JP2512762Y2

JP2512762Y2 - 刺繍絵

Info

Publication number: JP2512762Y2
Application number: JP1993043925U
Authority: JP
Inventors: 瀬一郎浦; 山史江中
Original assignee: 株式会社ウラセ; 中山史江
Priority date: 1992-07-28
Filing date: 1993-07-16
Publication date: 1996-10-02
Anticipated expiration: 2006-10-02
Also published as: JPH0639990U

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この考案は刺繍絵に関し、特に刺
繍糸を用いて描かれる刺繍絵に関する。

【０００２】

【従来の技術】これまで、布帛の表面に種々の色の刺繍
糸を用いて刺繍を施して絵を描き、このような刺繍絵を
室内装飾用に利用することが知られている。しかしなが
ら、このような刺繍絵を描くには専門的な技術が必要で
あり、子供を含めた一般の手芸愛好家が簡単に刺繍によ
り絵柄を描くことは困難である。

【０００３】また、平織の布の表面に刺繍を施してクッ
ション等を作製することも一般的である。しかしなが
ら、このような布は、立体性を有した刺繍絵を作製する
のに適していない。

【０００４】さらに、プラスチック製のメッシュシート
に刺繍を施すことも知られている。しかしながら、この
ようなメッシュシートは、プラスチック製のメッシュを
熱処理することにより製造されるので、一般的に孔の内
径が大きく、孔の配列密度に限界がある。また、このよ
うなメッシュシートの場合、刺繍糸を通すための孔の大
きさが不揃いであったり、孔が塞がった部分があった
り、孔の形状が真円でない等の問題点もある。その上、
このようなメッシュシートは、単に、その表面に刺繍を
施すだけであって、立体性を有した刺繍絵を作製するの
に適していない。

【０００５】一方、立体性を有した装飾刺繍が、実開昭
４９−１２９８９１号に開示されている。この装飾刺繍
は、網目を有する平面状の基板に、プレス絞り加工や樹
脂成型加工を用いて、刺繍図案が直接立体的に浮出さ
れ、この浮出された刺繍図案に沿って刺繍糸が配された
ものである。ところが、この装飾刺繍では、基板に浮出
された刺繍図案の形状に対応した特定の形状しか得られ
ない。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】それゆえに、この考案
の主たる目的は、所望の形状が簡単に得られる立体性を
有した刺繍絵を提供することである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】この考案は、シート状基
材の少なくとも一部分に内径が０．４〜１．５ｍｍであ
る貫通孔がマトリックス状に設けられている刺繍絵用シ
ートと、刺繍絵用シート上に積層され、刺繍絵用シート
の貫通孔と同じピッチで貫通孔が設けられているシート
片と、刺繍絵用シートの貫通孔およびシート片の貫通孔
に通される刺繍糸とを含む、刺繍絵である。

【０００８】なお、シート片は、合成紙や厚紙等の紙か
らなることが好ましい。

【０００９】また、シート状基材の表面には、絵柄が設
けられていることが好ましい。

【００１０】

【作用】この考案では、刺繍絵用シート上にシート片が
積層され、刺繍絵用シートの貫通孔およびシート片の貫
通孔に刺繍糸が通されることによって、立体性を有した
刺繍絵が得られる。この場合、刺繍絵の形状は、シート
片の形状を変えることによって変わる。そのため、この
考案にかかる刺繍絵では、所望の形状が簡単に得られ
る。

【００１１】なお、シート片が合成紙や厚紙等の紙から
なる場合、所望の形状のシート片に鋏等によって容易に
切断できる。

【００１２】また、シート状基材の表面に絵柄を設けれ
ば、その絵柄を、刺繍糸により描かれる絵柄の背景画と
して利用することができる。

【００１３】

【考案の効果】この考案によれば、所望の形状が簡単に
得られる立体性を有した刺繍絵が得られる。

【００１４】なお、シート片が合成紙や厚紙等の紙から
なる場合、所望の形状のシート片に容易に切断できるた
め、さらに簡単に立体性を有した刺繍絵を作製すること
ができる。

【００１５】また、シート状基材の表面に絵柄を設けれ
ば、その絵柄を、刺繍糸により描かれる絵柄の背景画と
して利用することができ、非常に優れた意匠性を有する
刺繍絵を作製することができる。

【００１６】この考案の上述の目的，その他の目的，特
徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳
細な説明から一層明らかとなろう。

【００１７】

【実施例】図１はこの考案に用いられる刺繍絵用シート
の一例を示す平面図である。図１に示す刺繍絵用シート
は、たとえば、厚さ約０．４ｍｍの市販のオフホワイト
の合成紙を、１２ｃｍ×２０ｃｍの長方形状に切断した
シート状基材１を含む。

【００１８】このシート状基材１の中央部分には、図１
中に黒い点のようにして示されるように、たとえば、内
径０．８ｍｍの貫通孔２が１．５ｍｍのピッチで５０×
５０のマトリックス状に設けられている。なお、図１に
は一部の貫通孔が省略して描かれている。

【００１９】なお、この考案では、シート状基材１の材
質が特に限定されるものではなく、孔開け加工できるも
のであればよい。よって、上述の合成紙以外の厚紙等の
紙、プラスチック、不織布、金属等の種々のシート状基
材も使用できる。ただし、立体性のある刺繍絵を製作す
るのに適した刺繍絵用シートとするには、鋏やカッター
等で簡単に切断できる合成紙や厚紙等の紙からなるもの
が好ましい。このような合成紙や厚紙等の紙には、孔開
け加工時に毛羽立ちがなく、紙質の硬いものが適してお
り、あまり紙質が柔らかいものを使用すると、孔開け加
工が困難になることがある。また、シート状基材１の材
料として厚紙を用いる場合、角の部分において層間剥離
しにくいものが好ましい。一方、シート状基材１の材料
として合成紙を用いた場合、シート状基材１が、角の部
分において層間剥離しにくく、折れにくく、曲がりにく
く、伸びにくく、しかも、それに貫通孔を均一に形成で
きるという利点を有する。

【００２０】また、この考案では、シート状基材１の大
きさおよび形状は１２ｃｍ×２０ｃｍの長方形状に限定
されず、たとえば１５ｃｍ×１５ｃｍの正方形状や直径
３０ｃｍの円形状等他の大きさおよび形状に形成されて
もよい。

【００２１】さらに、この考案では、刺繍絵用シートの
厚みは、シート状基材１に精度よく貫通孔２を設けるこ
とができれば特に限定されないが、シート状基材１が合
成紙製のものである場合には、基材としての腰と貫通孔
２の孔開け加工適性の点から約０．４ｍｍ程度のものが
特に好ましい。また、シート状基材１が厚紙製のもので
ある場合には、基材としての腰と貫通孔２の孔開け加工
適性の点から約０．８ｍｍ程度のものが特に好ましい。

【００２２】また、この考案では、刺繍絵用シートにお
いて、シート状基材１の色は、オフホワイトに限らず、
単色のナチュラルカラーであってもよく、いろいろな色
彩であってもよい。

【００２３】なお、上述の例では各貫通孔２の内径が約
０．８ｍｍに形成されているが、この考案では、各貫通
孔２の内径は０．４〜１．５ｍｍに形成されればよい。
これは、貫通孔２の内径が０．４ｍｍ未満のものは、刺
繍用の一般的な針や糸が通りにくくなって刺繍が困難で
あり、かつ、孔開け加工が難しいからである。逆に、貫
通孔２の内径が１．５ｍｍを超えるものは、刺繍を施し
た後にも貫通孔２が見えて外観が悪いものとなるからで
ある。この考案では、刺繍絵用シートにおいて、各貫通
孔２の内径は約０．８ｍｍに形成されることが特に好ま
しい。これは、貫通孔２の内径を約０．８ｍｍに形成す
れば、貫通孔２に２本どりの刺繍糸や３本どりの刺繍糸
を通しやすく、貫通孔２にクロスステッチやサテンステ
ッチ等のいろいろな欧風刺繍を施しやすく、貫通孔２を
重ねてもそれらの貫通孔２に刺繍糸を通しやすく、さら
に、貫通孔２の目数を数えやすいからである。

【００２４】また、上述の例ではシート状基材１に５０
×５０個の貫通孔２が形成されているが、この考案で
は、貫通孔２の数は特に限定されるものではない。貫通
孔２の数を多く形成することにより、細かい糸使いの絵
柄が表現できる。この考案では、刺繍絵用シートにおい
ては、貫通孔２を１００００〜３００００個程度設けた
ものが特に好ましい。

【００２５】さらに、図１に例示される刺繍絵用シート
では、貫通孔２がマトリックス状になって、シート状基
材１の中央部分に設けられているが、この考案では、シ
ート状基材１の全面に貫通孔２がマトリックス状に設け
られてもよく、図１のような縦と横の貫通孔２の数が同
じであるものに限定されるものではない。

【００２６】また、この考案では、刺繍絵用シートにお
ける貫通孔２間の距離（ピッチ）は、シート状基材１の
材質および貫通孔２の内径に影響されるものであり、あ
まりピッチを大きくすると繊細な絵柄を描くことができ
なくなり、ピラミッド風の立体感がでにくくなるので、
一般的に、貫通孔２のピッチは約１．３〜２ｍｍが好ま
しく、１．５ｍｍが特に好ましい。また、あまり貫通孔
２のピッチを小さくすると、貫通孔２がちらちらとして
見にくく、刺繍がしにくく、貫通孔２の目数が数えにく
くなる。

【００２７】この考案では、刺繍絵用シートは、シート
状基材１を孔開け加工することによって製造されるもの
であって、小さな内径の貫通孔２をマトリックス状に設
ける際には、打ち抜き加工（パンチング加工）が一般的
である。そして、貫通孔２を形成させる際の方法として
は、マトリックス状に配列された抜き刃を有する抜き型
を用いて、シート状基材１を順次、抜き型に送る方法が
好ましい。

【００２８】このような打ち抜き加工を用いることによ
り、この刺繍絵用シートでは、真円の貫通孔２が設けら
れたものになる。また、従来のメッシュシートに比べて
貫通孔２のピッチ精度が高く、配列密度の高いものであ
る。

【００２９】次に、この刺繍絵用シートを用いて作製さ
れる立体性のある刺繍絵の具体例を示す。

【００３０】図２は図１に示す刺繍絵用シートを用いて
作製された刺繍絵の一例を示す平面図であり、この刺繍
絵には木の外観を模した絵柄が刺繍糸３により表されて
いる。しかも、この刺繍絵には、その部分拡大図を図３
に示すように、立体性を有する部分が形成されている。

【００３１】なお、この考案では、刺繍絵用シートに
は、色糸で刺繍する場合によりカラフルにかつより美し
く見えることを考えると、世界中で入手しやすい２５番
糸の刺繍糸を使用することが好ましい。また、その刺繍
糸としては、２本どりの刺繍糸または３本どりの刺繍糸
を使用することが好ましい。なぜなら、４本どり以上の
刺繍糸では、刺繍糸がねじれたり浮いたりして初心者に
は難しく、かつ、ボリュームがですぎて刺繍絵が繊細さ
に欠けることになるからである。また、１本どりの刺繍
糸では、刺繍絵の色彩効果が弱く、刺繍糸も切れやす
く、作品としての刺繍絵の価値が半減するからである。
さらに、２本どりの刺繍糸と３本どりの刺繍糸とを使用
すれば、刺繍絵の色彩の強弱や密度を変化することがで
きる。

【００３２】また、この考案では、刺繍絵用シートに使
用する刺繍針は、使用する刺繍糸の種類および刺繍絵用
シートの貫通孔の大きさ等によって決定すべきであり、
フランス刺繍針８号を使用することが好ましい。ただ
し、刺繍針の太さは、あまり太すぎると、それに刺繍糸
を通しやすいが、それを刺繍絵用シートの貫通孔に通し
にくい。逆に、刺繍針があまり細すぎると、それに刺繍
糸を通しにくいだけでなく、それが刺繍絵用シートの貫
通孔より下に抜け落ちてしまい刺繍しにくい。

【００３３】図２および図３に示す構造の刺繍絵を作製
するには、まず、刺繍絵用シートがたとえば２枚準備さ
れる。

【００３４】この場合、まず、図１に示す刺繍絵用シー
トが準備される。

【００３５】さらに、たとえば、厚さ０．８ｍｍの市販
のナチュラルカラーの厚紙を、１２ｃｍ×２０ｃｍの長
方形状に切断してシート状基材を形成し、このシート状
基材の全面に、図１に示す刺繍絵用シートの貫通孔２と
同様の内径の貫通孔を同じピッチで設けて、別の刺繍絵
用シートが準備される。この別の刺繍絵用シートは、切
り取って使用されるものである。

【００３６】そして、その別の刺繍絵用シートは、図２
に示す絵柄となるように、貫通孔が設けられた部分で所
望の形状のシート片４に切り取られる。それから、それ
らの切り取られたシート片４が、もう一方の刺繍絵用シ
ートの上に積層される。さらに、図３に示すように、刺
繍絵用シートおよびシート片４の互いの貫通孔２の位置
を合わせて、それらの貫通孔２に刺繍糸３を通すことに
よって、それらを一体化し、図２に示す刺繍絵が作製さ
れる。このようにして得られる刺繍絵は非常に立体性に
富んだものとなる。

【００３７】なお、刺繍絵用シート上に積層されるシー
ト片４の数は、３枚に限らず、１枚、２枚、４枚あるい
はそれ以上であってもよい。

【００３８】また、切断して使用する側のシート状基材
１としては、シート片４ができるだけ多く取れるよう
に、シート全面に貫通孔２が設けられたものが好まし
い。また、優れた立体性を有した刺繍絵を作製するため
には、積層されるシート状基材１の厚さが約０．８ｍｍ
以上であることが好ましい。なお、シート状基材１を切
断して使用する際には、貫通孔２のピッチを１．５ｍｍ
程度に選ぶ必要があり、あまりピッチが大きくなると、
貫通孔２を利用して所望の形状に切断することが困難と
なる。

【００３９】なお、この考案では、立体性に富んだ刺繍
絵を作製する際、切断しない方のシート状基材１にプラ
スチック製のものを使用し、切断する方のシート状基材
１に厚紙製のものを使用してもよい。

【００４０】図３に示されるように、この考案にかかる
刺繍絵は、シート片４が表面側に突出するので立体性を
有し、しかも図２に示される絵柄のそれぞれの箇所に
は、違った色の刺繍糸３が配置されているので、優れた
意匠性をも有する。なお、図２に示される刺繍絵では、
正方形の形状の積層されたシート片４の各辺に沿って刺
繍糸３が配置されており、この刺繍糸３は、シート片４
の四隅の貫通孔の位置でシート状基材１と固定されてい
る。

【００４１】このように、この考案では、シート状基材
１にマトリックス状に設けられた貫通孔２を利用するこ
とにより、所望の形状の絵柄を簡単に描くことができ、
特に幾何学的な模様を描くのに特に適している。

【００４２】さらに、この考案では、刺繍絵用シートを
構成するシート状基材１の表面には、印刷等により絵柄
が設けられていてもよく、この絵柄を、刺繍糸により描
かれる絵柄の背景画として利用することにより、非常に
優れた意匠性を有する刺繍絵を作製することができる。

【００４３】なお、作製された刺繍絵は、そのまま額の
中に入れて室内装飾用として利用できる他、本の表紙や
カバー等として使用できるものである。

【００４４】以上のように、この考案に用いられる刺繍
絵用シートは、刺繍糸を用いて簡単に絵や図柄を描くの
に非常に適したものであり、子供であっても刺繍を楽し
むことができる。しかも、刺繍絵用シートの表面に、所
望の形状のシート片を積層して刺繍糸で固定することに
より、立体的にも意匠的にも優れた刺繍絵を作製するこ
とができ、シート状基材が合成紙や厚紙等の紙からなる
ものは、鋏等で簡単に切断してシート片を得ることがで
きるので便利である。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案に用いられる刺繍絵用シートの一例を
示す平面図である。

【図２】図１に示す刺繍絵用シートを用いて作製された
刺繍絵の一例を示す平面図である。

【図３】図２に示す刺繍絵において立体性を有する部分
を示す部分拡大図である。

【符号の説明】

１シート状基材２貫通孔３刺繍糸４シート片

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献実開昭57−44195（ＪＰ，Ｕ) 実開昭49−129891（ＪＰ，Ｕ) 実開昭51−113661（ＪＰ，Ｕ) 実開昭54−69975（ＪＰ，Ｕ) 実開昭54−119761（ＪＰ，Ｕ) 実公昭45−27345（ＪＰ，Ｙ１)

Claims

(57)【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】シート状基材の少なくとも一部分に内径
が０．４〜１．５ｍｍである貫通孔がマトリックス状に
設けられている刺繍絵用シート、前記刺繍絵用シート上に積層され、前記刺繍絵用シート
の貫通孔と同じピッチで貫通孔が設けられているシート
片、および前記刺繍絵用シートの貫通孔および前記シート片の貫通
孔に通される刺繍糸を含む、刺繍絵。
【請求項２】前記シート片が合成紙や厚紙等の紙から
なることを特徴とする、請求項１の刺繍絵。
【請求項３】前記シート状基材の表面に絵柄が設けら
れていることを特徴とする、請求項１または請求項２の
刺繍絵。