JP2553837Y2 - 自動車用灯具のレンズ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、有色のストライプを設
けた、脚を有する、自動車用灯具のレンズに関するもの
である。

【０００２】

【従来の技術】自動車用灯具は、夜間やトンネル内にお
ける走行のための重要な照明用ないし信号用の機器であ
るが、更に、消灯時においては自動車の意匠を構成する
要素である。このため、消灯時の外観を車体色と調和さ
せるように、自動車用灯具のレンズに有色のストライプ
が設けられる。図３は、ストライプを設けた従来例のレ
ンズ１を示し、（Ａ）は断面図、（Ｂ）は正面外観図で
ある。（Ａ）図に示した１ａはレンズの本体部分であっ
て、その周辺部にはレンズの内側（図において下側）へ
突出する突条状の脚１ｂが一体に、白色透明な合成樹脂
材料で成形されている。上記レンズ１の本体部分の外側
面に、本図３（Ｂ）に示すように赤色のストライプ２が
塗料によって描かれている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】図３に示したように、
ストライプと脚とを設けられた従来例のレンズにおいて
は、レンズ１の表面を平滑ならしめるため（Ａ）図に示
すように浅い溝状の凹部１ｃをレンズ外面に設け、この
溝１ｃを埋める形に塗膜を形成してストライプ２を構成
しなければならない。このような溝状の凹部１ｃをレン
ズ外側面に成形しようとすると、レンズに関する部品コ
ストが高価になる。更に、図３（Ｂ）に示したようなス
トライプ２を設けると、レンズ１の周辺部分（脚１ｂに
対応する部分、斑点を付して示した）が枠状に白く見え
るので、意匠的に好ましくない。本考案は上述の事情に
鑑みて為されたものであって、レンズの周囲が枠状に白
く見えることなく、車体色に適合した有色の外観が得ら
れ、しかも部品コストの安価な、自動車用灯具のレンズ
を提供することを目的とする。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに創作した本考案の基本的原理を略述すると次のごと
くである。すなわち、ストライプを印刷した透明なシー
トを、レンズの内面に嵌合する形状に成形して、レンズ
の内側に固着する。固着の方法は接着，粘着，熱融着な
ど、適宜の公知技術を任意に選定して用いることができ
る。上述の原理に基づく具体的構成として、本考案に係
る自動車用灯具のレンズは、有色のストライプを設け
た、脚を有する、自動車用灯具のレンズにおいて、レン
ズの内側に、該レンズの内面に嵌合する形状に成形され
たシート状の透明な部材が固着されており、かつ、上記
の透明な成形シートの周囲を縁どる形に印刷が施される
とともに、上記の縁どりによって囲まれた部分にストラ
イプが印刷されていることを特徴とする。

【０００５】

【作用】上記の構成によれば、ストライプを印刷された
シートを成形してレンズに固着した構造であるから、レ
ンズ表面に塗膜で埋めるための溝状凹部を成形する必要
が無く、レンズの部品コストが安い。さらに、ストライ
プは塗装でなくて印刷されるので大量生産に適し、量産
によるコストダウンが期待できる。さらに、シートの印
刷を適宜に行えば、レンズの周囲が有色の外観を呈し、
白く枠状に抜けて見える虞れが無い。

【０００６】

【実施例】図１（Ａ）は本考案の１実施例を示し、従来
例における図３（Ａ）に対応する断面図である。本実施
例のレンズ４は、その外側面（図において上側面）が平
滑なレンズ本体部４ａと脚４ｂと有しており、その内側
面（図において下側面）に成形されたシート５が固着さ
れている。本例においては上記成形シート５の周囲が粘
着剤８によって脚４ｂの端面に貼着されている。この粘
着を行う場合は透明な両面粘着テープを用いると好都合
である。前記成形シート５の斜視図を図１（Ｂ）に示
す。本例の成形シート５はポリカーボネートのシートを
レンズ４の内面に嵌合する形状に成形したものであっ
て、函状部５ａの周囲にフランジ５ｃを設けた形状であ
り、このフランジ５ｃは前記の脚４ｂの端面に貼着され
る部分である。そして、前記のフランジ５ｃは赤色の印
刷が施されている。本図１（Ｂ）においては赤色印刷を
平行斜線で表わした。この平行斜線は断面を意味するも
のではない。更に、前記函状部５ａの底面に相当する平
面部５ｂには赤色のストライプ５ｄが印刷されている。
この（Ｂ）図に示した成形シート５を、（Ａ）図のよう
にレンズ４の内側面に固着すると、赤色印刷されたフラ
ンジ５ｃが脚４ｂの端面を覆うので、この部分を矢印Ｅ
方向に見たときレンズの脚４ｂに対応する周辺の部分が
従来例（図３（Ｂ））における周辺部３のように白く見
える虞れが無い。また、ストライプ５ｄは成形シート５
に印刷されているので、レンズ４の本体部４ａにストラ
イプを塗装する必要が無く、該本体部４ａの外側面を平
滑に成形すれば足りる（従来例におけるがごとき溝１ｃ
を設ける必要が無い）ので、レンズ４の部品コストが安
価である。この図１に示した実施例のレンズ４は、例え
ば自動車のバックランプ用のレンズとして好適である。

【０００７】図２は、前記成形シート５を構成する工程
の説明図である。（Ａ）図に示した５′はポリカーボネ
ート製の平板状のシートであって、その周辺を縁どる形
に赤色印刷（平行斜線で示す）が施されている。そし
て、上記の縁どり印刷で囲まれた部分に赤色のストライ
プ５ｄ′が赤色で印刷されている。本考案を実施する
際、印刷の色調は適宜に選定することができ、透明印刷
インキ若しくは不透明印刷インキの何れを使用しても良
い。（Ａ）図に示した未成形の、印刷されたシート５′
を、（Ｂ）図のようにダイス６とポンチ７との間に挿入
し、シート５′の材質に応じた適当な温度条件で（Ｃ）
図のようにプレス成形する。本考案における成形された
シートは、図２について以上に述べたように未成形の平
板状シートの状態で印刷することができて、ストライプ
の塗装を必要としないので量産に適している。そして、
印刷の後に成形することができるので量産に適し、製造
コストが安い。しかも、ストライプを印刷された成形シ
ートはレンズの内側面に固着されるので上記のストライ
プ印刷は風雨に晒されることがなく、耐候性，耐久性が
良い。

【０００８】

【考案の効果】以上説明したように、本考案に係る自動
車用灯具のレンズは、レンズの周囲が枠状に白く見える
虞れが無く、印刷の色調を任意に選定して車体色に調和
させることができ、しかも部品コストが安価であり、色
調に関する耐候性，耐久性が優れている。

【図面の簡単な説明】

【図１】（Ａ）は本考案の１実施例を示す断面図、
（Ｂ）は上記実施例における成形シートの斜視図であ
る。

【図２】上記実施例における成形シートの素材に印刷
し、型押成形する工程の説明図である。

【図３】（Ａ）は従来例のレンズを示す断面図、（Ｂ）
はその不具合を説明するための正面図である。

【符号の説明】

１…従来例のレンズ、１ａ…レンズの本体部、１ｂ…
脚、１ｃ…溝、３…レンズの周辺部、２…ストライプ、
３…レンズの周辺部、４…実施例のレンズ、４ａ…レン
ズの本体部、４ｂ…脚、５…成形シート、５′…未成形
シート、５ａ…成形されたシートの函状部、５ｂ…平面
部、５ｃ…フランジ、５ｄ，５ｄ′…ストライプ、６…
ダイス、７…ポンチ。

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 有色のストライプを設けた、脚を有す
   る、自動車用灯具のレンズにおいて、レンズの内側に、
   該レンズの内面に嵌合する形状に成形されたシート状の
   透明な部材が固着されており、かつ、上記の透明な成形
   シートの周囲を縁どる形に印刷が施されるとともに、上
   記の縁どりによって囲まれた部分にストライプが印刷さ
   れていることを特徴とする、自動車用灯具のレンズ。