JP2551021B2 - 指紋像の中心位置決定方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔概 要〕 本発明は、指紋像の中心位置決定方法に関し、 高速で確実且つ簡単に位置決め可能とするための指紋
像の中心位置決定方法を提供することを目的とし、 指紋像の二値化像を互いに垂直な２つの方向に走査し
て、前記２つの方向のそれぞれについて交差隆線数分布
を検出し、該交差隆線数分布曲線の曲率が予め定められ
た閾値より大きい時は、前記交差隆線数が極大値を示す
位置を当該指紋像を中心位置と判定し、前記曲率が前記
閾値より小さい時は、前記隆線の方向分布を検出し、該
方向分布から得られた当該指紋の方向に沿って所定距離
だけ前記二値化像を走査し、該走査により得られた交差
隆線数の極大値の当該指紋の中心軸とし、該中心軸上を
走査して交差隆線数の累計値を求め、該累計値の変化が
最も急激となる位置を当該指紋像の中心位置とするよう
構成した。

〔産業上の利用分野〕

本発明は、指紋像の中心位置決定方法に関する。

〔従来の技術〕

従来は指紋の照合を行うに際し、予め個人対応に指紋
像またはその二値化像の部分画像を辞書に登録してお
き、これと照合対象の指紋像をパターン整合法により位
置決めを行うのが一般的であった。

〔発明が解決しようとする問題点〕

ところがこのような位置決め法は処理に要する時間が
長いという欠点があった。

そこで本発明の目的は高速で確実且つ簡単な位置決め
を可能とする指紋の中心位置決定方法を提供することに
ある。

〔問題点を解決するための手段〕

本発明は指紋の二値化像を互いに垂直な２方向につい
て走査し、それぞれの方向について交差隆線数が極大と
なる位置を検出し、この座標を中心位置とするものであ
る。但し、紋様によっては走査方向の選び方で交差隆線
数分布曲線がなだらかとなり、極大値の位置が判然とし
ない場合が生じる。そこで、上記分布曲線の曲率が所定
の閾値より小さい場合には、隆線の方向分布を検出して
指紋隆線の方向を求め、この方向に沿う所定距離の範囲
内を走査して交差隆線数を調べ、その極大値の位置を指
紋の中心軸とし、この中心軸上で交差隆線数の累計値が
最も急激に変化する位置を、当該指紋像の中心位置とす
る。

〔作 用〕

指紋の二値化像を走査して検出した交差隆線数の曲率
を、所定の閾値と比較することによって指紋の紋様の種
類を識別し、紋様の種類ごとに好適な検出法を使用する
ので、紋様に関係なく指紋の中心位置を的確且つ高速で
検出できる。

〔実施例〕

以下第１図（ａ）〜（ｅ）及び第２図，第３図を参照
しながら本発明の一実施例を説明する。

画像入力部21により指紋像を読み取り〔第２図11参
照〕、二値化部22でこれを二値化する〔第２図12参
照〕。このようにして得られた第１図（ａ）に示す指紋
の二値化像１を、走査回路23によりＸ方向,Y方向に所定
間隔毎に走査を行って、交差隆線数算出回路24で座標対
応に交差隆線数を検出し、更にＸ方向およびＹ方向の交
差隆線数の度数分布を求め、交差隆線数レジスタ27に記
憶させる〔第２図13参照〕。第１図（ａ）は指紋像が渦
状の場合を示す図で、この紋様の場合には交差隆線数分
布曲線３は、図示のように渦の中心の辺りで極大とな
る。

しかしながら第１図（ｂ）に示すような隆線が平行に
流れる紋様の場合には、交差流線数は位置による変化が
少なく、極大値の位置は判然としない。

そこで交差隆線数の曲率を予め定めた閾値と比較し、
曲率が上記所定の閾値より大きい場合は、渦状の紋様で
あると判断でき、この場合にはＸ方向およびＹ方向のそ
れぞれについて交差隆線数が極大となる位置M₁,M₂を指
紋像の中心位置として良く、容易に指紋の中心位置を決
定できる〔第２図14,15,21参照〕。

しかしながら指紋の紋様が前述の第１図（ｂ）に示す
ように平行に流れた紋様の場合には、Ｘ方向,Y方向の交
差隆線数分布を求めても、その変化は小さいため極大値
の位置を明確に把握しにくい。従って交差隆線数分布曲
線３の曲率が上記閾値以下の場合には紋様は流れ型と判
断し、以下に記す処理を行って中心位置を求める。

即ち、方向分布算出回路25により第１図（ｃ）に示す
ように隆線の方向分布を検出し〔第２図15,16参照〕、
得られた方向分布４の大勢を占める方向５に沿って、一
定の走査範囲内で走査を行う〔第２図17参照〕。この走
査範囲は、上記二値化像１内に上記走査方向５およびこ
れに直交する方向を対向する２組の辺として描いた長方
形であって、走査方向指定回路26によって算出し、指定
する。

このようにして得られた交差隆線数の分布曲線３′
は、明瞭な極大値M₃が存在し、この位置を通る軸に関し
てほぼ対称となる。そこでこの極大値M₃の位置を求め
〔第２図18参照〕、これを極値レジスタ29に記録する。

次いで第１図（ｅ）に示すように、上記極大値M₃の位
置を通る軸を中心軸６とし、この中心軸６に沿って交差
隆線数の累計値７の変化を調べて行く〔第２図19参
照〕。この累計値７の変化は図示したように、中心位置
の近辺急激になる。従って中心軸６上における交差隆線
数の累計値の変化が最も急激となる位置M₄を算出し〔第
２図20参照〕、この位置を平行な流れ型紋様の中心位置
として決定する〔第２図21参照〕。

上述した如く本実施例では、指紋の紋様の種類に関係
なく、指紋の中心位置を高速且つ的確に決定できるの
で、指紋照合の高速化，高精度化できる。

〔発明の効果〕

以上の説明から明らかなように本発明によれば、紋様
の種類にかかわりなく迅速且つ的確に指紋像の中心位置
を検出できる。

【図面の簡単な説明】

第１図（ａ）〜（ｅ）は本発明の原理説明図、 第２図は上記一実施例の処理手順説明図、 第３図は上記一実施例を用いた中心位置決定装置の要部
構成図である。 図において、１は指紋像の二値化像、２は隆線、3,3′
は交差隆線数分布曲線、４は方向分布、５は指紋の方
向、６は指紋の中心軸、７は交差隆線数の累計値、M₁〜
M₃は交差隆線数分布曲線の極大値、M₄は交差隆線数累計
値の変化が最も急激となる位置を示す。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】指紋像の二値化像（１）を互いに垂直な２
   つの方向に走査し、該２つの方向のそれぞれについて走
   査方向に交差する隆線（２）の数を検出し、得られた交
   差隆線数分布曲線（３）の曲率が予め定められた閾値よ
   り大きい時は、前記交差隆線数が極大となる位置（M₁,M
   ₂）を当該指紋像の中心位置と判定し、前記曲率が前記
   閾値よりも小さい時は、前記隆線の方向分布（４）を検
   出し、該方向分布から得られた当該指紋の方向（５）に
   沿って所定距離（Ｌ）だけ前記二値化像（１）を走査
   し、該走査により得られた交差隆線数が極大となる位置
   （M₃）を当該指紋の中心軸（６）とし、該中心軸上を走
   査して交差隆線数の累計値（７）を求め、前記中心軸上
   の前記累計値の変化が最も急激となる位置（M₄）を当該
   指紋像の中心位置とすることを特徴とする指紋像の中心
   位置決定方法。