JP2533665B2 - 原子力プラントの異常診断方法及び原子力プラント - Google Patents

原子力プラントの異常診断方法及び原子力プラント

Info

Publication number
JP2533665B2
JP2533665B2 JP2019064A JP1906490A JP2533665B2 JP 2533665 B2 JP2533665 B2 JP 2533665B2 JP 2019064 A JP2019064 A JP 2019064A JP 1906490 A JP1906490 A JP 1906490A JP 2533665 B2 JP2533665 B2 JP 2533665B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
conductivity
correlation
information
power plant
nuclear power
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2019064A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH02290595A (ja
Inventor
大和 朝倉
誠 長瀬
元昭 宇多村
俊介 内田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Ltd filed Critical Hitachi Ltd
Priority to JP2019064A priority Critical patent/JP2533665B2/ja
Publication of JPH02290595A publication Critical patent/JPH02290595A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2533665B2 publication Critical patent/JP2533665B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E30/00Energy generation of nuclear origin
    • Y02E30/30Nuclear fission reactors

Landscapes

  • Monitoring And Testing Of Nuclear Reactors (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、水質データに基づく原子力プラントの異常
診断方法及び装置に係り、特に異常事象を早期に検知し
対処するのに好適な沸騰水型原子力プラントの水質診断
方法及び装置に関する。
〔従来の技術〕 沸騰水型原子力プラントの水質管理は、導電率,pH等
の連続的にモニタリングされているオンラインデータ
と、腐食生成物,化学不純物濃度等の定期的に採取され
るサンプリング水を化学分析して得られるオフラインデ
ータとに基づいて行なわれている。従来の水質診断シス
テムでは、水質変動から原子力プラントの運転状態や構
成機器の異常を正確に検知するには、オンラインデータ
だけでは不十分であり、オフラインデータも必要とする
ため、水質変動時に水質管理オペレータにかかる負担が
大きかった。
水質データから構成機器に生じつつある異常を検知す
るシステムとして、特開昭59−60293号公報に記載のよ
うに、原子炉一次系の各サンプリング位置における水中
のイオン濃度の増減パターンを異常事象毎に予め作成し
た基準パターンと比較して生じつつある異常を診断する
方法が知られている。
また、特開昭61−68593号公報には、原子力プラント
の水質データをオンラインまたはオフラインでデータフ
ァイルに入力し、一括してデータ処理を行うことによ
り、水質データの一括管理及び水質に係わるプラントの
異常を早期に発見することが提案されている。そして、
異常の診断の一例として、化学的に相関関係をもつ水質
データ(例えば導電率とpH)の相互比較により異常を診
断することが記載されている。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかし、特開昭59−60293号公報のものについては、
実プラントにおいては、原子炉一次系を流れる水の中に
は外部から混入する不純物の他に、イオン状の腐食生成
物が存在するので、含まれるイオン種の種類が非常に多
くなり、単なるイオン濃度の増減だけでは異常事象を正
確に診断することが難しかった。
また、特開昭61−68593号公報では、例えば導電率とp
Hの相互比較によりどのように異常を診断するかについ
ては具体的に開示されていなかった。そして、この従来
例では、例えば導電率とpHの相互比較に基づいて異常原
因を同定することについては配慮されていなかった。即
ち、水質データには複数の構成機器の状態についての情
報が含まれているので、一つのサンプリングポイントの
導電率とpHの相互比較ではどの構成機器にどのような異
常が生じているのか,即ち異常原因を正確に同定するこ
とは困難である。
本発明の目的は、発生した異常事象を早くかつ同定の
精度を向上できる原子力プラントの異常診断方法及び原
子力プラントを提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
上記目的は、本発明の第1の発明によれば、原子力プ
ラントにおいて、水の導電率とpHを測定し、測定により
得られた前記導電率と前記pHの相関関係を求め、この相
関関係の情報と、予め準備されている異常事象別の導電
率とpHの相関関係の情報とを比較し、異常事象を同定す
ることにより達成できる。
また上記目的は、本発明の第2の発明によれば、複数
の個所で水の導電率とpHを測定し、測定により得られた
導電率とpHの相関関係を複数の個所において求め、これ
らの相関関係の組合わせの情報と、予め準備されている
異常事象別の、複数の個所の導電率とpHとの相関関係の
組合わせの情報とを比較することにより達成できる。
また上記目的は、本発明の第3の発明によれば、測定
された導電率と予め設定されているpHの相関関係を求
め、この相関関係の情報と、予め準備されている異常事
象別の導電率とpHとの相関関係の情報とを比較して異常
事象を同定することにより達成できる。
更に、上記目的は本発明の第4の発明によれば、原子
力プラントの水の導電率とpHの測定値とをオンラインで
取り込み、各測定時刻における前記導電率および前記pH
の測定値の相関関係を求め、この相関関係の情報と、定
常運転時の該導電率およびpHの測定値の相関関係の情報
とを随時比較することにより、生じつつある異常事象を
オンラインで弁別診断することにより達成できる。
更に上記目的は本発明の第5の発明によれば、各測定
時刻における導電率とpHの相関を直線回帰により統計処
理し、得られた一次回帰直線の傾きから傾きが正の場
合、負の場合、0又は無限大に近い場合、相関が顕著で
なく直線関係が得られない場合の4ケースに分類し、両
者の相関関係の情報を組合わせることにより異常事象を
オンラインで弁別診断することにより達成できる。
また上記目的は、本発明の第6の発明によれば、上記
第1から第5の発明のいずれかにおいて、前記導電率と
pHの相関関係の情報を、前記導電率の対数値と前記pHの
相関関係の情報にすることにより達成できる。
また、上記目的は本発明の第7の発明によれば、各測
定時刻における導電率の対数値とpHの相関を直線回帰に
より統計処理し、得られた一次回帰直線の傾きから傾き
が+1前後の場合、−1前後の場合、傾きの絶対値が1
より十分小さいか又は大きい場合、相関が顕著でなく直
線関係が得られない場合の4ケースに分類し、両者の相
関関係の情報を組合わせることにより異常事象をオンラ
インで弁別診断することにより達成できる。
また上記目的は本発明の第8の発明によれば、原子炉
一次系内を流れる水の導電率とpHを測定する導電率計及
びpH計からの測定データを取り込み、前記測定個所にお
ける導電率とpHの相関を演算し、演算により得られた前
記相関関係の情報と、予め準備されている異常事象別の
導電率とpHとの相関関係の情報とを比較することによっ
て、異常事象を同定する演算装置とを有する原子力プラ
ントの異常診断装置が提供される。
上記目的は本発明の第9の発明によれば、上記第8の
発明において、異なる測定個所において前記各機器を流
れる水の導電率とpHを各々測定する複数の導電率計及び
pH計と、該導電率計及びpH計からの測定データを取り込
む手段と、前記各々の測定個所における導電率とpHの相
関を演算する手段と、得られる複数の測定個所の前記導
電率と前記pHの相関関係の組合わせの情報と、予め準備
されている異常事象別の複数の測定個所の導電率とpHと
の相関関係の組合わせの情報とを比較することによっ
て、異常事象を同定する演算手段とを有することにより
達成できる。
〔作用〕
本発明の第1の発明は、測定により得られた導電率と
pHの相関関係の情報と、予め測定され準備されている異
常事象別の導電率とpHの相関関係の情報とを比較するこ
とにより、原子力プラントにおける多種多様な異常事象
のうち発生している異常事象を早く同定でき、その同定
の精度を向上できる。
従来の技術である特開昭59−60293号公報は、予め想
定した異常原因に基づく水中イオン成分の増減に基づい
て、正常状態における水中の標準イオン濃度と対比して
基本ベクトルを作成し、この基本ベクトルと配管系の複
数個所において測定したイオン濃度に基づいて作成した
測定ベクトルとを対比することにより、異常原因を検知
するという発明を記載している。特開昭59−60293号公
報は、具体的には3頁の表に異常事象別の基本ベクトル
のを示している。この基本ベクトルは、1つの異常事象
毎に、5つの測定場所における電導度、pHを「1」(上
昇)、「0」(正常状態)、「−1」(低下)のベクト
ル要素で表わしている。測定ベクトルは、測定場所での
電導度等の測定値を正常値と比較し該当するベクトル要
素を付与することによって作成される。測定ベクトルと
基本ベクトルを比較する従来技術は、各測定場所におけ
る電導度、pHの相関関係を求めていないので、異常事象
の同定の精度が低いという問題がある。
本発明の第1の発明は、導電率及びpHの測定値を用い
てこれらの相関関係を求めているので、得られた導電率
とpHの相関関係の情報には導電率及びpHの変化の度合い
が反映される。このため、第1の発明は異常事象の同定
の精度を高くすることができる。
本発明は次の考え方に基づいてなされたものである。
室温における一次冷却水系の水の導電率の値は、不純
物が混入しない状態では、微量のイオン状腐食生成物が
主に影響する。この一次冷却水系の水に酸性の不純物が
混入して導電率が増加した場合は、導電率の増加量Δx
は混入した不純物が電離して生成る水素イオン濃度CH
アニオン濃度CAの関数として次式で表される。
Δx=λ・CH+λ・CA (1) ただし、λは水素イオンの当量イオン導電率,λ
はアニオン種の当量イオン導電率 室温下では、一般にλ≫λであることから、
(1)式は(2)式で近似できる。
Δxλ・CH (2) すなわち、室温導電率の増加量は水素イオン濃度に比
例する。
同様に、塩基性の不純物が混入した場合には、 ΔxλOH・COH (3) ただし、λOHは水酸イオンの当量イオン導電率,COH
水酸イオン濃度となり、室温導電率の増加量は水酸イオ
ン濃度に比例する。
したがって、導電率とpHとの相関を分析することによ
り、酸性及び塩基性不純物の混入の有無をpH計単独で測
定する場合に比べて、より信頼性の高い検知結果を得る
ことが可能である。さらに、中性不純物が混入した場合
は、導電率とpHが無相関となり、しかも導電率のみが変
化するから、pH計単独では検出できない中性不純物の混
入の有無をも検知可能となる。
第2の発明は、求められた相関関係の組合わせの情報
と、予め準備されている相関関係の組合わせの情報を比
較しているので、同定される異常事象の数が少なくな
り、異常事象の同定の精度が更に向上する。第3の発明
は、測定された導電率との相関関係を求めるために用い
るpHとして、予め設定してあるpH値を使用するので、pH
計の設置数を減少できる。このため、センサの数が少な
くて済むので、システム構成を単純化できる。
更に第4の発明は導電率とpHの測定値をオンラインで
取り込み、各測定時刻で相関関係を求め、この相関関係
と定常運転時の相関関係と比較することにより、リアル
タイムで異常事象が同定でき、早期に発生している異常
事象を把握できる。この場合でも、複数個所で水の導電
率とpHを測定することにより、異常事象の同定精度をよ
り向上できる。
上記のような異常診断方法を実施するための導電率計
及びpH計からの測定データを取り込む手段と、測定個所
における導電率とpHの相関を演算する手段と、得られる
前記導電率と前記pHの相関関係の情報と、予め準備され
ている異常事象別の導電率とpHとの相関関係の情報とを
比較し、異常事象を同定する演算手段とを有する原子力
プラントにおいて、本発明を実施することができる。更
に本発明者らは、導電率の対数値とpHの相関が直線関係
となり、そして、この導電率の対数値とpHの相関は各原
子力プラントに共通な汎用的相関関係であることを見出
した。第6の発明は、この発見を利用したものであり、
導電率の対数値とpHの相関関係の情報を用いているの
で、測定値から一次式で示される相関関係を短時間に求
めることができ、この分、異常事象を早く同定すること
ができる。更に、比較の基準となる異常事象別の相関関
係の情報の準備も容易になる。
また、水質データには複数の構成機器の状態について
の情報が含まれているので、一つの測定個所の導電率と
pHとの2つの水質データを組合せた一つの診断データの
みではどの構成機器にどのような異常が生じているの
か、即ち異常原因をより正確に同定することは困難であ
る。即ち、一つの診断データのある結果に対応する異常
事象は複数存在する場合があるからである。従って、水
質状態が異なる複数の測定個所から得られた複数の導電
率とpHの相関関係を総合比較することによって異常事象
をより正確に同定することが可能となる。
〔実施例〕
導電率とpHの関係を求める一例として、各測定時刻に
おける導電率とpHの相関を直線回帰により統計処理し、
得られた一次回帰直線の傾きから傾きが正の場合,負の
場合,0又は無限大に近い場合,相関が顕著でなく直線関
係が得られない場合の4ケースに分類し、得られた相関
関係により生じつつある異常事象をオンラインで弁別診
断する沸騰水型原子力プラントの水質診断システムがあ
る。
具体的には、各測定時刻における導電率の対数値とpH
の相関を直線回帰により統計処理し、得られた一次回帰
直線の傾きから傾きが+1前後の場合,−1前後の場
合,傾きの絶対値が1より十分小さいか又は大きい場
合,相関が顕著でなく直線関係が得られない場合の4ケ
ースに分類し、得られた相関関係により生じつつある異
常事象をオンラインで弁別診断する水質診断システムと
して構成することができる。
これらの方法を実現する水質診断装置は、沸騰水型原
子力プラント一次冷却水の導電率およびpHを測定する少
なくとも一対の導電率計およびpH計と、各時刻における
導電率とpHの測定データを取り込み導電率とpHとの相関
を演算する装置と、導電率又はpHが変化した時の前記相
関から各サンプリング位置における相関を分析する装置
とを含む。
以下、本発明の実施例を図面を用いて具体的に説明す
る。
(実施例1) 第1図は本発明を沸騰水型原子力プラントに適用した
場合の基本的な装置構成を示すものである。第1図にお
いて、1は原子炉、2はタービン、3は復水器、4は復
水脱塩器、5は給水ヒータ、6は一次冷却系、7は再循
環系、8,9,10はそれぞれ復水脱塩装置上流側,復水脱塩
装置下流側,給水ヒータ下流側の冷却水サンプリングラ
イン、11はpH計、12は導電率計、13はpHと導電率の相関
を演算する装置、14は各サンプリング位置における相関
を分析する装置である。
サンプリングライン8,9,10において測定されたpHと導
電率のデータを演算装置13に取り込み、導電率又はpHが
変化した時の相互の応答特性を演算する。その結果は相
関分析装置14に送られ、水質変動を生じさせた異常事象
を弁別診断する。
例えば、第2図に示すように、給・復水系で生じる可
能性がある6つの主要な異常事象を弁別診断できる。
(1)樹脂リーク又は有機不純物混入の場合は、給水ヒ
ータ上流側での水質に影響を与えないが、炉内に流入す
ると硫酸又は炭酸が生成されるため、サンプリングライ
ン10において、通常運転時に比べ導電率が増加しpHが低
下する。
(2)海水リーク時には、サンプリングライン8での導
電率が増加するが、混入する不純物がNaClを主成分とす
る中性塩のため、pHには影響しない。混入した不純物は
復水脱塩器CD4で除去され、サンプリングライン9,10の
水質には影響がでない。
(3)復水脱塩器4のカチオン交換樹脂のイオン交換容
量がブレイクダウンした場合は、NaClがNaOHの化学形態
に変化して流出するため、サンプリングライン9,10にお
ける導電率とpHが共に増加する。
(4)復水脱塩器4のアニオン交換樹脂のイオン交換容
量がブレイクダウンすると、NaClがHClの化学形態に変
化して流出するので、サンプリングライン9,10における
導電率が増加しpHが減少する。
(5)復水脱塩器4のカチオン,アニオン交換樹脂のイ
オン交換容量が共にブレイクダウンすると、NaClががそ
のまま流出し、サンプリングライン8,9,10は同じ変化を
示す。
(6)復水脱塩器のイオン交換樹脂の再生状態が悪く、
再生に使用したNaOHが流出する場合は、サンプリングラ
イン8の水質は変化しないが、サンプリングライン9,10
では導電率とpHが共に増加する。
以上述べたように、生じた異常事象の種類によりサン
プリングライン8,9,10の3ヵ所における導電率とpHの変
化の組合せがそれぞれ異なることから、逆に、水質デー
タに基づいて異常事象を弁別診断できる。
(実施例2) 上記実施例では、各サンプリング位置において、水質
変動が生じつつある時の各測定時刻における導電率とpH
の測定値を定常運転時の値とそれぞれ比較し、導電率又
はpHが変化したときの相互の応答特性を定常運転時の値
から増加する場合,減少する場合,変化しない場合の3
ケースに分類したが、水質データのバラツキが大きい場
合は、各時刻における測定値を集積し、統計的に処理し
て、より信頼性の高い応答特性を見出すことも可能であ
る。
すなわち、各測定時刻における導電率の対数値とpHの
相関を直線回帰により統計処理し、得られた一次回帰直
線の傾きから傾きが+1前後の場合,−1前後の場合,
傾きの絶対値が1より十分小さいか又は大きい場合,相
関が顕著でなく直線関係が得られない場合の4ケースに
分類することが可能である。
第3図は、複数の米国プラントにおける樹脂リーク時
の導電率とpH変化の相互の応答特性を上記手法を用いて
統計的に解析した結果を示したものである。水質変動が
発生する前の通常運転時(pH7)における炉水の導電
率をAとし、水質変動が生じ始めた時の時刻tにおける
導電率をX(t),pHをY(t)とすると、log(X
(t)−A)とY(t)との相関を直線回帰により統計
解析し、一次回帰直線 log(X(t)−A)=a+b・Y(t) を導出する。第3図に示すように、複数のプラントにお
ける一次回帰直線はほぼよい一致を示し、直線の傾きは
−1となる。同様に、NaOHが混入したケースでは、傾
きは1となる。したがって、上述の統計的解析手法に
より、第2図に示した導電率とpHとの相関関係を定量的
に演算・評価することが可能である。
(実施例3) 上記実施例1,2では異常事象として、6ケースを弁別
することを考えたが、第2図に示す3ヵ所のサンプリン
グ位置での導電率とpHの相関関係の組合せは、4×4×
4=64通りが考えられ、それぞれに対応した異常を弁別
診断可能である。例えば、樹脂リークと海水リークが複
合した場合の組合せは、第4図のようになる。一方、復
水器で異常な腐食が生じた場合には、次式で示す反応に
よって、金属水酸化物が生成され、復水器出口の水がア
ルカリ性となるので、第5図に示すような相関の組合せ
が現われる。
2Fe+O2+2H2O→2Fe2+4OH- また、上記実施例ではサンプリング位置を3箇所とし
たが、弁別対象とする異常事象が少ない場合には、適当
な1箇所または2箇所、反対に、異常事象が多い場合に
は、3箇所以上のサンプリング位置での相関関係の組合
せから異常事象を弁別できる。例えば、第2図で取り上
げた6つの異常事象を弁別するためには、復水器出口と
炉水位置における相関関係の組合せから弁別診断するこ
とも可能である。
さらに、第2図において、復水器又はCD出口のpHの測
定値が得られない場合には、pH=7と仮定して導電率と
pHの相関を求め、第6図に示す各サンプリング位置での
相関関係の組合せから異常事象を弁別診断することも可
能である。
上記実施例の(1)のケースでは、異常事象発生を診
断できるが、より細かに樹脂リークか有機不純物の混入
かをオンラインで判別することはできない。しかし、第
7図に示すように、サンプリングライン10に設置する導
電率計として、室温導電率計の他に、室温より高い高温
導電率計を追加設置すると、硫酸イオンと炭酸イオンと
を弁別同定することが可能である。
すなわち、第8図に示すように、硫酸と炭酸は室温導
電率が同じであっても、アニオン種の違いに起因して異
なった温度依存性を示すことから、室温導電率と高温導
電率の差を比較することにより、両成分を弁別同定でき
る。
第9図及び第10図に、以上の診断システムにおける相
関演算装置と相関分析装置の具体的な処理フローを示
す。
第9図の処理フローはオンラインで導電率とpHの相関
を演算し、水質異常原因を自動診断する場合の相関演算
装置13と相関分析装置14におけるデータ処理のフローを
示す。
先ず、通常運転時の水質データから、各サンプリング
位置における導電率およびpHの正常範囲が自動的に算出
される。これは、各構成機器が正常でも、導電率とpHの
値はある程度のバラツキがあるため、測定値の全てを使
用して相関を求めた場合には異常状態を明確に表す導電
率とpHの相関が得られない可能性があるからである。従
って、相関の演算に用いる導電率とpHの測定データは各
サンプリング位置における算出された正常範囲と比較し
て正常範囲を越えたデータのみ用いるようにしている。
そして、導電率測定データに有意な増減傾向が検知され
ると、各サンプリング位置における導電率とpHの相関が
自動演算され、ディスプレイ上表示される。演算された
相関は、相関解析装置において、異常事象別の基準パタ
ーンの順次比較され、一致した異常事象が診断結果とし
てディスプレイ上に表示される。さらに、同定された異
常事象に対する対応がガイダンス表示される。導電率測
定データに有意な増減傾向が継続する場合には、上記相
関の演算と解析が繰り返される。
実施例1及び実施例2の診断システムは、オンライン
診断に好適なものであるが、オンライン診断のほかに、
過去の運転データをオフラインで解析し、水質異常原因
を診断する場合にも応用できるものである。
第10図の処理フローは、炉水(給水ヒータ下流側)、
復水(復水脱塩器上流側)および給水(復水脱塩器下流
側)の3ヵ所の過去のデータに基づき、オフラインで導
電率とpHの相関を演算し、分析する処理フローを示す。
オフライン診断時には、各サンプリング位置における
導電率とpHの正常範囲を対話型でキーボードから入力
し、正常範囲を逸脱した異常データを用いて各サンプリ
ング位置における導電率とpHの相関を演算し表示する、
そして、各サンプリング位置での相関結果が相関解析装
置に入力され、オンライン診断と同様に異常事象が同定
され表示される。
実施例1及び実施例2をオンライン診断に適用すれ
ば、導電率,pHという連続的にモニタリングされている
オンラインデータのみに基づいて、原子力プラントの運
転状態や構成機器に生じつつある異常および異常原因を
早期にかつ正確に検知し対処することが可能となる。
また、実施例1及び実施例2を過去の運転データに基
づいて水質異常原因を診断するシステムに適用しても、
より正確に水質異常原因をオフライン診断することも可
能となる。
〔発明の効果〕
本発明の第1及び第8の発明によれば、異常事象を早
く同定でき、この同定の精度が向上することができる。
また、第2の発明によれば、異常事象を同定する精度
が更に向上する。
また、第3の発明によれば、pH検出用センサの数が少
なくて済むので、システム構成を単純化できる。
更に、第4の発明によれば、異常事象の発生をリアル
タイムで検出することが可能になる。
第5の発明によれば、異常事象をより早く同定可能に
なる。
また、第6の発明によれば、相関関係を算出する速度
が早くなり、より早く異常事象を同定することができ
る。
更に、第7の発明によれば、異常事象をより早く同定
可能になる。
第9の発明によれば、異常事象が発生した場合でも、
早期に適切な対策を施すことが可能になるため、より安
全性の高い原子力プラントを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明を沸騰水型原子力プラントに適用した場
合の基本的な装置構成を示す図、第2図は本発明におけ
る異常事象の弁別に用いる導電率又はpHが変化した時の
相互の応答特性を一覧表にまとめて示す図、第3図は導
電率又はpHが変化した時の相互の応答特性を統計解析手
法により定量的に演算・評価できることを示す図、第4,
5,6図は相関の組合せの他の例を示す図、第7図は樹脂
リークか有機不純物の混入かをオンラインで判別するの
に必要な装置構成を示す図、第8図は硫酸と炭酸が示す
導電率の温度依存性を比較して示す図、第9図は本発明
をオンライン診断に応用した場合の相関演算及び分析の
データ処理フローを示す図、第10図は本発明をオフライ
ン診断に応用した場合の相関演算及び分析のデータ処理
フローを示す図である。 1……原子炉、2……タービン、3……復水器、4……
復水脱塩器、5……給水ヒータ、6……一次冷却系、7
……再循環系、8,9,10……復水脱塩装置上流側,復水脱
塩装置下流側,給水ヒータ下流側の冷却水サンプリング
ライン、11……pH計、12……導電率計、13……pHと導電
率の相関演算装置、14……各サンプリング位置の相関分
析装置、15……高温導電率計。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 内田 俊介 茨城県日立市森山町1168番地 株式会社 日立製作所エネルギー研究所内 (56)参考文献 特開 昭59−60293(JP,A)

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】原子力プラントにおいて水の導電率とpHを
    測定し、測定により得られた前記導電率と前記pHの相関
    関係を求め、前記相関関係の情報と、予め準備されてい
    る異常事象別の導電率とpHの相関関係の情報とを比較
    し、異常事象を同定することを特徴とする原子力プラン
    トの異常診断方法。
  2. 【請求項2】原子力プラントの複数の個所において水の
    導電率とpHを測定し、測定により得られた前記導電率と
    前記pHの相関関係を複数の前記個所において求め、これ
    らの相関関係の組合わせの情報と、予め準備されている
    異常事象別の、複数の前記個所の導電率とpHとの相関関
    係の組合わせの情報とを比較することによって、異常事
    象を同定することを特徴とする原子力プラントの異常診
    断方法。
  3. 【請求項3】原子力プラントにおいて水の導電率を測定
    し、測定により得られた導電率と、導電率の測定個所に
    対して予め設定したpHとの相関関係を求め、この相関関
    係の情報と、予め準備されている異常事象別の導電率と
    pHとの相関関係の情報とを比較することによって、異常
    事象を同定することを特徴とする原子力プラントの異常
    診断方法。
  4. 【請求項4】原子力プラントの水の導電率とpHの測定値
    とをオンラインで取り込み、各測定時刻における前記導
    電率および前記pHの測定値の相関関係を求め、前記相関
    関係の情報と、定常運転時の該導電率およびpHの測定値
    の相関関係の情報とを随時比較することにより、生じつ
    つある異常事象をオンラインで弁別診断することを特徴
    とする原子力プラントの異常診断方法。
  5. 【請求項5】原子力プラントの水の導電率とpHの測定値
    とをオンラインで取り込み、各測定時刻における導電率
    とpHの相関を直線回帰により統計処理し、得られた一次
    回帰直線の傾きから傾きが正の場合、負の場合、0又は
    無限大に近い場合、相関が顕著でなく直線関係が得られ
    ない場合の4ケースに分類し、両者の相関関係の情報を
    組合わせることにより異常事象をオンラインで弁別診断
    することを特徴とする原子力プラントの異常診断方法。
  6. 【請求項6】請求項1〜5のいずれかに記載の原子力プ
    ラントの異常診断方法において、前記導電率とpHの相関
    関係の情報は、前記導電率の対数値と前記pHの相関関係
    の情報であることを特徴とする原子力プラントの異常診
    断方法。
  7. 【請求項7】原子力プラントの水の導電率とpHの測定値
    とをオンラインで取り込み、各測定時刻における導電率
    の対数値とpHの相関を直線回帰により統計処理し、得ら
    れた一次回帰直線の傾きから傾きが+1前後の場合、−
    1前後の場合、傾きの絶対値が1より十分小さいか又は
    大きい場合、相関が顕著でなく直線関係が得られない場
    合の4ケースに分類し、両者の相関関係の情報を組合わ
    せることにより異常事象をオンラインで弁別診断するこ
    とを特徴とする原子力プラントの異常診断方法。
  8. 【請求項8】原子炉一次系内を流れる水の導電率とpHを
    測定する導電率計及びpH計からの測定データを取り込む
    手段と、前記測定個所における導電率とpHの相関を演算
    する手段と、演算により得られた前記相関関係の情報
    と、予め準備されている異常事象別の導電率とpHとの相
    関関係の情報とを比較することによって、異常事象を同
    定する演算手段とを有することを特徴とする原子力プラ
    ントの異常診断装置。
  9. 【請求項9】原子炉と、該原子炉で発生した蒸気により
    発電機を回すタービンと、該タービンからの蒸気を凝縮
    する復水器と、該復水器からの水を浄化する復水脱塩器
    と、該復水脱塩器で浄化され、かつ前記原子炉へ供給さ
    れる水を加熱する給水ヒータと、異なる測定個所におい
    て前記各機器を流れる水の導電率とpHを各々測定する複
    数の導電率計及びpH計と、該導電率計及びpH計からの測
    定データを取り込む手段と、前記各々の測定個所におけ
    る導電率とpHの相関を演算する手段と、得られる複数の
    測定個所の前記導電率と前記pHの相関関係の組合わせの
    情報と、予め準備されている異常事象別の複数の測定個
    所の導電率とpHとの相関関係の組合わせの情報とを比較
    することによって、異常事象を同定する演算手段とを有
    することを特徴とする原子力プラント。
JP2019064A 1989-02-06 1990-01-31 原子力プラントの異常診断方法及び原子力プラント Expired - Fee Related JP2533665B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019064A JP2533665B2 (ja) 1989-02-06 1990-01-31 原子力プラントの異常診断方法及び原子力プラント

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2714589 1989-02-06
JP1-27145 1989-02-06
JP2019064A JP2533665B2 (ja) 1989-02-06 1990-01-31 原子力プラントの異常診断方法及び原子力プラント

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH02290595A JPH02290595A (ja) 1990-11-30
JP2533665B2 true JP2533665B2 (ja) 1996-09-11

Family

ID=26355868

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019064A Expired - Fee Related JP2533665B2 (ja) 1989-02-06 1990-01-31 原子力プラントの異常診断方法及び原子力プラント

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2533665B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2015030417A1 (ko) * 2013-08-29 2015-03-05 비앤에프테크놀로지 주식회사 상관도를 고려한 데이터 분류 방법 및 이 방법을 수행하기 위한 프로그램이 저장된 컴퓨터 판독가능한 저장매체
KR20150027178A (ko) * 2015-01-08 2015-03-11 비앤에프테크놀로지 주식회사 상관도를 고려한 데이터 분류 방법 및 이 방법을 수행하기 위한 프로그램이 저장된 컴퓨터 판독가능한 저장매체
KR20190082715A (ko) * 2019-07-02 2019-07-10 비앤에프테크놀로지 주식회사 상관도를 고려한 데이터 분류 방법 및 이 방법을 수행하기 위한 프로그램이 저장된 컴퓨터 판독가능한 저장매체

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7426458B2 (en) * 2004-12-30 2008-09-16 Global Nuclear Fuel - Americas, Llc Nuclear reactor reload licensing analysis system and method
CN106653120B (zh) * 2016-12-08 2018-04-20 核动力运行研究所 核电厂凝结水系统溶解氧指标异常诊断装置及方法

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2015030417A1 (ko) * 2013-08-29 2015-03-05 비앤에프테크놀로지 주식회사 상관도를 고려한 데이터 분류 방법 및 이 방법을 수행하기 위한 프로그램이 저장된 컴퓨터 판독가능한 저장매체
KR20150027178A (ko) * 2015-01-08 2015-03-11 비앤에프테크놀로지 주식회사 상관도를 고려한 데이터 분류 방법 및 이 방법을 수행하기 위한 프로그램이 저장된 컴퓨터 판독가능한 저장매체
KR101997580B1 (ko) * 2015-01-08 2019-07-08 비앤에프테크놀로지 주식회사 상관도를 고려한 데이터 분류 방법 및 이 방법을 수행하기 위한 프로그램이 저장된 컴퓨터 판독가능한 저장매체
KR20190082715A (ko) * 2019-07-02 2019-07-10 비앤에프테크놀로지 주식회사 상관도를 고려한 데이터 분류 방법 및 이 방법을 수행하기 위한 프로그램이 저장된 컴퓨터 판독가능한 저장매체
KR102072836B1 (ko) * 2019-07-02 2020-02-03 비앤에프테크놀로지 주식회사 상관도를 고려한 데이터 분류 방법 및 이 방법을 수행하기 위한 프로그램이 저장된 컴퓨터 판독가능한 저장매체

Also Published As

Publication number Publication date
JPH02290595A (ja) 1990-11-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN109186813B (zh) 一种温度传感器自检装置及方法
JP4308437B2 (ja) センサの性能確認装置および方法
CA2318093C (en) Ultrasensitive surveillance of sensors and processes
EP0351833B1 (en) Plant fault diagnosis system
US5070468A (en) Plant fault diagnosis system
Alferes et al. Advanced monitoring of water systems using in situ measurement stations: data validation and fault detection
EP0496333B1 (en) Nuclear plant diagnosis apparatus and method
JPH0541943B2 (ja)
Harrou et al. Amalgamation of anomaly-detection indices for enhanced process monitoring
CN113757093B (zh) 一种闪蒸汽压缩机组故障诊断方法
CN109739214A (zh) 工业过程间歇故障的检测方法
EP0289286A2 (en) Method for detecting contaminants in a steam power generating system
CN110009126B (zh) 基于pls模型与pca贡献度融合的在线报警分析方法
CN108052954A (zh) 基于多级高维特征的样本空间的故障诊断方法
JP2533665B2 (ja) 原子力プラントの異常診断方法及び原子力プラント
CN110751217A (zh) 基于主元分析的设备能耗占比预警分析方法
Holbert et al. An integrated signal validation system for nuclear power plants
CN111898794B (zh) 一种大型燃煤锅炉热效率的异常监测方法
US5132075A (en) Method and apparatus for water chemistry diagnosis of atomic power plant
CN206656749U (zh) 火电厂传感器故障诊断系统
CN111506994B (zh) 一种基于中智集的电机转子故障诊断方法
KR101387968B1 (ko) 상태분석 룰 기반 플랜트 필드 데이터 상태분석 방법
JP2816160B2 (ja) イオン分析方法及びイオン分析装置
JPH0365694A (ja) 沸騰水型原子力プラントの水質診断方法
Voronov et al. Some questions relating to development of chemical-engineering monitoring systems

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080627

Year of fee payment: 12

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080627

Year of fee payment: 12

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090627

Year of fee payment: 13

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees