JP2549428B2 - Hfアルキル化及び選択的水素化法 - Google Patents

Hfアルキル化及び選択的水素化法

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Description

【発明の詳細な説明】 [発明の分野] 本発明は炭化水素の処理方法に関するものであって、
さらに詳しくは飽和及び不飽和の脂肪族炭化水素のアル
キル化に関する。より直接的に言えば、本発明はC3
5のオレフィン系及びパラフィン系炭化水素から、分
別、選択的水素化及びアルキル化によって価値の高い炭
化水素生成物を回収する方法の改良に関する。
[発明の背景] 軽質パラフィンをC3及び/又はC4オレフィンでアル
キル化して自動車燃料を製造する方法は、広く商業的に
実施されており、これには液相の弗化水素酸(HF)が触
媒としてしばしば使用される。この方法は米国特許第3,
073,878号、第3,080,438号、第3,249,650号、第3,515,7
70号、第3,560,587号、第3,686,354号、第3,867,473
号、第3,925,502号、第4,139,573号及び第4,161,497号
に記載されている。この方法はまた、1974年2月11日発
行のザ・オイル・エンド・ガス・ジャーナル(The Oil
and Gas Journal)の第78頁以降にも記載されている。
これらの文献はプロセス条件、プロセス設備、HFの再
生、分別及びプロセスに必要な処理手順などを記載す
る。
米国特許第3,655,621号には、耐熱性母体に予備硫化
したニッケルを担持させた触媒を使用して、アルキル化
原料流中のC4ジオレフィンを選択的に水素化する方法
が記載されている。米国特許第3,234,298号には、軽質
のジエン含有分解炭化水素油の選択的水素化が記載され
ている。この方法は幾つかの熱分解操作で得られる灯油
や熱分解ガソリンなどの安定性を増大させる目的で使用
される。このような水素化は上記炭化水素混合物に認め
られるガムを形成し易い性質や他の望ましくない性質を
抑制するので望ましい。このプロセスは炭素数がC3
18の範囲にあるジエン含有炭化水素に適用可能である
記載されており、硫化したニッケル又は硫化したモリブ
デンをアルミナに担持した触媒を使用する。
ある種の炭化水素流中でジオレフィンをモノオレフィ
ンに選択的に水素化することが有益であることは米国特
許第3,696,160号から知ることができる。この特許は航
空燃料及び自動車燃料を製造するためのアルキル化プロ
セスで使用されるプロピレン及びブテン原料に、夾雑物
として含まれるプロパジエン及びブタジエンの選択的転
化に関する。このアルキル化プロセスでは、C3〜C4
料流が高オクタンのC7〜C8生成物に転化される。アル
キル化原料流中に少量でもジオレフィンが存在すると、
タール状の酸−ジオレフィン縮合物を生成するために酸
の消費量が増大し、収益性を減ずるので、ジオレフィン
の存在は望ましくないこともこの特許に記載されてい
る。そして、ジオレフィンの転化には担持されたニッケ
ル及びパラジウム触媒が優れた水素化触媒であるが、こ
の触媒は硫黄含有供給原料で被毒されることが記載され
ている。加えて、この特許は硫化されたニッケル−タン
グステン触媒を使用することも記載している。
選択的水素化方法とHFアルキル化方法を組合せる場
合、水素化帯域流出物をHFアルキル化帯域に供給する前
に、これからエタン、メタン及び水素のような軽質ガス
を除去することが必要である。除去しないとこれら軽質
成分がHFアルキル化帯域から排出されるので、HF酸をロ
スさせる結果となる。
ブチレンのアルキル化の従来のフロースキームでは、
アルキル化帯域循環流からプロパンを除去するためにも
使用される脱プロパン塔から、原料が導かれる。この脱
プロパン塔は軽質ガスを除去するのに利用されるもので
あるが、軽質分を含まないプロパン−プロピレンを得る
ためにはさらに処理が必要である。これに加えて、従来
のフロースキームの欠点は、プロパン−プロピレン留分
の弗化物汚染を避けるために、すべてのアルキル化帯域
循環流に弗化物除去処理を施さなければならないことで
ある。
[発明の概説] 選択的水素化装置からのモノオレフィン原料流、アル
キル化装置用のイソパラフィン原料流及びアルキル化装
置用HFストリッパーからの循環流を受入れて、これらを
3以下の燃料ガス生成物流と、C4以上のアルキル化帯
域用混合原料流とに分離する多機能アルキル化原料スト
リッパーによって、前記の軽質ガスの除去が行えること
が見出された。
本発明の方法はプロパンと軽質炭化水素との分離性を
改善すると共に、より効率的な循環方式を提供する。こ
の方法では、選択的アルキル化帯域へのジオレフィン含
有原料流は、本質的にプロパン及びより軽質の低沸点生
成物を含まない。プロパン及びより軽質な炭化水素は、
選択的水素化帯域を経た水素流、イソパラフィン原料流
及び循環流と共に、アルキル化原料ストリッパーに導入
される。アルキル化帯域循環流を本発明のアルキル化原
料ストリッパーに戻すことによって、循環流の大部分を
占めるC4炭化水素は、弗化物除去処理を受けることな
くアルキル化帯域に戻される。アルキル化原料ストリッ
パーに入るC3以下の炭化水素は塔頂から回収される。
3以下の炭化水素を中間体又は生成物として使用する
には、依然として弗化物除去処理が必要であるが、循環
流に比較して塔頂流の容積は非常に少量であるので、処
理経費は実質的に削減される。
従って、本発明の一具体例は、オレフィン原料流の選
択的水素化を利用してHF酸の使い方を改善したところ
の、弗化水素酸で触媒されるイソオレフィンとイソパラ
フィンとの反応方法である。本発明の方法に於いて、モ
ノ及びジオレフィンを含み、C4及びより重質な炭化水
素を含有する第1原料流は、調節された量の水素と共に
選択的水素化帯域に入る。選択的水素化帯域では原料流
が選択的水素化条件で選択的水素化触媒と接触し、本質
的にすべてのC4及びC5ジオレフィンがモノオレフィン
に転化する。選択的水素化帯域からの流出流と、イソブ
タンを含む第2原料流と、イソブタンを含む循環流は、
アルキル化原料ストリッパー帯域に入る。アルキル化原
料ストリッパーは、ここへのインプットをプロパン及び
より軽質な炭化水素からなる少なくとも一つの塔頂流
と、オレフィン及びイソブタンからなる一つの塔底流と
に分離する。この塔底流はアルキル化促進条件下に操作
されるアルキル化帯域に入り、ここで弗化水素酸触媒と
接触し、C5及びより重質な分岐鎖炭化水素、イソブタ
ン、ノルマンブタン及びプロパンを含有するアルキル化
帯域流出物を生成する。イソストリッパーはアルキル化
帯域流出物の少なくとも一部を受入れ、ノルマンブタ
ン、C5及びより重質な分岐鎖炭化水素を含有するイソ
ストリッパー塔底流と、HF触媒、イソブタン及びプロパ
ンを含有する塔頂流を与え、この塔底流は生成物として
取り出される。イソストリッパー塔頂流はHFストリッピ
ング塔に入り、ここから弗化水素酸触媒が塔頂成分とし
て回収される。そして、主としてイソブタン及び少量の
プロパンを含有するHFストリッパー塔底流は、前記の循
環流としてアルキル化原料ストリッパーに戻される。
従って、本発明の目的の一つは、HFアルキル化帯域と
選択的水素化帯域を使用する複合プロセスの操作を改善
することにある。
本発明の別の目的は、選択的水素化−HFアルキル化の
複合プロセスを操作するために必要な分離操作の一部を
省略することにある。
本発明のさらに別の目的は、複合的に機能するHFアル
キル化プロセスと選択的水素化プロセスに対して、HFア
ルキル化帯域への原料から望ましくない化合物を除去す
る原料処理設備を提供することにある。
本発明の付加的な目的、具体例及び細部はいかに詳述
される。
[発明の詳述] C4オレフィンとイソブタンを含有する原料流からC8
アルキレート生成物を製造する場合を例にとって、本発
明を詳しく説明するが、本発明はこの具体例に限定され
るものではない。呼名を簡単にするために、本明細書で
使用するイソパラフィンは、原料中又はHFアルキル化反
応帯域及びアルキル化原料ストリッパーに関係する循環
流中のイソパラフィンを指すものであって、イソパラフ
ィン系炭化水素である生成物アルキレートを指すもので
はない。
図面に於いて、選択的水素化帯域2はライン14からオ
レフィン系原料を受入れる。この原料は主としてブタ
ン、イソブタン及び混合ブテンからなるが、ブタンジエ
ンも含んでいる。さらに、痕跡量のC3炭化水素を含む
ことができるが、下流側のHF汚染を避けるうえで、これ
らの濃度は予備回収によって最少にしておくべきであ
る。原料流を導くことができる典型的なオレフィン含有
流は、コーキング、スチームクラッキング及び流動接触
分解の各操作により得ることができる。これらの各操作
工程には、オレフィン系原料流からC3以下の炭化水素
を分離回収するための操作が通常含まれる。
図面は流動接触分解工程からライン13によって運ば
れ、脱プロパン塔16からなる分留帯域に入るC3及びC4
炭化水素の混合物のオレフィン含有原料流を示してい
る。塔16は分解操作に於ける生成物回収設備の一部であ
る。この明細書に於いて分留帯域とは、所望により一つ
又はそれ以上の分留塔を含むことができ、分離が遂行さ
れるプロセス装置を言う。好ましくは分留塔は端段塔で
ある。分留帯域はまた、必要に応じて、リボイラー、塔
頂蒸気コンデンサー及び塔頂成分受器などのような補助
設備を含んでいる。脱プロパン塔16は混合供給物からプ
ロパンとプロピレンを分離し、これらを塔頂成分として
ライン18に放出する。ライン18の塔頂成分は生成物流と
して通常回収される。脱プロパン塔16の塔底物はライン
14に入り、これは既述した選択的水素化帯域2への原料
となる。
選択的水素化はジオレフィン系炭化水素の少なくとも
実質的な量を、モノオレフィン系炭化水素に転化させる
ために使用され、これによって望ましくないジオレフィ
ン系炭化水素の濃度が低下する。ジオレフィン系炭化水
素の濃度が低下すると、アルキル化反応器を汚すオリゴ
マーなどの有害な副生成物のアルキル化帯域での生成量
を減少させることができる。また、ジオレフィンの減少
はHFアルキル化触媒の消費量を削減する。本発明を実施
する場合、選択的水素化を行うための設備的要求事項
は、複合的に機能するアルキル化原料ストリッパーの直
ぐ上流側で、水素化工程を実施することで最少にするこ
とができる。このことは低廉で軽便な水素化方法を提供
する。
選択的水素化帯域ではブテン−1からブテン−2への
異性化が有利に進行することも知られている。ブテン−
2はアルキレート生成物のオクタン価を上昇させるの
で、アルキル化原料中でより好ましいオレフィンであ
る。従って、選択的水素化はアルキル化帯域に対して二
重の利益をもたらすもである。
水素化帯域で採用される選択的水素化条件は、脱プロ
パン塔16のような上流側装置のそれと好ましくは同じで
ある。一般に、最少圧力は炭化水素反応物を液相に保持
するのに充分でなければならない。それ故に、適当な操
作圧力の広い範囲は、約280〜約7000kPag(40〜1000psi
g)であって、なかでも約350〜2000kPag(50〜300psi
g)が好ましい。水素化帯域内の反応は約25℃(77゜F)
から250℃(480゜F)までの比較的温和な温度条件が好ま
しい。特に水素化帯域を約50℃(120゜F)〜約80℃(175
゜F)の温度に保持することが好ましい。選択的水素化帯
域を通過する反応物の液空間速度は、1.0以上であるべ
きであって、好ましくは5.0以上、さらに好ましくは5.0
〜35hr-1の範囲にある。反応条件の最適な組合せは、供
給原料流の組成、水素化触媒の活性及び安定性、上流側
及び下流側装置の操作条件などのようなファクターに依
存する。好ましくは選択的水素化帯域2は、脱プロパン
塔16の塔底条件と両立する条件で操作される。
水素化帯域2にはオレフィンに加えて、水素流がライ
ン20から供給される。この水素流にはアルキル化原料ス
トリッパーで最終的に除去されるところのかなりの量の
C3以下の炭化水素が含まれ、その水素流中の濃度は35モ
ル%にもなる。
触媒に依存して変化するたの操作条件は、選択的水素
化帯域での水素対ジオレフィンの比である。パラジウム
担持アルミナ触媒のような触媒では、所望の程度の水素
化を達成する上で、水素濃度を高くする必要がある。従
って、パラジウム触媒では水素対ジオレフィンのモル比
を2:1〜5:1の範囲で操作することが望まれる。そしてこ
の触媒を使用する場合、前記の範囲より高い水素濃度を
採用すると、モノオレフィン系炭化水素のかなりの量が
飽和される結果になり、このことは目的生成物の収率を
減少させるので、もちろん好ましくない。
後述するような好ましい硫化ニッケル触媒にあって
は、液相の供給流に存在するジオレフィン系炭化水素を
選択的に水素化するのに必要な化学量論量の水素の2倍
以下の水素量とすべきである。好ましくは、選択的水素
化帯域に入る物質の水素対ジオレフィン系炭化水素のモ
ル比は1:1〜1.8:1に保持される。ある場合には、化学量
論的に必要とされる水素量より少ない水素量で操作する
ことが好ましい場合もあり、0.75:1のモル比が許容され
ることもある。
選択的水素化帯域は好ましくは触媒の円筒床を含有す
る単一の固定床反応器からなり、反応物はそこを垂直方
向に通過する。反応物は良好な混合が得られるよう、上
昇流で反応器を流れることが好ましい。触媒はペレット
状、球状、押出し形状、不規則形状などいずれでも差支
えない。従来技術は選択的水素化触媒として幾つかの金
属の使用を教えていて、それらにはタングステン、パラ
ジウム、銀、モリブデン及びニッケルが含まれる。これ
らの触媒のなかにあって、水素化触媒に存在する活性金
属成分がニッケル又はパラジウムである触媒が好まし
く、特にニッケルが好ましい。非貴金属を使用する場
合、触媒は高濃度で活性金属を担持しているべきであ
り、その金属成分は触媒組成物の10重量%以上であるこ
とが好ましく、さらに好ましくは組成物の20重量%以上
が金属である。選択的水素化触媒が硫黄成分をも含有し
ていることはさらに好ましい。従って、好ましい触媒は
硫化された高ニッケル触媒である。この種の触媒の調整
法は米国特許第3,919,341号に記載されている。好まし
い触媒はこの特許に記載されている触媒より硫黄濃度が
低く、その濃度は約0.1〜0.4重量%であることが好まし
い。硫黄成分の基本的な機能はニッケルの水素化活性を
緩和するものであると考えられている。当業界では水素
化反応を緩和する目的で、選択的水素化帯域に一酸化炭
素を通すことが知られている。一酸化炭素又は他の緩和
剤を使用することは必須ではないが、使用するこもでき
る。
選択的水素化触媒はまた、プロセスで採用される条件
下でほぼ不活性な担体物質を含有する。この担体は様々
な多孔性物質から形成することができ、そうした多孔性
物質には各種のクレー、珪藻土(diatomaceous eart
h)、アルミナ、セラミック、アタパルガスクレー、合
成又は天然のシリケート、カオリン、珪藻土(kieselgu
hr)、チタニア、アルミナ、結晶性アルミノシリケート
及びこれらの2種以上の混合物が含まれる。特に好まし
い担体はアルミナである。担体は約0.3〜約0.8g/ccの嵩
密度と、約50〜約550m2/gの表面積と、約0.1〜約1.0ml/
gの細孔容積を通常有している。
選択的水素化帯域からの全流出物の一部は、水素化帯
域の入口に循環される。この循環は炭化水素流の水素溶
解度以上の水素が必要な場合、ジオレフィン濃度を低下
させ、液相条件を保持するために利用される。
選択的水素化帯域の正味の流出物は、脱プロパン塔か
ら取出される液相プロセス流と性状が類似するが、ジオ
レフィン系炭化水素の濃度は低く、その分モノオレフィ
ン系炭化水素の濃度が高い。この流出物は帯域4に、具
体的にはアルキル化原料ストリッパー23に入る。このス
トリッパー23は当該複合プロセスに於けるアルキル化領
域の望ましい原料であるところの、最も軽質のノルマル
炭化水素よりも揮発性であるすべての化合物を除去でき
るよう設計され、操作される。これらの軽質物質はここ
ではプロパンとそれより低沸点の炭化水素であるが、こ
れらは水素と軽質炭化水素の混合物である正味の塔頂流
に濃縮される。アルキル化原料ストリッパーの役割の一
つは、アルキル化帯域を操作する上で問題となる揮発性
物質のアルキル化帯域への侵入を防止することである。
軽質モノオレフィンがアルキル化帯域に入ることも、こ
れらのアルキル化及び重合により、望ましくない副生成
物の生成を助長する。
アルキル化原料ストリッパーにはC4イソパラフィン
に富んだ別の原料流も供給される。好ましくはこのイソ
パラフィン原料流は、図面に示す通り、高純度のイソブ
タンであって、ライン26から塔23に供給される。高純度
であることはより高沸点の炭化水素の含量が20%より少
ないことを意味する。この好ましい態様では、塔23は通
常40〜50のトレーを有する多段塔である。塔23の温度と
圧力は好ましくはライン24の入口部位に於ける選択的水
素化流出物の条件に対応する。塔23にはライン28を経て
HFストリッパー12から得られる循環流も供給されるが、
これについては後に詳述する。循環ライン28には通常未
転化のノルマルパラフィン及びイソパラフィンが含まれ
る。図面に示した操作では、ライン28は未転化のイソブ
タンに富んでいる。この明細書で富むとは、その成分を
50モル%以上含んでいることを意味する。
より重質の成分はストリッパー帯域4の底部から出
て、アルキル化帯域10への原料となるが、この原料はモ
ノオレフィン、イソパラフィン及び少量のパラフィンの
混合物である。好ましくはこの混合原料はイソブタン、
ノルマルブタン、イソブテン及び塔23から回収されるノ
ルマルブテンを含有し、これらはアルキル化反応器8に
供給される。
アルキル化反応器に入る供給物は、酸の消費量を削減
し、アルキレート生成物の純度を改善するために、乾燥
されているべきであり、硫黄含量も低いものであるべき
である。ちなみに、水はアルキル化装置の酸環境下で腐
蝕の原因になる。硫黄を除去するために供給物を処理す
る方法は良く知られている。供給物を乾燥する場合、標
準的には乾燥剤による乾燥法が採用される。乾燥剤を使
用する方法又は他の乾燥法の別法として、アルキル化原
料ストリッパーを使用して、アルキル化反応器を通過す
る全供給物を乾燥することもできる。その様に原料スト
リッパーを設計するには、原料の抜出し部位と最も下位
の湿潤流入口部位との間に、ほぼ20〜25のトレーが必要
である。塔23は塔の底部とライン24の入口部位との間に
ほぼ20〜25のトレーを通常必要とするので、アルキル化
原料ストリッパーに乾燥能力を容易に付加することがで
きる。それ故に、本発明のアルキル化原料ストリッパー
を使用すると、アルキル化帯域の上流側に乾燥装置を設
置する要を省略することができる。
アルキル化反応は鉱酸触媒、ここでは弗化水素酸の存
在によって促進される。酸は最少量の水を含む液相に保
持される。通常許容される酸中の最大水分量は約5重量
%である。新鮮な酸を装置に供給した場合、その酸は通
例極めて乾燥された状態にあり、約0.5%またはそれ以
下の水しか含んでいない。
一般にアルキル化条件の圧力は、炭化水素と酸を液相
に保持できるに充分な圧力であって、通常は約140kPag
(20psig)〜約3500kPag(500psig)の範囲、より好ま
しくは700kPag(100psig)〜約1700kPag(250psig)の
範囲にある。反応物と触媒が接触する容器内の圧力は、
ほぼ1050kPag(150psig)であって、下流側分留装置で
維持される圧力を本質的にフロート(float)するもの
であることが好ましい。アルキル化反応は−18℃(−4
゜F)以下から約90℃(195゜F)の温度でも進行するが、
商業的に一般に行なわれている約10℃(50゜F)〜約60℃
(140゜F)の温度範囲でイソパラフィン−オレフィンの
アルキル化を操作することが好ましく、代表的で特に好
ましい操作温度は、32℃(90゜F)である。
アルキル化帯域での典型的な操作条件は、重合反応よ
りモノアルキル化を促進して高品位のアルキレートを生
成させるために、オレフィン系物質の濃度に対するパラ
フィン系物質又は他のアルキル化可能な物質の濃度の比
を高くとることが含まれる。この比率の広い範囲は約6
〜約20であるが、好ましい操作範囲は8〜12である。ア
ルキル化プロセスで変化する第二の比率は、形成された
全エマルジョン、すなわち、混合帯域である反応部位に
供給された酸対炭化水素の比である。この比は約10:1か
ら約0.2:1と広く変化させることができるが、本発明の
方法は酸対炭化水素の比を約2:1で操作することが好ま
しい。
当業界で知られているオレフィン−イソパラフィンア
ルキル化プロセスは数多く存在する。これらプロセスの
大部分は、上に述べたアルキル化条件の範囲内で操作さ
れるが、アルキル化を実施する装置やフローパスに於い
てかなり相違する。これらの相違はイソパラフィンにオ
レフィンを接触させる方法を変えて最適な品位のアルキ
レートを得る試みに由来する。オレフィンとイソパラフ
ィンとのアルキル反応は、極めて早く起こり、また弗化
水素酸はモノオレフィンの重合反応を触媒するので、標
準的なアルキル化方法は酸を含まないオレフィンとイソ
パラフィンを混合して反応混合物をまず調製し、次いで
この反応混合物を弗化水素酸と混合物ことからなる。こ
の操作では酸含有流中にオレフィン含有流を迅速に分散
させるために、多数のベンチュリー、すなわち混合ノズ
ルが使用される。
生起するアルキル化反応は相当の発熱反応であるの
で、反応熱を除去する手段を設置する必要がある。反応
熱除去は通常反応する混合物内に間接熱交換器を設置す
るか、あるいは反応物流の一つ、通常は酸流を反応帯域
に入る前に冷却することで行なわれている。酸流と炭化
水素流との混合によりエマルジョンが形成されるが、生
成されたアルキレートから弗化物を除去し、アルキレー
トのオクタン価を改善する上で、エマルジョンを絶え間
なく撹拌してエマルジョン状態を維持することが好まし
い。エマルジョン状態の維持は、エマルジョンに実質的
な撹乱状態を与える内部突起を多数備えた容器からなる
ミキサー又はソーカー帯域に、エマルジョンを通過させ
ることで通常行なわれる。このエマルジョンは次いで適
当な静置容器に供給され、ここでエマルジョンの比重分
離が行なわれる。酸相は再循環のため除去され、再循環
の酸は反応熱を除くために冷却される。静置容器から除
去された炭化水素相はイソストリッパーに送られる。こ
の炭化水素相は主としてアルキレートと、アルキル化帯
域に供給された過剰のイソパラフィンを含む。別のプロ
セスではソーカー帯域を全く利用せず、また他のプロセ
スは脱弗素のために分離された炭化水素相を再生された
極めて強い酸流と接触させる。反応容器の設計と操作
法、アルキル化工程の全体的な操作手順、好ましいHF触
媒の再生法その他の詳細は、既述した先行技術文献から
知得することができよう。
アルキル化帯域から得られる正味の炭化水素系流出流
は回収領域10のイソストリッパー32に供給される。この
イソストリッパーはHF触媒による自動車燃料アルキル化
装置に通常付設されるものと実質的に同じものである。
イソストリッパーはC8アルキレートと他のC5以上の炭
化水素を、プロセスの生成物として正味の塔底流54に回
収する。アルキル化触媒としてHFを使用した場合、塔底
流はアルキル化帯域で生成したイソペンタンを少量含有
する。この例では若干のプロパンもアルキル化帯域で生
成される。イソブタンとノルマルブタンはアルキル帯域
への循環のため、イソストリッパーからライン34を経て
取出される。ノルマルブタンはアルキレート生成物に対
する気化要件(vapor requirements)を満足させるため
に、必要に応じてイソストリッパーから取出すこともで
きれば、イソストリッパーに添加することもできる。ア
ルキル化帯域の触媒としてHFを使用した場合、弗素化合
物がこれらの出口流に通常含まれる。従って、これらの
出口流は次いでアルミナ処理装置及び苛性液接触帯域か
らなる弗化物除去帯域に供給すべきである。イソブタン
はイソストリッパーから塔頂成分と共に取出され、また
サイドカットとしてイソストリッパーから取出すことも
でき、これはアルキル化反応器に直接戻される。
イソストリッパーからライン58に取出される塔頂成分
は凝縮され、通常酸ドラム60とHFストリッパー12からな
る酸回収装置に送られる。回収装置から得られるHFはラ
イン62を経てアルキル化反応器に戻され、一方、通常イ
ソブタンに富んだ残りの炭化水素流は、本発明によれ
ば、HFストリッパーからライン27及び28を経て、軽質成
分を除去するためのアルキル化原料ストリッパーに供給
される。
図面に示す具体例に於いて、ライン30のアルキル化原
料は、イソストリッパー32からライン34を経て運ばれる
イソブタンに富んだ循環流と混合される。この混合流は
シェル・エンド・チューブ型熱交換器からなるアルキル
化反応器に入る。反応器では熱交換器のチューブ側に比
較的冷たい水を通すことで反応器温度を所望レベル以下
に保持している。HF酸触媒はライン36から反応器のシェ
ル側に入る。反応生成物と混合酸触媒はライン40でセト
ラー38に送られる。セトラー38は液体炭化水素反応物と
液体HF酸との相分離を行う。セトラーの底部から流出す
る酸は、ライン42からライン36に送られる。
アルキル化反応生成物と未分離のHF酸は、セトラー38
の塔頂から出てライン44を経てイソストリッパー32に運
ばれる。イソストリッパー32は棚段分留塔であって、そ
の下方中位にリボイラー46を備えている。ライン44の入
口部位から塔内を流下するに従って、未反応イソパラフ
ィンは除去濃縮され、既述した通り、ライン34を経て反
応器に循環される。イソストリッパー32にはライン48を
経て飽和のブタンを供給する入口が設けられ、アルキレ
ート生成物の蒸気圧要件を満たす上で必要な場合には、
ここからブタンが供給される。そして、プロセス流から
ノルマルブタンを除去する必要がある場合には、ライン
50からこれが除去され、処理器52で苛性処理を受けた
後、ブタン生成物として回収される。イソストリッパー
32から塔底流としてライン54に取出されるアルキレート
生成物は、アルキル化帯域から出る前に、処理帯域56で
苛性処理を受ける。イソストリッパー32の対向端では、
混合ブタンとより軽質な炭化水素が塔頂成分としてライ
ン58に取出されて凝縮され、ドラム60に集められる。ラ
イン58を通って運ばれるHF酸の大部分は、ドラム60のブ
ーツから排出される。このHF酸はライン62でライン32に
戻され、反応器8に循環される。ドラム60からの軽質炭
化水素は、ライン64及び66でイソストリッパー32に戻
り、塔頂リフラックスとなる。残りの軽質炭化水素はラ
イン64からHFストリッパー12に入り、さらにHF酸濃度が
減少せしめられる。
HFストリッパー12は軽質炭化水素からHF酸をもう一度
分離する。リボイラー68はHFストリッパーの下部域に分
離のための熱を提供する。ライン70はストリッパーから
塔頂成分HF酸をライン58に戻し、ドラム60でこれを分離
してそのブーツからイソストリッパーにHF酸を循環させ
る。HFストリッパーの塔底からライン27に取出される軽
質炭化水素は、1wt.ppm程度と少量のHF酸しか含んでお
らず、その濃度は帯域29での苛性処理によりさらに減少
する。
既に述べた通り、ライン28は未反応のブタンと軽質炭
化水素を、アルキル化帯域からアルキル原料ストリッパ
ーに循環させる。アルキル原料ストリッパーは、プロパ
ンの沸点付近で塔頂留分と塔底留分の間の中間留分が得
られるよう設計されている。従って、塔底からライン30
に取出される既述のイソブタンに富んだ原料流は、通常
若干のプロパンを含有する。リボイラー72はカラムの塔
底温度を調節し、必要に応じて熱を提供する。カラムの
上端ではプロパンと軽質ガスが塔頂成分としてライン78
に取出され、コンデンサー74を経て蒸気ドラム76に集め
られる。凝縮した液体の一部は、ライン80でリフラック
スとしてカラムに戻される。
プロパン及びプロピレンを含む軽質ガスのすべては、
ドラム76の頂部からライン82を経て系外に取出される。
このような態様は塔頂流中のプロパン及びプロピレンの
量が比較的少ない場合に主に採用される。塔頂流中のプ
ロパン及びプロピレンの量が増大した場合には、プロパ
ン及びプロピレンを液状生成物として回収し、ドラム76
の塔底からライン84に取出すことが好ましい。スロリッ
パー23で除去されるプロパン及びプロピレンの量が比較
的多量になり、カラムへの全供給物の3wt%程度になっ
た場合には、プロパンとプロピレンのサイドカットを、
カラムの上端から取出すこともできる。図面はこの態様
を示し、カラム23の上段のトレイからプロパンとプロピ
レンの生成物を、サイドカットライン86に取出してい
る。
実施例 以下に示す実施例は、本発明に従って設計されたアル
キル化原料ストリッパーの操作を具体的に説明するもの
である。この例は、類似の処理装置についての経験から
得られた操作知識と、エンジニアリング計算に基づくも
のである。この例は、ライン84又は86にてプロピレン又
はプロパンを個別に回収しなかったことを除外して、第
1図に示したと実質的に同一配置の装置を使用した。各
ラインについて、Kmol/hrの単位で示す生成物組成は下
記の表に示す。
第1図に示すフローに従って、表に示す組成を有する
3及びC4オレフィン原料を、ライン13から脱プロパン
塔16に供給する。ライン18には表に示す組成のプロピレ
ン/プロパン生成物流を回収する。原料の残部は塔底流
として脱プロパン塔から出て、温度80℃(180゜F)、圧
力3100kPag(450psig)でライン17を通り、選択的水素
化反応器2の入口に送られ、ここでライン20からの水素
インプット流及び脱水素循環流と混合される。水素イン
プット流の組成は表に示されている。選択的水素化は、
アルミナ担体に担持させた硫化ニッケル触媒の存在下、
温度80〜90℃(180〜190゜F)、圧力3100kPag(450psi
g)で遂行される。表には選択的水素化生成物の組成が
示されているが、この生成物はライン24にてアルキル化
原料ストリッパー23に供給される。表に示す組成を有す
る高純度イソブタン流は、ライン26からストリッパー23
に供給される。ライン28からの循環流は温度75℃(170゜
F)、圧力2400kPag(350psig)でカラムに入り、これは
表に示すような炭化水素を系内に供給する。
アルキル化原料ストリッパー23からの塔底流30は、HF
アルキル化帯域6の主原料である。この主原料は表に示
す通りの組成を有し、これらはアルキル化帯域内で公知
の方法で反応し、ライン54にてイソストリッパー10から
回収されるアルキレート生成物と、HFストリッパー12か
らライン28に取出され、原料ストリッパー塔23に供給さ
れる循環流を生成する。
プロパンと軽質炭化水素は塔頂成分としてカラム23か
ら、コンデンサー74で冷却されるライン58に回収され、
ドラム76に集められる。カラム23に必要なリフラックス
は、ドラム76から凝縮液体を取出し、ライン80によりカ
ラム23の上部に戻すことで満足される。正味の軽質ガス
流はカラムの頂部から抜出されるが、その組成は表に示
される。ライン82の内容物は燃料ガスとなる。
【図面の簡単な説明】
図面は本発明方法の一実施例を示すフローシートであ
る。 2:選択的水素化帯域、4:アルキル化原料ストリッパー、
6:アルキル化帯域、8:反応器、10:イソストリッパー、1
2:HFストリッパー、
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−48637(JP,A) 特開 昭47−15385(JP,A)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】a) オレフィン炭化水素とC4ジオレフ
    ィンを含有する第1原料流(14)を、調節された量の水
    素供給流(20)と混合して、選択的水素化触媒を含有
    し、C4ジオレフィンがモノオレフィンに転化するよう
    選択された水素化条件にある水素化反応帯域(2)に供
    給し、 b) 水素化反応帯域(2)からの流出流(24)、イソ
    ブタンを含む第2原料流(26)及びイソブタンを含む循
    環流(28)を、アルキル化原料ストリッパー帯域(4)
    に供給し、プロパン及びより軽質な炭化水素を含む塔頂
    流(78)と、ジオレフィン及びイソブタンを含む塔底流
    (30)を回収し、 c) アルキル化促進条件下で操作されるアルキル化帯
    域(6)に、前記の塔底流(30)を供給してHF酸触媒と
    接触させ、C5及びより高級な分岐炭化水素、イソブタ
    ン、ノルマルブタン、プロパン及びHF酸を含有するアル
    キル化帯域流出流(44)を生成させ、 d) このアルキル化帯域流出流(44)の少なくとも一
    部をイソストリッパー(32)に供給してHF酸触媒、イソ
    ブタン及びプロパンを含有するイソストリッパー塔頂流
    (58)と、生成物流であるC5及びより高級な分岐鎖炭
    化水素を含有するイソストリッパー塔底流(54)を取得
    し、 e) このイソストリッパー塔頂流(58)をHFストリッ
    ピング塔(12)に供給し、HFストリッパー塔頂流(70)
    と、プロパン及びイソブタンを含有するHFストリッパー
    塔底流(27)を取得し、 f) HFストリッパー塔底流(27)の少なくとも一部
    を、前記の循環流(28)として前記のアルキル化原料ス
    トリッパー帯域に供給する、 ことを包含するオレフィン及びイソパラフィンの弗化水
    素酸触媒によるアルキル化−水素化方法。
  2. 【請求項2】前記の選択的水素化触媒がアルミナ担体に
    ニッケル金属を担持させたものである請求項1記載の方
    法。
  3. 【請求項3】第1原料流(14)が本質的にC4オレフィ
    ン及びジオレフィンからなり、第2原料流(26)が本質
    的にイソブタンからなる請求項1記載の方法。
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