JP2554989C - - Google Patents

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JP2554989C
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Hakuto Co Ltd
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Hakuto Co Ltd
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【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】 本発明は、水系に於ける殺菌処理方法、特に冷却水系、製紙工程等におけるス
ライムトラブルを防止しうる方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】 工業用水の主な用途として、冷却用水、製品処理水、洗浄水、温調用水等があ
り、これらの用途では微生物に由来する障害が頻繁に発生する。特に微生物が分
泌した粘質性物質が水中の土砂、鉄錆、その他有機物等と混合してスライムと呼
ばれる泥状物を生成し、工場の運転上の多くの障害を招くことになる。冷却水系
においては、用水の不足を補い、かつ用水コストを低減するために、水の回収再
利用が盛んになってきた。この場合、冷却水は主に冷水塔で再冷却して使用する
ため水が濃縮され、同時に栄養物質や汚濁物質の濃度が上昇し、微生物の繁殖が
より活発となる。細菌類、藻類、真菌類の繁殖が助長され、そこに汚濁物質の吸
着も加わると、スライムの形成がより増大することとなる。スライムの付着、繁
殖はストレーナーの通水や熱交換器の伝熱を妨げるだけでなく、配管断面積の減 少による冷却水流量の低下や、更に著しい場合は配管閉塞を生じ、またスライム
付着による金属の孔食などを促進する。スライム対策として、一般には、各種の
殺菌剤、生育抑制剤および除藻剤等を用いて、微生物の生育を抑制あるいは死滅
させる方法がとられており、塩素系殺菌剤が安価で各種の微生物に効果があるこ
とからよく使用されている。 【0003】 また、製紙工場においては大量の工業用水を使用するが、良質な工業用水の確
保が次第に困難になり、また環境上の問題もあって、大量の排水を放流出来なく
なってきている。そのため工程水の再使用化が進んでいるが、このように用水の
再使用を行うと、循環する用水中に溶解物、パルプ、デンプン、タルクなどの浮
遊物が濃縮され、微生物の生育を促すと共に、浮遊物の堆積によりスライムが非
常に発生しやすくなっている。スライムは、用水系だけでなく、抄紙工程におけ
る白水ピット、フローボックス、配管等にも発生する。抄紙工程において形成し
たスライムは、ある程度成長すると壁面から剥離してパルプに混じり抄紙される
。そのため、紙の中にスライムを含み、スライムの部分の紙強度が著しく低下し
て乾燥工程にて紙切れの原因となり易い。また、スライムを含んだ紙は、製品と
した場合、紙面に着色、斑点、目玉等を生じ、特に上質紙においてこの現象が目
立つため、製品価値を著しく低下させることとなる。このように、製紙工程にお
いてスライムが発生すると多大な経済的損失をもたらすことになる。製紙工程な
ど有機物成分が大量に含まれる系では塩素系殺菌剤の効果が低下するため、スラ
イム抑制には有機ハロゲン系の殺菌剤が主として使用されるがやはり十分な効果
を示さない。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】 殺菌剤を徒らに増量するとコストがかさむばかりでなく装置へも悪影響を及ぼ
すこともあり好ましくない。 【0005】 本発明の目的は、殺菌剤の増量を抑えながら殺菌力を飛躍的に高めた、工業用
水系における殺菌処理方法を提供することにある。 【0006】 【課題を解決するための手段】 本発明者らは、工業用水系でのスライム防止をはかるため、浸透性が高く、し
かも少量の殺菌剤で大きな殺菌方法を確立すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の
有機臭素化合物と塩素剤を同時に作用させることによって少量の殺菌剤で強力な
殺菌力を発揮させることができることを見いだし本発明をなすに至った。 【0007】 すなわち本発明は、臭素原子に対してα−位及び/またはβ−位の炭素原子に
、シアノ基、カルボニル基、カルボキシル基、アミド基、アルコキシル基、ヒド
ロキシル基、スルホン基より選ばれた一種以上を置換基として有する脂肪族臭素
化合物、並びにN−ブロムイミド化合物よりなる群から選ばれた一種あるいは二
種以上の有機臭素化合物を溶液として、これに塩素剤とを予め混合した後、水系
に投入することを特徴とする水系における殺菌処理方法に関するものである。 【0008】 本発明の有機臭素化合物は、脂肪族臭素化合物あるいはN−ブロムイミド化合
物であり、分子中のシアノ基、カルボニル基、カルボキシル基、アミド基、アル
コキシル基、ヒドロキシル基、スルホン基などにより臭素−炭素結合、あるいは
臭素−窒素結合が弱められているものである。脂肪族臭素化合物においてα−位
及び/またはβ−位に結合されているこれら置換基の数は、通常1〜3程度であ
る。有機臭素化合物の分子量は特に制限されるものではないが、水系中で塩素剤
と反応しうる形態、すなわち水に溶解するか、あるいは該水温において液状とな
っているものである。殺菌作用は工業用水系に繁殖しやすい微生物に発揮しうる
ものである。殺菌作用は全部の微生物に対して発揮される必要はなく、そのため
あるいは他の目的で2種以上の有機臭素化合物を組み合わせることができる。こ
のような有機臭素化合物の例としては、2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピ
オンアミド、1,2,3−トリス(ブロモアセトキシ)プロパン、ベンジルブロ
ムアセテート、ビス(トリブロムメチル)スルホン、ブロモジシアノアセトアミ
ド、2−ブトキシエチルブロムアセテート、(2−ブトキシ−1−メチル)−エ
チルブロムアセテート、ブロモ酢酸、2−ブロモ酪酸、2−プロピオン酸、1, 4−ジブロモ−2,3−ブタンジオン、ブロムピルビン酸エチルエスデル、2−
ブロモエタノール、ジブロモプロパノール、N−ブロモコハク酸イミドなどが挙
げられる。 【0009】 塩素剤は水中で酸化作用をもつ有効塩素を発生させるものであり、塩素ガス、
次亜塩素酸塩、二酸化塩素等である。次亜塩素酸塩の例としては次亜塩素酸ナト
リウム、次亜塩素酸カルシウム等がある。 【0010】 有機臭素化合物、塩素剤の配合比は任意に選ばれるが、本発明方法における顕
著な効果を出すには、有機臭素化合物中の臭素原子を活性化させるに充分な量の
塩素剤が必要である。すなわち、塩素剤の添加量は、有機臭素化合物中の臭素原
子を活性化させるに充分な量であり、臭素原子1ヶに対し塩素原子1ヶがこれに
相当する。実用上は有機臭素化合物中の臭素原子の数と塩素剤の発生する有効塩
素の数の比は1:1〜1:100、好ましくは1:1〜1:5である。この範囲
の外でもそれなりの効果はあるが、添加量の割に効果の増加はなく経済的に好ま
しくない。 【0011】 水系への添加量は、水中の菌数、水質、温度、その他運転条件により異なるが
一般的には、系内の保有水量に対して活性臭素化合物が0.01〜1000pp
m、好ましくは0.1〜100ppmである。ここで活性臭素化合物とは、有機
臭素化合物から塩素剤の作用によって生じたものである。0.01ppm以下で
はその効果が少なく、1000ppm以上ではそれなりの効果はあるが、添加量
の割に効果の増加はなく経済的に好ましくない。 【0012】 本発明の殺菌処理方法は、有機臭素化合物を適度な濃度の溶液として、これに
塩素剤を加え予め混合した後、水系に注入する。有機臭素化合物と塩素剤を混合
する際、有機臭素化合物の溶液に塩素剤を単純に加えるだけでもよいが、有機臭
素化合物の溶液を酸性にし、ここに塩素剤を加えたほうが好ましいことがある。
しかし、本発明はこのような混合方法については特に限定するものではない。 【0013】 本発明の方法においては、これと同時に、他の殺菌処理剤、殺菌剤、スライム
分散剤、防食剤、スケール防止剤を加えることには何ら制限を加えるものではな
い。また臭化ナトリウム(NaBr)など無機臭素化合物との併用に制限を加え
るものではない。 【0014】 【作用】 従来の殺菌処理剤は、微生物を死滅させることだけを目的として、微生物を滅
菌水などに分散させそこに殺菌剤を添加して、濁度の変化やコロニーカウント法
などで微生物の死滅度合いを指標に開発されてきた。しかし、実際の系では微生
物が分泌した粘質性物質、さらに水中の土砂、鉄錆、パルプ、その他有機物等が
混合してスライムを作ってその中に微生物が生息している。そこで、水中に浮遊
している微生物を死滅させる能力があっても、このような有機物に覆われた微生
物に作用しなければ殺菌処理剤としては不十分である。実際、浮遊している微生
物より付着している微生物のほうが薬品に対して耐性が強いという報告〔微生物
の生態16(学会出版センター)37頁〕、スライムを防除するために、グルカ
ナーゼを利用して微生物の分泌した多糖類を分解することにより殺菌力を補う方
法(特聞平3−193号公報)や、スライムの剥離には微生物の分泌した多糖類
の粘性を低下させることが必要であるとする報告(特開平5−155719号公
報)もある。微生物だけでなく周囲の有機物を含めたスライム全体で考えていく
ことの必要性が示唆されている。また、微生物は自ら分泌する細胞外多糖、夾膜
(カプセル)多糖に覆われている種類も多く、しばしば殺菌剤が菌体にまで届か
ない場合もある。ところがこのような多糖類を分泌する微生物ほどスライムを作
り易い。しかし、スライムを形成する能力の高い微生物に効果を示さなければ、
殺菌処理剤として意味がない。従来の殺菌剤はこのような殺菌処理剤としての観
点より開発されていないため、冷却水系や製紙工程に殺菌剤を添加して水中の菌
数が減少していることを確認してもスライムトラブルが発生するという矛盾が多
々生じていたと本発明者は考え、本発明に到達するに至った。 【0015】 臭素化合物の殺菌作用については、臭化ナトリウムと次亜塩素酸ナトリウムか
ら次亜臭素酸を作ることは従来より知られており、これは次亜塩素酸ナトリウム
単独と比較して高pHで殺菌効果が優れているとする報告(J.E.Alleman etc,
Water Reuse Symposium 5 of American Water Works Association Aug/1987,J
.E.Alleman etc,42 nd Annual Purodue Industrial Water Conference May/1
987)、臭化酢酸はムラサキガイの防除に効果がある(特公昭52−84号公報)
、臭化酢酸アルキルエステルが藻類の繁殖抑制に効果がある(特公昭60−46
082号公報)、臭化ニトロアルキルアルコール単独の殺菌力(特開昭59−1
75406号公報)などで公知になっている。しかしこれらの方法もスライムや
多糖類で覆われた微生物を殺菌するとなるとまだまだ不十分である。 【0016】 本発明は、工業用水系に於けるスライム防止方法として、水中に浮遊している
微生物はもちろん、スライム中に生息している微生物を死滅させ、且つ細胞外多
糖や夾膜多糖に浸透してこれら多糖類に覆われた微生物に直接作用して死滅させ
うることによるスライム防止方法を提供するものである。 【0017】 本発明の方法で使用される有機臭素化合物及び塩素剤は本来単独でもそれなり
の殺菌作用をもっているものである。ところがこれら有機臭素化合物と塩素剤が
組み合わさると浸透力を持った、より顕著な殺菌作用を示す。本発明の有機臭素
化合物は分子中に弱い臭素−炭素結合あるいは臭素−窒素結合を有しており、こ
こに塩素剤が臭素−炭素結合あるいは臭素−窒素結合に作用して活性状態の有機
臭素化合物を作る。この活性有機臭素化合物は微生物の分泌する細胞外多糖や夾
膜多糖の粘質性物質及びスライムの内部に浸透する性質を有しており、これらの
中で生息する微生物を殺菌することが可能になった。 【0018】 【実施例】 以下に実施例によって本発明を説明するが、本発明はこれら実施例に限定され
るものではない。 【0019】 〔実施例に用いた有機臭素化合物〕 化合物−C:2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミド (ローム アンド ハース社製“DBNPA”) 化合物−D:1,2,3−トリス(ブロモアセトキシ)プロパン (市川合成(株)製“TBAP”) 化合物−E:ベンジルブロムアセテート (CALGON社製“メルバック−35”) 化合物−F:1,2−ビス(ブロモアセトキシ)プロパン (市川合成(株)製“BBAP”) 化合物−H:ブロモ酢酸 (関東化学(株)製 試薬) 化合物−I:2−ブロモプロピオン酸 (関東化学(株)製 試薬) 化合物−J:2−ブロモ酪酸 (関東化学(株)製 試薬) 化合物−K:ブロムピルビン酸エチルエステル (アルドリッチ社製 試薬) 化合物−L:2−ブロモエタノール (関東化学(株)製 試薬) 化合物−M:ジブロモプロパノール (マナック社製) 化合物−N:ブロモコハク酸イミド (関東化学(株)製 試薬) 以上の有機臭素化合物をアセトン−水(1:1容積比)混合液中に溶解した。 【0020】 〔実施例に用いた殺菌処理剤〕 有機臭素化合物の各1重量%溶液1mlに、次亜塩素酸ナトリウム水溶液(有
効塩素濃度5%)0.2mlを加え供試サンプルとした。また、比較のため純水
1mlに次亜塩素酸ナトリウム水溶液0.2mlを加えたもの、有機臭素化合物 の各1重量%溶液1mlに純水0.2ml加えたものを作成した。 【0021】 〔実施例に用いた菌株〕 エッセレシア コリ(Escherechia coli:IAM−12119) スタフロコッカス アウレウス(Staphrococcus aureus:IAM−12544) シュードモナス エルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa:IFO−12689) シュードモナス フルオレセンス(Pseudomonas fluorecens:IAM−1154) バチルス コアクランス(Bacillus coaqulans:IFO−12583) ベイジェリンキア インディカ(Beijerinckia indica:IFO−3745) アルカリゲネス レイタス B−16(Alcaligenes latus B−16:FERM BP
−2015) キサントモナス カンペストリス(Xanthmonas campestris:IFO−13551) トリコデルマ ビリデ(Trichoderma viride:IFO−5720) サッカロミセス セルビシエ(Saccharomyces cerevisiae:IAM−4274) 【0022】 〔実施例1〕 対数増殖期に調整した菌体エッセレシア コリ、スタフロコッカス アウレウス
、シュードモナス エルギノーサ、シュードモナス フルオレセンス、バチルス
コアクランスをそれぞれ1白金耳、10mlの滅菌水に加え懸濁液とし、これら
菌液をニュートリエントブロース(pH=6.8)(Dicffico社製)のプレートに
0.1ml滴下した後、コンラージ棒で均一によく延ばした。その中心部に、直
径5mmの滅菌済みのグラスフィルターをのせ、殺菌処理剤サンプルを、0.0
2ml滴下した。 【0023】 30℃、3日間培養した後、菌の生育阻止面積を測定した。殺菌処理剤が浸透
した部分には菌の生育がないことから、この菌の生育阻止面積が広いほど殺菌処
理剤は寒天培地中(有機物中)の浸透能力が高く、且つ殺菌能力が高いことを示
している。結果を表1に示す。 【0024】 【表1】【0025】 この結果より、有機臭素化合物単独、次亜塩素酸ナトリウム単独に比べて、有 機臭素化合物と次亜塩素酸ナトリウムを組み合わせたものは、浸透力が格段と向
上し、広い域の殺菌ができることが認められた。 【0026】 〔実施例2〕 対数増殖期に調整した菌体エッセレシア コリ、スタフロコッカス アウレウス
、シュードモナス エルギノーサ、シュードモナス フルオレセンス、バチルス
コアクランスをそれぞれ1白金耳、10mlの滅菌水に加え懸濁液とし、これら
菌液をグリシンNa緩衝液を添加してpH=8.5に調製したニュートリエント
ブロースのプレートに0.1ml滴下し、さらにグリシンNa緩衝液を添加して
pH=8.5に調製した後、コンラージ棒で均一によく延ばした。実施例1と同
様にして、中心部に滅菌済みのグラスフィルターをのせ、この上に殺菌処理剤溶
液を、0.02ml滴下、30℃、3日間培養した後、菌の生育阻止面積を測定
した。結果を表2に示す。 【0027】 【表2】【0028】 この結果より、pH=8.5においても、有機臭素化合物と次亜塩素酸ナトリ ウムを組み合わせたものは、浸透力が優れ、広い域の殺菌ができることが認めら
れた。 【0029】 〔実施例3〕 有機臭素化合物の1重量%溶液1mlに3%塩酸水0.1mlを加えpHを3
以下にして、そこに次亜塩素酸ナトリウム(有効塩素濃度5%の試薬)0.2m
lを加え殺菌処理剤サンプルとした。また比較のため純水1mlに次亜塩素酸ナ
トリウム0.2mlを加えたもの、有機臭素化合物A〜Sの1重量%溶液に純水
0.2ml加えたものも作成した。対数増殖期に調整した菌体エッセレシア コリ
(Escherechia coli)を1白金耳、10mlの滅菌水にサスペンジョンした。こ
の菌液をニュートリエント ブロースpH=6.8プレートと、グリシンNa緩衝
液を添加してpH=8.5に調製したニュートリエントブロースのプレートに、
それぞれ0.1mlを滴下した後、コンラージ棒で均一によく延ばした。その中
心部に置いた滅菌グラスフィルター上に殺菌処理剤溶液を0.02mlを滴下し
、30℃にて3日間培養した。各殺菌処理剤について、菌の生育阻止面積を測定
した。結果を表3に示す。 【0030】 【表3】 【0031】 この結果より、有機臭素化合物と次亜塩素酸ナトリウムを低pHにて混合した
ものは、有機臭素化合物単独、あるいは次亜塩素酸ナトリウム単独の場合より、
浸透力が大きく、且つ殺菌力も大きいことがわかる。 【0032】 〔実施例4〕 PDAプレート(田辺製薬(株))培養したトリコデルマ ビリデ(Tricohderma
viride:カビ類)を滅菌水に入れ、菌数1×108セル/mlの胞子懸濁液を作っ
た。また、サッカロミセス セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae:酵母)を対
数増殖期に調整した後1白金耳を滅菌水10mlに入れよく振り混ぜ懸濁液を作
った。これら菌液をPDAプレートに滴下した後コンラージ棒で均一に延ばした
。その中心部に置いた滅菌グラスフィルター上に殺菌処理剤溶液を0.02ml
を滴下し、25℃にて5日間培養した。各殺菌処理剤について、菌の生育阻止面
積を測定した。結果を表4に示す。 【0033】 【表4】 【0034】 この結果より、有機臭素化合物と次亜塩素酸ナトリウムを混合したものは、浸
透力が大きく、カビ類、酵母に対しても殺菌力が大きいことがわかる。 【0035】 〔実施例5〕 菌体が多糖類で覆われている菌株ベイジェリンキア インディカ(Beijerinckia
indica)、アルカリゲネス レイタスB−16(Alcaligenes latus B-16)、キ
サントモナス カンペストリス(Xanthmonas campestris)のそれぞれを用いて水
中での殺菌試験を行なった。対照としてエッセレシア コリ(Escherechia coli)
を使用した。対数増殖期にあるこれら菌株を1白金耳、100mlの滅菌水に入
れ懸濁液を作った。この菌液をコロニーカウント法にて菌数測定した後、殺菌処
理剤溶液を0.05ml添加して30℃にて1時間、震盪した後、再びコロニー
カウント法にて菌数を測定した。殺菌処理剤添加前と後との菌数測定値より生存
率(%)を求め、殺菌処理剤の評価を行った。結果を表5に示す。 【0036】 【表5】【0037】 この結果より、次亜塩素酸ナトリウム単独では、対照として行ったエッセレシ
ア コリはかなり殺菌されるが、多糖類で覆われている菌株ベイジェリンキア イ
ンディカ、アルカリゲネス レイタスB−16、キサントモナス カンペストリス
には殺菌効果がみられない。これは菌が多糖類により守られていることによるも
のである。有機臭素化合物単独ではいずれの菌に対しても殺菌効果がみられない
。ところが、本発明の有機臭素化合物と次亜塩素酸ナトリウムを組み合わせると 、エッセレシア コリはもちろん、多糖類で覆われている菌株ベイジェリキア イ
ンディカ、アルカリゲネス レイタスB−16、キサントモナス カンペストリス
に対しても極めて強い殺菌効果を示した。 【0038】 【発明の効果】 本発明の方法により少ない殺菌剤の量で水系において大きな浸透力をもって強
い殺菌力を発揮させることができる。その結果、水中にいる微生物を死滅させ、
微生物が分泌した粘質性物質、水中の土砂、鉄錆、パルプ、その他有機物がから
んだスライムに浸透して中に生息している微生物を死滅させ、且つ細胞外多糖や
夾膜多糖に浸透してこれら多糖に覆われた微生物に直接作用して死滅させること
ができる。また、浸透性が強いため、既に形成されているスライムにもその凝集
性を失わせ、スライムを分散、消滅させることができる。さらに本発明の方法は
、従来の塩素系殺菌剤に比べて、高pHでも殺菌力が大きく、また腐食性も少な
いので工業的な使用に好ましい。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 臭素原子に対してα−位及び/またはβ−位の炭素原子に、シ
    アノ基、カルボニル基、カルボキシル基、アミド基、アルコキシル基、ヒドロキ
    シル基、スルホン基より選ばれた一種以上を置換基として有する脂肪族臭素化合
    物、並びにN−ブロムイミド化合物よりなる群から選ばれた一種あるいは二種以
    上の有機臭素化合物を溶液として、これに塩素剤とを予め混合した後、水系に投
    入することを特徴とする水系における殺菌処理方法 【請求項2】 塩素剤が塩素、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム
    、二酸化塩素より選ばれた一種あるいは二種以上である請求項1記載の殺菌処理
    方法

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