JP2559097B2 - 過剰溶解防止半田ごて - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】手動送り半田ごてに於ける糸半田
送給装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】半田端子に手動送り半田ごてで半田付け
する場合、鏝先を端子とリード線の間に置き、糸半田の
先端が鏝先に接触して適量だけ溶けるよう半田送給レバ
ーを押し、鏝先から端子やリード線に熱を与え、半田が
端子とリード線間に溶け込んだ時点で鏝先を端子から離
して半田付け操作は終了であるが、糸半田の溶解現象を
観ると、糸半田の溶融点以上の温度の鏝先に送給中の糸
半田の接触した部分だけが溶解していき、適量だけ溶け
た時点で半田送給操作を止めて、半田送給レバーを復帰
するが、鏝先の熱が糸半田に伝導して行き、溶解温度に
達した糸半田の一部が引力（ヴァンデル ワールス引
力）により鏝先に引き寄せられ、更に端子とリード線間
に溶け出して糸半田の溶解量が過剰になり易かった。

【０００３】このような被半田付け体に過剰な半田の溶
け出しを防ぐために、鏝先を被半田付け体から早急に離
せば被半田付け体に十分な加熱が出来ず、半田を十分に
被半田付け体に溶け込ませる事が出来ない不都合があっ
た、又 鏝先に引き寄せられた溶解半田が残り、次の半
田付けの妨げになった。

【０００４】

【発明が解決しようとしている課題】糸半田が適量だけ
溶けた時点で糸半田送給のレバーを復帰する初期段階
に、鏝先から糸半田に伝導していく熱を遮断して、糸半
田の過剰溶解を防止する。

【０００５】

【課題を解決するための手段】請求項１記載の発明は、
手動送り半田ごてに於いて、糸半田送給レバー復帰動作
の初期段階に、糸半田の先端が鏝先から引き離す動作
を、糸半田送給量の任意位置で作動して、鏝先から糸半
田に伝導していく熱を即時に遮断する。

【０００６】請求項２記載の発明は、糸半田の押えロー
ラー（１）と、送り歯車（３）と、レバー復帰バネ
（７）と、送り爪（８）と、レバー（１７）とを主に備
えて成る手動送り半田ごてに於いて、送り爪（８）と対
称方向に配置した戻し爪（１０）をレバー枠（５）に回
動自在に支持すると共に、戻し爪押えバネ（１１）を備
え、固定枠（４）に送り歯車（３）と同軸にした固定歯
車（１２）を設け、固定歯車（１２）と遊合する歯が１
枚又は複数枚を備えた部分歯車（１３）をレバー枠
（５）に回動自在に支持して、部分歯車（１３）の歯が
固定歯車（１２）と咬み合う方向に復元力を与える部分
歯車復元バネ（１４）をレバー枠（５）に保持して、部
分歯車（１３）がレバー（１７）復帰行程中の回動限界
位置に於いて、戻し爪（１０）を送り歯車（３）から引
き外す位置にしたカム（１５）を部分歯車（１３）と一
体に設けて成り、糸半田送給量の任意位置に於いて糸半
田即時戻し機構を構成する。

【０００７】

【作用】部分歯車（１３）が回動することによって固定
歯車（１２）から部分歯車（１３）の歯が外れた位置を
回動限界位置とすれば、レバー（１７）を押して糸半田
送給操作をすれば、直ちに送り爪（８）が送り歯車
（３）を反時計方向に回動させて、糸半田が送り出され
るのは従来通りである、その時 同時に部分歯車（１
３）は固定歯車（１２）によって時計方向の回動限界位
置から反時計方向の回動限界位置まで急速に回動する、
従ってカム（１５）は戻し爪（１０）から外れ、戻し爪
（１０）は送り歯車（３）に圧接して戻し動作の準備完
了状態になる、一方 部分歯車（１３）は部分歯車復元
バネ（１４）により固定歯車（１２）と咬み合おうとす
る力が働いている。

【０００８】糸半田を適量だけ送給したレバー位置でレ
バー（１７）を放して復帰すれば、直ちに戻し爪（１
０）が送り歯車（３）を時計方向即ち、糸半田の戻し方
向に回動させると同時に、一方 復帰行程中の初期段階
に於いて、部分歯車（１３）の反時計方向の回動限界位
置から、時計方向の回動限界位置迄の回動に依るカム
（１５）の作用で、戻し爪（１０）を送り歯車（３）か
ら引き外す迄の間に回動した送り歯車（３）の略円周の
長さだけ糸半田を引き戻す、従って 糸半田の先端（１
９）はレバー（１７）の復帰動作が開始した時点に鏝先
（１８）から引き離されて、鏝先から直接の熱伝導は遮
断される。

【０００９】

【実施例】図のように手動送り半田ごてに於いて、戻し
爪（１０）は送り爪（８）と対称位置に回動自在に支持
する、戻し爪押えバネ（１１）は戻し爪（１０）を送り
歯車（３）に緩やかに圧接するようレバー枠（５）に保
持する。

【００１０】固定歯車（１２）は、送り歯車（３）より
円径がやや大きい平歯車の一部を削除することに依って
押えローラー（１）の交叉を避けて、送り歯車（３）と
同軸にして固定枠（４）に固定する、但し 固定枠材料
に直接、送り歯車（３）と同心の円周上に固定歯を設け
てもよい。

【００１１】部分歯車（１３）は、固定歯車（１２）に
対して出来る限り円径の小さい歯車、例えば固定歯車
（１２）が４８枚歯に対し、８枚歯の歯車の内、部分歯
車（１３）として一枚、カム（１５）用として１枚、バ
ネ取付け凸出部（１６）として１枚、それぞれの位置の
歯を利用して、その他の歯５枚を削除することに依って
カム（１５）とバネ取付け凸出部（１６）を一体とした
部分歯車（１３）が出来る、部分歯車（１３）の支持
は、同歯を固定歯車（１２）と遊合させて、レバー枠
（５）に回動自在に支持する。

【００１２】バネ取付け凸出部（１６）は、部分歯車
（１３）の歯と軸を中心にして反対位置に設けて、部分
歯車復元バネ（１４）をバネ取付け凸出部（１６）に穴
を設け一端を取付け、他端を固定歯車（１２）の中心と
部分歯車（１３）の軸の中心を通る延長線上のレバー枠
（５）の先端部にコイルバネの張力を保つ状態で支持す
る。

【００１３】カム（１５）は、部分歯車（１３）が時計
方向の回動限界位置に於いて、送り歯車（３）から戻し
爪（１０）を引き外すような位置に設ける、本実施例で
は、部分歯車の歯から反時計方向に１３５度の位置であ
る。

【００１４】レバー（１７）は、レバー枠（５）に装着
した機能を損なわないよう手動カバーを被せ、レバー枠
（５）に固定して成る。

【００１５】

【発明の効果】糸半田を適量送り出した時点でレバーを
戻せば、レバー復帰動作の初期段階で鏝先から糸半田へ
直接の熱伝導が遮断され、適量以上の余計な半田が溶け
出すことが無くなり、被半田付け体に半田が十分に溶け
込むまで加熱することが出来て信頼性の高い良質な半田
付けが出来る。又 鏝先に次の半田付けの妨げになる溶
解半田が殆ど残らない。

【００１４】

【図面の簡単な説明】

【図１】内部構造側面略図

【図２】構造部正面略図

【符号の説明】 １：押えローラー ２：ローラー押えバネ ３：送り歯車 ４：固定枠 ５：レバー枠 ６：送り歯車軸 ７：レバー復帰バネ ８：送り爪 ９：送り爪押えバネ １０：戻し爪 １１：戻し爪押えバネ １２：固定歯車 １３：部分歯車 １４：部分歯車復元バネ １５：カム １６：バネ取付け凸出部 １７：レバー １８：鏝先 １９：糸半田の先端

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 手動送り半田ごてに於いて、糸半田送給
   レバー復帰動作の初期段階に、糸半田の先端が鏝先から
   引き離す動作を、糸半田送給量の任意位置で作動する手
   段を具備したことを特徴とする過剰溶解防止半田ごて。
2. 【請求項２】 糸半田の押えローラー（１）と、送り歯
   車（３）と、レバー復帰バネ（７）と、送り爪（８）
   と、レバー（１７）とを主に備えて成る手動送り半田ご
   てに於いて、 送り爪（８）と対称方向に配置した戻し爪（１０）を、
   レバー枠（５）に回動自在に支持すると共に戻し爪押え
   バネ（１１）を備え、固定枠（４）に送り歯車（３）と
   同軸にした固定歯車（１２）を設け、固定歯車（１２）
   と遊合する歯が１枚又は複数枚を備えた部分歯車（１
   ３）をレバー枠（５）に回動自在に支持して、部分歯車
   （１３）の歯が固定歯車（１２）と咬み合う方向に復元
   力を与える部分歯車復元バネ（１４）をレバー枠（５）
   に保持して、部分歯車（１３）がレバー（１７）復帰行
   程中の回動限界位置に於いて、戻し爪（１０）を送り歯
   車（３）から引き外す位置にしたカム（１５）を部分歯
   車（１３）と一体に設けて成る請求項１の過剰溶解防止
   半田ごて。