール52に向けて下側の圧延ロールを上方に付
勢する押上ロール60(いわゆるバックアップロール)の
押上力を制御する方法もあり得るが、本実施例では、以
下、クーラント58の制御に関してのみ説明する。
操業条件データの収集 前記アルミ箔圧延形状調整装置1において、検査ロー
ル4は、圧延時点におけるアルミ箔53の伸び部位54及び
張り部位55(第20図)を示す実形状データを検出するセ
ンサを備えたエレメント4eの集合体として、圧延ロール
52の搬送方向(矢印K)下流側に設けられ、形状制御部
3を介して前記実形状データを含む操業条件データを1
分間毎に圧延データ収集部7(第2図)に出力する。前
記圧延データ収集部7は、形状制御部3から所定時間間
隔毎に転送される操業条件データ(表−2)の作業メモ
リM1に履歴的に書き込み 更新するとともに、圧延状況解析部8を起動させる。即
ち、前記圧延データ収集部7及び作業メモリM1が前記サ
ンプリング手段の一例である。
実形状データの解析 エレメント4e(センサ)より検出された実形状データ
から、圧延中のアルミ箔53の伸び状態や張り状態(それ
ぞれ実形状分類項目)及びそれらの程度を演算するため
の圧延状況解析知識ベースD1は、第3図(b)に示すよ
うに、例えば「端張り」〜「おたふく伸び」といった実
形状分類項目と、前記エレメント4eから検出され、実形
状を示す実形状データに対応する、前記実形状分類項目
を特定するための各項目毎の特定プログラムとを格納し
ている。
ここで、先に実形状分類項目の特定手法について説明
する。エレメント4eから張力分布として検出された実形
状データは、第3図(a)に示すように、箔幅方向にお
ける伸び率分布の形で得られる。図中に示す実形状デー
タは、外側から端部,クォータ部,中央部A,及び中央部
Bからなり、更に中央部Aと中央部Bより中央部全体が
構成されている。そして、この場合には張り部位55が中
央部Bに、又伸び部位54が両側のクォータ部に位置して
いる。
上記圧延状況解析知識ベースD1に格納された実形状分
類項目は、第3図(b)に示すように、下記するような
主に5つのタイプに分類されている。
(1)「端張り」…端部の伸び率が端ほど低い値を示す
とき、端張りと考えられ、 端部の値が全体の最小値であるかどうか。
端部とクォータ部との伸び率差の程度 によって判断される。
(2)「端伸び」…端張りの場合とは逆に、端部の値が
他の部位と比べて著しく大きな場合を言う。このように
ある程度端が伸びている実形状が好ましい場合が多い
が、伸びすぎている場合は問題形状と見なされる。
(3)「クォータ伸び」…目標形状において設定された
零点に対応する部位近辺で最も伸びている部位の伸び率
値が端部のものと比べてどの程度大であるかで判断され
る。ここに零点とは第12図(a)に示すように、「設定
された目標形状において伸び率が0と設定される位置」
のことである。上記したように、クォータ部における実
形状が最も伸びやすく、実際上の実形状においては殆ど
このタイプのものが出現する。
(4)「中張り」…中央部の張り状態(伸び率の低さ)
と端部のものとが比較判断される。
(5)「中伸び」…中央部の最も伸びている部位の伸び
率値と全体で最も伸びている部位(殆どの場合、端部又
はクォータ部である)のものとの差が小であるか、又は
負ならば中伸びと判断される。中伸びには、 中央部が伸びている一般的な中伸び クォータ部〜中央部間が伸び、中央部が張っているお
たふく伸び の2種類に分類される。
その他の特異な実形状分類項目として、下記「非対
象」,「零点不適切」がある。
「非対象」…通常、目標形状は箔幅方向に左右対称であ
って、実形状は概ね前記左右対称であるが、この対称性
が崩れた形状を非対称な形状と呼ぶ。その判断基準とし
ての、 左右両端部における最大値の伸び率差若しくは最小値
の伸び率差が大である。
一方の端部が端張り、他方が端伸びと特定される。
の何れかが成り立つ場合に非対称と見なされる。もちろ
ん、何れもが成立する場合がある。
「零点不適切」…目標形状において設定された零点の部
位と実形状における伸び率最大値を示す部位とが一致し
ていない場合をいう。通常、圧延ロール52のクォータ部
aには熱がたまりやすく、前記クォータ部aに対応する
実形状のクォータ部は最も伸びやすくなっている。そこ
で、目標形状を設定する際には、実形状のクォータ部の
最も伸びている部位に、零点が設定される。そして、こ
れらの部位がずれている場合には、一致させるように調
整する必要がある。
検出された実形状データから、現在の形状状態がいず
れの実形状分類項目に該当するかは、第3図(b)の
「特定方法」の項に示した手法に従って判断される。か
かる手法は前記したように圧延状況解析知識ベースD1
プログラムとして格納されている。
上記したように、作業メモリM1から入力された実形状
データの原因となる1又は2以上の実形状分類項目が前
記圧延状況解析部8において、前記特定プログラムによ
り演算される。
通常、ある実形状がその状態にあると判断される実形
状分類項目が1つのみ選択されるとはかぎらない。実形
状データは複雑にからみ合った操業条件の結果として得
られるものであるから、複数の実形状分類項目の状態に
あると判断される場合が多い。その場合、実形状データ
との因果関係の強い実形状分類項目と弱い分類項目があ
る。このような因果関係の強弱、即ち形状状態の程度を
確信度と呼称する。
上記圧延状況解析部8は、前記実形状データを、適宜
の関数で導き出されるある確信度において1若しくは2
以上の実形状分類項目に絞り込み、該実形状分類項目及
びその確信度を作業メモリM2へ記憶させる。例えば、ア
ルミ箔53が載置された端部から4つのエレメント4eより
入力された実形状データの範囲内で、最も伸び率の高い
部位と端との伸び率差αと実形状データ全体における
伸び率の最大値と最小値の差βとの比β2が所定
の設定値を超えた場合に、この時の実形状には、実形状
分類項目“端伸び”が含まれていると解釈され、前記比
の値に大じて0から1までの確信度が付加される。他の
実形状分類項目についても同様である。
この場合、前記作業メモリM1からの過去所定時間内の
実形状データに基づいて、ロール圧延機2の系統的特性
情報、例えば平均,変化傾向,分散,相関,3次元パター
ン認識等を演算し、当該統計的特性情報に基づいて、即
ち該統計的特性情報を前記確信度の変数として用い、前
記実形状分類項目毎の確信度を演算するようにしてもよ
い。
例えば、ある時点における実形状が、何らかの理由で
その前後の時点における実形状と極端に異なることがあ
る。具体的に言えば、圧延前の原料板形状の異常が原因
となり、「端張り」の実形状が継続している時に一瞬だ
け「端伸び」の状態が検出され、その後元の「端張り」
の状態が続くような場合である。
そこで、前記ある時点までの過去数時点における実形
状データの統計的特性情報の内、平均値を適用すれば、
上記したノイズ要素に適用されることなく、趨勢の圧延
状態を判断することができる。
次に、過去所定時間内における実形状データの変化傾
向を前記統計的特性情報として採用した場合につき、以
下詳述する。この傾向の演算は、例えば第4図(a)に
示すフローチャートの処理手順に従って演算される。ア
ルミ箔53の圧延運転に際し、ロール圧延機2側の検査ロ
ール4から得られたアルミ箔53の実形状データが圧延デ
ータ収集部7により所定時間間隔毎に採取される(S4
0)。
次に、前記実形状データは、圧延状況解析部8におい
て、前記実形状分類項目と比較され、ある実形状分類項
目として特定され、その度合が自然数0〜5で示す前記
レベル数で表される。即ち、アルミ箔53の圧延状態が判
断される(S41)。
例えば、アルミ箔53が押し付けられた端部から順に4
つのエレメント4eより入力された実形状データの範囲内
で、最も伸び率の高い部位と端との伸び率差αと実形
状データ全体における伸び率の最大値と最小値の差β
との比β2が所定の設定値を超えた場合に、この時
の実形状には、実形状分類項目「端伸び」が含まれてい
ると判断され、前記比の値に応じて「端伸び」の度合が
自然数0〜5で示す前記レベル数で表わされる。
更に、ステップS42において、時刻Tにおける実形状
データに対し、−5点から+5点までの形状点数Htが決
定され、所定時間内の形状点数Htを格納する図示せぬ記
憶部に記憶される。上記形状点数Htは、後述する形状点
数差Hdと共に、現在の形状及びその変化傾向を網羅的に
表現するものである。即ち、圧延中に生じた箔の1形状
に対して、形状点数Htは複数個存在することになる。つ
まり、端部(の伸び,張り)に関するもの、中央部(の
伸び,張り)に関するもの、クォータ部の伸びに関する
もの、おたふく伸びに関するもの、零点不一致に関する
もの、左右不対称に関するものの計6種類の形状点数が
存在する。これを例えば,Ht1,Ht2,Ht3,…Ht6で表現す
る。ここにHt1,Ht2は伸び状態と張り状態とがあり、伸
び側をプラスとして−5から+5の値となる。例えば端
伸びのレベルが5の時,Ht1=5,端張りのレベルが3の時
Ht1=−3,端張りでも端伸びでもない場合にはHt1=0と
なる。上記Ht1,Ht2以外のHt3,…Ht6の値は、0から+5
の間の値となる。当然ながら,複数の値が0以外となる
場合も生じる。また,形状点数差Hdは、現在の変化傾向
とその程度をレベル値(+5〜−5)で表したものであ
る。従って,上記6種類の形状点数Hti(i=1〜6)
に対してそれぞれ形状点差Hdi(1〜6)が存在する。
つまり、端部,中央部,クォータ部伸び,おたふく伸
び,零点不一致及び左右不対称の状態が安定しているの
か,増加傾向にあるのか,減少傾向にあるのかを判断す
ることが出来る。またこの形状点数差の時間的傾向によ
って周期的変動傾向があるのかといった統計的処理も可
能である。このように,形状点数Ht及び形状点数差Hd
よって現在形状及びその変化傾向を十分に記述すること
ができる。
これは、オペレータ5が実形状データを任意の実形状
分類項目に特定する際の経験的な取扱い方法を具現化
し、例えば端末機6に表示された場合にオペレータ5が
理解しやすいように、ある実形状データが適合する、実
形状分類項目の確信度と該実形状分類項目と伸び・張り
状態が相反する実形状分類項目の確信度とを0を中心と
した正負の自然数よりなる両座標として変換したもので
ある。
例えば、実形状分類項目が、「端伸び」であってその
度合がレベル5であれば、形状点数は+5点とし、レベ
ル1であれば+1点とする。又、「端張り」でレベル5
のときは−5点とし、レベル1であれば−1点とする。
「端伸び」及び「端張り」に該当しなければ0点とす
る。
そして、オペレータ5の要求によるロール圧延機2側
の端末機6からの入力によって又は圧延状況解析部8か
らの入力により、目標形状を変更調整する必要があれば
(S43)、ステップS44において、現在までの所定時間内
の実形状の変化傾向が演算される。即ち、ステップS44
に示す形状変化傾向を演算する機能を実現するのが形状
変化傾向演算手段である。
例えば、時刻Tにおける形状変化傾向は、過去iの形
状点数Ht-i+1,…,Htから演算される。ここでは、過去10
個の形状点数Ht-9,…,Htから演算された例を示す。先
ず、形状点数Ht-9,…,Htの内の最大値と最小値から次式
に示す形状点数差Hdが求められる。
Hd=max(Ht-9,…,Ht) −min(Ht-9,…,Ht) その時、該形状点数差Hdが2以下の場合には、アルミ
箔53の実形状は安定した状態であって、形状変化傾向が
認められないと判断される。
Hdが3以上の場合には、先ず実形状が周期的な変化状
態であるかが判断される。例えば、形状点数Ht-9,…,Ht
の間で形状点数が増加する方向へ変化した回数をH+
し、減少する方向へ変化した回数をH-とすると、次式に
示すように、 |H++H-|≦3,且つ 3≦Hd≦4 即ち、H+とH-の差の絶対値が3以下で且つ前記形状点
数差Hdが3以上4以下の場合に、実形状が周期的変化傾
向にあると判断される。
そして、Hdが2以上であって上式以外の場合には、形
状変化傾向が認められるものとされ、いかなる傾向にあ
るかが判断される。例えば、現時点における形状点数Ht
と過去10点目の形状点数Ht-9とが比較される。
即ち、表−3に示すように、HtがHt-9より も大きな値を示すときは端が伸びつつある伸び傾向を示
し、逆に小さな値を示すときは、端が張りつつある張り
傾向であると判断される。更に、HtとHt-9とが等しい場
合には、実形状が安定していると判断され、後述する実
形状分類項目のレベル数補正ステップ(S45)を迂回し
て処理される。
そこで、例えば時刻Tにおける形状変化傾向が「端伸
び傾向」にあって、その時点の実形状分類項目が「端伸
び」と特定され、そのレベル数が3であった場合には、
第4図(b)に示すように、その時の実形状分類項目の
レベル数に対し、レベル数を2増加させる補正アクショ
ンがなされる(S45)。これは、将来的な形状制御を為
す上で、現時点での形状判断と形状変化傾向とを併せて
考慮すれば、上記した例におけるレベル3は不適正であ
って、現実的には「端伸び」の程度はほぼレベル5(端
伸びが急速に進行している状態)に匹敵すると考えられ
るからである。
従って、第4図(a)中のステップS47において、上
記したようち特定された最新の実形状分類項目と補正後
のレベル数に基づいて、所望の実形状を得るように、目
標形状データが変更調整され、形状制御部3へ出力され
る(S48)。
一方、ステップS44において、実形状が周期的変化傾
向にあると判断された場合には、目標形状データを変更
調整する際の制御ゲインが3割減少されて与えられる
(S46)。それにより、実形状の周期的変化傾向が抑制
される。即ち、ステップS45,S46,S47,S48の機能を実現
する手段が形状調整手段である。
一方、前記統計的特性情報として分散を適用すると、
例えば時間的変化によるアルミ箔53の端の形状に係る実
形状データの分散の度合から圧延状態を判断することが
できる。即ち、前記分散の度合が大きい場合は圧延状況
が不安定であることを示している。そこで、このような
場合は、前記形状制御部3により圧延状態を安定化させ
るための次の(i),(ii)に示す制御アクションが実
行される。
このとき、 (i)クーラント量の制御ゲインを低めに変更設定す
る。
(ii)圧延ロール52が充分温められていないことが考え
られるので、クーラント量を全体的に低下させるか或い
は目標形状の伸び率を全体的に上昇させる。
又、前記特性情報が相関である例として、クォータ伸
びのレベルと端張りのレベルとの相関関数を第5図
(a)に示す。この時、前記両者の関係は正の相関にあ
ると言うことができ、クォータ伸びと端張りとが同時に
発生しやすい状態にあることを示している。
そして、このような場合、端張りを解消するために端
部のクーラント量を減じるといった形状調整手法は有効
とならないことが経験的知識として得られている。他
方、前記両者の関係が、第5図(b)に示すように、無
相関である場合、前記正の相関の場合に講じられた形状
調整手法が有効となるという知識を得ているため、当該
形状調整手法により実形状の調整が行われる。
更に、前記統計的特性情報として実形状データに係る
3次元パターンの認識によることもできる。前記3次元
パターンPを第6図に示す。図中において、2点鎖線で
示す矢印Mは、各時刻t0〜t6における伸び率が最大値を
検出したエレメント4eの時間的位置推移を示している。
図示の如く、前記伸び率最大のエレメント4eは箔幅方向
数個のエレメント4eの幅内で蛇行している。このような
状態であれば、現在最大に伸びている部位のみでなく、
当該部位を含め前記数個のエレメント4eの幅内に対応す
る圧延ロール52に等しく集中的に、クーラント58を噴射
しなければならない。これは、現在最大に伸びている部
位にのみクーラント58を噴射しても、伸び部位が隣接部
位に移動するにすぎないからである。このような3次元
パターンPで表され、“実形状の伸び状態の部位が時刻
によって蛇行している。”といった内容の統計的特性情
報は、もちろん前述した第4図(a)にフローチャート
で示す数値計算アルゴリズムによっても判断され得る
が、アルミ箔53の実形状データのパターン認識を行うニ
ューラルネットワークによる認識手法が有効である。
当該ニューラルネットワーク20は、第7図に示すよう
に、閾値処理により入力データを演算し出力する複数の
ニューロン15が、入力層,中間層,出力層として概念上
配置され、それぞれの層間が連結部16を介して連結され
ている。そして、ニューラルネットワーク20は、アルミ
箔53の実形状データのパターンデータを入力データと
し、実形状分類項目およびその度合を出力データとして
用い、前記両者の対応関係が前記連結部16の連結重みを
変更することにより学習される。そこで、前記学習済の
ニューラルネットワーク20に新たな実形状データを入力
すると、当該実形状データは前記何れかの実形状分類項
目にその度合と共に特定される。このようなニューラル
ネットワーク20を前記圧延状況解析部8において適用す
ればよい。
ここでは、アルミ箔53の実形状状態を判断する演算手
法として、実形状分類項目毎に決められた特定方法によ
る数値演算例を主に示したが、前記ニューラルネットワ
ーク20による判断、若しくはこのような判断知識を格納
したルールベース(図外)に基づく判断によっても同様
の演算効果が得られることは言うまでもない。即ち、前
記圧延状況解析部8において実形状データの統計的特性
情報を演算する機能を実現するのが統計的特性情報演算
手段である。
尚、前記作業メモリM1から圧延状況解析部8に入力さ
れた演算に供される実形状データは、前記所定時間内の
一時点における一種のデータの値、若しくは一時点にお
ける数種のデータの値、若しくは数時点における一種類
のデータの値、若しくは数時点における数種のデータの
値の何れかであっても構わず、演算に必要なデータを適
宜用いればよい。
このように、圧延状況解析部8では、アルミ箔53の現
在の実形状データに対する実形状分類項目及びその確信
度が確定され、作業メモリM2へ書き込まれる。
制御目標の生成 そして、目標形状を適切に設定あるいは変更させる際
の鍵となる制御目標データ(形状変更目標(第8図)及
びその重要度)は、制御目標生成部9において、オペレ
ータ5によりロール圧延機2側の端末機6から入力され
るか、又は前記作業メモリM2内の実形状分類項目及びそ
の確信度等の圧延状況データに基づいて自動的に生成さ
れる。この自動生成にあたっては、「操業方針(“所定
のパスでは端を大きく伸ばして圧延する”など)を反映
する」、或いは「オペレータ5の入力によるものと自動
生成されたものとが矛盾する場合には、オペレータの入
力情報を優先させる」といったルールが、制御目標設定
知識ベースD2を参照して適用される。
例えば、検出された実形状データに、上記した例の如
く、“端伸び”が含まれ、その時の確信度が0.8である
場合は、“端伸び”を解消するために、5つの形状変更
目標の内から“端を張らしたい”が選択され、前記確信
度(0.8)に対応した重要度が、選択された形状変更目
標に付与される。そして、前記形状変更目標及びその重
要度は、作業メモリM3に記憶される。
上記したように特定された、実形状分類項目の確信度
から形状変更目標の重要度が制御目標生成部9において
演算される状況を以下に詳述する。
前記重要度は目標形状データを変更させる必要が有る
かどうかの目安であり、実形状データの、例えば端張り
度合を示す実形状分類項目の確信度との関係を表わすグ
ラフ(第9図)に示される。図中では、前記実形状分類
項目のうち「端張り」の例を示す。
端張り,端伸びなどの実形状分類項目の各々に対し、
目標形状変更必要性の度合(重要度)を与える重要度算
出関数(f(x))が定義されている。例えば、「端張
り」に関する重要度算出関数f1( )が のように定義されている。
即ち、端張り度合(確信度)が第1閾値L1と比較さ
れ、第9図に示すように、該第1閾値L1を越えた場合
は、その実形状分類項目が目標形状変更のために選択さ
れ、図中に示す確信度に対応する重要度が演算される。
一方、確信度が第1閾値L1以下であれば、重要度に0が
与えられ、その実形状分類項目は目標形状の変更に際し
て供せられることがない。前記各実形状分類項目に対
し、第1閾値L1がそれぞれ個別に設定され、それぞれの
確信度と前記第1閾値L1とが比較演算されて、目標形状
の変更に供すべきかどうかが項目毎に判断される。
目標形状を変更させる必要性の有無は、上記のように
各実形状分類項目毎に判断されると共に、各項目毎に重
要度を合成したものの平均が閾値を越えたかどうかで判
断される場合もある。
続いて、目標形状を変更させるために選択された実形
状分類項目から、目標形状を変更させる必要性の有無に
ついて合成された重要度又はその平均に基づいて判断す
る方法について詳述する。
前記実形状分類項目をS1,S2,…,Siとすると、それら
に対し定義された各項目毎の前記重要度算出関数f
si( )を合成した合成重要度算出関数g( )は以下
のように定義される。
g(Ss1(x1),…,fsi(xi)) 前記関数g( )は、 g≡(Σkfsi(xi))/k, またはg≡Σfsi(xi) 但し、0≦fsi(xi)≦1, fsi(xi)はxiについて強単調増加のように、総和平
均,又は総和の形で表される。
ここで、f(L1)が(L1)について、強単調増加と
は、L1<L2のときf(L1)<f(L2)であることを意味
する。
このように、推論処理開始の必要度合を示す合成重要
度がアクション候補推論部11において、各項目毎の重要
度から演算され、前記合成重要度が所定の第2閾値L
3(不図示)を越えたときに推論処理が開始されて、目
標形状データが適切に変更される。
以下に具体例を例示すると、 「端張り」に対する重要度が 0.4 「クォータ伸び」に対する重要度が 0.6 その他(「端伸び」,「中伸び」,「中張り」)に対す
る重要度が 0 のとき、合成重要度は、総和の場合、 0.4+0.6+0=1.0 となる。このときの第2閾値L3が0.9であれば、合成重
要度の方が大きいので、推論処理が開始される。前記ト
リガとなる重要度を決定する方法としては、他に、前述
した総和平均によるものを採用してもよい。
本実施例では、前記したように、各項目毎の確信度が
それぞれに与えられた閾値を越えた時、例えば「端張
り」の度合が第9図に示す閾値L2を越えた時にも推論処
理が起動される。
また、前記合成重要度が第2閾値L3を越えた時、同図
に図外の警報装置に起動信号を出力し、当該警報装置を
駆動させてもよい。
次に、目標形状の推論処理について説明する。
アクションの適用 −(1)ルール推論 上記したように処理された、現在の目標形状データ及
び現在の実形状データを含む操業条件データ,抽出され
た実形状分類項目及びその確信度を含む圧延状況デー
タ,及び上記形状変更目標及びその重要度を含む制御目
標データは、作業メモリM1,M2,M3からそれぞれアクショ
ン候補推論部11に転送される。アクション候補推論部11
は、転送された各データと、アクション推論知識ベース
D3に記憶されているルールの条件部とを照合し、照合の
結果、条件部が全て真であることを満たすルールを抽出
し、そのルールの結論部にある目標形状変更データ(第
8図、以下アクションという)を選択する。上記のよう
な操業条件データ,圧延状況データ,制御目標データと
いった条件に対応する結論(採用すべき目標形状)を引
き出す推論処理は、既に述べた如く、経験者の知識(ノ
ウハウ)にたよらざるを得ない。本発明ではこのような
推論処理が自動化される。かかる自動推論のためのルー
ルは上記アクション推論知識ベースD3に集積、記憶され
ている。かかるルールは「もし、〔条件部〕、 ならば、〔結論部〕」の形態で示され、次に示されるよ
うな論理積の形で表される。
もし、〔制御目標データ〕、かつ、 〔操業条件データ,圧延状況データ〕 ならば、〔目標形状調整パラメータ及び その変更度合の指定(アクション及びその度合)〕 ここに、目標形状調整パラメータとは表−5に示され
る如く、目標形状データ(そのパスにおいて目標とする
伸び率分布)を決定する要素である。各ルールの結論部
を構成する目標形状調整パラメータとしては、表−5に
示された全てのパラメータが記載されるとはかぎらな
い。多くの場合、条件部を満足するに必要な一部の目標
形状調整パラメータのみがその変更度合と共に記載され
ている。
例えば、第10図に示すように、ルール例1において、
アルミ箔53の実形状がクォータ伸びと特定され、その時
のクォータ部近辺の伸びの最も大きい部分の下に零点が
ない場合には、“零点の位置をクォータ部近辺の伸びが
最も大きい部分の下に持ってくる”といったアクション
を指定するルールがアクション推論知識ベースD3に記憶
されている。
−(2)矛盾・冗長性の解消 一方、表−4に示すルール例4に見られるように、ル
ールには付帯条件が加味される場合がある。例えば実形
状において、端張りとクォータ伸びとが同時に発生した
場合には、ルール例2及びルール例3が選択される場合
がある、これらは それぞれがが同時に成立することから、アクション候補
推論部11は、それらの矛盾解消をなすことができず、エ
ラーが発生する。そこで、例えばルール例2の条件部に
付帯条件を設けルール例4とすることによりこれを解消
することができる。即ち、ルール例4において、端を伸
ばしたいの重要度とクォータ部を張らせたいの重要度が
共に第1閾値より大きいが、クォータ部を張らせたいの
重要度が0.4未満の場合には、端レベル(幅方向端部の
の伸び率)の目標値を上げるのである。このような矛盾
又は冗長性解消の方法としては、更に前記重要度が高い
方の形状変更目標を優先させることもできる。
他方、ある実形状データに対し2種以上の形状変更目
標が同時に選択され、当該各形状変更目標に対応するア
クションの内容が同じ場合がある。例えば、現在の実形
状データの実形状分類項目(第3図(b))が同時に
「端張り」と「中伸び」とに特定され、それぞれの実形
状分類項目から導き出されたアクションとして度合の差
はあれ内容の同じ「端のレベルを上げる」(第8図)が
同時に選択された場合である。このような場合に適用さ
れるルールとして、特定された実形状分類項目の確信度
に応じてアクションの度合を設定するものが予めアクシ
ョン推論知識ベースD3に格納されている。
そこで、上記したような度合の異なる同じ内容のアク
ションが同時に選択された場合には、これらのアクショ
ンを同時に実行させるのではなく、アクションの度合の
大きなもののみを実行させることによりアクションの実
行に係る冗長性が回避される。ここで、逆にアクション
の度合の小さなもののみを実行させてもよいし、或いは
各アクションの度合の平均値に見合ったアクションを選
択或いは生成してもよい。かかるアクション間の矛盾
や、アクション間の冗長性を解消するアクションの生成
は、アクション候補推論部11の重要な役割であり、作業
メモリM5を用いて行われる。
−(3)無効アクションの学習 更に、第8図に示すように、1の形状変更目標に対
し、優先度の付加された数種類のアクション候補が用意
されている。そして、ある形状変更目標が選択された時
に優先度の最も高いアクションが実行される。
前記優先度は、固定されたものではなく、推論毎にチ
ェックされる。例えばアクション候補推論部11において
推論が実行されたら、どの形状変更目標に対し、どのア
クションを採用したかが作業メモリM5に記憶され、次回
の推論時にアクション効果評価部10において、前回の形
状変更目標が達成されているかどうか(効果の評価)が
前回と今回の重要度を比較して判断される。
その結果、前回の形状変更目標及びその重要度に基づ
いて変更された、今回の目標形状データがアクション効
果評価部10において有効であると判断されれば、即ち重
要度が前回よりも低い値であれば、採用されたアクショ
ンが有効であったとして、アクション推論知識ベースD3
に記憶された優先度が繰り上げられる。逆に、無効であ
ると判断された場合は、前回適用されて有効でなかった
アクションとそのアクションの選択を推論したルールと
が作業メモリM4に記憶される。
例えば、第8図に示す形状変更目標は、圧延状況解析
部8からの圧延状況データ若しくはオペレータ5からの
入力データにより、前回“端を伸ばしたい”が重要度0.
6で決定されたとすれば、それに付随するアクションの
中で最も優先度の高い“端のレベルを上げる(優先度
1)”が選択され、前記重要度0.6に応じて端のレベル
(伸び率)を上げた目標形状データが形状制御部3に出
力され、同時に適用された目標形状データ,形状変更目
標,その重要度(0.6),アクション,及びその優先度
(1)がアクション推論知識ベースD3に記憶される。そ
して、前回適用したアクションの有効性の判断として、
今回の形状変更目標を決定する際に、形状変更目標“端
を伸ばしたい”が前回の重要度0.6以上で選択されれ
ば、問題となっている実形状の端張り状態は改善されて
いない場合が多く、前回適用されたアクションが無効で
あったことになる。逆に今回”端を伸ばしたい”が重要
度0.6未満で選択されると前回のアクションは有効であ
った判断される。
そこで、無効とされたアクションと、そのアクション
を推論したルールは作業メモリM4に書き込まれる。そし
て、次回の推論時に同一の形状変更目標が選ばれ前記無
効アクションが選択されても、該無効アクションは適用
されることがなく、適切であると判断された次に優先度
の高いアクションが適用されて今回の適切な目標形状デ
ータの変更に供せられる。その結果、上記形状変更目標
を達成するために適用された次善のアクションが有効で
あると判断されれば、当該アクションの優先度が繰上げ
られるとともに前記無効アクションの優先度が繰下げら
れる。上記のようにして変更された優先度はアクション
推論知識ベースD3内の優先度の項に書き込まれる。
このようにして、前記アルミ箔圧延形状調整装置1に
より得られた目標形状が実形状に対して効果を示さず、
問題のあるアルミ箔53の実形状が継続するような場合で
あっても、今回の推論においては、前回の推論時と形状
変更目標が同じであったとしても、前回のアクションと
は異なるものが選ばれる。それにより、無効なルールが
繰り返し適用されることがなく、前記実形状が適切に変
更される。
アクション候補推論部11において候補としてあげられ
たアクションが妥当であるか否かは、第11図に示すチェ
ック木に従って詳細にチェックされた後、妥当であると
判断されればその都度作業メモリM5に登録される。即
ち、作業メモリM5は、妥当である(矛盾や冗長性がなく
且つ無効でない)と判断されたルールのみを記憶すると
共に、このデータを目標形状生成部12に送る。この目標
形状に従って、形状制御部3で形状制御が行われる。
尚、上記アクション推論知識ベースD3には、前述の通り
同一の形状変更目標を条件部に持つ複数のルールよりな
るルール集合が上記形状変更目標毎に設定され、上記ル
ール集合を記憶する主領域と上記ルール集合から除去さ
れたルールを保管する退避領域が確保されている。尚、
推論処理の終了したルールは主領域から順次退避領域に
除去される。
図中に示すチェック木において、先ず、今回選択され
た形状変更目標と形状変更目標の一致するルールがその
ルールの属するルール集合に存在するかどうか、即ち上
記ルール集合に該当するルールが主領域に残っているか
がケースC1でチェックされる。ケースC1に該当すれば、
ケースC3でそのルールの条件部にある操業条件等に係る
付帯条件のチェックに進む。
前記ケースC3に該当しない場合、即ち付帯条件を含め
て全ての条件部が一致しない場合、そのルールは上記主
領域のルール集合から上記退避領域へ除去される。前記
付帯条件が成立すれば、ケースC4において、前記条件部
が全て成立したルールのアクションが過去に適用された
ことがあってその効果が認められなかったかどうか、即
ち、現在作業メモリM4に登録されているかどうかがチェ
ックされる。そして、ケースC4に該当すれば、そのルー
ルを前記ルール集合(主領域)から除去する。ケースC4
に該当しない場合は、相互に矛盾するアクションの存在
がケースC5においてチェクされる。上記したように、形
状変更目標として設定されるものは1つであるとは限ら
ず、複数の形状変更目標が選択されることがある。この
場合、各形状変更目標に付随するアクションどうしが矛
盾することは往々にしてある。
そこで、チェックの結果、妥当であるとされて既に作
業メモリM5に登録されているアクションの内、現在チェ
ックされているアクションと矛盾するアクションがあれ
ば、いずれかのアクションを備えたルールの内、現在選
択されている形状変更目標の重要度の方が大きければそ
のルールのアクションが作業メモリM5に登録され、既に
登録済の上記矛盾するアクションが退避領域へ除去され
る。
逆に、既に上記登録済のアクションを備えた形状目標
の重要度の方が大きければ当該登録済のアクションが作
業メモリM5に残されて、現在チェックされているアクシ
ョンを備えたルールが上記ルール集合(主領域)から退
避領域へ除去される。ケースC5に該当しなかった場合、
即ち上記それぞれのアクションが矛盾しない場合、これ
らのアクションの形状変更目標が同一であるかどうかが
ケースC6でチェックされる。ケースC6に該当すれば、上
記それぞれのアクションの優先度に差があるかどうかチ
ェックされ(ケースC7)、優先度に差があれば、優先度
の大きな方のアクションのみが作業メモリM5に残され、
優先度の小さな方のアクションは作業メモリM5から消去
される。そして、優先度に差がない場合には、双方のア
クションが作業メモリM5に共に残される。
上記したように、ケースC1に該当しない場合、今回選
択された形状変更目標と一致するルールがルール集合に
無いと判断されケースC2のチェックに進む。
ケースC2に該当すれば、即ち各ルール集合中のルール
は全てチェックしたが、ケースC3〜C7のチェックにより
アクション候補が全て不適合になったと判断されれば、
作業メモリM4における過去の無効の情報をリセット(ク
リア)すると共に、現在の優先度のもとでは適宜のアク
ション候補を選出することができないので、優先度をリ
セットし、該優先度のリセットされたアクション候補を
備えたルールからなる各ルール集合を回復させた上で、
アクションチェックの推論をもう一度最初からやり直
す。
他方、ケースC2に該当しなければ、各ルール集合中の
全てのルールを検証した結果、妥当と判断されたアクシ
ョン候補が選択され作業メモリM5に格納されているはず
なので、当該アクションチェックに係る推論を終了す
る。
このように、ある形状変更目標を共通に備えたルール
よりなるルール集合中のルールは、一つずつそのアクシ
ョンの妥当性がチェックされた後に、順次上記ルール集
合(主領域)から除去されて上記退避領域に保管され
る。そして、上記ルールのチェックは当該形状変更目標
に係る主領域のルール集合が空になるまで実行される。
即ち、上記ルール集合が空になった状態がケースC1に該
当しない場合である。
もし、2以上の形状変更目標が選択されているなら
ば、上記アクションの妥当性のチェックが、別の形状変
更目標集合に対しても上記と同様に(C1〜C7)実行され
る。
このように、上記チェックルーチンによって、作業メ
モリM5に既に登録されているアクション候補と新しく登
録されようとするアクション候補との間の矛盾性、優先
度、有効性実績等がチェックされ、目標形状データの変
更に適用されようとするアクションの妥当性及びルール
の整合性の維持がなされる。
目標形状の生成 続いて、上記作業メモリM5に登録されたアクション及
びその度合、即ち“端レベルを上げる,その重合度は0.
8"といった目標形状変更データが目標形状生成部12に転
送される。
前記目標形状生成部12は、前記目標形状変更データに
基づいて、表−5及び第12図(a)乃至同図(d)に示
す目標形状調整パラメータの値を変化させ る。例えば、前出のアクションが、“端レベルを上げ
る,その度合は0.8"であった場合には、前記端部の伸び
率に係る目標形状調整パラメータa1の値が当該アクショ
ンの度合に応じて変更設定され、目標形状データが変化
する。更に、形状制御部3は、入力された変更後の目標
形状データに基づいて制御ゲインを変更する出力信号が
与えられ、ロール圧延機2のクーラント58を制御する。
適用アクションの評価 そして、今回新たに得られた実形状データを含む操業
条件データが圧延データ収集部7に入力され、前回と同
じ処理が繰り返される。即ち、今回の実形状に対する形
状変更目標及びその重要度は、制御目標生成部9で演算
され、アクション候補推論部11において前回のものとそ
れぞれ比較される。
上記した推論を繰り返した具体例が第13図に示され
る。例えば、ある操業条件データに含まれる実形状デー
タより演算された形状変更目標E1が、“クォータを張ら
せたい”であってその重要度が0.8である場合に、1回
目の推論E2が実行され、そのときのアクション候補が
(A1)零点の幅を広げると(A2)零点を外側へ移動させ
るであった。ここで、優先度の高いアクションA1が適用
され、それにより変更される前後の目標形状データは推
論結果E3に示される通りであった。
しかしながら、アクションA1の効果を評価すると、E1
の重要度は0.8より小さくならず、その効果が認められ
なかった。そこで、上記アクションA1を導出したルール
は無効であったとして作業メモリM4に格納される。
続いて、次に優先度の高いアクションA2を適用して2
回目の推論E4が実行される。この場合、上記形状変更目
標E1を含むルールが引き続き適用されて圧延工程が継続
され、操業条件が1回目の推論時と変わらなければ、上
記アクションA1及びアクションA2が候補として得られ
る。そこで、この2回目の推論E4によりアクション効果
の履歴を検証した結果、上記アクションA1は前回無効で
あったとして作業メモリM4に格納されているので、今回
は適用されず(第11図のケースC4)、次に優先度の高い
アクションA2が適用されて目標形状データが変更され
る。
その結果、クォータ伸びが改善されたと判断されたな
らば、アクションA2の優先度はアクションA1のものより
格上げされてアクション推論知識ベースD3に記憶され
る。
このように、アルミ箔53の実形状に対するある目標形
状データを与えた時の実形状の変化及び対応する目標形
状データの変化が、即ちアクション候補推論部11で為さ
れる推論の度に変更された目標形状データ及びその結果
得られた実形状データ、前記目標形状データを設定する
ために用いられる操業条件データ、圧延状況データ、或
いは制御目標データ等の各経験値が、推論ルールとして
アクション推論知識ベースD3に記憶されている。そし
て、アクション候補推論部11は、その時点における理想
的な実形状(操業方針)を実現させるように、前記それ
ぞれの経験値に基づいて適切な目標形状データを演算
し、該目標形状データを目標形状生成部12を介して自動
的に作成し、形状制御部3に出力する。
上記したようなアルミ箔圧延形状調整装置1は、図4
(a)に示した手順に従って金属箔の伸び,張り状態を
検出するセンサからの信号から自動的に制御目標を設定
し、アクションを実行する。但し第14図に示すように、
オペレータによる入力や判断を介在させることも可能で
ある。第14図では、オペレータ5による圧延機側端末機
6からの打鍵により起動される(ステップ21)。続い
て、オペレータ5は、前記端末機6の画面に表示された
入力メニュー(第15図)に従って、形状変更目標情報を
重要度と共に入力する(ステップ22)。
それに伴って、前記アルミ箔圧延形状調整装置1は、
形状制御部3から転送された圧延データを解析し(ステ
ップ23)、適当な目標形状を推論により作成し(ステッ
プ24)、修正前後の目標形状(第16図)を前記画面に表
示させると共に、修正後の目標形状データを形状制御部
3を介してロール圧延機2に出力する(ステップ25)。
そして、問題のあった実形状に対し、修正後の目標形状
が有効であったかどうかを評価し(ステップ26)、オペ
レータ5による入力待ち状態になる。即ち、第14図の例
では、推論装置を起動させるかどうかの判断及び形状変
更目標情報の入力がオペレータにより行われ、それ以外
の処理は、自動化されている。
このとき、前記形状調整装置1においても、形状変更
目標を自動的に生成しているが、オペレータ5が入力し
たものと矛盾する場合には、それぞれの重要度の高いも
の,オペレータ5が入力したもの,又は実形状分類項目
からの形状判断結果によるもの等のいずれかを優先させ
るルールに基づいて形状変更目標を生成するようにして
もよい。
前記アルミ箔圧延形状調整装置1は、常時アルミ箔53
の実形状を監視し、目標形状データを変更する必要があ
ると判断された場合に、オペレータ5によりその推論が
起動されたが、自動的に目標形状データの変更処理を起
動させることもできる。例えば、ルールの条件部に、実
形状分類項目の確信度とある閾値αとの比較条件を設定
する。そのルールの具体例を下記する。
もし、〔実形状分類項目とその確信度〕、かつ、 〔操業条件〕 ならば、〔形状変更目標及びその度合の指定〕 さらに、具体的には、 もし、端のびの確信度<α、かつ、 パスが2パス目 ならば,端を伸ばしたい,重要度は1.0 と表現される。即ち、実形状が変化し、その端のびの度
合が閾値α以下になった時、上記ルールが適用されて、
推論が開始されることになる。
更に、前記アルミ箔圧延形状調整装置1は、得られた
実形状データが箔幅方向に非対称である場合にもそれを
改善する機能を有している。第17図及び第18図に示すよ
うに、実形状データが非対称であると判断された場合
(ステップ31)には、伸び率の低い部位に対し、従前ま
で対称であった目標形状は、オペレータ5により仮に高
く設定される(ステップ32)。これは、圧延ロール52に
噴射されるクーラント58の噴射量分布を一時的に箔幅方
向に偏向させ、圧延ロール52における熱分布を均一化さ
せるためのものであって、特に操業開始時(ロール昇温
中)又は再開時(ロール組替え後)に有効である。ステ
ップ32における処理は、実形状データが対称になるまで
繰り返される。
尚、アルミ箔圧延形状調整装置1は、圧延時点におけ
る伸び・張りの実形状データを検出するセンサとして、
圧電素子が埋設されたエレメント4eを採用したが、前記
エレメント4eと外観を略一にする複数のエアベアリング
式エレメントを前記センサとして代用し、その空気圧の
変化に基づいて前記実形状データを検出させることもで
きる。
本実施例において、制御対象としてアルミ箔53を用い
たが、それに限定されることなく、銅その他の金属であ
ってもよく、またその厚さは問わない。
尚、上記した実施例においては、理解を容易にするた
めに、アルミ箔53の端部における実形状の変化に関して
述べたが、アルミ箔53の箔幅方向中央部及びクォータ部
(箔幅方向両側の端部と前記中央部との間に位置する)
に関しても、前記端部の場合と同時に且つ同様に処理さ
れることを付記しておく。
又、本実施例において、アルミ箔圧延形状調整装置1
は、前記形状制御部3とは独立して配設されたが、形状
制御部3を実現しているミニコンピュータ(不図示)の
一部として構成すれば、データ処理速度を稼ぐことがで
き、アルミ箔53の実形状制御精度を一層向上する。
〔発明の効果〕
第1の発明によれば、ロール圧延機により伸展された
帯状の金属の幅方向における形状を制御する形状制御部
に目標形状データを与えて前記形状の調整を行う金属圧
延形状調整装置であって、圧延された金属の実形状デー
タを検出するセンサと、前記実形状データを定期的に採
取し格納するサンプリング手段と、前記実形状データか
ら所定時間内の前記形状の変化傾向を演算する形状変化
傾向演算手段と、前記変化傾向及び最新の実形状情報に
基づいて最新の目標形状データや制御ゲイン等を決定
し、これに基づいて前記形状の調整を行う第1の形状調
整手段とを具備してなることを特徴とする金属圧延形状
調整装置が提供される。それにより、ロール圧延機の圧
延特性が大きく変化しても、その時の金属の形状の変化
傾向を把握することが可能となり、前記形状の将来的な
変化を予測した上で、形状の調整を精度良く行うことが
できる。
又、第2の発明によれば、ロール圧延機により伸展さ
れた帯状の金属の幅方向における形状を制御する形状制
御部に目標形状データを与えて前記形状の調整を行う金
属圧延形状調整装置であって、圧延された金属の実形状
データを検出するセンサと、前記実形状データを定期的
に採取し格納するサンプリング手段と、該サンプリング
手段に格納された実形状データから所定時間内の前記形
状の統計的特性情報を演算する統計的特性情報演算手段
と、前記統計的特性情報及び最新の実形状情報に基づい
て最新の目標形状データや制御ゲイン等を決定し、これ
に基づいて前記形状の調整を行う第2の形状調整手段と
を具備してなることを特徴とする金属圧延形状調整装置
が提供される。それにより、第1の発明におけるよりも
更に広く種々の形状変化の態様に応じて適切な形状調整
を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例に係るアルミ箔圧延形状調整
装置のシステム配置を示す概要図、第2図は同アルミ箔
圧延形状調整装置の処理フローを示す構成図、第3図
(a)は箔幅方向における伸び率分布で表された実形状
データの主要部位を示す説明図、第3図(b)はパター
ン分類されたアルミ箔の実形状分類項目を示す説明図、
第4図(a)は実形状データの変化傾向を判断するため
の処理手順を示すフローチャート、同図(b)は実形状
分類項目のレベル数を形状変化傾向を加味して補正する
アクションを示す説明図、第5図(a)及び同図(b)
は2つの実形状分類項目のレベル数の相関関係を示すグ
ラフ、第6図はアルミ箔の実形状データの経時変化によ
る3次元パターンを示す3次元グラフ、第7図はニュー
ラルネットワークを概念的に示す模式図、第8図は実形
状分類項目に対する形状変更目標とそれに対応するアク
ション候補との関係例を示す説明図、第9図は形状変更
目標の重要度と実形状分類項目が端張りである時の確信
度との関係を示すグラフ、第10図はアクション候補推論
部で推論に用いられるルールとそれを用いて目標形状を
変化させた例を示す説明図、第11図は適用されようとす
るアクションの妥当性をチェックするルーチンの処理手
順をチェック木により示した説明図、第12図(a)は目
標形状を変更させるために用いられる目標形状調整パラ
メータを示す説明図、同図(b)は前記パラメータのa3
の状況変化を示す状態図、同図(c)は前記パラメータ
のa4によって調整される目標形状の中央部が順パターン
である状況を示す状態図、同図(d)は前記中央部が逆
パターンである状況を示す状態図、第13図は目標形状を
変更させるための推論実行例を示す概略説明図、第14図
は目標形状調整の処理フローを示すフローシート、第15
図は圧延機側端末機の画面へ表示された入力メニューを
示す表示図、第16図は前記画面へ表示された目標形状例
を示す表示図、第17図は非対称に得られた実形状を修正
する方法を示したフローシート、第18図は前記非対称の
実形状を修正する状況を示した概略説明図、第19図は本
発明の背景の一例であるロール圧延機を示す概略斜視
図、第20図は圧延後のアルミ箔の表面形状を示す外観
図、第21図は圧延ロールの断面形状とアルミ箔の実形状
と該実形状を制御するための目標形状の相関関係を示す
説明図、第22図はアルミ箔の操業上の目標形状と制御す
る上で設定される目標形状とを同時に示したグラフ、第
23図は本発明の背景となる従来のアルミ箔圧延形状調整
装置の処理手順を示すフローチャート、第24図(a)乃
至同図(f)は実形状分類項目とそのレベル数の例をそ
れぞれ箔幅方向対伸び率のグラフで示す説明図である。 〔符号の説明〕 1……アルミ箔圧延形状調整装置 2……ロール圧延機、3……形状制御部 4……検査ロール、53……アルミ箔

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ロール圧延機により伸展された帯状の金属
    の幅方向における形状を制御する形状制御部に目標形状
    データを与えて前記形状の調整を行う金属圧延形状調整
    装置であって、 圧延された金属の実形状データを検出するセンサと、 前記実形状データを定期的に採取し格納するサンプリン
    グ手段と、 前記実形状データから所定時間内の前記形状の変化傾向
    を演算する形状変化傾向演算手段と、 前記変化傾向及び最新の実形状情報に基づいて最新の目
    標形状データや制御ゲイン等を決定し、これに基づいて
    前記形状の調整を行う第1の形状調整手段とを具備して
    なることを特徴とする金属圧延形状調整装置。
  2. 【請求項2】ロール圧延機により伸展された帯状の金属
    の幅方向における形状を制御する形状制御部に目標形状
    データを与えて前記形状の調整を行う金属圧延形状調整
    装置であって、 圧延された金属の実形状データを検出するセンサと、 前記実形状データを定期的に採取し格納するサンプリン
    グ手段と、 該サンプリング手段に格納された実形状データから所定
    時間内の前記形状の統計的特性情報を演算する統計的特
    性情報演算手段と、 前記統計的特性情報及び最新の実形状情報に基づいて最
    新の目標形状データや制御ゲイン等を決定し、これに基
    づいて前記形状の調整を行う第2の形状調整手段とを具
    備してなることを特徴とする金属圧延形状調整装置。
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