JP2542395B2 - 観賞用置物 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［発明の目的］ ［産業上の利用分野］ この発明は園芸と同様の工法をもって自然のパターン
を模倣したデザインを組み合わせてなる箱庭に準ずる鑑
賞用置物に関するものである。

［従来の技術］ 従来から鑑賞用置物として箱の中に土砂を入れ、小さ
な木や陶磁器の人形、家、橋、舟等を配して庭園、山水
等を模した箱庭のなかで、石組に人工樹木をあしらって
奥山の出湯の景観を表現したり、枯山水の石庭等におい
て樹木を自然パターンに模倣したものは見あたらず、木
の枝等が配設されていたため、鑑賞用として物足りない
問題が残っていた。

［発明が解決しようとする問題点］ この発明は、従来、木の枝を利用した場合、模倣でき
なかった細かい小枝を表現するために草木を根の細根を
もって上述の自然の樹木を模倣できる草木の根からなる
素材の処理工法を開発し、得られた人工樹木と石組の組
合わせによる鑑賞用置物を得ようとするものである。

［発明の構成］ ［問題点を解決するための手段］ この発明の目的を達成するため、草木の根を素材とし
樹木様に加工した人工樹木に石組をあしらい形成した鑑
賞用置物において、草木の根のうち細かい根を含めて掘
り出した草木の根からなる素材を水分が少なくとも50％
以上含有させるようにして乾燥のうえ、樹木の細い枝先
まで模して剪定加工し、樹脂被装と所要の着色塗装によ
って四季の自然のパターンを模した人工樹木を形成した
ことを要旨とするものである。

［作用］ この発明の作用効果を説明すると、木の枝を利用して
も太い大木、例えば乗鞍岳の喬木の雷に打たれた樹木、
針葉樹、闊葉樹の落葉した冬枯れ状態の枯木等厳しい奥
山の樹木をその細かい枝の先まで表現するものとして草
木の根を細根まで掘り出して処理することによって自然
のパターンの模倣したデザインを構成し得る作用効果大
きい。さらに、草木の根を剪定処理して若葉、紅葉、樹
氷等四季を彩る樹木の種類に応じた態様も模倣すること
ができるので、さらに鑑賞用として優れた効果を広く及
ぼすことができる。

また、奥山の渓流、出湯のほとりの石組と人工樹木の
組合せの鑑賞用置物として旅の思い出となる景観を表現
し、また装飾用として効果を高め地域産業にも貢献でき
る有用な民芸品として利用価値が高い。

［実施例］ この発明の実施例を以下図面に基づいて説明する。

第１図はこの発明の鑑賞用置物１の実施例１を示すも
のである。この置物は台板２上に接着剤を介して配設さ
れた奥山の渓谷の一部の自然を模して川石を適切に組合
わせた石組３組の間から湧き出る出湯の様子を表すと共
に、川石の間および背景には闊葉樹と針葉樹の枯木状態
の人工樹木４の細い枝ぶりもそのままにこの間に人工白
樺５を配して奥山の自然を表し、さらに石組み３に登り
易く踏台６となるなつめの木の切片をあしらったもので
ある。人工白樺５は木を枝を乾燥したものを剪定し白色
の塗料を持って塗工したしたものである。

一方、人工樹木４については第２図（イ）、（ロ）に
示すさつき、つげ等の低木の根を加工してなるもので、
以下この処理工法を説明する。

即ち、木の枝を利用しても太い大木を模した場合、細
かい枝ができないので木の根をその細い根も含めて掘り
出しできるだけ上皮をとり日陰で乾燥する。この場合、
自然乾燥では脆くなるので少なくとも水分50％以上含有
させるものとする。つぎに、目標とする針葉樹、闊葉
樹、枯木、腐蝕木等に模して所要の剪定加工をし、通常
木工ボンドを使用して樹脂被装する。人工白樺５の場合
は塗料を塗工し、再び乾燥する。

なお、必要によって二次的に剪定加工し、所望の人工
樹木を得て接着剤により置物の台板２上に必要な位置に
配設する。このとき、草木の根からなる素材は、根を上
下反対にして細い根（人工樹木４の細枝となる部分）が
全体的に上方に延びるようにして配置する。

第２図に示す人工樹木の素材7,8となるつつじの根
は、それぞれ上下を反転したものであり、（イ）図は細
い根を多数有する素材７、（ロ）図は比較的太い支根を
木の枝に利用する素材８を示す。その他、模倣する人工
樹木の根がその枝を模しやすい他、しそ、よもぎ等の草
の根も剪定することによって人工樹木の模したよいもの
ができる。

つぎに、第３図に示す実施例２の人工樹木と石組３の
組合せは四季を彩る景観の一つとして紅葉する人工樹木
4aを配設したもので、上述の加工を施した人工樹木の枝
におがくずを乾燥した上、篩分けしたものに必要な色彩
で着色した上、素材側に接着剤を塗工した上、霧吹きで
吹きかけてなるものである。この他若葉や常緑樹等も同
様に加工できる上、樹氷もナイロン、毛糸の短い切片に
おがくずの白い着色粒子をまぜて草木の根からなる素材
に吹付けることによって加工することができる。

［発明の効果］ この発明は上述の構成を有するので下記の利点があ
る。

（１）従来の木の根、切株、流木その他草木等を素材と
して所望の形状を人工樹木として模造する場合、木枝で
は困難であった細かい枝を草木の細い根をも含めて掘り
出し加工することによって目標とする針葉樹、闊葉樹、
また白樺等に模して剪定加工し、四季を彩る若葉、青
葉、紅葉、さらに樹氷等の自然のパターンに模したデザ
インを構成することができる。

（２）従って、この人工樹木と石組みのあしらいによっ
て奥山の景観、秘境の鑑賞用置物となる民芸品の装飾用
効果を高め、地域産業の振興に貢献できる。

（３）又、根は少なくとも水分50％以上含有するように
乾燥されているため、脆くなることはない。特に細い根
が乾燥しすぎて、折れるといったことがないため、長期
間安定して鑑賞することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の鑑賞用置物の実施例１の全体説明斜
視図、第２図は樹木に模して加工される木の根の素材の
斜視説明図、（イ）図は細かい根を有する素材、（ロ）
図は比較的太い根を有する素材、第３図は鑑賞用置物の
実施例２の全体説明斜視図である。 （主要部分の符号の説明） １……鑑賞用置物、３……石組、４……人工樹木、7,8
……草木の根からなる素材。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】草木の根を素材とし樹木様に加工した人工
   樹木（４）に石組（３）をあしらい形成した鑑賞用置物
   において、 草木の根のうち細かい根を含めて掘り出した草木の根か
   らなる素材（7,8）を水分が少なくとも50％以上含有さ
   せるようにして乾燥のうえ、樹木の細い枝先まで模して
   剪定加工し、樹脂被装と所要の着色塗装によって四季の
   自然のパターンを模した人工樹木（４）を形成したこと
   を特徴とする鑑賞用置物。