JP2533921B2 - 溶融還元炉の出湯方法 - Google Patents

溶融還元炉の出湯方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本願発明は高圧で操業される溶融還元炉から溶融金属
またはスラグを連続的に取り出す出湯方法に関する。
〔従来の技術〕
溶融還元プロセスの経済性を高めるためにはプラント
を連続的に操業できることが必要であり、そのためには
溶融還元炉内の溶融金属やスラグを連続的に炉外へ取り
出すことができなければならない。しかしながら、従来
の技術の中にはこの要求を満たすような装置または方法
は開示されていない。以下に従来の技術について、第2
図〜第4図に基づいて説明する。
高炉用マッド自動供給装置に関する考案(以下、従来
技術Iという)を示す第2図において、31マッド供給装
置本体であり、この本体はテーブル(図示せず)に上架
されており、昇降装置(図示せず)により必要時に鋳床
上に上昇させ、不要時には床下に降下させ格納されてい
る。32は高炉用マッド33のセットされたパレットで、マ
ッド33はマッド押し出し用治具34に押し出されてコンベ
ヤ35に乗り移り、コンベア35上を搬送されたマッドは次
段のコンベヤ36に乗り移った後、マッドガン37のマッド
投入口38まで搬送後に投入され、このマッドにより高炉
の出銑口が塞がれる。
溶融還元炉における出湯方法に関する発明(以下、従
来技術IIという)を示す第3図において、41は溶融還元
炉本体、42は溶融金属、43はスラグ、44は溶融還元炉本
体の炉壁、45は「ト」の字形のパイプによる出湯治具
で、該出湯治具の「ト」の字形の第2画部分の取出しパ
イプ46が上記炉壁44から炉内に挿入され、「ト」の字形
の出湯治具の第1画部分の上部の圧力を溶融還元炉本体
44の圧力より低くすることによって、取出しパイプ46を
経て溶融還元炉本体41から溶融金属42を取出し容器47に
移すものである。
高温溶融金属用炉に関する発明(以下、従来技術III
という)を示す第4図において、51は炉本体、52は溶湯
である。53は炉本体に付設した湯道で、その基端開口53
aは炉底部に通じ、中間部では揚湯管54によって上向き
揚湯部53bが形成され、該揚湯管54の上端に外部に開放
された出湯樋55を連結して出湯口53cを形成している。5
6は揚湯管54の下部に設けられたガス吹込口で、このガ
ス吹込口に対して外部ガス供給装置(図示せず)から圧
力ガスが供給され、このガスはガス吹込口5に内装した
気泡化部材57で気泡化されて揚湯管54内の溶湯に吹き込
まれ、揚湯管54内のこの気泡ガスを含む溶湯58は比重が
軽くなり、その湯面は気泡ポンプ作用によって押し上げ
られて出湯樋55に達すると、揚湯流となって出湯口53c
から流出してレードル59に排出される。60は揚湯管54に
配装された加熱用誘導コイルである。
〔発明が解決しようとする課題〕
従来技術Iに係る考案は出銑口の開口作業という非常
に危険な作業を伴い且つ連続的に溶融金属を出湯するこ
とができない。
また、従来技術IIに係る発明には、出湯治具45内の第
1画上部の圧力を炉内圧より低くする手段についての具
体的な記載がなく、また溶融金属42の流出量の調節を行
うための圧力調節の方法が不明である。さらに、取出し
パイプ46内には溶湯の凝固を防止する手段がないから、
出湯休止または設備のトラブル等により取出しパイプ46
内に滞留した溶湯はやがて凝固してしまう。また、シャ
ッターで溶融金属の流出量を調節することもできると記
載されているが、スライド部の摩耗・つまりなどの故障
が多く長期に渡って使用できない。
さらに、従来技術IIIに係る発明は、湯道53の基端開
口53aから上向き揚湯部53bに至るまでの溶湯の凝固を防
止するような装置を有していないから、該部分の溶湯が
凝固する可能性がある。また、揚湯管54内には気泡ガス
を含む溶湯58を押し上げるために大量のガスが吹き込ま
れるので、たとえ加熱用誘導コイル60が配装されていて
も溶湯の温度低下は避けることができず、その大量のガ
スが出湯口53cから出る溶湯と共に外部に吹き出される
ので大変危険である。
上記に鑑み、本願発明は、危険がなく、溶湯の通過部
に機械物を有せず、連結管内で溶湯が凝固せず、出湯装
置の溶湯の温度低下がなく、簡単な構造にして連続出湯
が可能で且つ出湯量の調節が容易な溶融還元炉の出湯方
法を提供することを目的とする。
〔課題を解決するための手段〕
上記課題を解決するために、本願発明の要旨は、内圧
が大気圧より高い溶融還元炉の炉底部と出湯炉の炉底部
を連結管によって直結し、上記出湯炉には出湯炉内溶湯
面が溶融還元炉内圧と大気圧との差に相当するヘッド差
だけ溶融還元炉内溶湯面より高い位置を採ることが可能
な出湯口を設け、上記溶融還元炉の内圧を調整するか又
は上記連通管で連結された部分に外装された電磁ポンプ
の電磁力の作用により上記出湯炉からの出湯量を制御
し、上記溶融還元炉の内圧を定期的に変動させるか又は
上記電磁ポンプの電磁力の作用により連通管内の溶湯を
揺動させて連通管内の溶湯の凝固防止を図り、さらに出
湯炉に付設したO2吹込装置から出湯炉にO2を吹き込むこ
とにより出湯炉内の溶湯とO2を反応させて出湯温度を制
御することを特徴とする溶融還元炉の出湯方法にある。
〔作用〕
上記構成を有する本願発明は、以下のように作用す
る。
出湯炉の出湯口のレベルは溶融還元炉内溶湯面レベル
より高く、従って溶融還元炉は前記両レベル差に見合う
圧力で操業されている。そして溶融還元炉内への原料の
投入および反応により溶融還元炉内の溶湯が増加し、そ
の分溶融還元炉内の溶湯面レベルが上昇しようとする
が、そのレベル上昇力は連通管を通じて直ちに出湯炉に
伝えられ、その結果出湯炉内の溶湯面レベルが上昇し、
その結果溶融還元炉内で増加した溶湯に見合う量の溶湯
が出湯炉の出湯口から排出される。このようにして溶湯
を連続的に排出することができる。
また、溶融還元炉内の圧力を微小量変化させるか又は
電磁ポンプの電磁力を変化させることにより、溶融還元
炉内溶湯面に対する出湯炉内溶湯面の高さを変化させ、
その結果出湯炉から出される溶湯流量を一時的に変える
ことも可能である。
また、出湯量が極めて少ない場合か、または何らかの
理由、たとえば排出された溶湯を受ける受湯鍋の交換時
等の場合においても、連通管内の溶湯の冷却・凝固を防
止するとができる。即ち、連通管によって連結された部
分に配設された電磁ポンプを間歇的に作動させるかまた
は溶融還元炉内の圧力を間歇的に変動させることによ
り、連通管内の溶湯を溶融還元炉と出湯炉との間で揺動
させ、連通管内の溶湯の凝固を防止できる。
さらに、出湯炉にはO2吹込装置が付設されているの
で、O2吹込装置から出湯炉にO2を吹き込むことにより出
湯炉内の溶湯中の可燃成分とO2を反応させて反応熱を
得、この反応熱により溶湯が出湯炉を上昇していく過程
で放出する熱を補い、適正な温度で出湯することができ
る。
〔実施例〕
第1図において、1は溶融還元炉で外面は鉄皮で覆わ
れて内面は耐火物でライニングされ、炉内圧は大気圧よ
り高く(例えば約2kg/cm2G)、上部にガス排出口2を有
し、外周面から内周面には反応用酵素と浴撹拌用ガス
(以下、溶融還元炉吹込ガスと呼称する)を吹き込むた
めの複数の羽口3aが形成されている。1aは溶融金属およ
びスラグからなる溶湯で、1bは溶湯面である。上記羽口
3aに矢印で接続されている細線は、溶融還元炉吹込ガス
(A)の供給配管を示す。
4は上記溶融還元炉1の底部と出湯炉5の底部に連通
する連通管、5aは該出湯炉5の溶湯面、6は出湯炉5の
上部に形成されたガス排出口であり、上記出湯炉の上端
側方に大気に開放された出湯樋7を連結して出湯口8が
形成され、該出湯口8は、溶融還元炉内圧と大気圧の差
に基づくヘッド差によって出湯炉内を上昇した溶湯を排
出しうる高さにある。9は該出湯炉の下部に付設された
O2吹込装置、10は出湯口より排出された溶湯を受入れる
受湯鍋、11は上記連通管4外周に配設された電磁ポンプ
である。上記O2吹込装置9に矢印で接続されている細線
は、O2の供給配管を示す。
溶融還元炉1のガス排出口2はダクト12を経てダスト
セパレータ13に連結され、該ダストセパレータ13はダク
ト14を経て予備還元炉15に連結され、該予備還元炉15は
ダクト16を経てサイクロンセパレータ17に連結され、該
サイクロンセパレータ17はダクト18を経てガス冷却除塵
器19に連結され、さらに該ガス冷却除塵器19はダクト20
を経てガスホルダー21に接続されている。上記ダクト1
2、14、16、18および20において、矢印は溶融還元炉の
排出ガスの流出方向を示す。
22は溶融還元炉1内の上部に配設された圧力検出端で
あり、該圧力検出端22は導入管23によって圧力調節計24
と接続され、さらに圧力調節計24は配線25によってダク
ト20内に設置された圧力制御弁26と接続されている。
上記構成を有する本実施例の全体のフローについてま
ず説明する。
溶融還元炉1には投入口3bおよび3cを経て後述する予
備還元鉄および石炭、石灰等の副原料(C)が供給さ
れ、投入された予備還元鉄中に含まれる酸素と羽口3aよ
り炉内に吹き込まれる酸素が溶湯を通じて上記副原料と
反応し、還元性ガスであるCOガスを主成分とするガスを
生成し、一方予備還元鉄は約1400℃以上の高温の溶湯内
で溶融還元されて溶融鉄となる。
溶融還元炉1の炉頂のガス排出口2からは高温・高圧
のガスが排出され、ダストセパレータ13へ送られて、そ
こでダストを除去された後、予備還元炉15に達する。こ
の予備還元炉15では鉄鉱石(B)が投入されて、上記の
高温・高圧のガスによって予備還元されて予備還元鉄と
なる。この予備還元鉄は予備還元炉15より引き抜かれた
後、シュート27を経て溶融還元炉1に供給される。予備
還元炉15を経た排ガスはサイクロンセパレータ17に至
り、そこでガス中に含まれる微粉予備還元鉄が分離され
た後ダクト18に達する。一方、サイクロンセパレータ17
においてガスより分離された微粉予備還元鉄は吹込管28
を経て溶融還元炉1に吹込まれる。
高温で且つダストを含む排ガスはダクト18を経てガス
冷却除塵器19に至り、そこで冷却されると共にダスト分
を除かれた後ガスホルダー21に送られる。ガスホルダー
21に送られたガスは可燃成分であるCOとH2を多量に含ん
で発熱量が高いので、工場内の各種設備用の燃料として
利用される。
上述のようにして溶融還元炉1で生成された溶湯の排
出方法について以下に説明する。
溶融還元炉1は大気圧よりも高い圧力(例えば、約2k
g/cm2G)で操業され、一方出湯炉5は大気圧下にある。
従って、溶融還元炉1内圧と出湯炉5内圧との間の圧力
差によるヘッド差だけ溶湯1aは出湯炉5中を押し上げら
れて、出湯樋7より受湯鍋10に連続的に排出される。
また、本プロセスは基本的には連続出湯方式で操業さ
れるが、受湯鍋10の取替時等のために出湯を一時停止さ
せたり、出湯流量を増減させることも可能であり、それ
は以下のようにして行う。
圧力検出端22で検出された炉頂圧に応じて圧力調節計
24を介して圧力制御弁26の開度を調整することにより溶
融還元炉1内圧を変更させ、その結果溶融還元炉1内圧
と出湯炉5内圧との圧力差が変化し両炉の溶湯面レベル
差を変更できるので出湯量を変えることができる。例え
ば、第1図に示す状態で溶融還元炉1内の圧力を増加さ
せると溶湯面1bは下降し、そのため出湯炉5の溶湯面5a
が上昇する。この結果出湯流量は第1図の状態よりも増
加する。逆に同圧力を低下させると出湯流量は減少し、
更に圧力を下げると出湯は停止される。
次に、出湯炉内の溶湯の温度低下防止装置について説
明する。
出湯炉5の下部にはO2吹込装置9が設けられており、
O2発生源(図示せず)で生成されたO2はこのO2吹込装置
へ送られた後出湯炉5内へ吹込まれ、出湯炉内の溶湯中
に含まれる炭素などの可燃成分と反応し、COなどのガス
となって出ていくが、この際発熱を伴う。これによって
出湯炉内の溶湯の温度の低下を防止することができる。
上記反応の結果発生したガスはガス排出口6より炉外に
排出される。
なお、加熱装置としては前記の形式だけでなく、他の
方式、例えば誘導加熱装置を用いることもできる。
次に、連通管内の溶湯の凝固防止対策について以下に
説明する。
連通管内の溶湯量は少なく、また連通管には外部加熱
源が無いため、溶湯の連通管内での滞留時間によっては
溶湯が冷却されて凝固する可能性がある。
例えば、排出された溶湯を受ける受湯鍋の交換時、前
記の方法によって出湯を一時的に停止する必要があり、
もし何らかの対策を施さない場合は連通管4内の溶湯は
停止状態となり、冷却されるため凝固する虞がある。あ
るいはまた、出湯炉において何らかのトラブルが発生し
て出湯できない場合、同様の理由で連通管内の溶湯が凝
固することがある。しかし、本願では連通管4外周には
電磁ポンプ11が配設されているので、そのような際には
この電磁ポンプ11を動かして連通管内の溶湯を溶融還元
炉1と出湯炉5との間で揺動させることによって溶湯の
凝固を防止することができる。また、このような防止策
は前記の電磁ポンプによらない方法によっても可能であ
る。即ち、溶融還元炉1の圧力を上記した圧力制御弁26
で間歇的に増減させて連通管内の溶湯を揺動させること
もできる。
なお、前記電磁ポンプ11は前記の目的以外に、出湯流
量を補助的に制御する手段としても使用可能である。
〔発明の効果〕
本発明は以上説明したように構成されているので、以
下に説明するような効果を奏する。
溶融還元炉の圧力と出湯炉の圧力の差を両炉の溶湯
面レベル差でカバーしながら出湯するという簡単な構成
であるので、トラブルの虞もなく安全・確実に連続出湯
を行うことができる。
出湯量の調整は、排ガス系に配設された圧力制御弁
の開度を調整して溶融還元炉内の圧力を変更するか又は
電磁ポンプの電磁力を変化させることにより、容易且つ
任意に行うことができる。
連通管で連結された部分に電磁ポンプを配設し、こ
の電磁ポンプで連通管内の溶湯を揺動させることにより
連通管内での溶湯の凝固を防止することができる。ま
た、溶湯還元炉の圧力を定期的に変動させることによっ
ても、連通管内の溶湯を揺動させることができるので、
連通管内に溶湯が長時間滞留することはなく、従って溶
湯の凝固を防止できる。
出湯炉にO2吹込装置を付設することにより、出湯炉
内の溶湯とO2を反応させて反応熱を得ることができるの
で、出湯炉内の溶湯温度が低下することはない。
【図面の簡単な説明】
第1図は本願発明に係る出湯方法を実施するに好適な溶
融還元炉、出湯炉および付属設備の概略構成図、第2図
は従来技術Iの高炉用マッド自動供給装置の平面図、第
3図は従来技術IIに係る出湯方法を適用した溶融還元炉
の正面図、第4図は従来技術IIIを貯銑炉に適用した概
略構成図である。 1……溶融還元炉、1a……溶湯、1b……溶湯面、4……
連通管、5……出湯炉、5a……溶湯面、8……出湯口、
9……O2吹込装置、11……電磁ポンプ、26……圧力制御

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】内圧が大気圧より高い溶融還元炉の炉底部
    と出湯炉の炉底部を連結管によって直結し、上記出湯炉
    には出湯炉内溶湯面が溶融還元炉内圧と大気圧との差に
    相当するヘッド差だけ溶融還元炉内溶湯面より高い位置
    を採ることが可能な出湯口を設け、上記溶融還元炉の内
    圧を調整するか又は上記連通管で連結された部分に外装
    された電磁ポンプの電磁力の作用により上記出湯炉から
    の出湯量を制御し、上記溶融還元炉の内圧を定期的に変
    動させるか又は上記電磁ポンプの電磁力の作用により連
    通管内の溶湯を揺動させて連通管内の溶湯の凝固防止を
    図り、さらに出湯炉に付設したO2吹込装置から出湯炉に
    O2を吹き込むことにより出湯炉内の溶湯とO2を反応させ
    て出湯温度を制御することを特徴とする溶融還元炉の出
    湯方法。
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