JP2511501Y2 - 養魚用水槽 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、マダイ、ハマチ、ヒラメ等の魚類種苗を成
魚まで育成するのに用いる養魚用水槽の改良に関する。

〔従来の技術〕

従来のこの種の養魚用水槽は、第６図に示すように、
プラスチック等で形成した水槽１の上面に浮かぶ浮遊物
は、その水面付近に設けたオーバフロー管２によって取
り除かれる。

この水槽１は、底面に設けた排水管３に接続され、外
壁に沿って立設されているサイフォン管４の上端の水平
部4aに、この水平部4aと同高で水面に開口している空気
吸入管５が接続されることによって、サイフォン現象で
自然排水され、水平部４の高さに水平が維持されるよう
になっている。

排水管３の上面には、多数の小孔6aが穿設され、或い
は網とすることによって通水可能とされているストレー
ナ６が設置されている。

〔考案が解決しようとする課題〕

このように、従来の水槽においては、水槽１に給水す
ることにより、浮遊する浮遊物はオーバフロー管２から
水槽１の水と一緒に外部に排出される。

しかし、残餌、魚の排泄物、死骸等の沈澱性の汚物
は、ストレーナ６の小孔6aを通して、排水管３から排水
するようになってはいるが、ストレーナ６の小孔6aや網
では、これを通過できない汚物によって、すぐに目詰ま
りを起こし、排水が困難となってしまう欠点があった。

又、養殖中の魚は、その成長の過程によって大きく変
化する。

稚魚の場合には、ストレーナ６の小孔6a、網の目を通
過しないよう、且つこれらを通過する水流に引き込まれ
ないようにするため、小孔6aや網の目を小さくする必要
がある。

しかし、魚が大きく成長するにつれ、酸素の消費量も
多くなるので、水槽１への給水量を多くしなければなら
ない。

そして、魚も大きくなって、小孔6aや網目を通るおそ
れもなるなるので、小孔6aや網目を大きくして、排水管
３への水流の増大に対処する必要がある。

そのため、数種類の大きさの小孔6a、網目のストレー
ナ６を用意しておき、魚の成長に合わせて、これを交換
する手段を要する欠点があった。

本考案は、従来の養魚用水槽における前述の課題を解
決するためのもので、目詰まりを生じた際に、ストレー
ナの掃除を行うことなく目詰まりを解消でき、魚の成長
に応じてストレーナを交換する必要のない養魚用水槽を
提供することを目的とする。

〔課題を解決するたための手段〕

本考案は、前述の目的を達成するための養魚用水槽の
手段に関し、多数の孔が穿設されていて、水槽の底部に
設けられた排水管の上面に固定された固定板と、該固定
板の下面に沿接されていて、固定板の孔と同一位置に多
数の孔が穿設されているスライド板とでストレーナを形
成し、前記スライド板を固定板に沿接させたまま、スラ
イドさせるスライド手段とによって、その目的は達成さ
れる。

〔作用〕

この養魚用水槽においては、スライド板を固定板に対
してスライドさせることにより、スライド板と固定板の
孔に入って目詰まりを起こしていた汚物を切断し、この
小孔を流れる水流によって排水管から除去し、目詰まり
を解消させる。

又、固定板に対するスライド板のスライド量によっ
て、両者の孔の喰い違い程度を変化し、ストレーナとし
ての孔の大きさを調節し、魚の成長程度によるストレー
ナ交換の手数を無くするものである。

〔考案の実施例〕

次に、この考案の実施の一例を、第１図〜第３図につ
いて説明する。

同図において、１はプラスチック等で形成した水槽、
２は水面に浮かぶ浮遊物を取り除くためのオーバフロー
管、３は水槽１の底面部に設置した排水管で、これ等は
従来の養魚用水槽と変わるものではない。

10は水槽１の対向する内壁に設けた支持壁で、この上
に小孔11aを形成したスライド板11が支持壁10上をスラ
イド可能に載置されている。

12は水槽１の他の対向する内壁に設けられた支持壁
で、支持壁12の高さは、支持壁10よりもスライド板11の
厚さだけ、高い位置に設けられている。

支持壁12上には、水槽１の内形と同一形状の固定板13
が載置され、従って固定板13は水槽１内に固定される。

固定板13には、スライド板11の孔11aと重合する位置
に、小孔13aが穿設され、且つスライド板11に立設した
操作杆14を、そのガイド長孔15を貫通させて、その上に
に突設させる。

従って、この操作杆14を持って、ガイド長孔15の長手
方向、即ち支持壁12によってスライド板11がスライド可
能な方向に動かすことができるようになっており、且
つ、そのスライド量は、小孔11a、13aの大きさ以上とさ
れている。

この水槽においては、残餌、魚の排泄物、死骸等の沈
澱性の汚物は、排水管３からの排水流によって、小孔11
a、13a内に入り込み、これを通過しない汚物によって、
小孔11a、13aが目詰まりを生ずる。

この目詰まりによって、固定板13、スライド板11で構
成されるストレーナを通り、排水管３から排出される排
水が少なくなった時に、操作杆14を持って、そのストロ
ーグいっぱいに、スライド板11をスライドさせる。

すると、小孔11aと13aとが完全に喰い違うため、小孔
11a、13aの間に詰まっていた汚物は切断され、そのスラ
イドを数回繰り返す間に、目詰まりを起こしていた汚物
は細断され、これを通る水流によってストレーナから除
去されるものである。

又、スライド板11のスライド量を前記よりも小さくし
て、小孔11a、13aの一部が第３図に示す程度に喰い違わ
せておけば、小孔11a、13aによって形成される流水の通
過する孔の面積を小さくすることができ、稚魚や充分に
成育していない魚の体長に適応させることができる。

次に、第４図、第５図の他の実施例について説明す
る。

この実施例においては、水槽１の排水管３の上面に支
持板16を支持させ、支持板16のレール16a上にスライド
板17をスライド可能に、更にその上に固定板18を載置す
る。

このスライド板17と固定板18に、重合する小孔17a、1
8aを穿設することは前実施例と同じであり、支持板16に
は小孔17a、18aの下側全般に、孔16bを穿設する。

そして、支持板16、固定板18には、重合位置に軸孔16
c、18bを穿設し、この軸孔16c、18bに挿入した軸19には
カム19aを形成し、このカム19aをスライド板17のカム孔
17bに挿入する。

軸19の上端に切溝19bを設けて、これに挿入した工具
によって、軸19を回転すると、支持板16、固定板18は移
動しないが、スライド板17はそのカム孔17bがカム19aに
押され、スライド板17は固定板18に対してスライドす
る。

そのため、小孔17a、18aは軸19の回転角度によって喰
い違いの程度が変わり、前実施例と同様に目詰まりの解
消、ストレーナとしての孔の大きさの変化をつけること
ができる。

これ等の実施例において、小孔11a、17aを下広がり、
小孔13a、18aを上広がりのテーパとすることによって、
その切断角を鋭角として汚物の切断の切れ味を高めると
共に、切断された汚物の流動が円滑に行われるようにす
るのが望ましい。

〔考案の効果〕

本考案は如上のように、ストレーナを固定板とスライ
ド板で構成し、スライド板をスライド手段でスライドさ
せ、両者の小孔を適宜に喰い違わせることによって、水
流の通過する孔の大きさを変えることができる。

従って、飼育する魚の大きさに応じて、孔や網目の大
きさの変わったストレーナに交換する手数が不要とな
る。

又、両者の孔に残餌、その他の汚物が詰まって目詰ま
りを起こした時に、両者の孔を完全に喰い違うまで、ス
ライド板をスライドさせ、汚物の切断、粉砕を行い、両
者の孔を流れる水流によってこれを除去できるので、目
詰まりの都度、水槽を清掃する手間を不要とすることが
できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例の切断斜面図、第２図は要部
断面図、第３図はその小孔の喰い違いを示す斜面図、第
４図は他の実施例の分解斜面図、第５図はその要部の組
立断面図であり、第６図は従来の養魚用水槽の一実施例
を示す組立断面図である。 １……水槽、３……排水管、10,12……支持壁、11,17…
…スライド板、11a,17a……小孔、13,18……固定板、13
a,18a……小孔、14……操作杆、15……ガイド長孔、16
……支持板、16c,18b……軸孔、17b……カム孔、19……
軸、19a……カム。

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】多数の孔が穿設されていて、水槽の底部に
   設けられた排水管の上面に固定された固定板と、該固定
   板の下面に沿接されていて、固定板の孔と同一位置に多
   数の孔が穿設されているスライド板とでストレーナを形
   成し、前記スライド板を固定板に沿接させたまま、スラ
   イドさせるスライド手段とを備えたことを特徴とする養
   魚用水槽。