JP2530986B2 - 油浸電力ケ―ブル - Google Patents

油浸電力ケ―ブル

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JP2530986B2
JP2530986B2 JP5087454A JP8745493A JP2530986B2 JP 2530986 B2 JP2530986 B2 JP 2530986B2 JP 5087454 A JP5087454 A JP 5087454A JP 8745493 A JP8745493 A JP 8745493A JP 2530986 B2 JP2530986 B2 JP 2530986B2
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裕史 宇野
和男 横田
隆明 松浦
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Kansai Denryoku KK
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、特に海底に布設される
長尺の油浸電力ケーブル(Oil-Filled cable;以下、O
Fケーブルという)に好適の油浸電力ケーブルに関す
る。
【0002】
【従来の技術】図1は、OFケーブルの一例を示す断面
図である。
【0003】鉛シース7内には、中心側から、中空らせ
ん管2、複数本の素線により構成された導体部3、カー
ボン紙4、絶縁紙5及びカーボン紙6が同心円上に配置
されており、中空らせん管2の内側が油通路1となって
いる。このシース7内には炭化水素系絶縁油が充填され
ており、この絶縁油には油通路1に連絡する油圧装置か
ら大気圧以上の圧力が印加される。また、シース7の外
側には、ポリエチレン層8、外装(ポリプロピレンヤー
ンからなるクッション層9+鉄線外装10)及びサービ
ング11が積層されて設けられている。
【0004】中空らせん管2は金属線をらせん状に成形
したものであり、このような形状とすることにより絶縁
油が中空らせん管2を通過しやすく、且つ、良好な曲げ
性を得ることができる。また、導体部3の外側に配置さ
れたカーボン紙4は、電界の急激な変化を防止する作用
がある。
【0005】なお、絶縁紙5としては、通常、クラフト
紙及び半合成紙等が使用される。また、シース7として
は、鉛被の外に、アルミニウムのコルゲート管を使用す
ることもある。更に、炭化水素系絶縁油としては、絶縁
性、粘度及び温度特性等を考慮して、通常、鉱油系絶縁
油又はアルキルベンゼン系絶縁油が使用される。
【0006】このOFケーブルは、シース7内部に充填
された絶縁油に常時大気圧以上の圧力を印加することに
より、絶縁体(即ち、絶縁油を含浸した絶縁紙)内にボ
イドが発生することを回避できる。従って、このOFケ
ーブルは、電圧に対する安定性が優れており、高電圧電
力ケーブルとして広く使用されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来のOFケーブルは、通常の使用状況においては十
分な性能を有するものの、例えば深海底に布設する海底
長尺ケーブルとして使用する場合に、以下に示す問題点
がある。
【0008】即ち、海底長尺ケーブルとして使用する場
合は、途中に油圧装置を設置することが困難であるた
め、低粘度の絶縁油を使用してケーブル内の圧力の低下
を抑制し、長距離に亘り所定の油圧を維持する必要があ
る。しかし、従来のOFケーブルにおいては、比較的低
粘度の絶縁油が使用されているものの、十分でなく、長
距離に亘って所定の油圧を維持することが困難である。
従って、より一層粘度が低い絶縁油の使用が要望されて
いる。
【0009】また、高低差がある海底でケーブルが破損
した場合に、従来のOFケーブルでは、絶縁油と海水と
の密度の差が大きいため、海中への漏油量が多くなり、
環境対策上好ましくない。即ち、海底に布設する電力ケ
ーブルとしては、可及的に海水の密度(d=1.03g/cm
3 )に近い高密度の絶縁油が使用されていることが好ま
しい。
【0010】更に、深海底に布設するケーブルでは、海
水と絶縁油との密度差により、耐油圧に対する外装設計
が困難になるという欠点もある。つまり、深海底に布設
されたOFケーブルにおいて、地上部から印加すべき油
圧P( kg/cm2 )は、海水の密度をdw(g/cm3 )、絶
縁油の密度をd0 (g/cm3 )、海底までの深さをD
(m)とすると、下記数式1のように示される。
【0011】
【数1】P=(dw−d0 )×(D/10)
【0012】従って、従来のOFケーブルに使用されて
いる鉱油系絶縁油又はアルキルベンゼン系絶縁油では、
その密度が低いため(0.86乃至0.90g/cm3 )、例えば深
さが2000mの海底に布設された場合に、地上部から印加
すべき油圧Pが20〜30 kg/cm3と高くなり、耐油圧に対
する外装設計が困難になる。この点からも、海水の密度
に近い高密度絶縁油の使用が要望されている。
【0013】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
のであって、特に海底に布設される油浸電力ケーブルと
して好適であり、ケーブル内の油圧を長距離に亘って適
正に維持できると共に外装設計が容易であって、ケーブ
ルが破損した場合も漏油量が少ない油浸電力ケーブルを
提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明に係る油浸電力ケ
ーブルは、導体の周囲に絶縁材を配置しこの絶縁材に絶
縁油を含浸させた油浸電力ケーブルにおいて、前記絶縁
油は炭化水素系絶縁油とパーフルオロカーボン又はクロ
ロフルオロカーボンとの混合油であることを特徴とす
る。
【0015】
【作用】本願発明者等は、従来のOFケーブルに使用さ
れている絶縁油に比して低粘度であると共に、その密度
が海水と同程度であり、良好な絶縁性を有する絶縁油を
得るべく、種々実験研究を行なった。その結果、炭化水
素系絶縁油とハロゲン系液体とを混合した混合油は、低
粘度であると共に、その密度を海水と同程度に調整する
ことが可能であり、且つ、OFケーブルとしての電気特
性を損なうこともなく、OFケーブル用絶縁油として極
めて適していることを見い出した。本発明はこのような
実験結果に基づいてなされたものである。
【0016】高密度の炭化水素系絶縁油としては、例え
ばアルキルジフェニルエタン(以下、ADEという)及
びアルキルジフェニルメタン(以下、ADMという)等
がある。これらの絶縁油は、密度が0.99乃至1.00g/cm3
であり、海水より若干小さい。従って、ADE、ADM
又はこの両者を混合した混合油をそのまま絶縁油として
ケーブル内に充填しても、十分な粘度及び密度を得るこ
とができない。
【0017】一方、ハロゲン系液体としては、クロロフ
ルオロカーボン及びパーフルオロカーボンがある。これ
らのクロロフルオロカーボン及びパーフルオロカーボン
は、上述の炭化水素系絶縁油の約1.5乃至2.0倍の
密度を有し、粘度も十分に低い。そして、ADE、AD
M又はこの両者を混合した混合油と前記ハロゲン系液体
とを混合すると、粘度が低く、密度が海水と同程度であ
り、且つ、絶縁性が優れた絶縁油を得ることができる。
また、この炭化水素系絶縁油とハロゲン系液体とを混合
した絶縁油は、従来のOFケーブルに充填されている鉱
油系及びアルキルベンゼン系絶縁油と比較して、油の引
火点、流動点、ガス吸収性及び電気特性も略同程度であ
り、OFケーブルに極めて適している。
【0018】本発明に係る油浸電力ケーブルは、このよ
うな性質を有する絶縁油を絶縁材に含浸させて導体部の
周囲に配置するため、ケーブル内の油圧を長距離に亘っ
て適正に維持することができると共に外装設計が容易で
あり、ケーブルが破損した場合も絶縁油の漏出量が少な
く、海底に布設する電力ケーブルとして極めて適してい
る。
【0019】
【実施例】次に、本発明の実施例について、本願の特許
請求の範囲から外れる比較例と比較して説明する。
【0020】通常の方法により、断面積が1000mm2 の導
体部の周囲に脱イオン水洗クラフト紙を19mmの厚さに巻
回し、図1に示す構造のOFケーブルを製造した。但
し、実施例1のOFケーブルには、絶縁油としてパーフ
ルオロカーボンブレンド油を使用した。このパーフルオ
ロカーボンブレンド油は、ADMとADEとの混合油
{ADM/ADE=60/40;密度が0.998 g/cm3
粘度が 2.6cSt(40℃) }に対し、パーフルオロカーボン
{密度が1.90g/cm3 、粘度が 2.0cSt(40℃) }を4体積
%混合した混合油である。また、実施例2のOFケーブ
ルには、絶縁油としてクロロフルオロカーボンブレンド
油を使用した。このクロロフルオロカーボンブレンド油
は、ADMとADEとの混合油(DM/ADE=60/
40)にクロロフルオロカーボン{密度が1.84g/cm3
粘度が 1.5cSt(40℃) }を5体積%混合したものであ
る。更に、比較例のOFケーブルには、絶縁油としてア
ルキルベンゼン油を使用した。
【0021】これらの実施例及び比較例に使用した絶縁
油の密度及び粘度を下記表1に示す。
【0022】
【表1】
【0023】これらの実施例及び比較例の各OFケーブ
ルについて、交流(AC)及びインパルス(Imp)破
壊電圧並びに誘電正接(tan δ)を測定した。その結果
を下記表2に示す。
【0024】この表2から明らかなように、実施例1,
2のOFケーブルは、比較例(従来)のOFケーブルと
同等の電気特性を有している。また、実施例1,2のO
Fケーブルは、表1に示すように、絶縁油の粘度が低い
ため、長距離に亘ってケーブル内の油圧を適正に維持す
ることができる。更に、実施例1,2においては、絶縁
油の密度が比較例に比して高く略海水と同程度であるた
め、外装設計が容易になると共に、海水中で破損した場
合においても海水中への漏油量が少ないという効果を奏
する。
【0025】
【表2】
【0026】なお、上述の実施例においては、絶縁紙と
してクラフト紙を使用した場合について説明したが、こ
れにより絶縁紙が限定されるものでないことは勿論であ
り、例えばポリオレフィンと紙とを複合したPPラミネ
ート紙等の半合成紙を絶縁紙として使用することもでき
る。また、本発明は、交流用電力ケーブルに限定される
ものではなく、直流用電力ケーブルにも適用することが
できる。
【0027】
【発明の効果】以上説明したように本発明に係る油浸電
力ケーブルは、絶縁材に含浸させて導体部の周囲に配置
する絶縁油が炭化水素系絶縁油とハロゲン系液体との混
合油であるから、ケーブル内の油圧を長距離に亘って適
正に維持することができると共に外装設計が容易にな
り、海水中でケーブルが破損した場合も絶縁油の漏出量
が少ない。従って、本発明に係る油浸電力ケーブルは、
海底に布設する電力ケーブルとして極めて好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】油浸電力ケーブルの一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1;油通路 2;中空らせん管 3;導体部 4,6;カーボン紙 5;絶縁紙 7;シース 8;ポリエチレン層 9;クッション層 10;鉄線外装 11;サービング
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 横田 和男 大阪府大阪市北区中之島3丁目3番22号 関西電力株式会社内 (72)発明者 松浦 隆明 東京都江東区木場1丁目5番1号 株式 会社フジクラ内 (56)参考文献 特開 平4−190512(JP,A) 特開 昭60−7002(JP,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導体の周囲に絶縁材を配置しこの絶縁材
    に絶縁油を含浸させた油浸電力ケーブルにおいて、前記
    絶縁油は炭化水素系絶縁油とパーフルオロカーボン及び
    /又はクロロフルオロカーボンとの混合油であることを
    特徴とする油浸電力ケーブル。
  2. 【請求項2】 前記炭化水素系絶縁油は、アルキルジフ
    ェニルエタン、アルキルジフェニルメタン及びこれらの
    混合油からなる群から選択された絶縁油であることを特
    徴とする請求項1に記載の油浸電力ケーブル。
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JPH04190512A (ja) * 1990-11-24 1992-07-08 Fujikura Ltd 電力ケーブル

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