JP2530106B2 - ２段式加熱炉 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は製鋼所等における圧延
工程の前加工として圧延素材を加熱又は保熱するための
加熱炉に関し、特に圧延素材を２段式に収納して加熱又
は保熱効率を向上させるようにした２段式加熱炉に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】製鋼所等における圧延工程の前加工とし
て圧延素材の加熱（ホットチャージ）工程があるが、こ
の加熱工程は、連続鋳造設備にて製作された圧延素材
（ホットビレット）を加熱炉内に順次送り込んで保熱
し、送り込まれた末端から順次加熱炉外部に送り出し
て、加熱炉に接続した圧延設備に連続供給している。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、圧延設
備等の故障及び修理のために長時間にわたり圧延作業を
中断しなければならなくなった場合、連続鋳造設備にて
順次製作されるホットビレットは加熱炉が満杯となるた
めに、加熱炉以外の場所で一時保留しなければならな
い。連続鋳造設備は溶鋼が有る限り、中断することはで
きない。

【０００４】ホットビレットを一時保留する場合、ホッ
トビレットは高温であるから処理が厄介であって取り扱
い時の危険性が高いほか、大気中に晒すと冷めるため、
保温装置が必要となる。保温装置がなければコールドビ
レットとなり、これをホットビレットとするには必要以
上の燃料と時間がかかり、莫大な費用がかかる。

【０００５】そこでこの発明は、圧延設備等の故障及び
修理のために圧延作業を中断しなければならなくなった
場合、連続鋳造設備にて順次製作されたホットビレット
を一時保留することができる２段式加熱炉を提供する。

【０００６】

【課題を解決するための手段】この発明にかかる２段式
加熱炉は、連続鋳造設備等から供給されるホットビレッ
トを順次レール上に摺動可能に載置して収納し、かつ、
加熱手段を有して保熱し、これを圧延設備等に順次送り
出す加熱炉において、前記レールと平行し、かつ、水平
位で前記レールよりも下位から上位に昇降可能なサイド
レールを加熱炉内に設けたことを特徴とする。

【０００７】

【作用】加熱炉内のレール上にホットビレットを密接し
整列させた後、サイドレールを上昇させると全てのホッ
トビレットがサイドレールに移し代えられて支架され、
レール上に収納される。そこで、ホットビレットが無く
なったレールに再び新しいホットビレットを密接して整
列させれば、加熱炉内に上下２段でホットビレットを収
納できる。

【０００８】

【実施例】以下この発明の実施例を図に基づき説明す
る。図１は側面図、図２は断面平面図で、図示のよう
に、耐火物で箱形に形成した加熱炉１の短尺側壁に装入
口２と抽出口３が開設され、それらの開閉をする装入扉
４と抽出扉５が設けられている。装入口２と抽出口３は
ビレット６が通過できる開口部である。装入扉４は上下
方向へ昇降して装入口２を開閉するとともに、抽出扉５
は回動して抽出口３を開閉する。

【０００９】加熱炉１と一体でビレット受面７が設けら
れ、このビレット受面７には一対のレール８，８が平行
し装入口２から抽出口３にかけて加熱炉１内を貫通して
敷設されている。レール８，８は抽出口３側で下方へ傾
斜する傾斜部８ａを有してビレット６を滑落させること
ができる。ビレット受面７の左右両側には一段低い凹部
２６（図３，４）が全長に及んで一体形成されている。

【００１０】装入口２側のレール８，８には装入装置９
が設けられている。装入装置９は従来周知の構成であっ
て、レール８，８に載置されて加熱炉１内部に進入する
押出部材１０と、その押出部材１０の両端部に直交して
連結され、レール８，８と平行に伸縮可能なサイドシャ
フト１１，１１と、押出部材１０の略中央部を押出し可
能な装入用シリンダー１２とからなる。

【００１１】装入用シリンダー１２はそのピストンロッ
ドの先端が押出部材１０に当接して連結されてはいな
い。サイドシャフト１１は同軸で大小２本の管体が嵌合
し、大管は押出部材１０と連結され、その大管に装入固
定したラックと小管の端部に回転可能に軸支したピニオ
ンで伸縮可能に係合し、ピニオンを回転することにより
ラックが移動して大管が押出部材１０を押し引きでき
る。

【００１２】加熱炉１の長尺側壁外面に、図３及び図４
に示すように、相対向する所要数の昇降ガイド１３が垂
下して吊支され、この昇降ガイド１３に昇降ローラー１
４，１４を介して昇降体１５が昇降可能に装入されてい
る。昇降体１５は地面等に固定した昇降用シリンダー１
６に支持されて昇降可能である。

【００１３】昇降体１５は直交する方向へ延出するアー
ム１７を有し、このアーム１７は加熱炉１の長尺側壁に
高さ方向へ開設した開口部１８から加熱炉１内に進入し
ている。開口部１８は開口シール１９で閉塞され、開口
シール１９はアーム１７が昇降できるスリットを有す
る。

【００１４】アーム１７の先端部には、図５に示すよう
に、断面半円形の切欠部２０が形成され、この切欠部２
０には断面半円形の受皿２１が固定されている。この受
皿２１には特殊鋼パイプからなるサイドレール２２が着
脱可能に載置されている。サイドレール２２は加熱炉１
内で前記レール８の外側に配置され、かつ、図３に示す
ように、ビレット受面７の両側に形成した凹部２６に収
納されてレール８，８よりも下位に移動可能で、その位
置から上昇してビレット６の両端部に当接できるように
なっている。

【００１５】サイドレール２２は、図６〜８に示すよう
に、アーム１７の受皿２１に嵌合すべき部位において、
アーム１７を挟む半環状のストッパー２３，２３を離間
して固定し、このストッパー２３，２３を結んで直径方
向で相対向して水平に、かつ、皿２１の上端面に当接す
る細板状の回り止め２４，２４を固定し、この回り止め
２３，２３間の上部に条突起部２５がサイドレール２２
の全長に及び突設されてなる。

【００１６】なお、加熱炉１の長尺側壁には、図４に示
すように、バーナー２７が両側壁に相対向し又は交互に
設けられ、火炎を炉内に噴出して炉内温度を上昇させる
ことができる。また、長尺側壁にはビレット受面７の前
記凹部２６に溜まるスケールを排出するため、開閉蓋２
８を有するスケール排出口２９が設けられている。

【００１７】次に上記実施例の作用に付き説明すると、
図８に示すように、予めバーナー２７にて加熱炉１内を
所要温度の雰囲気に加熱しておき、連続鋳造装置から送
り出される最初のビレット６がレール８上に載置される
と、装入扉４を開け、装入用シリンダー１２を駆動し、
押出部材１０にてビレット６を装入扉４近傍の加熱炉１
内に押し込む。

【００１８】ビレット６を装入扉４近傍の加熱炉１内に
押し込むと、押出部材１０を元の状態に引き戻し、装入
扉４を閉めて炉内の熱が排出されるのを防止する。つい
で、第２のビレット６ａがレール８上に載置されると、
それを上記同様にして加熱炉１内に押し込むと、第２の
ビレット６ａは装入口２近傍に載置されている最初のビ
レット６をビレット１本分の幅で抽出口３側へ押し移動
させる。

【００１９】このようにしてビレット６を１本々々送り
込むと、加熱炉１内の最初のビレット６は、レール８の
傾斜部８ａを滑落し、自重にて抽出扉５を回動させて開
き、圧延工程に移動する。なお、装入用シリンダー１２
のストロークは限られているため、そのストロークを越
える押出部材１０の移動は、装入用シリンダー１２が押
出部材１０から離れてサイドシャフト１１，１１が伸長
して行う。

【００２０】そして、圧延設備の故障やその修理のとき
は、前記のようにして加熱炉１内のレール８上にまんべ
んなくビレット６が密接して整列すると、図３におい
て、昇降用シリンダー１６を駆動して昇降体１５を上昇
させる。昇降用シリンダー１６は全て連動し、かつ、昇
降体１５を等高で上昇させる。昇降体１５の上昇移動に
より、アーム１７が上昇してサイドレール２２が上昇
し、条突起部２５がビレット６の両端部近傍に当接して
水平に持ち上げ、サイドレール２２に支架されたビレッ
ト６の群はレール８，８の上部に移動する。

【００２１】そこで、ビレット６が所定の高さに持ち上
げられると、昇降シリンダー１６をその状態で保持しロ
ックするとともに、レール８上に送り出される新しいビ
レットを前記同様にしてレール８上にまんべんなく密接
して整列させるのである。したがって、図１に示すよう
に、レール８，２２上にまんべんなくビレット６が２段
で支架されるまでの時間内は、圧延設備の修理ができ、
その間ビレット６は冷却することなく加熱炉１内に収納
されて保熱状態で保留される。

【００２２】そして、圧延設備の修理等が終わると、レ
ール８上に載置されているビレット６を順次押出して圧
延設備に供給し、レール８上のビレット６が全て押し出
された後、昇降用シリンダー１６を下降させてサイドレ
ール２２をレール８よりも下位の凹部２６内に移動させ
ることにより、サイドレール２２上のビレット６はレー
ル８上に載置される。したがって、レール８上に載置さ
れた上段のビレット６を前記同様にして圧延設備に供給
するのである。

【００２３】

【発明の効果】以上説明したこの発明によれば、圧延設
備の故障等の場合、連続鋳造設備から送り出されるビレ
ットを上下２段で収納し、冷却させることなく保熱する
加熱炉であるから、圧延設備等の故障や修理に要する時
間内に連続鋳造設備から送り出されるホットビレットを
冷却することなく一時保留することができ、圧延設備が
再開すれば直ちにホットビレットを供給することができ
る。

【００２４】したがって、連続鋳造設備から送り出され
るホットビレットを圧延設備の故障等のために一時加熱
炉以外の場所に保留してコールドビレットにしてしま
い、圧延設備が再開するとそのコールドビレットを加熱
してホットビレットにする作業や時間及び経費を省略で
きる。

【００２５】また、上下２段で多数のホットビレットを
保留するので、ホットビレット自体が熱源となるため、
加熱炉内部の雰囲気が上昇し、保温効果が増大する。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の一実施例を示す断面正面図

【図２】図１の断面平面図

【図３】図２のＡ−Ａ断面側面図

【図４】図２のＢ−Ｂ断面正面図

【図５】図２，３の部分拡大図

【図６】図２，３の部分拡大図

【図７】図６のＣ−Ｃ断面図

【図８】図７のＤ−Ｄ断面図

【図９】作用説明図

【符号の説明】

１…加熱炉 ２…装入口 ３…抽出口 ４…装入扉 ５…抽出扉 ６…ビレット ７…ビレット受面 ８…レール ９…装入装置 １０…押出部材 １１…サイドシャフト １２…装入用シリンダー １３…昇降ガイド １４…昇降ローラー １５…昇降体 １６…昇降用シリンダー １７…アーム １８…開口部 １９…開口シール ２０…切欠部 ２１…受皿 ２２…サイドレール ２３…ストッパー ２４…回り止め ２５…条突起部 ２６…凹部 ２７…バーナー ２８…開閉蓋 ２９…排出口

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 連続鋳造設備等から供給されるホットビ
   レットを順次レール上に摺動可能に載置して収納し、か
   つ、加熱手段を有して保熱し、これを圧延設備等に順次
   送り出す加熱炉において、前記レールと平行し、かつ、
   水平位で前記レールよりも下位から上位に昇降可能なサ
   イドレールを加熱炉内に設けたことを特徴とする２段式
   加熱炉。
2. 【請求項２】 サイドレールはアームに支持され、アー
   ムは加熱炉の側壁に開設した開口部から加熱炉外部に突
   出し、加熱炉外部に配置した昇降体と一体であり、昇降
   体は加熱炉の側壁に沿って昇降可能に昇降用シリンダー
   と連結されていることを特徴とする請求項１に記載の２
   段式加熱炉。
3. 【請求項３】 サイドレールは断面円形であり、かつ、
   アームに形成した半円形の切欠部に固定した受皿に嵌合
   し、その受皿の両端部に位置する半環状のストッパー
   と、受皿の上端部に載置する回り止めと、ホットビレッ
   トが載置される状突起部を有することを特徴とする請求
   項１又は２に記載の２段式加熱炉。