JP2517880B2 - 水銀検出材及び水銀の分析方法 - Google Patents

水銀検出材及び水銀の分析方法

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JP2517880B2
JP2517880B2 JP6104605A JP10460594A JP2517880B2 JP 2517880 B2 JP2517880 B2 JP 2517880B2 JP 6104605 A JP6104605 A JP 6104605A JP 10460594 A JP10460594 A JP 10460594A JP 2517880 B2 JP2517880 B2 JP 2517880B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、工場廃液や河川水中等
に存在する微量の水銀イオンを分析する水銀検出材及び
微量水銀の分析方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】周知のように水銀イオンは有毒なので、
河川や土壌中等に存在する微量水銀の分析は重要であ
る。特に、最近は南米で金採取に伴う河川の水銀汚染が
問題となっているように、河川水中の水銀イオンの分析
が重要になっている。これらの微量水銀の分析方法とし
ては、ジチゾンを分析試薬とする吸光光度法のほか、原
子吸光法やICP発光分析法等が一般に行われている。
しかしながら、上記の分析法では前処理が煩雑、操
作に熟練を要する、分析装置が高価等の問題が少なく
とも1つは有り、前処理中に試料中の水銀の一部が揮発
してしまう場合もあるから、従来の水銀分析方法は充分
満足できる方法とはいえない。従って、迅速で簡単な分
析方法が望まれている。
【0003】ところで、II価水銀イオンは前記ジチゾン
の他にも種々の錯形成試薬と錯体を形成し、クロリン環
を有する試薬とも錯体を形成することが1960年代か
ら知られている。しかし、B.D.Berezinらに
よるとクロリン環を有する試薬の水銀錯体は極めて不安
定であり〔Russ.J.Phys.Chem.44
(1970)1957〕、該錯体の精製法や利用法はほ
とんど研究されていない。そして、本発明者らは該錯体
の高速液体クロマトグラフ法による分離精製法について
詳細に検討したが、該錯体は極めて不安定で0℃の遮光
下にアルゴン雰囲気中で保存しても寿命はせいぜい2〜
3日に過ぎないことを認めた〔日本分析化学会第42年
会講演要旨集(1993年10月5日発表)〕。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、河川水や工
場廃液等に存在する微量水銀を簡便で高価な機器類が不
要な方法によって迅速に分析することができる水銀検出
材、及び簡便で高価な機器類が不要な上に迅速に行うこ
とのできる水銀の定量方法を提供することをその課題と
する。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前記課題を
解決すべく鋭意研究を重ねた結果、クロリン環を有する
フェオフィチン類及びその誘導体の水銀錯体は450n
mに強い吸収を持つ上に、II価水銀イオンと前記試薬を
液中で混合或いは接触させると短時間で錯体を形成し、
該錯体はその吸光度を測定している間は安定に存在でき
ることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわ
ち、本発明によれば、支持体上にフェオフィチン類、フ
ェオフォーバイド類、フェオフォーバイド類のアルカリ
金属塩及びクロリンe6のアルカリ金属塩より成る群の
中から選ばれる少なくとも1種の試薬が担持されている
ことを特徴とする水銀検出材が提供される。
【0006】また、本発明によれば、透明支持体上にフ
ェオフィチン類、フェオフォーバイド類、フェオフォー
バイド類のアルカリ金属塩及びクロリンe6のアルカリ
金属塩より成る群の中から選ばれる少なくとも1種の試
薬が担持されている透明で板状の水銀定量用部材とII価
水銀イオンを含む検体液とを接触させ、水銀定量用部材
の表面に該部材に含まれている前記試薬の水銀錯体を形
成させてから、該部材の450nmにおける吸光度を測
定してII価水銀イオンを定量することを特徴とする水銀
の分析方法が提供される。さらに、本発明によれば、II
価水銀イオンを含む検体液とフェオフィチン類、フェオ
フォーバイド類、フェオフォーバイド類のアルカリ金属
塩及びクロリンe6のアルカリ金属塩より成る群の中か
ら選ばれる少なくとも1種の試薬とを液中で反応させて
前記試薬の水銀錯体を形成させてから、該錯体が含まれ
ている液の450nmにおける吸光度を測定してII価水
銀イオンを定量することを特徴とする水銀の分析方法が
提供される。
【0007】本発明で分析試薬に使われるフェオフィチ
ン類は下記(1)式に示す構造の化合物であり、該化合
物はクロロフィルを希塩酸処理する方法で容易に得られ
る。
【化1】
【0008】本発明で分析試薬に使われるフェオフォー
バイド類は、前記フェオフィチン類のフィトール部分が
無い化合物であり、下記(2)式に示す構造の化合物で
ある。該化合物は、フェオフィチン類をアルカリ水溶液
で加水分解してから塩酸酸性にする常法で容易に得られ
る。
【化2】
【0009】本発明で分析試薬に使われるフェオフォー
バイド類のアルカリ金属塩は、前記(2)式に示したフ
ェオフォーバイド類のナトリウム塩又はカリウム塩であ
り、ナトリウム塩としては下記(3)式の化合物が示さ
れる。該化合物は、フェオフィチン類をアルカリ水溶液
で加水分解するだけで容易に得られる。
【化3】
【0010】本発明で分析試薬に使われるクロリンe6
のアルカリ金属塩は、前記フェオフォーバイドaのアル
カリ金属塩をさらに加水分解し、カルボニル基を含む環
構造を開裂させた化合物のナトリウム塩又はカリウム塩
である。すなわち、ナトリウム塩としては下記(4)式
の化合物が例示される。また、該化合物は(2)式に示
したフェオフォーバイドaのジエチルエーテル溶液に、
30重量%程度の高濃度水酸化ナトリウム−メタノール
溶液、或いは同程度の濃度の水酸化カリウム−メタノー
ル溶液を混合し、激しく撹拌することで容易に製造する
ことができる。
【化4】
【0011】本発明者の詳細な研究によると、フェオフ
ィチン類及び前記のフェオフィチン誘導体類は、II価水
銀イオンと選択的かつ速やかに錯体を形成して着色する
ことが認められた。例えば、容量比1:1のアセトン・
エタノール混合液1リットル中に、1×10-5モルのフ
ェオフィチンaを溶解した液を調製し、これに室温で該
フェオフィチンaの20モル倍の各種金属イオンを添加
し、可視吸収スペクトルの変化で錯形成速度を調べたと
ころ、II価水銀イオンの添加では速やかに反応が完結し
て溶液の色が黄色から青色に変った。この実験は、II価
水銀イオンのほか、II価亜鉛、II価カドミウム、II価
銅、II価鉄、III価鉄、II価マンガン、II価コバルト、I
I価パラジウム及びII価銀イオンについても試みたが、
錯形成速度がII価水銀イオンの次に大きいII価カドミウ
ムイオンでも反応完結までに30分を要し、II価水銀イ
オンの錯形成速度が格段に大きかった。
【0012】本発明の水銀検出材は、前記錯形成試薬の
1種又は2種以上混合物が濾紙等の支持体上に担持され
ている水銀検出材であり、支持体としては各種の固形物
が使用できるが、特に濾紙を支持体とするのが好まし
い。また、水銀検出材は錯形成試薬が溶解している均一
液を支持体に含浸又は塗布してから、これを乾燥するだ
けで容易に製造することができる。そして、該水銀検出
材と検体液とを接触させるだけでII価水銀イオンの有無
を判定することができる。すなわち、検体液にII価水銀
イオンが含まれていれば水銀検出材との接触部分が速や
かに青色に変色するから、目視によって容易にII価水銀
イオンが存在していることを知ることができる。
【0013】本発明で使われる水銀定量用部材は、前記
錯形成試薬の1種又は2種以上混合物が石英ガラス板、
ガラス板及び透明プラスチック板等の透明で板状の支持
体上に担持されている部材であり、光吸収の少ない石英
ガラス板を支持体にするのが好ましい。また、該部材は
錯形成試薬が溶解している均一液を支持体に含浸又は塗
布してから、これを乾燥するだけで得られる。このほ
か、高分子化合物溶液に錯形成試薬を溶かして均一液と
し、この液を支持体に含浸又は塗布後に乾燥して該部材
を作製しても良く、この場合には高分子化合物の存在で
試薬の溶出が防止されるから、該方法は検体液に易溶な
試薬を含有する部材の作製に好適である。
【0014】水銀定量用部材は、II価水銀イオンを含む
検体液と接触させると速やかに青色に変色するから、そ
の青色濃度を450nmにおける吸光度測定によって求
めれば、あらかじめ作成しておいた検量線から容易にII
価水銀イオン濃度が求められる。該検量線は、種々のII
価水銀イオン濃度の標準液と水銀定量用部材とを接触さ
せ、種々のII価水銀イオン濃度の場合の450nmにお
ける該部材の吸光度を測定することで作成される。な
お、自明のことではあるが、水銀定量用部材の種類及び
該部材とII価水銀イオン含有液との接触方法は、検量線
作成時とII価水銀イオン定量時とが同じでないと正しい
定量値が得られない。水銀定量用部材と検体液との接触
方法は、検体液に該部材を浸漬する方法のほか、該部材
への検体液滴下や塗布による方法でも良く、検量線作成
時とII価水銀イオンの定量時が同じであれば、種々の接
触方法で接触させることができる。そして、水銀定量用
部材に検体液を滴下する方法であれば、該部材に含まれ
る錯形成試薬が検体液に易溶でもII価水銀イオンを正確
に定量することができる。
【0015】前記の錯形成試薬を使用し、液中で錯体を
形成させてII価水銀イオンを定量する場合は、ビーカー
等の容器中で錯形成反応を行っても良いが、光を遮断し
て速やかに錯形成反応を行わせるのが好ましいから、通
常は可視分光光度計のセル内で錯形成反応を行わせる。
すなわち、所定濃度の錯形成試薬が含まれている液の所
定量をセル内に採取し、これにII価水銀イオンが含まれ
ている検体液を所定量添加して均一液とし、暗黒下に室
温で数秒間放置してから450nmにおける吸光度を測
定すれば良い。この場合、フェオフィチン類やフェオフ
ォーバイド類は水不溶なので、これらを錯形成試薬にす
る場合はアセトンやエタノール等の水溶性有機溶剤溶液
にすれば良く、フェオフォーバイド類やクロリンe6
アルカリ金属塩は水溶性なので、これらを錯形成試薬に
する場合は水溶液にすれば良い。なお、この場合も45
0nmにおける吸光度からII価水銀イオン濃度を求める
ためには検量線が必要であり、該検量線は前記と同様に
定量時と同じ条件で得られたデータを使って作成すれば
良い。
【0016】フェオフィチン類とII価水銀イオンを反応
させて液中で錯体を形成する場合、この錯形成反応が速
やかに進行するII価水銀イオンの濃度範囲は、2〜30
ppm、好ましくは2〜20ppmである。そして、フ
ェオフィチン類の有機溶剤溶液、例えばエタノール溶液
中の該イオン濃度が2〜20ppmの範囲では、錯形成
による着色度とII価水銀イオン濃度が正比例しており、
450nmの吸光度を測定するだけで正確にII価水銀イ
オン濃度を求めることができる。このような定量分析に
好適なフェオフィチン類の溶剤は、エタノールやアセト
ン・エタノール混合液等である。フェオフィチン類を濾
紙等に含浸させてII価水銀イオンの分析に使う場合、目
視で検出可能なII価水銀イオンの濃度は5ppm以上で
ある。また、透明支持体上にフェオフィチン類が担持さ
れている水銀定量用部材を使う場合、定量分析に好適な
II価水銀イオン濃度は3〜20ppmの範囲である。す
なわち、この場合は前記II価水銀イオン濃度の範囲で、
フェオフィチン類が含まれている水銀定量用部材の青色
濃度が、II価水銀イオン濃度と正比例して変化する。
【0017】フェオフォーバイド類とII価水銀イオンを
反応させて液中で錯体を形成する場合、この錯形成反応
が速やかに進行するII価水銀イオンの濃度範囲は、2〜
30ppm、好ましくは2〜20ppmである。そし
て、フェオフォーバイド類の有機溶剤溶液、例えばエタ
ノール溶液中の該イオン濃度が2〜20ppmの範囲で
は、錯形成による着色度とII価水銀イオン濃度が正比例
しており、450nmの吸光度を測定するだけで正確に
II価水銀イオン濃度を求めることができる。このような
定量分析に好適なフェオフォーバイド類の溶剤は、前記
のフェオフィチン類の場合と同じ溶剤である。フェオフ
ォーバイド類を濾紙等に含浸させてII価水銀イオンの分
析に使う場合、目視で検出可能なII価水銀イオンの濃度
は5ppm以上である。また、透明支持体上にフェオフ
ォーバイド類が担持されている水銀定量用部材を使う場
合、定量分析に好適なII価水銀イオン濃度は2〜20p
pmの範囲である。すなわち、この場合は前記II価水銀
イオン濃度の範囲で、フェオフォーバイド類が含まれて
いる水銀定量用部材の青色濃度がII価水銀イオン濃度と
正比例して変化する。
【0018】フェオフォーバイド類のアルカリ金属塩と
II価水銀イオンを反応させて液中で錯体を形成する場
合、この錯形成反応が速やかに進行するII価水銀イオン
の濃度範囲は、2〜30ppm、好ましくは2〜20p
pmである。そして、フェオフォーバイド類のアルカリ
金属塩水溶液中の該イオン濃度が2〜20ppmの範囲
では、錯形成による着色度とII価水銀イオン濃度が正比
例しており、450nmの吸光度を測定するだけで正確
にII価水銀イオン濃度を求めることができる。このよう
な定量分析に好適なフェオフォーバイド類のアルカリ金
属塩の溶剤は、水やメタノール等である。フェオフォー
バイド類のアルカリ金属塩を濾紙等に含浸させてII価水
銀イオンの分析に使う場合、目視で検出可能なII価水銀
イオンの濃度は5ppm以上である。また、透明支持体
上にフェオフォーバイド類のアルカリ金属塩が担持され
ている水銀定量用部材を使う場合、定量分析に好適なII
価水銀イオン濃度は2〜20ppmの範囲である。すな
わち、この場合は前記II価水銀イオン濃度の範囲で、フ
ェオフォーバイド類のアルカリ金属塩が含まれている水
銀定量用部材の青色濃度が、II価水銀イオン濃度と正比
例して変化する。
【0019】クロリンe6のアルカリ金属塩とII価水銀
イオンを反応させて液中で錯体を形成する場合、この錯
形成反応が速やかに進行するII価水銀イオンの濃度範囲
は、2〜30ppm、好ましくは2〜20ppmであ
る。そして、クロリンe6のアルカリ金属塩水溶液中の
該イオン濃度が2〜15ppmの範囲では、錯形成によ
る着色度とII価水銀イオン濃度が正比例しており、45
0nmの吸光度を測定するだけで正確にII価水銀イオン
濃度を求めることができる。このような定量分析に好適
なクロリンe6のアルカリ金属塩の溶剤は、水やメタノ
ール等である。クロリンe6のアルカリ金属塩を濾紙等
に含浸させてII価水銀イオンの分析に使う場合、目視で
検出可能なII価水銀イオンの濃度は5ppm以上であ
る。また、透明支持体上にクロリンe6のアルカリ金属
塩が担持されている水銀定量用部材を使う場合、定量分
析に好適なII価水銀イオン濃度は2〜15ppmの範囲
である。すなわち、この場合は前記II価水銀イオン濃度
の範囲で、クロリンe6のアルカリ金属塩が含まれてい
る水銀定量用部材の青色濃度が、II価水銀イオン濃度と
正比例して変化する。
【0020】錯形成を円滑に進行させる前記錯形成用試
薬の液中濃度は、フェオフィチン類では5〜20pp
m、好ましくは15〜17ppmの範囲であり、II価水
銀イオンの2〜10モル倍、好ましくは4〜5モル倍存
在させるのが望ましい。フェオフォーバイド類では前記
の範囲が5〜17ppm、好ましくは11〜13ppm
であり、II価水銀イオンの2〜10モル倍、好ましくは
4〜5モル倍存在させるのが望ましい。フェオフォーバ
イド類のアルカリ金属塩では、液中濃度が5〜15pp
m、好ましくは11〜13ppmの範囲であり、II価水
銀イオンの2〜10モル倍、好ましくは4〜5モル倍存
在させるのが望ましい。また、クロリンe6のアルカリ
金属塩では前記の範囲が5〜15ppm、好ましくは1
0〜12ppmであり、II価水銀イオンの2〜10モル
倍、好ましくは2〜5モル倍存在させるのが望ましい。
【0021】前記の錯形成試薬が濾紙等に含浸されてい
る水銀検出材では、該試薬がフェオフィチン類の場合は
濾紙等の支持体表面100cm2当り1〜3μモル、好
ましくは2〜2.5μモルのフェオフィチン類を存在さ
せるのが望ましい。該試薬がフェオフォーバイド類の場
合は、濾紙等の支持体表面100cm2当り1〜3μモ
ル、好ましくは2〜2.5μモルのフェオフォーバイド
類を存在させるのが望ましい。該試薬がフェオフォーバ
イド類のアルカリ金属塩の場合は、濾紙等の支持体表面
100cm2当り1〜3μモル、好ましくは2〜2.5
μモルのフェオフォーバイド類のアルカリ金属塩を存在
させるのが望ましい。該試薬がクロリンe6のアルカリ
金属塩の場合は、濾紙等の支持体表面100cm2当り
1〜4μモル、好ましくは2〜3μモルのクロリンe6
のアルカリ金属塩を存在させるのが望ましい。
【0022】前記の錯形成試薬が石英ガラス板等の透明
支持体上に担持されている水銀定量用部材では、該試薬
がフェオフィチン類の場合は石英ガラス板等の支持体表
面100cm2当り0.5〜3μモル、好ましくは1〜
2μモルのフェオフィチン類を存在させるのが望まし
い。該試薬がフェオフォーバイド類の場合は、石英ガラ
ス板等の支持体表面100cm2当り0.5〜3μモ
ル、好ましくは1〜2μモルのフェオフォーバイド類を
存在させるのが望ましい。該試薬がフェオフォーバイド
類のアルカリ金属塩の場合は、石英ガラス板等の支持体
表面100cm2当り0.4〜2.5μモル、好ましく
は1〜1.5μモルのフェオフォーバイド類のアルカリ
金属塩を存在させるのが望ましい。該試薬がクロリンe
6のアルカリ金属塩の場合は、石英ガラス板等の支持体
表面100cm2当り0.4〜2.5μモル、好ましく
は1〜1.5μモルのクロリンe6のアルカリ金属塩を
存在させるのが望ましい。
【0023】本発明の分析方法に使われる前記錯形成反
応は、錯形成試薬が水溶液状、有機溶剤溶液状及び支持
体上に存在する場合のいずれの場合もpH7〜9で行う
のが良く、酸性条件下では錯形成が妨害される。この錯
形成反応は光を遮断して行うのが望ましく、直射日光下
では生成した錯体が変質する。また、II価水銀イオン以
外の重金属イオンも前記錯形成試薬で錯体を形成し、こ
れら錯体の中にはII価水銀錯体と類似色調の錯体もある
から、このII価水銀分析では短時間で錯形成を終らせる
のが望ましい。なお、水銀以外の金属イオンが大量に共
存すると水銀の錯形成反応が妨害される場合があり、こ
の妨害はカドミウムイオン共存時に顕著なので、該イオ
ンの共存量は水銀イオン量の5倍モル以下とするのが望
ましい。本発明法は、河川水や工場廃液のほか汚泥やス
ラッジ等の中の水銀分析にも使うことができるが、特に
河川水や工場廃液等の水中に含まれるII価水銀イオンの
分析に好適な方法である。また、金属状や有機水銀化合
物等の形で存在する水銀やI価水銀イオンも、常法でII
価水銀イオンに変えることにより本発明法で分析できる
し、着色試料は過酸化水素等で脱色してから分析すれば
良い。
【0024】
【実施例】次に、本発明を実施例によって更に具体的に
説明するが、本発明はこの実施例によって限定されるも
のではない。
【0025】実施例1 フェオフィチンa[前記(1)式の化合物]を9×10
-4重量%クロロホルム溶液とし、この液を室温で石英ガ
ラス板上に滴下してクロロホルムを蒸発させ、フェオフ
ィチンaの極大吸収波長(410nm)における吸光度
が0.8程度の薄膜を形成させた。該薄膜は、石英ガラ
ス板の表面100cm2当りフェオフィチンaが800
μg存在している薄膜である。前記薄膜が形成されてい
る石英ガラス板を、室温でpH7〜9に保たれている種
々の濃度のII価水銀イオン含有水(所定量の酢酸水銀を
イオン交換水に溶解した液)中に5秒間浸漬してから、
450nmの吸光度を測定した。その結果、II価水銀イ
オン濃度が3〜20ppmの範囲の液に浸漬した前記の
石英ガラス板では、450nmにおける吸光度と該石英
ガラス板を浸漬させた液のII価水銀イオン濃度が正比例
していることが分り、前記範囲内ではII価水銀イオンが
450nmの吸光度測定で定量できることが実証され
た。また、前記のII価水銀イオン含有水を原子吸光分析
法で分析し、本発明の方法で分析した結果と原子吸光法
による分析結果を比較したところ、両者はほぼ一致して
いた。
【0026】実施例2 1×10-5モル/リットルのフェオフィチンa−クロロ
ホルム溶液を濾紙に浸し、これを引上げてから風乾して
クロロホルムを蒸発させ、フェオフィチンaを含む濾紙
を作製した。該試験紙を室温でpH7〜9に保たれてい
るII価水銀イオン含有水(実施例1で使用した水溶液と
同じ液)に浸し、5秒後の色調変化を目視で観察した。
その結果、II価水銀イオン含有水中のII価水銀イオン濃
度が5ppm以上の場合は、試験紙の色が黄色(フェオ
フィチンaの色)から鮮明な青色に変化することが分っ
た。
【0027】実施例3 フェオフォーバイドa[前記(2)式の化合物]を9×
10-4重量%ジエチルエーテル溶液とし、実施例1と同
じ方法で実施例1と同様な薄膜を石英ガラス板上に形成
させた。該薄膜は、フェオフォーバイドaの極大吸収波
長(410nm)における吸光度が0.8程度の薄膜
で、石英ガラス板の表面100cm2当りフェオフォー
バイドaが500μgとなるように形成されている。こ
の薄膜が形成されている石英ガラス板について、実施例
1と同じ方法でII価水銀イオンの分析能を調べたとこ
ろ、試料水中のII価水銀イオン濃度が2〜20ppmの
範囲では吸光度とII価水銀イオン濃度が正比例してい
た。
【0028】実施例4 フェオフォーバイドaを当モルの水酸化ナトリウムを含
む水溶液に溶解し、1リットル中に1×10-5モルのフ
ェオフォーバイドa−ナトリウム塩〔前記(3)式の化
合物〕を含む水溶液を得た。この液に四ホウ酸ナトリウ
ム緩衝液を加えて四ホウ酸ナトリウム濃度を0.1モル
/リットルとし、pH7.5〜8.0の緩衝液として本
実施例の実験を行った。すなわち、この緩衝液を可視吸
光光度計のセルに入れ、これに実施例1の場合と同じII
価水銀イオン含有水を容量比で試薬水溶液:試料水溶液
=1:1となるように混合し、5秒後に450nmの吸
光度を測定したところ、試料水溶液中のII価水銀イオン
濃度が2〜20ppmの範囲でII価水銀イオン濃度と吸
光度が正比例していた。
【0029】実施例5 クロリンe6−三ナトリウム塩[前記(4)式の化合
物]と四ホウ酸ナトリウム緩衝液から、実施例4に記載
した緩衝液と同様な緩衝液(錯形成試薬の種類は異なる
が、その濃度や緩衝剤の添加比は実施例4と同じ)を調
製し、該錯形成試薬について実施例4の場合と同じ方法
で分析試薬としての能力を評価した。その結果、試料水
溶液中のII価水銀イオン濃度が2〜15ppmの範囲
で、II価水銀イオン濃度と450nmの吸光度が正比例
していた。
【0030】
【発明の効果】請求項1の水銀検出材によれば、該検出
材と検体液とを接触させるだけで該検体液中にII価水銀
イオンが存在するか否かを目視で判定することができ
る。請求項2の方法によれば、水銀定量用部材とII価水
銀イオンを含む検体液とを接触させて該部材の表面に青
色の水銀錯体を形成させてから、該部材の450nmに
おける吸光度を測定することにより、検体中のII価水銀
イオンを簡単に精度良く定量する方法が提供される。請
求項3の方法によれば、水銀定量用錯形成試薬とII価水
銀イオンを含む検体液とを混合するだけで、数秒間で水
銀と試薬との錯体が形成されるから、該錯体が形成され
ている液の450nmにおける吸光度を測定することに
より、検体液中のII価水銀イオン量を簡単に精度良く定
量することができる。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上に、フェオフィチン類、フェオ
    フォーバイド類、フェオフォーバイド類のアルカリ金属
    塩及びクロリンe6のアルカリ金属塩より成る群の中か
    ら選ばれる少なくとも1種の試薬が担持されていること
    を特徴とする水銀検出材。
  2. 【請求項2】 透明支持体上に、フェオフィチン類、フ
    ェオフォーバイド類、フェオフォーバイド類のアルカリ
    金属塩及びクロリンe6のアルカリ金属塩より成る群の
    中から選ばれる少なくとも1種の試薬が担持されている
    透明で板状の水銀定量用部材とII価水銀イオンを含む検
    体液とを接触させ、水銀定量用部材の表面に該部材に含
    まれている前記試薬の水銀錯体を形成させてから、該部
    材の450nmにおける吸光度を測定してII価水銀イオ
    ンを定量することを特徴とする水銀の分析方法。
  3. 【請求項3】 II価水銀イオンを含む検体液と、フェオ
    フィチン類、フェオフォーバイド類、フェオフォーバイ
    ド類のアルカリ金属塩及びクロリンe6のアルカリ金属
    塩より成る群の中から選ばれる少なくとも1種の試薬と
    を液中で反応させて前記試薬の水銀錯体を形成させてか
    ら、該錯体が含まれている液の450nmにおける吸光
    度を測定してII価水銀イオンを定量することを特徴とす
    る水銀の分析方法。
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