JP2571760Y2 - アイスクリーム用可食容器 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この考案は、アイスクリームなど
の冷菓食品を盛り入れて容器ごと食することができる可
食容器に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、アイスクリームなど常温で溶け流
れる冷菓食品を盛り入れて容器ごと食することができる
可食容器として、コーン形（倒円錐形）および短筒桶形
などの可食容器がある。

【０００３】コーン形容器は、細長い鋭錐状の底部にか
けての部分を持ち手として持ち支え食するもので、盛り
入れられたアイスクリームが底部まで進展することので
きない細長い鋭錐状容器によって、手の温もりが内部の
アイスクリームにまで及ぶことを阻止しているが、アイ
スクリームが接する容器上口部の周側壁部では常温で溶
けるアイスクリームの水分によって次第に潤け始めて、
アイスクリームを食している間にパリッとした歯触りの
香ばしい風味が失われると共に、容器としての保形性を
も損なう結果を招いていた。

【０００４】また、桶形容器では、大きく開口した容器
上口部に比し底部が浅い構成から、盛り入れられたアイ
スクリームは底部まで達して容器の周側壁のいずれの部
分にもアイスクリームが接する状態となるため、容器内
のアイスクリームを食する際に容器の外周側壁のいずれ
の部分を持ち支えても持ち手の温もりが周側壁を通して
直接内部のアイスクリームに及んで、盛り入れられたア
イスクリームの溶け足を早くし、溶けたアイスクリーム
の水分で容器全体を早く潤けさせて、前記同様に可食容
器の風味を損なうと共に、容器としての保形性がなくな
り軟らかくなって持ち難くくなる等の問題があった。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】従来のこの種可食容器
は、盛り入れたアイスクリームなどの冷菓食品が直接容
器の周側壁に接触する構成から、持ち支えた手の温もり
が直ちに収容する冷菓食品に伝わり、食する間に溶けた
冷菓食品の水分によって次第に潤けて軟らかくなること
を防止することによって、前記問題を解決することを目
的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】この考案は上記目的を達
成するため、小麦粉を主原料として焼成する器形のカッ
プ体の周側壁内側に、周側壁との間に間隔をおいて底部
から口部位置まで垂直に伸延する筒状の内隔壁を同心状
に一体に立設して、周側壁と内隔壁との間に底部にかけ
て空間を設けて成るアイスクリーム用可食容器を提案す
ることにより、持ち支えする手の温もりが内隔壁の内側
にまで及ぶことを阻止すると共に、この内隔壁による空
間の適所で周側壁と内隔壁とを仕切状の支持壁で一体に
繋ぐことにより、周側壁の強度を確保する。

【０００７】

【作用】カップ体の周側壁と内隔壁との間に形成した囲
繞せる空間によって、周側壁外から内隔壁内側への温度
（熱）の伝導を遮断して、内隔壁内に盛り入れられた冷
菓食品が持ち支えた手の温もりで溶けるのを防ぐため、
カップ体の周側壁が軟らかく潤けることがないと共に、
湿っけることがない。

【０００８】この空間に冷菓食品とは異質の食品を入れ
詰める部屋として利用することができる。

【０００９】支持壁で周側壁を内隔壁に連結するため、
周側壁および内隔壁は互いに支持し合い、特に外衝に接
する周側壁を堅固にし、併せてカップ体全体の外衝耐応
力を強固にする。

【００１０】

【実施例】次に、この考案に係るアイスクリーム用可食
容器の実施例を図面を用いて説明する。図１はこの考案
を実施せるアイスクリーム用可食容器の斜視図、図２は
同容器の一部切欠き正面図、図３は同容器の平面図で、
（１）はカップ体を示し、該カップ体（１）は主原料と
する小麦粉に、コーンスターチ，膨張剤，砂糖，塩，色
素，香料などを混入して器形に型焼きするもので、周側
壁（２）の内側に適当な間隔から成る空間（４）をおい
て筒状の内隔壁（３）を同心状に立てて配設し、内隔壁
（３）を底部（５）方向から口部（２ａ）にかけて、口
部（２ａ）と同位置に及ばせて一体の器形に型焼きして
成る。

【００１１】図４は他の実施例を示すアイスクリーム用
可食容器の一部切欠き斜視図、図５は同容器の平面図
で、リブ状の支持壁（６）で空間（４）の周縁を等分し
た六ケ所において周側壁（２）と内隔壁（３）を縦状に
繋ぎ、六個に仕切られた空間（４）（４）を形成するこ
とにより、周側壁（２）は筒状内隔壁（３）に一体に支
持されて周側壁（２）は堅固となり、併せて容器全体を
強固に形成することができる点で効果がある。

【００１２】図６は他の実施例を示す可食容器の一部切
欠き正面図で、前記図２では裾窄まりに傾斜した周側壁
（２）を有するカップ体（１）において、内隔壁（３）
を周側壁（２）の内側下方部に植設した状態で設け、あ
るいは図示を省略したが周側壁（２）の内側の上下中央
部に植設することも考えられるが、図６に示すように周
側壁（２）を鉛直にして傾斜させず、また極めて小さく
傾斜させて成るカップ体（１）などでは内隔壁（３）を
底部（５）上に立設することで空間（４）を形成するこ
とができる。

【００１３】図７はアイスクリーム用可食容器の内隔壁
の実施例を示す一部切欠き正面図で、カップ体（１）の
内隔壁（３）を上方に向かって漸次肉薄に形成すること
により、器形に型焼きする際の型抜きが容易となる点で
効果がある。

【００１４】

【考案の効果】この考案のアイスクリーム用可食容器は
上記で説明したように成り、カップ体の周側壁と、その
内側に設けた内隔壁との間に形成した空間で、可食容器
に盛り入れたアイスクリームなどの冷菓食品を食するに
際して手で持ち支えられるカップ体の周側壁に伝わる手
の温もり（熱）が遮断され、内隔壁内に収容した冷菓食
品に伝わることを阻止し、併せて盛り入れられた冷菓食
品が可食容器の周側壁に接することを回避することによ
り、食する間に可食容器に盛り入れられた冷菓食品が持
ち支えた手の温もりなど周側壁に伝わる外温で溶け流れ
ることを可及的に遅らせて冷菓食品の溶解による水分の
発生を抑える。加えて内隔壁、空間で溶解水分が直接周
側壁に及ぶことを阻むため、可食容器の潤け、軟化を防
止して持ち支え易くすると共に、冷菓食品盛り入れ後も
パリッと乾燥した歯触りのよい香ばしい状態の可食容器
を維持することができ、美味しく可食容器と共に食する
ことができる。

【００１５】また、この空間を利用して、冷菓食品とは
異質の常温で硬化するチョコレート、常温で溶解しない
ジャムなど任意の食品を充填することができ、主役の冷
菓食品をこれら異質の食品とミックスした美味しさで味
わうことができると共に、充填食品による断熱効果をも
得られる。

【００１６】さらに、カップ体の周側壁は支持壁で内隔
壁に一体連結して互いに引き合い、特に外衝に直接遭う
周側壁を強力に支持して堅固にし、内隔壁と一体となっ
て容器全体を堅牢にして外衝耐応力を強くしている。従
って、可食容器に冷菓食品を盛り入れる際、またこの可
食容器を持ち支えて食する際、さらには可食容器のみを
取扱う多数荷造りし輸送する際などに、可食容器が外衝
で容易に割れ欠けることがないので、これら取扱いの上
で作業がし易く、且つ不良品廃棄の無駄がでないと共
に、食する上でも持ち易さ、食べ易さの効果を引き出し
ている。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案を実施せるアイスクリーム用可食容器
の斜視図である。

【図２】図１のアイスクリーム用可食容器の一部切欠き
正面図である。

【図３】図１のアイスクリーム用可食容器の平面図であ
る。

【図４】この考案の他の実施例を示すアイスクリーム用
可食容器の一部切欠き斜視図である。

【図５】図４のアイスクリーム用可食容器の平面図であ
る。

【図６】この考案の他の実施例を示すアイスクリーム用
可食容器の一部切欠き正面図である。

【図７】この考案の他の実施例を示すアイスクリーム用
可食容器の一部切欠き正面図である。

【符号の説明】

１ カップ体 ２ 周側壁 ３ 内隔壁 ４ 空間 ５ 底部 ６ 支持壁

Claims (6)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 小麦粉を主原料として焼成する器形のカ
   ップ体の周側壁内側に、同心筒状の内隔壁を周側壁との
   間に空間を保って底部から口部に向かって一体に立設し
   て成るアイスクリーム用可食容器。
2. 【請求項２】 前記カップ体は、周側壁を裾窄まりに傾
   斜させて成る請求項１のアイスクリーム用可食容器。
3. 【請求項３】 前記内隔壁は、内底部に立設して成る請
   求項１または２のアイスクリーム用可食容器。
4. 【請求項４】 小麦粉を主原料として焼成する器形のカ
   ップ体の周側壁内側に、筒状の内隔壁を周側壁との間に
   空間を保って同心状に立設し、該周側壁と内隔壁との適
   所を支持壁で仕切状に繋いでそれぞれ一体に形成したア
   イスクリーム用可食容器。
5. 【請求項５】 前記カップ体は、周側壁を裾窄まりに傾
   斜させて成る請求項４のアイスクリーム用可食容器。
6. 【請求項６】 前記内隔壁は、内底部に立設して成る請
   求項４または５のアイスクリーム用可食容器。