JP2538252B2 - 光センサの製造方法 - Google Patents

光センサの製造方法

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光佑 池田
裕子 和田
孝弘 西倉
登 由上
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、ファクシミリ装置や光ディスクなどのOA機
器の画像入力部に用いられる光センサの製造方法に関す
るものである。
(従来の技術) 近年、ファクシミリ装置や各種OA機器の画像情報入力
部の小型化や画像ひずみの改善を目指して原稿幅と同一
寸法の密着型ラインセンサが開発され、これを用いた画
像読取装置が使用され始めており、さらに現在では性能
面での向上、すなわち高速化や画品質の向上が強く望ま
れている。
さて、CdS,CdSeあるいは固溶体CdS-CdSeを主体として
成る光センサは、光電流が大きいのが特徴で、このため
このセンサを用いた密着型ラインセンサでは、周辺回路
の設計が容易となる。一方、この光センサは、光電流Jp
の光照射に対する応答速度が遅く、しかも照射光強度
(すなわち原稿からの反射光強度)Lに対する比例性に
劣るという二つの欠点がある。すなわち、前者ではJpの
立上り時間τや立下り時間τが通常使用時のセンサ
面強度100luxで2〜3msecと長く、後者ではJp∝Lγ
したときのγ値が、50〜100luxで0.6〜0.75と小さい。
(発明が解決しようとする問題点) このように、センサの光電流の立上り時間や立下り時
間が長いと、このセンサを用いたラインセンサの読取り
走査速度が4〜5ms/lineと制限されてしまうという問題
があった。また、γ値が小さいと、センサ面での光強度
に応じて生じる光電流、すなわち出力信号値が図面に見
られるようにγ=1.0の場合は、比例しているのにγ=
0.6の場合は、ひどく比例性が劣ることが分かる。この
ため中間調の再現に余分の回路処理を必要とするという
問題があった。
CdS,CdSeあるいは固溶体CdS-CdSeをCdCl2蒸気中で活
性化熱処理した光導電型センサの場合、γ値を大きくす
ることは、例えば不純物であるCu濃度を高くするなどの
方法によって実現される。しかし、この方法では、光電
流の立下り時間τは短かくなるが、立上り時間τ
長くなり、全体としての光応答速度が遅くなるとともに
光電流Jpも小さくなるという問題があった。
したがって、本発明は、光電流Jpを大きくしたにもか
かわらず光応答速度を速くするとともに、γ値をできる
だけ1に近づけるようにした光センサの製造方法を提供
することを目的とするものである。
(問題点を解決するための手段) 前記目的を達成するため、本発明は、絶縁性基板上に
CdS、CdSeあるいは固液体CdS-CdSeのいずれかから成る
光導電体薄膜を形成し、前記薄膜を高温でCdCl2の蒸気
に暴露し、光電的に活性化熱処理した後、対向電極を設
け、その後、少量のCuを前記絶縁性基板温度が400℃以
下の温度で蒸着し、その後Cuを前記光導電体薄膜中に拡
散させ、その後さらに保護膜を形成することを特徴とす
る。
(作用) 本発明の方法によれば、CdS系光導電型センサの光電
流値が大きいという特長を損わずして、しかもその光応
答速度を著しく速くし、さらにγ値を大きくすることが
できる。光電流は、その立下り時間τにほぼ比例する
ものであるが、この立下り時間が短かくなっても光電流
が小さくならないのは本発明の方法により半導体薄膜中
の光キャリア(電子)の移動度が大きくなるためであ
る。
(実施例) 以下、本発明の実施例をCdS0・6Se0・4を例にとり説明
する。ガラス基板(コーニング社、#7059、230×25×
1.2mm3)上に厚さ4000ÅのCdS0・6Se0・4の蒸着膜を形成
し、フォトエッチングにより主走査方向に島状(90×35
0μm)に8ビット/mmの割合で1728ビット配置する。
この島状のCdS0・6Se0・4膜を500℃でCdCl2の飽和蒸気中
で加熱処理して光電的に活性化して光導電体膜にした
後、その島状の膜の各々に対向電極(NiCr/Au蒸着膜)
すなわち共通電極と個別電極を形成する。対向電極のギ
ャップは60μmである。その後、母体であるCdS0・6Se
0・4膜に対して0.005〜0.1モル%のCuを蒸着した後、拡
散させる。Cu量が0.005モル%より少ないと効果が小さ
く、0.1モル%より多いと立上り特性が悪くなる。Cu蒸
着時の基板温度は室温から400℃までとする。基板温度
が400℃を越えると特性のバラツキが生じた。Cu蒸着時
の基板温度が低い場合や必要特性を得るために、Cu蒸着
後、さらに中性または少量の酸素を含む雰囲気中、150
〜400℃で加熱処理を施す。その後、シリコン樹脂やポ
リイミドなどの保護膜を形成し、ラインセンサを完成す
る。これらラインセンサのうちの1ビットの特性を調
べ、Cu蒸着時の基板温度が150℃の場合の結果を第1表
にまとめる。比較のため、通常のCdS0・6Se0・4:Cu(0.01
〜0.1モル%)蒸着膜を上記同様活性化熱処理後電極形
成したセンサについても調べてある。なお、特性は印加
電圧DC10V、光照射は緑色LED光(570nm、100lux)を1Hz
(0.5secずつ)で点滅して測定した。応答時間は、光電
流Jpが0から飽和値の50%に上がるまでの時間を立上り
時間τ、Jpが飽和値からその50%に下がるまでの時間
を立下り時間τとした。またγは50〜100lux間での平
均値である。
このように、光電流を数μA以上と大きく保ったまま
立下り時間τを0.5msec程度にまで小さく、γも0.70
以上、多くは0.80以上と大きくできる。一方、光電流の
立上り時間τは、通常センサの場合と違ってτが小
さくなっても大きくならず、実際にラインセンサして用
いる場合には、原稿黒地でも存在する反射光(少なくと
も3%はある)がバイアス光となり、これが常時センサ
に照射されるため、実効的には著しく小さくなる。その
効果を第2表に示す。この程度のバイアス光照射による
他の特性(Jp、τ、γ)の変化は殆どない。
本実施例では、CdS0・6Se0・4を例にとったが、CdS,CdS
eや他の組成比の固溶体CdS-CdSeでも同様の効果が得ら
れる。
(発明の効果) 本発明によれば、光導電体薄膜上に電極を形成した後
にCuを蒸着し、このCuを光導電体薄膜中に拡散させたの
で、光電流値が大きいままで光応答速度が著しく速く、
しかもγ値の大なる光センサを実現できることが可能と
なる。これにより、余分な回路処理を行なうことなく、
中間調再現に優れた高速の画像読取装置ができる。
【図面の簡単な説明】
図は、光センサにおける光電流と光強度の関係を示す図
である。
フロントページの続き (72)発明者 由上 登 門真市大字門真1006番地 松下電器産業 株式会社内 (56)参考文献 特開 昭59−65853(JP,A) 特開 昭60−216589(JP,A) 特開 昭57−129827(JP,A)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】絶縁性基板上にCdS、CdSeあるいは固溶体C
    dS-CdSeのいずれかから成る光導電体薄膜を形成し、前
    記薄膜を高温でCdCl2の蒸気に暴露し、光電的に活性化
    熱処理した後、対向電極を設け、その後、少量のCuを前
    記絶縁性基板温度が400℃以下の温度で蒸着し、その後C
    uを前記光導電体薄膜中に拡散させ、その後さらに保護
    膜を形成することを特徴とする光センサの製造方法。
  2. 【請求項2】光導電体薄膜中へのCuの拡散は、Cu蒸着後
    さらに中性または少量の酸素を含む雰囲気中、200〜400
    ℃で加熱処理したことを特徴とする特許請求の範囲第1
    項記載の光センサの製造方法。
  3. 【請求項3】前記蒸着Cuの分量は、母体の光導電体に体
    して0.005〜0.1モル%であることを特徴とする特許請求
    の範囲第1項記載の光センサの製造方法。
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